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プレゼント 書評こぼれ話

  この秋、
  近くの公民館で開催された
  俳句入門の講座に参加して
  句会もどきのようなことを体験しました。
  俳句は詠むことも大事ですが
  読むことも
  もっと大事だと
  教えられました。
  そんな時歳時記で見つけたのが
  「銀杏ちる兄が駆ければ妹も」という
  安住敦の俳句でした。
  なんとなく
  心に染みてきて
  もしかすると
  この人の俳句は自分に合っているのかもと思い
  手にしたのが
  今日紹介する
  『安住敦の世界』です。

  じゃあ、読もう。

  
sai.wingpen  しみじみと味わいたい安住敦                   

 どの世界でもビッグネームがあります。
 例えば、野球でいえば長嶋とか王、イチローといった人たち。
 俳句の世界では松尾芭蕉とか小林一茶、正岡子規といった俳人が思い浮かびます。しかし、同じ創作の世界でも小説家とちがって世界が狭いような印象は否めません。
 俳句は読むというより詠む芸術だからでしょうか。
 俳句の本を探すといっても、俳句の作り方のような本はすぐ見つかりますが、なかなか一人の俳人の句集となると目につくことは難しい。

 この本は1994年6月に刊行された「昭和俳句文学アルバム」として編まれた一冊で、戦後久保田万太郎主宰の「春燈」創刊に尽力し、長年その編集に携わった安住敦(1907~1988)の代表句200句と彼の評伝とその作品を収めています。
 安住敦といっても知らない人も多いでしょうが、「てんとむし一兵われの死なざりし」とか「しぐるるや駅に西口東口」「恋文のごとく書き溜め牡丹の句」といった句を詠んでいます。
 山本健吉はこう評したそうです。
 「一人の生活者のつつましく生きる姿が彷彿と、あざやかに、あたかも一篇のすぐれた私小説のやうに浮び上がつてくる」と。
 どうも私が安住敦の俳句に魅かれるのもそのあたりかもしれない。

 「アルバム」とあるから安住敦の色々な、吟行や何かの集会の写真が多いが、表情が写真として掲載されているが、詩人や歌人、あるいは小説家とはまた違った雰囲気を醸しだしているのも興味をひかれる。
 俳句とはげに奥が深い。
  
(2017/11/30 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  角川ソフィア文庫の「ビギナーズ・クラシックス」から
  『小林一茶』を紹介します。
  書いたのは
  若き俳人大谷弘至さん。
  この本を手にしたのは
  小林一茶を読んでみようというより
  大谷弘至さんが
  どのように江戸時代の俳人小林一茶
  料理しているのかを
  知りたかったので
  それは期待以上の出来でした。
  こういう若い俳人がどんどん
  出てくれば
  俳諧の世界も広がっていくのでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  格好の入門書                   

 江戸時代と大きく区切っても理解できないことがある。
 例えば、この角川ソフィア文庫「ビギナーズ・クラシックス」の一冊『小林一茶』で取り上げられている小林一茶であるが、生まれたのは1763年。亡くなったのは1827年。
 江戸時代の開幕が1603年で大政奉還が1867年であるから、小林一茶は江戸時代後期の俳人ということがわかる。
 実際その死の間際に生まれた娘やたは明治の時代まで生きている。
 ちなみに松尾芭蕉は1694年に没しているし、与謝蕪村は1784年に没している。
 芭蕉は江戸時代前期の、蕪村は中期の俳人だったと大きく分類できるかもしれない。

 その上でこれは本書の解説を書いた俳人長谷川櫂氏によると、芭蕉蕪村までは古典文学の下地を必要としたが、一茶の頃は多くの大衆が俳句を詠むようになった時代だという。
 だからこそ、一茶のありふれた文体の俳句が愛唱されるようになったのだ。
 よく知られている一茶の俳句に「痩蛙まけるな一茶是に有」があるが、実はそういう巷間よく伝わる俳句だけを一茶の俳句と呼ぶには惜しいと、本書の著者大谷弘至氏は書いている。
 ゆえに、編年のように編まれた本書の試みは一茶の人生や生き様を知るにはうってつけといえる。
 まさに「ビギナーズ」、入門書として最適だ。

 著者の大谷弘至氏について書いておくと、1980年生まれというからまだ若い。
 若いながらもその才能を長谷川櫂に見出され、今では結社「古志」の主宰である。
 こういう若い才能が先人たちを学び、それを教えてくれることこそ伝統そのものだといる。
  
(2017/11/29 投稿)

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 埼玉県さいたま市
 およそ129万の人口を抱える
 政令都市です。
 その中核を担うJR浦和駅の真ん前に
 さいたま市立中央図書館があります。
 開館して
 明日11月29日でちょうど10年。

  CIMG2308_convert_20171127164151.jpg

 さいたま市にある25の図書館の核図書館として
 様々な事業に取り組んでいます。

 そんな中央図書館の
 開館10周年記念イベントのひとつとして
 先日の日曜日(11月26日)
 「映像で振り返る石井桃子さんの生涯」が
 開催されました。

 石井桃子さん(1907~2008)は
 現在のさいたま市浦和区に生まれた
 児童文学者です。
 『クマのプーさん』や『ちいさなうさこちゃん』の翻訳だけでなく
 『ノンちゃん雲に乗る』といった創作、
 あるいは児童文学に関する評論など
 児童文学に大きな功績を残しました。
 そんな石井桃子さんが
 浦和についてこんな文章を残している。

    東京に住んでいる人間が、
    うまれ故郷などといってうわさをするには、
    たしかに浦和は近すぎる。
    けれども(中略)私にとっては、日本じゅうでかけがえのない場所なのだ。


 今回のイベントは
 石井桃子さんの半生を
 ドキュメンタリー映画にした
 「ノンちゃん牧場」と「子どもと文学」の
 上映会と
 監督の森英男さんの
 解説という
 ぜいたくな催しでした。
 「ノンちゃん牧場」
 戦後まもない時期に石井桃子さんが
 宮城県栗原市鶯沢の山奥で
 自ら開墾し
 畑をつくったり乳牛を飼った足跡を
 たどります。
 「子どもと文学」は
 そのあとアメリカ留学の後
 児童文学に真剣に向き合う姿が
 描かれています。

 森英男さんも話されていましたが
 今は石井桃子といっても
 知らない若い人も多いようで
 石井桃子さんが翻訳したり創作したりした作品を
 読んで育った人たちも
 それを書いた人がどんな人なのか
 知らないというのは残念です。

 当日会場には60人あまりの人たちがいました。
 さすが浦和の人たちですから
 石井桃子さんの功績はよくご存じのようで
 イベントのあと
 会場の外で展示されていた
 関連資料を熱心にご覧になっていました。

 さいたま市立中央図書館
 10年という節目を迎え、
 これからも市民の目線を忘れることなく
 にぎわってくれることを
 願っています。

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 二十四節気のひとつ
 小雪も過ぎ
 畑にも先日初霜が降りました。

    初霜のあるかなきかを掃きにけり      鷹羽 狩行

 街の街路樹もすっかり色づき

  CIMG2285_convert_20171111165328.jpg

 川では水鳥が
 ほのかの冬の光に遊んでいます。

  CIMG2307_convert_20171125131818.jpg

 霜が降りる前に
 ジャガイモは収穫した方がいいそうで
 それでなくても
 秋植えのジャガイモは育ちが悪く
 四個タネイモを植えましたが
 そのうち二個が腐ってしまい
 残った苗もなんだかひ弱で
 収穫はほとんど諦めていたのですが
 霜が降りたので
 11月25日の土曜日
 ジャガイモを収穫しました。
 結果は
 残念ながら2個

  CIMG2301_convert_20171125131426.jpg

 わずか2個。
 たった2個。
 まあそれでも収穫できたことを
 喜ばないと。
 だから
 恵みの2個。

 この季節、
 春の収穫までじっとがまんの期間で
 エンドウマメもやっと芽がでたところだし

  CIMG2303_convert_20171125131614.jpg

 イチゴの苗も
 ごらんのとおり。

  CIMG2304_convert_20171125131659.jpg

 畑全体も
 冬枯れですね。

  CIMG2305_convert_20171125131744.jpg

 春には満開となる桜も
 今はすっかり紅葉して
 散っています。

 今週末はもう12月。
 今年最後の菜園イベントで
 芋煮会が開催されます。
 あったかい芋煮で
 体も心も温まりたいものです。

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  『からすのパンやさん』以来
  すっかりかこさとしさんのファンになって
  今日はそのシリーズの一冊
  『からすのそばやさん』を
  紹介します。
  そばやさんといえば
  各地にそばの老舗名店がありますが
  私は駅前にある富士そばが大好き。
  コロッケそばも好きだし、
  かきあげそばも好き。
  けっして味もおとるわけではない。
  それでいて
  安いのがお得感満載。
  そのうちに
  からすの富士そばやさんなんて
  できたらいいのに。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  コロッケそばをお忘れなく                   

 かこさとしさんの名作『からすのパンやさん』が最初に発表されたのが1973年。
 それから40年後の2013年にその続編を4冊同時に出版されたから出版界の一大ニュースになりました。
 どうして、4冊かというと、「からすのパンやさん」には4羽の子どもがいたからで、それぞれが食べ物屋さんのエピソードの主人公になっているからです。
 ちなみに4羽の子どもの名前はチョコちゃん、リンゴちゃん、レモンちゃん、オモチちゃんで、それぞれ名前のように茶色だったり赤だったり黄色だったり白色だったりします。
 白いからすというのも変ですが。

 この「そばやさん」編は、白いオモチちゃんが主人公です。
 わかものになったオモチくんがいずみがもりのはずれで白い花の咲く畑を見つけたところから物語が始まります。
 そこはハッサクおじさんツユおばさん、それにイソちゃんがそばの実を育てている畑でした。
 オモチくんはおじさんたちにそばの打ち方を教わって、そばやさんを始めます。
 もりそば、かけそば、てんぷらそば。
 最初の『からすのパンやさん』のようにたくさんの食べ物が並びますが、まだまだ少ない。
 だったら、うどんにラーメン、さらにはズパゲティと一大麺王国が出来上がります。
 そうなれば、どんどん品数も増えて、「パンやさん」以上になっていきます。

 このあたりはかこさんの真骨頂。
 子どもたちの歓声が聞こえてきそう。「そのラーメン知ってる」「そのうどん食べたい」、なかには「そばはコシが決め手」なんていう子どももいたりする。
 こういう賑やかさがかこ絵本の楽しみなのだ。
  
(2017/11/26 投稿)

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  今週はなんだか
  昭和30年代あたりの回顧関連が
  多くなったので
  ついでに今日は
  東海林さだおさんにも登場願って
  『ショージ君のALWAYS』。
  相変わらず
  東海林さだおさんのユーモア感覚は鋭く
  笑い必死のエッセイが続々。
  フォーク歌手なぎら健壱さんとの対談は
  昭和27年生まれの年若い? なぎら健壱さん相手でも
  謙虚な対談に
  頭がさがる思いです。
  だって
  疎開を体験してるって
  すごい自慢? ですよね。
  あれ? ちがうかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  懐かしむお年頃ですかね                   

 昭和33年の東京下町を舞台にして大ヒットした映画「ALWAYS 三丁目の夕日」が封切られたのが2005年11月。
 きっとこの本はその昭和ブームをショージ君でもと企画されたのでしょう、東海林さだおさんの数々のエッセイから昭和の匂いにする作品を再編集したもの。
 2006年4月刊行ですから、出版界もブームとなれば慌ただしいかぎり。
 それくらい、2005年以降、昭和30年ブームになったといえる。

 この本の副題が「東海林さだおが昭和を懐かしむ」ですから、もう涙、鼻水、涎、なんでも流れてしまいかねません。
 「食べ物編」「場所編」「ヒト編」「モノ編」それに、なぎら健壱さんとの特別対談と、もう全ページ昭和昭和昭和。
 ちなみに東海林さんは昭和生まれといっても昭和12年。戦争中には疎開も体験しているほどの昭和の大御所。昭和30年代といえば、もう二十歳を過ぎた青年ですから。
 そんな東海林さんが子供時代に遊んだ遊びと昭和30年生まれの私が遊んだ遊びがほとんど同じなのはどういうことか。
 おそらく昭和30年代あたりまでは時間の流れは実にゆっくりしていたのでしょうね。
 だから、東海林さんの知っている昭和と昭和30年生まれの私が知っている昭和は同じ匂いがするから、この本のエッセイ全部が懐かしい。

 例えば、缶詰の空き缶にひもを通してパカパカ乗って遊んだり、馬とびゴムだんといった遊びの数々は、最近でがめったに見られない光景で、誰も月光仮面や怪傑ハリマオみたいに変装することもないのに、ちょっぴりさみしさを感じてしまうお年頃になりました。
  
(2017/11/25 投稿)

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  昨日「月光仮面」の本でしたので
  当時人気を二分した
  「怪傑ハリマオ」の本を
  今日は紹介します。
  二宮善宏さんの『「怪傑ハリマオ」を追いかけて』。
  「怪傑ハリマオ」もまた
  宣弘社の制作した番組です。
  昭和30年代にもし宣弘社がなかったら
  どんなにつまらない時代だったでしょう。
  言い方を変えれば
  宣弘社が創ったヒーローたちがいたから
  あの時代には希望があったともいえます。
  さあ、思う存分
  「怪傑ハリマオ」を楽しんで下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これであなたも怪傑ハリマオ                   

 「月光仮面」になるよりももっと簡単にヒーローになる方法があった。
 タオルを二枚用意します。
 まず一枚を頭にかぶります。普通にほっかぶりすればいい。
 そして、もう一枚は長いまま、頭のタオルの間に差し込めば出来上がり。
 もちろん、サングラスがあれば完璧ですが、なくても気分はヒーロー。
 そう、僕らのハリマオ!

 「怪傑ハリマオ」が放映されたのは昭和35年4月。それから1年余り続くことになる人気番組は毎週火曜夜7時半から日本テレビ系で放映された。
 提供は森下仁丹。制作は「月光仮面」を創った宣弘社。
 主人公のハリマオを演じたのは、青森出身の俳優勝木敏之。主題歌を歌ったのは三橋美智也。
 「♪真っ赤な太陽燃えている~」、そんな三橋の高い声で合わせて颯爽と登場した勝木ハリマオだが、これだけの人気番組の主役でありながら、その後ほとんどブラウン管にも登場しなくなる。

 本書ではその後の勝木の足どりを描きつつ、しかし、興味本位の「あの人はいま」ではなく、番組「怪傑ハリマオ」を創った男たちの今に至る思いを描いていく。
 主題歌を創った作曲家、作詞家、番組に流れたCMを唄った歌手、もちろん番組を創ったスタッフの面々。
 「月光仮面」だけが戦後の、またはテレビ黎明期のヒーローではない。
 「怪傑ハリマオ」もまた、子どもたちを夢中にさせてくれたヒーローだった。
 そんなヒーローたちがいたから、私たちは戦後を戦い抜けたといっていいのではないだろうか。
 放映からまもなく60年である。
  
(2017/11/24 投稿)

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  昨日『タケダアワーの時代』という
  本を紹介しましたが
  その時間帯の最初が
  昭和33年の「月光仮面」。
  そこから
  輝かしい「タケダアワー」が始まるのですが
  「月光仮面」の意味は
  それだけにとどまらなかったのでは
  ないでしょうか。
  当時オンタイムで
  「月光仮面」を見ていた人たちも
  齢を重ねて70代、60代です。
  日本の今を作った人たちですね、きっと。
  せっかくなので
  今日は再録書評
  樋口尚文さんの
  『「月光仮面」を創った男たち』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これであなたも月光仮面                   

  まずは白い布を二枚用意します。
 慶事用の白い風呂敷があればいいですが、なければタオルでもいいでしょう。そのうちの一枚で頭を覆い、後ろで結んで下さい。もう一枚で顔の半分を覆います。ちょうど昔の学生運動の闘士のようにです。
 次にサングラスですが、お兄さんご愛用のものを拝借できればいいですね。昔は駄菓子屋さんで売っていたものですが、今はどうでしょう。でもこれは絶対に必要ですから、なんとか都合をつけて下さい。
 あとはマント。これも大振りの風呂敷がいいですね。バスタオルでもいいですが、片手でパッと翻る素材の軽さが欲しいところです。
 そうそう大事なアイテムを忘れていました。額の三日月。これはボール紙で工作しましょう。もちろん、もう少しこだわりたい人は白いTシャツ、白いタイツに身をつつんで下さい。白いタイツはお姉さんのパンストでもいいですが、お父さんの駱駝のズボン下はやめましょう。
 さあ、これであなたもりっぱな<月光仮面>です。街の平和を守りに行きましょう。

 そうして遊んだ人も多いのではないでしょうか。昭和三三年に登場した「連続テレビ映画」『月光仮面』はそれ程のインパクトを当時の子供たちに与えました。
 本書は「『月光仮面』というそれ自体は安づくりの貧しさ漂う番組が、メディア変遷の歴史においていかに大きな意義を持ち、ここで培われた人びとの出会いがいかにテレビの新たな潮流を生み出したか」を考察したものですが、著者の樋口尚文氏は昭和三七年生まれですから、「月光仮面再放送世代」になります。
 実はこの「再放送」という仕組みがテレビ黎明期においては極めて重要な点です。
 当時のテレビ受信機の普及の状態からして、テレビが提供した情報がひろく人々の記憶につながるのは、この「再放送」(これも当時の番組制作事情によるものだったと思われます)がもたらした影響が大きいと思われます。そして、そのことはある一定の世代を大きく括ってしまう要素ももっていました。

 『月光仮面』でいえば、リアルタイムでそれを見た世代と樋口氏のように「再放送」で見た世代ではおそらくひと世代の隔世があるでしょうが、「再放送」という仕組みによって二つの世代は「同時代」の感覚をもつことになります。
 テレビの情報が続々と製作される時代に変化していくうちにこの「再放送」の仕組みが薄れてきます。そうすると「ウルトラマン世代」と「帰ってきたウルトラマン世代」というように、世代も細かく分類されていきます。
 そういう点からも『月光仮面』は幸福なヒーローであったといえます。(ちなみに『月光仮面』といえばアニメ番組を思い出す世代がいますが、これはまったく異質な世代といっていいでしょう)

 では、なぜ『月光仮面』があれほどまでに人気を高めたのでしょう。
 その謎を樋口氏は「空き地とつながるテレビ空間」に答えがあるのではと見ています。
 当時の子供たちにとっての遊びの空間は「空き地」であり、その延長として『月光仮面』が活躍する「テレビ空間」があったとしています。
 「大人たちが野球やプロレスの「中継」に熱中するのと同じフェーズで子どもたちに「観戦」されていた「実況的」イベントだったのではないか」と論じています。
 この遊びの空間としての「空き地」をどうみるかは重要な点だと思います。

 冒頭<月光仮面>に変身したあなたはどこに行くでしょう。少なくとも「空き地」に類した空間がない限り、誰もあなたの<月光仮面>を見てくれません。あるいは、誰かが扮した<どくろ仮面>と戦うこともできないでしょう。昭和三十年代というのは、戦う場として、あるいは演じる場としての「空き地」という空間を保有していた時代であったといえます。それは昭和三七年に放送が始まった『隠密剣士』の忍者・忍術路線へとつながります。
 そして、そのような遊びの風景がくずれていくのは昭和四一年から始まる『ウルトラマン』かもしれません。だって、誰がエレキングになれますか。
 子供たちは敵の怪獣を求めて「子供部屋」という空間には入っていったのではないでしょうか。
 さあ、<月光仮面>に扮したあなたは、誰と戦いますか。
 「誰なの、ママの自転車白く塗ったのは」という声をふりきって、疾風(はやて)のように出かけましょう。
  
(2008/10/19 投稿)

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  今日は
  友井健人さんや泉麻人さん、
  あるいは樋口尚文さんといった面々が
  執筆陣に名をつらねる
  『タケダアワーの時代』を
  紹介しますが、
  こういう手の本になると
  いいたいこと
  注文つけたいこと
  山積みなんです。
  まず、もっと図版をいれて欲しかった。
  タケダアワーで放映された
  番組を年表のようにして
  一覧化して欲しかった。
  視聴率とか
  出演者とか
  何年から何年まで放映されていたとか。
  ああ、それにしても
  この時間帯が懐かしい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  タケダ、タケダ、タケダ~                   

 経営危機に陥っている東芝が提供していた「サザエさん」の番組から降りるという噂が最近広まった。
 昔は1社が独占して番組の提供を行うという事例はたくさんあったが、東芝に限らず、企業の負担が大きいせいか、ほとんど見かけなくなった。
 広告の方法、番組の作り方がテレビ創世記の頃とだいぶ違ってきているのは、情報化社会ゆえの変化と考えるしかない。
 そうはいっても、1社が提供していた番組、その多くは曜日も時間帯も固定されていて、視聴者としては懐かしくもある。

 そのひとつが、本書のテーマである「タケダアワー」。
 提供企業は武田薬品。放送していたのはTBS。放送時間帯は日曜夜7時。つまりゴールデンタイムである。
 昭和33年から17年間、「タケダ、タケダ、タケダ~」のコーラスにのせて始まるこの時間帯に放映された数々の名作たち。
 「月光仮面」「豹の眼」(個人的にはこの番組がとても好きで夏休みなどで再放送されたものもよく見ていた記憶がある)「隠密剣士」、そして「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」さらに「柔道一直線」と、名前をあげているだけで、この時間帯に釘付けになっていたことがよくわかる。

 これらの番組に関わったのは、広告代理店宣弘社の面々。
 あの銀座のネオンで戦後その名を轟かせ、「月光仮面」や「怪傑ハリマオ」を生み出したプロダクションでもある。
 本書は宣弘社で「タケダアワー」を担当していた人やTBSの関係者などの聞き書きで、当時の熱気を再現した貴重な資料でもある。
 なによりも、これらの番組で大きくなってきたんだという感慨がある。
  
(2017/11/22 投稿)

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  今年もどうやら
  終りの方が見えてきましたが
  今年も色々な本を読んできて
  さて何がよかったか
  振り返り始めたこの頃です。
  そんな時
  読んだのが
  橋本大三郎さんの『正しい本の読み方』。
  どうも
  私はこの手のタイトルには
  弱い。
  ついひっぱられてしまう。
  この本、結構難しかったですが。
  そんな基準で
  今年の本を選べるか、
  そうはいかないのが
  読書の面白さ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  本を読むのも大変だ                   

 本書の著者橋本大三郎さんは気鋭の社会学者で、さすがに「本の読み方」を書いても結構難しい。
 文章はそうでもない。わかりやすく書かれているし、読みやすい。けれど、その内容は一筋縄ではいかない。
 まあそのあたりは飛ばしながらでもしっかり読むこと。
 何故なら、「正しい本の読み方」は「人間と付き合っていくように、本と付き合う」ことで、小難しいことを話す人があっても付き合っているうちにとてもイイ奴だと思うことがよくある。
 この本はそんな本だと思えばいい。

 そもそも何故橋本さんが「読書論」のような本を書くことになったか。
 そのあたりのことは「はじめに」で丁寧に書かれているが、要は世の中に流通しているたくさんの本から何をどう読んだらいいのか、それが現代ではわからなくなっているのではないか。
 あるいはどうして本を読まなければならないか、それすらわからなくなっているのではないか。
 橋本さんは本を読むのは「頭の栄養」を摂ることと書いている。
 この本を読み進めていくなかで、ちょっとしんどいと感じても最後まで読むのは「頭の栄養」とも関係する。
 読み終わったあと、頭が少し疲れたと感じたとすれば、それは頭を使ったということ、栄養を摂ったということ。

 中盤あたりに「特別付録」として「必ず読むべき「大著者一〇〇人」リストがついている。
 これを見ていると、自分がまだまだいい読書が出来ていないとも思わないでもないが、これも橋爪さんならではのひとひねりかもしれないと、横目で読むことにした。
  
(2017/11/21 投稿)

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 寒くなってきましたね。
 それもそのはず
 街のあちこちで
 クリスマスツリーが飾られる季節ですものね。
 それに
 日が短い。
 夕方5時にはもう真っ暗です。

   せはしなく暮れ行く老の短き日      高浜 虚子

 この俳句の心境ほどではありませんが
 なんだかよくわかります。

 先日の金曜日(11月17日)、
 私の菜園でテレビの撮影がありました。
 テレビ東京の某人気経済番組の撮影だとか。
 私が利用しているような菜園が
 今脚光を浴びているのでしょうね。
 そして、そのテレビクルーの、
 といってもディレクターとカメラマンの2人でしたが
 取材を受けました。
 ちょうどこの日
 ハクサイの収穫を予定していたので
 テレビカメラの回る中
 ハクサイを収穫しました。

  CIMG2298_convert_20171119094251.jpg

 今年のハクサイは大玉で
 家に帰って重さを計ると
 なんと3.4㎏ もありました。
 さっそく半分に切ると
 ごらんのとおり。

  CIMG2300_convert_20171119094320.jpg

    真二つに白菜を割る夕日の中     福田 甲子雄

 テレビの取材の話でしたね。
 そのあと、
 家人がアドバイザーさんの指導を受けているところを
 撮影して
 私も出ましょうかと尋ねたら
 オトウサンはさっき撮りましたからと
 拒絶されてしまいました。
 がっくり。
 しかも、家人の方が
 撮影長いし。

 まあテレビのことですから
 カットされるのでしょうが
 もしかしたら
 テレビデビューということもあるので
 放送日が決まったら
 また書きますね。

 この日は芽を出した
 ホウレンソウチンゲンサイの畝に
 ビニールで覆いをするトンネル栽培
 行いました。

  CIMG2295_convert_20171119094104.jpg

  CIMG2296_convert_20171119094137.jpg

 小さなビニールハウスですね。
 これで少しは寒さはしのげるでしょう。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する絵本、
  『Life(ライフ)』を書いたのは
  文がくすのきしげのりさんで
  絵が松本春野さん。
  松本春野さんのことは
  『ふくしまからきた子』の紹介書評で書きましたが
  いわさきちひろさんのお孫さんに
  あたります。
  いわさきちひろさんと比べてはいけないでしょうが
  やはりいわさきちひろさんのような
  優しいタッチの絵を
  得意とされているようです。
  この絵本でも
  その本領が遺憾なく発揮されています。
  物語もそうですか
  絵もしっかり楽しんで下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「Life(ライフ)」こそが「絆」                   

 東日本大震災のあと、私たちは「絆」という言葉をよく口にしました。けれど、あれから数年経って、その言葉もあまり聞かれなくなりました。
 でも、「絆」ってそんな流行に左右される言葉なのでしょうか。
 2015年3月に出版されたこの絵本を読んで、久しぶりに「絆」という言葉を思い出しましたし、「絆」とはつながっていく思いのことなのだと今更のように気づかされました。

 小さな町のはずれにある「Life(ライフ)」という店。
 この店では「だれかが何かをおいていき、そして何かを持ってかえる」ことになっています。
 そんなお店におじいさんを亡くしたおばあさんがやってきます。
 おばあさんがおいていったのは、「春にさく花の種」。
 そして、おばあさんが持ちかえったのは小さな「写真立て」。
 次のお客は、おばあさんがおいていった花の種を手にして、とどんどんつながっていく物語。
 その先、次の春、おばあさんがおいていった花の種はたくさんの花になって、おばあさんを包みます。
 これは、そんな美しい物語。

 おばあさんに光をあてればそんな物語が出来上がりますが、きっとこのお店を訪れたすべての人にも物語があるのでしょう。
 いえ、この絵本を読んでいる私たちにも物語があります。
 だって、この絵本こそ、「絆」そのものだから。
 まさに「Life(ライフ)」こそが「絆」なのです。
  
(2017/11/19 投稿)

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 先日今年の「流行語大賞」の
 ノミネート30語が発表されました。
 一部紹介すると、
 忖度ちーがーうーだーろー!プレミアムフライデーインスタ映え
 人生100年時代藤井フィーバー、といった言葉が
 あがっています。
 私ならやはり「忖度(そんたく)」かな。

ことは政治だけでなく
 企業の不祥事なんかをみていても
 「忖度」ばかりと思えてなりません。
 ちなみに
 あの「広辞苑」第五版で(我が家にあるのがこれなので)
 調べると、

    そん・たく【忖度】 他人の心中をおしはかること。推測。

 とあります。
 この語義でいいのかな。
 「他人」ではないでしょ、「上司」でしょ。
 まさか、来年1月に発売される「広辞苑 第七版」には
 そうなっていないですよね、やっぱり。

そう、今日はその「広辞苑 第七版」について
 書きたかったんです。

  

     ことばは、自由だ。

 最近本屋さんに行くと
 こんなポスターを見ることがありませんか。
 2018年1月12日発売の
 岩波書店の「広辞苑 第七版」の販促コピーです。
 その刊行にあたって
 販促の小冊子を手にいれたのですが
 これがなかなか面白い。
 今回新たに追加された言葉の紹介もあったりして。
 例えば、
 「朝ドラ」や「加齢臭」「アプリ」「ちゃらい」という言葉も
 今回入ります。
 人名でいえば、
 「赤塚不二夫」とか「高倉健」も。
 私的には
 ダイエーの創業者「中内功」が入るのには
 感慨深いものがあります。

辞書を読むというのは
 なかなかできませんが
 やはり「広辞苑」、
 一冊は欲しいですよね。

そうそう流行語大賞の発表は
 12月1日です。
 選考委員の皆さん、
 くれぐれも「忖度」のなきよう。

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プレゼント 書評こぼれ話

  吉本ばななさんの作品をすべて
  読んできたわけではありませんが
  結構まめに読んできた
  作家の一人ではあります。
  デビューから30年、
  これがその渾身の作品、
  『吹上奇譚』。
  この本はいつもの書評サイト「本が好き!」から
  献本を頂きました。
  この作品から
  こんな言葉を。

    なにかが始まるということはなにかが終わるということ。

  何気ない言葉ですが
  胸にことんと落ちました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  吉本ばななはいつまでもばななです                   

 吉本ばななが『キッチン』で鮮烈なデビューを飾ったのが1987年。それから30年の時間が流れ、吉本ばななもこの作品のあ「あとがき」に記されたように「いつかはこの世を去っていくのだと、わかる年齢になってきた」が、作品に流れるものはけっしてそんなことはない。
 いつまでも吉本ばななであり、どうしてこんなにもやさしい文章が書けるのかと感じてしまう吉本ばななに変わりはない。
 これも「あとがき」にあるのだが、「決して驕ることなくこつこつと歩いてきた道は、振り返ればお花畑になっていた」、そんな作品を吉本ばななは30年かけて作ってきたのだ。

 この作品はタイトルに「第一話ミミとこだち」とあるように、長い物語の始まりであるのだろうが、「海と山に囲まれた孤島のような」吹上町で育った二卵性の双子ミミとこだちは、両親の交通事故をきっかけにして18歳の時にこの町を出た。
 父が亡くなり母はその血のせいで長い眠りについたままで、その母を助けると妹のこだちは行方がわからなくなる。
 そんなこだちを探し出すためにミミは吹上町に戻ってくるのだが、そこで彼女が経験することはまさに「奇譚」であり「ホラー」で「ファンタジー」でもある。
 豊富な世界の割には物語は淡々と進んでいく。
 冒険小説にでもなりうるほどの展開だが、なんともいえない淡泊さはそれこそ吉本ばななの世界だといえるかもしれない。

 第一話は物語の複雑さを裏切るようにあっさりと終わりを迎えるが、「命の水のようにしみこんで魔法」がやってくる今後の展開を楽しみにしている。
  
(2017/11/17 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  この秋から始まったドラマで
  先日書いた「陸王」以外に
  欠かさず見ているのが
  テレビ東京金曜夜の
  「ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~」。
  脚本が朝ドラ「ひょっこ」の岡田惠和さんで
  主演が沢村一樹さんとか和久井映見さんといったように
  「ひょっこ」のメンバーがそろって
  話題となりました。
  その原作が
  荻原浩さん。
  さっそく読もうと調べると
  このユニバーサル広告社はシリーズもので
  その第一作こそ
  荻原浩さんのデビュー作とわかって
  まずはそちらをと手にしたのが
  今日紹介する
  『オロロ畑でつかまえて』です。
  笑えますよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ユーモア小説の傑作                   

 小説のジャンルに「ユーモア小説」というのがあって、「明るい笑いを主眼とした小説」とあるが、これがなかなか見つからない。
 どうも人は笑うことより泣く方が好きなようだ。あるいは喜劇より悲劇の方が創造しやすいのだろうか。
 それとも笑いは軽さに通じ、格がさがるとでもいうのだろうか。

 『海の見える理髪店』で第155回直木賞を受賞した荻原浩さんはその受賞作でいえば心の機微をしっとりと描く作家と思えるが、それより先立つことおよそ20年前、1997年に第10回小説すばる新人賞を受賞したこの小説こそ、ユーモア小説の傑作なのだ。
 当時まだ広告会社のコピーライターであったという自身の経験があったのだろうが、小さな広告会社ユニバーサル広告社が受注した人口わずか300人の過疎村牛穴村の村おこしが巻き起こす騒動が実に愉快なのだ。

 小説を読んで何度も笑い転げたという経験は少なく(東海林さだおさんのエッセイ並みに笑い転げた)、これがユーモア小説かと最後は襟を正した次第だ。
 しかし、このようなユーモア小説に新人賞を与えた小説すばるもすごいが、へたをすれば下品な文章に落ちてしまいかねない小説をデビュー作にしてしまう荻原浩さんもまたすごいというしかない。
 こういう系統の小説を大事にしてもらえれば、荻原浩ワールドも充実するはずだ。
  
(2017/11/16 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日池井戸潤さんの『陸王』を
  再録書評で紹介しましたが
  今日は新作『花咲舞は黙ってない』を
  紹介します。
  このタイトルで気がついた人も
  いるかと思いますが
  かつて同タイトルでTV化されていた
  同じ主人公が活躍する
  作品です。
  もしこの作品がドラマ化されたら
  堺雅人さん演じる半沢直樹も登場するのかな。
  でも、方や日本テレビ、
  方やTBSの人気ドラマだから
  実現は難しいんでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  二大スターの共演で一気にヒートアップ                   

 昔映画スターの共演といえば胸をわくわくさせたものだ。
 勝新太郎と三船敏郎といえば日本映画を代表するスターだったが、それが二人の代表作である座頭市と用心棒としてぶつかり合うともなれば、当時(1970年)の観客をどれほど喜ばせたことだろう。
 最近ではなかなかそういう共演を見ることはなくなった(勝や三船のような大スターがいなくなったということでもある)が、池井戸潤が2016年1月から10月にかけて読売新聞に連載し、いきなり中公文庫にラインナップされたこの本では、驚きの共演を楽しめた。

 タイトル通り、この連作長編の主人公は東京第一銀行の花咲舞(好評だったTVシリーズでは杏が演じた)だが、そこに現れるのが産業中央銀行の「倍返し」男半沢直樹なのだ。
 業績不振にあえぐ東京第一銀行が選択した方策がライバル行産業中央銀行との合併で、その接点の中で花咲舞と半沢直樹は出会うことになる。
 もっとも、この時点では臨店指導グループの一行員でしかない花咲と一方で企画部調査役の半沢では格がちがいすぎるが、銀行を愛する気持ち、銀行がなすべき責任をともに持った二人であるから、心の波動が共鳴し合って心地いい。

 池井戸が描く銀行の内幕がその通りとは思いたくないが、最近の企業の不祥事の数々を見ていると、日本企業の愚かな巣窟の体質はそれほど遠くないかもしれない。
 花咲や半沢のようなスターが各企業にいれば違うのだろうが、そんなことを願いたくなるのも情けない話だ。
 「黙ってない」社員たちがたくさん出てくれば、企業も変わるのだろうが。
  
(2017/11/15 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  池井戸潤さんの『陸王』が
  刊行されたのは
  昨年の夏。
  その時書いた書評の最後に
  「長い物語を読み終わって、今はドラマ化されるのを楽しみに待っている。」と
  書いてから
  およそ1年数カ月。
  まさに今
  毎週日曜夜の
  TBSドラマを楽しみに見ています。
  主人公の足袋屋の社長を役所広司さん、
  その息子を山崎賢人さん、
  マラソンランナー茂木を竹内涼真さんが
  演じています。
  もうこの時間枠の
  池井戸潤ドラマははずせません。
  また原作が読みたくなったので
  今日は再録書評です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  圧倒的な面白さ                   

 久しぶりに物語を読む、圧倒的な楽しみに触れた気分だ。
 600ページ近い長編ながら、一気に読んだ。読みながら、まだまだこの世界にいたいという欲求とこの先はどんな危機が待っているのかという興味のはざまを揺れ動いた。
 こういう読書も久しくなかった。
 相変わらず池井戸潤氏の筆は冴えわたっている。
 「百年ののれん、と安穏と構えているように見えた老舗足袋屋」こはぜ屋。生き残りをかけて、スポーツシューズの世界へと乗り出す。しかし、資金不足やノウハウ不足の危機が何度もこはぜ屋を襲ってくる。果たしてこはぜ屋は生き残ることができるのか。
 こんなにも見事に次から次へと危機を生み出せるものだと感心しながら、その都度物語の新奥に入り込んでいることに気づかされる。

 池井戸の巧さは物語の構成だけではない。
 登場人物たちの配置の巧みさといったらない。
 こはぜ屋社長の宮沢紘一、そして就職活動中に息子大地。こはぜ屋の仕事を手伝いながら、やがて働く意味について理解していく、この息子がいい役回りをしている。
 シューズのソールに適した素材の特許を持つ飯山は自身の会社を倒産させているくせ者。シューズマイスターの村野は大手スポーツ用品メーカーから組織の理論で追い出される。
 一癖も二癖もある人物たちが一足のスポーツシューズ「陸王」の完成に人生をかけていく。
 そして、それを履いて走るランナーがいる。
 当然、その競技場面が感動の波を高めてくれる。

 長い物語を読み終わって、今はドラマ化されるのを楽しみに待っている。
  
(2016/08/03 投稿)

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 立冬が過ぎて
 気がつけば紅葉も街なかに
 下りてきました。

  CIMG2283_convert_20171111165247.jpg

 銀杏散る秋の季語ですが
 街なかでは今がまさにそれ。

    銀杏ちる兄が駆ければ妹も     安住 敦

 その一方で
 昨日(11月12日)の朝の富士山を見れば
 すっかり雪をかぶっています。

  CIMG2294_convert_20171112083147.jpg

 冬もまぢか。

 そんな11月11日、
 畑で焼き芋のイベントがありました。
 先週収穫したサツマイモ
 まずは畑の中にこしらえた
 かまどで蒸します。

  CIMG2291_convert_20171111165516.jpg

 ふたをとると
 こんな感じでほかほか。

  CIMG2287_convert_20171111165414.jpg

 これを炭火でこげめをつけて
 焼き上げます。

  CIMG2290_convert_20171111165445.jpg

 焼き芋冬の季語

   焼薯やふるさと違ふ話など     大森 理恵

 まさにこんな風に
 イベントにあつまったおよそ70人の人が
 愉しく焼き芋を食べてくれました。

 焼き芋のほかには
 大学イモを作ってくれた人がいたり
 味噌汁のふるまいも 
 ありました。

 サツマイモのツルを使った
 リース作りで
 子どもたちもおおはしゃぎ。

  CIMG2293_convert_20171111165551.jpg


 野菜ビンゴなんかもあったりして
 菜園の野菜仲間たちの
 愉しい交流に
 野菜づくりだけでない
 コミュニケーションを
 満喫できた
 晩秋の、初冬かな
 一日でした。

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日菜園で
  焼き芋大会のイベントがあって
  詳しいお話は明日書くとして
  その前にいも掘りをした話は
  先日書きました。
  そんないも掘りの素敵な絵本を
  今日は紹介します。
  赤羽末吉さんの
  『おおきなおおきなおいも』という絵本。
  この絵本のことは
  読書アドバイザーの皆さんとの
  読書会で教えてもらいました。
  とっても人気の高い一冊。
  この絵本には
  「鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による」と
  ありますが、
  この絵本に描かれたようなことが
  実際の教育の現場で
  行われていたのでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  いも掘りといえば、この絵本                   

 先日、人生初めてとなるいも掘りを体験してわかったことは、いもは簡単に掘り出せないということだ。
 よく幼稚園の園児とかいも掘りとかをしているようだが、あれはきっと農園の人が下準備をしっかりしていて、具体的にいえばスコップなどで土をある程度まで掘り起こしているのではないかと思われる。
 それでなくても、しっかり土に埋まったいもを、この場合のいもは大抵さつまいもで、掘り出すのは大変だが、出てきたいもを見ると興奮の極みになることはまちがいない。

 そんないも掘りの名作絵本といえば、この作品。
 1972年に刊行されているから、小さい頃読んだという人もいるだろうし、今読んでいるという小さい子どももいるだろう、それぐらい人気の絵本だ。
 いも掘り遠足の日、残念なことに雨が降って延期になってしまった。そこで園児たちが思いついたのが、自分たちででっかいいもを作って(描いて)しまおうということ。
 「えっさか ほっさか」描いて作って、できあがったのが「おおきなおおきなおいも」。
 このおいもを綱引きのようにしてひっこぬいたのはいいが、どうやって運ぶ?
 子どもたちの想像はとまらない。
 なんとヘリコプターを使って、幼稚園まで運んで、泥を洗って、絵を描いたりして遊んで、最後は食べちゃうことに。
 やっぱりいもだものね。
 てんぷら。やきいも。だいがくいも。
 食べた、食べた。
 とおなかがふくれて、おならがでた!

 まるでパラパラ漫画を見ているような赤羽末吉さんの絵がとてもいい。
 子どもたちの躍動感がそのまま伝わってくる。
  
(2017/11/12 投稿)

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  今日は稲盛和夫さんの
  『活きる力』という本を
  紹介するのですが
  稲盛和夫さんの本を読むと
  いつも何カ所か
  心にとめておきたい言葉に
  出会います。
  今回もそんななかから
  いくつかを書き留めておきましょう。

     家族との関係、隣人との関係、仲間同士との関係など、
     人間関係のすべては自分の心の反映なのです。


  人との関係がぎくしゃくした
  その時こそ
  自分を見つめなおすべきなんでしょうね。
  もうひとつ。

     心は、「苦労」という磨き粉を使わなくては磨けません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まだまだ学ぶことばかり                   

 人はいくつになってもより良く生きたいと思うものです。
 そのために人は学び、教えを受けようとします。
 時に人はそれを経営の成功者から学ぼうとします。
 少し前でいえば松下幸之助氏。今は京セラの創業者稲盛和夫氏ということになるでしょうか。
 特に稲盛和夫氏の著作は何冊となく読んできました。
 けっしてそれらはいつも新しいことが書かれているわけではありません。どちらかといえば同じ話の繰り返しともいえます。
 それでも、読むたびに教えられる気持ちになるのは、読者である私自身がまだまだ未成熟だからでしょう。
 そんな私ができることといえば、何度も読み返すことか新しく出てつど、ページを開くしかありません。

 この本は稲盛氏の母校鹿児島大学で若い学生や大学院生に向かって話された講演を書籍化したもので、ベースとなるのはやはり「稲盛フィロソフィ」です。
 収められた講演は「今、君たちに伝えたいこと」「人は何のために生きるのか」「自分の道を切り拓くための六つの精進」「仕事には哲学を持ち込め」「20代で知っておくべき経営の12カ条」となっています。
 さらに講演のあとの学生たちとの質疑応答も載っています。

 学生が「最初のモチベーションを維持する方法を教えてほしい」ととても正直な質問をした時の稲盛氏の答えがふるっています。
 「バカか、お前は」とケツを叩きたいと。自分がもっと強くなること。自分自身でやらなかったらいけないのだと。
 稲盛氏の教えが自然と振る舞えるようになるまで、何度も何度も読んでいきたい。
  
(2017/11/11 投稿)

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  今日紹介する
  指南役さんの『「朝ドラ」一人勝ちの法則』ですが
  読むまでは
  NHKの朝の連続テレビ小説のことかと
  思っていたのですが
  もちろんそれもありますが
  書評にも書いた通り、
  これはドラマ作りの本。
  いくつか書き留めておきましょう。
  
    視聴者が登場人物に感情移入できて、
    物語を楽しめる最適人数が8人なのだ。


  これは「マジックナンバー・エイト」と
  いうらしい。

    映画作りにおけるクリエイティブとは、
    どれだけ過去の作品を知っているかと同義語である


  なるほど。
  最後に
  ソニーのウォークマンのCMから。

    10代で口ずさんだ歌を、人は一生、口ずさむ

  確かに。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ドラマの作り方教えます                   

 もったいないな、どうしてこんなタイトルをつけたのだろう。
 成程、ここ数年テレビのドラマが不調で、そんな中、NHKの朝の連続テレビ小説、通称「朝ドラ」だけは好調で、それは本書のタイトル通りだし、そもそもの出版の企画も「朝ドラの本」であったみたいだから、このタイトルは間違っていない。
 しかし、この本を執筆した草場滋さんを代表とするメディアプランナーである「指南役」のメンバーたちは、もっと違うことを書きたかったのではないか。
 それは元気のない連ドラのことでもあるが、そしてそれはここでも表現されているが、そういった元気のいい「朝ドラ」と元気のない「連ドラ」をひとまとめてにして、どのようなドラマが人をひきつけるのかといいことではないだろうか。
 せめて、「ドラマの作り方教えます」みたいな、サブタイトルがあってもいいのに。

 この本にこうある。
 「ドラマがヒットする際に最も重要なのは、脚本である」。
 ただ、これは「テレビドラマ」の場合で、「映画は監督」「舞台は役者」と区分けされているようだ。
 しかし、そうはいっても、映画にしてもドラマにしても舞台にしても総合芸術であることには違いがない。
 脚本も重要だが、「朝ドラ」を見ていると美術や音楽、小道具に至るまで実に丁寧にできている。作品をつくる上での予算が民放の「連ドラ」とは多いに違うような気がする。

 それはともかく、この本はドラマをつくりたいと思っている若き脚本家の卵の皆さんには必読の一冊である。
  
(2017/11/10 投稿)

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  昨日映画にはまった頃のことを
  書きましたが、
  東京の大学を選んだのも
  (東京の大学で、東京大学ではありませんよ)
  映画が結構影響している。
  大阪の高校生は
  映画雑誌「キネマ旬報」なんかで
  東京の名画座で上映されている映画を
  垂涎のまなざしで
  見ていたわけで
  念願かなって東京に出てきて
  そんな名画座をはしごして
  ほとんど大学には行かなかったなぁ。
  今更反省はしませんが
  後悔は少しあります。
  そんな自分と重ねても
  東海林さだおさんの『ショージ君の青春記』は
  面白かった。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  道に迷っているばかり                   

 森田公一とトップギャランが唄った「青春時代」はいまでも胸がキュンとなる青春ソングだ。
 作詞は昭和歌謡の雄、阿久悠さん。その歌詞の一節、「青春時代が夢なんて/あとからほのぼの想うもの/青春時代の真ん中は/道に迷っているばかり」、多くの人に受け入れられるのではないだろうか。
 この楽曲ができたのが1978年だが、それより遡ること2年、1976年(昭和51年)にまさに「青春時代」そのもののような本が出ていた。
 それが、東海林さだおさんのこの本。

 「青春記」とあるとおり、漫画家でエッセイストである東海林さだおさんの「初恋物語」から疎開先での暮らし、そして早稲田大学での暗い青春と漫画研究会の仲間たちとの交流とやがては漫画の連載を持つにいたる、抱腹絶倒の青春時代エッセイである。
 正直、この本を読みながら、何度笑い転げたか。

 では東海林青年の青春時代はおかしかったのかといえば、けっしてそんなことはない。
 邪な理由で早稲田の露文科にはいってしまって、学業についていけず、かといって漫画で成功するわけでもない。
 その当時の東海林青年の基本的な考え方は「ま、なんとかなるだろう」で、朝家を出てそのまま新宿の安い名画座に入り、昼には学校のそばのラーメン屋にもぐりこむ。
 学校のそばまで行くが、授業には出ない。漫研の部室で時間をつぶし、そのまま家に帰るという生活の繰り返し。
 そんな青春時代があってもいいし、実際東海林青年と同じような「楽隠居生活」を送ってきた私とすれば、「青春時代」よりもさらに身のつまされる思いがする一冊だ。
  
(2017/11/09 投稿)

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  今日紹介する
  『チラシ大全集 part2 1970~1979』は
  神保町ブックフェスティバル
  購入したもの。
  去年、part1を購入し、
  自分が映画に夢中になったのは
  Part2の年代だと
  去年深く反省して
  今年買うことができた。
  書評にも書きましたが
  どのページを開いても
  懐かしく、
  この映画あったな、
  この映画見たよな、
  と思わず涙が浮かんできそう。
  まさに青春でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  映画に夢中だった頃                   

  60年あまりの人生が長いか短いかはおくとして、振り返って映画に明け暮れた期間は15歳から20歳までの5年ばかりだと思う。
 それを短いといえばそれまでだが、少なくとも私にとっては濃厚な蜜月期であったことはまちがいない。
 そのきっかけの1本は1970年封切りの「去年の夏」だったことは覚えている。
 映画のチラシを集めてこの本で、1970年にどんな映画が封切られていたかをみると、出てくる出てくる、もうすべてが懐かしい作品ばかりだ。
 この年私は15歳。
 映画館の暗闇にどんな逃げ場を求めていたのだろう。

 オリビア・ハッセーの「ロミオとジュリエット」のリバイバルは1972年で、そのチラシが掲載されているページには「ラスト・ショー」のチラシがあったりして、うれしくなる。
 この本は私にとって「想い出の玉手箱」のようなもので、どのページにも思い出がつまっている。

 1974年には「ペーパー・ムーン」や「アマルコルド」が公開され、このあたりが私の洋画との蜜月のおわりあたりだろうか。
 東京の名画座で古い映画や邦画にはまっていって、ロードショーから離れていったのは入場料とのこともあったからだろうか。
 しかし、その5年間のなんという濃密だったことか。

 この巻の最後の1979年にはR・スコット監督の「エイリアン」が登場する。
 今ではそれをテレビで視聴できるのだから、なんともありがたい時代になったものだ。
  
(2017/11/08 投稿)

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 今日は立冬
 暦の上では今日から冬で
 俳句も今日からは冬の季語なので
 あわてて
 素敵な秋の季語をひとつ。
 紅葉且つ散る
 歳時記によると
 木々の紅葉には遅速があって
 色づきかけたものがある一方で
 散り出すものもあるという意味だとか。

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    廃船や紅葉かつ散る湖の縁      夏の雨

 11月4日
 横浜の港の見える丘公園にある
 神奈川近代文学館で開催されている
 山本周五郎展に行ってきました。

  20171104_110614_convert_20171105172951.jpg

 今年山本周五郎
 没後50年ということで
 この大規模な展覧会の開催が
 実現したそうです。

 山本周五郎の作品に触れたのは
 今年の初め。
 『日本婦道記』に感動してから。
 山本周五郎
 「小説にはよき小説とよくない小説があるだけ」と言ったそうですが
 今回の展覧会を見て
 まだまだ山本周五郎の「よき小説」を
 読んでいないことに
 深く反省しました。

 これから
 まだまだ山本周五郎の作品を読もうと
 出口で展覧会の図録も
 購入。

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 この展覧会は
 11月26日まで開催されています。
 ぜひこの機会に
 山本周五郎の世界を堪能してみては
 いかがでしょう。

 そのあと、
 三渓園に足を伸ばして
 秋を満喫してきました。

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 冒頭の写真は
 三渓園の風景。
 横浜から少し足をのばせば
 なんとも素敵な
 秋にめぐりあえました。

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 この三連休、
 久しぶりに晴天に恵まれたので
 お出かけになった人も多いのではないでしょうか。
 今年は寒さが早く来たせいか
 街の樹々の紅葉も早い気がします。

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    黄葉の一樹に山の影及ぶ       嶋田 麻紀

 そんななか
 菜園ではタマネギスナップエンドウ
 植え付けの講習会が
 開かれました。
 天気もいいし
 お休みということで
 たくさんの人が集まりました。
 下の写真は講習会の風景。

  CIMG2255_convert_20171105171750.jpg

 講習のあと
 タマネギの苗の植え付けです。

  CIMG2257_convert_20171105171921.jpg

 それとスナップエンドウ
 防虫ネットで四角に囲っているところに
 種をまきました。

  CIMG2273_convert_20171105172100.jpg  

 一方収穫ですが
 すでにダイコンは5本収穫しましたし
 聖護院ダイコンも2本獲りました。
 11月5日の日曜には
 ラッカセイも収穫しました。

  CIMG2275_convert_20171105172211.jpg

 実はこのラッカセイ
 私が植えたのではなく
 去年のタネから芽が出て
 成長したもの。
 何もしていないのに
 収穫だけ頂くのはありがたいことです。

 ありがたいといえば
 他の菜園の人から
 もものすけという品種のカブ
 頂きました。
 このもものすけ
 桃のように皮がむけるところから付けられた名前だそうです。
 こんな感じ。

  CIMG2279_convert_20171105172604.jpg

 そして、いよいよ来週は
 焼き芋のイベントで
 畑の区画の一角で育ったサツマイモ
 いも掘りを手伝ってきました。
 いも掘りは
 生まれて初めての体験。
 出てくる、出てくる。

  CIMG2276_convert_20171105172348.jpg

 こんなにたくさん収穫できました。

  CIMG2278_convert_20171105172517.jpg

 来週このサツマイモを頂きます。
 楽しみ。 

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プレゼント 書評こぼれ話

  かこさとしさんは
  私の中では
  ちょっとしたmyブームです。
  『からすのパンやさん』が
  とってもよかった。
  調べると
  そのあと
  かこさとしさんは40年ぶりに
  続編の絵本を
  4冊描いています。
  そのうちの1冊が
  今日紹介する
  『からすのやおやさん』。
  しばらく
  からすシリーズの絵本が読めると思うと
  うれしくなります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これはマーケティングの絵本、かも?                   

 かこさとしさんの代表作のひとつである『からすのパンやさん』が刊行されたのが1973年ですから、最初の読者もすでに50歳近くになっているでしょうか。
 それから40年経って、2013年にからすの子どもたちが大きくなった絵本が4冊誕生しました。
 これはそのうちの1冊、上の娘だったリンゴさんのお話です。

 リンゴさんには仲のいいイソちゃんがいました。イソちゃんには働きものの「いとこ」のシンちゃんがいます。もちろん、みんな、からすです。
 シンちゃんがサヤおばさんと始めたのが「やおやさん」。
 実はこの絵本では経済の、それもマーケティングの勉強ができるようになっています。
 どういうことかというと、どのように売ったら商品がよく売れるか、リンゴさんたちが一生懸命考えるのです。
 時には二ついくらっていう商売をしたり、ある時にはくだものに絵を描いたりして、お客さん(もちろん、からすです)の興味を引くようにします。

 『からすのパンやさん』と同じく、この絵本でも登場するからすたち一羽一羽がちがいます。
 そんなからすたちを楽しむのもいいですし、この絵本でいえば、もしあなた(読者)はこのやおやさんの店主だったら、どんな風な売り方をするか考えるのも楽しいのではないでしょうか。

 最後にはりんごさんとシンちゃんは結婚をして「森林野菜の店」を始めます。
 もしかしたら、この二羽にも子どもが出来て、もっともっと賑やかな、からすの森になれば楽しいでしょうね。
  
(2017/11/05 投稿)

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 昨日の文化の日
 東京はまさに秋晴れの
 絶好の行楽日和となりました。

 さっそく 昨日から開催されている
 第27回神保町ブックフェスティバル
 行ってきました。

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 神田神保町
 江戸時代に神保長治という旗本の屋敷があったところから
 名がついたといわれていますが
 今では本の街として有名になっているのは
 ご存じのとおり。

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 そのとおりに
 出版社がワゴンを並べて
 本を格安で販売しているので
 人・人・人の
 大賑わいでした。

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 販売しているのは
 日頃本の企画とか編集をしている人なんでしょうが
 「今年はよく人が出てるなぁ」と
 話していたぐらい。
 何しろ通りを歩いていると人とぶつかるくらい
 混んでいました。
 出版不況とか
 本を読む人が減っているとか言われますが
 ここだけは
 そんなことも感じないほどの熱気です。

 昨年のブックフェスティバル
 近代映画社のワゴンで
 『チラシ大全集』のpart1を買って
 帰ってからpart2も買えばよかったと
 後悔したので
 今回はさっそく近代映画社のワゴンを目ざして
 飛んでいきました。
 そして、
 『チラシ大全集 part2/part3』の2冊をゲット。
 何しろ定価の半額で販売しているのですから
 安い。
 近代映画社というのは
 映画雑誌「SCREEN スクリーン」を出版しているところです。
 だから、ここでいう「チラシ」は
 映画のチラシです。
 この本のことは
 また別の機会に紹介します。

 このあと古書店街を2往復して
 神保町の公式ガイドとかを
 ゲット。

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 このガイド本には
 どこの古書店がこんな本が得意とか
 載っている
 優れものですから
 もし神保町に行かれたら
 手にいれた方がいいですよ。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は文化の日

    カレーの香ただよふ雨の文化の日    大島 民郎

  この俳句には場所の特定はありませんが
  カレーとくれば
  東京神田神保町ではないかしら。
  そして、その神保町では
  今日から第27回神保町ブックフェスティバル
  開催されます。
  そして、そんな本の街神保町
  舞台にしたのが
  今日紹介する
  藤野千夜さんの
  『編集ども集まれ!』。
  この本を読んだら
  神保町に行きたくなりますよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本を読んだら神保町に行きたくなった                   

 この本の作者藤野千夜が『夏の約束』で第122回芥川賞を受賞したのが2000年の初めであるから、もう随分前のことになる。
 藤野自身が男性から女性に転換し、受賞作も同性愛者の物語だということもあって当時大きな話題となったことは覚えている。
 受賞の会見場に現れた当時の選考委員の石原慎太郎が藤野を見て「なんだありゃ」と言ったという面白いエピソードはこの本の最後の方に出てくるが、それぐらいのインパクトはあった。
 その藤野は大学を出てから神田神保町(物語ではJ保町になっている)にある雑誌社の勤務していた。
 この作品は雑誌連載されていた2015年から2017年の、大雑把にいうと「現在」と藤野(作品では小笹)が働いていた1980年代の終りから1990年代初めの頃あたりの「過去」が行ったりきたりして、ノスタルジックに描かれる青春小説の趣きがあって、好きだ。

 おそらく実話に基づく話ながら、登場人物はほとんど仮名だろうが、主人公が「漫画があってよかった」というほどの人だから、登場する漫画家や作品名は実名でそれだけで楽しい気分になる。
 「現在」篇では主人公がトキワ荘界隈や手塚治虫の壁画もうれしい高田馬場あたりを歩くあたりなどは、読んでいるこちらもうれしくなってしまう。
 まさに「漫画があってよかった」だ。

 主人公の小笹はいつしか服装もスカートに変化して、ついには会社から解雇を言い渡されるのであるが、それが1993年のこと。
 今だったら、それで解雇したら大問題になるだろうが、藤野のこの小説はそういう時代の匂いも懐かしくある。
  
(2017/11/03 投稿)

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  岩波文庫版で
  芥川竜之介を読み返しています。
  今回は『羅生門・鼻・芋粥・偸盗』の
  四編を収めたもの。
  どの作品も面白かった。
  芥川竜之介といえば
  純文学のジャンルに入るのだが
  小説なのであるから
  面白いというのが
  何よりだ。
  芥川賞作家はこういう作品を
  読んでいるのだろうか。
  小説の原点が
  ここにはある。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  芥川竜之介が直木賞を獲ったら                   

 岩波文庫版の芥川竜之介(岩波書店は芥川の名前は竜の字をあてる)作品では、『今昔物語』や『宇治拾遺物語』を題材にした王朝物は二冊編まれている。
 そのうちの一冊で、収められているのはタイトル通りの四編である。

 まず「羅生門」。芥川の作品でも有名なものだが、おそらく誤解があるのは黒澤明監督による同名の映画タイトルがあまりに有名だからだろう。
 ただし映画は芥川の「藪の中」を映画化したもので、この作品とは関係ない。
 けれど、この「羅生門」も読み応え十分な短編である。
 人間の業の恐ろしさがうまく描けている。

 次の「鼻」は夏目漱石に絶賛されたといわれる短編。
 おそらく多くの人が一度は読んだことがあるだろう。
 長い鼻に悩まされていた主人公ではあるが、ある方法で短くなった途端に他人の目が今まで以上に気になり、元の長い鼻に戻ると安堵するという、人間の愚かな性を描いて今読んでもちっとも古びていない。

 そういう人間の愚かさは「芋粥」でも同じだ。
 貧層な男がお腹いっぱい芋粥を食べたいと念じながらもいざそれが実現してしまうと身をひいてしまう。食べたいと念じていた時分がもっとも仕合せだったことに気づくなんて、夢ばかり追い続ける私たちにも同じことがいえる。

 そして、「偸盗」。
 芥川竜之介といえば純文学の代名詞のように言われているが、この作品を読むと直木賞だって獲れるのではないかと思ってしまうくらい、活劇場面などは読ませる。
 こういう作品だって書けるのだと見せつけているようなものだが、芥川自身は好きではなかったようだ。
  
(2017/11/02 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  読書週間のこの時に
  こんな素敵な本に出合えて
  やっぱり本はいいなと
  思います。
  それがかこさとしさんの
  『未来のだるまちゃんへ』。
  この本の中のいくつかの名言を
  書き留めておきます。

    子どもという生き物は、それぞれに自分でも気づかない鉱脈を
    秘めているのです。それに気づかせてやれば、そこから一気に
    花開いていく力を持っているものです。


    この世界は多様であり、自分はそのどこか端っこにいる。
    (中略)
    真ん中だけがエライんじゃない、端っこで一生懸命に生きている
    者もいるんだよ。


    未来を生きる子どもたちに、その手がかりとなるこの世界の地図を
    手渡すような気持ちで、僕は絵本をつくってきたのだと思います。


  本当にいい本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本と出合えてよかった                   

 正直にいうと、わたしはかこさとしさんの絵本が苦手でした。
 代表作である「だるまちゃん」シリーズを読んでも、絵もあまりうまくみえないし、だるまとかてんぐとかふるそうだし、第一お名前を漢字で書けば加古里子ってまるで女性みたいだし。だから、たくさんの人がかこさんの絵本を褒めるのもわからなかった。
 ところがもう一つの代表作である「からすのパンやさん」を読んで、たくさんのパンやからす一羽一羽描き分けていて、これはすごい、と感心した訳です。
 その絵本に載っていた著者略歴で、かこさんが東大工学部という理系の出身というのにも驚き、さらには高校時代の恩師に俳人の中村草田男がいて、里子というペンネームは俳号によくある形だとわかりました。
 もっとかこさんのことが知りたいと、見つけたのが2014年に刊行されたこの本だったのです。

 この本にはかこさんの子供時代の姿や父親との確執、軍人にあこがれた少年期、そこに挫折し大学生の時に学んだこと、その延長としてセツルメント活動で子どもたちと接して感じたこと、そして絵本という果実が生まれた経緯がすべて書かれています。
 かこさとしという絵本作家がわかるだけではありません。
 かこさんを通して、子どもを理解することができるのではないでしょうか。その点では、先生を目指す若い人だけでなく、現役の先生にも読んでもらいたいと思います。

 たくさんの名言がこの本にはありますが、もっとも素晴らしいのをひとつ書き留めておきましょう。
 「生きるということは、本当は、喜びです。生きていくというのは、本当はとても、うんと面白いこと、楽しいことです」。
  
(2017/11/01 投稿)

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