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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  私の好きな作家の一人
  桜木紫乃さんの新刊
  『砂上』を紹介します。
  書評にも書きましたが
  この作品自体はそれほどいいとは
  感じませんでした。
  巧さばかりが先立つ感じです。

    すべての女に無数の物語があるのなら、
    自分がいま書いているものは、
    砂丘の砂のひと粒だ。


  作品の中の一節ですが
  これだけ読んでも
  桜木紫乃さんの
  巧さがわかるかと思います。
  口当たりがいい
  アイスクリームでは
  満腹しないということでしょうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  巧すぎるのも時には考えものだ                   

 巧い書き手というのは、ほとんど動かない物語であっても、短めの長編小説ぐらいには仕上げるものだ。
 直木賞作家桜木紫乃の、デビュー以前の女性作家の作品執筆にかける思いを描いたこの作品がまさにそうだ。
 主人公柊令央(ひいらぎれお)が雪の降り始めた北海道の町の喫茶店で東京の出版社の女性編集者と対面するところから物語は始まる。
 令央は四十になる女性で、今は離婚した前夫から幾ばくかの慰謝料と幼馴染が経営する料理店の臨時雇いの給料で生活している。
 彼女は以前から小説を書いては新人賞に応募をし続けていたが陽の目を見ることはなかったが、東京から訪ねてきた編集者小川乙三はその落選した作品ににわかに注目し、改稿することを求めてくる。

 その物語が「砂上」というタイトルだ。
 そこには令央自身の半生が投影されている。つまり、自身が身ごもり生んだ娘が妹として育てられた事実、令央の母がまだ十代だった令央の代わりに母となった事実、それらが虚実ないまぜになった物語。
 おそらく、令央が書きつつある物語の方が動いていたはずだが、この作品はそれを描くのではなく、それを書きつつある令央の心情をくどくどを書きつらねていく。

 令央の母の若かりし頃のことが描かれる場面が出てくるが、その時に俄然輝いているのは、おそらく物語が動いているからだろう。
 桜木はあまりにも巧すぎて、動かない時間も言葉を重ねることができてしまう。
 この作品ではそれが裏目になってしまったような気がする。
  
(2017/10/31 投稿)

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 この頃人と話すと
 今年は秋がなかったですね
 みたいなことによくなります。
 雨が多く
 しかも12月並みの気温になったりと
 本来の秋の爽やかさが
 少なかったように思います。
 そんな日、
 こんな夕暮れの富士山を
 撮ってみました。

  CIMG2246_convert_20171029090419.jpg

    風紋をつくる風立ち暮の秋      鈴木 真砂女

 このあと、
 富士山に初冠雪の便りが届きました。

 週末雨ばかりで
 菜園では
 イチゴの苗を植えられない人たちも
 たくさんいて
 現役で働いている人は
 やはりなかなか大変ですね。
 その点、
 私の場合は多少融通がきくので
 秋晴れとなった金曜日(10月27日)に
 菜園に行ってきました。

 この日は
 ダイコンを収穫しました。

  CIMG2249_convert_20171029090528.jpg

 この秋種を蒔いたダイコンの品種は
 3種類。
 でも、黒ダイコンはうまくできませんでした。
 この日収穫したのは
 冬じまんという青首ダイコン
 千枚漬けでおなじみの
 聖護院ダイコン
 こちらが聖護院ダイコン

  CIMG2250_convert_20171029090602.jpg

 洗って泥を落していますから
 きれいな白肌です。

 ちなみにダイコンというのは
 冬の季語
 大根、大根引く、大根洗ふ、大根干す、
 すべて季語です。

    土が力ゆるめ大根抜けにけり       黛 執

 ダイコンを抜く感じは
 まさにこの俳句のようで
 土がふっと手を放す感じです。

 こちらは
 芽キャベツ

  CIMG2251_convert_20171029090642.jpg

 そして、こちらが
 コールラビ

  CIMG2247_convert_20171029090454.jpg

 珍しいですよね。

 やはり菜園日和に
 野菜の収穫ができれば
 いうことがありません。
 うれしい秋の一日でした。

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  10月になって3週続けて
  週末の雨ですね。
  しかも
  台風が2週続けてですから
  嫌にもなります。
  そんな雨ばかりの10月も
  あとわずか。
  月が変われば11月で
  今年も残り2カ月。
  えーと、来年の干支はなんでしたっけ。
  年賀状のことも
  そろそろ考えないと。
  そんな日には
  石黒亜矢子さんの
  『えとえとがっせん』でも
  読んでみますか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  必殺ふぐりおとしって、どんな技?                   

 この絵本のタイトルは漢字変換した方がわかりやすい。
 「干支(えと)干支(えと)合戦(がっせん)」。
 もちろん、子どもたちに「干支」という漢字は読めないだろうから、このひらがな表記のタイトルは仕方がない。
 さて、漢字表記でわかるように、この絵本は十二支の動物たち(龍のように想像上のものもあるが)に十二支に選ばれなかった動物が戦いを挑むというお話。

 十二支に選ばれなかった動物といえば、ねずみに騙された(と巷間伝わる)猫が有名だが、ここではタヌキが大将。
 では、タヌキの仲間にどんな動物がいるかといえば、猫、鹿、熊、豚、カエル、コウモリ、カニ、(あとは省略)、とまあ、ものすごい大雑把な印象がする動物たちである。

 石黒亜矢子さんのコミカルなタッチの絵では現十二支たちは結構いかつい中世風な絵柄で描かれているのだが、新十二支候補の動物たちはギャグ漫画風となると合戦が始まる前から勝敗が決まっていそう。
 しかも、現十二支にはなんといっても龍がいる。勝てるわけがない。
 いやいや、タヌキにはタヌキ族の家宝「金のばけはっぱ」なるものがあって、みんなが力を合わせれば、シン・ゴジラも驚く巨大おばけタヌキに変身!
 さあ、この戦い、どうなるやら。

 なんだかわけのわからない展開のこの絵本、結構売れているらしい。
 絵の力ってすごい。
 それとも、やっぱりタヌキの「必殺ふぐりおとし」の効果だろうか。
  
(2017/10/29 投稿)

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  来年の話をすると
  鬼が笑うというが
  今年ももう残り二ケ月ばかりとなってくれば
  鬼も苦笑い程度だろう。
  来年のNHK大河ドラマ
  林真理子さん原作の「西郷どん」で
  すでに本屋さんでは
  西郷隆盛関係の本が
  出始めてきた。
  そこで
  私も西郷隆盛を読んでみようと
  選んだのが
  司馬遼太郎さんの『翔ぶが如く』。
  文庫本で10巻の大作である。
  まあ、今年中は無理でも
  気長が読んでいきたい。
  まずは第一巻。
  はじまりはじまり。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  永い楽しみのはじまり                   

 文春文庫版『司馬遼太郎全仕事』によれば、司馬さんの数多くの作品の中で「三大長編小説」と称されているのが『竜馬がゆく』『坂の上の雲』そして、この『翔ぶが如く』ということになる。
 文庫本にして全十巻。描かれているのは明治新政府が誕生したものの征韓論から国を二分する西南戦争までの時代。
 まずは書誌学的に書いておくと、この作品の初出は1972年1月1日から毎日新聞朝刊に連載され、76年まで続く。
 新聞連載の予告として掲載された「作者のことば」で、司馬さんはこう記した。
 「薩摩人は、良いにしろ悪いにしろ日本人の典型とされてきた」が、自分はそこを十数年触れないできた。しかし、「泣こよっか、ひっ翔べ」という薩摩人の金言のように、「冒険をやってみることにする」。
 『翔ぶが如く』というのは、薩摩人のこの金言からとられている。

 さて、この長編小説の主人公は西郷隆盛であり大久保利通といった明治という新しい時代を作った薩摩人である。
 しかし、司馬さんは別の文章でこうも綴っている。
 「主役は、時代である。あるいは、薩摩隼人である」。
 この『『翔ぶが如く』について』という文章の最後がいい。
 「私は、どちらかが善とも悪とも書かなかった。農民をふくめて、維新から明治十年までを、ひとびとがよく堪えたことに、大きな感動をもちつづけている。」

 文庫版第一巻はまさに閣議で征韓論が協議され、西郷が自ら韓国に赴かんことを願うところである。
 明治維新を成し遂げた大西郷ながら、そのことを武器にすることもなく、悶々とした時間を送っているこの巨魁がこれからどう描かれていくのか、永いお楽しみである。
  
(2017/10/28 投稿)

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  今日から読書週間が始まります。(~11月9日)
  今年の標語は
 
    本に恋する季節です!

  そのポスターがこれです。

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  なんか初々しくて
  いいですよね。
  そして、今日から
  神田神保町では
  恒例の古本まつりが始まります。
  今年、ビッグサイトでいつも開催されていた
  東京国際ブックフェアが中止となって
  やはり出版業界は苦しいのでしょうが
  せっかくの読書週間ですから
  普段本を読まない人も
  ぜひこの機会に読んでみて下さい。
  今日はそんな日にぴったりの
  井上理津子さんの『すごい古書店変な図書館』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本持って、街に出よう                   

 出版業界が不況といわれるし、町から小さな本屋さんが消えていくという話を聞く一方で、若い人が新しいタイプの本屋さんや古本屋さんを始めたといううれしい話も耳にする。
 本は読まれなくなったといわれるが、頑固に本の世界を愛する人たちがいることは間違いない。
 そんな中、生まれたのが女性ルポライター井上理津子さんが書いたこの本では85軒の「すごい古書店」と32館の「変な図書館」が紹介されている。
 もともとが「日刊ゲンダイ」に連載されていたというから、そちらの方が驚き(失礼!)だが、街歩きレポートだと思えばそれもまたありかな。

 古書店といえば神田神保町や早稲田界隈を思い出すが、もちろんこの本でもそれらの町の古書店が多くはいっているけれど、住みたい街として人気の高い吉祥寺や西荻窪、下北沢などの古書店もいくつも紹介されている。
 町というのは昔ながらの珈琲店と小さな花屋とさっぱりした本屋さんと静かな古本屋さんがあれば成り立ちそうな気がする。
かなり個人的な感想ではあるが。

 一方図書館に目を移すと、「変な」といわれるだけあって専門図書館の紹介がほとんどだ。
 中でも目をひいたのが飯田橋にある「風俗資料館」。何しろ日本唯一のSM・フェティシズム専門図書館だそうで「日刊ゲンダイ」っぽい図書館といえそう。

 もっともこの本で残念なのは紹介されている古書店にしろ図書館にしろ東京が主になっている点で、全国的にはもっと過激に「すごい」や「変な」古書店や図書館があるにちがいない。
 ぜひ続編続々篇を期待したい。
  
(2017/10/27 投稿)

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  葉室麟さんの作品をずっと読んできて
  そろそろ
  最初に私が葉室麟さんと出会った
  『蜩ノ記』を再読したいと
  手元に置いていながら
  なかなかうまく合わない。
  そんな時に
  新刊『草笛物語』が出た。
  この作品は
  『蜩ノ記』の後日談にあたる物語に
  仕上がっている。
  こうなると
  ますます『蜩ノ記』を再読したくなる。
  いつになるやら。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  『蜩ノ記』の子供たち                   

 葉室麟が『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞したのは2012年だから、まだ5年程前のことだ。
 旺盛な執筆活動から随分昔のような錯覚をしてしまうのは、読者としてうれしい限りだ。
 何しろ『蜩ノ記』の舞台となった羽根(うね)藩を舞台とした物語もこの作品で5作目となる。
 しかも、今回の作品は『蜩ノ記』につながる人たちの物語だから、葉室ファンにとってはたまらない。

 この物語は『蜩ノ記』から16年が経った羽根藩を描いている。
 『蜩ノ記』の主人公戸田秋谷は無実の罪によって切腹をさせられたが、その息子は今戸田順右衛門と名を改め、羽根藩中老として重き役職についている。
 そして、あの時秋谷とともに「蜩ノ記」の清書に努めた檀野庄三郎は秋谷の娘薫と結婚し、桃という娘とともに平和に暮らしていた。
 そこに持ち上がってくる難題。若い藩主の隙を狙って藩政をわが物になさんとする三浦左近の悪だくみに、秋谷の子供たちも巻き込まれていくことになる。
 但し、今回の主人公は彼らではない。
 若い藩主と気心のあった小姓赤座颯太である。
 颯太は「泣き虫颯太」と呼ばれるほど気弱な少年であったが、庄三郎のそばで過ごすうちに次第に藩主を助ける若者へと成長していく。

 それは秋谷のそばで成長していった庄三郎とそっくりだ。
 庄三郎は颯太に言う。「おのれが大切と思うひとのために命を投げ出して動じない心」こそ、まことの勇気だと。
 『蜩ノ記』からこうして物語はつながっていく。
 葉室麟は羽根藩という世界でまさに深い葉室麟の世界を構築したといえる。
  
(2017/10/26 投稿)

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  大好きな酒井駒子さんの
  『森のノート』という
  おしゃれな画文集。
  書評には書かなかったのですが
  この作品集のエッセイ、
  つまり文章に使われている
  活字がユニークでした。
  活字といえば
  明朝体とか教科書体とかがよく知られていますが
  この本では独特の字体が使われています。
  本屋さんで
  パラパラと見てみて下さい。
  特に「し」の文字に特長があります。
  これって、
  何体というんでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  思い出がつまっている文房具のような画文集                   

 絵本でもなく、エッセイ集でもない。
 絵本作家でもあり挿絵画家でもある酒井駒子さんが書いた(描いた)この本は画文集と呼ばれるらしい。
 画と文、確かに言い得て妙な言葉だ。

 酒井駒子さんの絵のファンは多い。
 私もそのうちの一人といっていい。
 酒井駒子さんの装幀画でその作品を読んでみたいと思うこともしばしばある。そういう画家さんはあまり多くないだろう。
 だから、酒井駒子さんは稀有な画家だ。

 その魅力は何だろう。
 そのヒントがこの画文集にある。ここに収められた数々の絵に描かれている少女や少年、いやもう少し年は若い。つまり幼年期の男の子や女の子。
 彼らが持っているのは無垢な心だけではない。幻想的であり、さらにいえば邪(よこしま)な性を、酒井駒子さんは隠そうとはしない。
 つまり、そこには妖精もいるが魔女もいる。男もいれば女もいる。
 それが陽炎のように立ち上がっているのが、酒井駒子さんの絵の魅力ではないだろうか。

 この作品はもともと『ちくま』という雑誌に「引き出しの森」と題されて連載されていたそうだ。
 そういえば、酒井駒子さんの絵は「引き出し」にしまいこまれた文房具のようでもある。
 懐かしくもあり、切なくもある。
 思い出がつまっている文房具のような、画文集だ。
  
(2017/10/25 投稿)

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  『藤沢周平句集』につづいて
  瀬戸内寂聴さんの『句集 ひとり』を
  手にしたのは
  偶々だった。
  俳句講座に参加して
  メンバーの詠んだ句の巧さに
  一体自分は何年俳句を詠んできたのかと
  反省しきりで
  語彙のなさ
  情感の希薄さ
  描写の乏しさに
  我ながら悄然としている。
  瀬戸内寂聴さんの俳句も
  さすがに巧い。
  とてもかなうものではない。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  死するもひとりなり                   

 先日読んだ『藤沢周平句集』と同様に、瀬戸内寂聴さんのこの句集も寂聴さんが詠んだ俳句と、俳句とそれに関わった人との交流を描いた随筆7篇が収められている。
 『藤沢周平句集』は藤沢周平没後にまとめられ発表されたものだが、この句集は今年95歳となった寂聴さん覚悟の句集といえる。
 「あとがき」にこうある。
 「百年近い生涯、こうして私は苦しいときや辛い時、自分を慰める愉しいことを見いだしては、自分を慰め生き抜いてきた」と。
 そして、一遍上人の言葉を書き留めた。
 「生ぜしもひとりなり/死するもひとりなり」、句集につけた名前が「ひとり」。

 この「あとがき」には寂聴さんと俳句とのかかわりが記されている。
 最初は1961年というから古い。当時の文藝春秋社の車谷弘氏に誘われたとある。車谷氏のことはこの句集に収められた随筆「侘助の人」にも詳しい。
 誘われて行った句会で円地文子とともにへたであったと書く。そして、寂聴さんが67、8歳の頃、今や俳壇の大御所になった黒田杏子さんとご縁が出来て、再び詠み始めたという。
 だから、寂聴さんの俳句は黒田杏子さんの流れを汲んでいるともいえる。
 そうやってみてくると、寂聴さんの俳句との縁は恵まれている。

 その句もしっとりとしていい。
 「独りとはかくもすがしき雪こんこん」は気に入った。
 「雪街道往き往きし涯浄土なり」という句は「司馬遼太郎逝く」とあるから司馬さんが亡くなった時に詠んだものだろう。
 寂聴さんの俳句ならもっとしっとり官能的なものかと思ったが、そうではなく王道のような句が続く。
  
(2017/10/24 投稿)

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 今日は二十四節気のひとつ
 霜降
 この頃霜が初めて降りるということですが
 実際は秋の長雨に降られっぱなし。

    秋の雨壊れし樋から溢れをり     夏の雨

 しかも台風までやってきて
 さすがに畑にも行けない日々が
 続いています。
 せっかく咲いた金木犀も
 ごらんのように
 無残にも散ってしまいました。

  20171021_161907_convert_20171022084107.jpg

 イチゴの栽培の
 講習は受けたものの
 雨ばかりで
 先週唯一晴れた水曜(10月18日)に
 イチゴの苗を植えてきました。

  CIMG2241_convert_20171022084143.jpg

 それにしても
 こう雨が続いて
 しかも10月というのに
 この寒さですから
 野菜の成長にも影響しそう。

 畑に行けないので
 家庭菜園誌「野菜だより」11月号(学研プラス・1050円)でも
 読んで
 知識をたくわえましょうか。

  

 この号では
 「冬越し栽培裏ワザ22」として
 タマネギの1穴2苗植えとか
 キャベツの3段採りとかいった
 家庭菜園ならではの
 小さな畑で
 たくさん収穫する方法などが
 紹介されています。
 この雑誌で
 理想の株間などを狭くして
 ダイコンなどを植えたりしています。
 本当は
 広くとった方が
 きれいに成長しますが。

 野菜を栽培し始めてから
 この雑誌や
 NHKの「やさいの時間」などを見て
 栽培方法を習得するようにしていますが
 まだまだ。
 今はひたすら
 天を仰いで
 雨がやむことを願っています。

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プレゼント 書評こぼれ話

  絵本作家かこさとしさんについて書くと
  1926年生まれですから
  90歳を超えて
  今でも人気の高い絵本作家です。
  もともと東京大学の工学部で学んだといいますから
  絵本作家とは
  とても遠い経歴です。
  それが「てんぐちゃん」シリーズとか
  今日紹介する
  『からすのパンやさん』といったように
  子どもたちに愛される
  絵本をたくさん作ってきたというのも
  不思議です。
  この作品は名作ですね。
  この作品を子ども時代に読んだ人は
  とっても幸せだったと思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この絵本は時間をかけてお読み下さい                   

 『どんな絵本を読んできた?』とか『昭和こども図書館』といった絵本とか児童書の読書ガイドを最近読んできて、気になった作家がいた。
 加古里子(かこさとし)さんである。
絵本「だるまちゃん」シリーズで人気の高い絵本作家だが、これら児童書のブックガイドで紹介されていたのは「だるまちゃん」では なく、この『からすのパンやさん』だ。
 読んだことのない読者にはどんな絵本だろうか気になるところだし、「だるまちゃん」シリースのテイストの作品かと思ってしまうが、まったく違う作品に、驚きだし、かこさとしという絵本作家は、こういう作品も描くのだと、心が改まる感じさえした。

 この絵本には「あとがき」があって、その中でかこさんは「個々の生きた人物描写と全体への総合化の大事なこと」と、絵本の「あとがき」にしては難しい文章を書いている。
 簡単にいえば、この絵本ではたくさんのからすを描いているが、それぞれに特性があって自分としてはそれを描きわけているということをいいたいのだと思う。
 この「あとがき」のあと、再度絵本に戻ると、確かに一羽一羽のからすが見事に描きわかれていて、もしかしたらこの絵本を楽しみには何時間あっても足りないのではないだろうかと思ってしまう。

 同じようにからすたちが焼くパンの面白さといったらない。
 この絵本が最初に刊行されたのが1973年だが、その時にパンダパンを焼いていたパン屋さんなどほとんどなかっただろう。
 かこさとしという絵本作家の想像力にただただ脱帽する。
  
(2017/10/22 投稿)

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  今テレビ朝日
  お昼の帯ドラマで「トットちゃん!」が
  放映されている。
  いうまでもなく
  黒柳徹子さんの物語だ。
  脚本は大石静さん。
  トットちゃんのお父さんを山本耕史さん
  お母さんを松下奈緒さん、
  小林宗作先生を竹中直人さんといった
  豪華配役で
  始まっている。
  せっかくなので
  黒柳徹子さんの大ベストセラー
  『窓ぎわのトットちゃん』を
  読んでみた。
  これだけのベストセラーだから
  読んだはずだが
  今回読んでみて
  ちっとも思い出さないところからすると
  初めて読む?
  まさか、と思うけど。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  誰もがトットちゃん                   

 言うまでもなく戦後最大のベストセラーである。
 どれくらい売れたかというと、1981年に単行本として刊行されて以降文庫本になったり児童向け書になったり英語版になったりとシリーズ総計で800万部を超えているというからすごい。
 それにこれが一時的なものでなく今でも読まれ続けているというから、また驚く。

 書いたのはタレントの黒柳徹子さん。
 小さい頃自身「徹子」と言えずに「トット」と呼んだのが愛称の所以で、「窓ぎわ」というのは刊行当時流行っていた「窓際族」からとったという。
 つまりトットちゃんと呼ばれた女の子は小学1年にして授業の妨げになると退学を命じられた、まさに「窓際族」だった。
 そんな彼女をやさしく受け入れてくれたのが、小林宗作先生が創った「トモエ学園」だ。

 この世紀の大ベストセラーはその「トモエ学園」でのエピソードを綴ったもので、トモエ学園のちょっと常識とはちがう教育の仕方なども紹介されている。
 トットちゃんが規格外であったように、「トモエ学園」もまた規格外であったのだ。
 のちにトットちゃんの退学に至るふるまいは「学習障害」とみられるようになったが、病気として名前がついたというだけで、それを受け入れるということは並大抵ではない。
 小林先生が為したことは、トットちゃんのような子どもときちんと向き合ったということだ。
 それはいつの時代でもそうだろう。

 この作品は一時的な流行本ではない。
 いつまでも変わらない、一冊だろう。
  
(2017/10/21 投稿)

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  今年没後20年になる
  藤沢周平だが
  今でもその人気は高い。
  今日は文春文庫の新刊から
  『藤沢周平句集』を
  紹介します。
  今月にはいって
  三回シリーズの「はじめての俳句」という
  地域の文化講座を受講しています。
  受講者は20名ほどの
  老老男女ですが
  句会のようなものもあって
  楽しく詠んでいます。
  私は俳句を詠み始めたのは
  随分前ですが
  どうも中途半端でいけません。
  そういう意味では
  はじめてに近いですね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ゆるやかな弧                   

 藤沢周平が若い頃俳句を詠んでいたというのは、結構知られている。
 この文庫本は藤沢が詠み、俳誌に掲載された俳句が中心となって編まれているが、1999年に単行本化された時には載らなかった俳句も追加されている。
 俳句が中心と書いたが、その他に俳句に関する随筆など10篇ほど収められている。

 冒頭にあるのは藤沢と俳句との出会いと関係を自ら綴った作品で「「海坂」、節のことなど」とタイトルがついている。
 「海坂」といえば藤沢が故郷鶴岡を模して自身の主要な作品舞台とした藩の名前が海坂で、これは藤沢が結核療養中で出会った俳誌の誌名によるものだという。
 また、海坂には「海辺に立って一望の海を眺めると、水平線はゆるやかな弧を描く。そのあるかなきかのゆるやかな傾斜弧を海坂」と呼ぶらしい。
 まさに藤沢にとって言葉との運命的な出会いといえる。

 この随筆の中で藤沢は自分が好むのは自然を詠んだ句だと記している。
 そんな藤沢が詠んだ句で「桐の花踏み葬列が通るなり」というのがあるが、まさに病気療養の自身と向かい合っているような句で、決して自然ばかりを好んだとも思えない。
 ちなみにこの随筆のタイトル後半の「節のこと」の節とは、明治の作家長塚節のことで藤沢は『白き瓶』という作品で長塚節を書いている。

 文庫本に追加された俳句のうち多くは「俳句手帳」なるものに覚書のようにして書かれた作品で、藤沢がその短い句作ののちも作句に楽しんでいたことを証明するものである。
 藤沢周平にとって俳句もまた「ゆるやかな弧」であったのだろう。
  
(2017/10/20 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  同時代という言い方を
  よくしましたが
  最近あまり使われないような気がします。
  そもそも
  同時代っていうのは
   どれぐらいの時代の幅を指すのでしょうか
  生きてきた生活の違いなんかでも
  変わってきそうです。
  今日紹介するのは
  初見健一さんの『昭和こども図書館』。
  この本を読んで
  きっと懐かしいと感じるのは
  私より少し年が若い年代では
  ないかな。
  いやいや、それよりも
  初見健一さんのように
  本をたくさん読んできた人は
  年齢に関係なく
  同時代人なんでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  本はタイムマシン                   

 「今でも読める思い出の児童書ガイド」と副題のついたこの本にはたくさんの児童書が色鮮やかなカラー図版の書影付で紹介されている。
 なかにはすでに絶版となっている本もあるから、この書影のもとになった本は著者の所有している本から撮られてものかもしれない。
 文章のはしばしに子供時代にたくさんの本を買ってもらった感じがある著者の初見健一さんだが、巻末の著者略歴によれば「1967年東京生まれ」とある。昭和42年生まれである。
 だから、昭和30年生まれの私からは少し時代がちがう。
 わずか12年とはいえ、読書の経験とかかなり違うものだ。

 なんといっても「オカルト本」だ。
 オカルトブーム全盛だった70年代に少年期を迎えた著者ならではの面白い本が満載なのだ。
 『ゆうれい船なぞふしぎ』『四次元の世界をさぐる』『円盤と宇宙人』等々といった次第である。
 おそらく初見さんより10年以上先の世代でいえば「怪獣もの」がはいってくるだろうし、それ以上前だと「戦記もの」だったり「ロボットもの」だったりするのではないか。

 そんな初見さんの読書体験だが、そんな「オカルト本」だけでなく、石井桃子の『ノンちゃん雲にのる』や『クマのプーさん』あるいは北杜夫の『船乗りクプクプの冒険』といった大人が好きそうな児童書もしっかり読んでいる。
 そういう本との出会いのきっかけは親の本棚からの拝借というから、やはり読書好きの子どもには本がある環境が必要なんだなと思える。

 この本、パラパラと眺めているだけでも楽しくなる一冊である。
  
(2017/10/19 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  山田真哉さんの『平成のビジネス書』を読んでいて
  森永卓郎さんの
  『年収300万円時代を生き抜く経済学』という本を見つけて
  そういえば私もこの本を読んだなと
  懐かしくなって
  昔書いた書評を引っ張り出しました。
  蔵出し書評です。
  なんと2003年に書いているのですね。
  いやはや
  若いし、一生懸命書いてますよね。
  あの頃の私は「年収300万円」時代を
  まるで杞憂のように書いていますが
  実際若い人たちにとって
  そんな時代がやってきたことは
  時代が証明しています。
  格差の時代は
  そういう人たちのことも
  忘れてしまうという
  恐ろしい時代でもあります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  空は本当に落ちてくるのだろうか                   

 ずっと昔の話。中国に杞という国があった。
 その国の人々は空が落ちてきたらどうしようと心配で仕方がなくなった。
 毎日空を見上げては気になって食事も喉を通らない。寝ている間に空が落ちてくるかもしれなくて、寝るのも怖い。国中がそんな不安に陥った。
 しかし、もちろん空は落ちてはこなかった。
 杞の国の人々はほっと胸を撫ぜおろした。そんな故事から「杞憂」という言葉が生まれた。
 取越し苦労という意味で使われる。

 「年収300万円時代」とか「給料半減が現実化」なんていう言葉は杞の国の人々が落ちてくるかもしれないと思った、空のような言葉かもしれない。
 現代の日本という国にあって、多くの人々がこれらの言葉に過剰に反応している。
 だから、この本が売れているのもわかるような気がする。
 誰もが(そしてその多くは、勝ち組になれなかった普通の人たちだが)近い将来大幅に収入が減るのではないかと恐怖し、そうなった場合の生活に不安を抱いているにちがいない。
 それほどに日本経済は長引くデフレ不況から脱出できないし、政治はどのような政策も実行できないでいる。

 森永氏のこの著作では、まず何故「年収300万円時代」がやってくるのかを、小泉改革が成し遂げようとしている政治の本質とそのことで作り出されていく階級社会の問題から解き明かそうとしている。
 そして、その結果として、大多数の人々の年収が300万円まで下がるのではないかと予想している。
 読む方からすれば、そうなった場合の生活のヒントのようなものを期待しているはずだが、そのことに関していえば、最後の1章で書かれているに過ぎない。
 この本は、あくまでも何故空は落ちてくるのかを説明したもので、空が落ちてきた場合の対処方法を大きく論じたものではない。

 そういう点からこの本を読めば、空が落ちてくるのを防ぐつっかえ棒はないが、「年収300万円時代」を防ぐ方法はあるかもしれないと思えてくる。
 そして、もし空が落ちてきたとしても、右往左往しないためにも、この本が投げかけている問題の本質を理解すべきかもしれない。
 バブルという時代を経て、それでも奢れる生活を営む私たちの上に、空が本当に落ちてきたとしても何の不思議もないのだから。
  
(2003/06/25 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  株価が好調です。
  時あたかも衆議院選挙の真っただ中、
  ここにきてまるでアベノミクスの成果にように
  20年ぶりの高値水準ですから
  与党の鼻息は荒くもなります。
  でもですよ、
  問題はそういう好景気が
  日本全国津々浦々にいきわたっていないこと。
  景気がいいという実感あります?
  そんなことを思うのも
  この本を読んだからかも。
  今日は
  山田真哉さんの『平成のビジネス書』という
  本を紹介します。
  平成といっても
  今から10年くらい前の平成期。
  その頃
  どんなビジネス書が読まれていたでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ビジネス書は何故衰退したのか                   

 自分が定年を迎える年齢になるとそれまで読んできた本のジャンルの中で「ビジネス本」の割合が減っていると思っていたが、実は「ビジネス本」そのものがあまり売れなくなっているという。
 出版業界は今や構造的な不況産業といわれて久しいが、それでも2000年代は「ビジネス本」が盛んに読まれていた黄金期であった。
 そんな時代の「ビジネス本」を自身『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』というベストセラーを書いた山田真哉氏が黄金期だった頃に書いた書評と、何故今衰退したのかという考察をまとめたのが、この本である。

 書評には『金持ち父さん貧乏父さん』『年収300万円時代を生き抜く経済学』といった懐かしい書名が並んで、山田氏の文章もそれなりに時代を感じさせる。これはこれで「黄金期」の「ビジネス本」の雰囲気を感じ取れればいい。
 ただ「黄金期」にはもっと「自己啓発本」もあったように思うが、あまり触れられていないのは、当時発表された媒体の性格によるのだろうか。

 さて、もう一方の「考察編」である。
 山田氏は「ビジネス本」が「黄金期」を2000年代に迎えた理由を、「出版不況を何とか克服しようとあがいた出版社側の努力と、「失われた20年」から脱出するヒントを本に求めようとした人々の需給がマッチ」したことで生まれたものとしている。
 では、それが何故崩壊したのか、山田氏は諸説ある中で「人口減少」と「ネットに負けた」説をとっている。
 特に「人口減少」の問題は「ビジネス本」衰退の問題にとどまらないと思われる。
 今後おそらく多くの産業にこれは影響するだろう。
 案外「ビジネス本」衰退要因を分析することはそのさきがけかもしれない。
  
(2017/10/17 投稿)

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 毎年思うことですが
 金木犀の香りがかぐわしくなると
 秋の長雨になって
 あっという間に金木犀の香りも
 終わってしまいます。

  CIMG2235_convert_20171015134409.jpg

    見えさうな金木犀の香なりけり      津川 絵理子

 今年もやっぱりそうで
 金木犀が満開の時期を迎えると
 雨ばかり続きます。

 雨が続く前に
 ナスの伐採した畝に黒マルチ
 張ってしまおうと
 週の半ばに作業もして
 畝の準備も出来て

  CIMG2234_convert_20171015134237.jpg

 イチゴの苗植えの講義も受けて
 苗も入荷したのですが

  CIMG2236_convert_20171015134527.jpg

 せっかくの週末は
 雨、雨、雨と
 苗植えの作業は諦めました。

    秋の雨しづかに午前をはりけり      日野 草城

 歳時記を開くと
 「秋の雨」という季語にこうあります。

   秋といえば秋晴れを連想するが、
   雨の多い季節でもある。
   秋の雨は、古くからもの寂しいものとして
   詠まれてきた。


 確かにそのとおり。

 昨日の日曜日(10月15日)、
 雨のなかを散歩がてら
 畑に行ってきましたが
 しんと静まり返っていました。

  CIMG2240_convert_20171015135018.jpg

 そんななかでも
 野菜は成長してくれているのでしょうか
 こちらは
 キャベツですが
 だいぶ大きくなりました。

  CIMG2238_convert_20171015134813.jpg


 イチゴの苗をいつ植えようか、
 毎日天気予報と
 にらめっこしています。

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プレゼント 書評こぼれ話

  先週谷川俊太郎さんと和田誠さんの
  『ともだち』という絵本を
  紹介しましたが
  あれがとっても健康的な絵本だとしたら
  こちらは不健康? な
  ともだちの絵本になるのかな。
  本当はこちらも健康的ですよ。
  直木賞作家恩田陸さんが書いた
  『おともだち できた?』。
  絵は石井聖岳さん。
  まずが表紙から
  この絵本の不健康な? ところを
  さがしてみて下さい。
  えーっ!! って
  ちょっとびっくりしますよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この絵本は、ちょっと怖い                   

 『蜜蜂と遠雷』で第156回直木賞を受賞した恩田陸さんが文を書いた、少しぶきみな絵本。
 どう不気味かというと、石井聖岳さんが描いた絵の表紙のどこかにそのヒントが隠れていますから、表紙だっておろそかにしないで。

 初めての町に引っ越してきた女の子の一家。
 外を見ると、なんだかぼんやり、どろっとしている町並みが続いています。
 パパもママも「ともだちと遊んで」とかいいますが、この町には子どもの姿も声もありません。
 ただ隣の犬がよく吠えるだけ。
 そんな町でも女の子にともだちができます。
 どんな?
 ママには見えない。パパは気づかない。隣の犬だけにはわかっているような、そんなともだち。
 この絵本は、ちょっと怖い。

 でも、ともだちってつくらないといけないのだろうか。
 ともだちができないことがまるでいけないことのようにいう人たちもいるけど、無理やりにつくることはないんじゃないかな。
 まして、できたともだちがこの絵本の女の子のようにとっても不思議なともだちだってあるだろうし、そして、そのことでママは泣いたり(この絵本の中でもママは本当に泣いている)するけれど、そういうことが当たり前だと思うこと自体、なんだか怖い感じさえする。

 この絵本はそんな当たり前の怖さを描いた、恩田陸さんの、ちょっと怖い話だ。
  
(2017/10/15 投稿)

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  慶応3年の今日、
  大政奉還がなされた記念すべき日。
  しかも
  今年で150年という節目の年。
  150年といえば
  長いようで
  先祖を並べたら3人ぐらい前の人の時代では
  ないでしょうか。
  その当時の人たちにとって
  実際どう受け止められていたのでしょうね。
  今回の選挙は
  政権選択の選挙とかいわれていますが
  自ら政権を返上した徳川慶喜
  やはり英断だったのでしょうか。
  今日は
  中村彰彦さんの
  『歴史の坂道』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  歴史の落穂を拾いあつめ                   

 第15代将軍徳川慶喜が政権を返上した大政奉還から150年になる。
 慶応3年10月14日、西暦でいえば1867年の秋のことである。
 そこから時代は大きく動いていく。
 明治維新はここから始まったともいえる。
 幕末好みの人にとっては、たまらない150年前といえるだろう。
 その主戦場となった京都だけでなく、それぞれの場所に歴史が息づいていることは間違いない。
 ひとつ、それは紅葉の始まった会津もそうかもしれない。
 その時期の会津はまさに坂道が始まらんとしていたのではないか。
 そういう落葉をひとつずつ拾い集めたエッセイが、この本といえる。

 作者は『二つの山河』で直木賞を受賞した中村彰彦氏。
 おそらく氏が今までの書いてきた歴史小説の取材の中で、言葉通り落穂となったエピソードが短い文章の中に日の目をみていく感がある。
 特に会津に関わるエッセイは、会津が持っている悲劇性と相まって、読者を魅了する。
 私も久しぶりに何年か前の大河ドラマ「八重の桜」のことを思い出したりした。

 この本の面白いところは、収められた多くのエッセイの初出が東京・新宿にある花園神社の社報「花その」だったということだ。
 ああいう神社にも「社報」なるものがあることも初めて知ったし、その中にこのようなエッセイが掲載されているのも驚きであった。
 神社の風格がそもそも歴史の坂道の、それが昇りであれ、下りであれ、始まりのようなものであるようにも感じる。
  
(2017/10/14 投稿)

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  第97作めとなる
  NHKの朝の連続テレビ小説わろてんか」が
  始まりました。
  このドラマ、吉本の創業者吉本せい
  モデルにしているようですが
  吉本せいという女性は
  その生涯が波乱万丈ということもあって
  たくさんの小説やドラマの
  モデルになっています。
  そこで今日は
  山崎豊子の『花のれん』を
  紹介します。
  この作品、新潮文庫にはいったのが
  昭和36年ですが
  今回の朝ドラにあわせて
  表紙カバーも刷新して
  書店で平積みされています。
  すごいですね、
  朝ドラの力って。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  朝ドラよりも面白い                   

 第39回直木賞受賞作。(1958年)
 今や157回を数える直木賞だから、この作品がどれだけ古いかわかろうというもの。
 そして、このあと『白い巨塔』『不毛地帯』『大地の子』といった社会派長編小説を手掛けた山崎豊子の出世作といえる作品である。
 選考では大方の委員の評価を集めたようで、中でも川口松太郎は「今度の作品中では、どれよりも優れているような気がして自信を持って推薦」と絶賛。海音寺潮五郎は「材料を豊富に用意しておいて、速射砲的にポンポン撃ち出して行く手法が面白い」と評価するも、小島政二郎は「彼女の成功のイキサツが実にイージー・ゴーイング」と厳しい点をつけている。

 この長編小説は現在の吉本興業の創業者吉本せいをモデルとした女一代ものである。
 大阪船場の老舗に嫁いだ多加だが、その夫吉三郎の道楽がひどく、店もつぶれてしまう。そんなに道楽が好きならいっそのこと好きな芸能興行をしてみてはと吉三郎にもちかけたのが、多加の商いの始まりであった。
 少し芽のでてきた商いに吉三郎の道楽がまた顔を出し、ついには愛人の家で命をおとしてしまう始末。
 その葬儀、二人の夫にまみえないという覚悟の白い喪服を着て、多加は商いへの覚悟を決める。
 ここまでがおよそ三分の一。これから先、多加がほのかに想いを寄せる男の登場もあるが、それをふりきっても商いにまい進する女性の強さが見事に描かれて、面白かった。
 桂春団治やエンタツ・アチャコといったお笑い界の名人とのエピソードもうまくはめこまれて、満足の一編である。
  
(2017/10/13 投稿)

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  昨日紹介した
  『どんな絵本を読んできた?』で
  お二人の方が
  今日紹介する
  中川李枝子さんの『ももいろのきりん』を
  あげていました。
  なかむらるみさんと長嶋有さん。
  長嶋有さんは
  この作品に人間の友達が出てこないことで
  この作品がひっそりしていると
  書いていましたが、
  わたしはそうは感じませんでした。
  ここは
  主人公の女の子の独占場。
  だからこそ
  人気があると思いましたが
  どうでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  女の子に愛されて半世紀                   

 名作『ぐりとぐら』の作者中川李枝子さんが書いた絵本というより児童書の範疇にはいるだろう作品。
 そうはいっても、さし絵はあって、描いているのは中川李枝子さんの夫中川宗弥さん。
 1965年に初版というから半世紀も経っているが、読んだのは2014年に発行された112刷のもの。
 ここまでくれば、りっぱな古典といえそう。

 ある日るるこというちょっとわがままな女の子はお母さんからとても大きなもも色の紙をもらいます。ピンクと書かないのがいいですが、1965年当時はピンクとはあまり言わなかったのかもしれません。
 るるこはこの紙で大きなそしてりっぱなきりんをつくりました。
 最初はのりが乾いてなくてぐったりしていたきりんですが、るるこは洗濯ものといっしょに乾かします。
 すると、きりんはしっかりと動けるようになりました。
 でも、夜には長い首がじゃまをして、るるこの部屋に入り切りません。
 首だけ外に出していたら、今度は雨にやられてしまいます。
 また洗濯ばさみのお世話になって、きりんは元気になります。ところが、雨で少し色が落ちてしまいました。
 るることきりんはクレヨンの山に向かって冒険の旅にでていきます。

 ファンタジーといえばそうですが、この物語のるるこという女の子がとっても元気いっぱいなのが、この本の大きな魅力です。
 読者は女の子だと思いますが、るるこを見て、彼女みたいになりたいって思うんじゃないでしょうか。
 この物語には男の子は出てきませんが、男の子以上に元気はつらつのるるこが人気が続いている理由だと思います。
  
(2017/10/12 投稿)

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  今日は
  「この絵本が好き!」編集部編
  『どんな絵本を読んできた?』を
  紹介します。
  この本は57人の絵本好きが
  自分の好きだった絵本を
  熱く語っています。
  どんな人がいるかというと
  いせひでこさんとか山崎ナオコーラさんとか
  角野栄子さんとか吉田篤弘さんとか
  ほかたくさんの人です。
  中で、森絵都さんがこんなことを
  書いていました。

    子どもが残した指紋の数こそが絵本の勲章だ。

  うまいことを
  いいますね、さすがに。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私を育ててくれた本のこと                   

 子どもの頃に絵本など読まなかった。
 そもそも絵本があるような家ではなかった。
 作家や漫画家、あるいはミージシャンといった著名な(といっても名前の知らない人も多いのだが)57人の人たちが絵本の思い出を綴ったこの本の、最後に登場する翻訳家の柴田元幸さんの「どんな絵本も読んできてません」は、だからいっそう小気味いい。
 柴田さんは1954年でまさに同時代人で、「母親が枕元で絵本を読み聞かせてくれた」とか「児童書室でどれにしよーかなー」と迷ったことはないという。
 私もまさにそう。家には一冊の絵本もなかった。

 そんな劣悪な読書環境で育ったと思ってきた。
 だから、この本の中で何人かの人が「通ってた幼稚園では毎月絵本がもらえた」と書いていてなんと恵まれた子どももいたものだとうらやましくもあった。
 そういえば、私の場合、絵本ではなかったが小学館の学年誌を毎月購読してもらっていたことをふいに思い出した。
 毎月決まった日に本屋さんが配達してくれる雑誌をどれだけ楽しみにしていたか。
 それは絵本ではなかったが、その頃の学年誌には漫画だけでなく小さな物語もあっただろうし、それは特定の物語ではないにしろ、今の私を作ってくれた宝物のような存在であった。

 さて57人の世代も性別も違う人たちの、思い出の絵本といってもほとんど重なることがないが、人気の絵本作家がそれでもいる。
それが加古里子さん。「だるまちゃん」シリーズの絵本作家である。
 それと中川李枝子さんの『ももいろのきりん』を複数の人があげていたのが印象に残った。
  
(2017/10/11 投稿)

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  いよいよ今日
  衆議院議員総選挙の公示です。
  大義なき解散とか
  新党結成とか
  さまざま言われている選挙ですが
  これからの日本を左右する選挙になるでしょうから
  やっぱりしっかり投票したいですね。
  それに関連してということでもないですが
  今日は
  山田玲司さんの『非属の才能』という本を
  紹介します。
  一度大きな枠組みを疑ってみることも
  必要なではないか、
  あるいは自分たちとは相入れない人たちを
  「排除」することのないよう
  考えさせられる一冊です。
  ちなみに長江貴士さんが
  神奈川の本屋さんで働いていた時の推薦の言葉が
  こちら。

   正しいことが何なのか、見失っている君たちへ。
   この本を是非読んでみて欲しい。
   君の心に響く言葉が、きっとあるはずだから。
   
正しいように見える意見が、本当に正しいとは限らない。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  誰も「排除」しない                   

 『書店員X』の著者長江貴士氏が今のさわや書店に移る前の書店員時代から推薦していた本がこれで、『書店員X』にもこの本のことは書かれている。
 『書店員X』を読まなかったらこの本に出合うことはなかっただろう。
 何しろ著者の山田玲司さんという人がどういう人かも知らないし、その人が書いた漫画さえ読んだことがない。
 ましては「非属」といわれてもピンとこなかった、『書店員X』を読むまでは。

 私は「いかに良い群れに属するか」という極めて常識的な世界に生きてきたと思う。
 それはそういう時代だったかもしれないが、まずは「常識」が優先して世界だった。
 例えばもう何十年も前の高校時代に制服の自由化を問うというようなことがあった。その時、私は思ったものだ。「制服は便利なんだけど」と。
 つまり、その意識下には「同調さえしていれば、とりあえず無難に生きていける」という甘えの構造があったのだろう。

 そういう「常識」を少し外れれば「排除」される論理というのはおかしいということに気がつかないといけなかったのだ、きっと。
 あるいは、もっと違った「才能」があったにもかかわらず「常識」の鎖に縛られていたかもしれない。
 この本に書かれていることはただひとつ、「「みんなと同じ」はもうやめよう」ということ。
 きっと長江氏のようにこの本を読んで、そうか同じでなくてもいいんだと安心し、勇気づけられた人も多いはず。

 この本を読めば、「排除」なんていう言葉は生まれないのではないか。
 もちろん、「あの人たち」という呼び方もしないだろう。
  
(2017/10/30 投稿)

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 今日は体育の日
 昨日の日曜日あたりは
 運動会があった幼稚園とか小学校も
 多かったのではないでしょうか。

    運動会午後へ白線引き直す     西村 和子

 休日の今日あたり
 散歩でもすれば
 秋の草花がきれいに咲いているところを
 見つけたりします。
 私のところの近所にも
 コスモスが咲いている場所を見つけて
 うれしくなりました。

  CIMG2227_convert_20171008155503.jpg

    コスモスの揺れ返すとき色乱れ     稲畑 汀子

 昨日の日曜日(10月8日)
 パプリカも伐採しました。
 苗を植える時に
 パプリカの栽培は難しいと言われていたのですが
 なんとか赤いパプリカ4個
 収穫できました。
 実がついたのは10個以上あったのですが
 赤く色づくまでに
 ダメになるケースが多かったですね。
 それでも
 上々の出来としましょう。

 これで
 畑は秋冬野菜だけになりました。
 ハクサイが大きく育っています。

  CIMG2229_convert_20171008155622.jpg

 一体どこまで大きくなるのっていうくらい。
 こちらは芽キャベツ

  CIMG2228_convert_20171008155544.jpg

 これも順調に
 育っています。

 これは芽を出したニンニク

  CIMG2230_convert_20171008155653.jpg

 芽が出ないところもあって
 追い植えをしておきました。

 そして
 ダイコンです。

  CIMG2232_convert_20171008155743.jpg

 虫にやられてりなかなか大変だったダイコン
 なんとか白い首を
 見せるところまで大きくなりました。
 こういうのを見ると
 ホッとします。

 次週はイチゴの苗植え。
 冬を通り越して
 春まで長い栽培のはじまりです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、
  寒露

    水底を水の流るる寒露かな     草間 時彦

  秋が深まる時候です。
  今日は先週に続いて
  和田誠さん絵、
  谷川俊太郎さん文の、
  『ともだち』を紹介します。
  和田誠さんたちの絵本は
  たくさんあって
  この作品も読んだかもしれませんが
  どうもあやしい。
  それくらい
  お二人のコンビはたくさんの絵本を
  つくっています。
  きっと和田誠さんと谷川俊太郎さんは
  いいともだちなんでしょうね。
  今日が運動会という子どもたちも多いでしょうが
  おともだちと仲良く
  してくださいね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「ともだち」といっしょに読みたい絵本                   

 なんだか読んだことがあるとずっと思ってきた。
 きっと谷川俊太郎さんと和田誠さんがコンビの絵本がたくさんあるせいだろう。
 この本だって、そう。
 最初はいつもの感じで、「ともだち」の魅力が語られていく。
 「ともだちって いっしょに かえりたくなるひと。」とか「ともだちなら たんじょうびを おぼえていよう」といったように。
 そして、谷川さんの短い文章に和田さんの素敵な絵があって、それは何ページもつづく。

 ところが、途中でトーンが少しずつ変わっていく。
 「しかられた ともだちは どんなきもちかな」とか「ないしょばなしを されたら どんなきもとかな」といったように。
 そういった変調のあと、「すきなものが ちがっても ともだちは ともだち。」みたいな文章に変わっていく。
 そして、最後は和田さんの絵ではなく、障害を持った子や世界のどこかの貧しい国の子の写真に変わる。
 その時、この本は初めて読むんだと気がついた。

 そして、思った。
 この絵本は読者に考えさせる絵本なんだ。
 谷川さんはいろんな「ともだち」についてのことを書いてはいるけれど、きっと読んでいる私たち自身が「ともだち」ってどんな人のことなんだろうかとか、いじめをしたりいじわるをしたりすることはどんな気持ちなんだろうかとか、自分たちのまわりだけでなく世界中にいるだろうたくさんの人たちとどうしたら「ともだち」になれるんだろうといったことを、考える絵本なんだ。

 だから、きっとこの絵本は「ともだち」と読んだら、いい本にちがいない。
  
(2017/10/08 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は昨日の続き。
  ロバート・ニュートン・ベックの『続・豚の死なない日』。
  続編なので
  主人公のその後が描かれているが、
  少年に書くことを教える
  女教師が少年の支えにもなっている。
  少年は教師の仕事を農夫だという。
  その一節から。

    先生は(中略)ほんとうの農夫なのだ。
    かたい決意ももって種をまいている。
    収穫するのはぼくたちだ。


  教師の仕事の尊さとは
  このあたりにあるのでしょうね。
  昨日と今日、
  二日間にわたって紹介したこの本、
  若い人たちに
  ぜひ読んでもらいたい作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  空のどこかにあるものを忘れた人たちに読んでもらいたい                   

 この物語のタイトルを見てわかるように、この物語はアメリカで1972年の発表された『豚の死なない日』の続編である。
 原題は「空のどこかに」で、続編ながらこちらが発表された1994年という。
 父を亡くしたロバート少年のその後の話であるから、物語はつながっているが、作者はこの作品を書くのに実に20年の歳月が必要だったことになる。

 前作が父と息子を主とした家族の物語だとすれば、この続編は息子であるロバートの青春物語といえるだろう。
 何しろあのロバート少年にかわいい恋人までできるのだから。
 そういう華やかな側面はあるしろ、少年と母と伯母の小さな家族を取り巻く環境はさらに悪化していく。
 父が亡くなる半年前に「おまえひとりが頼り」と父から任された少年だが、わずかばかりの牝牛も牡牛も死んでしまう。さらには干ばつと、天候すら少年の味方ではない。
 父があと5年で自分たちのものになるといった畑も月々の支払ができず銀行に取り上げられてしまう。

 次から次へと少年に襲ってくる苦難の中で、少年は学校の女教師の勧めで詩を書くことを覚える。
 女教師は言う。「あなたが詩を書くたびに、あなたの心と精神がきたえられていく」と。
 その言葉の通り、少年を書くことでつらい現実と対峙することができる。

 そんな少年を励ます少女や隣人たち。
 結局住む家さえ手離すことになった少年だが、自分が幸せだとはっきり自覚する。
 貧しさは不幸かもしれない。
 しかし、少年のようにそれでも幸せだと感じることができることを、この物語は教えてくれる。
  
(2017/10/07 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今JIPC読書アドバイザーの受講を終えた人や
  埼玉に住んでいる本好きな人たちと
  毎月読書会をしています。
  だいたい毎月10人ほどが集まって
  自分の好きな本を紹介し合っています。
  そういう会に参加すると
  世の中には自分の知らないたくさんの本が
  あることに気づかされます。
  今日紹介する
  ロバート・ニュートン・ベックの『豚の死なない日』は
  先月の読書会で一人のメンバーが紹介していた本で
  話を聞いて読みたいと思いました。
  新しい本ではなく
  日本で最初に紹介されたのが
  1996年です。
  その後、白水uブックスの一冊に
  ラインナップされました。
  とっても感動しました。
  いつかしら私たちがなくしてしまったものが
  この作品にはあります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  貧しさは不幸と同じではない、とこの小説は教える                   

 格差社会といわれる。しかし、昔から富める者もいれば食事にも事欠く人たちもいた。それなのに、どうして今の格差の問題は悲惨さが付きまとうのだろう。
 豚を殺す営みと少しばかりの畑を耕して生きている、この物語の家族を見ていてわかったことが一つある。彼らは貧しかったけれど、決して自分たちを卑下していなかったということだ。

 1972年にアメリカで発表されたこの物語はロバート・ニュートン・ペックの処女作だという。彼は44歳の時にこの作品を書き、たちまち時代の寵児となった。
 この作品はヴァーモンド州の田舎で育った彼の自伝的要素が高い。つまり、時代は世界恐慌の波に襲われていて、主人公のロバートはまだ12歳にもかかわらず、家の手伝いを余儀なくされている。

 豚を殺す生業の父の身体には豚の匂いが染み込み、父はそのことを母にあやまったことさえあるという。
 その時、母は父に「誠実な仕事の匂い」ときっぱり言ったという。
 そんな両親に育てられたロバートだからこそ、貧しさの意味も働く意義もよく理解する少年に育った。

 この物語で父は息子に生きることの大きな意味を何度も教えている。
 そういう父が昔はいたし、そういうことを描く物語も多くあったように思う。
 ある日少年が飼っていた子豚を食べるものが尽きて処分することになる。
 父は少年に教える。「これが大人になるということだ。これが、やらなければならないことをやるということだ」と。
 そうやって少年は何度も苦しみや悲しみと向き合って、成長していく。

 そして、最後にはその父をも亡くしてしまう少年。
 その時、少年は気づくことになる。「父さんは金持ちではなかった。しかし決して貧しくはなかったのだ。(中略)父さんは豊かな人生を送った」のだと。
 こういう物語もまた少なくなっているのも残念だ。
  
(2017/10/06 投稿)

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  以前にも書いたかもしれないが
  どうも私はこの手の
  つまり読書ガイドのような
  本が好きである。
  今日紹介する
  安野光雅さんの『本が好き』も
  書店で見かけて
  思わずぐぐっと身が乗り出しそうになって
  いやいや我慢しようと
  踏ん張っていたのですが
  やっぱりどうにもこうにも
  ならなくて
  こうしてまた手にしてしまいました。
  読書ガイドではなく
  本当の作品をもっと読まないといけないのにと
  反省しきりの一冊でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  安野光雅さんが面白かった本たち                   

 この本の著者安野光雅さんといえば、美術家、装幀家、あるいは絵本作家と幅広い活躍をされていて、独特の水彩画は見れば安野さんの作品とわかる人も多いだろう。
 そんな安野さんが書いた読書ガイドがこの本で、その「あとがき」に安野さんはこんなことを書いている。
 「なぜ私が本が好きで、人に本を薦めるかというと、自分の面白かった世界をみんなに知ってもらいたいだけなのだ」と。

 では、安野さんが「面白かった世界」はどんな本だったかというと、『ファーブル昆虫記』『犬が星見た』(武田百合子)『方法序説』(デカルト)『モンテ・クリスト伯』(デュマ)『さざなみ軍記』(井伏鱒二)など、実に幅広い。
 ここに書いたのはほんのわずかで、この本で挙げられている本の数は30冊以上に及ぶ。
 しかも、この本の不思議な点はそれぞれが同じ分量で語られていないところだ。
 きっとお気に入りの本はどんどん書きたいことが出てくるのだと思う。
 そのあたりが先ほど引用した「あとがき」の言葉とつながっていく。

 これはいうまでもないことだが、安野さんはだからこれらの本を読みなさいとは強要していない。
 自分はこう読んだよ、ここが面白かったよ、あるいはこう考えたよと書いているに過ぎない。もちろん本をたくさん読んだ方がいいとは思っているだろうが、それを無理強いする程、安野さんも野暮ではない。
 むしろ、いい読書人ほど読書の強要ほどひどいことはないと思っているにちがいない。
  
(2017/10/05 投稿)

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  昨日「赤塚不二夫」展での
  編集者武居俊樹さんと赤塚りえ子さんの
  トークショーのことを
  書きましたが、
  その中で赤塚不二夫さんが生前しきりに
  武居俊樹さんがいなかったら
  あれらのギャクマンガができなかったと
  語っていたことも
  話されていました。
  武居俊樹さんにとって
  赤塚不二夫という漫画家に出合ったことは
  自身の人生さえも
  変えたのだと思います。
  それぐらい
  編集者と作者の関係は密なもの。
  今日紹介する
  川崎昌平さんの『重版未定2』でも
  それはよくわかります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  編集者という仕合せな仕事                   

 弱小出版社の編集部員の仕事をコミカルに描いて、見事「重版出来」まで版を重ねた前作に続く、これがその続編。
 主人公は前作と同じ弱小出版社・漂流社の編集部員。
 いきなり「転職」というタイトル章で始まるこの巻だが、彼だって「売れる本も編集したいと思っています」(というのが、この巻のサブタイトル)。
 売れ残った本を「断裁」する現場に立ち会い、これではいけないと一念発起した主人公、「売れる本より残る本をつくります!」と新しい企画に挑戦することに。

 企画を進める過程で、さりげなく出版業界の業務や「取材」の極意を入れ込むあたり、お仕事漫画らしい描き方になっている。
 中でも主人公が見つけてきたライターに言うセリフが決まっている。
 曰く、「編集者が信じなかったら誰が著者を信じるんですか」。
 作品を生み出すのはライターで、編集者はあくまでも黒子なんだろうが、ライターが作品を生み出す力を与える重要な役割も持っているのは、しばしば耳にすること。
 もちろん、だからといってライターの存在意義まで否定することではない。

 ところが、この物語ではとうとうライターは執筆に頓挫してしまう。
 さあ、そうなると出版はどうなるのか。
 ここから主人公がとったような行為が本当に行われているのかわからないが、いずれにしても編集者の仕事は大変だとわかる。
 ただいえることは、そんなきつい仕事以上にいい本が生まれた時の満足感はほかでは味わえないものなのだろうということ。
 仕合せな仕事なんだろうな、きっと。
  
(2017/10/04 投稿)

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 さいたま市には
 重要な文化資源が4つあります。
 盆栽、漫画、人形、鉄道です。
 人形というのは人形の町岩槻があるからですし
 鉄道は鉄道博物館があるくらいですし、
 盆栽は世界に誇るくらいです。
 そして、漫画は日本の漫画の父とも呼ばれる
 北沢楽天が生前暮した街で
 今もその旧住居はさいたま市立漫画会館として
 親しまれています。

 今、そこで
 「ギャグ漫画の殿堂 赤塚不二夫展」が開催されていて
 9月30日に
 記念のトークショーがあったので
 行ってきました。

  CIMG2215_convert_20170930174302.jpg

 今回のトークショーは
 「週刊少年サンデー」で赤塚不二夫さんの担当編集者だった
 武居俊樹さんで
 当時のことを聞き出す聞き手は
 赤塚不二夫さんの娘・赤塚りえ子さん。

 トークショーの前に
 今回展示されている作品を見ておこうと
 結構前に漫画会館に到着。
 お出迎えしてくれるのは
 黄金のイヤミ像

  20170930_122745_convert_20170930174358.jpg

 まさにシェー! ザンス。
 私は昭和30年生まれですが
 その頃生まれた子供って
 きっとみんなシェー! してたんザンス。
 それぐらいすごかった。

 展示品は
 「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」「天才バカボン」といった
 赤塚漫画の傑作の原画がずらり。
 しかも、赤塚漫画の全集まで置いてあったので
 しばし「天才バカボン」なんか読んでいました。
 赤塚不二夫さんのたくさんいるキャラクターで
 私は「レレレのおじさん」なんか
 好きですね。

 トークショーは「赤塚不二夫のつくりかた」と題されて
 行われました。
 武居俊樹さんといえば
 「少年サンデー」で連載された「レッツラゴン」に登場するぐらい
 赤塚不二夫さんから信頼されていた編集者で
 娘の赤塚りえ子さんが大絶賛の漫画です。
 もともと「少年マガジン」で人気を博していた「天才バカボン」を
 「少年サンデー」にひっぱり
 「モーレツア太郎」とW連載という快挙をなしとげ
 その後「天才バカボン」は再び「少年マガジン」へ移るというような
 漫画史に残る逸話もあります。
 そんな武居俊樹さんは
 赤塚不二夫さんのことを
 なんでも徹底してやった天才と
 称賛されていました。

 タモリとの交友の話もあったりして
 あっという間の100分でした。
 この展覧会、
 11月12日まで開催されています。
 ちなみに入館料は
 無料ザンス。
 シェー!!

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 さすがに10月になると
 めっきり秋の気配になりました。
 畑にも
 トンボがたくさん飛んでいます。
 トンボ、蜻蛉は秋の季語

    蜻蛉の力をぬいて葉先かな      粟津 松彩子

 昨日の日曜(10月1日)は
 いよいよ今シーズンの夏野菜も最後にして
 ナスピーマンを伐採しました。
 これが伐採前のナスと
ピーマン。

  CIMG2216_convert_20171001140210.jpg

 まだ実がついていて
 惜しい気持ちもあるのですが
 このあとの野菜の栽培もあるので
 今年の夏野菜も
 これで終わりにしました。

 最後に採れたナスはこれ。

  CIMG2225_convert_20171001140403.jpg

 ナスはこの夏、
 なんと140個 の大収穫でした。
 ピーマン65個
 よく頑張りました。
 これだけ収穫できたナスだけあって
 根のしっかりはっていました。

  CIMG2218_convert_20171001140335.jpg

 写真でいえば
 そばのスコップの大きさと比べれば
 根の張りぐあいが
 わかります。
 この畝はしばらく休ませて
 今月半ばにはイチゴの植え付けをします。

 ジャガイモはごらんのとおり。

  CIMG2217_convert_20171001140251.jpg

 その隣にある
 モロヘイヤもこの日伐採しました。
 モロヘイヤ
 この夏楽しませてくれた野菜でしたね。

 そうそう
 パプリカがまだ残っています。
 ようやく赤くなった実をひとつ収穫しました。

  CIMG2214_convert_20171001140134.jpg

 でも、ここまで赤くなるのは
 なかなか難しくて
 あと3個ばかり実がついていましが
 赤くなれるかどうか。
 いずれにしても
 その3個で夏野菜もおしまいです。

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