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プレゼント 書評こぼれ話

  岩波文庫で読む芥川龍之介作品の
  第二弾である。
  今回は『蜜柑・尾生の信 他十八篇』。
  この本を選んだのは
  「蜜柑」を読みたかったからだ。
  この短編を読むのも
  何十年ぶりだが、
  書評にも書いたように
  クライマックスの印象は
  今回読んでも
  鮮烈でした。
  こうして見ていくと
  芥川龍之介って
  いい作品書いていますね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  暮色に黄色い蜜柑が                   

 芥川龍之介の数多い短編の中で「蜜柑」は好きな一篇だ。
 それをいつ、何の機会に読んだのか、国語の教科書でもあったのだろうか、記憶ははっきりしない。
 それでも、この作品の終盤、主人公の少女が汽車の窓から放った蜜柑の黄色い色彩は鮮明に覚えているのは、この作品の衝撃性だし、芥川の文章力といっていい。
 原文ではこうだ。
 「暮色を帯びた町はずれの踏切りと、小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱落する鮮な蜜柑の色とー」、そして語り手である「私」の心に、「切ない程はっきりと」この光景が焼き付けられるのは、読者も同じである。
 このクライマックスにかけて、それまで語り手の「私」の精神を悩ませた少女の傍若無人さは、ここで一気に逆転する。
 それこそ、蜜柑の持っている視覚的効果だろう。
 子供の頃の私の心に、深く刻んだ、蜜柑の黄色。きっとその鮮烈さはいつの時代であっても古びない。

 岩波文庫のこの集では、他に芥川最初の小説「老年」、人の前でついはめをはずし命まで落としてしまうことになる「ひょっとこ」、盗みを働いて男を捕まえて初めて知る人間の哀れを描いた秀作「猿」、そして表題にもなっている「尾生の信」(表題にはなっているが芥川の作品にこういうものがあったのは知らなかったし、表題になるような短編とも思えなかった)など、全部で二十編の短編が収められている。

 芥川龍之介は巧い書き手であると、改めて感じた。
  
(2017/09/14 投稿)

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