プレゼント 書評こぼれ話

  今日で1月もおしまい。
  よく、ついこの間年が明けたばかりなのに
  早いものですね、
  なんてことを言いますが、
  もっと早く過ぎてしまうのが2月。
  ほかの月より1日か2日短いだけで
  うんと早く感じます。
  2月になれば、まずは節分
  どこのコンビニでも
  スーパーでも
  恵方巻を大きく取り上げています。
  それが終われば、バレンタインがありますから
  小売業にとっては
  大きな商戦が続きます。
  その恵方巻ですが
  子どもの頃にはそんな習慣がなかった。
  いつ頃からこんなに広がったのか、
  私には解せません。
  だからといって、恵方巻を食べないわけではない。
  今年もしっかり食べます。
  今年の恵方は南南東ですぞ。
  今日紹介するのは
  野村たかあきさんの
  『おばあちゃんのえほうまき』。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  今年の恵方は南南東                   

 二月三日は節分。
 立春の前日にあたります。節分という言葉でわかるように、冬から春への季節を分ける日のことです。
 邪気を追い払って春を迎えるということで、さまざまな風習があります。
 戸口に鰯の頭や柊の枝を飾るのも、豆まきも、鬼を追い払うことにつながっています。
 寒い夜に各家からの「鬼は外、福は内」の声がよく響きます。
 最近はそんな声がほとんど聞こえてこないのが残念ですが、代わって「恵方巻」を食べることが一般化してきました。
 野村たかあきさんn「おばあちゃん」シリーズでも、こうして一つの作品になっています。

 この絵本ではおとうさんが「恵方巻」について説明してくれています。
 それによると、「恵方巻」を食べるのは関西地方の風習だというのですが、大阪の近郊で育ちましたが、「恵方巻」は食べたことがありませんでした。
 どこか狭い一角だけの風習だったのでしょうか。それにしても、それを大々的なイベントにしてしまったのですから、その仕掛け人は先見の明があったのですね。
 「恵方」というのは、その年の縁起のいい方角。その方向に向かって、切らないで丸ごと食べないといけないことになっています。
 しかも、途中でしゃべると、福が逃げるのだとか。
 絵本の中ではきりちゃんとこうた君のおなじみの姉弟がそんなことにはおかまいなしにしゃべりまくっていますが。

 きりちゃんのおばあちゃんは料理が得意。
 「恵方巻」を作ったのも、おばあちゃん。いつものように、きりちゃんはお手伝い。
 きりちゃんの家が素敵なのは、日本的な風習がきちんと守られていることです。だから、きりちゃんの家の玄関にはちゃんと鰯の頭と柊が飾られています。
 豆まきもちゃんとします。
 豆まきが終われば、自分の年の数に一つ足して食べます。
 子どもの頃は、親の豆まで頂戴していたものですが、さすがに年を重ねてくれば、誰かに手伝ってもらわないと食べられなくなりました。

 節分の日、「恵方巻」を食べながら、この絵本を読んでみるのもいいかもしれません。
 ふっと気がつけば、横で子どもの鬼も読んでいたりして。
  
(2016/01/31 投稿)

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  今日は先日第154回直木賞を受賞した
  青山文平さんの『つまをめとらば』を
  さっそく紹介します。
  今回の直木賞の候補作をみると
  受賞作となった青山文平さんの作品が
  もっとも地味な感じがします。
  それに青山文平さんの年齢もあわせて考えると
  受賞からは
  遠いような印象を受けていました。
  ところが、実際作品を読むと
  意外なくらい
  新鮮な軽妙さを感じました。
  現代的な感じさえ受けました。
  ちょっと得した気分です。
  こういう作品が受賞したのが
  うれしくなります。
  受賞作ですから
  本屋さんもどんどん売ろうとするでしょうが
  時代劇か、
  古くさそうだし、
  なんて尻込みしないで下さい。
  いい読書気分を味わえますよ。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  新鮮な風が吹いたような                   

 第154回直木賞受賞作。
 直木賞としては久しぶりの時代小説の短編小説集の受賞である。
 表題作を含め6つの短編が収められている。
 作者の青山文平氏は受賞作家歴代二位の高齢受賞ということで話題となったが、現代では67歳の年齢だからといって驚くには価しないだろう。それにこの作品を読む限りにおいて、実に若々しい。
 選考委員の一人宮城谷昌光氏は、この作品を「知的でユーモア、爽快感がある」と評しているが、今までの時代小説になかったセンスのような気がする。

 一汁三菜が和食の基本と言われるが、青山氏のこの作品はその中に西洋風の汁やおかずがはいっているような感じがする。
 食する側からすれば、少し違和感を感じるかもしれない。けれど、それが美味であればその違和感もやがては満足感になるし、違和感そのものが新鮮に感じるようになる。
 青山氏の作品にそんな風味を感じた。

 「つゆかせぎ」という短編から青山氏の作風の魅力をみてみよう。
 妻に先立たれた主人公は妻が生前密かに戯作者であったことを知る。妻が嫁いできたのも、自分の俳句の才能を信じてのことだったということを今更ながらに思い知る主人公は、妻はいつまで自分のことを信じてくれていたか思い煩う場面がある。
 その後の場面に、「あまい、あまい」という甘酒売りの声がはいる。
 ここで、私は唸ってしまった。
 たまたまそこに甘酒売りが通りかかっただけであるが、懊悩する主人公の思いそのものが「あまい」と描くのではなく、甘酒売りの売り声に語らせる妙味は、いかにもでもある。
 青山氏のうまさはこういうところにあるのだろう。

 さて、表題作の「つまをめとらば」である。子供の頃よりの友達であった二人の武士が、時を経て再会してみれば、互いに知らないことばかりの日々を過ごしていたことに気がつく。
 一人は何度も結婚に失敗し、もう一人は一度も結婚していない。ところが、子供の頃にようにしばしば同じ時間を過ごしてみると、なんとも心地よい。年老いてこんな生活もいいかと思い出すのであるが、そこにもまた女人の影が。
 なんとも暖かで緩やかな作品だ。
 受賞作として、いうところなしの佳品である。
  
(2016/01/30 投稿)

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  今日も本の話。
  ね、
  本のブログでしょ。
  田口幹人さんの『まちの本屋』。
  本屋さんという職業について
  書かれた本ですが
  田口幹人さんが書いていることは
  本屋さんだけでなく
  仕事全般についていえること。
  この春から
  就職をする若い人には
  必読の一冊だと思います。
  もちろん、書店に就職が決まっている人は
  この本を読んで
  覚悟を決めて下さい。
  本屋さんという職業は
  経済的にはかなり厳しいかもしれないですが
  仕事の喜びという点では
  やり方によっては
  とても充実します。
  さあ、あなたならどっちを選びますか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  職業としての本屋                   

 本屋さんにあこがれたことがあります。今でもどこかに本屋さんもいいなと思う自分もいますが、その一方で本が売れないという現状を知れば知る程、到底無理と尻込みするしかありません。
 それでも、若い人たちが新しい本屋に挑戦しようという話を聞けば、拍手をおくってあげたくなります。私にできることはせいぜいそれくらいです。
 だから、この本のように元気な「まちの本屋」さんの声を聞くとうれしくなります。
 この人ならこれからもいい本屋さんをやっていくのだろうなと思います。

 著者の田口幹人さんは岩手県盛岡にある「さわや書店」フェザン店の店長です。
 巻頭のグラビアに「さわや書店」の写真が載っていますが、なんとも魅力的な本屋さんの風景です。
 盛岡には「さわや書店」だけがあるのではなく、大手の書店がいくつもある、どちらかといえば過当競争立地といえます。その中で田口さんは嘆くこともぼやくこともしません。
 大手書店と自分たちのような「まちの本屋」の役割をきちんと認識されています。
 田口さんは「本屋という業態が大きく儲かる商売では決してない」といいます。限られた利益の中でどう店を維持していくか、おのずと人件費を抑制することにもなります。
 だから、「書店員には覚悟がいります」と田口さんははっきりと書いています。「辞めるなら辞める選択をしてもいい」とまで。

 それほどの現場ながら当然「本屋」ならではの喜びがある。
 「読者と向き合う、まさに最前線に、本屋の仕事がある」と言い切る田口さんは、きっとそういう「本屋」ならではの喜びをたくさん味わってきたのでしょう。
 単にベストセラーだけを売るのではない、読者が手にすればそれだけの価値がある本を自分で探しだし提供していく。それが売れる。
 作者でも出版社でもない喜びを本屋さんは味わっているのです。
 仕事をしていて、これほどうれしいことはありません。

 この本は「本屋」さんという職業についてのものですが、仕事全般の取り組み方、あるいは地方都市の活性化の方法についても考えさせられる一冊です。
  
(2016/01/29 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  このブログは
  本のブログのはずなのに
  最近マンガや映画の話が多くないですか。
  そう思っている人もいるでしょうが、
  安心して下さい。
  本のブログですよ。
  そこで、今日は
  読書の方法についての一冊、
  山口周さんの『読書を仕事につなげる技術』を
  紹介します。
  書評にも書きましたが
  この本は仕事につながる読書論ではありますが
  その方法はけっして仕事だけではありません。
  というか、
  ビジネスでのさまざまな方法は
  普通の生活の中でも
  生かせると
  私は思っています。
  いや、むしろ積極的に取り入れるべき。
  だから、ビジネス本は
  それはそれで結構有効なんですよね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  仕事につながらなくても読書は楽しい                   

 読書には、ある程度訓練が必要だと思っています。
 訓練をしないで、読書が苦手というのは当たり前です。訓練をして、馴れてくれば、読書ほど楽しいものはありません。
 ですから、たくさん出版されている本の読み方とか読書の方法をあつかったものを手にするのは間違っていません。ちょうどこの本のように。
 ただ、速読というのはオススメしません。
 本とはじっくりつきあってもらいたい。
 あるいは、読書は投資みたいな考え方も好きではありません。そういう割り切り方が好きでないということで、そういう考えもあって当然だと思います。実は、この本の中にもはっきり「投資」と書いています。好きではないことを書いてはいても、この本は読書の方法をあつかった本としてはとてもよく書けています。

 タイトルにあるように、この本は「仕事につなげる読書」を説明しています。しかし、著者のいう原則のいくつかは仕事につながらなくても使える技術です。
 例えば、読書には2種類あるという考え方。ここではビジネスパーソンとして必要となる読書と個性を形成するための読書です。どちらに比重を置くかは、読者の自由ですし、「投資」と割り切って本を読むことも必要になります。
 ですが、個性を形成する読書を「投資」と割り切るのはどうでしょう。
 あるいは、5冊読むより「1冊を5回」読むという原則も、「投資」と言い切ってしまうものではありません。「投資」というのは短期で儲けるだけではありません。著者はそういうことを理解していて「投資」という言葉を使っているのです。

 この本ではビジネス書と教養書のそれぞれの読み方について言及されています。
 その内でも教養書の読み方についてはとてもよく書けています。
 「3回読み」読書術などなかなかできることではありませんが丁寧に説明されていますし、書店の歩き方や本棚の整理など細かいところにも目が行き届いています。
 何よりも著者が作成した「ビジネス書マンダラ」さえあれば、何を読んだらいいのかと、もう困ることはない推薦図書一覧になっています。
  
(2016/01/28 投稿)

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  銀座並木座
  市川崑作品といえば
  『股旅』という映画がよく上映されていました。
  萩原健一さんが主役の
  青春映画。
  ということで、
  今日は春日太一さんの
  『市川崑と『犬神家の一族』』を紹介します。
  実は映画「犬神家の一族」を
  きちんと観たことがないんですね。
  そういう意味では
  いい市川崑ファンではありません。
  でも、この本を読んで
  市川崑をもっと観てみたいと
  思いましたが。
  市川崑といえば奥さんの脚本家和田夏十が有名。
  その和田夏十は脚色には自信を
  持っていたそうです。
  彼女のこんな言葉が
  この本でも紹介されています。
  「脚色は原作をバラバラに分解してそれを又組立直すので、
  読書などよりは数段原作に肉迫出来ます

  きっといい読者でもあったのでしょう。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  市川崑はどんな監督だったのか                   

 昨年(2015年)は映画監督市川崑の生誕100年だった。
 それに関連してWOWOWが市川崑作品を一挙放映、それの解説をベースにこの本はできている。
 市川崑作品といえば、本書のタイトルになった角川映画『犬神家の一族』を思い浮かべる人が多いだろうが、市川崑の評価はそれより以前の『炎上』(三島由紀夫の『金閣寺』が原作)、『ビルマの竪琴』といった文芸作品の方が高い。
 それになんといっても、1964年の東京オリンピックの記録映画『東京オリンピック』。今見てもオリンピックの高揚感があまり伝わってこない作品、けれどそれもありかと思ってしまう不思議な出来上がりで、当時多方面から非難を浴びることになる。
 以降、低迷期が続いたが、TVシリーズ『木枯らし紋次郎』で、市川崑は颯爽と帰ってくる。その頃撮った作品に『股旅』がある。暗い映像の中に描かれる青春像。これはよく観た。
 そして、1976年の『犬神家の一族』。その後の横溝正史作品で市川崑は巨匠の名をほしいままにする。

 時代劇や映画評論家の著者の春日太一氏は『犬神家の一族』のあと『細雪』を分岐点に市川崑は迷走していったという。
 これから市川崑作品を観てみようという読者にとって、この本の第一章「市川崑の監督人生」を読めば、観るべき映画が選択できるはず。
 そんな市川崑とはどんな映画監督であったのか。
 春日氏は「「日本的ではない技法」で「日本」を描こうとした監督」としている。
 私にとっては「スタイリッシュ」な監督というイメージが強いのは、『木枯らし紋次郎』の印象が強いかもしれない。

 市川崑を語るに忘れてはならないのが、その妻で脚本家だった和田夏十の存在だ。初期の文芸作品の高い評価は和田夏十の功績が大きい。市川崑の作品を観るひとつの基準に、この和田夏十の脚本をさがすのもいいかもしれない。
 もちろん、本書では市川崑の業績だけでなく、今なお観られ続ける『犬神家の一族』の詳細な分析がある。何故金田一耕助役を石坂浩二が演じたのかといった細かい内容は興味深い。こういう分析を読んで映画を観れば、さらに面白いのではないか。
あわせて、その石坂浩二へのインタビューも併載されている。
  
(2016/01/27 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  先日の日曜日(1月24日)、
  さいたま芸術劇場の映像ホールで開催された
  優秀映画鑑賞推進事業の
  名画上映会に行ってきました。
  上映作品は
  藤田敏八監督の「八月の濡れた砂」。
  1971年の作品です。

  

  今はこういう作品をスクリーンで観ることは
  なかなかできないので
  うれしかったなぁ。
  上映後には日本大学芸術学部教授の
  田島良一先生によるアフタートークまであって
  しかも料金が500円ですから、
  充実の映画生活でした。
  実はこの「八月の濡れた砂」は
  今日紹介する『銀座並木座』でも
  何回も観た作品。
  映画もさることながら
  映画館そのものが青春の思い出。
  この本を読んだあと、
  手元に残していた大学生の頃を手帳をひっぱり出しました。
  1978年と79年の手帳が残っていて
  当時観た映画のこととかも記しているのですが
  残念ながら並木座の記述はありませんでした。
  つまり、私が並木座で映画を観たのはそれ以前となります。
  並木座小林正樹監督の「切腹」を観た記憶があるのですが
  上映作品リストを見ると
  昭和50年(1975年)の1月15日の週に
  「切腹乾いた花篠田正浩)」で上映されています。
  この時に並木座に行ったのかも。
  こんなことを書いていると
  あの頃に戻りたくなります。

  じゃあ、読もう。

  
sai.wingpen  銀座に並木座という名画座があった                   

 銀座に並木座という名画座があったのをご存じだろうか。
 開館から45年、平成10年(1998年)9月に多くのファンに惜しまれつつ閉館し、今はない。
 思い出を書く。大阪の小都市で生まれ育った私は高校生の頃に映画に夢中になって、「キネマ旬報」という映画雑誌を購読していた。そこに各地の名画座の上映スケジュールも載っていて、東京の名画座のラインナップにいつもため息をついていた。
 中でも、池袋の文芸座と銀座並木座で上映されていた邦画の名作群には圧倒されていた。
 そして、運よく東京の大学に進学し、憧れだった東京の名画座は手の届く映画館になった。
 並木座は小さな名画座で、館内には大きな柱すらでんとあって、座る席には苦労した。それでも、並木座にいるだけで、映画の世界を満喫できた。手のひらサイズの映画案内「NAMIKI-ZA Weekly」も洒落ていた。黒澤明、鈴木清順、藤田敏八・・・、並木座で日本映画の魅力を教えてもらったといっても過言ではない。

 そんな並木座の45年を丁寧にたどったのが、この本である。
 随分知らなかったことも多い。例えば並木座の開館に名プロデューサーである藤本眞澄氏が関わっていたこと、石坂洋次郎や市川崑、あるいは小林桂樹という俳優たちが株主であったこと、開館の前夜祭にはあの越路吹雪が唄ったこと(それにしてもあの狭い空間でどう唄ったのだろう)、支配人たちのプログラムを組む苦労。
 小さな名画座であったが、足繁く通ったファンと日本映画をこよなく愛した人々の思いで出来上がっていた映画館だったのだ、並木座は。
 著者の嵩元友子は本の中にこう記している。
 「三十年も五十年も、人々の心に残る」名画座であり、映画ファンの「心のオアシス」であったのは間違いない」と。

 この本の素晴らしい点のひとつに巻末につけられた並木座上映作品リストがあげられる。
 私が17歳だった昭和47年(1972年)の頃の上映作品の中に黒澤明の「椿三十郎/七人の侍」の二本立てがある。こういうのを見せられると、大阪の少年なんてころりとなってしまうのがよくわかる。
 並木座がなくなってもう15年以上経つ。
 銀座に並木座という名画座があった、と過去形で書くしかない。
  
(2016/01/26 投稿)

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 こんなに降るとは思っていませんでした。
 1月18日に関東に降った大雪
 多くの人の感想です。
 私も思っていませんでした。
 朝、起きて驚いたくらい。
 埼玉では8センチくらい積もっていたかな。
 菜園を運営する会社からは
 危ないので畑には行かないで下さいという
 連絡があったので
 気にはなりましたが
 この日はじっと我慢。
 でも、次の日はもう我慢できずに
 畑に行ってみました。

 行ってみて
 びっくりぽん
 ごらんください、畑一面真っ白。

  20160119_091326_convert_20160124173447.jpg
  
 それにどうやら様子がおかしい。
 そうです、葉物野菜にしていた
 ビニールトンネルが雪の重みで
 ひしゃげちゃっているではありませんか。
 まだ誰も来ていない畑に
 おそるおそる入ってみて
 私の菜園に近づいてみると
 あーあ、こわれちゃってます。

  20160119_091210_convert_20160124170842.jpg

 雪の重みのなんというすごさ。
 愛の重さより雪の重さって
 昔の人がよく言ったもの。
 言ってないか。
 それにしても
 まだ誰も歩いていない畑を
 歩くというのは
 未開の地を歩いた冒険家たちの心境。
 下の写真では
 私の足跡だけがついています。

  20160119_091222_convert_20160124170945.jpg

 復旧は、今日のところは、がまん。がまん。

 ところが、次の日に行ってみると
 ちゃんとビニールトンネルは
 元通りになっているではないですか。

  20160120_090009_convert_20160124173532.jpg

 畑の指導員の方が
 雪をはらってくれたんですね。
 感謝、感謝。
 そして、雪はそれから次第に溶けていって
 被害も出ることなく
 終わりました。

 土曜の夜にはまた雪の予報も出ていたのですが
 関東は雪にはならなくて
 日曜(1月24日)には予定通り
 「おしるこ大会 」も開催されました。

  CIMG0953_convert_20160124173606.jpg

 寒い季節に
 暖かいおしるこを食べながら
 雪にも耐えたわたしの菜園を見ていると
 心までほっとします。

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プレゼント 書評こぼれ話

  先日(1月18日)、
  関東地方に雪 が降りました。
  それまで暖冬だといっていたのに
  そこからは日本列島は
  大寒波。
  たくさんの雪で大変なところも
  あるかと思います。
  都会の人には
  なかなか雪国の暮らしというのは
  理解できないところがあって
  雪というのを甘く見すぎます。
  だから、ちょっと大きな雪が降ると
  転んだり、電車は遅延したりと
  大変です。
  今日はそんな雪国の小さな駅の
  雪の一日を描いた
  佐々木潔さんの『ゆきのひ』を
  紹介します。
  この絵本は2011年1月にも紹介しています。
  再読になります。
  雪が降ったら
  読みたくなる一冊です。

  じゃあ、読もう。

 

sai.wingpen  雪かきは大変です                   

 雪というのはセンチメンタルですが、時に過酷でもあります。
 特に雪のほとんど降らない都会の人にとって、雪はあこがれのようなもの。降ってきたら、子どもたちの歓声が聞こえてきます。
 でも、雪国の人にとっては屋根の雪下ろしとか日々の生活に重くのしかかってきます。
 雪が降ってきたら、空を見上げて、雪国の人たちのそんな生活に少しは思いをはせてみるのもいいかと思います。
 この絵本のように。

 この作品で作者の佐々木潔さんは講談社絵本新人賞を受賞しています。(1980年)
 絵本を読むと、雪国の小さな駅の、雪の日の様子が淡々と描かれています。佐々木さんはきっとそんな世界で育ったのだろうと思ってしまいましたが、作者のプロフィールには東京生まれとあります。
 東京で生まれて育っても、こんなにうまく雪国の生活を描かれるのですね。
 雪にはそんな力があるのかもしれません。

 雪が降り続く駅の朝。駅員さんの仕事は、まずホームの雪かき。お客様が滑ったりしたら、危ないですからね。でも、この駅には都会の駅のようにたくさんの利用者がいるわけではありません。
 たった4人。
 でも、この駅がないと、この人たちは困ってしまいます。
 彼らが行ってしまうと、次は小荷物の送り出しです。
 都会に住む子どもたちに故郷のお母さんから何か送ってあげるのでしょうか。
 貨物列車が駅に到着しました。
 小さな駅に、新しい荷物が届きました。この中にはどんなものがはいっているのでしょう。
 雪は静かに、静かに、降り続けます。この絵本には文はついていません。
 読者は静かに雪の音を感じればいいのです。
 駅員さんは朝の乗客が帰ってくるまでに、またホームの雪かきです。
 やさしい駅員さんです。

 そして、夜になりました。どうやら、雪もやみました。空には大きな三日月が。
 きっと音も消えた、静かな夜でしょう。
 こんな素敵な「ゆきのひ」を、東京で生まれた佐々木さんはどうして描けたのでしょう。
 きっと、雪の日に降ってくる空を見続けたのではないかしら。
  
(2016/01/24 投稿)

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  今週、第154回芥川賞、直木賞
  決定しましたね。
  芥川賞が、
  滝口悠生さんの『死んでいない者』と本谷有希子さんの『異類婚姻譚』、
  前回に続いてW受賞。
  直木賞が、青山文平さんの『つまをめとらば』。
  3人の皆さん、おめでとうございます。
  今日紹介する『青べか物語』を書いた
  山本周五郎さんは「日本婦道記」で第17回直木賞に推されるましたが
  辞退しています。
  その理由を
  「もっと新しい人、新しい作品に当てられるのがよいのではないか」と
  しています。
  山本周五郎さんはこの時、40歳。
  今回直木賞を受賞した
  青山文平さんは67歳。
  がんばれ、青山文平さん。
  まだまだ新人というのがいいですね。
  今回の『青べか物語』は
  私の山本周五郎初体験の作品です。

  じゃあ、読もう。


  

sai.wingpen  はじめて読む山本周五郎                   

 大きな声で言えないので、小さな声で言いますが、実は山本周五郎の作品を読むのが初めてなんです。そう、あの山本周五郎をです。
 周五郎作品なら新潮文庫でずらりと並んでいますし、周五郎ファンはたくさんいるってことも知っていますが、どうも縁がなかった。
 どうもそれが気にかかって仕方がなかった。
 それで手にしたのが、この作品。山本周五郎の中でも代表作ともいえる作品。
 でも、読み終わったあとで、ちょっと不安にもなっています。本当にこの作品でよかったのか、『さぶ』とか『樅ノ木は残った』とか『季節のない街』とかの方がよかったのではないか、と。

 この作品は昭和36年に刊行されています。今の浦安(作品では浦粕となっています)を舞台に描かれたスケッチ風の作品です。周五郎とおぼしき「蒸気河岸の先生」がその町で見聞したことが小さな物語となっています。
 ちなみに「青べか」というのは青ペンキを塗られた一人乗りの平底舟のこと。別段その舟が重要な要素になっているかといえばそうではなく、ほとんど乗るに堪えないその舟を買う(押し付けられる)ところから始まっていく。
 この最初の話ですでにこの町の臭いや風や人情が垣間見えてくる。

 周五郎は実際浦安に大正15年から昭和4年まで住んだことがあって、ここで描かれている話が実際どこまであった話なのかわからないが、町の住民たちの人情は変わらないのではないか。もっとも今の浦安が同じだとは言えはしないだろうが。

 小さな話の籠の中からもっともおいしい麺麭を選ぶとすれば、私は「蒸気河岸の先生」が八年後にこの町を再訪した場面を記した「おわりに」が好きだ。
 そこで先生は「留さんとその女」という作品で主人公にした留さんとばったり出くわす。けっしていい人物に描かなかった留さんに会ってあわてる先生に留さんはあの話を「おら家宝にすんだよ」と笑う。
 留さんのような人が住んでいる町こそ、山本周五郎の愛した町なのかもしれないし、だからこそ山本周五郎は今でも人気が高い作家なのだろう。
 だとしたら、山本周五郎初体験としては、この作品でよかったのではないか。
  
(2016/01/23 投稿)

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  今日紹介する
  鈴木博毅さんからは毎回献本を頂いていて
  この『図説 孫子の兵法』も献本頂きました。
  鈴木博毅さん、
  いつもありがとうございます。
  この本の中に
  「遅刻のリスクがあるなら前泊して事に臨む」という
  章があって、
  そういえば先日電車が止まって
  会議に遅れそうと電車の窓から降りて
  走り出した会社員がいましたが
  その人などは
  絶対この本を読んだ方がいいですね。
  電車から降りるぐらい重要な会議であれば
  事前にどう対処しておくべきか
  知っておかないと。
  その人、その後どうなったのでしょうね。
  JRから罰金の請求されたのかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  生き残れ。そうすればチャンスは巡ってくる                   

 『孫子』といっても、どういう本なのかわからない人は多いと思う。私も知らなかった。
 『孫子』は古代中国の呉の軍師孫武が書いた戦略書で、今なお愛読書にする経営者がいることで有名な古典である。
 その原典を読むとなるとなかなか困難で、そもそも『孫子』には「勝てる見込みがなければ逃げること」とあるらしい。読めない本も勝てる見込みがないとなる。
 しかし、もし、それがわかりやすい図解で示されていればどうだろう。
 これは読まずにいるのは、惜しい。
 『孫子』にはこうある。「生き残れ、かならず生き残れ。そうすればチャンスは巡ってくる」と。

 著者の鈴木博毅氏はマーケティングコンサルタント。戦略論や企業史を分析し、新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークにしているという。
 そういう著者は『孫子』を5つのパートで説明している。
 一つめが『孫子』の全体像ともいえる「現代社会のサバイバル術」、次が「人生の不安軽減術」でここでは「失敗する要素、負ける要素を徹底して排除する」ことが示される。
 三つめが「不敗の人生戦略」。『孫子』では勝てる見込みのない戦いはしないとあるそうだ。だからおのずと「不敗」となる。かつて松下幸之助氏が失敗は今までにない、何故なら成功するまで研究を続けるからと語ったことがあるが、それと同じだ。
 四つめは「時間活用の極意」、そして、最後が「不敗のリーダーシップ」。

 鈴木氏はこの本の中で「敵」を「新しい取り組み、始める物事」と、説明している。
 こういう視点をもつと、『孫子』という戦略書がぐんとビジネスの場面で活かされる気がなる。
 では、「戦い方」とは。「始める際の方法」。
 「戦うこと」は「時間、労力、資金をものごとに注ぎ込むこと」と、している。
 これは、古典を読む際にはとても大切な「置き換え」だと思う。
 いくら名作だといっても、現代の読者に理解してもらうためには、現代文への訳だけでなく、全体の「置き換え」があれば、取り込みやすい。
 さあ、この本を読んで、生き残れ。
  
(2016/01/22 投稿)

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  今日は大寒
  一年でも最も寒い日。

    大寒の残る夕日を市の中     石橋 秀野

  今日紹介する
  安東みきえさんの
  『頭のうちどころが悪かった熊の話』は
  書評にも書きましたが
  『小泉今日子書評集』で見つけた一冊です。
  書評とはこういう素敵な本と出合える
  きっかけを作ってくれるのですね。
  小泉今日子さんはこの本を
  そのあと何人もの誕生日プレゼントに
  されたそうです。
  さすが、小泉今日子さん。
  センスが違います。
  本って贈り物には最適ですね。
  こういう気持ちを贈ります、みたいなことって
  なかなか伝えられないけど
  それを一冊の本に託す。
  音楽の贈り物なんかもいいですよね。
  でも、この本のことは全然知らなかったなぁ。
  やっぱり、私も
  頭のうちどころが悪かったのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あなたが何歳であったとしても                   

 この本のことは、小泉今日子さんが読売新聞に掲載した書評を集めた『小泉今日子書評集』で初めて知りました。
2007年に理論社から単行本で出て、今では新潮文庫に収められていますから、たくさんの愛読者がいる一冊になっています。
この本のことを小泉さんは「何冊も買っていろんな人のお誕生プレゼントにしました」と書いていました。
なんとも不思議なタイトルの本を誕生日プレゼントにもらった人は、一瞬きょとんとなるかもしれません。でも、せっかくもらったのだからと、読んでみて、初めて贈ってくれた人のあたたかさがわかるのではないかと思います。
だから、もし、この本を誕生日プレゼントでもらったら、とっても大切にされていると思って下さい。

小泉さんは、また、こんなことも書いています。
「子供の頃にこの物語を読んだら私は何を感じ、何を考えたのか知りたくなった。」
それは少し違う気がします。多分、この本にはいっている話は子供だけでなく、十代でも二十代でも感じ方が違うと思います。結婚して(しなくてもいいのですが)子供が出来て読むとしたら、ハードな仕事を任された時に読んだとしたら、定年になって仕事を辞めたときに読んだ時も、また違った読み方になるような気がします。
私が読んでみたいと思うのは、もう間もなく命の灯が尽きようとしているその数時間で、この本を読んだら、「何を感じ、何を考えたのか知りたくなった」です。

この本には7篇の動物寓話が収められています。
私が好きなのは、「ないものねだりのカラス」。この話はみんなに嫌われていたカラスがシラサギと友だちになって温かな気持ちになる話。
こんな素敵な文章があります。「ただのにぎやかなだけのおしゃべりは、心からの言葉とは違う」。
この文章に出会っただけでも、この本を読んだ値打ちがあったような気持ちがします。
でも、きっともっと若い時に読んでいたら、別の作品がお気に入りになったかもしれません。そのことがわからない。それがとっても残念で仕方がありません。
  
(2016/01/21 投稿)

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  今日紹介する
  『女流官能小説の書き方』の著者
  藍川京さんは
  女流官能小説家としては
  すでに大御所になった感があります。
  昨日の花房観音さんより
  ずっと先輩挌の官能小説家です。
  この『女流官能小説の書き方』は
  タイトルのとおり
  官能小説の書き方を説明した一冊ですが
  藍川京さんは
  デビュー前には小説の書き方を
  勉強していたぐらいですから
  官能小説をどう描くかという以前に
  小説の書き方が大事になってくるのだと
  思います。
  読んで面白くない小説は
  いくら官能小説であっても
  つまらない。
  花房観音さんの小説が面白いのは
  小説としてのでき映えが
  いいのだと思います。

  じゃあ、読もう。
 
  

sai.wingpen  官能小説とは何か                   

 藍川京は女性官能小説家として先駆けのような存在だ。発表した官能小説は何百作にもなる。
 藍川がデビューしたのは平成元年(1989年)、まだ「ポルノ」という言葉が一般的で、多くは男性向けの作品だった。書き手も男性作家が多かった。
 時代は進み、官能小説の読者にも女性が増え、女性官能作家も増えた。男性向けに書かれていた官能小説が女性にも読まれるジャンルに変化していった。
 このような時流の中で、「官能小説を書いてみたい女性のために」官能小説の書き方をまとめたのが、この本である。
 けれど、それは官能小説だけではない。藍川には若い頃小説家をめざして指導を受けた経験がある。おそらく、そこで学んだ小説を書くということからこの本が出来ていると思われる。
 ただ官能小説というだけで、広く小説を書きたいと考えている人にも十分役に立つだろう。

 とはいえ、やはり官能小説というのが気になる。
 藍川は官能小説をこう定義している。
 「官能とは、脳に刺激を与えて淫靡な感情を起こさせることだ。たとえ性行為が書かれていなくても、淫らな気持ちが溢れ出し、むらむらとすれば、それは官能小説である」。
 その上で、官能作家の仕事を「性愛を妄想すること」としている。
 では、当世女性官能小説家が数多く登場しているのは何故か。そのことについて、藍川は「多くが男の立場から書かれていて、女性の気持ちや女体のしくみや快感が置き去りにされているから」と見ている。
 男性の性と女性の性はおのずから違う。快感もそうだ。
 官能作家がどれほど妄想しても限界がある。だとすれば、女性読者にも納得してもらうにはやはり女性官能小説家が必要になってくる。
 男性読者側からしても、女性官能小説家が描く女性たちの気持ちや快感は参考になるというものだ。

 この本では藍川の作品をテキストにしながら、「官能小説の種類」ではその多様な世界が、「官能小説の書き方」では実技を、そして「官能作家になるために」でその心構えが記されていく。
 なかなか官能小説は手にしにくいという女性読者はテキストで紹介されている藍川の作品で、官能小説のとばぐちに立つのもいいだろう。
  
(2016/01/20 投稿)

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  先週マンガの記事が続いたので
  今週はぐっと大人向きの
  官能小説を紹介します。
  おなじみ
  花房観音さんの『時代まつり』。
  デビューから
  作品を読み続けている
  私にとっては稀有な作家。
  花房観音さんのどこがいいかと訊かれたら
  やはり舞台となる京都のことが
  うまく描かれているということを
  挙げていい。
  京都にはどこか淫靡な感じがあるというのは
  まったく気分なのですが、
  そのあたりは花房観音さんと
  よく似ている。
  京都をそういう目で見ると
  観光雑誌にはない
  奥深さを感じます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  花房観音宣言                   

 光文社文庫オリジナルの官能短編集ではあるが、収録されている6つの作品は2014年から2015年にかけて「小説宝石」と「特選小説」に掲載されていたものだ。
 京都を舞台にして「まつり」を題材にした物語は、表題作である「時代まつり」のほか「かにかくにまつり」「七夕まつり」「義士まつり」「節分まつり」「あじさいまつり」と、さすがに「まつり」の多い京都だけのことはある。
 その「まつり」と男と女の官能を花房観音は巧みに作品に仕上げている。

 この文庫には作品よりもこれだけは読んでもらいたい、著者による「あとがき」がついている。
 花房観音の生の声がここにはあって、観音ファンとしてはうれしいかぎりだ。
 自身は京都生まれではないという書き出しから、京都のこと、「まつり」のこと、官能のことなどが実に素直に書かれている。
 その中で、「まつり」は男女の営みに似ていると綴った箇所がある。
 非日常である「まつり」の高揚感、そして終わったあとの寂寥感が、セックスと同じだと、観音はいう。
 セックスをすることで知らなくてもいいものを知ったりすることもよくあるという観音の言葉の通り、この6篇の官能小説もそういう骨組みになっている。

 しかし、そういう寂寥感は官能小説に必要ないと、観音は言い切る。
 「実用的な」官能小説には余計だと。
 だから、自身は官能作家に向いていないのだと。
 これは官能小説を否定しているのではない。観音は単なる「実用的な」官能小説を書いているのではないということだ。
 セックスがおわったあとの、それは汗であったりぬめりであったり匂いかもしれない。いや、男と女の決して交わることのない鼓動といってもいい。それこそが、花房観音の世界だ。

 そのあとで「京おんな」について、それこそ女そのものと書いている。
 「どんなに強く抱きしめても」「気がつけばするりと男の腕をすり抜け」る、女たち。
 「そんな女になれないから、京都の人間ではないからこそ、私はこれからも京都という街と「京おんな」を書き続けていくだろう」。
 これは、花房観音自身による花房観音宣言だ。
 この「あとがき」を読むだけでも、この文庫本は価値ある一冊だ。
  
(2016/01/19 投稿)

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 この土日、
 大学入試のセンター試験でしたね。
 受験生の皆さん、お疲れさまでした。
 そこで、
 私も受験してきました。
 安心して下さい。
 大学入試ではありませんから。
 農業検定3級

  CIMG0944_convert_20160117162932.jpg

 受験生は全国で3000人ほどいるそうです。
 試験日はばらばらなようですから
 どんな問題だったかは書けないのですが
 試験範囲は野菜の栽培だけでなく
 農業全般のこととか栄養のこととか。
 まあ、受験生とちがって
 全部で50問ですから
 軽いといえば軽いのですが
 何しろこちらは60歳ですので
 覚えるのがつらい。
 勉強したことが
 栽培に活用できればいいのですが。

 試験が終わって
 気分転換に菜園に行ってきました。
 先週あたりから
 ようやく本来の冬らしい気候になってきましたが
 下の写真は
 埼玉でも朝の気温がマイナスになった日の
 ナバナの様子。
 葉一面に霜が降りています。

  20160114_084433_convert_20160117162842.jpg


 先週(1月10日)、
 葉物を育てている畝に
 ビニールトンネルをしておいてよかった。
 なんとか寒さはしのげたと思います。
 では、その中はどうなっているかというと
 結構乾いています。
 写真はリーフレタス
 土が乾いているのがよくわかります。

  CIMG0947_convert_20160117163007.jpg

 少しかん水を施しました。
 あ、かん水というのは
 水をあげること。
 いやあ、勉強の成果ですね。

 この日(1月17日)は除草をしたぐらい。
 除草というのは
 草取りのこと。
 これまた、勉強の成果ですね。
 まあ、
 すぐに忘れてしまいそうですが。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介するのは
  あべ弘士さんの『「旭川。」より』という絵本。
  この絵本は
  昨年の暮れに青山のクレヨンハウス
  見つけました。
  あべ弘士さんといえば
  旭川動物園に長く勤務されていたことがあります。
  やはり旭川への愛着が
  深いのでしょうね。
  この作品は
  宮沢賢治の「旭川。」という詩に
  誘発されて描かれています。
  私の持っている角川文庫版
  『宮沢賢治詩集』には
  その「旭川。」という詩が載っていません。
  全集版の詩集には
  もちろん載っています。
  旭川の人たちは
  宮沢賢治のこの詩を見つけた時は
  おらが町に宮沢賢治が来たのかと
  うれしかったでしょうね。
  今回あべ弘士さんがさらに深く
  描いていますので
  もっとうれしいんじゃないかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  想像の翼をひろげて                   

 宮沢賢治の年譜によると、大正12年(1923年)7月31日、青森、旭川を経て稚内から樺太に渡るとある。翌8月11日には花巻に戻っているから、かなりの強行軍だ。
 賢治、27歳の時である。
 この時の賢治は農学校の先生で生徒たちの就職先を探すことが目的だったらしい。
 旭川に着いたのは、この絵本の作者あべ弘士によれば、8月2日の朝5時頃だという。
 のちに賢治はこの時のことを「旭川。」という詩で残している。
 この絵本の裏表紙の見返しに、その詩がのっている。
 書き出しはこうだ。
 「植民地風のこんな小馬車に/朝はやくひとり乗ることのたのしさ」。
 わずか28行の詩である。

 その詩にインスパイアされて生まれたのが、この絵本だ。
 『あらしのよるに』で人気絵本作家になったあべ弘士は、旭川動物園の飼育係として働いていた経験を持って、その後も動物たちの生態を巧みに描いた絵本を数多く刊行してきた。
 この絵本では作風を思いっきり変えている。
 これこそ、新境地という言葉が似合う、一冊だ。

 読みながら震えるような感動を味わっていた。
 何故なら、絵の素晴らしさをまずあげよう。
 巧みなデッサンと色彩の配置。絵本の絵というよりも文芸作品の挿絵のような厳かな感じがいい。
 次に賢治の詩から想像の翼を大きく広げていること。
 先ほども書いたように賢治の詩はわずか28行。その詩をそのまま描いたわけではない。
 朝の旭川駅の様子をどう絵にするのか、町の様子はどうか。人々の姿は。
 あべはこの作品を描くにあたって、おそらく当時の旭川を描いた絵か写真を参考にしたのではないだろうか。
 賢治のいた旭川という町が生きているのだ。

 そして、オオジシキという鳥。
 この鳥のことは賢治に詩には出てこない。
 しかし、あべはこの鳥をまるで天の使いのように描いている。
 あべはこう文をそえる。「それはまるで/天に思いを届け、天の声を聞いて帰ってくる使者のようだ」。
 あべはこの鳥に宮沢賢治の思いを託したに違いない。

 この作品が今後あべ弘士の代表作になるような予感すらする。
  
(2016/01/17 投稿)

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  今週はすっかり漫画週間に
  なりましたね。
  今日はこの人。

  CIMG0943_convert_20160113211128.jpg

  そう、『アンパンマン』のやなせたかしさん。
  さいたま漫画会館に置いてあったスタンプです。
  今日紹介するのは『ちくま評伝シリーズ<ポルトレ>やなせたかし』です。
  やなせたかしさんの評伝は
  これまでにもいくつかの本を紹介しています。
  そうなると当然重なる部分もでてくるのですが
  今までに出てこなかったエピソードもあったりします。
  読者としては
  定本やなせたかし伝みたいなものが
  読みたくなります。
  でも、やなせたかしさんという人は
  絵本作家でしょうか。
  詩人でしょうか。
  漫画家なんでしょうか。
  私はやはりやなせたかしさんは
  漫画家と呼ばれたかったと
  思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これもやなせたかし                   

 中高生向けのちくま評伝シリーズ<ポルトレ>が第Ⅱ期10冊の刊行が始まった。
 <ポルトレ>というのは「肖像」の意味で、ちくまのこのシリーズはあえて読者を中高生としている。
 その創刊の辞にはこうある。「あなたと同じように、悩んで、戸惑って、たくさん失敗して、だけど自分の人生を自分の力で切り開 いていった、世界中の人たちの姿をポルトレは写しとっていきます。(中略)あなたの人生をほんの少し前へ進めたい」。
 このシリーズの大きな特長としては、今までの伝記物では描いてこなかった人物を扱っている点だ。
 第Ⅰ期15冊の中には、インスタントラーメンを発明した安藤百福や漫画家の藤子・F・不二雄、あるいはスティーブ・ジョブズといった、現代の中高生にも馴染みのある人物が取り上げられている。
 それは第Ⅱ期でも同じで、この本のように「アンパンマン」の作者やなせたかしであったり石井桃子といった名前がある。
 昔よりなじみのある偉人というのは、親の世代のものだ。それよりは、中高生が知っている人の方が共感を得やすい。もちろん、大人の読者にとっても、読みやすい評伝として期待が高まる。

 この「やなせたかし」の巻でも、やなせが2013年に94歳で亡くなってからやなせ自身による半生記ややなせが親しくしていた人による評伝などさまざまな形で出版されているが、それでもこの本で知るやなせの姿が多くあった。
 限られたページだから、例えば戦争で亡くなった弟さんのエピソードなど描かれていないこともあるが、このシリーズでは「読書案内」というコーナーで関連本を紹介しているので、興味を持った読者はそれら関連本を手にすればいい。
 今回知ったことのひとつがやなせの『無口なボオ氏』という漫画の存在だ。すでにさまざまなところで活躍していたやなせだが、漫画家として認められたいと懸賞漫画に応募したというのだ。収録されている図版で、そういう作品があったことをおぼろげに思い出した。
 もちろん、人生の後半において「アンパンマン」という素敵なヒーローを生みだしたやなせだが、その人生はけっして一本の道ではなかったのだ。
 「アンパンマン」で大きくなった中高生たちにもっとやなせたかしという漫画家を知ってもらうに、うってつけの一冊だ。
  
(2016/1/16 投稿)

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  今日も
  漫画本の紹介です。
  しかも、
  あの『ドラえもん』。
  もちろん、作者は藤子・F・不二雄さん。
  実は『ドラえもん』をこういう形で
  ちゃんと読んだのが
  初めてなんですね。
  パラパラと読んだ程度。
  読んでみて思ったのですが、
  とても面白かった。
  短い一話の中に
  とてもストーリー性があって
  これじゃあ、子どもたちが夢中になるはず。
  読んでこなかった
  大人の私が、悪い。
  ごめんね、ドラえもん。
  ところで、初期の『ドラえもん』では
  タケコプターではなく
  ヘリトンボって呼んでいたんですね。
  びっくりぽん、でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ぼく、ドラえもん                   

 藤子・F・不二雄の代表作「ドラえもん」は、私の子ども世代のマンガだとばかり思っていた。
 ところが、小学館の学習雑誌に初めて登場したのが1970年。「小学4年生」で初めて「ドラえもん」を読んだ子どもは1959年生まれなのだ。昭和でいえば34年生まれの子どもだ。
 ほとんど私(昭和30年生まれ)と変わらない。
 「藤子・F・不二雄大全集」の「ドラえもん」第1巻には、三世代、すなわち1959年1960年1961年生まれの子どもたちが読んだ「ドラえもん」が収録されている。
 1959年生まれの子どもは1961年生まれの子どもが読んだ「ドラえもん」を知らない。知っているのは、自分たちの「ドラえもん」だけだ。

 ここには三世代それぞれの「ドラえもん」誕生の物語がある。
 主人公ののび太君の孫の孫であるセワシ君が未来からドラえもんを連れて、机の引き出しから現れるという大筋では一緒だ。
 しかし、1959年生まれの子どもたちはのび太君の将来のお嫁さんがジャイ子だということを最初に見せられてしまう。ジャイ子が何者かも知らないうちにだ。
 1960年生まれの子どもたちはのび太君の悲惨な未来を、1961年生まれの子どもたちはすでに何をやってもさえないのび太君を見せられるだけだ。
 初回にしてかなり違う。
 物語としては、1961年生まれの子どもたちが読んだ「ドラえもん」がよく出来ていると思う。1回めにして主要な登場人物、しずちゃん(しずかちゃんとはなっていない)やスネオ、ジャイアンたちも登場する。彼らがのび太君の友だちと最初にわからせておくとその後の展開がしやすい。

 それにしても、この1巻だけで781ページにもなっている。
 不思議なのはこれだけのページ全部でのび太君のダメぶりとドラえもんのおっちょこちょいぶりを読まされ続けるのだが、ちっとも飽きないということだ。
 ほとんどのストーリーの基本形は同じながら、読者を退屈させない工夫こそが「ドラえもん」の魅力といっていい。
 アニメの「ドラえもん」しか知らない人たちにも手にとってもらいたい一冊。
 しかも、この巻には「ドラえもん」の中でも屈指の名作といわれる「おばあちゃんのおもいで」も収録されている。
  
(2016/01/15 投稿)

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 今日も漫画の話。
 しかも、展覧会。
 最近は漫画の展覧会というのも
 結構あるんですよね。
 さすが日本の文化。
 今回の展覧会、
  20150930135646-0001-e1443661061186.jpg
 上村一夫さんの展覧会。
 上村一夫さんって知ってますか。
 知らない人もいるでしょうから、
 ヒント。
 『同棲時代』『修羅雪姫』、
 そうかつて昭和の絵師と呼ばれた漫画家です。
 上村一夫さんが亡くなって
 30年なんですね。
 それを記念して
 東京・文京区の弥生美術館
 「わが青春の『同棲時代』 上村一夫×美女解体新書展」が
 開催されているのです。
 私が行ったのは1月11日、
 実はこの日は
 上村一夫さんの命日でもあります。

 美術館に行く前に
 少し寄り道。
 確かこの近くに
 平松洋子さんが『味なメニュー』で書いていた
 万定フルーツパーラーがあったはず。

  20160111_115420_convert_20160111182211.jpg

 そこでまずは腹ごしらえ。
 ハヤシライスを頂きました。
 おいしい。
 平松洋子さんも書いていた
 昔ながらのレジがいいですよね。

  20160111_115527_convert_20160111182301.jpg

 さあ、それでは弥生美術館へ。
 ここは竹久夢二美術館と併設になっていて
 竹久夢二の作品も観ることができます。

  20160111_132655_convert_20160111182347.jpg

 今回の展覧会では
 上村一夫さんの原画等が500点も
 展示されていますから
 上村一夫ファンにとっては
 たまりません。
 私が上村一夫さんの漫画を読んだのは
 1970年あたり。
 上村一夫さんの描く美少女たちに
 胸ときめかしていました。
 美少女たちの汗とか体臭とかが匂いたつ
 そんな感じです。
 高校生の私にとって
 映画もそうだし
 上村一夫さんの漫画もそうだし
 小説以上のインパクトがありました。

  20160111_133817_convert_20160111182421.jpg


 今回の展覧会では
 上村一夫さんのお嬢様上村汀さんと学芸員さんとによる
 ギャラリートークもあって
 上村一夫の妖艶な世界を
 堪能できました。
 阿久悠さんとの交流とか
 そばにいた娘さんならではの話が聞けたのが
 よかった。
 それにしても、
 上村一夫さんはどうしてあんなに綺麗な女性たちを
 描けたのでしょう。
 上村一夫さんの漫画の世界に
 封印された美の世界に
 やっぱり今でも胸ときめきます。

 この展覧会は
 3月27日まで開催しています。
 入場料は大人900円
 70年代の漫画に触れたい人は
 ぜひ。

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  先週の土曜日(1月9日)から
  さいたま市民大学の受講を
  始めました。
  講義名は「北沢楽天からアニメまで」、
  全8回のコースです。
  北沢楽天というのは日本の近代漫画の祖といわれている漫画家。
  埼玉の出身なんですね。
  楽天が住んだ住居が
  現在漫画会館になっています。
  そこが講座の会場。
  1回めは漫画評論で有名な
  清水勲先生。
  「漫画の歴史」を勉強しました。
  90分の授業でしたが
  中身の濃い内容でした。
  この講座ではこのあと
  あの有名なトキワ荘の話があったり
  「ドラえもん」のアニメ映画の話があったり
  楽しみ。
  ということで、
  今日は漫画を紹介します。
  石ノ森章太郎さんの『ジュン』。
  テキストは「石ノ森章太郎萬画大全集」から。
  清水勲先生は漫画の特長を
  コマと吹き出しといってましたが
  この『ジュン』はその二つを破壊しようとしています。
  その点でも面白い作品です。

  じゃあ、読もう。



sai.wingpen  マンガは詩も描ける                   

 「仮面ライダー」が誕生して45年だという。
 1971年に生まれたヒーローは半世紀近く多くの人たちを熱狂させてきたが、生みの親たる原作者は漫画家石ノ森章太郎である。
 石ノ森章太郎は平成10年(1998年)60歳の若さで亡くなっている。
 石ノ森にしても手塚治虫にしても早逝なのは、多忙ということもあったのではないだろうか。
 石ノ森の没後も新たなライダーが誕生するほどの「仮面ライダー」の原型だけでなく、「サイボーク009」といったSFもの、「佐武と市捕物控」といった時代もの、あるいは「マンガ日本経済入門」といった大人向けの経済マンガというように、石ノ森は社会のさまざまなものをマンガとして表現してきた。
 石ノ森は自身のマンガを「萬画」と評し、没後刊行された全集は「石ノ森章太郎萬画大全集」となっている。まさに「萬」の字がふさわしい、多彩な表現を実現した人であった。

 石ノ森のマンガの特長が詩的性にあるのではないだろうか。
 詩的であることで想像性がぐんと広がる。それを突き詰めた作品が「ジュン」である。
 石ノ森自身、この作品で詩を書きたかったと書いている。あるいは、「ムードだけのまんが」という表現もしている。それは試みであり、石ノ森自身それが成功するかどうかは未知数だったのではないだろうか。
 「ジュン」は1967年から1969年まで漫画雑誌「COM」に連載され、その後単発での掲載もあり、1971年まで同誌に載った。
 今ではほとんどその全貌を目にすることはできないが、「石ノ森章太郎萬画大全集」では2巻ものとして読むことができる。(ここにはその後に描かれた数篇の作品も収められている)

 「ジュン」にはほとんど台詞がない。マンガ特有のコマワリも縦横に走り、時にはそれすら越えて絵が描かれることもある。
 そういう冒険が出来たのも、「COM」という漫画雑誌の性格もあっただろう。おそらく他の商業漫画誌では実現できなかったのではないだろうか。
 それほどに「ジュン」は特異である。しかし、この世界があればこそ、石ノ森の作画は飛躍的に伸びたのではないか。
 そういう点でも、この作品が石ノ森に占めるウエイトは大きいと、私は思っている。
  
(2016/01/13 投稿)

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 今年最初の菜園日記。
 この1年、どんな歓びの芽 を
 出してくれるでしょう。
 楽しみだなぁ。

 まずは、今年の年賀状の話から
 書きます。
 毎年年賀状に
 俳句を載せていて
 かれこれ12年以上続けています。
 今年年賀状に載せた句。

    新しき鍬で始めよ寒おこし     

 寒起こしというのは
 厳寒期に畑の土を30cmほどの深さに荒く掘り起こし、
 寒気にさらすことをいいます。
 これによって土の消毒ができるという
 昔からの知恵です。

 今年初めての菜園作業となった
 1月10日(日)、
 ハクサイキャベツの最後の収穫を終えたあとの畝で
 この寒起こしをしました。
 俳句のように鍬ではなく
 スコップでザクッザクッと土を荒く掘り起します。
 下の写真が
 寒起こしをしたあとの畝です。

  CIMG0938_convert_20160110150241.jpg

 葉物の畝にはそれまで
 不織布シートで防寒していましたが
 いよいよビニールトンネル栽培で
 防寒を強化します。
 これは不織布シートの上に
 穴のあいたビニールで覆うこと。
 穴が開いているのは
 空気がはいりやすいよう。
 その前に葉物がどれくらい成長しているか
 のぞいてみましょう。
 まずはホウレンソウ

  CIMG0926_convert_20160110150034.jpg

 なかなかいいですね。
 次はコマツナ

  CIMG0927_convert_20160110150121.jpg

 がんばってます。
 チンゲンサイレタスはもうひとつ。
 下の写真はビニールトンネルを施した畝。

  CIMG0934_convert_20160110150202.jpg

 そして、この日収穫したハクサイキャベツ

  CIMG0942_convert_20160110150312.jpg

 今年の最初の収穫。
 キャベツには最初苦労したので
 半分以上諦めていたのですが
 よくここまで育ってくれました。
 これで今シーズンのハクサイの収穫は6個
 キャベツ2個
 ともに全部収穫でした。

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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から4年10ヶ月。

  そして、今日は成人の日

    成人の日のストールの中に顔      鷹羽 狩行

  東北の被災地でも
  今日成人を迎えられる
  若者たちがいます。
  彼らは中学高校の頃に震災を体験しています。
  きっと二十歳の思いとして
  震災の辛さ悲しさを乗り越えていくことを
  誓うことでしょう。
  それでも震災のあと
  故郷を離れていった仲間もいます。
  帰ることもできない仲間もいます。
  どうか彼らのことも忘れないで下さい。
  今日紹介するのは
  長谷川集平さんの『アイタイ』。
  この絵本は原発事故そのものを描いているわけでは
  ありません。
  けれど、どこかにそれを感じさせます。
  あの事故で故郷を追われた人たち。
  離ればなれになった人たち。
  長谷川集平さんのあたたかな思いが
  あふれてくる作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あなたには「アイタイ」人がいますか                   

 長谷川集平さんは2011年3月11日の東日本大震災以降、いくつかの作品で震災や福島原発事故を暗示する作品を発表してきました。
 この作品もそのひとつです。
 長谷川さんはこの作品に関して、こんな言葉を残しています。
 「1984年に描いたショートショート・コミック「再会」。1986年にチェルノブイリ原発事故。1988年に絵本化を思いついたものの出版のチャンスがありませんでした。3.11を経験して、この作品が語り出す時が来たと感じています。「再会」は「アイタイ」になりました。会いたいあの人に届きますように」

 一人の少年が歩いている。これがこの絵本の最初のページ。
 少年の頭上に不気味な大きな雲が覆ってきます。「ツイニ キタカ」、少年は空を見上げながら、そうつぶやきます。
 黒い雲の下で少年は「アノヒトハ イマ ドコニ イルノカ」と思います。そして、「アイタイ」と。
 場面は変わって、少女がひとり歩いています。
 彼女は自分の影の中に、いつもいる「チイサナ ムシ」を見つけます。「マタ アッタネ キミ」。
 影の中の小さな虫を見つめながら、少女は「アノヒトハ イマ ドコニ イルノカ」と思います。そして、「アイタイ」と。
 小さな虫は少年だということも知らないでー。

 長谷川さんはこのラブストーリーのような絵本にどんな思いを重ねているのでしょうか。
 津波や原発事故で肉親を喪ったり、自分たちが生まれ育った故郷を追われて人たちがたくさんいます。理不尽な別離に「アイタイ」という思いはいつもありつづけます。
 それをもっと大きな世界で見ればどうでしょうか。
 私たちはこの絵本の世界のように、遠く離れさった人たちといつも一緒にいるのかもしれません。ただそのことに気がつかないだけで。
 「アイタイ」人を想うというのは、会えることにつながっているのではないでしょうか。
 ホワイトボードを引っ掻いてできた錆の線。それにパソコンで彩色したという長谷川さんの異色な絵本は、深い思索の時を読者にもたらしてくれます。
 あなたには「アイタイ」人がいますか。
  
(2016/01/11 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  金曜、土曜と
  おいしい本が続いたので
  ここらであっさりお粥でもどうですか。
  七草粥は過ぎたのですが
  野村たかあきさんの『おばあちゃんのななくさがゆ』という
  絵本を紹介します。
  書評にも書いていますが
  七草粥というのは「正月の季語」。

     せり・なずな 以下省略の粥を吹く   池田 政子

  この俳句、実に正直。
  七草の名前を言える人は
  なかなかいないですもの。

     わが腕(かいな)ほどのすずしろ菜園に    夏の雨

  この俳句を作ったのですが
  詠んだダイコン(すずしろ)は
  細いのか太いのか
  憶測を呼んでしまいました。
  私は太いつもりで詠んだのですが。

  じゃあ、読もう。

  

  sai.wingpen  ななくさ なずな とうどの とりが                   

 正月向けのクイズでよくあるのが、「春の七草全部言えますか」。
 これは難問。
 答えを書くと、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、の7つ。
 名前を聞いても、はてどんな草なの? と首をひねってしまう。
 そういう人はぜひ、この絵本を開いてみて下さい。
 この絵本の主人公きりかちゃんのおばあちゃんが丁寧に教えてくれます。
 ちなみに、すずしろというのはダイコンのことです。

 正月7日は七草粥を食べるという習慣が昔からあります。
 俳句の季語を集めた「歳時記」では「新年の部」に載っています。
 そもそも七という数字には聖なる意味があるようで、それと同じ数の菜を炊き込むのは、春の到来を喜ぶとともに数の力が期待する意味もあるようです。
 7日あたりにはパックに七草をいれてスーパーでも販売されていますから、今でも残るいい習慣です。
 この絵本の中でも、きりかちゃんのおとうさんがパックを買ってきています。

 正月はおせちがあってつい暴飲暴食をしがちです。
 元旦から一週間がたって、胃もお疲れでしょうから、お粥を食べるのもいいですね。
 それに、白いお粥に菜の緑が映えますから、見た目もきれいな料理です。
 絵本ではおばあちゃんが大活躍。
 きりかちゃんも弟のこうたも、おばあちゃんのじゃまはしてないかな。
 なんと、おばあちゃんは「七草がゆの唄」まで歌ってくれるのです。
 「ななくさ なずな とうどの とりが ・・・」、でも、どんなメロディーなのでしょう。

 きりかちゃんの家はおばあちゃん、おとうさん、おかあさん、それにきりかちゃん姉弟ですから、こういう伝統が伝わりやすい。どこかでそれが切れてしまえば、いい習慣も途絶えてしまいます。
 もし、きりかちゃんが七草がゆをおばあちゃんから教えてもらえなかったら、きりかちゃんが大きくなっても伝わっていきません。
 それでも、この絵本があれば、それもなんとか防ぐことができます。
 絵本というのは、そういう大切なものを伝える情報でもあるのです。
  
(2016/01/10 投稿)

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  昨日平松洋子さんの
  『味なメニュー』を紹介しましたが
  今日は
  平松洋子さんの師匠筋ともいえる
  東海林さだお さん(待ってました!)の
  『メンチカツの丸かじり』。
  しかも、1月7日(~19日)から新宿・京王デパート
  東海林さだおさんの大好きな
  「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」が
  開催されているという
  グッドタイミング。
  今年で51回となるこの名物企画は
  今回新幹線開業記念と銘打って
  北陸新幹線と春に開業する北海道新幹線の対決。
  さらに、昨日紹介した
  551の豚まんもやってきているではありませんか。
  おお、腰が上がりましたね。
  もしかして運がよければ
  会場で東海林さだおさんに会えるかも。
  うーむ、昨日に続いて
  お腹が鳴ってきた。

  じゃあ、食べよう。

 

sai.wingpen  サッカーカツはないのか                   

 待ってました! 
 東海林さだおさんの人気シリース「丸まじり」の最新、38巻めは「メンチカツ」です。
 メンチカツ、好きなんです。
 だから、思わずかじっちゃう。
 読者とすれば、待ちに待たされたのですから、かじるくらいしても、東海林さんは怒らないと思います。
 このシリーズはまず「あれも食いたいこれも食いたい」というタイトルで「週刊朝日」に連載されます。その後、「丸かじり」となって単行本化されるのですが、この38巻めの初出は2014年1月から10月。うむ。ここで、ハタと考えこんでしまった。
 2014年って、どんな年だった?
 ええと、えーと、しばらく考えたけど何も浮かばないのは、年のせい?

 そこで調べました。
 ソチオリンピックがあった年。ソチってどこ? そっち。
 多分関西人なら一度ぐらいはこんなこと言ったにちがいない、冬季オリンピック。羽生結弦選手は金メダルとったんだ。
 ところが、「丸かじり」には毎年恒例の新宿・京王デパートの「元祖有名駅弁大会」の記事はあってもソチはない。こういうのって、処置なし(ソチ、なし)というのかな。
 もう一つ、大きなイベントがありました。
 サッカーのワールドカップ。
 これはさすがに東海林さんも「サッカー好き? サッカー嫌い?」というタイトルで書いてます。
 でも、なんだかそれほど熱狂していないのが、いい。
 とりあげられているのが、「日清焼そばU.H.O.」というのも、いい。
 東海林さん、苦手なものはこういうスカシ方、割とする。
 ワールドカップ関連では「サッカー狂乱す」というタイトルでも書いてます。

 案外時事ネタはいってないな。
 では、メンチカツはどうなんだというと、「ガンバレ! メンチカツ」と、サッカーとは大違いのタイトルになってます。
 ところが、ここではトンカツとハムカツ、それにメンチカツとコロッケ比較となっていて、東海林さんの好みはどうもメンカツではなさそうなのだ。
ハ ムカツに好意を寄せる東海林さんではありますが、それでも「ガンバレ!」となるのは、こういうコロモ系の食材が好きなんだろうな。
 きっとサッカーカツでもあれば、もっと応援したにちがいない。
  
(2016/01/09 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今年にはいって
  いい本ばかり紹介できて
  こういうサイトを運営している人間としては
  うれしい限り。
  今日の一冊もいいですよ。
  おせちや正月料理にも飽きて
  もう普段どおりの食事をされているでしょうが
  今日の平松洋子さんの
  『味なメニュー』を読めば
  もうたまらなくなるのでは。
  平松洋子さんの文章に誘われて
  絶品グルメ行脚をしたいくらい。
  もういくつかはさせて頂いてますが。
  ふふっ
  今回の白眉は
  なんといっても551の豚まんでしょ。
  私の大好物。
  大阪名物この一品に尽きる。
  ああ、こうして書いているだけで
  食べたくなってきました。

  じゃあ、食べよう。

  

sai.wingpen  お腹が鳴る本                   

 平松洋子さんの文章はどうしてこんなにおいしそうなのだろう。
 おいしいお店をめぐるこの食のエッセイ集の中に、自身がその答えを綴っている。
 「こころに響いてきそうな文章は、字面からいい匂いが香り立っている」。
 平松さんの文章はまさに匂いが立っているのだ。
 例えば、この本の中の「豚まんが愛される理由」に描かれた大阪名物蓬莱551の豚まんを描いたエッセイ。これを読むだけで、あの豚まんのなんともいえない香りが文章から溢れてくるではないか。
 何しろ、551の豚まんで育ったような大阪人にとって、あの匂いあの肌ざわりあの味は何にもまして大阪で、あの味は551でしか出せないから大阪を離れてしまえばめったに味わえないのだが、平松さんの文章ではまさにそれを味わえるのだから、デパートの物産展以上にすごいというしかない。

 平松さんは「酒呑みの聖地」、東京のノースエンド赤羽が大好きで、これまでにもさまざま赤羽の大衆居酒屋を書いている。この本でも「ちょっと大衆酒場で」で描いている。
 お決まりは「まるます屋」。平松さんはこのお店を「赤羽の宝」と表現する。
 私も今では「まるます屋」ファンだが、そのきっかけは平松さんのエッセイだった。
 平松さんの文章は、単に食や飲食店を描くだけでなく、「いってらっしゃいよ」と背中を押してくれる。
 強引な客引きではない。平松さんのエッセイを読めば、自然と足が向いてしまうのだ。
 平松さんが紹介するお店にとって、平松さんは招き猫のような存在ではないか。

 この本の中で紹介されているお店、ビーフシチューの「銀之塔」、秋葉原の老舗「肉の万世」(このお店を紹介しているエッセイのタイトルが「かつサンドの秘密」を読めば、もう涎が出てきそう)、立ち食いそばの「よもだそば」(平松さんのエッセイの特長はこういう普通のお店がきちんと描かれていることにもある)、ホットケーキの「万定フルーツパーラー」、等々一冊まるごと名店なのだ。
 こう書いていても、お腹がぐるぐるなってきそうではないか。
 ごちそうさまの絶品な一冊だ。
  
(2016/01/08 投稿)

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  昨日は寒の入りでしたが
  どうもこうも暖かい。

    寒に入る親しきものに会ふごとく    石田 勝彦

  さしずめ今年は珍しい人に会ったような感じです。
  今日紹介するのは
  女優の小泉今日子さんの
  『小泉今日子書評集』。
  小泉今日子さんといえば
  キョンキョンの愛称で親しまれていますが
  文章も素敵で
  新年そうそういい本が読めて
  とってもうれしい。
  こういう本を読むと
  心が温かくなります。
  きっと寒い日なんかに
  こたつにもぐりこんで読んだりしたら
  いい夢見れそう。
  書評にも書きましたが
  書評というのはやはり
  読むと、その本が読みたくならないといけないですね。
  私の書評を読んで
  みなさんがこの本を読みたいと思ったかどうか
  心配ですが、
  思わなくても読む価値ありの一冊ですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  なんたって、アイドル                   

 出版界の2015年は芥川賞を受賞した又吉直樹さんの『火花』で話題独占の一年であった。
 漫才師と小説家、その取り合わせに世間が驚いたが、又吉さんと芥川賞を同時受賞した羽田圭介さんのその後の芸人活動(?)の方が目をひいた。
 2016年は書評家小泉今日子元年になるのではと予感させる一冊が昨年の秋に出版された。
 それが、この本である。
 アイドル教祖ともいえる小泉今日子さんが読売新聞書評欄に2005年から2014年の十年間書き綴った書評を読むと、本業と副業そのものに違いがあるのだろうかと思えてくる。
 ここには素敵に年齢を重ねた、アイドルとか女優といった枠に捉えられない本を読む女性ならではの視点がある。
 本はこうして読み、こうして批評や感想を書いていくのだと、ただただ感心してしまう。

 小泉さんが本を読むのを好きになったのは、人と話すのが億劫なくらい忙しかったという十代の頃。最初から本が好きだということではなく、「どうか私に話しかけないで下さい。そんな貼り紙代わり」に本を読んでいたという。
 確かに本を読んでいる人に話しかける人は少ない。自分を防御するために本を読む。本が好きな人にはそういうことは、多分、ある。
 しかし、そういう生き方の本音のようなことを人に話すことはあまりない。隠しておきたい部分だからだ。
 小泉さんの書評のいいところは、そういう知られたくない本音に部分も書いてしまうことだ。
 伊吹有喜さんの『四十九日のレシピ』の書評の書き出しはこうだ。「四十歳を過ぎた私の人生の中で、やり残したことがあるとしたら自分の子供を持つことだ」。なんとも赤裸々な書き出しだろう。
 書評家が抜き身の真剣勝負でくれば、読書家もそれに応えるしかない。
 小泉さんの書評の魅力である。

 小泉さんに書評執筆を薦めた演出家の久世光彦さんは小泉さんの書評を読んでこう評価したそうだ。
 「あなたの書評を読むと、その本が読みたくなるというところが、何よりすばらしい。それが書評ということなのです」と。
 小泉今日子さんは書評家としてこれからも活躍するに違いない。
 なんたって、アイドル、なんだから。
  
(2016/01/07 投稿)

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 NHKEテレの「100分 de 名著」を
 視聴し始めて
 1年以上になりますが
 いつも感心するのは
 進行役の伊集院光さんの博識と
 武内陶子NHKアナウンサーの進行のうまさです。
 特に武内陶子さんは
 時に母としての自分の悩みなどをはさんで
 番組で取り上げる一冊の本に
 自分をひきつける
 そんな読み方をされています。
 女子アナという言葉が以前流行って
 まるで美人コンテストみたいになった時期がありましたが
 やはりNHKの女子アナは
 いい人がそろっています。
 なんといっても、皆さん、
 声がいい。

 さて、新年1月の「100分 de 名著」は
 内村鑑三の『代表的日本人』を
 取り上げます。

  

 内村鑑三って日本史で習いました。
 キリスト教思想家という感じで
 習います。
 『余は如何にして基督信徒になりし乎』という本も
 書いています。
 試験的なワードで知っているだけです。
 テキストとなる『代表的日本人』には
 西郷隆盛上杉鷹山二宮尊徳中江藤樹日蓮
 5人の生涯が描かれているそうです。
 出版されたのは1908年、明治41年。
 英語で出版されたそうです。
 それは、以前「100分 de 名著」で取り上げられた
 岡倉天心の『茶の本』に似ています。
 『茶の本』がよかったので
 今月も楽しみです。

 第1回めの今日は
 「無私は天に通じる」、
 第2回め以降は
 「試練は人生からの問いである
 「考えることと信じること
 「後世に何を遺すべきか」。
 講師は批評家の
 若松英輔さん。

 さあ、代表的な日本人とは
 どんな姿なのか
 楽しみです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  初詣には行かれましたか。
  初詣では今年一年の平安をお願いするとともに
  今年一年の決意を定める人も
  多いのではないでしょうか。
  仕事が始まった人たちは
  今年も健康で
  仕事もうまくはかどることを
  願ったのではないでしょうか。
  今日は
  ビジネスマンが敬愛している
  稲盛和夫さんの『ごてやん』を
  紹介します。
  「ごてやん」というのは
  鹿児島弁で「ごねる」子どものこと。
  この本は稲盛和夫さんが
  お母様への感謝を綴ったものです。
  仕事がうまくいくのも
  自分だけの力ではなく
  自分を支えてくれる家族、友人、同僚、上司
  そして父と母のおかげ。
  そう思えるようになるには
  時間もかかるでしょうが
  ぜひ、この本で
  稲盛和夫さんの思いを感じとってもらえたらと
  思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「お母さん」は「神様」                   

 京セラの名誉会長である稲盛和夫氏が1932年生まれだから、80歳を超えている。
 KDDIを立ち上げ、傾きかけていた日本航空を再生した経営手腕は見事だし、経営に対する真摯な姿勢は多くのビジネスマンの憧れである。
 そんな稲盛氏は、いまだに「お母さん」とつぶやくことがあるという。80歳を超えた老人が「お母さん」などと笑う人もいるかもしれないが、私はそうは思わない。
 80歳を超えた息子に「お母さん、ありがとう」と言ってもらえる母親の仕合せ、いつまでも母を愛し、母に守られていると感じる息子の幸福。
 これほど温かい絵はない。
 本書は「経営の神様」稲盛和夫氏が自身を支えた母や家族の姿をしのびながら、生きることや働く意味を説いた作品である。

 「ごてやん」というのは鹿児島の言葉で「ごねる」子どものことをそう呼んだそうだ。
 「素直に言うことを聞かず、わがままを言って相手を困らせる」「ごてやん」、小学校を上るまでの稲盛氏はその「ごてやん」で、周りの人たちからは泣き出したらとまらない「三時間泣き」と呼ばれていたという。
 稲盛氏には兄がいるが、母を独占したいあまりの「三時間泣き」。仕事をしながら稲盛氏をなだめる母キミ。なんとも微笑ましい。 そんな「ごてやん」の稲盛氏に母はいつも優しかったという。
 生真面目な父といつも明るかった母。
 稲盛氏は本書の中で「両親二人のいいところばかりもらった私は、実に幸せな人間ではないだろうか」と記している。

 稲盛氏は母から「言葉で教わったわけではない」という。
 では、どのように教わったのか。それは、「すべて、心によって」だと述べている。
 「親父の背中」という言い方をするが、稲盛氏の場合、母の温かで明るい性格からも多くを学んだのであろう。
 両親には「人として正しいこと、正しくないこと」の分別があった、その姿は稲盛氏に多くのことを教えた。
 稲盛氏の考え方はよく「哲学」とも称されるが、ここにその源泉があったともいえる。
 だから、今でも感謝の念は絶えない。
 稲盛氏にとって、「お母さん」は「神様」と同義語なのだ。
 なんと素敵だろう。そんなふうにいつまでも思える稲盛氏がうらやましくもある
   
(2016/01/05 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  元旦の新聞に、
  積水ハウスの全面広告が載っていました。
  朝日新聞にも日本経済新聞にも
  載っていましたから
  目にした人もいるのではないでしょうか。
  その広告に
  「人生の長い午後」という詩のようなコピーが
  ついていました。
  とてもよかったので
  その一節を書き留めておきます。

    60歳を過ぎたら、おじいさんだと思ってた。
    だいぶ、イメージは変わったよね。

    たとえば、一生を一日として考えれば。
    いちばん楽しみな、夕食を準備する時間かな。
    その後の、グラスと音楽のひとときも。

    (中略)
    さあ、晩餐まで。もう少し。

  そのあとに「家に帰れば、積水ハウス」となるのですが
  まさに私のことをうたってくれたような文章。
  晩餐のための準備をしているんですね、今。
  今日紹介する
  下重暁子さんの『人生という作文』は
  今年のはじめに紹介しようと
  思っていた一冊。
  この一年への思いにしたい一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  書くことでこれからの人生を生きて行く                   

 書くことが嫌いではない。
 はっきり好きと書かないのは、大事なことをまだまだ書けていないから。大事なこと。それは自分自身なのかもしれない。
 これから先、それを書くことができるだろうか。
 『最後はひとり』というタイトルで出た単行本を加筆、再編集し、さらに社員食堂で働きながら松本清張賞を受賞した作家山口恵以子との対談を加えた新書版は、もとのタイトルとはまったく違う、いいタイトルがついて新書化された。
 そうなのだ。私たちの人生は作文なのだ。もちろん、書き手は私たち自身。
 下重さんは、「書くとは、自分自身を見つけること」と書いている。
 私たちは何のために生きているのか。幸福になるということもあるだろうが、結局は自分自身を見つける長い旅をしているのではないだろうか。

 この本にはNHKのアナウンサーとして活躍し、その後書くということにこだわってきた下重さんの生き方が綴られている。この本を綴りながら、下重さん自身が自身の生を振り返っているともいえる。
 そして、これからの人生も言葉にしていく。
 下重さんは、「年を重ねる事は個性的になる事。私はようやく書くという最後のものに直面することが出来た。ほんとうにしたい事、ほんとうにしなければならない事。人生の最後に向ってこの道一筋につながる」と、堂々と書いている。
 書くということの見本をこの本では示してくれているともいえる。この人のように書けたらどんなにいいだろう。

 「ものを書く時は、自分一人と向き合うから孤独である」と書いて、そのあとに下重さんはこう続ける。
 「孤独は淋しいものではなく、自分を知るためのもっとも豊かな時間である」と。
 年を重ねながら、自分を見失ってはいけない。自分を深く知ることこそ、年を重ねるということではないか。
 人間誰もが「最後はひとり」のはず。その「最後のひとり」の自分自身とどう向かい合えるか、それはとても大事なことだ。
 書くことで、これからの人生を生きて行く。
 下重暁子さんに倣いたいものだ。
  
(2016/01/04 投稿)

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  今年は暦のかげんから
  明日から仕事の人も多いでしょうが、
  安心して下さい。
  今日はまだ三が日

    三ケ日書斎は隠れ部屋めきて     山田 弘子

  正月気分の絵本を
  紹介します。
  服部美法(みほ)さんの『おふくさん』。
  表紙では
  この絵本の主人公のおふくさんたちが
  福笑いをしています。
  懐かしいお正月の遊びです。
  現代の子どもたちは
  福笑いで遊ぶのかな。

    福笑と同じ顔して笑ひけり     大崎 ナツミ

    福笑ひ目隠しとれば福の顔    夏の雨

  今年も
  楽しい絵本を紹介していきますね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  みんな ふくふく まいにち にこにこ                   

 日本には四季折々の行事とか風習があって、時代がどんなに変わって、それは大事にしたいと思います。
 日本の絵本はそんな文化を大切に守ってくれているところがあって、子どもたちにもわかりやすく描かれているのがうれしい。
 この『おふくさん』という絵本もそんな一冊です。

 山の奥深くにこの絵本の主人公おふくさんたちが「みんな ふくふく まいにち にこにこ」しながら暮らしています。
 ここには十人のおふくさんが住んでいるのです。
 それぞれの名前と性格が表紙裏に描かれています。お習字が得意なむつきさんとかお世話が好きなうづきさんとか本が大好きふみちゃんといった具合に。ちなみに彼女たちの名前は月の旧名がつけられているのですが、おふくさんたちは十人ですから、二つだけつけられていない月があることになります。絵本で探してみて下さい。

 そんな平和な家にある日、怖い赤鬼がおふくさんたちをこわがらせにやってきました。
 でも、大丈夫。
 おふくさんたちは「おにさん どうすりゃ わらうかな?」なんて考えてしまうくらいですから。
 きせかえごっこや豆大福のごちそうで、赤鬼を笑わせようとしますが、反対に怒ってしまいます。
 そこで、全員が集まって、ひそひそ打ち合わせをして、にらめっこ対決をすることに決めました。
 まずは、おふくさんたち。「ぷ!」とほっぺを膨らませます。
 赤鬼もまけじと「ぷ!?」。
 おふくさんたちは、さらに「ぷー!」。
 ページいっぱいに描かれたおふくさんたちの変顔。ここがこの絵本の読みどころです。
 きっと、子どもたちはこのあたりでゲラゲラ笑い転げるのじゃないかな。
 さあ、おふくさんたちは赤鬼とのにらめっこ対決に勝てるでしょうか。

 この絵本の最後に、「笑う門には福来たる」という言葉について作者の服部美法さんのコメントがついています。
 「つらいとき、かなしいときは、みえない おにが」やってくるのだとか。そんな時こそ思いっきり笑おうって。
 こんな楽しいおふくさんたちはきっと私たちの心の中に住んでいるのではないでしょうか。
  
(2016/01/03 投稿)

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レビュープラス
 去年の春に
 仕事を辞めてから
 家の購読新聞を日本経済新聞に替えて
 初めての元旦。
 元旦の新聞に各出版社の大きな広告を
 楽しみにしていたので
 やはり日本経済新聞では物足りなくて
 コンビニまで
 新聞を買いに行ってきました。
 ここはやっぱり朝日新聞
 やっぱり出版社の力の入れ方が違います。

 今年の元旦の新聞で
 目をひいたのが岩波書店の広告。

  CIMG0920_convert_20160101145222.jpg

 ドーンと、夏目漱石
 さすが岩波書店
 今年の12月9日は夏目漱石の没後100年ということで
 岩波書店の気合が違いますね。
 元旦から読書欲が急上昇しました。
 夏目漱石の再読挑戦だ 

 つづいて、
 びっくりぽんの全面広告がこちら。

  CIMG0922_convert_20160101145302.jpg

 小学館のコミック誌の広告。
 さすがドラえもんの小学館
 この広告のリード文もいい。

   もしあなたが、何かにつまずいたとき、
   見方を変えてみれば、どうにかなる。
   (中略)
   いつもうまくいくだけが、人生じゃない。
   うまくいかないこともあるから、おもしろい。

 コミックから教えられることもたくさんあります。

 つづいては
 創立90年になる集英社

   読書は、平和を守る。

 大きくでました。
 この集英社の広告、
 日本経済新聞にも全面広告が出ていて
 コピーは同じですが、
 写真がちがう。リード文もちがう。
 左が朝日新聞、右が日本経済新聞

  CIMG0921_convert_20160101145335.jpg  CIMG0923_convert_20160101145408.jpg

 女性向けに発信された日本経済新聞の方が
 気に入りました。
 ともに、こうあります。

   伝えるって、たいせつ。

 そう、この気持ちを忘れずに発信しつづけていれば
 出版不況も乗り越えられる・・・かも。

 講談社はラグビーの五郎丸さんを起用した全面広告。
 キャッチコピーは

  元旦は、新しい本を読もう。

 文藝春秋は話題作の紹介、
 新潮社塩野七生さんの新作『ギリシャ人の物語』を紹介、
 ちょっと見劣りします。
 今年はやっぱり集英社がダントツ、
 気合いがはいっているように
 見えました。

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