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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日の本棚の続きのような話から。
  今日紹介する椎名誠さんの
  『家族のあしあと』に先立つ
  『岳物語』を再読しようと
  本棚を探したが
  どうしても見つからない。
  遠い記憶では結構感動したいい作品だったので
  手離すことはないと思ったが
  どうしてもない。
  それとこの本に関していえば、
  「あとがき」で椎名誠さんは
  映画「エイリアン」のことを書いていて
  第一作を監督したリドリー・スコット
  「エイリアン」創生の話として
  「プロメテウス」という映画を作った。
  椎名誠さんはこれがヒントになったという。
  実はこの「エイリアン」4作品と「プロメテウス」を
  CSテレビで観たばかりだったので
  これには驚いた。
  運命ですなぁ、まったく。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  シーナ少年、ふんばる                   

 この本の著者椎名誠さんは1944年(昭和19年)生まれである。
 この作品では椎名さんの少年時代の話が楽しく描かれている。
 ただ楽しいというのは語弊があるかもしれない。
 もともと東京世田谷の大きなお屋敷のような家にいたが、四、五歳の頃に酒々井に移住、そして小学生の頃に幕張へと転居した椎名さん。しかもどうやら自分には異母兄弟もいるようで、父は厳格、母の親戚もなにやら事情がありそう。
 そんな少年時代を送った椎名さんの話が楽しいというのはおかしいはずなのに、どうしてだろう、椎名さんの書く文章の弾むような快活さはどうだろう。

 椎名さんはこの作品や名作『岳物語』シリーズで「家族という、まあ基本はあたたかく強いつながりであるはずの集団は、実はあっけなくもろい記憶だけを残していくチーム」ということを書こうとしたと、「あとがき」に記している。
 なんともシニカルだが、きっと椎名さんは自分が少年だった頃の家族、自分が親になってからの家族を経験して、そのことに気がついたのであろう。
 だが、椎名さんはそのことを悲しんではいない。
 悩んでいるかどうかはわからないが、少なくとも、少年時代には「家族がそろってみんな嬉しそうに笑って寛いでいる風景」はあったが、実はそんな素敵な風景は「人生のなかでもそんなに沢山はない」ことに、大人になって椎名さんは気づく。

 おそらく明るく描かれている椎名少年の時代であるが、そこには家族の難しさが内包されている。
 ページを閉じたら、じんわり滲んでくる。
  
(2017/09/28 投稿)

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