02/28/2017 墨龍賦(葉室 麟):書評「葉室麟の50作めの記念作品」

今日紹介する
『墨龍賦』は直木賞作家葉室麟さんの
50作めとなる
記念の作品です。
私が葉室麟さんの作品を読み始めたのは
2012年に『蜩ノ記』で直木賞を受賞してから。
そのあとはかなりまめに
葉室麟さんの作品を読んでいます。
おそらく
時代小説歴史小説では
司馬遼太郎さんに次いでぐらい。
藤沢周平さんよりは
多くなったのでは。
おそらく葉室麟さんの作品と
心の波長が合うのでしょうね。
じゃあ、読もう。

葉室麟の年譜を見ると、50歳から創作活動を始めた遅咲きの作家ということになる。
デビューしたのが2005年、以来直木賞をはじめ様々な文学賞も受賞し、今では時代小説の人気作家を不動のものにしつつある。
その葉室にして50冊めの記念の作品が本作である。
出版社の宣伝文によれば、「デビュー前から、海北友松という男を書きたかった」のだという。
まさに渾身の一作といえる。
海北友松といっても知らない人も多いかもしれない。
私も知らなかった。
この本の表紙装画に使われているのが海北の描いた「雲龍図」だ。建仁寺にある
なんともおぞましく力強い龍であることか。幼い子であれば泣いてしまうかもしれない。
このような龍を描いた絵師海北友松の、戦国時代という時代に翻弄される人たちの姿を描いたこの作品では、本能寺の変がどのようにして起こったかという解くことが叶わぬ謎も、葉室麟ならではの解釈を展開していく。
重厚な時代背景、複雑な人間造形、さすが葉室と喝采をおくりたいが、やや不満がない訳でもない。
その一つが女人の描き方。
これまでの葉室作品では主人公の忍に寄り添う女人が重要な役どころを担ってきたが、この作品ではその点が希薄だ。
海北が出家しているためということもあるだろうが、一瞬交わりかけた女人との関係もなくはない。
そのあたりが深まれば、作品としての厚みが増したのではないだろうか。
いずれにしても葉室麟の50冊めの作品を祝いたい。
(2017/02/28 投稿)

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02/27/2017 ベランダでソラマメを - わたしの菜園日記(2月26日)

強い南風にあおられたりもする。
三寒四温とはよく言ったもの。
でも、この三寒四温は冬の季語。
すでに春を迎えた俳句の世界では
そぐわない。
三寒と四温の間に雨一日 林 十九楼

風が強くて
作業を伸ばしたのですが
日差しが暖かになった22日に
農作業をしてきました。
この日は茎ブロッコリーの伐採と
イチゴの畝に黒マルチを張る作業。
茎ブロッコリーを伐採して
いよいよ春夏野菜の準備にはいります。
イチゴの畝には
今まで折りたたんでしまっていた
黒マルチを伸ばして
張りました。
こうすると
苗の位置とマルチ穴の位置がそろいます。

写真の奥にあるのが
ナバナ。

そうもいかない家もたくさんあって
ごらんのように
黄色い花が満開になった畑もあります。


暖かくなって
絶好の菜園日和。
ホウレンソウが大きくなってきました。

この日は
ちぢみホウレンソウを収穫しました。

ちぢみホウレンソウは
最近人気のある野菜です。

ベランダ菜園の土も
プランターから掘り起こして
ミニ寒起こし。
そして、
もう一度プランターに戻して
アブラムシが多いということで
畑ではできなかった
ソラマメを植えました。

さてさて、うまくいくかしら。

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絵本作家のディック・ブルーナさんの
訃報には驚きました。
89歳の人生で
どれだけの作品を残したでしょう。
私の娘たちも
小さい頃はブルーナさんが描いた作品に
夢中になっていたものです。
ぜひブルーナさんの作品を紹介したいと思って
せっかくなので
石井桃子さん(この絵本ではいしいももこと平仮名表記)が
訳された絵本と思い
『ちいさなうさこちゃん』にしました。
もちろんブルーナさんの絵本は
たくさん出ていますので
子どもの頃に読んだという人も
ぜひもう一度読んでみて下さい。
ご冥福をお祈りします。
じゃあ、読もう。

世の中には有名なウサギがたんといます。
『不思議な国のアリス』に出てくる白うさぎやビアトリクス・ポターの児童書に登場するピーターラビットなどは中でも有名。
彼らに負けないくらい有名なのが、もしかしたらディック・ブルーナのこの絵本に出てくる
「ちいさいうさこちゃん」かもしれません。
このうさぎの絵がついたお弁当箱やお道具入れを持っていた子どもたちもたくさんいたのではないでしょうか。
この絵本を描いたディック・ブルーナさんが2017年2月17日に亡くなられました。
89歳でした。
ブルーナさんはオランダのデザイナーで絵本作家です。
もちろんオランダだけでなく世界中の子どもたちに愛された絵本作家ですが、日本でもブルーナさんが描いたうさこちゃんやミッフイーは知らない人がいないのではないでしょうか。
ブルーナさんの絵の素晴らしさはなんといってもぱっと目をひく色です。
これは「ブルーナカラー」と呼ばれているそうで、赤や黄色、緑、青といった色が鮮やかに使われています。
それと造形の線。うさこちゃんを見ればわかるように、とてもシンプルだけど、強い線といえると思います。
この色と線が、赤ちゃんからも愛される魅力ではないでしょうか。
この絵本の奧付を読むと、1964年6月発行とあります。そして、2010年に改版されています。
つまりこの絵本が日本で刊行されてから半世紀以上経ちます。
それでも今も読み継がれているのですから、すごいというしかありません。
そして、ブルーナさんにこう言いたい。
ありがとう、ブルーナさん。
(2017/02/26 投稿)

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02/25/2017 ブラタモリ4(松江・出雲・軽井沢・博多/福岡):書評「街は人びとの発想で成長する」

今日は先週に続いて
『ブラタモリ』を紹介します。
この巻は4で
松江・出雲・軽井沢・博多/福岡の
4カ所をぶらっています。
うれしいことに
この4カ所とも云ったことがあります。
ただ福岡は
まったく仕事でしたから
ほとんど観光してません。
よかったのは
やはり出雲かな。
あそこは大昔から名所と思っていたのですが
そうでもなかったようです。
ブラタモリで知りました。
じゃあ、読もう。

NHKの人気番組が書籍化され、この巻はその第4弾。
そもそもこの番組を知らない人もいるだろうから簡単に説明すると、タモリとNHKの女子アナウンサー(この巻に収められた放送でいうと桑子真帆アナウンサー)が与えられたお題を解明するべく、その土地をブラリと歩くというもの。
旅番組に括られるのかもしれないが、単に観光地を歩くとか名産品を食べ歩くとも少し違う。
この巻では四つの街が紹介されているが、街それぞれお題が違う。
松江は「国宝松江城の城下町はどうつくられた?」、出雲は「出雲はなぜ日本有数の観光地になった?」、軽井沢は「軽井沢はなぜ日本一の避暑地になった!?」と「軽井沢への道 人はどう「峠」を越えてきた?」。
そして、福岡と博多は「博多誕生のカギは「高低差」にあり!?」と「福岡発展のカギは「鉄道」にあり!?」である。
ちなみに福岡と博多であるが、この本を読むまで博多は福岡の古称ぐらいに思っていたが、もちろんこれは大きな間違いで、中洲をはさんで博多は中世以降の商人の街、一方福岡は黒田長政が開いた城下町ということだ。
ガッテン!
私たちは現代の街の姿しか知らないので、例えば出雲であればずっと観光地のように思っていたりするが、実際にはそうではなくて今に至るまでの街の人たちの発想と苦労がたくさんあったということだ。
もちろんそれは出雲だけでなく軽井沢もそうだし、今では大都市である福岡や博多もそうだ。
そういう視点から街を歩くのも楽しいではないか。
(2017/02/25 投稿)

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02/24/2017 ドラマ脚本の書き方(森 治美):書評「オーディオドラマのシナリオも学べます」

今日は何の日かというと
初めてのプレミアムフライデー。
毎月最後の金曜には
終業時間を3時にしましょうっていう活動で
それに合わせて
小売業とか飲食業は手ぐすねを引いているのですが
じゃあそこで働く人にとっては
どうなんだと
いいたくなります。
大企業向けの活動なら
そういえばいいじゃない、
そこからがっぽり経済効果をもらえばいいじゃない。
それもおかしいか。
まあ、たまには早く会社を出て
映画館にでも行くのもいいかも。
今日は森治美さんの
『ドラマ脚本の書き方』を紹介しますが
まさか早く終えて
脚本の勉強という人はいないでしょうね。
じゃあ、読もう。

シナリオというのは面白い創作ジャンルで、それ自体では完成品とならない。
では、完成品とは何か。シナリオをもとにして出来上がったドラマであったり映画であったり、あるいはこの本でも取り上げられているラジオドラマの類であったりする。
だから、シナリオを設計図という人もいる。
そんなシナリオであるが、それを勉強しようという人は多い。
小説や俳句短歌といった文芸の創作教本もあまたあるが、シナリオだってかなりの数が出版されているのではないだろうか。
というのも、シナリオは独自の書き方がある。
それに私たちは完成品である映画などは目にするが、その設計図たるシナリオを読む機会は少ない。
そういうこともあるかもしれない。
さらにいうならラジオドラマの類は映像ではないから、シナリオといっても映像のそれとはまた違う。
かなり違う。
ところが、この方は教本といってもそれほど多くはない。
もっというなら、書き方の技術を教えてくれる教本が少ない。
ところがこの本は映像ドラマだけでなくオーディオドラマについても丁寧に説明している。
ページの分量もほぼ同程度であるから、映像ドラマ優先ではない。それがうれしい。
書いているのは舞台やテレビだけでなくラジオのシナリオも書いている森治美氏。
決して突飛な意見や説明ではなく、しごくまっとうながら、これはマスターした方がいいと思える技術がたくさん書かれている。
シナリオを勉強したい人、今されている人には、欠かせない一冊だ。
(2017/02/24 投稿)

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昨日
和田誠さんの『Book Covers in Wadaland 和田誠装丁集』を
紹介したので
今日は安西水丸さんの装幀本を
見ていきたいと思います。
安西水丸装幀作品研究会が書いた
『安西水丸さん、デザインを教えてください!』。
教えてといっても
安西水丸さんは2014年に亡くなっていますから
残された作品から
私たちが自分で勉強していかないと
いけません。
デザインを勉強している人にとっては
和田誠さんとか
安西水丸さんとかは
まさに神みたいなイラストレーターなんでしょうね。
デザイン志向でない私にとっても
二人は神なんですもの。
じゃあ、読もう。

2014年3月19日に亡くなった安西水丸さんのイラストが好きだ。
水丸さんの先輩で友人でライバルでもある和田誠さんのイラストも好きだが、和田さんのタッチとは違う都会的なセンスを感じる。
和田さんもたくさんの装丁をつくっているが、水丸さんも数々の装幀をこしらえてきた。
ちなみに装幀という漢字であるが、和田さんは装丁にこだわってきた。『装丁物語』という著作もあるぐらい。
水丸さんはどうであったか知らないが、ここでは「安西水丸装幀作品研究会」とあるので、装幀としておく。
この本は水丸さんの装幀作品を見ながら、デザインとしてどこがすごいのかをアートディレクターの水口克夫さんと新人デザイナーのオザキエミさんが掛け合いながら解いていく仕掛けになっている。
テーマは8つ。「キャンパス」「構図」「モチーフ」「線」「色」「文字」「視点」「顔」。
デザインと言われても、読む方がその世界に疎いのだから、「ふむふむ」とお二人の話を聞いているしかないが、しばしば出てくる言葉が「神装幀」。
そんな「神装幀」のひとつが、村上春樹さんの『中国行きのスロウ・ボート』。
「線を使わずに色面だけ独特の世界観を立ち上がらせた」と、水口さんは言う。
水口さんにとってこの装幀は「宝物」でもあるのだ。
この本の最後に「水丸さんの本ギャラリー」というページがあって、ここでは200冊近い水丸さんの装幀本がずらりと並ぶ。
それらを見ながら、つくづく水丸さんが逝ったのは早いと残念でならない。
(2017/02/23 投稿)

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今日は
私の大好きなイラストレーター和田誠さんの
『Book Covers in Wadaland 和田誠装丁集』を紹介するのですが
実はこの本を見つけたのは
北本市の中央図書館で、でした。
お、和田誠さんの新しい本が出たのかと
手にとったら
なんと2014年11月に刊行された
和田誠さんの記念すべき200冊めの本でした。
普通の文芸書とちがって
やはりこういう本はなかなか本屋さんでも
見つけられません。
それが図書館でさりげなく展示されていたことで
読むきっかけになったのですから
図書館さまさまです。
それにしても紹介が遅くなって
ごめんなさいね、和田誠さん。
じゃあ、読もう。

なんとも贅沢な本だ。
価格もそうだが、その内容である。
イラストレーターの和田誠さんがこれまで作ってきた装丁本の数々がすべてカラーで紹介されている。その数、なんと700点超。
それでもまだまだ紹介しきれていないのだから(例えば、東海林さだおさんの人気シリーズ「丸かじり」の文庫は和田誠さんの装丁だが、この本には紹介されていない)、ひたすら頭が下がる。
この本で文章といえるのは冒頭の和田さんによる「装丁の楽しみ」だけである。
そこでは、和田さんの記念すべき装丁本第1号が紹介されている。
1961年の『ジャズをたのしむ本』。寺山修司と湯川れい子編の本だ。
その文章にも書かれているが、和田さんがよく装丁する著者というのがあって、星新一、丸谷才一、阿川佐和子が3巨頭らしい。
相性がいいのであろう。
中でも丸谷才一とのコンビは絶妙で、この本でもその数々を見ているだけでほのぼのとしてくる。今風にいえば、「ほっこり」だろうか。
この本では表紙から裏表紙全体が、つまり和田さんの作品としての全体が見れるようになっているから、和田さんが裏表紙にも気を配られているのがよくわかる。
本はこのようにバカッと広げて一度は見ないといけないのだ。
和田さんといえばその絶妙な似顔絵が好きという人も多いだろう。
特に映画に関してはそうだ。
和田さん自身たくさんの映画エッセイも書いている。
まさに好きこそなんとかだ。
そうそうこの本のタイトル、『Book Covers in Wadaland 』は間違いなく「Alice in Wonderland」のもじりであろうが、よく見ると「Wadaland」になっている。
なんともにくいタイトルだ。
(2017/02/22 投稿)

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探してみれば
たくさんあるものです。
本を読んだり映画を観たりテレビを見たりするのも
純粋に楽しむという一面もありますが
学びの手段としては
有効です。
講演会もそうで
しかも講演会では講演者の生の声、生の表情で
聴くことになりますから
学びとしては
とても面白い。
ライブ感がなんともいえずにいい。

2月18日と19日の土日
連続で聴いてきました。
ひとつが経済の話、
もうひとつが文学ですから
かなり違うような感じもしますが
よくよく考えると
大きな水脈はつながっているような感じがします。

川越市のウエスト川越という会場で行われた
テレビのコメンテーターとして最近よく出ている
岸博幸さんの経済の講演です。
演題は「これからの日本経済とくらしへの影響」。

岸博幸さんは元通産省の役人で
今では慶応大学の先生だけでなく
政治のさまざまなブレーンでもあるようです。
岸博幸さんは
最近の報道はアメリカの大統領関連のものが多いが
日本は今他国の心配をしているような状況ではないのではないと
問題提起していました。
やはり将来不安があるので
それを早急に払拭させる政策を準備実行しないといけない。
それは国家だけでなく
個人も同じで
自分の稼ぐ力を高めることが大切と話していました。

大きな水の流れは同じだと思いますが
その次の日20日に
埼玉桶川市にあるさいたま文学館で行われた
さいたま文学館特別講演会
第153回芥川賞作家羽田圭介さんの話は
羽田圭介さんの稼ぐ力の向上だったと思います。

演題こそ
「洗練と他者性」という何やら意味不明のものですが
芥川賞を受賞してからの
メディアへの露出度は
31歳の若者である羽田圭介さんの将来に向けた
稼ぐ力の種まきであったということです。
さまざまな経験が
羽田圭介さんの作家としての意識を高めていったという話で
岸博幸さんが言いたかったことの
まさに実践をしているのでしょう。


日本民族と呼ばれる私たちは
高度成長からバブルを経て
失われた何十年かで
まったく新しい人類を生み出したのかもしれません。
かつて
新人類と呼ばれた人たちがいましたが
そういう断層を明確に感じない訳ではありません。
そんなことを
考えさせられた2つの講演会でした。

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02/20/2017 やさいの絵本の紹介記事をまた載せて頂きました

やさいの絵本の紹介記事の2回めがアップされました。
こちらからご覧頂けます。


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02/20/2017 春一番といえばやっぱりキャンディーズ? - わたしの菜園日記(2月17日)

私の菜園で
イチゴのお世話と春からの土づくりの
講習会がありました。

講習を聞いただけで
実際の作業はあきらめましたが。
春一番武蔵野の池波あげて 水原 秋櫻子
春一番畑に鍬を放り出し 夏の雨

そうはいっても春一番も吹いたことですし
豆にかぶせていた不織布を
はずしました。

これは絹サヤの苗。
いつぐらいに花が咲くでしょうか。
花が咲けば
実は間近。

こちらがホウレンソウ。

大きく成長してくれました。
そこで今回は少し間引き。
間引きのあとは
ビニールを少し上げておきます。

こうしておくと
まだまだ寒いので
ホウレンソウは甘くなるといいます。
楽しみです。
今回収穫できたホウレンソウです。

ピンクの根っこがいかにもホウレンソウ。

今回は珍しい写真。
この花は何の花だかわかりますか。

これ、今若い女性に人気の
パクチーの花なんです。
畑から苗をもらって
家の水耕栽培で大きくなりました。
こういうことも
菜園の楽しみです。

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今日は
ケイティ・コットンさん文、
スティーブン・ウォルトンさん絵の
『ライオン1頭』という絵本を紹介するのですが
最初この絵本を見つけた時
ドキッとしてしまいました。
この絵本、普通の絵本よりサイズが大きくできていて
その表紙一杯に
ライオンのいかつい顔が描かれているのですから。
動物園ではさすがにこの距離で
ライオンと向き合うことはありません。
絵本ならではのご対面です。
しかもこの絵本は
動物保護という観点からも描かれています。
トラやゴリラが絶滅危機種なんて
知りませんでした。
そうみると、
ライオンの顔少し悲しげに見えます。
じゃあ、読もう。

まずなんといっても表紙のライオンの絵に引きつけられる。
描いたのはスティーブン・ウォルトンという人。独学で絵を学んだというからすごい。
色がついているわけではない素描ながら、なんとも引きつけられる。
ライオンだけではない。
この絵本にはほかに、ゴリラ、キリン、トラ、ゾウ、エチオピアオオカミ、ペンギン、ウミガメ、コンゴウインコ、シマウマが描かれている。
それらの動物たちに、数字がついている。
「ライオン1頭」「ウミガメ8匹」といったように。
この数字がこの絵本ではとても大切だ。
この絵本で描かれた動物たちは今絶滅の危機をむかえつつあるというのだ。
例えば、ライオンと並んで人気のあるトラだが、今「絶滅する危険性が非常に高い」動物で、この25年の間でその数は半分に減ってしまったという。
では、何頭かというと、およそ4000頭というのですから驚きだ。
ゴリラもウミガメもそうだ。
子どもたちにそういったことを話すことは難しいかもしれないが、その事実から逃げていてはいけない。
この絵本を広げれば、子どもたちはきっと目を輝かせるだろう。だって、動物たちが実に生き生きと描かれているのだから。
その時に話して欲しい。
これらの動物たちを大切にしないと、本当に絵本だけに生きる動物になってしまうことを。
巻頭に野生動物保護活動に励んでいるヴァージニア・マッケンナが言葉を寄せている。
その中の一節。
「動物も辛さや悲しみを感じます。自分の子どもを守り、勇気をだしたりおそれたりもします。わたしたち人間と同じなのです」
(2017/02/19 投稿)

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02/18/2017 ブラタモリ3(函館・川越・奈良・仙台):書評「観光地の見方が変わるかも」

今日は二十四節気のひとつ、雨水(うすい)。
草木が芽生える頃で、
昔から農耕の準備を始める目安といわれています。
書道部が墨擦つてゐる雨水かな 大串 章
そして、今日は土曜日。
近頃毎週土曜夜7時半から始まる
NHKの「ブラタモリ」という旅の番組を
楽しみにしています。
番組名でもわかるように
これはタモリさんがメイン。
それにNHKの女子アナウンサーが一緒に
まわります。
今は近江友里恵アナウンサーがコンビ。
それが本になったのですから
楽しみが増えました。
紹介するのは『ブラタモリ 3』。
函館、川越、奈良、仙台を
まわります。
じゃあ、読もう。

NHKの人気番組が書籍化され、この巻はその第3弾。
そもそもこの番組を知らない人もいるだろうから簡単に説明すると、タモリとNHKの女子アナウンサー(この巻に収められた放送でいうと桑子真帆アナウンサー)が与えられたお題を解明するべく、その土地をブラリと歩くというもの。
旅番組に括られるのかもしれないが、単に観光地を歩くとか名産品を食べ歩くとも少し違う。
例えば、この巻で紹介されている函館の場合、そのお題は「レールはどう函館を目指す?」と「函館の夜景はなぜ美しい?」となる。
川越は「なぜ川越は小江戸と呼ばれる?」で、奈良は「奈良発掘の秘密は“段差”にあり!?」と「観光地・奈良はどう守られた?」である。
誰もが一度は住みたい街仙台は「伊達政宗は「地形マニア」!?」と「杜の都・仙台の秘密とは?」となっている。
番組では観光地の案内とか名物料理はほとんど紹介されないが、本では少し紹介されている。
ただこの本を持って、つまり旅行ガイドのようにして、活用すべきかといえば、どうも違うような気がする。
むしろ旅行に行く前の予習本として読むのがいい。
お題を見てもらえばわかるように、その土地の興味が増すと思う。
もちろんグルメ好きには名物料理を食するのもいいだろうし、温泉好きには名湯が何よりだろう。
そこは少し見方を変えて、その土地がどのように出来上がっていったと探るのもまた愉しいである。
さあ、あなたもこの本持って、ブラタモリしてみませんか。
(2017/02/18 投稿)

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02/17/2017 漆に魅せられて(スザーン・ロス):書評「漆はどうして木扁ではないのか」

先日頂いた
haruさんのコメントで
「宜しければご一読を」と
オススメのあった本を
今日は紹介します。
スザーン・ロスさんの『漆に魅せられて』です。
コメントで
haruさんはスザーン・ロスさんのことを
「日本の伝統工芸を愛し、
日本の漆芸を情熱的に世界に向けて発信されている
素晴らしい女性」
と書かれていました。
まさにその通りの女性ですね。
haruさん、
いい本薦めて頂いて、
ありがとうございました。
じゃあ、読もう。

漆。うるし、と読みます。漆器とか日本の文化に深く関わってきました。
ところが、この漆という漢字はどうして「木扁」でなく「さんずい」なのでしょう。
それは漆の木からわずかな量の樹液しかとれない。そういう思いがこの漢字に現れていると言われています。
イギリスで生まれ、ある時、漆の美に引き寄せられるように日本にやってきた女性スザーン・ロスさんのこの本の中では「漆は木の血液」という表現が使われています。
スザーン・ロスさんについてもう少し書いておくと、彼女は22歳の時に日本に来て漆の勉強を始めます。
結婚後、住まいを輪島に構え、四半世紀近くを漆と共に暮らしてきました。
この本では漆に関わる歴史や仕事だけでなく、スザーンさんの少女時代のことも語られています。
日本に来て輪島で古民家を一から修繕し、自分たちが住みやすい環境に変えていく姿も描かれます。
あるいは祖母や母と自分、夫のクライブと自分、二人の娘さんたちと自分、漆の教えを受けた先生たちと自分といった、人の世界の関係も描かれています。
「人間は、ともすると楽な方へ流れてしまうもの。でも、苦しみがあるからこそ、本当の喜びがあります」なんて、日本人のような考え方もうかがえます。
しかし、スザーンさんは英国人です。
日本を愛している、けれど日本人ではないスザーンさんだからこそ見えている多くのことがあります。
この本を読んであらためて日本という国、日本人という生き方について考えさせられることが多くあるような気がします。
「迷い道では出会いがある。それは人生の模様」、そういうスザーンさん。
私たちはいつの間にか「迷い道」を避けてきたのかもしれません。
(2017/02/17 投稿)

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02/16/2017 本日は、お日柄もよく(原田 マハ):書評「素直に泣けますよ、この作品」

先日紹介した
山本周五郎の『小説 日本婦道記』で
泣いたということを
このブログにも書きましたが
なんだか続けざまで恥ずかしいのですが
今日紹介する
原田マハさんの『本日は、お日柄もよく』でも
泣いてしまいました。
涙もろくなってますな、最近。
終盤に涙腺直撃の文章を書き留めておきます。
困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、
想像してみるといい。
三時間後の君、涙がとまっている。
二十四時間後の君、涙は乾いている。
二日後の君、顔を上げている。
三日後の君、歩き出している。
ね、いいでしょ。
歩き出すために足があるんだよ。
とも。
泣きたい人にオススメです。
じゃあ、読もう。

今やアート小説の旗手である原田マハさんが2010年に書いた作品が文庫化され大ヒットとなったのがこの作品である。
ここにきて、ドラマ化までされるのであるから、驚きだ。
だったら、どんな物語なのか読んでみたいと思うじゃないですか。
そして、読み終わったあと、この文章を書いている訳ですが、売れる理由がわかるなぁ。
だって、素直に泣けますよ、この作品。
ごく普通のOLだった二ノ宮こと葉。普通のといいながらも、おばあちゃんは有名な俳人だし、知人には大政党の幹事長だった人もいるから、ちょっと普通以上。
そんな彼女が幼馴染で少しは思いを寄せていた厚志君の結婚式で出会ったのがスピーチライターの久美さん。
これが運命的な出会いというもの、こと葉は会社も辞めて、久美さんの事務所に。しかも厚志君が亡くなったお父様のあとに国勢選挙に出馬することになって、こと葉はそのスピーチライターとなるわけですが・・・。
正直にいえば作品の中盤あたりで少しダレてしまうところもない訳ではないが、ここでやめたらもったいない。
終盤に向けて、滂沱の涙となること間違いない。
つまり泣かせるツボを心得ているんですよね、原田さんは。
初期の原田作品はそのような感じですが、最近はじんわりとくる書き方になっている。
どちらがいいかは別にして、最近なんだかもやもやしている人は涙で洗い流してみるのもいいのではないか。
いいですよ、物語で流す涙も。
(2017/02/16 投稿)

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02/15/2017 雑誌を歩く - 「文藝春秋」3月特別号 : すわ! 春風亭昇太さんが文藝春秋乗っ取りか。

文藝春秋は
購入するようにしている。
だから、
その号だけは割と隅々まで
あの分厚い文藝春秋を読むことになる。

山下澄人さんの第156回芥川賞受賞作『しんせかい』が掲載されている
「文藝春秋」3月特別号(文藝春秋・970円)の
その隅の方で見つけたのは
目次カットの水森亜土さんのイラスト。
いつからここに描かれていたかは知りませんが
懐かしいな、水森亜土さんの女の子。
もういっぱつで
水森亜土の絵だとわかりました。

横綱昇進を決めた稀勢の里でも
特集「豹変するアメリカ」に登場するトランプ大統領でも
もうひとつの大特集「理想の逝き方を探る」の橋田壽賀子さんでもなくて
「笑点」司会者の春風亭昇太さん。
この号では「日本の顔」というグラビアだけでなく
「この人の月間日記」という記事にも登場。
すわ! 春風亭昇太さんが文藝春秋乗っ取りか。
それぐらい度出度が高い。
山下澄人さんも霞んでしまう。

巻頭随筆「日本再生」で立花隆氏が
トランプ大統領を論じて
「アメリカ大統領選は(中略)まだ途中経過ぐらいに考えたほうがいいのではないか」
という文章。
この一節、先日の日本経済新聞朝刊の一面コラム「春秋」にも
取り上げられていました。
やっぱり「文藝春秋」を
読む人多いんだろうな。

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02/14/2017 俳句世がたり(小沢 信男):書評「俳句を日記のようにして」

今日はバレンタインデー。
いつ渡そバレンタインのチョコレート 田畑 美穂女
すっかり定着した愛の日ながら
俳句の世界では
いまひとついい句がないように思います。
バレンタインという6文字が
作句にあわないのかも。
それでも
さがせば冒頭の句のような
いかにもという感じの俳句が見つかります。
そんな俳句に思いのままの文章をつけたエッセイ集
小沢信男さんの『俳句世がたり』を
紹介します。
日々の生活にあった俳句をみつけた時のうれしさは
きっと誰にもあると
思います。
じゃあ、読もう。

この新書は岩波新書ではあるが、この本の基となった初出連載はみすず書房の月刊誌「みすず」だというから、岩波とみすずも気が合ったのであろう。
気が合うといえば、俳句とエッセイというのもうまがあう。
「おりおりにこころ惹かれる句々を手控え」、それらを「日々の思案や感慨の、引きだし役やまとめ役」としてエッセイが生まれる。
月刊誌での連載であるから、それが1年11本。1本少ないのは合併号がはいる影響らしい。
そうはいっても、どうも著者のなかでは揺るがない歳時記があるようで、例えば3月は東京大空襲だし、8月は原爆に終戦。9月は関東大震災。
これらはどうも不動らしい。
それに2011年の東日本大震災が加わり、原発事故にも関心は向く。
そもそも著者は1927年生まれというからその気概の若々しさに頭がさがる。
そういう著者だから、「十七文字ぐらいどこでもヒネれて、四季おりおりの推移が楽しめ」る俳句は老人の趣味といいたくもなるが、俳句には詩以上の「老壮青にもまたがるみずみずしさが、なおあるか」とつぶやくのもわかる。
それにしても、俳句という文芸の多彩なことか。
きっと人の一生がどれほど伸びたとしても枯れることのない泉のごとくであろう。
その泉をどれだけ見つけることができるかで、その人の人生の豊かさも変わってくるのではないか。
この作品は、著者の人生は豊かだからこそ誕生したものだと思う。
(2017/02/14 投稿)

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02/13/2017 白梅に紅梅、春まぢか - わたしの菜園日記(2月12日)

関東では
そろそろ梅が盛りとなってきました。
白梅の花に蕾に枝走る 倉田 紘文

まさにこの句のような
写真が撮れました。
こちらは紅梅。

紅梅の紅の通へる幹ならん 高浜 虚子
さすがに古代から詠われてきた花だけあって
名句が多い。
白梅や翁と呼ぶな痩せ我慢 夏の雨
これは駄句、でした。

今日は私の菜園のインフラをご覧にいれましょう。
これは管理小屋の中に並んだ
スコップと鍬。

畝づくりには欠かせません。
そして、こちらが
整然と並んだジョウロ。

水まわりも完備されているので
畑の水やりも楽です。

「スゴい畝のつくり方」。
この時期はどうしても
夏野菜に備えての
土づくりがメインになります。
別冊付録に
「有機質肥料使い方ガイド」が付いています。
こういう地道な努力が
おいしい野菜をつくるのでしょうね。

今のナバナ。

地味ですが、
春を連れてくる野菜です。

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02/12/2017 ねずみくんとゆきだるま(なかえ よしを/上野 紀子):書評「ねずみはつらいよ?」

今年は暖冬というより
寒い冬という感じがするのですが
どうでしょうか。
暦の上では春だし、
町のあちらこちらの梅の木も
ちいさな花をつけているのですが
まだまだ寒い。
2月なんだし、
寒さの底はまだこれからか。
今日の絵本は
そんな季節のぴったしの一冊。
なかえよしをさん文、上野紀子さん絵の
『ねずみくんとゆきだるま』。
都会では雪が降れば
ゆきだるまということになるのでしょうが
雪国では
生きることがつらいほどの雪なのですもの。
この差は大きい。
じゃあ、読もう。

表紙のゆきだるまに横にちょこんと立っている「ねずみくん」を見て、あのチョッキのねずみくんだと気がつく人は多いと思います。
それくらい「ねずみくん」は絵本の世界では有名人(ねずみ?)なのです。
最初の『ねずみくんのチョッキ』が出たのは1974年。それ以来、シリーズ化され、41冊も出ています。最近でも毎年一冊は新しい作品が出ているのですから、絵本界の「男はつらいよ」(ねずみはつらいよ?)です。
この作品は2001年に出版された、「ねずみくんの絵本15」となっています。
雪の降る季節にぴったりな作品です。
「ゆきがっせんを しよう」、「ねずみくん」は画面右側に向かって、小さな雪玉を投げています。
すると、大小4つの雪玉が投げ返されてきます。
投げたのは、ぞうさん、くまさん、ライオンさん、うさぎさん。
確かに、動物たちの大きさで雪玉の大きさもちがってきます。
雪が降ると、雪がっせんのほかにも雪だるまを作ったり、スキーをしたり、楽しい遊びがたくさんあります。
「ねずみくん」は大好きな「ねみちゃん」とソリ遊びをしようと山のてっぺんにやってきます。
ぞうさんたちはスキーで遊んでいます。
「ねずみくん」はスキーは苦手。ところが、うさぎさんに誘われて、山のてっぺんからすべることになってしまいます。
すべる? 「ねずみくん」の場合は転がるですね。
さあ、どうなるのでしょう。
「ねずみくん」シリーズはキャラクターの魅力でもあります。
そのあたりも映画「男はつらいよ」に似ています。
(2017/02/12 投稿)

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02/11/2017 落陽(朝井 まかて):書評「朝井まかての「坂の上の雲」」

今日は建国記念日。
もともとは紀元節と呼ばれていました。
明治5年に制定されたとありますから
今日紹介する
朝井まかてさんの『落陽』で描かれた時代には
すでにあった祝日です。
さて、この小説ですが
明治神宮造営に至る経緯を
描いています。
平成の私たちからすると
神宮の杜は
とても森閑とした鬱蒼とした森ですが
実は森には適さないと
最初はこの地に造営することに
反対もあったようです。
そういうことを思うと
今私たちはなんとも尊い光景を
目にしていることでしょう。
じゃあ、読もう。

明治神宮に参拝すると、その沿革を記した掲示がある。そこにはこの地が井伊家の下屋敷址ということが記されているが、じっくりと読む人はあまりいないのではないかと思う。
ましてや本殿を囲む森閑とした神宮の杜について、ここが大正期に造営されたと知る人も少ないのではないだろうか。
その事実を知ると、壮大な計画や造営に驚くばかりだ。
ではそれはどのように作られていったのか。
直木賞作家の朝井まかてさんはその過程を実に丹念に描いていく。
これは小説であるが、そこには多くの事実が描かれている。だから、巻末につけられた「参考文献」の数々を今回はじっくり見た。
それらの中から何を描き、何を省略し、何を描かなかったか。
明治神宮がどのようにして造営されていったという記録というより、その周辺で蠢く訳ありな新聞記者亮一を配することで、朝井さんは明治天皇という幕末から近代国家を成立させた帝の思いとその思いのもとに生きた明治の人たちの姿を描いていったと読める。
つまり、この作品は朝井さんの「坂の上の雲」ともいえる。
幕府の崩壊、明治という国家の誕生、日清・日露の戦争、それらを経て、日本は「帝の国」を作り上げた。
そのことを主人公の思いに託して、「明治という時代はやはり「奇跡」」であったと、朝井さんは書く。
明治神宮の造営はそういう「奇跡」が成し遂げたものだし、朝井さんがこの作品を書きあがたのもまた「奇跡」といえば大げさになるが、心のこもった一作になった。
(2017/02/11 投稿)

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02/10/2017 暮らしを彩る和紙オリガミ(山梨 明子):書評「私にも折れます」

今日は珍しい
折り紙の本の紹介です。
山梨明子さんの
『暮らしを彩る和紙オリガミ』。
この本は
いつもの書評サイト「本が好き!」から
献本頂きました。
やはりこういう本こそ
そばに置いておかないと
いざ作ろう、折ろうと思った時に
やっぱり困ると思うのです。
私が一番気にいった折り紙は
箸包み。
ようじ入れもついた優れもの。
しかも、
折り方も簡単。
さっそくやってみよう。
じゃあ、読もう。

手先が不器用だ。
だから、折り紙の鶴だって、うまく折れない。
まっすぐに折るところが斜めになったり、山と谷が重なり合わなかったり、性格ががさつなせいか、根気がないからなのか、折り紙にも人間性が出てくるようだ。
そうはいっても興味があるのは日本人だからだろうか。
折り紙の技があれば、少しはこの国に生まれたという喜びもわきそうだ。
この本はタイトルにもあるとおり、折り紙の教本だ。
著者の山梨明子さんは著者略歴によれば、20代の頃から折り紙の創作活動を行って、現在では日本折紙協会(そんな協会があることも知らなかったが)の理事まで務めているという。
だから、紹介されている折り紙の写真がとてもいい。
お菓子を入れた小さなバスケット、箸包み、立体コースター、ギフトボックス、髪留め、ランプシェード、しおり、カード入れ、そのほかそのほか。
生活のさまざまな場面に小さな折り紙の世界が美しい。
もちろん、その作り方もやさしくていねいに説明されている。
やはりこういう教本は折る手順がわかりやすいということが重要だろう。
二色刷りでわかりやすく図解されている。
そして、もうひとつ、この本では和紙の魅力が欠かせない。
和紙の持っている質感が折り紙と見事にマッチしている。それが作品になった時、それがその場の空気を和ませてくれる気がする。
美濃和紙の作り手でもある古川慎人さんとの対談もおさめらている。
それに、この本特製の「美濃和紙オリガミ」が10枚もついているのも、うれしい。
(2017/02/10 投稿)

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02/09/2017 小説 日本婦道記(山本 周五郎):書評「久しぶりに小説を読んで、泣いた。」

山本周五郎が亡くなって
今年(2017年)は没後50年ということで
正月元旦の朝日新聞に
直木賞作家の葉室麟さんが文章を寄せていました。
その中で
葉室麟さんが山本作品のベストワンに挙げていたのが
今日紹介する
『小説 日本婦道記』でした。
読了して
もう言葉もないくらいに
感動しました。
こんな名作をこの歳になるまで知らずにきたなんて
なんともったいのないことだったことでしょう。
若い時であれば
ここまで感動しなかったかもしれないことを考えれば、
私とこの作品は
この歳でめぐりあう運命だったのでしょうね。
人間にとって大切なのは
「どう生きたか」ではなく、「どう生きるか」にある
これは「二十三年」という短編にある一節です。
これもまた
なんと深い言葉でしょう。
じゃあ、読もう。

山本周五郎はこの作品によって第17回直木賞(昭和18年)に選ばれたが、「もつと新しい人、新しい作品に当てられるのがよいのではないか、さういふ気持がします」とこれを辞退している。
この時、山本は40歳で、若くもないが、その後の大いなる活躍をみると、まだまだ「新しい人」だともいえたのではないだろうか。
もっとも、その後も山本はいくつかの賞を辞退しているから、気骨の人でもあったのだろう。
この作品のことを新潮文庫の木村久邇典氏の解説から引用すると、本来この連作集は全部で31篇あるが、昭和33年に新潮文庫に入る際山本自身が11篇に絞って選定したという。
そのタイトルを列記すると、「松の花」「箭竹」「梅咲きぬ」「不断草」「藪の蔭」「糸車」「風鈴」「尾花川」「桃の井戸」「墨丸」「二十三年」となる。
どの作品も実に見事。簡にして優雅、哀しいという言葉がこれほどあう小説も珍しいのではないか。
久しぶりに小説を読んで、泣いた。
中でも私は「糸車」という作品にもっとも心打たれた。
幼い頃家の貧しさで里子に出されてお高。年月を経て皮肉にも出された家は没落し、実家は隆盛をほこることになる。実の親はお高を実家に戻そうと図るのであるが、お高の心は育ての家にある。
お高は云う。「仕合せとは親と子がそろって、たとえ貧しくて一椀の粥を啜りあっても、親と子がそろって暮らしてゆく、それがなによりの仕合せだと思います」
もうひとつ、「風鈴」という作品にあった、こんな言葉も書き留めておきたい。
「たいせつなのは身分の高下や貧富の差ではない、人間と生まれてきて、生きたことが、自分にとってむだではなかった、世の中のためにも少しは役だち、意義があった、そう自覚して死ぬことができるかどうかが問題だと思います」
山本周五郎を読むなら絶対おすすめの一冊です。
(2017/02/09 投稿)

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02/08/2017 貸本マンガと戦後の風景(高野 慎三):書評「こういう時代だったことを忘れてはいけない」

昨日キネマ旬報のベストテンの話を
書きましたが、
同じ頃マンガにも夢中になっていて
「COM」なんかはよく読んでいました。
ただ残念ながら「ガロ」は読まなかったな。
だから、
つげ義春とか白土三平のすごさに
疎いまま過ごしてきた感があります。
今日は「ガロ」以前の
貸本マンガが全盛であった頃のことを描いた
高野慎三さんの『貸本マンガと戦後の風景』を
紹介します。
書評にも書きましたが、
私は貸本屋さんには行った記憶がありません。
家の近くになかっただけだったのかもしれません。
紙芝居は見たことは
覚えているのですが。
じゃあ、読もう。

現代のマンガ文化の隆盛は突然起こったものではない。
マンガ史をたどれば、手塚治虫漫画に代表される優等生的なマンガ(それであっても酷評された歴史がある)がある一方で、暗いイメージをもったマンガも多く量産されていた時代があった。
それが「貸本マンガ」である。
著者は「貸本マンガを戦後史的な文脈のなかで捉え直そうと」、マンガ研究だけではなく歴史の側面にも光を与えようとしたのが、この本である。
そもそも「貸本マンガ」とは何だったのか。
その登場は1953年で、消滅したのは1968、9年だという。
最盛期には全国で2~3万軒の貸本屋があったそうだ。
貸本料金が「一冊10円、一日増毎5円」。
私は1955年の生まれだが、残念なことに貸本屋の記憶が全くない。生まれた土地にもよるのだろうが、近所にはなかったのだろう。
だから、そのシステムはよくわからないが、現代でいえばCDやDVDのレンタルショップ店に近いのだろうか。
そういえば、コミックのレンタルもある。
ただ一般に流通している小説やマンガではなく、貸本向けに描かれた作品が多かったようだ。初期の頃は紙芝居作家の作品も多くあったようだ。
そののち、白土三平や水木しげる、あるいはつげ義春といった、のちのビッグネームが登場してくる。
この本でもつげやその弟のつげ忠男、小島剛夕といった特異な漫画家の作品も取り上げられている。
いずれにしても、こういう時代があって、マンガは現代に続いている。
そのことを忘れてはいけない。
(2017/02/08投稿)

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夢中になった時期があります。
高校生の頃ですから
ちょうど映画に一番のめり込んだ時期です。
そのキネマ旬報が選ぶ
年間ベストテンは日本の映画界では
もっとも権威ある賞ともいわれ
ニュースになるぐらい。
その表彰式に行きたい行きたいと
思い続けて
およそ半世紀。
ついに念願叶って
「第90回 キネマ旬報ベストテン 第1位映画鑑賞会と表彰式」に
行ってきました。


開場30分前に着いたのですが
もうすでにずらーりと列ができています。
そばで並んでいた人曰く、
去年は嵐の二宮和也さんが男優賞だったので
もっとすごかったそうです。
この日は
文化映画・外国映画・日本映画の第1位作品の上映もあるので
昼ごはん持参でがんばりました。

外国映画 ハドソン川の奇跡 96分
日本映画 この世界の片隅に 126分
となります。
映画3本立てのような感じで
そんな映画の見方も
学生の頃以来です。
どの作品もよかったので
3本続けて観ても
疲れもしませんでした。
なかでもよかったのは
文化映画の『ふたりの桃源郷』だったかな。
この映画は山での自給自足の暮らしをしている老夫婦の姿を
20年以上追い続けたドキュメンタリー映画で
親の介護の問題等
現代に鋭く、けれど優しい視点で問いかけてくる作品でした。
こういう映画が
もっとたくさんの劇場で上映されたらいいのに。

歴代のベストテン号の表紙が
展示されていました。
記憶に強く残っているのが
1972年の第46回ベストテン。
私が17歳の時。
写真でいうと
左下のスティーブ・マックイーンが表紙のもの。

日本映画の第1位が「忍ぶ川」でした。
それからたくさんの水が橋の下を流れ、
今回の90回のベストテン号の表紙が
こちら。
主演女優賞の宮沢りえさん、
主演男優賞の柳楽優弥さんの写真です。

横にあるのが
記念のトロフィー。
アップにするとこんな感じ。

実はこのトロフィー、
実際に手にすることができました。
結構重量があります。
手にしたら
すっかり男優賞気分? だったりして。

いよいよ表彰式。

今回はなんと
「この世界の片隅に」で主人公すずの声を演じた
のんさんがゲストで登場。
最後にすずの声で
「ありがとうね」って言ってくれました。
助演女優賞を獲った杉咲花さんもかわいかった。
でも、仕事の関係で遅れて入ってきた
宮沢りえさんが登場してきた時は
さすがに大輪の花が咲いたように
しびれました。
賞の最後は
読者賞を獲った川本三郎さん。
川本三郎さんはすでにこの賞を何度も獲られている
常連受賞者。
きっと川本三郎さんの映画文章で
映画が好きになった人も
たくさんいると思います。

いやあ、映画って
やっぱりいいですね。

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02/06/2017 立春におしるこ大会 - わたしの菜園日記(2月4日)

なかなか難しいもので
梅という字がついているから
春の季語かと思っていたら
冬の季語だという花があります。
それが蠟梅。

黄色い花が特徴のかわいい花です。
蠟梅を無口の花と想ひけり 山田 みづえ
だから、歳時記は欠かせません。

菜園でおしるこ大会が開催されました。

このおしるこ、残念ながら私の持っている歳時記に出ていません。
では、白玉はどうかというと
これは夏の季語。
隣人と白玉汁粉冬終わる 夏の雨
こんなふうに使うのでしょうか。
今回はたくさん人が手伝いに参加されていたので
にぎやかに楽しめました。

これが今の菜園風景。

防虫ネットだらけですが
これは鳥害防止のため。

イチゴの姿を紹介します。

この写真を見てると
まだまだですね。
ちなみは
イチゴは夏の季語。
春だと苺の花となります。
うーん、俳句も難しい。

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02/05/2017 スモウマン(中川 ひろたか/長谷川 義史):書評「日本人は相撲が大好き」

稀勢の里関、
遅くなりましたが
横綱昇進おめでとうございます。
正直稀勢の里関は
愛想がなくて苦手でしたが
横綱昇進を決めた先場所、
稀勢の里関の頬を一筋
涙がつつーっと流れるのを見て
大好きになりました。
男はああでなくちゃ、です。
そこで
相撲の絵本がないかと調べました。
なんとありました。
中川ひろたかさん文、
長谷川義史さん絵の
『スモウマン』。
稀勢の里関、
ぜひスモウマンに負けない
強い横綱になって下さい。
じゃあ、読もう。

稀勢の里が第72代横綱になって、日本中が湧き立っています。
なんといっても、19年ぶりの日本出身の横綱の誕生ですから、皆さんヒートアップするのもわからないでもない。
若い人などは横綱に日本人がいたことも知らないかもしれない。
まさに稀勢の里さまさま、「満員御礼」です。
こうしてみると、色々な中傷や叱責はあるものの、日本人というのは相撲が好きなんだと思います。
何しろ国技である。
だったら、強いヒーローが出てきても不思議はないと作者の中川ひろたかさんは考えたかどうか知らないが、この絵本の主人公は強いヒーロー「スモウマン」なのだ。
どこかで助けを呼ぶ声あれば、稽古中であってもむかいます。
土俵まわしをマントにようにして(これっていいのかな)、空だって飛んでしまいます。
現われた途端に塩をまく、なんてちょっと卑怯っぽくもありますが、つっぱり、うちがけ、最後は上手投げ、と技が多彩なのはさすがです。
お腹のすいている女の子を相撲部屋まで連れて帰って、ちゃんこまでごちそうするのですから、さすがは日本のヒーロー。
なんといっても、長谷川義史さんの絵がすばらしい。
背景に描かれた小道具にも注目です。
この絵本、2002年に出版されてそのあとも着実に重刷されています。
やっぱり日本人は小さい時から相撲が好きになるように刷り込みされるのかな。
でも、さすがに国技館で「スモウマーン」なんていう声援は聞いたことがありません。
(2017/02/05 投稿)

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02/04/2017 モネのあしあと(原田 マハ):書評「原田マハさんはポスト・マン」

今日は立春

立春の庭に捨てられ鬼の面 原 コウ子
まさに「暦の上では春ですが…」といわれる
立春ですが
やっぱり春になるのはうれしい。
そんな気分で
今日はこの一冊を紹介します。
原田マハさんの『モネのあしあと』。
モネというのは
印象派の画家クロード・モネのこと。
春の気配が感じられたら
モネの画集でも開いてみるのも
いいかも。
立春やモネの画集に紅茶そえ 夏の雨
じゃあ、読もう。

最近の原田マハさんの活躍は目を見張るものがあります。
旧作もブレークしているようだし、新作も次から次へと出版されています。
『楽園のカンヴァス』以降、自身のアートについてのキャリアを生かしてアート小説という分野を確立した気配さえあります。
この新書は小説ではありませんが、原田マハさんが愛してやまないクロード・モネ(1840~1926)の生涯と作品、そして原田さんが書いた小説『ジヴェルニーの食卓』に込めた思いなどがまとめられています。
原田さんが日本で開催されたモネ展で行った講演がもとになっていますから、とても読みやすい内容です。
しかも、モネだけでなく印象派の作品ができるまでの美術界の動きといった美術の概要はつかめます。
何しろモネは印象派が生まれるきっかけとなった「印象―日の出」の作者でもあります。
面白いのは日本人が印象派の作品をとても好きなことです。
そのことの理由を原田さんは「印象派の作品の中には、日本美術が生かされているので、私たちが見ても親しみを感じ、また安心感を覚える」と分析しています。
つまり、「心で感じる」絵画だと。
もちろん印象派だけが美術ではありません。
「美術作品とは、時間と記憶がすべてパッケージされた、アーティストからのメッセージ・ボックス、いわば過去からの手紙のようなもの」と原田さんは書いています。
だとすれば原田マハさんはそんな手紙を私たちに届けてくれるポスト・マンなのです。
(2017/02/04 投稿)

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今日は節分

節分や海の町には海の鬼 矢島 渚男
今は豆まきというよりも
巻きずしの丸かじりの方がよほど定着している。
今年の恵方は北北西。
どうぞ、
皆さん北北西を向いて
丸かじりして下さい。
そんな節分の日に紹介するのは
ジェリー・ミンチントンの
『うまくいっている人の考え方 完全版』です。
鬼といえば
人の心にも鬼は棲みつきますが
そういうものを追い払うためにも
読んでみるのも
いいかもしれません。
この本にこうあります。
幸せは、自分でつくり出せる感情だ。
じゃあ、読もう。

この本、売れているらしい。
本の帯には累計の販売点数が大書され、書店の平台に今でも置かれている。
どうしてこの本がそこまで売れるのか、何しろこの本は1999年に刊行された本編とその5年後に刊行された続編を合わせた「完全版」で、この本自体が発売されて3年以上経つ。
それなのに、まだ売れているらしい。
その理由はおそらくこの本のテーマにあるようだ。
ずばり、「自尊心をどう高めるか」。
自尊心というのは、この本によれば、「自分を好きになり、他人と同じように自分も素晴らしい人生を創造するに値する人間だと信じる気持ち」ということになる。
2016年に大ヒットしたテレビドラマでも「自尊感情」が低い青年が登場していたが、この本が売れているのはそういった「自尊感情」の低い人が多いということの証でもある。
この本では自尊心を高めるための方法が100紹介されている。
いずれも難しいことではない。
例えば、「ほめ言葉は素直に受け入れる」。
この本では人からほめられて居心地が悪いのは謙虚ではなく、自分にはそれだけの価値がないと思っているからだと説明されている。
例えば、「自分の望む人生を歩む」。
何を当たり前だと思う人もいるだろうが、きっと多くの人はそれができれば苦労はしないと思うのだろう。
最後に「訳者あとがき」で「とくに大切なのは、他人と比較しない」とある。
結局は、自分の価値は自分の個性にあって他人と比べてもしかたがないといった原点のところに戻ってくる。
(2017/02/03 投稿)

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2016年12月の求人倍率が
25年ぶりの高い水準になったらしい。
これは好景気というよりも
人手不足の深刻化ということだろう。
その一方で
政府主導の「働き方改革」が声高に言われているが
本当は働く人自身の
意識改革が先に必要なんだと思います。
そこで今日は
岸見一郎さんの
『アドラーに学ぶよく生きるために働くということ』という本を
紹介します。
この本を読むと
今でこそ岸見一郎さんは大著名人ですが
数年前はそうでもない。
人生とは本当にわからないということが
実感できます。
まず、働く人自身は
その働き方自分に合っていますかという問いかけが
必要です。
じゃあ、読もう。

最近しきりに「働き方改革」といわれる。
若い人が長時間労働といった過酷な労働条件下で命を失った痛ましい事件をきっかけに「長時間労働」に対する改善を求める声が大勢をしめる。
けれど、「長時間労働」がよくないというのは今に始まったことではない。
「ワークライフバランス」などといった言葉が流行したのは随分前だ。
きっとその当時に会社にはいった人が現在では中堅どころとなっているだろう。それなのに少しも浸透しないのは何故か。
「働く」という意味を理解しないまま、色々な改革を実現しようとしても空疎だ。
もしかしたら、いろんなことを議論するよりは、まずこの本を読むことから始めた方がいいかもしれない。
昨今のアドラー心理学の火付け役でもあった岸見一郎氏のこの本はタイトルでもわかる通り、「働く」ということの意味を説いた一冊である。
「アドラーに学ぶ」とはあるが、まさに「アドラーに学んだ」岸見氏が自身のこれまでの生き方やキャリア、病歴に至るまでを綴ることによって「働く」意味が説かれているので、わかりやすい。
その中で岸見氏は、「人はよく生きることを願っているのであり、働くのもただ生存するためではなく、よく生きるためであるというのが、「生きるために働く」ということの意味」と書いている。
このことは重要である。
これを間違うと、生きるそのものの意味がない。
「働くことも生きる営み」なのだから、そこに「過剰な負担」や「自分らしく生きること」を困難にするのであれば、「働く」ことの意味を考えなおすべきだともしている。
岸見氏のメッセージは明確だ。
「職場は誰かが変われば必ず変わります。その「誰か」はあなたです」。
この本から「働き方改革」を考えてもいい。
(2017/02/02 投稿)

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02/01/2017 今月の「100分 de 名著」 - ガンディー『獄中からの手紙』:カタツムリのように

トランプさんの言葉と行動に
世界の注目が集まっています。
ただどのような称賛も批判もまだ始まったばかりで
本当のドラマはこれからでしょうし、
トランプ大統領の真の評価は
これから何年も先のことかもしれません。

しかし、その多くはその死後
影の部分が明らかになっていくことも
しばしばあります。
まして、
名前は知っているが
一体どのような功績を為したのか
知らないということも
多くあります。
今月のNHKEテレの「100分 de 名著」で取り上げられる
ガンディーはどうでしょうか。

よく耳にするのは「非暴力主義」という言葉ぐらいです。
ガンディーは大戦後のインド独立運動とともに
国内での宗教対立に「非暴力」で臨みましたが
残念ながら
インドとパキスタンの分離独立になってしまいます。

ガンディーはこうして半世紀以上経った今も
支持されるには
理由があるはすです。
この一か月、
そのことを学んでいければいいですね。
テキストはガンディーの『獄中からの手紙』。
今回の講師は
東京工業大学教授の中島岳志さん。
第1回めは2月6日で
「政治と宗教をつなぐもの」、
以下、
「人間は欲望に打ち勝てるのか」、
「非暴力と赦し」、
「よいものはカタツムリのように進む」。

「よいものはカタツムリのように進む」ですが
近代にはいって
社会は鉄道のような速いものを優れたものと評価しがちです。
しかし、
「鉄道の速さは、真実の速さではない。
カタツムリの速さ、あるいは人がこうしてとぼとぼ歩く速さこそが、
正しいスピードではないか」と
ガンディーは考えていたのではないかと
テキストにあります。


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