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プレゼント 書評こぼれ話

  今日はちくま評伝シリーズ<ポルトレ>の一冊
  『黒澤明』です。
  何度も書いていますが
  このちくま評伝シリーズ<ポルトレ>
  今までの伝記にはない
  人たちを取り上げている点が
  とてもユニークです。
  この『黒澤明』にしても
  中高生向きの評伝では
  書かれてこなかったのでは
  ないでしょうか。
  私が映画に夢中になったのは
  高校生の頃ですから
  今の高校生でも
  映画が大好きという人は
  たくさんいると思います。
  私たちの時代は
  名画座が全盛でしたから
  黒澤明の作品も
  よく観ることができました。
  今はレンタルショップで
  黒澤明監督作品も簡単に観れるでしょうが
  やはり黒澤明の作品は
  映画館で観たいところです。
  ところで
  私が推す黒澤作品ですが
  『酔いどれ天使』かな。
  
  じゃあ、読もう。

ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉黒澤明: 日本映画の巨人 (ちくま評伝シリーズ“ポルトレ”)ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉黒澤明: 日本映画の巨人 (ちくま評伝シリーズ“ポルトレ”)
(2014/10/24)
筑摩書房編集部

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sai.wingpen  黒澤明という骨太の人生                   

 ちくま評伝シリーズ<ポルトレ>の一冊。
 黒澤明は確かに「日本映画の巨人」であるが、今の中高生は黒澤作品を観たことがあるだろうか。
 あるいは、中高生の父親母親世代も同時代的に黒澤作品と接していないのではないか。
 私が映画に夢中になっていた昭和40年代、映画監督黒澤明は苦境に立たされていた。
 アメリカの映画会社20世紀FOXと共同して制作を発表した『トラ・トラ・トラ!』はクリンクインしたがトラブルが相次ぎ黒澤は解任される。
 自身初のカラー作品となる『どですかでん』もヒットしない。
 昭和46年の12月には自殺未遂事件まで引き起こしている。
 つまりは、黒澤明ということでは私はいい面をみていない。
 このあと、黒澤は『影武者』や『乱』、『夢』といった作品で復活するが、往年の勢いはない。
 やはり黒澤映画に勢いがあったのは昭和30年代だろう。

 黒澤明は1910年東京に生まれた。幼い頃はひ弱で泣き虫だったという。
 小学校で生涯の恩師となる教師に巡り合ったことで黒澤は変貌していく。のちに偉人と呼ばれる人には黒澤のように良き教師との出会いがよくある。
 若い頃、どの道に進むべきか、人は時に迷う。そんな時、教師はその道筋を示してくれる。
 教師という職業の尊さは、一人の人間の生涯をも左右させるところにあるのだろう。
 若い黒澤が目指したのは絵画の道だが、それにも挫折し、ある日「助監督募集」の記事を目にして応募することになる。
 この本ではこの「助監督募集」の場面が最初に描かれている。
 ここでも黒澤は運命的な人と出会う。映画監督の山本嘉次郎だ。
 黒澤明という人には独裁者的なイメージがあるが、実は黒澤ほど人との出会いで救われた人もいないのではないかと思う。
 三船敏郎ともそうだし、植草圭之助ともそうだ。

 この評伝では父や兄とのこともうまくまとめられている。
 そういった人間関係だけでなく、黒澤の代表作ともいえる『七人の侍』や『姿三四郎』の制作時の裏話も織り交ぜ、黒澤の生涯を知るだけでなく、黒澤作品を観てみたいと思わせるに十分なエピソードが多数入っている。
 この評伝を読んで、まずは昭和30年代の黒澤作品を観てもらいたいものだ。
  
(2015/01/30 投稿)

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