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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日
  「京都、夏の愉しみ」という
  特集が組まれた
  雑誌「ノジュール」の6月号を
  紹介しました。
  京都といえば
  花房観音さん。
  何しろ京都のバスガイドを
  されていた(まだ現役かも)作家ですから。
  花房観音さんが
  京都の(実在しない)神社を舞台に描いたのが
  今日紹介する
  『神さま、お願い』。
  ちょっとホラー的でもあるので
  書評のタイトルは
  「ノジュール」の特集名から
  頂戴しました。
  そういえば
  「ノジュール」6月号には
  「京都MAP 2015」といった
  最新の京都の地図も掲載されています。
  もちろん、
  花房観音さんがこの作品で描いた
  神社は載っていません。
  念のため。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  京都、夏の愉しみ                   

 私たちが神様に手を合わす時は大抵何かをお願いする時だけ。
 それこそこの短編集の各タイトルのように、「安産祈願」「学業成就」「商売繁盛」「不老長寿」「縁結び祈願」「家内安全」と。
 これだけのお願いを、神様の方もよく聞いてくださるものだ。
 京都を舞台にさまざまな女性の官能を描いてきて花房観音だが、官能をほとんど描かず、女性ならではの妬みや恨み、泣き言を、神様にすがる姿で描いたのが、この短編集である。

 場所は「京都の下鴨神社近く」の、「鳥居がまるで人を阻むかのようにすっくと立」つ小さな神社。
 そこで、自身の生血を捧げれば、「願いという名の呪いを叶えてくれると言われている」。
 女たちはまるでその神社に吸い寄せられるようにして、自らの手を傷つけ、血を滴らせる。そして、口にする。「神さま、お願い」と。

 「安産祈願」の主人公明日菜もその一人。学生の頃から兄のように慕っていた新倉を軽薄だと見下げていた光実に奪われ、二人に子どもが出来たことを知るや、生まれなければと、神様に願う。
 しかし、光実は無事出産。しからばと、新倉に身体で迫る明日菜。そうして、手にいれたはずの新倉とかつて明日菜が生まれないことを願った子どもだが、明日菜の願った幸福とはほど遠いものであった。
 「学業成就」は息子の有名校への進学を願うあまりに破綻していく妻を描かれている。「家内安全」もいつまでも円満な家庭を願いながらも、夫も息子も離れていく。
 最後に神様に願いはするが、そしてそれはある意味叶えられるが、「家内安全」では事業に失敗した夫と恋人を失った息子が自分のところへ帰ってきただけ。
 それでも、主人公は満足している。
 誰もが狂気をはらんでいる。
 そして、神様はそんな人間たちを嘲笑いかのように、願いを叶えていく。

 「縁結び祈願」という作品ではようやく手にいれた男性のDVによって別れることを決心した主人公があの血染めの神社に別れさせて欲しいと願う。
 神様はここでも忠実に彼女の願いをききいれる。男の手によって、殺されてしまうということで。

 官能描写がない分、花房の作品としてはやはり物足りなさを感じる。
 神さま、花房に官能小説を書いてもらって下さい、お願い。
  
(2015/06/18 投稿)

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