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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から
  明日で3年になります。
  日曜に図書館に行くと
  企画展で東日本大震災の図書が
  並んでいました。
  児童書のコーナーの企画展でも
  そうです。
  あの日から東日本大震災関連の本を
  しばしば紹介してきましたが
  まだまだ読んでいない本が
  たくさんあることに
  気付かされます。
  今日から3日間
  再録書評もまじえながら
  東日本大震災関連の本を
  紹介していきたいと
  思います。
  また、このブログの「3.11の記憶」というカテゴリーは
  これまでに読んできた東日本大震災関連の本ですから
  どういう本を読んできたか
  一度のぞいてみて下さい。
  今日紹介するのは
  佐野眞一さんの『津波と原発』。
  今月の講談社文庫の新刊にも
  なっていますから
  手にしやすい一冊です。

  じゃあ、読もう。

津波と原発津波と原発 
(2011/06/17)
佐野 眞一

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sai.wingpen  あれから3年                   

 東日本大震災から3年が経つ。
 あの日。2011年3月11日午後2時46分。
 あの時何をしていたかよく覚えている。その時間をさかいに自分に何が起こったかも記憶にある。
 けれど、被災地ではもっと過酷なことが起こっていたことを、実は私たちはほとんど知らない。
 知るすべは、そののちに新聞や雑誌、テレビやラジオで伝えられてことだけだ。
 あるいは、書籍で、伝えられたことだけだ。
 それらはすべてではない。どんなに言葉を拾い集めても、すべてになることはない。
 完成しない、ジグソーパズルのようなものだ。
 まだまだピースは足りない。
 投げ出すのではなく、ピースを探す。ピースを拾う。ピースをはめる。
 終わらなければ、次の世代へつなげていくのだ。

 本書は震災から3ヶ月後の6月に刊行された。
 『カリスマ』で中内功を、『巨怪伝』と正力松太郎を、といったように昭和という時代を痛烈に切り取ってきたノンフィクション作家佐野眞一による、東日本大震災のルポタージュである。
 書名のとおり、東日本大震災は津波と福島原発事故の複合災害である。
 佐野はまず津波の被害にあった東北の各所をまわっている。地震発生から一週間めの3月18日である。
 事実を伝える側としてできるだけ早く現場にはいることは重要である。しかし、それがすべてではない。早ければすべてが見れるわけではない。
 佐野の取材にしても、被災地を網羅したものでもない。
 もし、取材側の姿勢を問うとすれば、それが真実を伝えるべきしてとった行動かどうかだ。

 本書は原発事故に重点が置かれているといえる。
 それも事故そのものというより、日本が何故原子力発電の推進に力をいれたかという点で、そこに佐野は正力松太郎という人物の補助線を引く。
 その上で佐野は東日本大震災と福島原発事故は「日本の近代化がたどった歴史と、戦後経済成長の足跡を、二つ重ねてあぶりだした」ものだとしている。
 そして、こう締めくくっている。
 「これまで日本人がたどってきた道とはまったく別の歴史を、私たち自身の手でつくれるかどうか」だと。

 あれから3年。
 私たちは何をつくってきたのだろう。
  
(2014/03/10 投稿)

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