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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』を
  紹介します。
  タイトルでわかるとおり
  この作品は宮沢賢治の父を
  描いています。
  書評の中で
  私は父親こそ宮沢賢治になりたかったのではと
  書きましたが
  作品の中では
  まさにその逆、
  宮沢賢治が父に向って
  「おらは、お父さんになりたかったのす」と
  つぶやく場面があります。
  そんな親子でした。
  この作品を読むと
  宮沢賢治の本も読みたくなりますよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  注文の多い息子に父はどう対処したか                   

 門井慶喜さんの作品は第155回直木賞候補となった『家康、江戸を建てる』しか読んでいないからエラそうなことは言えないが、作品の捉え方が独特でいい。
 この作品にしてもそうで、宮沢賢治というあまりにも有名な作家の生き様をその父の視点から描こうというのは、今までありそうでなかった視点といえる。
 それでいてそれが変化球かといえば決してそうではない。
 むしろ直球ストライクど真ん中というのが、読んでいて気持ちいい。

 この物語の主人公は賢治の父政次郎である。
 賢治の実家である質屋を父喜助から引き継いで、岩手花巻の富豪であり名士であった。
 賢治もそうであったが、政次郎も子供の頃からよく出来て「花巻一の秀才」と言われたという。そうなると当然上級の学校となるが、喜助の「質屋には、学問は必要ねぇ」の一言でそれを断念することになる。
 しかし、自分の息子がそうなった時、政次郎は進学を許す。賢治の妹のトシもそうである。
 それは時代の流れといえばそうかもしれないが、もし喜助のような性格であれば賢治は果たして上級の学校に行けたか。
 もっというなら、賢治が童話や詩を書くに至ったかはわからない。

 それを政次郎の甘さといえなくもない。
 読んでいてここまで息子や娘に優しい父をうらやましいと思うが、賢治を後世いわれる宮沢賢治に仕上げたのはこの父なのではないか。
 いや、もしかしたら政次郎こそ宮沢賢治になりたかったその人なのかもしれない。

 けっして重くならない門井さんの文体もこの作品にはよく合っている。
  
(2017/12/02 投稿)

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