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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は三連休の最後で
  お休みという人も多いでしょうね。
  まさに紅葉のシーズンまっ盛りで
  紅葉狩りを楽しんだ人も
  多いのではないでしょうか。

    紅葉

  紅葉は秋の季語ですが、
  あえて一句紹介します。

    手に拾ふまでの紅葉の美しき    和田 順子

  そして、今日紹介する一冊は
  そんな季節にぴったりの
  愛の物語です。
  葉室麟さんの『風花帖』。
  さすがに
  葉室麟さんはうまい。
  葉室麟さんらしい作品に仕上がっています。
  紅葉を愛でながら
  こういう物語を読むという贅沢。
  まさにお薦めの一冊です。

  じゃあ、読もう。

風花帖風花帖
(2014/10/07)
葉室 麟

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sai.wingpen  人はどれだけ人を愛せるか                   

 人はどれだけ人を愛せるのだろう。
 葉室麟のこの物語を読みながら、そのことを思った。
 かつて生涯守ると約束した愛する人がいて、さまざまな事情で別れを余儀なくされ、しかも別の人と結婚したあと再会する。それでも、人はその人を愛し続けることができるのか。
 答えは、できる。
 私はできると信じたい。

 物語の舞台は江戸時代の九州小倉。
 藩を二分するお家騒動に巻き込まれる主人公の新六。新六は夢想願流を遣う剣の使い手だが、性格はきわめて静かだ。
 夢想願流というのはまるで蝙蝠が飛翔するかのごとく秘伝の剣法を有しているが、二つの対峙する派閥に揺さぶられていく新六そのものが、鳥でもなく獣でもない蝙蝠の悲しみに重なる。
 新六にはかつて思いを寄せた吉乃という女人がいた。
 以前その吉乃が一人の侍に悪戯をされかかった時、新六はそれを助け、その侍を御前試合で叩きのめしたことがあった。
 新六は吉乃を助けた際に「生涯吉乃を守る」と伝えている。
 しかし、新六は御前試合の振る舞いを問われ、江戸詰となり小倉を離れざるをえなくなる。

 吉乃は新六の思いを知らないまま、他家に嫁いでいく。
 その婚礼の場に江戸から戻った新六が現れる。新六にとって、他人の妻となっても吉乃は守らなければならない女人に変わらなかった。
 吉乃の夫が派閥争いに巻き込まれようとすればそれを助ける。
 夫が罪に問われれば、吉乃が悲しむ、そのことが新六には耐えられない。
 そうして、新六は派閥争いの深みにどんどんはまっていく。
 それでも、新六はただ一人の女人吉乃のために生きようとする。それが、死につづく道であっても。

 新六の行動は蝙蝠のようと謗られても、彼は動じない。
 行動のすべては愛する人を守るただそのことだけ。
 新六に救いがあるとすれば、吉乃がやがて新六の思いに気づくことだ。
 「藩の政争に巻き込まれながらも汚れることのなかった新六」の姿こそ、冬晴れの青空に舞う風花のようだ。
 人はどれだけ人を愛せるか。その答えが、ここにある。
  
(2014/11/24 投稿)

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