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プレゼント 書評こぼれ話

  村上春樹さんはその小説を
  まだ欠かさずに読んでいる
  私にとって稀有な人です。
  翻訳本も初期の頃は
  ついていけていましたが
  あまりの量に
  とうとうついていけなくなりました。
  一体どれだけ翻訳したのか、
  それをまとめたのが
  今日紹介する
  『村上春樹翻訳(ほとんど)全仕事』。
  最初の頃のレイモンド・カーヴァー本なんか
  懐かしかったな。
  私が好きだったのは
  カポーティの『クリスマスの思い出』かな。

  じゃあ、読もう。


  

sai.wingpen  村上春樹のいる風景                   

 もし村上春樹がいなかったら、私たちはレイモンド・カーヴァーというアメリカの作家の作品を読むことはなかったかもしれない。
 あるいはスコット・フィッツジェラルドという作家の再発見もなかったかもしれないし、サリンジャーもチャンドラーも新しい翻訳でめぐりあうこともなかったのではないか。
 村上春樹が翻訳をしたから彼らを読んだというのは言い過ぎだろうか。

 村上春樹が『風の歌を聴け』で小説家デビューしたのが1979年。随分長い職歴になったものだ。
 しかも副業ともいえる翻訳本も70冊くらいあるというのだから、普通の会社なら上司から嫌味のひとつくらい言われそうだ。
 まあ本業もしっかりしているから嫌味もでないのだろうけど。
 その副業のほうの仕事ぶりを「ほとんど」全部まとめたのがこの本だ。
 最初のカーヴァー本は1983年の『ぼくが電話をかけている場所』で、このタイトルそのものが村上春樹らしい。

 この本では村上春樹の翻訳した本が「ほとんど」紹介されているのに合わせて、同期(会社でいえばちょっと若いのにメチャ優秀な奴)の柴田元幸との対談がいい。
 案外この対談のなかに小説家村上春樹を知るヒントが隠されたりする。
 例えば、「翻訳作業が僕の教室みたいなもの」だったり、「角を曲がると新しい光景が出てきて、それをそのまま描写する」みたいであったり。

 きっと村上春樹にとって翻訳という副業があったからこそ小説家という本業が成功したのだろうな。
  
(2017/05/26 投稿)

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