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プレゼント 書評こぼれ話

  今日で2月もおしまい。
  いつもの月より
  二日や三日短いだけなのに
  とっても短い感じがします。
  特に今年は冬季五輪もあったせいか
  日本中が熱狂していて
  そのせいもあるかもしれません。
  今日は楽しみにしていた
  「ヨーコさんの”言葉“」の四冊目、
  『ふっふっふ』を紹介します。
  そういえば、
  今回の冬季五輪で
  カーリング女子の「そだねー」が話題になっていましたが
  そういうほっこり感は
  この本にもあるような気がします。
  そう思いません?
  そだねー。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ヨーコさんが大事にしていた思い                   

 待ってました!
 NHKの番組から生まれた人気シリーズ『ヨーコさんの”言葉“』の、この本が四冊目。
 ちなみに「ヨーコさん」というのは『100万回生きたねこ』で有名な絵本作家佐野洋子さんのことで、佐野さんが遺したたくさんのエッセイから珠玉の作品を紙芝居風に、絵を描いたのは若いイラストレーター北村裕花さん、番組で朗読を担当しているのが上村典子さん、映像化したのが、NHKの番組。
 番組ではまって、同じ話を何度見てもよくて、本になっているのを知ってまた読んで、だったら佐野さんの元のエッセイも読みたくなってと、私の中で自家膨張していきました。
 それほどはまったので、この四冊目も楽しみに待っていた甲斐がありました。

 この巻では、「理想の子供なんか一人もいない」(『私はそうは思わない』に収録)がいい。
 最初はヨーコさんの小学三年の話。18歳の女の代用教師が汚い(当時はみんな汚かった)子どもから逃げたというところから始まって、教師と子どもの関わりを描いて、「理想の子供なんか一人もいない」と説き、最後に「それぞれが自分の中に生き続ける力を持っている。それぞれの異なった魂が生き続けるのだ」と結ぶ。
 もちろん、この話を本で読んでいる間も、私の頭の中では上村典子さんの落ち着いた声が響いていましたが。

 佐野さんは個人の生き方をとても大事にしていて、それは他の作品「年寄りは年寄りでいい」とか「ラブ・イズ・ザ・ベスト」でも伝わってきます。
 この本からまた佐野さんの素敵な文章までたどりつけたらいいですね。
  
(2018/02/28 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  平昌五輪も終わりましたね。
  すっかりはまった訳ではありませんが
  それでもスピードスケートの小平選手や高木姉妹とか
  カーリング娘、
  もちろんフィギアスケートのメンバーとか
  今回も見どころ満載のオリンピックでした。
  期待以上の成績をあげた人、
  残念ながら結果が出なかった人、
  さまざまですが
  やはりこういう時は
  ニッポンガンバレ! という気分になってしまいます。
  そんな私たちの国ってどんな歴史をもっているのか
  今日はそんなエッセイ集、
  門井慶喜さんの『にっぽんの履歴書』を
  紹介します。
  メダリストの皆さん、
  アスリートの皆さん、
  お疲れさまでした。
  たくさんの感動をありがとう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  直木賞受賞までには歴史があります                   

 『銀河鉄道の父』で第158回直木賞を受賞した門井慶喜さんの、日本経済新聞夕刊に連載されていたものを中心に編まれた、歴史エッセイ集。
 新聞の記事の多くは斜め読みで済ますことが多いが、門井さんのこのエッセイは割と真面目に読んでいた記憶がある。
 門井さんの文体は歴史を扱っていても古臭くなく、おしゃれな感じがする。そのあたりが好きなのかもしれない。

 身も書いているが慶喜という名前は歴史が好きだった父親が徳川慶喜にちなんでつけた本名で、名前は体を表すとよくいうが、門井さんの場合、まさにそうなった風である。
 門井さんは単に名前がりっぱなだけではない。
 多くの本を読んできた実績が作家門井慶喜を生んだような気がする。
 そう思ったエッセイが、この本の中に二つ収められている。

 一つが「一読者にも書評の奥義を」と題されてもの。
 そこには二十代のサラリーマン時代に書評家になりたくて名書評家丸谷才一に自作の書評を送ったというエピソードが描かれている。
 エッセイのタイトルのとおり、この時丸谷才一は門井さんに返事をくれたそうで、そこには「書評の奥義」が綴られていたそうだ。
 もう一つが「はじめての文豪」というエッセイ。
 これは学生時代に24万円も出して幸田露伴の全集44巻を古書店で買った話。
 食事を減らしながらも露伴全集を読むことで読解力を高めていったという門井青年は、着々と作家への道を積んでいっていたのだと思う。
  
(2018/02/27 投稿)

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 今年の冬は寒かったので
 桜の開花は遅いのかと思っていたら
 平年並みで咲きそうです。
 むしろ寒い方が
 しっかりと冬眠できるそうで
 暖かくなればパッチリと目覚めるのでしょう。
 梅もそうで
 こちらが寒くて家にこもっている間に
 こちらもすっかり咲き始めていました。

  CIMG2400_convert_20180224173536.jpg

 ちょうど七分咲きというところ。

    青天へ梅のつぼみがかけのぼる       新田 祐久

 さすがに春を代表する花だけあって
 「歳時記」には
 梅の句がたくさんあります。
 しかもいい句が多い。

  CIMG2397_convert_20180224173455.jpg

 少しは春めいてきた
 2月24日の土曜日の畑作業は
 まず芽キャベツの伐採。
 うまく収穫できたのかよくわかりませんが
 42個の収穫数でした。
 そのあと土を耕して
 いよいよ春夏野菜の植え付けの準備です。

  CIMG2392_convert_20180224173047.jpg

 ここにはトウモロコシを育てます。

 イチゴはまだ冬眠中ですが
 桜と同じで
 暖かくなればぐんと大きくなる
 予定です。
 追肥して
 今までしまっていた黒マルチを伸ばして
 一挙に暖かくしてあげます。

  CIMG2393_convert_20180224173128.jpg

 この日はほかにも
 ホウレンソウコマツナにも
 追肥をしました。
 これはトウダチを始めた
 ミニチンゲンサイ

  CIMG2394_convert_20180224173208.jpg

 こんなに寒くても
 トウ、つまり花を咲かせる茎が
 伸び始めるのですね。

 これはこの日収穫した
 葉物野菜の皆さん。
 ホウレンソウコマツナミニチンゲンサイ

  CIMG2401_convert_20180224173611.jpg
  
 久しぶりの収穫でした。

 寒いさむいといっているうちに
 二月もあとわずか。
 花や野菜の方が
 正直かもしれません。

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  またまた加藤休ミさんの本の
  紹介です。
  もう少しお付き合い下さい。
  しかも今回の本は
  今年の1月に出たばかり。
  この本の広告で
  加藤休ミさんを知ったという
  曰く因縁のある本なのです。
  『クレヨンで描いたおいしい魚図鑑』。
  ちなみに
  表紙の絵はツナ缶。
  どうせなら
  メザシとかサンマとか使えばいいのに
  何故かツナ缶。
  そのあたりのこだわりも
  おわかり下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  さかな屋さんで買えたらいいな                   

 昨年(2017年)の流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」は、「インタグラム」という写真を使ったSNSで、風景だけでなく食べ物の写真も人気を集めている。
 食べ物の写真といえば、「シズル感」という言葉がある。
 「食欲や購買意欲が刺激される感覚」のことで、これから商品の購買意欲を高めるところまでいくのがいいとされている。
 もともとこの言葉は英語の擬音語で、肉を焼く時のジュージューいう音のことをシズルというところからきたという。
 確かにある種の写真など、見ただけで涎がでてくるものもある。

 加藤休ミさんのクレヨン画もそうだ。
 これまでの作品でもその評価は高かったが、この本はその集大成ともいえる一冊になっていて、シズル感は半端ではない。
 最初に編集者から「魚図鑑」だけど、料理の絵もあったりしますということわりがありますが、おいしかったら、生であろうが焼いていようが煮ていようが、構わないのではないですか。
 まずはとりあえず、加藤休ミさんの見事な包丁さばき、ではなく、クレヨンさばきをとくとご覧あれ。

 と始まりの最初が、「サンマの塩焼き」。その絶品さに舌鼓をうち、つづく「金目鯛の煮付け」に呆然となり、「鯖の文化干し」につばをのみ、「いかめし」にそれはないよとつぶやき、イクラ、ウニ。アマエビの寿司に打ちのめされる。

 なんといっても、この魚卵三兄弟の寿司であるが、三兄弟のアップの絵もあって、拡大すれば創作のアラも見えそうなものだが、まるで逆で、まさに宝石。
 さかな屋さんの店頭で売っても遜色ない一冊だ。
  
(2018/02/25 投稿)

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  伊東潤は直木賞候補の常連になりつつある。
  果たして
  直木賞を受賞できるかは
  今後の作品次第だろうが
  それはおいておくとして
  この『西郷の首』は面白かった。
  なんといっても
  題材がいい。
  西郷隆盛の首を見つけた男と
  大久保利通を暗殺した男。
  本当の関係は知らないが
  ともに加賀藩であることは
  歴史上の事実である。
  それを虚実混ぜ合わせて
  読ませる力は相当なものだ。
  473ページ、一気に読んだ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  歴史は知らないことばかりだから、面白いのかも                   

 なんとも衝撃的なタイトルである。
 ほとんど内容を知らずにページを開いたのだが、その冒頭に「紀尾井坂事件概要図」があり、この小説は西郷隆盛の話ではないのかと不明のまま読むことになった。

 主人公は加賀藩の二人の若者。一人が島田一郎。もう一人が千田登文。二人とも身分の低い足軽である。
 一郎は才高く熱血漢で、登文は穏やかな気性で、互いに心を許しあった親友同士だった。
 時は幕末。長州や薩摩が京で騒がしく立ち回っていた頃、百万石の大大名加賀藩は時流に乗り遅れ、戊辰戦争の時は政府軍につくも、維新の功労者になることはなかった。
 そうした鬱屈の中、一郎は次第に過激な行動に出ようとする。一方登文は維新後軍隊に入隊し地道な生き方を歩む。
 維新後、武士は士族となりその生活は困窮し、やがて各地でその不満が狼煙のように吹き出さしていく。その最大なものが西郷隆盛が中心となった西南戦争。
 時の政府もやっきとなって西郷軍と戦い、西郷を次第に追い詰めていく。
 西郷は自刃して亡くなるが、その首は杳としてしれない。
 そんな中、西郷の首を見つけたのが登文であった。
 一方、一郎は仲間数人と大久保利通暗殺を企み、実行する。暗殺の現場が紀尾井坂であったことから「紀尾井坂事件」とも呼ばれたその主犯が、西郷の首を見つけた登文と同郷の友人であったという。

 実はこの二人の姿は西郷と大久保の関係によく似ている。
 若い頃よりあれほどに仲のよかった二人が維新をはさんで道を異にしていく。もしかしたら、この物語の二人がそうであったように西郷と大久保もその死まで互いを愛おしんでいたのではないか。
 そんなことも思った。
  
(2018/02/24 投稿)

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  先日、今話題の
  ヒュー・ジャックマン主演の
  『グレイテスト・ショーマン』を観ました。
  なんといっても
  音楽が最高で
  やっぱりミュージカル映画はいいなと
  大満足でした。
  この映画のキャッチコピーが

    夢が、踊りだす。

  いいですね。
  ということで、
  今日は映画のキャッチコピーを学問する
  樋口尚文さんの『映画のキャッチコピー学』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  今日もこんな惹句にひかれて映画館へ                   

 まずは問題。
 このキャッチコピーは何という映画のものでしょう?
 1. 運命の恋。誰もそれを裂くことはできない。今世紀最後を飾る大スペクタルロマン。
 2. 生きろ。
 3. 全世界がひれふした!
 4. 読んでから見るか、見てから読むか。
 さて、答え合わせ。順番に「タイタニック」「もののけ姫」「ラストエンペラー」、そして「人間の証明」。
 全問わかった人はまさに映画通です。
 もっともここにあげたキャッチコピーは有名ではあるのですが。

 最近のネット事情からいえば、見たい映画の予告編はパソコンからすぐさま見ることができるが、少し前は予告編を見るのも劇場に行くしかなく、見たい気持ちをくすぐるのは予告編というより新聞や雑誌、あるいは街角に貼られたポスターということが多く、必然的に見る側の感情をいかに高めるかが重要になってくる。
 すなわち、キャッチコピー、惹句が興行成績を左右したといっても過言ではない。
 映画評論家でもあり、電通のディレクターでもあり著者ならではの視点から、そんなキャッチコピーの世界をまとめたのが、本書である。
 映画好きはもちろん、広告宣伝に興味のある人には欠かせない一冊だろう。
 樋口氏は映画のキャッチコピーは「景気よく映画館に呼ぶ込むという「興行」の言葉」という指摘は成程と納得させられた。

 なによりも、まるで思い出の玉手箱のようであった。
 そういえば、こんな惹句あったよな、あの映画はこんな惹句だったんだとか、あの映画のことが書かれてないよとか、夢中になって読み終えた、ご機嫌な一冊だ。
  
(2018/02/23 投稿)

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  今日紹介する
  津村節子さんの『果てなき便り』は
  以前読んだ
  柏原成光さんの『人間吉村昭』に
  出ていました。
  吉村昭さんと津村節子さん夫婦のことは
  この本でも
  たびたび取り上げています。
  今回の本では
  特に吉村昭さんの弟さんが亡くなる場面に
  思わず涙がとまりませんでした。
  吉村昭さんの『冷い夏、熱い夏』に描かれた話の
  津村節子版ともいえる
  一文です。
  これだけでも
  読んだ意味がありました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  僕は貴女を尊敬し、惚れています                   

 作家同士の、しかもそれぞれが著名な、夫婦というのも珍しいが、結婚前、またそのあととやりとりし合った手紙類が残っているというのも稀有だろう。
 夫吉村昭は2006年7月に亡くなっているからそれらは遺品ということになるが、妻津村節子がその手紙類を整理し、吉村没後8年にして『図書』に連載したエッセイをまとめたのが本書である。
 出版されたのが2016年6月であるから、吉村が逝って10年めにあたった。

 結婚前の手紙類は79通残っている。
 二人が結婚したのが1953年だから、当時恋人どうしが意思の疎通を行うとすれば手紙が主だっただろう。
 現代ではメールという手段になるだろうから、吉村たちのように亡くなった後も形として残るということも少ないかもしれない。
 吉村は若い時に結核の手術をし作家になることを目ざし、津村もまた普通の主婦になるのではなく作家として独り立ちしたいと考えていた。
 それでも、互いに引きつけ合う力は強かったのだろう。
 また吉村の弟のはたらきかけもあって、結婚に至る。

 しかし、作家になりたい気持ちはあっても現実には生活の糧を得なければならない。
 二人で行商をしたのも有名な逸話だ。
 そんな貧しい頃の手紙に、吉村は「夫婦つて美しいと思ふ」と記している。
 吉村は実に古風な昭和の男であったようだ。
 結婚後20数年経ってもなお、「僕は貴女を尊敬し、惚れています」といった一文がはいった手紙まで送っている。

 そんな吉村が死の直前に手渡した手紙は実に細かく死後のことを託した遺書のようなものであったというのも、吉村らしい。
 吉村昭という作家を知るのに、興味ある一冊になった。
  
(2018/02/22 投稿)

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  昨日紹介した
  遠藤展子さんの『藤沢周平 遺された手帳』に
  昭和38年1月豪雪のことが
  書かれていました。
  藤沢周平さんが生まれた鶴岡市の隣
  酒田市は記録的な積雪だったそうです。
  もう10年以上前になりますが
  酒田市には仕事で
  よく出向いていました。
  今でも好きです。
  そんなことを思って
  今日は
  藤沢周平さんが故郷のことを綴った
  エッセイを集めた
  『乳のごとき故郷』を再録書評で紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  故郷を深呼吸のように味わう                   

  藤沢周平さんの「郷里の昨今」というエッセイのなかに、各地で急増する文学碑について「こういうことが文化的だと思われるのは困る」と心情をつづっている箇所がある。実際に生前自身の郷里の小学校に記念碑ができるときにも嫌がったくらいである。
 そんな藤沢さんであるから、記念館などはもってのほか。
 今春(2010年のこと)藤沢さんの故郷山形県鶴岡市に「藤沢周平記念館」が開館したが、建設にあたっては故人の性格を知る遺族から強い反対があったという。
 それを説得した街の人々、そしてついには承諾した遺族の思いは、ともに藤沢さんが愛した故郷を思う強い心があったにちがいない。
 にぎやかな街が優れているわけでもないが、少なくとも街には活気が必要だ。
 今の地方都市にはそれがない。商店街はシャターをおろし、 道行く人は少ない。若者は故郷をして、老人たちだけがさびしく、時に厳しい冬を過ごさなければならない。
 そんな故郷に恩返しができるとすれば、故郷をこよなく愛した藤沢さんも喜んで力を貸したのではないだろうか。

 「私が生まれ育った場所は、鶴岡市から南に二~三キロ離れた農村である。いわゆる庄内平野と呼ばれる土地の一角になる」という書き出しで始まる「ふるさとの民具」というエッセイをはじめ、本書は藤沢周平さんが書かれた約270篇のエッセイから鶴岡・庄内に限定した46篇と詩2篇が収められている。
 藤沢さんの小説にたびたび登場する海坂藩もこのあたりの風景をモチーフにしているから、藤沢さんがいかに故郷を愛していたかがわかる。そして、映画化された藤沢作品などで実際そんな風景にふれると、藤沢さんが愛したのもうなづける。
 どのエッセイも作者のそんな心情がよくでていて、心地よい。文章を読みすすめるだけで、肺いっぱいに新鮮な空気がはいりこむようである。

 特に「村に来た人たち」と題されたエッセイがよかった。
 お玉という女乞食を村の子供たちがからかういながら襲撃する場面があるが、まるで、物語を読む気分でわくわくさせられる。
 そして、そんな生き生きとした描写のあとで、藤沢さんはこう書く。
 「子供のように泣き叫んで走ったお玉を思い出し、思わず涙ぐみそうになる。」「人はなぜ、人をいじめたりするのだろう。そもそも人間とは何者だろう。ペンを休め、私は凝然とそういうことを考え続けるのである」。
 まさに、藤沢文学ここにあり、の一篇である。
  
(2010/06/01 投稿)

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   平昌オリンピックの
  スピードスケート女子500m金メダル
  小平奈緒選手のことを
  まずお祝いしたい。
  金メダル後の会見で
  小平奈緒選手はこんなことを言っていました。

    金メダルをもらうのは名誉なことですが、
    そのあと、どういう人生を生きていくかが大事になると思う。

  なかなか言えませんよ。
  すっかり小平奈緒選手のファンになりました。
  大拍手を。

  では、今日の本のこと。
  藤沢周平山形県鶴岡市の生まれで
  そのペンネームの藤沢というのは
  若くして亡くなる
  藤沢周平の最初の妻の実家があった
  町の名前が藤沢だったという。
  名前の周平は
  の一番上のお姉さんの長男が周といい
  その名をもらったといいます。
  今日紹介する
  『藤沢周平 遺された手帳』は
  タイトルの通り
  藤沢周平が残した手帳を
  娘である遠藤展子さんが読み解いています。
  最初に書いた
  藤沢周平のペンネームの由来も
  この本に書かれていました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  藤沢周平の人柄はこんなところにでている                   

 1997年に亡くなって20年以上経つが、藤沢周平の人気は今も続く。
 同じ時代小説作家で昨年亡くなった葉室麟が66歳で早逝であった印象が強いが、藤沢にしても69歳での死であるからあまりにも若い。
 まだ何年も生き、そして多くの作品を残してくれただろうと思うと残念だ。

 そんな藤沢周平に遺された手帳が4冊あるという。
 年代でいえば、昭和38年のもの、そのあとの3冊は昭和46年から昭和50年にかけてのもので、この3冊には当時住んでいた東久留米市金山町であったことから「金山町雑記」と記されていたようだ。
 4冊の手帳に書かれた内容を藤沢周平の娘である遠藤展子(のぶこ・藤沢周平の本名は小菅だが彼女は結婚して遠藤姓になっている)がエッセイ風に読み解いているのが、本書である。

 昭和38年の手帳は、ちょうど展子が生まれた年のものであると同時に藤沢の最初の妻悦子が28歳で亡くなった年でもある。
 藤沢はまだ作家として名を成しているわけでもなく(藤沢が『暗殺の年輪』で第69回直木賞を受賞するのは昭和48年である)、まだ貧しい生活を営んでいる頃である。
 最愛の妻を亡くし、生まれたばかりの可愛い娘も実家に預けるしかない日々、そんな中、その手帳に記された「貧しいことを不幸だとは思わないが、やはり哀れだ」という一文は、藤沢周平の文学の根幹にあるかもしれない。

 藤沢は人気作家になってからも「先生」と呼ばれることを良しとしなかったという。
 ただ例外は彼が若い頃教師をしていた当時の教え子にだけは「先生」と呼ばれることを喜んだそうだ。
 そんなところにも藤沢周平の人柄がでている。
  
(2018/02/20 投稿)

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 今日は二十四節気のひとつ、雨水
 降る雪が雨に変わり、
 積もった雪も解けだす頃ですが
 まだもう少し寒いでしょうね。

 雨水と書いて
 「うすい」と読んだり「あまみず」と読んだりするように
 羽生と書いて
 「はにゅう」と読んだり「はぶ」と読んだり、
 先日(2月17日)の土曜日は
 日本国中、
 「はにゅう」と「はぶ」で混乱してました。
 国民栄誉賞を先日受賞した
 将棋の羽生(はぶ)善治さんが中学生の藤井聡太くんに敗れ、
 平昌五輪では
 フィギアスケートの羽生(はにゅう)結弦選手が金メダルで
 国民栄誉賞をとるのではとまで
 いわれています。
 羽生、はにゅうにしろはぶにしろ
 これだけ言われた日はなかったのではないでしょうか。
 それにしても
 羽生結弦選手はすごい。
 大拍手です。

 日曜日(2月18日)も朝から
 羽生結弦選手のニュースでテレビは大賑わい。
 さすがに
 もういいかと
 春の講習会が始まるので
 畑にでかけました。
 いよいよ春夏野菜のスタートです。

 私の畑は四つの畝がありますが
 今年の春夏野菜は
 まず一番畝でピーマンナス中玉トマト
 育てます。
 二番畝は葉物野菜ですが
 ここにはまだイチゴスナップエンドウが植わっているので
 まだまだ先。
 三番畝は
 オクラトウモロコシ
 今回はこのトウモロコシの講習でしたが
 ここにはまだ芽キャベツが植わっています。

  CIMG2390_convert_20180218131217.jpg

 だから、
 種まきはもう少し先。
 四番畝は、
 キュウリインゲン、それとミニカボチャ

 講習会は始まりましたが
 わたしの畑では
 実際のスタートはもう少し先。
 これは少し大きくなったミニチンゲンサイ

  CIMG2388_convert_20180218131130.jpg
  
 茎ブロッコリーのスズナリも
 まだまだ。

  CIMG2387_convert_20180218130953.jpg

 これらの野菜の収穫は
 3月いっぱいかかるかな。

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プレゼント 書評こぼれ話

  どうも私には
  これはという人を見つけたら
  はまりこんでしまう癖があるようで
  今日の絵本は
  先週に続いて
  加藤休ミさん文と絵の『ながしまのまんげつ』。
  ただし、この絵本には
  原作があって
  落語家の林家彦いちさんの原作をもとに
  できています。
  加藤休ミさんの絵は
  なんだか心を落ち着かせるんですよね。
  それに
  魚がおいしそうだし。
  この絵本、笑えるし、
  心の奥がしんともなるし、
  いいな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんな生活がちょっと前にはあった                   

 絵本作家の絵は、いせひでこさんや酒井駒子さんのような端正なものから長谷川義史さんや荒井良二さんのような強烈なものまで、当然といえば当然だが、まさに個性が百花繚乱である。
 クレヨン画の加藤休ミさんもその独特な世界観は他を寄せつけない。
 そんな加藤休ミさんと落語家林家彦いちさんがタッグを組んだのが、この絵本だ。

 原作が林家彦いちさん。林家木久扇に弟子入りして、めきめきと頭角を現した人気落語家。
 タイトルにある「ながしま」は彦いちさんが小さい頃過ごした鹿児島県長島のこと。
 本土と連なる町はそこに見えているが、船で渡らないといけないところで、「ちかくて とおい しま」だ。
 彦いちさんが住んでいた頃、学校にはプールがなかった。でも、海があるから大丈夫。サメがでる(!)けど、先生が見張ってくれる。
 給食の時間には漁師のおじさんが鯛の刺身を差し入れてくれる。
 この刺身がすごくおいしそうなのだ。加藤休ミさんの絵がなんといってもいい。
 信号がついたら、島じゅうのみんなが集まって大騒ぎする、そんなしまが「ながしま」。

 彦いちさんの、そんな楽しい原作を加藤休ミさんが文と絵で絵本に仕上げた。
 加藤休ミさんのクレヨン画が島の人たちの素朴な味わいとほとんど灯りのない夜の闇を見事に描いている。
 そして、「しまからも まちからも どこから みても おんなじ まんまる まんげつ」も、いうまでもなく、ずっと見ていたくなるくらい、すてきだ。
  
(2018/02/18 投稿)

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  昨年の暮れ、
  葉室麟さんの突然の訃報に驚きました。
  まだ66歳ということを思えば
  どれだけ書きたいことがあったことでしょう。
  その訃報のあと、
  何冊かの単行本と文庫本が出ています。
  今日紹介する
  『玄鳥さりて』もそのうちの一冊。
  生涯60冊あまりの作品を残してくれましたから
  いつでも葉室麟さんの世界に
  ひたることができることを
  今は喜びとしなければならないでしょう。
  この作品も
  いいです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  耐えるように生きる                   

 葉室麟さんの突然の訃報に呆然とするばかりで、そのあと年が明けて新刊の列にその名前を見ると心がぎゅっと痛む。
 この作品もそんな一冊で、まさにこのタイトルのとおり、「去っていった」感が強い。
 「玄鳥」というのは燕の異名で、その飛ぶ姿もまた葉室麟さんのようで潔い。
 この作品は2016年7月から翌17年3月まで「小説新潮」に連載されていたもので、葉室さんの遺作ではないが、この時期の刊行を考えると、亡くなる間際まで筆をいれておられたのではないだろうか。

 そういう風に読んでしまうからだろうか、この作品に葉室さんが願った人間の姿が祈りのように込められているような気がする。
 舞台は九州蓮乗寺藩。一人の少年が剣術道場で良き先輩にめぐりあう。その先輩、樋口六郎兵衛の堪えるような生きざまを描いたのが、この作品である。
 少年の名は圭吾。六郎兵衛のかわいがりぶりに衆道の噂まで立つが、六郎兵衛はそんな噂まで跳ね返すほど強い。
 しかし、その強さが彼にさまざまな困難をもたらすことになる。
 その一方で圭吾は成長とともに藩で出世の道を歩み出す。それは圭吾に人としての道を誤らせ、六郎兵衛さえも裏切っていく。
 自身の死を覚悟しながら、それでも彼は圭吾を助けるべく動き出す。

 「六郎兵衛はどれほど悲運に落ちようとも、ひとを恨まず、自らの生き方を棄てるようなこともなかった」。
 そのあと、葉室さんはこう書く。
 「闇の奥底でも輝きを失わないひとだった」。
 葉室麟さんが命をけずりながら書き続けた人がここにいる。
  
(2018/02/17 投稿)

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 先日(2月12日)、
 2017年第91回キネマ旬報ベストテンの表彰式があったのですが
 都合がつかなくて
 行けませんでした。
 残念!
 こういう時は
 「キネマ旬報」ベスト・テン発表特別号を開いて
 昨年の映画を振り返ることにしましょう。

  

 まず、今回のベストテンで目を引いたのが
 監督賞を受賞した
 大林宣彦監督。
 作品「花筐」はベストテン2位ながら
 監督賞を受賞するあたり
 さすがレジェンド監督です。
 でも、
 残念ながら
 第1位の「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」をはじめ
 10位までの日本映画を
 全部観ていないのですから
 申し訳ない。
 やはり、ベストテンは自分もしっかり観た上で
 あれがいいこれがいいと
 いうのが正しい。

 では、外国映画はどうかといえば
 6位の「沈黙」と10位の「ラ・ラ・ランド」を観ました。
 「ラ・ラ・ランド」の順位が低いのには
 驚きでしたが、
 でも、ご心配なく。
 「キネマ旬報」には
 読者が選ぶベストテンもあって
 外国映画部門で
 「ラ・ラ・ランド」は見事1位に輝いています。
 ちなみに
 読者のベストテンが2位、
 公式ベストテンで8位となった「ドリーム」ですが
 観たい観たいと思っていたのですが
 見逃してしまった作品です。
 残念!

 もうひとつの部門、文化映画の第1位は
 何度もこのブログで書きましたが
 「人生フルーツ」。
 この作品を観れたのが
 一番の収穫だったかもしれません。

 今年はどんな映画と出会うのか
 楽しみです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  会社の業績が悪くなれば
  お酒の席でも
  会社の悪口を言わないようになんていう
  緘口令がひかれたりする。
  この企業の人たちが
  どのあたりで飲んでいるのか知らないが
  聞いてみたいものだ。
  あるいはきっとこの本を読んでいるだろうから
  この本の評判なんかも
  聞いてみたいものだ。
  そんな本が
  大鹿靖明さんの『東芝の悲劇』。
  もちろん、悲劇なのは
  東芝という会社ではなく
  そこで働く従業員であり
  株主であることはいうまでもない。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  東芝の社長たちは何をめざしたのか                   

 生まれてから死ぬまでの人の一生にはさまざまなイベントがあるが、結婚と同じくらい、あるいはそれ以上就職というのは大きくて重要なイベントだろう。
 就職というより就社という方が正しいかもしれないが、誰もが一流企業に入るたいと願うし、そのための準備として大学があり、高校があり、たどっていけば胎教まで行きつきそうだ。
 では、そこまでして入社したい会社というのはどんなところだろう。
 給料福利厚生がよいところということになるが、それだけでなく社歴、売上規模、知名度さまざまな判断基準がある。
 選択の際には親の意見もあるだろうし、先生のアドバイスもあるだろう。
 けれど、結局決めるのは自分自身である。

 その時、あなたは「東芝」を選択するだろうか。
 少なくとも現在では多くの人が迷うだろう。
 上場廃止、あるいは破綻寸前までいって、それでも生きながらえているのは、さすが「東芝」、国が潰すはずもない、という視点であれば、もしかして「選択」の余地もあるかもしれない。
 しかし、この会社が長年やってきたことは知っておくべきだろう。
 一つの大企業が陥った「悲劇」をドキュメンタリーとして描いたこの作品は十分参考になるだろうし、どうしてこれだけの会社がここまで窮地に陥ったかを知るのは多くのビジネスマンの参考にもなるだろう。

 特にこの作品では西室氏から始まる歴代社長の罪が続々と書かれている。
 東芝は重篤な財界病に罹患していた」と指摘はこの社長たちの病巣をえぐる一言だろう。
 会社を選ぶ際に経営者の人格も重要になってくることを忘れないように。
  
(2018/02/15 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日はバレンタインデー

    いつ渡そバレンタインのチョコレート    田畑 美穂女

  バレンタインという言葉だけで
  6文字ありますから
  俳句を詠むのもなかなか難しいですが
  上の句、
  見事にその情景を描いています。
  女性は
  この気持ちよくわかるのではないでしょうか。
  そんな恋の日に
  ぴったりの本を紹介しましょう。
  益田ミリさんの『すーちゃんの恋』。
  再録書評ですが
  甘い恋のお話です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  すーちゃんってこんなひと                   

  益田ミリさんの「すーちゃん」シリーズの4冊目。今回は主人公すーちゃんの切ない恋が描かれます。
 すーちゃんを知らない人にプチ知識。
 すーちゃんの本名は、森本好子。そういえば、亡くなった元アイドルグループキャンディーズのメンバーのすーちゃんは田中好子さんでしたね。
 好子さんって、全国的に「すーちゃん」と呼ばれてるんでしょうか。余談ですが。
 年令は37歳。「エーッ、すーちゃんってもうそんな年なんだ」と思った人は、長年の「すーちゃん」ファンですね、きっと。ご自身もそれだけ年令を重ねていることをうっかり忘れてることってよくありますよね。これも、余談ですが。
 出身は鹿児島。鹿児島の女性の気質は、しっかり者らしい。
 もともと男尊女卑の根強い国だったらしくて、女性は控え目で真面目。もっとも根性は座っているようです。すーちゃんを見てると、結構メゲたりしますが、最後は自分をしっかり見ています。そのあたりは鹿児島の女性らしいのですかね。

 持っている資格は、調理師免許。
 この巻では以前働いていてお店を辞めて、保育園の給食調理師としてがんばっています。
 意外なのは、そろばん4級。普通だったら、3級まで取りますよね。どうして4級でやめたのかわからないけど、すーちゃんらしいといえば、調理師より、そろばんの方かも。
 趣味は料理。保育園の給食調理師になったすーちゃんは子どもたちに楽しんで食べてもらおうと、家に帰っても勉強熱心。趣味を生かしています。
 友人はそんなに多くはない。親しいのは、さわ子さんとまい子さん。
 さわ子さんは41歳で未婚。すーちゃんが結婚で悩んでいる以上に、さわ子さんの方がもっと深刻。「子供を産まない人生なら、あたしの生理ってなんのためにあったんだろ」なんて、ため息をつく。男性読者にとっては、ドキッとするようなせりふ。
 「すーちゃん」シリーズは女性に人気だけど、男性諸君、さわ子さんのこの名言忘れてはなりませぬぞ。
 まい子さんは一児の母。だけど、これでいいのかなぁ、と悩みはつきない。

 さて、問題の一項目。
 すーちゃんは独身。好きな人? います、います。
 以前働いていたお店の近くにあった本屋さんの店員の土田君。33歳ですから、すーちゃんより年下。しかも、恋人あり。あれれ。すーちゃんつらいよね。
 というわけで、プチ知識ですまなくなりました。
 すーちゃんの切ない恋は、本書で、じっくり。
  
(2013/01/26 投稿)

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 先日の2月10日、
 作家の石牟礼道子さんが亡くなった。
 石牟礼道子さんといえば、
 水俣病で苦しむ人々を描いた『苦界浄土』が有名で
 その作品は高く評価されている。
 その連載が始まったのは
 1965年だという。
 石牟礼道子さんが38歳の時で
 当時石牟礼道子さんは主婦で
 そこから始まる祈りの道を
 亡くなる90歳まで休むことなく歩み続けたのだから
 頭がさがる。

 ご冥福をお祈りします。

 主婦といえば
 第158回芥川賞を受賞した若竹千佐子さんも
 主婦でしたが
 その受賞作『おらおらでひとりいぐも』の単行本が
 50万部を突破したという報道もあって
 「おらおら」ブームに
 出版社、本屋さんとも喜んでいるのでは
 ないでしょうか。
 そんな中、発売されたのが
 「文藝春秋」3月特別号(文藝春秋・980円)で
 毎年恒例の芥川賞全文掲載が目玉となっている。

  

 今回は『おらおらでひとりいぐも』と
 石井遊佳さんの『百年泥』の2作受賞でしたから
 今号にはその2作が掲載されているので
 お得感満載です。
 でも、『おらおらでひとりいぐも』は
 以前このブログにも書きましたが
 単行本で読まないと
 読むのがきついかもしれません。

 出版界にはもう一冊、
 吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』の再ブームが来ていて
 漫画本はすでに100万部を超えてとか。
 ならばと
 今月号の「文藝春秋」では
 吉野源三郎さんの長男である
 吉野源太郎さんと池上彰さんの対談
 「父・吉野源三郎の教え」をはじめ、
 「日本の教育を建て直せ」という
 総力特集が載っています。
 ここにアルマーニ問題で揺れる
 泰明小学校の記事があれば
 もっと興味津々でしたが
 さすがにそこまでは無理でした。

 と、
 今月号も読み応え十分な
 「文藝春秋」でした。

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 今年の冬は寒い。
 寒いので
 外に出るのも億劫になるが
 昨日(2月11日)の日曜日
 畑までの道を歩いていたら
 梅の花がちらちら咲いているのを見つけました。

  CIMG2386_convert_20180211134510.jpg

    春浅き空へさし入る木々の末(うれ)      星野 恒彦

 もう少し寒い日が続くだろうが
 それでも確かに
 春は来ているようだ。

 昨日私の菜園では
 フォローアップ講習会がありました。
 畝づくりやマルチ張りのコツを教えてくれるとあったので
 それはいいと出かけてきました。
 この春で
 菜園を始めて4年めを迎えます。
 最初の時は
 こちらも真剣に聞いていましたが
 そのうちにコツがわかってきましたが
 せっかくなので
 もう一度初心に戻って
 勉強してきました。

 ここ何週か、このブログでも書いていますが
 やはり土づくりが大切で
 このようにどちらの土がいいかを比べたり

  CIMG2383_convert_20180211134349.jpg

 ちなみに写真でいうと
 右側の土がいいそうです、
 肥料の成分を教えてくれました。
 それと
 実際にアドバイザーの人が
 畝づくりやマルチ張りを実演してくれました。

  CIMG2385_convert_20180211134429.jpg

 さすがにうまい。
 勉強になりました。

 栽培の方は
 イチゴの冬眠ももう少し。

  CIMG2382_convert_20180211134301.jpg

 枯れている葉は
 採りました。

 いよいよ今週のおわりぐらいから
 春夏野菜の栽培の講習も始まります。
 畑の春もまもなく
 やってきます。

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プレゼント 書評こぼれ話

  本当に本とは不思議なもので
  今日紹介する
  加藤休ミさんの『おさかないちば』との
  出合いも
  書評に書いたように
  新聞の広告で名前を知って
  そのあとたまたま図書館で絵本を探していたら
  この特長ある名前が
  飛び込んできたというわけです。
  たまたまでしょうが
  私のアンテナに
  加藤休ミさんが引っかかったのですね。
  原画で見たいものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  クレヨンといってもバカにはできない                   

 加藤休ミという絵本作家のことを、最近まで知らなかった。
 日本経済新聞の本の広告であったが、今、どの広告であったか探したがわからなかった、
 確か、クレヨンで実物そっくりの絵を描く、みたいな広告であったと思う。
 それだけでも興味をひいたが、その作者の名前が「加藤休ミ」。休ミ、がなんとも印象に残る。
 そこで調べてみると、1976年北海道釧路生まれの女性である。
 確かにクレヨン画家とある。
 しかし、もともと彼女はクレヨン画家になりたかったわけではない。
 「とにかく何かやりたい」と東京に出てきて役者の勉強をしたが、挫折。(よくある話)
 そして、いたずらで始めていた絵の世界にはまって、イラストを描き始め、苦節(?)6年ぐらいで連載を持つようにまでなったそうです。

 彼女の絵の魅力は、なんといってもその細かさ。
 これがクレヨンで描いたの? と疑いたくなるくらい、本物っぽい。
 この絵本では彼女が得意とする魚がたくさん登場するから、彼女のファンにとっては欠かせない一冊だし、私のように加藤休ミ初心者にとって、これが加藤休ミかという衝撃を受ける一冊でもある。

 特に見て欲しいのは、キンメダイとその横に並んだイトヨリダイ。
 一体これだけの絵を彼女は何日で仕上げるのか知らないが、なんとも鮮度のいいおいしさであることか。
 これがクレヨン画としたら、クレヨンそのものも見直さないといけない。
 ぜひ、見て(読んで)欲しい一冊だ。
  
(2018/02/11 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  私はいわゆる「定年関連本」が好きである。
  きっとそんなことを書いたら、
  今日紹介する『定年バカ』の著者
  勢古浩爾さんにバカにされるだろうが、
  放っておいて欲しい。
  いろんな人生を見ているようで
  楽しいではないか。
  この本でいろんなことに文句を言っている
  勢古浩爾さんだが、
  それで何か間違ったとしても
  「それはしかたがない。自分で選んだことである」と
  いさぎよい。
  この本を読んだのも
  自分で選んだこと。
  だから、文句を言っては
  申し訳ない。
  いっぱい言ったけど。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  突然性格が変わり出したら要注意                   

 年をとると、性格が変わる人がいるといいます。
 それまで大人しかった人が攻撃方になったり、その逆もまたあったりして、認知症の予兆とか前兆とかいわれたりしていますが、逆ギレは若者だけでなく老人にもあります。
 2017年、内館牧子さんの『終わった人』や楠木新さんの『定年後』といった、いわゆる「定年関連本」がヒットし、自身すでに『定年後のリアル』という著作もある著者が、きっと優秀な編集者さんの誘いを受けて、バッサバッサと文句の言いたい放題。
 もし、この本の企画がなければ、きっと勢古さんはこれらの本のほとんどは読まなかったのではないだろうか。
 何故なら、興味がないから。
 それが必要に駆られて読むわけで、文句のひとつもふたつも、いやいや全面否定も言いたくなるわけです。
 なんなら自身の『定年後のリアル』もバッサリお斬りなったらいいのに、それはそうで別の話なのでしょう。

 勢古さんが言いたいことは結局「自分の好きにすればよい」ということで、だったら他の書き手がどう書こうと黙っていたらいいものを、そうなれば本として成立しないから、好きにしているところに嘴を突っ込んでいることになる。
 あまり文句を言っていると、勢古さんと同じ兆候になってしまうので、そこまでにするが、
 全9章の中で読み応えのあるのは最後の章ぐらい。
 それと、この本で紹介されている「定年関連本」の評価一覧はうまくまとまっている。
 もっとも、その中にも『定年後のリアル』がないのは、これらの本と比べたくもないということだろうか。
  
(2018/02/10 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  いよいよ今日
  平昌冬季五輪が開幕します。
  オリンピックといえば
  誰もが金メダルを期待してしまいますが
  感動をくれれば
  それでいい。
  思い出に残る冬季五輪といえば
  私は1972年の札幌五輪ですね。
  トワエモアが唄った
  「虹と雪のバラード」は
  今でも歌えるのではないかしら。
  そういう記憶に残る
  五輪になればいい。
  今日は
  茨木のり子さんの詩集
  『倚りかからず』を紹介します。
  この詩集、何度読むことになるのかな。

  じゃあ。読もう。

  

sai.wingpen  新しい朝に詩を読む                   

 ドキュメンタリー映画「人生フルーツ」に感銘し、映画でその暮らしぶりを映し出されていたつばた修一さんと英子さん夫婦の本まで手にした。
 その中の一冊、『ききがたり ときをためる暮らし』を読んでいて、「倚りかからずに生きたい」と修一さんと英子さんが話しているという話が出てくる箇所がある。
 二人の生活は互いに「倚りかからず」ではないにしろ、この夫婦をひとつのかたまりだと考えれば、やはり「倚りかからず」生きていると思えてくる。
 もしかしたら、詩人茨木のり子さんが「倚りかからず」と書いたのは、できあいの「思想」とか「宗教」とか「学問」といった堅苦しいものではなく、もっとシンプルでわかりやすい、例えばつばたさん夫妻のような、暮らしぶりのことであったのかもしれない。

 茨木のり子さんのこの詩をもって、「精神の背骨が、ぴんと伸びている」と朝日新聞の「天声人語」に書いたのは栗田亘さん。
 1999年10月16日の朝の新聞だった。
 そのせいもあるだろうが、茨木のり子さんのこの詩集は大ヒットした。
 しかし、記事を書いた栗田さんは、やはり茨木のり子さんの言葉の力があればこその大ヒットだという。
 その詩集を手にすると、あまりにも有名になった「倚りかからず」だけでなく、心に反響するいい詩を発見するだろう。
 私は「木は旅が好き」や「店の名」、あるいは「水の星」が好きだ。

 特に「水の星」。
 その星に、茨木のり子さんのような人やつばたさん夫妻のような人たちがいる。
 「倚りかからず」に、背骨をぴんと伸ばして。
  
(2018/02/09 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今年にはいって
  映画「人生フルーツ」を観て感動し、
  その勢いのまま、
  つばた英子さんとつばたしゅういちさんの本
  『あしたも、こはるびより。』を読み、
  ふと本屋さんで
  先月出た文春文庫の一冊に
  今日紹介する
  『ときをためる暮らし』を見つけた時は
  こんな風にして
  多くのことに引き寄せられていくのだと
  驚くばかりです。
  きっとそのことで
  私は何か大切な時間の過ごし方を
  教えてもらっているに
  ちがいありません。
  それは人生といってもいいのでは
  ないだろうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  寄り添いながら                   

 2012年に自然食通信社という出版社から刊行されたこの本が、文春文庫の一冊として年明け早々出版されたのは、やはり2017年にこの本の語り手であるつばた英子さんとしゅういちさんの暮らしぶりをカメラにおさめたドキュメンタリー映画『人生フルーツ』が評判となったからだろう。
 映画の中でも描かれているが、ご主人のしゅういちさんは2015年6月、90歳で亡くなったが、もちろんこの本ではまだ元気で、自身の若い頃のことや英子さんとの暮らしぶりについて多くを語っている。

 そもそもこの作品は「ききがたり」とあるように、つばたさんたちの暮らしぶりを雑誌で見かけた水野恵美子さんが「これから高齢化していく日本にあって、つばたさんの暮らしぶりを紹介することは意味があるのではないか」と手紙を出したのがきっかけだったそうだ。
 そこから水野さんと写真を担当した落合由利子さんが一年間、深夜バスを乗り継ぎながら、名古屋のつばた家まで何度もなんども通ったという。

 水野さんたちの思いが、つばたさんご夫妻の心を開いていったのでしょう。
 そのせいか、英子さんもしゅういちさんも、かなり踏み込んだ生活の話をしている。特に半田の老舗の造り酒屋に生まれた英子さんの若い時分の生活は恵まれたもので、そういう優雅さがしゅういちさんとの結婚後も場面場面で生かされていったように感じた。
 「りっぱな肩書きを手にする、大きな財産を手にする、そういうことがなくても、人は幸せになれると思っていた」というのはしゅういちさんの言葉だが、それはそういうものをそぎ落としてきた人生ゆえに手にした感慨だろう。
  
(2018/02/08 投稿)

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  図書館で新しい本を借りようとすると
  何百人も予約が入っていて
  なかなか読むことができないことがある。
  そのことで
  不満や不平をいう人がいるが
  図書館は新刊の貸出を主としているわけではない。
  むしろ、本屋さんでなかなか手にはいらない
  旧刊本などを読みたい時は
  図書館に頼るのがいい。
  そんな本なら待っている人もほとんどいない。
  花房観音さんの『くちびる遊び』を読んで
  その装幀画が気にいって
  図書館の蔵書を調べて見つけたのが
  今日紹介する
  池永康晟さんの
  『君想ふ 百夜の幸福』。
  こんな時に図書館ほどありがたいところはない。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  官能とは                   

 「ジャケ買い」という言葉がある。
 その中身を知らずにCDや本などを店頭で見かけたジャケットが気に入って購入してしまうことで、本なども表紙の装幀を見て思わず手がのびるということはよくある。
 最近でいえば、新潮文庫の花房観音の『くちびる遊び』の装幀がよかった。元々花房観音のファンだから、作品は読むつもりであったが、それ以上にその装幀画が目をひいた。
 それを描いたのが。池永康晟(やすなり)。
 裸婦でもないのに、そこに描かれた女性のなまめかしさに、花房観音の官能小説がよく似合った。

 この本はその池永康晟の画集である。
 画集であるから、あの文庫本の装幀に描かれた女性の姿が全ページに描かれている。
 ここには一人の女性だけではない。
 複数の女性が描かれているが、一人として裸体はない。
 裸体はないが、どの女性も濡れるような瞳でこちらを見つめてくる。何かを求めるように。何かを隠すかのように。

 もしかしたら、この女性たちの魅力を言葉にすることができれば、官能の秘密を暴くこともできるのではないかと思ってしまうが、私にはそんな語彙はない。
 ただただ呆然と彼女たちを見つめるだけだ。

 池永康晟の略年が巻末に掲載されている。
 1965年に大分に生まれ、最初の個展を2003年に開いている。そのあとの展覧会の事績はわかるが、彼がどのようにして彼女たちと出会い、どのように接していったのかわかるはずもない。
 そういう秘密を池永の絵は見る側と共有しようとする。

 官能とは秘密の共有のことか。
  
(2018/02/07 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  NHK大河ドラマ西郷どん」を
  楽しく見ている。
  なんといっても
  西郷隆盛役の鈴木亮平さんが適役で
  もしかした
  西郷隆盛とは本当にこんな顔、
  こんな背丈だったのではないかと
  思ってしまうぐらいだ。
  ドラマはまだ吉之助と呼ばれている
  青年時代だが
  司馬遼太郎さんの『翔ぶが如く』は
  晩年の西郷隆盛を描いている。
  今回はその三巻め。
  まだまだ先は長いでごわす。

  じゃあ、読みもおそう。(あれ、おかしい)

  

sai.wingpen  西郷隆盛とは、何者なのであろう                   

 文庫本にして全10巻の大長編のまだ3巻めである。
 明治維新を経てまだ誕生してわずかの明治政府は征韓論という国を二分する政策論議のあと西南戦争という大激震が起こる、その姿を描いた作品で、この3巻では後に「明治六年の政変」と呼ばれることになる十月十五日の廟議から始まる。
  歴史の本にあるように、征韓派はいうまでもなく西郷隆盛で、非征韓派は大久保利通である。
 一旦、大久保側に優位かと思われた議論ながら、結果は征韓派が勝利する。
 しかし、太政大臣三条実美の急病により代理となった岩倉具視がそれを拒否し、西郷は参議を辞任、鹿児島へと帰ってしまう。
 西郷のあとを追うように、多くの薩摩人が帰省する中、岩倉具視襲撃事件が翌明治七年一月十四日起こる。
 その犯人を追うのもまた薩摩人川路利良という大警視。
 3 巻で描かれているのは、時間でいえばおおよそこのような次第である。

 この長編が明治の英雄西郷隆盛を描いているのは間違いない。
 すでに先の2巻でも西郷の性格なりが数多く点描されているが、この3巻でもそうだ。
 「西郷とは、何者なのであろう」と、あらためて司馬はこの3巻で問うている。
 「かれは本気で正義が通るものだと思っていた」うんぬんと続く、その評価は高い。
 また別のページには「西郷が同時代人にも後代のひとびとにも形容しがたいほどの詩的情感をもって敬愛」と書く。

 西郷に対して大久保という巨魁がいるが、司馬はやはり西郷という詩的情景を愛していたような気がするが、結論を求めるには先はうんと長い。
  
(2018/02/06 投稿)

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 家庭菜園家にとって
 日曜朝8時からのNHKEテレ
 「やさいの時間」は
 欠かせない番組で
 そこから教えられることはたくさんあります。
 昨日の日曜日(2月4日)、
 畑に行くと
 「今朝の放送見た?」とたずねる人がいたりして、
 「降雪時の対応とかだったわよ」と教えてくれたりして
 さっそく帰って
 録画した番組を見たりしました。

 昨日は鳥害にやられたブロッコリーとか
 私の畑でも目にすることの多い被害や
 春からの菜園計画を始めていました。
 今の季節は
 収穫というより
 春からどの区画で何を育てるといった
 菜園計画を立てる時期でもあります。
 番組だけでなく
 テキストも出ていますから
 テキストを横にして
 番組を見たりします。

  

 まず大切なのは
 自分が何を育てたいかということ。
 それと
 その野菜が何科かということ。
 つまり
 連作障害をさけないといけません。
 その他細かいところがありますから
 そのあたりは
 テキストの方が詳しく書いてあります。

 私のこの春からの目玉野菜は
 カボチャ
 昨年自分で苗を購入してきて
 わずか1個の収穫でしたから
 今年はリベンジです。
 それと
 ナスは長ナスに挑戦します。

 種播き、苗の植え付けは
 もう少し先。
 今の畑は
 ホウレンソウが大きく育つか

  CIMG2380_convert_20180204153700.jpg

 シュンギクはどうかといったところ。

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 ともかく、もう少し暖かくならないと。

 キャベツの二球め栽培は
 脇芽が出ていますが
 果たして大きくなるか結球するかどうか。

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 これはさすがに
 自信がありません。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は立春

    春立つや子規より手紙漱石へ     榎本 好宏

  暦の上では春ですが…、と
  よく言いますが
  まさに今がそう。
  今週もまだまだ寒波が居座るようです。
  それでも
  春はもうすぐやってくると思えば
  少しはほっこりするかも。
  今日はとってもいい絵本、
  谷川俊太郎さん詩、
  長新太さん絵の
  『えをかく』を紹介します。
  書評にも書きましたが
  この絵本はいく通りも読み方があります。
  ぜひ試してみて下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これは魔法のような絵本です                   

 絵本と詩は相性がいい。
 散文でなく、絵で多くの語り、言葉がそれに風のように撫ぜていく。
 だから、詩人の谷川俊太郎さんが絵本の制作にたくさん関わっているのもわかる気がする。
 絵は言葉のじゃまをせず、言葉は絵をぼやけさせない。
 どちらがお兄さんでも、どちらが弟でもない。
 手をつないだ仲良し。

 この絵本もそうだけど、谷川さんの詩がとってもいい。
 だから、私はまず詩を読んだ。
 「まずはじめに じめんをかく」で始まる、詩を読んだ。
 それから、次は長新太さんの絵だけ見た。
 緑のまっすぐな線の絵を、まず見た。
 「じめん」という言葉と「緑のまっすぐな線」という絵。
 最後にふたつ一緒に、絵本として読んでみた。
 とっても素敵だった。

 谷川さんの詩がすごいところが、「じめん」から始まって、「ひとりのこども」をかきはじめるのまで、とってもたくさんの「え」があるということ。
 大きな地球にあって、「ひとりのこども」は小さいけれど、そこから始まる家とか家族とか、あるいは夢とか死とか(この絵本には死もちゃんと描かれている)があって、それはそれでとっても大きくて大事なことだと教えてくれる。

 「白い紙をみつめていると」と、谷川さんはいいます。
 「すべてがそこから生まれてくるような気がします」と。
 一篇の詩から、ひとつの絵からも、すべてが生まれてくることもある。
 これは魔法のような絵本です。
  
(2018/02/04 投稿)

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  今日は節分
  もともと四季それぞれにある分かれ目のことだが
  今は2月のこの日のことをいう。

    節分や海の町には海の鬼     矢島 渚男

  歳時記冬の部も今日まで。
  明日の立春から春の部となる。
  節分といえば、鬼。
  鬼といえば
  パッと浮かぶのが
  団鬼六のこと。
  亡くなったのが2011年だから
  もう7年になる。
  せっかくなので
  今日は
  団鬼六の『往きて還らず』を
  再録書評で紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  団鬼六こそ「最後の文士」                   

  少し前には「文士」という呼び方があった。
 文筆を生業(なりわい)にしている人を指してそう呼んだものだが、この言葉には単に職業をいうなにごととは少しばかり違った雰囲気があったものだ。
 それを正確にいうのは難しいが、どこか職業を斜(はす)にみている気分といえばいいだろうか。それとも、正しい営みではない覚悟のようなものというべきか。履歴書の職業欄に書くべき何ものをももたない作家たちが「文士」たちだったように思う。
 現代の作家たちはそんな「文士」からほど遠い。職業感として、会計士や○○商事の部長と同じところに、「作家」がある。きっと彼らは何のためらいもなく、履歴書に「作家」と書くにちがいない。
 どちらかいいとか悪いという問題ではない。
 ただ「文士」には人間をじっと凝視する何かがあったような気がする。

 団鬼六はいわずと知れた官能小説の大家である。
 本作は団の父親の物語として、戦争末期に体験した(と思われる)不思議な人間模様を描いた作品である。
 団が得意とする官能場面は少しはあるが、それよりも普通では想像できない人間の姿が、団の加虐被虐のめくるめく世界と同位であることに、団鬼六という作家の世界観があることに納得させられる。
 物語の舞台は特攻隊基地である鹿屋航空基地。特攻攻撃間近の滝川大尉は愛人八重子を基地そばの「すみれ館」という洋館に住まわせている。滝川は八重子に、自分が死んだら部下である中村中尉にお前を譲るという信じがたい提案をする。
 そして、滝川は特攻隊として出撃。滝川の命令どおり八重子を愛人とした中村中尉だが、彼もまた特攻隊として出撃する前に後輩の横沢少尉に八重子を譲り渡す。
 女の人格などあったものではない。現代の女性からみたら、三人の男たちだけでなく、八重子の存在もありえないだろう。
 しかし、最後の男滝沢を追って前線まで彷徨い、最後には空襲の紅蓮の炎のなかで命を終える八重子のなんともいえない官能性は、なんとも艶かしい。
 それを肯定するか否定するかはともかく、団鬼六という作家はそういう女性をこよなく愛しているといえるのではないだろうか。

 団鬼六の、人間とは時に破滅を好み、滅びさることをよしとするものであるという、そういう姿勢はもっと評価されていい。そこには覚めた人間凝視がある。
 団鬼六こそ、「最後の文士」といっていい。
  
(2010/08/21 投稿)

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  今日紹介するのは
  荻原浩さんの
  「ユニバーサル広告社」シリーズの3作め、
  『花のさくら通り』です。
  そもそも荻原浩さんのこのシリーズを読んでみようと思ったのが
  昨秋テレビ放映されたドラマの原作ということで
  それならばと
  最初の『オロロ畑でつかまえて』から順に読んできて
  ようやくドラマ原作に
  たどりつけました。
  ところが、
  岡田惠和さんの脚本と
  あまりの違うので
  びっくりしました。
  ここまでちがっていいものなのか。
  ドラマを見た人は
  ぜひこの原作を読んでみて下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ガハハがクスリになってしまったが                   

 直木賞作家荻原浩さんの記念すべきデビュー作でかつ小説すばる新人賞を受賞したのが『オロロ畑でつかまえて』だ。1997年のことだ。
 その抱腹絶倒のユーモア小説に多くの読者が笑撃を受けたはずで、零細(というより潰れかけ)の広告制作会社ユニバーサル広告社を描いた第2作『なかよし小鳩組』も笑撃波劣らず、快調にシリーズ化していく。
 そして、その第3作めとして2012年に刊行されたのが本作である。

 第1作が過疎の村、第2作がヤクザの組、そして今回は寂れた商店街。
 寂れたといってもまだここは都内の某所のようで、無論新宿や池袋の賑わいはないにしろ、まったくシャッター通りにはなっていないようだ。
 そこに都落ちのように引っ越してきたのが、いつものユニバーサル広告社。
 石井社長をはじめ、主人公たる杉山や村崎、猪熊女史は健在で、彼らがその寂れた商店街をいかに再生させるかが物語となっている。
 ただ残念なことにその笑撃度は前2作よりも数段劣っている。
 ガハハという笑いが、クスリぐらいになったといえる。

 その理由は焦点(笑点ではなく)がぼけたせいではないだろうか。
 杉山たちユニバーサル広告社の面々というより、この商店街の和菓子屋の後継者が主人公なのか、あるいは街に鎮座する寺の跡取り青年の恋の話が核なのか、そのあたりがはっきりしないことで笑えなくなっているように感じた。
 せっかくユーモア小説の王道シリーズを歩きだしたのだから、ここは一直線に爆笑道を進んでもらいたかった。
  
(2018/02/02 投稿)

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  今日から2月
  まだまだ寒いですが
  立春までもう少し。
  まさに今が春隣

    叱られて目をつぶる猫春隣     久保田 万太郎

  厳しい冬だから
  余計に春が待ち遠しくなるもの。
  もうすぐですよ、春。
  先日は白根山が噴火して驚きましたが
  両親と草津温泉に遊んで
  白根山に行ったことがあります。
  もう随分前のことです。
  知っているところで
  災害が起こると
  心配の度数もあがります。
  今日は磯田道史さんの
  『天災から日本史を読みなおす』。
  天災は忘れた頃にやってきますから
  気をつけましょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  人間は現代を生きるために過去をみる                   

 人気の歴史学者磯田道史さんは、小学生の頃から歴史学者になりたかったそうだ。
 だから、若い頃より古文書を読んできたから、その範囲は広い。
 磯田先生の人気が高いのか、その切り口が新鮮ということと文章語り口が爽やかということだと思う。
 一躍その名を高めた『武士の家計簿』も経済がひっ迫していた時代にうってつけの一冊だったといえる。
 そして、この本、タイトルの通り「天災」をキーワードにして古文書を読み解き、これからの防災につなげようという目論見は、初出が2013年から2014年の朝日新聞、つまり2011年に起こった東日本大震災がきっかけとなっている。

 但し、磯田先生はそこから古文書を調べ始めたわけではない。
 この本にも書かれているが、磯田先生のお母さまが2歳の時、徳島県で津波に襲われた体験をしている。そのことが磯田先生のDNAにも受け継がれていて、その時の事績だけでなく、多くの災害の歴史を調べる動機となったようだ。
 つまり、「過去の「災い」の記録をひもといて、今を生きる人々の安全のために参考に供する」ということである。
 しかも、磯田先生の場合、その文章が難しくなく、誰にも(おそらくこのは小学生でも読むことは可能だろう)読めるようになっている。
 興味をもつことで、災害への備えができるということで、この本の存在意義は大きい。

 「人間は現代を生きるために過去をみる。」
 これは本書の「まえがき」にある磯田先生の一文だが、そう考えると、歴史は面白いし、歴史は人間に欠かせられない。
  
(2018/02/01 投稿)

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