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  詩人のまど・みちおさんが亡くなった。
  2月28日のことです。
  仕事の帰りに図書館に寄って
  まど・みちおさんの本を
  さがしました。
  図書館の人に「まど・みちおさんの本をさがしています」と
  話したら、
  「亡くなりましたね」と
  云われてました。
  その時、まるで
  自分の身内が亡くなったような
  気分になりました。
  そこで見つけたのが
  この詩集『Rainbow  にじ』です。
  この本は『Eraser  けしゴム』と
  二冊同時に昨年の6月に
  刊行されたものです。
  皇后美智子さまが
  まど・みちおさんの
  たくさんの詩から選をなされて
  英訳されたという
  いい詩集です。
  装丁は、安野光雅さんです。
  明日は『Eraser  けしゴム』を紹介します。
  
  まど・みちおさんのご冥福を
  お祈りします。

  じゃあ、読もう。

Rainbow にじRainbow にじ
(2013/06/17)
まど みちお

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sai.wingpen  追悼1 まど・みちおさん - 今でも歌える「ぞうさん」                   

 まど・みちおさんが亡くなった夜、「ぞうさん」を歌って帰った。
 「ぞうさん ぞうさん おはながながいのね そうよ かあさんもながいのよ」。
 歌える。
 初めて歌ったのはいくつのことであったか、そのことさえ忘れてしまっているのに、「ぞうさん」は歌えた。
 「ぞうさん」はまどさんが1948年に書いた詩で、そのあと團伊玖磨さんが曲をつけて1953年に発表されたものです。
 童謡「ぞうさん」ができて60年を越えています。
 いまでも子どもたちは歌っているにちがいありません。
 そんな詩は稀です。
 それが、まど・みちおという詩人の力といえます。

 まどさんの詩は難しくありません。
 この詩集には、皇后美智子さまが選をなされて英訳をつけられたまどさんの詩19篇が収められています。
 その詩のどれもが、やさしい言葉で綴られています。
 やさしいというのは平易ということでもあるし、心を穏やかにする優しさでもあります。
 「ぞうさん」には、難しい言葉はひとつもありません。鼻が長い象をうたっているだけです。けれど、「そうよ かあさんもながいのよ」という一節で、母親を愛する気持ちが表現されています。
 だから、心地よいのでしょう。
 それは、この詩集の作品すべてに通じる、詩人の心です。

 表題作となった「にじ」という詩は、「にじ/にじ/にじ/  ママ/あの ちょうど したに/すわって/あかちゃんに/おっぱい あげて」というだけの短い詩ですが、虹の下でお乳をあげている母親の姿の、なんという神々しさでしょう。
 そこには、母乳をあげる母親の満足も赤ん坊の幸福も見事に表現されています。
 この詩集の私の一番のお気に入りは、「なのはなと ちょうちょう」。
 「なのはな/なのはな/ちょうちょうに/なあれ  ちょうちょう/ちょうちょう/なのはなに/なあれ」。
 情景が目の前にひろがるような詩です。
 それもまた、まどさんの詩の魅力だといえます。

 まど・みちおさんが生きた104年。
 まどさんはたくさんのことを見、たくさんのことを耳にしてきたでしょう。
 きっと一番たくさん目にしたのは、子どもたちの笑顔だったにちがいありません。
 それがまどさんが一番望んだものだったのですから。
  
(2014/03/02 投稿)

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