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プレゼント 書評こぼれ話

  先日報じられた
  さくらももこさん逝去のニュースに
  びっくりした。
  53歳。
  自分よりも若い人の死去は
  やはり胸につきささる。
  あんなに楽しい漫画を私たちに届けてくれたのに
  どうして神様は
  こんなに若くしてあの世に連れていってしまうのだろう。
  さくらももこさんには
  漫画以外にもたくさんのエッセイ集があるが
  その中から
  表紙のフェルト生地でできたまる子ちゃんの装幀がかわいい、
  『まる子だった』を
  今日は紹介します。

  さくらももこさんの
  ご冥福をお祈りします。

  さくらももこさん、
  ありがとうございました。

 

sai.wingpen  まる子ちゃん、さようなら                   

 漫画家のさくらももこさんがこの15日に乳がんのため亡くなっていたことが報じられ、驚いてしまった。
 まだ53歳という若さだから、余計に悲しみは大きい。
 さくらさんは1965年(昭和40年)5月8日に静岡で生まれた。「日本で一番有名な三年生」となった「ちびまる子ちゃん」が雑誌「りぼん」で連載が始まったのが1986年、その後TVアニメ化されてその人気は不動のものに。
 その一方で1991年に刊行されたエッセイ「もものかんづめ」が大ベストセラーになって、さくらさんは「現代の清少納言」とまで呼ばれるエッセイストになっていく。

 追悼の思いで手にしたこの作品は1997年に刊行されたエッセイ集で、さくらさんの子供時代を描いたシリーズの2作めだ。(1作めは『あのころ』)
 不謹慎かもしれないが、17篇のエッセイの時々に笑いがこらえられなくなってしまった。
 9歳の頃のさくらさんは、本当に漫画の主人公まる子と同じだったんだ。
 「腹痛の恐怖」で語られる学校でのウンチがまんできなくなった騒動や漫画でおなじみのハマジと恋愛の噂になってしまった話など、こんな女の子がそばにいれば日々の暮らしは楽しいだろうと思ってしまう。
 しかも、この女の子は大好きだった山口百恵ちゃんのコンサートにもしっかり出かけているところからすると、行動力だってある。

 エッセイの中でさくらさんが書いていたが、「全力で走らずにはいられないあのわくわくエネルギーがなつかしい」し、そのエネルギーがあればこそ漫画「ちびまる子ちゃん」は私たちを夢中にさせたのだろう。
 さくらももこさん、お疲れさまでした。
 ありがとうございました。
  
(2018/08/31 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  最近
  新書の中では
  中公新書が頑張っているような気がします。
  もちろん、個人的な感想ですが
  話題の作品が多いと感じます。
  岩波新書は変わらず、
  講談社現代新書が今ひとつ、かな。
  「ちくまプリマー新書」は結構打率高そう。
  しかも、
  気分は高校野球のような感じだし。
  その「ちくまプリマー新書」が300冊めの刊行で
  そこに登場したのが
  今日紹介する
  吉田篤弘さんの『雲と鉛筆』。
  これからも
  いい作品を出して下さいね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「ちくまプリマー新書」はなかなかいいぞ。                   

 多くの書店は文庫本コーナー、新書コーナーといったようにきちんと分かれている。
 文庫もそうだが、新書もさまざまなレーベルが並んでいる。一体どれだけの数があるのだろう。
 有名なところでは岩波新書、中公新書などがあるし、最近では文春新書、ちくま新書といったように各出版社には必ず新書レーベルがあるのではないだろうか。
 若い読者向けでは岩波ジュニア新書が知られているが、筑摩書房が出している「ちくまプリマー新書」も2005年1月創刊ながら、いい作品が多い。
 プリマー(primer)というのは「初歩読本、入門書」という意味らしく、確かに若い人たちがこの新書をきっかけにして、新しい世界で旅立つとすれば、その意義は大きい。
 そのために、読みやすいように、一冊の分量も100枚から150枚程度と負担がかからないようになっている。

 もう一つの特長は、装幀が一冊ごとに違うことだ。
 しかも、その装幀は、クラフト・エヴィング商會が一人(といっても、これはこの本の作者である吉田篤弘さんと吉田浩美さんの二人組によるユニット名)担当している。
 それはこの新書を刊行するに際して当時の筑摩書房の編集長だった松田哲夫さんと吉田さんたちが子どもたちに「リボンをかけた小箱をひとつひとつプレゼントするイメージ」から生まれたアイデアだといいます。(この本の「あとがき」に書かれています)

 それから、13年。
 とうとう300冊めの新書が、この本です。
 これもこの新書の特長ですが、この新書では小説も扱っていて、これは吉田篤弘さんの、ちょっと考えさせられる小説です。
  
(2018/08/30 投稿)

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  先日関東地方は
  突然の雷と豪雨で
  びっくりしました。
  稲光とか稲妻というのは
  「稲」という字があてられているように
  秋の季語
  稲が雷光と交わって稔るという言い伝えから
  生まれた言葉が
  稲妻。

    稲妻や闇の方行く五位の声      松尾 芭蕉

  今日は
  この俳句を詠んだ
  松尾芭蕉の伝記を紹介します。
  著者は俳人の坪内稔典さん。
  『松尾芭蕉 - 伝記を読もう』です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  知ってそうで知らない芭蕉                   

 「古池や蛙飛び込む水の音」「閑さや岩にしみ入る蝉の声」、これらの俳句の作者が松尾芭蕉だということはほとんどの人が知っていると思います。
 けれど、松尾芭蕉がどのような人であったかを知っている人はそう多くはないでしょう。
 そもそも芭蕉はいつの時代の人なのか。
 江戸時代と答えられても江戸時代は300年も続いたので、もう少し絞りたいところ。
 芭蕉は1644年に伊賀上野に生まれたそうです。江戸時代が始まって41年後のこと。
 そんなところから、この本は始まります。

 何といってもこの児童書は「伝記を読もう」とあるとおり、伝記なので、芭蕉の俳句だけでなく、その生涯が順に語られています。
 書いたのは、「三月の甘納豆のうふふふふ」といったユニークな俳句を詠むことで知られる、俳人の坪内稔典さん。

 芭蕉といえば『奥の細道』が有名ですが、その旅の行程もこの本には記されています。
 では、芭蕉はその旅をいくつの時に行ったかというと、46歳の時。
 芭蕉は51歳で亡くなりますから、46歳といえばもう晩年でしょうか。
 「奥の細道行脚之図」という絵が残されています(この図版もこの本に載っています)が、それを見ても現代の40歳後半よりは老けてみえます。
 それは仕方がないでしょうが、あれだけの旅をしたのですから、まだまだ健脚だったのでしょう。

 そういった芭蕉の人生を、間あいだに彼の代表句をはさみながら、とてもわかりやすい伝記になっています。
 ちなみに「古池や」の俳句は、芭蕉43歳の時の作品です。
  
(2018/08/29 投稿)

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  本が読まれなくなったといわれる一方で
  本屋さんの店頭には
  本屋さんの本とか雑誌、
  あるいは図書館の紹介本なんかが
  並んでいたりする。
  そういう本を見かけると
  なんだ、
  本好きの人はやっぱりいるじゃないかと
  安心したりする。
  でも、
  それらの本や雑誌がどれだけ売れているかは
  知らないが。
  今日紹介するのも
  そんな本。
  本の雑誌編集部編の『絶景本棚』。
  こんな素敵な本を
  どれだけの人が読むのかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  絶景かな、絶景かな                   

 本棚にどんな本が並んでいるかでその人の性格がわかると、かつてはよく言ったものだ。
 電子書籍が流通し、本棚をのぞくというのも少なくなってきたかもしれないし、そもそも本棚に本が並ぶほどの量もないともいえる。
 だから、人の本棚を見るということ自体、興味を持たれないとしたら、こういうまさに人の本棚の写真だけで出来ているような本があったとしても、読む(あるいは開く)のは本好きの、今では絶滅品種的な一部の人だけになっているかもしれない。
 逆の見方をすれば、この本のまさに「絶景」といえる本棚にただただ呆然とする本好きと呼ばれる人も確実にいるわけで、その人たちにとってこれらの本棚は垂涎の的ともいえる。

 壁一面にずらりと並んだ本棚、天井までとどく本棚、そしてその本棚をぎっしり埋める本の数々。
 これはもう個人の本棚というより、図書館、古書店、本屋さんに匹敵する。
 紹介されているのは、作家、書評家、学者、編集者、エッセイスト、装丁家、研究者、実にさまざまな職種の人たち34人の本棚と、もちろんそこに並ぶ本・本・本、ひたすら本。
 こういう本の光景はたとえば神田神保町の古書店で見かける。まさにあのイメージである。(それ以上かも)

 「興味を持ったものをひたすら並べているだけ」という嶋浩一郎氏の本棚に寄せられた短文に「本棚は持ち主の頭の中をそっくり映しているのかもしれない」とある。
 なんだ、結局昔から言われているのは、今でも有効だということか。
  
(2018/08/28 投稿)

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 まだまだ残暑が厳しい。
 とはいえ、もう8月最後の週になった。
 今年は曜日の関係で
 秋の新学期は9月3日の月曜からかと思ったら
 このあたりの小中学校は
 明日あたりから始まるそうだ。

    黒板のつくづく黒き休暇明      片山 由美子

 「休暇明」が秋の季語
 子どもたちもまだ暑いのに大変だ。
 一方で親はホッとしているかもしれない。

 畑ではいよいよ秋野菜の植え付けが
 始まりました。
 8月25日の土曜、
 この日も猛暑でしたが
 苗が入ってきたので
 植え付けです。
 この日、植え付けたのは
 ミニハクサイキャベツブロッコリー

  20180825_091742_convert_20180825162203.jpg

 写真でいうと
 右から四つ植えている
 これがミニハクサイ

  20180825_091750_convert_20180825162615.jpg

 植えたばかりで
 しんなりしているので
 植えたばかりはこんな風になるとわかっていても
 やはり心配になります。
 まわりの銀のカバーは
 アブラムシ対策。
 そして、できた畝には
 しっかり防虫ネットをはります。

  20180825_095627_convert_20180825162758.jpg

 アブラナ科の野菜は
 青虫の大好物なので
 気をつけないといけません。

 秋ナスのために更新剪定した
 水ナスですが
 まだまだ暑いせいもあって
 生育はもうひとつ。
 それでも、新しい実がつき始めています。

  20180825_083201_convert_20180825162042.jpg

 畑の楽しみは
 野菜の成長もありますが
 人との交流もそのひとつ。
 私のように定年を迎えたシニア層にとって
 新しいコミュニティの場は必要で
 菜園は
 私にはうれしいそういう場所になっています。
 できた野菜を
 もらったり
 あげたり。
 今年の夏は
 私の畑で採れたモロヘイヤ
 たくさんの人に差し上げることができた。
 まさに
 モロヘイヤのねばねば効果? ですかね。

  20180825_095640_convert_20180825163311.jpg

 写真は切っても切っても
 どんどん新しい葉が出る
 モロヘイヤです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  天気予報を見ていると
  さすがに今年は
  北海道だからといって
  決して涼しくはないようです。
  何年かすれば
  北海道が今の本州のような気候になるのかも。
  ということは
  関東が沖縄化? 
  今年の暑さだけでいえば
  そんなことも考えてしまいそう。
  今日は
  北海道の絵本、ということでもありませんが
  あべ弘士さんの『クマと少年』を
  紹介します。
  書評にも書きましたが
  今年は北海道と命名されて150年だそうです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  今年は「北海道」と命名されて150年                   

 今年(2018年)、北海道と命名されて150年にあたります。
 もともと「蝦夷地」と呼ばれていたそうですが、明治という新しい時代を迎えるに際して新しい名前を付けることになります。
 そこで探検家松浦武四郎が「北加伊道」を含むいくつかの案を出し、そこから「北海道」と付けられることになったそうです。
 名前のもつ雄大さは北の大地にぴったり合っています。
 松浦は現在の三重県に生まれていますが、探検家ということで北海道まで足を伸ばして、実際自分の感覚として、この名前がひらめいたのでしょうか。

 北海道には自然だけでなく、アイヌの人々の暮らしと歴史が息づいていました。
 先住民であるアイヌの人々からすると、虐げられた歴史もあるでしょうが、共存していくためには先住民への尊敬が必要でしょう。
 それはさまざまな場面で芽ぶき、大きな木となって、今に至っているのではないかと思います。
 北海道の旭川で生まれ、地元の旭山動物園で働き、そして動物の生態をきちんと描く絵本作家となったあべ弘士さんのこの絵本も、そんな成果のひとつです。

 アイヌの伝説は小さなヒグマの子と少年の、友情というよりは、兄弟愛のような世界を描いています。
 本当であればイオマンテの夜に神に捧げられるはずであった小熊がひょんなことで森に帰ってしまう。やがて成長した少年はヒグマを神に返すべき、山深く入ってこのクマをさがすことになる。
 さだめられて運命のもと、大きく成長した少年は愛するヒグマに矢を放つ。
 自然とそこに生きた人々と、そして今の私たち。
 あべさんのこの絵本は北海道の大地のように、深い。
  
(2018/08/26 投稿)

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 さいたま市の北浦和駅のそば、
 北浦和公園内にある
 埼玉県立近代美術館
 建築家黒川紀章さんの設計による建物で
 1982年に出来ました。
 80年代黒川紀章さんは
 ここの美術館を皮切りに
 名古屋、広島と
 立て続けに美術館を設計しています。
 つい最近、
 日本経済新聞の夕刊(8月22日)に
 この美術館の記事が出ていて
 「公園から美術館へと人を自然に誘」うと
 書かれていました。

  20180824_113524_convert_20180824145002.jpg

 そんな素敵な美術館が
 わが家から歩いて15分余りのところにあるのですから
 なんとも仕合せな気分になります。

 しかも
 この夏この埼玉県立近代美術館
 漫画家「浦沢直樹展」が開催されているのですから
 行くしかありません。

  20180824_135627_convert_20180824151529.jpg

 このブログで掲載した時には
 終わっていたというのも残念なので
 急いで行ってきました。
 あまりに近いと
 つい見逃してしまうことってありますものね。

 浦沢直樹さんについて書きます。
 なんといっても
 代表作は「YAWARA!」でしょうか。
 ちょうど田村亮子さんが女子柔道でがんばっている頃
 その女子柔道での活躍を描いた漫画です。
 主人公は猪熊柔ちゃんと
 彼女のおじいちゃん猪熊滋悟郎。
 今回の展覧会では
 入り口でこの二人のパネルも
 迎えてくれます。

  20180824_114022_convert_20180824145140.jpg    20180824_114003_convert_20180824145101.jpg

  20180824_114111_convert_20180824145227.jpg

 会場では浦沢直樹さんの作品の原画だけでなく
 創作メモや原稿の下書きともいえる「ネーム」もあったりして
 こうして作品に仕上がっていくのかと
 ちょっと感動します。
 さらに、会場のあちこちで
 写真スポットがあって
 そこで展示されているものは撮影がOKで
 あちらこちらでパチリパチリ。
 こちらは「YAWARA!」のポスター。

  20180824_114607_convert_20180824145825.jpg

 猪熊柔ちゃんって、かわいい。
 こちらはこれも大ットした「20世紀少年」のともだちマスク。

  20180824_115543_convert_20180824145642.jpg

 今回の展覧会は
 展示の量も多く
 まるで
 自分が漫画の世界に入り込んだような気になります。

  20180824_115637_convert_20180824150128.jpg

 驚いたというか
 ちょっと感動したのは
 小学生の頃の漫画ノートや
 中学生の頃の作品が展示されていて
 浦沢直樹さんは漫画家になるために
 本当に「漫画ばかり描いて」いたんだな。

  20180824_115829_convert_20180824151818.jpg

 それと
 自身手塚治虫さんへのリスペクトで描いた「PLUTO」を描いているように
 デビュー前の作品には
 手塚治虫さんの影響をとても強く受けていることが
 わかります。
 しかも、とてもうまい。

 夢を叶える人はきっと
 その夢の実現に向かって
 ひたすらなんだと実感できる
 展覧会でした。
 この展覧会は9月2日まで、
 入場料は1100円
 せっかくなので
 黒川紀章さん設計の美術館も
 堪能してはいかが。

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プレゼント 書評こぼれ話

  2年前に沖縄に行ったことがあります。
  その時、那覇の国際通りのそばの
  公設市場で
  今日紹介する
  『市場のことば、本の声』を書いた
  宇田智子さんが経営する
  古本屋ウララをさがしました。
  ようやく見つけた時は
  閉店時間になっていて
  しかもその時は宇田智子さんではなく
  アルバイトの女性のようでした。
  残念。
  それでも、
  宇田智子さんの世界を少しでも
  共有できたのが
  うれしかった。
  また行きたいものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  市場のことばにふれる、本の声をきく                   

  心を激しく揺さぶるような恋愛小説でもなく、ハラハラドキドキのミステリーでもない。涙があふれる人情話でもないし、身の毛もよだつミステリーでもない。
 それでいてエッセイが読みたくなるのは、沖縄那覇の国際通りのそば、第一牧志公設市場の向かいにある「小さな古本屋」ウララを営むこの本の著者宇田智子さんの「言葉のはぎれ」という小さなエッセイの中に、答えがあった。
 「さびしいときもお金のないときも、本を開けばなにかを受け取れる」。

 宇田さんは沖縄の人ではない。
 神奈川の出身で、大手書店ジュンク堂に入社。池袋の本店で働いていた。その後、那覇店の開店に伴い、異動。まさにそれをきっかけにして、沖縄に魅了されていく。
 ジュンク堂を退社して、そのまま古本屋店主として沖縄で生活をすることになる。
 ちくまプリマー新書で『本屋になりたい - この島の本を売る』という、自身の思いを綴った作品が出ている。
 今回のこのエッセイ集はそういう沖縄での生活、特に彼女の古本屋がある一角、市場での人との触れあい、そこから見えること、感じた事柄が、一つひとつは短い文章であるが、やわらかなタッチで綴られている。

 沖縄では「市場」のことを「まちぐゎー」と呼ぶらしい。「ぐゎー」は「小さい」を表わして、親しみをこめてつけられたようだ。
 もしかしたら、「言葉のはぎれ」に書かれた「さびしいときもお金のないときも」に続く言葉は「市場に行けばなにかを受け取れる」と同意語だったかもしれない。
 宇田さんにとって、市場は本なのだろう。
  
(2018/08/24 投稿)

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  今日は
  二十四節気のひとつ、処暑
  この頃
  暑さが収まるという意味。

    水平にながれて海へ処暑の雲     柿沼 茂

  まさに「秋めく」感じです。
  今日紹介する短編小説は
  松本清張の「菊枕」です。
  松本清張はたくさんの長編小説も書いていますが
  短編小説にもいいものが多く、
  この「菊枕」も
  いいですね。
  長ければいいという訳ではない。
  そんな見本のような
  短編小説です。
  この短編はいろいろな文庫に収録されていますから
  さがしてみるのも
  いいですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  短編ながら密度の高い作品                   

 文庫本にしてわずか28ページの短編ながら、57歳で亡くなった女性俳人ぬいの人生を見事に描き切った名作。
 松本清張が『或る「小倉日記」伝』で第28回芥川賞を受賞したのが1953年で、同じような系統の作品ではあるが、その年の「文藝春秋」に発表されて、その後は芥川受賞作とともに清張の数多い短編小説群の中において初期短編のひとつとして読まれている。

 そして、この作品は一種のモデル小説でもある。
 小説のなかで「ぬい」と呼ばれた主人公は、今なお人気の高い俳人杉田久女がモデルといわれている。
 また「ぬい」が心底尊敬し、やがて見放されることで狂気におちていくもととなった俳匠宮萩は高浜虚子が原型である。
 杉田久女といえば「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」という有名な句があるが、しがない高校教師の妻という立場に飽き足らず、俳壇にうって出ようとした自身の心の葛藤を詠んだこの俳句の方が、この短編には相応しいかもしれない。
 それが「足袋つぐやノラともならず教師妻」だ。

 おそらく久女の人生ほど明治から昭和初期にかけての女性の立場として逼塞していた時代において波乱の満ちたものはなかったであろう。
 そこから考えれば、長編として創作もできたであろうが、清張は一切の枝葉をそぎ落としてわずか30ページ足らずで彼女の人生を描き切った。
 その手腕にただただ敬服する。

 ちなみに「菊枕」は秋の季語で、杉田久女に「ちなみぬふ陶淵明の菊枕」という句がある。
  
(2018/08/23 投稿)

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 今日は昨日のつづき。
 昨日1970年代の外国映画ベスト・テンが特集された
 映画雑誌「キネマ旬報」7月下旬特別号
 紹介しました。
 今日は日本映画のベスト・テンが載っている
 「キネマ旬報」8月上旬特別号です。

  

 さっそく
 1970年代日本映画ベスト・テン
 紹介しましょう。
 1位は「太陽を盗んだ男」(1979年)です。
 といっても
 知らない人も多いかも。
 監督が長谷川和彦さん、主演が沢田研二さん。
 「キネマ旬報」は割と長谷川和彦さんが好みのようで
 ほとんど映画を撮らない監督ですが
 「青春の殺人者」(1976年)も11位に選ばれています。
 この「青春の殺人者」はこの年のベストワンの作品で
 水谷豊さん原田美枝子さんのフレッシュなコンビに
 話題が集中しました。
 この年から
 ベスト・テンが発表される決算号に
 主演男優賞と主演女優賞は表紙を飾るようになったそうです。
 2位が「仁義なき戦い」(1973年)、
 3位が「新幹線大爆破」(1975年)と
 東映作品が続きます。

 70年代といえば
 日活とか大映とかがダメになって
 日活ロマンポルノが出て
 日本映画は新しい芽が台頭し始めます。
 あの「八月の濡れた砂」(1971年)が12位に入っていて
 70年代の気分が高まります。
 そして、日活ロマンポルノから名作を発表し続けた
 神代辰巳監督の「青春の蹉跌」(1974年)は9位。
 この映画、何回ぐらい観たかな。
 日活ロマンポルノといえば
 田中登監督の「実録阿部定」(1975年)は
 46位。
 できればもう一度観たい映画です。

 大作でいうと
 先頃亡くなった橋本忍さん脚本の「砂の器」が8位。
 市川崑監督の「犬神家の一族」(1976年)が7位。
 そういえば
 山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズはどうかというと
 「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」が32位にありました。

 私の好きな作品を探すと
 岸恵子さんと萩原健一さんが
 悲しい恋を演じてくれた
 「約束」が25位と健闘しています。
 こちらも先頃亡くなった
 加藤剛さんが主演した
 「忍ぶ川」は86位。
 このあたりの順位は同点が多く
 次が114位となっています。
 もう好みの問題です。

 ところで
 この時代にとってもお客さんが入った作品は
 何だと思います?
 それが「八甲田山」(1977年)です。
 神は我を見放したか、って流行語にもなりましたが
 決してそんなことありませんよ、
 何しろ配給収入25億円ですもの。

 この時代の映画をレンタルしようと思って
 なかなかできません。
 特に日活ロマンポルノは難しい。
 せっかくいい作品も多いのですから
 容易に観られるようになって欲しいものです。

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 本屋さんに行くなら、
 いつもの街の、いつもの本屋さんがいい。
 どこにどんなジャンルの本があって、
 新刊はどこ、雑誌はあそこ、
 徘徊する順路まで決まっている。
 もしかしたら、犬のお散歩コースみたいに、
 でも、決して片足あげてマーキングしているわけではない。

 それなので
 しばらく行かないと思わず見逃してしまうところだった
 本や雑誌があったりするので
 本屋さんの徘徊も
 手抜かりはいけない。
 そんなことで
 危うく見逃しそうになった雑誌があった。
 映画雑誌「キネマ旬報」の7月下旬特別号8月上旬特別号
 私がいつも行く本屋さんで
 浦和の駅前のパルコにある紀伊國屋書店さんですが、
 ありがたいことに
 ちゃんとまだ販売されていて
 きっと店員さんはこの雑誌の価値がわかってるのだと思います。

 映画雑誌「キネマ旬報」は1919年の創刊で
 今年で100年を迎えるにあたって、
 その特別企画として
 年代別のベスト・テンを発表することになって
 この2つの号で
 1970年代の「外国映画」と「日本映画」のベスト・テンが
 発表されています。
 1970年といえば
 私が15歳から25歳で頃で
 ちょうど映画に目覚め
 映画とともに成長した時期にあたります。

 今日はまず「外国映画 ベスト・テン」が発表されている
 「キネマ旬報」7月下旬特別号を紹介します。

  

 この中に
 中村のんさん、宇田川幸洋さん、渡辺祥子さんの
 「70年代外国映画を語る」という座談会があって、
 1956年生まれの中村のんさんが
 「自分で映画館に行くようになったのが70年代」と
 まったく私と同時代的意見を言ってくれているのが
 うれしかった。
 ベテラン映画評論家の渡辺祥子さんは
 「70年代が映画史の中でも転換点であった」と語っています。
 映画雑誌「キネマ旬報」も
 この70年代は転換点であったと思います。
 「表紙で振り返る1970年代外国映画」を見ても
 それがよくわかります。

 さて、それでは70年代の外国映画のベスト・ワン
 何だったと思います?
 当たりそうで
 当たらないだろうな。
 選んだのは「キネマ旬報」で執筆している評論家やライターを中心にした
 127名。
 1位は、「タクシードライバー」(1976年)でした。
 私もこの映画を観ましたが
 そんなに印象に残っていません。
 2位が「ダーティハリー」(1972年)、
 3位が「スター・ウォーズ」(1978年)。
 これだけ並べても
 70年代の揺れ幅の大きさに
 圧倒されます。

 ちなみに
 私の好きな映画「おもいでの夏」は100位。
 もうこのあたりの順位になると
 同点の順位になります。
 100位の次が136位なのですから。
 「ラスト・ショー」が37位、
 「アメリカン・グラフティー」は堂々の12位。
 まあ、ベスト・テンと自分の好みが一致することなんて
 あまりないので
 気にしないこと。
 それよりも
 あの時代、
 私とともにあった映画たちに
 ありがとう、といいたい。

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 今年の夏は暑くて
 いつまで辛抱しないといけないかと
 うんざりしていましたが
 昨日までの土日は
 驚くくらいの涼しさで
 やっぱり秋は来るんだと
 当たり前のことながら
 感心したりしています。
 「新涼」という季語は
 秋になって実際に感じる涼しさをいいます。

     新涼やはらりと取れし本の帯      長谷川 櫂

 空も秋の感じで高さを感じます。

  20180819_075456_convert_20180819112754.jpg

 これだと畑仕事も楽ですね。
 先週夏野菜を伐採したところに
 秋冬野菜用の
 新しい畝をこしらえます。
 私はこの畝づくりの作業が好きで
 4年めの今でも
 写真のように
 目印のひもを張って
 畝をきちんと計測します。

  20180818_112136_convert_20180819112205.jpg

 そして、
 ひとつは全面黒マルチを張ります。

  20180818_120220_convert_20180819113609.jpg

 この畝には
 ミニハクサイキャベツ
 それにブロッコリーを植えます。
 ブロッコリーは初めての栽培です。

 もう一カ所、
 こちらは穴あきマルチを使います。

  20180819_093434_convert_20180819113113.jpg

 写真のように
 ペットボトルでおもしにしました。
 穴があいていますから
 風なんかで飛んでいきそうになりますから。

 作業が終わって
 目をあげると
 畑の上にも
 秋の空が広がっていました。

  20180819_084014_convert_20180819112853.jpg
  
 いよいよ来週は
 苗の植え付けです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  工藤直子さん文、
  和田誠さん絵の
  『密林一きれいなひょうの話』という絵本を
  紹介します。
  実はこの絵本のタイトルを
  「密林」だとばかり思っていて、
  「一」が横棒で
  「きれいなひょうの話」がサブタイトルだとばかり。
  読んでいくと
  その間違いに気が付いて
  一人赤面してしまいました。
  ぜひ、続けて読んで下さい。
  「みつりんいち」ですから。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんなひょうがいる動物園があったら                   

 この絵本は元々1975年に銀河社というところから刊行されていたようです。
 それを今回(2018年)瑞雲舎が復刊しました。
 おはなしを書いたのが詩人で童話作家の工藤直子さん、絵を描いたのは人気イラストレーターの和田誠さん。
 そんなビッグネームの二人の作品でも埋もれてしまうこともあるのですね。
 しかも、それがつまらない話ならともかく、とっても素敵なおはなしなのに、です。
 なので、今回この絵本を復刊してくれた瑞雲舎には感謝です。

 このおはなしがどれだけ素敵か、これからお話しましょう。
 あるとき、ひょうのからだからきれいな「はんてん」が消えてしまいます。
 残ったのは3まいの「はんてん」。のこりの「はんてん」はどうもひょうのからだから家出をしてしまったようです。
 3まいの「はんてん」を持って、ひょうはさがしにいきます。
 途中でワニとかカエルとかまんとひひに会って、「はんてん」のゆくえを尋ねますが、逆に「はんてん」を気にいられて、とうとう一枚の「はんてん」もなくなってしまいます。
 でも、「はんてん」がちょうちょになりたくて家出したことをつきとめます。
 それでは、もしかしたらちょうちょが「はんてん」になりたいかもしれないと、ちょうちょに「はんてん」になってくれるようにたのみます。
 そして、どうでしょう。
 この絵本のタイトルのできあがりです。
 この時の和田誠さんの絵の、素敵なこと。
 こんなひょうが動物園にいたら、いいでしょうね。

 え? どんなひょうかって。
 それは絵本を開いてのお楽しみ。
  
(2018/08/19 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今本屋さんに行くと
  池井戸潤さんの新作『下町ロケット ゴースト』が
  どーんと平積みされています。
  さらに同シリーズの2作めにあたる
  『下町ロケット ガウディ計画』も文庫化されて
  こちらもどーんと積まれています。
  池井戸潤さんの人気は
  衰え知らずといえますね。
  せっかくなので
  池井戸潤さんが
  第145回直木賞を受賞した
  『下町ロケット』から順に読んでいこうと
  思っています。
  読む前から
  楽しみです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちに勇気と感動をくれた                   

 第145回直木賞受賞作。(2011年)
 この年の3月東日本大震災が起こって日本全体が打ちひしがれていた状況の中で、池井戸潤さんの代表作ともいえる、東京の下町の町工場の社長である佃航平とその工場で働く人々の姿を描いた長編小説が直木賞を受賞した意味は大きい。
 振り返ればあの年、女子サッカーのなでしこジャパンが女子ワールドカップで優勝をし、どれだけ私たちに勇気と感動を与えてくれたか。同じ夏、池井戸の作品が直木賞を受賞したことで、同じような感動を覚えた人も多かったにちがいない。
 選考委員の一人伊集院静氏は「さまざまな事情を抱えた今夏の日本に活力を与える小説」と選評で記したし、桐野夏生委員は「震災後の日本の姿を、是非、池井戸さんに書いて頂きたいと願う」とした。

 この作品をきっかけにして、池井戸さんの作品はデビュー作から見直されていくことになる。あるいは、「半沢直樹」シリーズのように映像化と相まって、多くの読者を獲得していく。
 受賞作となったこの作品ものちにテレビドラマ化され、ドラマのインパクトが小説の展開とリンクして、小説単独では味わえない面白さを、受賞から7年も経っても、味わうことができるのはうれしい。
 ただ林真理子委員が「登場人物のすべてがステレオタイプなのが気にかかった」と選評で書いているように、もしかしたら池井戸さんの作品がドラマ化されて面白いのは、そういう点があるともいえる。

 この時の選考会で「わたしはここまで読みものに堕したものは採らない」と否定的意見を述べたのは渡辺淳一委員だが、私は決してこの作品を「堕したもの」とは思わない。
 「読みもの」であってもいいものは、いいのだから。
  
(2018/08/18 投稿)

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 今や住みやすい街で人気のさいたま市には
 四つの柱があります。
 まずひとつが岩槻の「人形」、
 続いて「鉄道」、
 そして「盆栽」、
 最後は「漫画」。
 さいたま市と漫画とどういう関係かと首をかしげるかもしれませんが
 「日本の近代漫画の祖」ともいわれる北沢楽天が生まれたのが
 現在のさいたま市で
 なので、さいたま市の人はもっと漫画に親しんでいい。
 北沢楽天の旧家にあるのが
 「さいたま市立漫画会館」で
 ここには時々楽しませてもらっています。

 夏休みのこの期間(~8月26日)
 「おかべりか展 ~コドモだってイロイロあります」が
 開催されています。

  20180810_144557_convert_20180812171946.jpg

 しかも、入場無料というのが
 うれしい。
 おかべりかさんは浦和で生まれた漫画家で
 『コドモの定番』や『よい子への道』、
 あるいは『おばけやさん』シリーズなど
 漫画ではあるけれど
 子ども向けの作品を書いてきました。
 昨年の7月に残念ながら急逝され、
 今回の展覧会は
 そんなおかべりかさんの代表作数点の作品や
 そのアイデアスケッチなどが展示されています。

  20180810_144447_convert_20180812172143.jpg

 ちなみに
 おかべりかさんのお父さんは
 漫画「あっちゃん」などで人気を博した
 岡部冬彦さん。
 蛙の子はやっぱり蛙なんでしょうね。
 大きな展覧会ではありませんが
 さいたま市の魅力を知るにはいい機会です。

 実はこの「さいたま市立漫画会館」から
 歩いて大宮駅に向かう途中に
 埼玉県立歴史と民俗の博物館があって
 ここにも立ち寄りました。

  20180810_111501_convert_20180812172436.jpg

 現在こちらでは
 「古文書 大公開!」と題した企画展を
 開催中。(~9月2日)

  20180810_144532_convert_20180812172023.jpg

 埼玉に住んで結構なりますが
 この博物館には入ってことがなかったので
 おじゃましました。

 この企画展、
 夏休みの子どもたちの自由研究にもってこいというか
 子どもたちにもわかりやすい説明がついています。
 もちろん
 おとなの私がみても
 古文書が読めるわけではありませんが
 時代の気分は味わえるかも。
 ちなみに下の花押は
 誰のものかわかりますか。

  20180810_144418_convert_20180812172108.jpg

 花押というのは
 文書の最後などに書く署名の一種で
 これは徳川家康のもの。
 歴史の時間に習った人物が出て来るとうれしくなります。

 こちらの展覧会は
 入場料400円。
 お値段以上に古文書が堪能できます。
 夏休みの宿題に悩んでいる人は
 チャレンジしてみては。

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プレゼント 書評こぼれ話

  俳句の世界では
  もう秋ですが
  まだまだ暑いので
  急いで夏の季語をひとつ。
  それが「緑陰」。
  緑の茂った木陰で涼しさを感じさせると
  歳時記にあるとおり。
  こんな木陰で
  ゆっくりと読書するのもいいですね。

    緑陰や還暦過ぎて山本周五郎     夏の雨

  字余りの俳句になりましたが
  こんな気分の本を
  今日は紹介します。
  沢木耕太郎さん編による
  『山本周五郎名品館Ⅱ 裏の木戸はあいている』です。

  じゃあ、読もう。  

  

sai.wingpen  この巻もまたいい短編ぞろい                   

 ノンフィクション作家沢木耕太郎さんによる山本周五郎の短編選集の、文春文庫オリジナルの2巻め。(全部で4巻になります)
 この巻の巻末に収められた沢木さんの「解説エッセイ」で、沢木さんは自身と山本周五郎の縁について書いていて、それは沢木さんが30代になったばかりの頃、新潮社から出た全集の山本周五郎の巻に「解説」を書いたという。
 当時沢木さんは新進気鋭の書き手ではあったが、解説に沢木さんをあてた選抜はかなり勇気がいったのではないだろうか、それにしても当時の新潮社の編集者は先見の明があったといえる。

 それからたくさんの水が橋の下を流れ、沢木さんはこうして山本の幾多の短編小説から名品といわれる作品を選んでくれているのだから、読者にとってありがたいかぎりだ。
 この2巻めでは、掲載順に「ちいさこべ」「法師川八景」「よじょう」「榎物語」「裏の木戸はあいている」「こんち午の日」「橋の下」「若き日の摂津守」の9篇の短編が収められている。
 よく知られた作品としては「ちいさこべ」や「よじょう」、表題となった「裏の木戸はあいている」があるが、沢木さんはこれらの9つの短編が「意地を貫いた」作品群として括られるのではないかとまとめたようだ。
 もちろん、男女の愛の機微として「法師川八景」や「榎物語」などは読むことができるし、「よじょう」はよく言われているように作品の完成度がとても高い。

 私はこの巻の中では「法師川八景」が好きだ。突然の男の死で婚家にも入れず、幼児を抱え生きていくことを決意した女、そして彼女を密かに支えるかつての婚約者。
 仕合せの予感を残して作品が終わるところがいい。
  
(2018/08/16 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は終戦記念日

    いつまでもいつも八月十五日     綾部 仁喜

  私は昭和30年生まれですから
  終戦からわずか10年めで
  生まれたことになります。
  まだあちこちに戦争の傷跡がたくさんありました。
  傷痍軍人の人たちの姿も
  小さい頃よく見かけたものです。
  きっと広島や長崎では
  もっと記憶が鮮明だったのではないでしょうか。
  それでも
  戦後73年も経って
  多くの人の記憶が薄れていく。
  それを掘り起こすのも
  本の役目かもしれません。
  今日は
  石井光太さんの『原爆 広島を復興させた人びと』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  記憶にとどめることの大切さを学ぶ                   

 「復興」といっても、7年前の東日本大震災でもそうだが、簡単なことではない。
 岡山や広島、愛媛に甚大な被害が出た2018年夏の大水害も「復興」はまだまだこれからだろう。
 「復興」がたやすくなされないのは、指導者の問題もあるだろうし、予算との関係もあるだろう。あるいは新しい計画の策定も関係している。
 何よりも人の記憶が薄れることが「復興」の妨げになっているような気がする。

 原爆が投下された広島は「今後七十五年間は草木も生えない」と言われたそうだ。
 しかし、もちろん時間はかかったが、広島は見事に「復興」したといえるのではないか。
 その「復興」にかかわりながら、ほとんど歴史の中に生まれてしまった人びともいて、ノンフィクション作家の石井光太さんは時間をかけてそれらの人びとに光をあてていったのが、この作品である。

 「広島を復興させた人びと」として石井さんが取り上げたのは、「原爆資料館の生みの親」ともいえる長岡省吾、「原爆市長」と呼ばれこの時期の広島の舵取りでもあった浜井信三、平和記念公園など広島の新しい街の核の設計に携わった建築家の丹下健三、原爆ドームの保存に尽力をした被爆者の一人高橋昭博。
 もちろん「復興」は四人でできるわけではない。おそらく数多くの無名の人たちもまた「復興」に携わったはずだ。
 それでも記憶しておかなければならない人たちがいて、石井さんはその人たちを作品の形で残したといえる。
 中でも長岡に関していえば、彼の家族内でもさまざまな行き違いが障害となって歴史の片隅に追いやられていて、彼をこうして作品に残しただけでも、この本は価値あるものになったといえる。
  
(2018/08/15 投稿)

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 お盆休みに読む雑誌とすれば
 「文藝春秋」などぴったりだろう。
 あの分厚い中に
 政治あり経済あり文化あり
 雑誌界の幕の内弁当なのですから。
 お昼寝の枕にするには
 少し低すぎますが。

 その「文藝春秋」9月号(文藝春秋・980円)は
 なんといっても
 第159回芥川賞受賞作全文掲載号ですから
 これを楽しみにしている、
 つまり私ですが、
 みたいな人も多いと思います。

  

 今回の受賞作は
 高橋弘希さんの『送り火』。
 ただ受賞作より
 盗用かいなかで問題となった作品の方に
 視線がいってしまったのは
 残念ですが。
 今回の芥川賞選評では
 各委員がこの問題に触れています。
 また、選考委員の一人島田雅彦さんが
 「フィクションと盗用、選考委員はこう考える」という
 特別寄稿を寄せています。

 その中で
 島田雅彦委員は冒頭、
 問題となった北条裕子さんの『美しい顔』が
 「盗用」ではないということで
 全委員が一致したとしています。
 私はこの作品を読んでいないので何ともいえませんが
 この作品を候補作に選んだ時点で
 問題があったような気がします。
 「盗用」ではないと選考委員はしたとしても
 この作品を読んで
 「あれ? これって盗用?」と感じた人がいたことは事実で
 だから問題になった訳で、
 引用・参照のマナーが欠けていたではすまない問題のように
 思います。
 問題となった時点で
 候補作を取り消すなどのことも
 検討すべきだったのではないでしょうか。
 また、この作品は東日本大震災のことを描きながら
 著者が「被災地に行っていない」ということも
 問題になりました。
 そのことにふれ、
 島田雅彦さんは
 開高健の『輝ける闇』を取り上げています。
 『輝ける闇』はもちろん開高健の代表作のひとつで
 開高健がベトナム戦争に従軍してはじめて書き得たといっていい
 作品です。
 この作品について
 あの三島由紀夫が「行かなくとも書けた」と言ったそうです。
 小説は創作ですから
 行けなくても書けるでしょうし、
 経験しなくても書かないといけない。
 だって、そうでないと
 殺人事件を扱った推理小説など
 書けなくなってしまいます。
 けれど、取材したことによって
 島田雅彦さんが言うように
 「書く強烈なモチベーションンになる」のは事実だと思います。

 芥川賞だけで
 これだけのことが
 今月号の紙面にはあります。
 きっと
 「文藝春秋」9月号だけで
 お盆休みは終わってしまいそう。

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 お盆休みで
 田舎に帰っているという人も
 多いと思います。
 俳句の世界では
 「墓参」は「秋の季語」になります。
 ちょうどこの時期に
 お墓参りをすることが多いからです。

    墓詣り済ませし人とすれ違ふ      星野 椿

 まだまだ残暑が厳しいですが
 近くの田の稲の穂も少しふくらんできました。

  20180812_105452_convert_20180812125238.jpg

 季節の移ろいを
 こんなところにも感じます。

 夏野菜も
 そろそろおしまいでしょうか。
 これは昨日(8月12日)の朝のキュウリの様子。

  20180812_070051_convert_20180812124740.jpg

 さすがに勢いがなくなりました。
 この日は
 このキュウリの畝を整理しました。
 最後の1本を収穫して
 今年の夏のキュウリ68本の収穫でした。
 途中でダメかなと思う時もあったのですが
 よく頑張ってくれました。

 キュウリカボチャもおしまい。
 エダマメもおしまいで
 固くなった畝に
 鍬をいれました。
 この時期の畑仕事は大変ですが
 次の楽しみがあるので
 私は大好きです。
 耕した畑は一週間そのままにして
 来週元肥をいれて
 新しい畝をつくります。

  20180812_103741_convert_20180812125003.jpg

 秋冬野菜の切り替え時で
 さびしくなる畑ですが
 オクラはきれいな花を咲かしてくれています。

  20180812_072846_convert_20180812124901.jpg

 この花、
 食べてみると
 オクラの味もしますし
 オクラのねばりけもあります。
 畑でないと
 なかなか味わえない楽しみのひとつです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日あたりから
  お盆休みの帰省ラッシュが
  始まったようです。
  田舎に帰って
  おじいちゃんおばあちゃんと楽しい時間が過ごせると
  いいですね。
  そんな時には
  田舎に伝わる昔ばなしを聞くのもいいかもしれません。
  今日は
  「えほん遠野物語」のシリーズから
  「おいぬさま」。
  この絵本の時代を知っているような
  おじいちゃんおばあちゃんも
  いないでしょうが。
  文はいつものように京極夏彦さん。
  絵は中野真典さん。
  中野真典さんの絵の「おいぬさま」はこわいですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  狼はやっぱり怖かった                   

 京極夏彦の文による「えほん遠野物語」の一冊です。
 タイトルの「おいぬさま」とは狼のことで、日本では絶滅したといわれる狼ですが、遠野の村々にこれだけの逸話が伝わっているのですから、昔はたくさんいたのでしょう。
 「草の長さ三寸あれば狼は身を隠すと云へり」と、柳田国男の『遠野物語』に書かれています。
 同じ箇所を京極夏彦さんは「三寸ほどの高さの草が生えていれば、隠れることができるという」と書いていて、原文と対比しながら絵本を読むのも、大人読みとしてはいいかもしれない。

 この文章が書かれたページの絵は、一面草木の色が変わった秋の風景で、柳田の原文でいえば「草木の色の移り行くにつれて、狼の毛の色も季節ごとに変りて行くものなり」に対応させています。
 この絵本の絵を担当しているのは中野真典(なかのまさのり)さんで、おいぬさま(狼)の敏捷な動きとおそろしき力を荒々しい筆づかいと彩色で見事に表現しています。
 秋の風景も、見開きのページ全面で「草木の色の移り行く」が描かれています。
 子どもにはけっしてわかりやすい絵とはいえませんが、きっと生命の迫力は感じるにちがいありません。

 だからいっそう、おいぬさま(狼)が北に向かい、「その日を境に、遠野のお犬様は姿を消したという」と書かれた最後のページの、雪景色は哀切をともなう印象的な一枚の絵になっています。
 おいぬさまがいなくなった遠野は、どこかさみしい。
  
(2018/08/12 投稿)

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 今日は山の日の祝日で
 今日あたりからお盆休みに入る人も多いと思います。
 故郷に帰省する人、
 海に出かける、山に出かける
 皆さん楽しい計画を組んでいるのでしょうね。
 もし、予定ないんだ、
 どこ行こうかなんて悩んでいる人がいれば
 この夏おススメの展覧会を
 紹介しましょう。

 現在、川崎市市民ミュージアムで開催中(~9月9日)の
 「かこさとしのひみつ展」です。

  20180803_114848_convert_20180804142115.jpg

 かこさとしさんといえば
 今年5月2日に92歳で亡くなられましたが
 この展覧会は
 生前から準備をしていたものです。
 川崎市かこさとしさんは
 絵本作家になる以前、
 セツルメント活動でしばしば訪れていた街に
 なります。
 まさに絵本作家かこさとしさんの原点のような街です。

  20180803_114827_convert_20180804142038.jpg

 入り口をはいると
 でっかいだるまちゃんがお出迎え。

  20180803_115148_convert_20180804142154.jpg

 そして、まず絵本作家になる前の
 かこさとしさんが描いた絵画などが
 展示されています。
 1953年の絵画展に出品した作品には
 その後のかこさとしさんを彷彿とさせる
 世界観があります。

 そのあとは
 かこさとしさんの最初の作品『だむのおじさんたち』や
 『どろぼうがっこう』といった作品が続きます。
 また、かこさとしさんらしい、
 科学絵本のいくつかが
 「見る」とか「知る」とか「学ぶ」そして「食べる」といった
 キーワードで紹介されています。

 そして、いよいよ
 かこさとしさんの代名詞ともいえる
 「だるまちゃん」シリーズや「からすのパンやさん」シリーズが
 続きます。
 かこさとしさんの絵の魅力は
 実に細かいところまで
 丁寧に描き分けていることです。
 それがかこさとし絵本を独特のものにしている、
 そんな気がします。

 この展覧会、
 入場料が600円
 今回図録は絶対欲しいと思っていたのですが
 用意されていなかったのが
 少し残念ではありましたが。

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プレゼント 書評こぼれ話

  この夏の角川文庫のフェアで
  紹介されていた文庫の中に
  塚本裕樹さんの『俳句の図書室』というのが
  ラインナップされていて
  実はその文庫は
  今日紹介する『十七音の海』を
  加筆したものだそうです。
  文庫本では114句の俳句が紹介されていて
  単行本の時より10句ばかり
  増えています。
  ここで紹介されている俳句の中で
  私が気にいったのは
  山本健吉夫人の石橋秀野
  この句。

     蝉時雨子は担送車に追ひつけず     石橋 秀野

  塚本裕樹さんの解説がいい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  若い俳人、いでよ!                   

 若い人にとって、俳句という文芸はどのようなイメージであろう。
 詩人が中原中也や立原道造のように若くして夭逝した人が多いせいか、青春の文芸というイメージがある一方で、俳句は年寄りが花鳥風月を愛でて吟じている印象がある。
 明治の俳人正岡子規が34歳で早逝したにもかかわらずだ。
 一体俳句のそんなイメージはどのように出来上がったのかわからないが、案外その短詩の形、つまり五七五の「十七音」に秘密があるのかもしれない。
 つまり、若い人にはあふれんばかりの思いがある一方で、年を経ると、それが浄化されていく。それが俳句の世界を形作っているのではないか。

 実際にはそんなことはない。
 俳句の世界にも若い俳人は多数生まれている。
 本作の著者塚本裕樹氏も気鋭の若手俳人の一人だ。(といっても、1974年生まれになるからもう若手でも新人でもないが)
 そんな塚本氏が104句の名句をわかりやすいエッセイ風の文章で解説したのが本書である。
 この本では「「共感力」を養う」「「季語」の豊かさに触れる」「言葉の「技」を身につける」、そして「覚えておきたい俳句」という四つの章に分かれている。
 中でも「言葉の「技」」では俳句の特徴である「切字」や「一句一章」「字余り」といった俳句ならではの特長をわかりやすく解説している。
 この本で俳句に初めて接した若い人はなんと幸福だろう。
 きっと俳句のイメージが大きく変わるのではないだろうか。
  
(2018/08/10 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日
  内野安彦さんの『スローライフの停留所』という本を
  紹介しましたが
  定年後の生き方は
  当然ですが
  人それぞれで
  どれが正しいとか
  それはよくないとかありません。
  それに
  お金の問題にしても
  色々な意見や考え方がありますが
  それもまた
  人それぞれです。
  でも、準備だけはしっかりしておいた方がいい。
  そこで
  今日は泉正人さんの
  『52歳からのお金のリアル』という本を
  紹介します。
  お金にも知恵が必要です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  お金の話はわかりやすいのがいい                   

 「公的年金」制度はずっとあった訳ではない。
 いわゆる「国民皆年金」制度がスタートするのは昭和36年(1961年)だ。その当時の平均寿命は男性58歳、女性61,5歳だったそうで、会社の定年は55歳が標準だった。
 それから60年近く経って、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳と、大きく伸びている。
 つまり年金制度が始まった頃は、男性の場合だと会社を定年で辞めたあと、わずか3年ばかりの命だったのが、今では60歳で定年退職しても、20年という長い時間を生きることになる。
 人間にとって不老不死は永遠のテーマだが、収入がないなかで20年も生活をするというのも残酷だ。
 となれば、いかにして「定年後」の「長生きリスク」を生きるかということになる。
 この本は、これから定年(といっても決して60歳ではないだろう)を迎える52歳の人、つまりはうんと若い世代に向けての、お金読本である。

 単純にいえば、出ていくお金があるなら入るお金を増やせばいい。
 だから、まずは「年金」のことから始まって、次に「働き方」ということになる。
 著者のファイナンシャルアカデミーグループ代表の泉正人氏は「定年後も働く意思を持つ」ことが肝心だという。
 ただ、定年前までの働き方とその後の働き方は違うと。
 この本によれば、「つらい仕事を頑張る対価」から「楽しみながら社会に貢献する対価」となる。
 もちろん、対価をもらうわけだから、単に楽しんでばかりにはいかないだろう。
 働くことと自由を謳歌する、そのバランスをうまく保つことが大切だろう。

 いずれにしてもお金の話はいくつになっても悩ましい。
 それも楽しく話せるようになれば、いいのだが。
  
(2018/08/09 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日、さいたま市の図書館の話を書きました。
  その中で
  電子書籍サービスのことも書きましたが
  公共の図書館で
  電子書籍サービスを実施しているところは
  まだそんなに多くはありません。
  その点、さいたま市の市民の人たちは
  とても充実した図書館サービスを
  享受できる環境にあるわけです。
  あるいは蔵書数でもそうです。
  すべての公共図書館が同じレベルではありません。
  そのギャップを
  図書館員さんの知恵と工夫が
  埋めているのだと思います。
  今日は内野安彦さんの
  『スローライフの停留所』という本を
  紹介します。
  これも図書館員さんの本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  図書館に行ってみるだけで見えてくる世界がある                   

 この本の著者内野安彦さんのことを少し書いておきます。
 1956年生まれですから、すでに還暦を迎えておられます。
 もともとは現在の鹿嶋市役所である町役場に入所し、40歳の時に図書館に異動。その後図書館司書視覚や図書館情報学修士の学位を取得。
 その後50歳の時に塩尻市の図書館新設に関わり、図書館館長となります。
 55歳で退職後、「ライブラリアン・コーディネーター」として「無手勝流のスローライフ」を楽しんでいるとあるが、実際には講演をしたりこうした本の執筆など多忙であるようだ。
 それでも、組織から無所属ともなれば人と話すことも少なくなり、「日中、こうして会話することがいかに健康的なことかと痛感する」というから、「定年後」の生活を明るく綴った書ともいえる。

 このような経歴をもった内野さんですから、「スローライフの停留所」として、「本屋さんであったり、図書館であったり」そういうところで休んだり、またそこから見える光景にやきもきしたりするのでしょう。
 内野さんは図書館のサービスを受けている人は市民の2割にも満たないと言います。そのことを一番知っているのは、図書館員だし、頻繁に利用する市民で、彼らは「みんなもっと使ってくれればいいのに」と思っているはず、だと。
 だから、内野さんは還暦を機に「ライブラリアン・コーディネーター」を名乗るようにしたそうです。

 この本は難しい図書館学の本でもありませんし、悩ましい出版事情の本でもありません。
 いうなら、図書館好きのオジサンの日常を綴ったエッセイ集です。
 そんな気楽な気持ちで読んで、少しでも図書館が好きになれば、著者も本望ではないかしら。
  
(2018/08/08 投稿)

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 猛暑が続いていますが
 暦の上では
 今日が立秋
 こんなに暑いのに、なんで秋やねん!
 大阪の人なら怒り出しそう。

   てにをはを省き物言う残暑かな     戸恒 東人

 ちなみに「八月」は
 俳句の世界では秋の季語

   八月のダム垂直に水落とす      佐藤 和枝

 八月なのに、なんで秋やねん!
 と、怒られても
 私が決めたわけではないので。
 でも、すみません。

  今日まだまだ夏休み中なので、図書館の話題を。

    あなたが最後に
    図書館に行ったのはいつですか?

 ギクッとするような
 キャッチコピーですが
 これはさいたま市の「市報」の8月号の特集記事のタイトル。

  20180731_143158_convert_20180804141949.jpg

 表紙の素敵な写真は
 さいたま市の中央図書館
 実はさいたま市の図書館数は
 全国の政令指定都市で1位の25館もあって
 図書館施設はとても充実しています。
 電子書籍サービス音楽配信サービスもあって
 街として
 自慢してもいいのじゃないかな。
 なので
 もっともっと利用してもらいたいところですが
 なかなかPRといっても機会がないなと
 思っていたところに
 このキャッチコピーの
 市報の特集ですから
 図書館好きのさいたま市民としては
 うれしくなってしまいました。

 ちなみに
 さいたま市の図書館の蔵書数は約354万冊
 これは政令指定都市で3位。
 1人あたりの貸出数は約7.3冊
 これは政令指定都市1位。

 今や住みたい街ランキングのトップ10に
 大宮も浦和もはいって
 今やさいたま市は脚光をあびています。
 もちろん
 交通の便がいいとか商業施設が充実しているとかありますが
 こういう素敵な図書館も近くにあるというだけで
 街の好感度はグーンとあがるのではないでしょうか。

 市報を見て
 図書館への来館者が増えて
 その時にとてもいいサービスがあれば
 本と親しむことも増えるでしょうが
 せっかく足を運んでも
 がっかりすることになれば
 大変です。
 さいたま市の図書館員の皆さん、
 素敵な笑顔を
 期待しています。

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 明日は立秋だといえ
 暑い!
 ひたすら暑い!

    静脈の浮き上り来る酷暑かな      横光 利一

 これだけ暑いと
 夏野菜にはいいのではと思いがちですが
 どっこい
 夏野菜といっても
 あまりに暑いとうまく結実しなかったり
 うまくできません。
 最近野菜が高騰しているのも
 猛暑がひとつの要因です。

 連日30℃を超えると
 ナスの実も疲れてくるようで
 この時期に更新剪定をするといいといいます。
 去年も更新剪定をしたのですが
 時期が遅かったのか
 うまく秋に実をつけてくれなかったので
 今年は割を早めに剪定を行いました。
 したのは、水ナス
 すでに20個は収穫できているので
 まずは満足。
 あとはうまくいけば
 もう一度秋においしい水ナス
 収穫できるかな。

 昨日(8月5日)朝の6時半から
 畑作業の開始です。
 これが更新剪定前水ナス

  20180805_064706_convert_20180805113650.jpg

 すべての枝をバッサリバッサリ。
 そして、根はスコップで切ってしまいます。
 こちらが更新剪定後水ナス

  20180805_071332_convert_20180805114037.jpg

 さあて、うまくいくかな。

 この日は秋冬野菜の講習会もありました。
 こんなに暑いのに
 もう秋冬野菜なの!? といいたくなりますが
 季節はめぐっていますので
 心の準備は必要。
 8月下旬には苗も届きますので
 畝の準備も必要。
 なので
 ミニカボチャを収穫しました。
 収穫してからおよそ3週間置いておきます
 そうすると、甘さが増すそうです。

  20180805_180152_convert_20180805182032.jpg

 一方、遅く播いたインゲン
 収穫に間に合わないかも。

  20180805_074652_convert_20180805114432.jpg

 今年の冬は
 ブロッコリーを初めて栽培します。

 楽しみなのは
 ショウガ

  20180805_071353_convert_20180805114329.jpg
  
 生き生きとした葉をみているだけで
 期待がふくれてきます。
 横にあるのはシソ
 見ているだけで涼しく感じます。
 この日、エダマメも収穫。
 先週の収穫は少なかったですが
 今週はごらんのように豊作。

  20180805_180317_convert_20180805182128.jpg

 しかも実はこの倍も獲れたんですよ。
 冷たいビールと一緒に、
 うーん、たまりません。

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日、
  「絵本のひきだし 林明子原画展」のことを記事に書いたので
  今日は
  林明子さんが絵を担当し、
  児童文学者の松岡享子さんが文を書いた
  『おふろだいすき』という
  絵本を紹介します。
  もちろん、
  この絵本の原画も展覧会では展示されていました。
  この絵本を見ると
  林明子さんの写実の巧さに
  すっかり魅せられます。
  表紙のカバくんの
  石鹸で洗われて
  気持ちよさそうな表情ったら。
  写実と想像、
  二つの力が
  林明子さんの魅力です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんなおふろだったらのぼせてしまいそう                   

 絵本作家の林明子さんはもともとイラストレーターをしていたこともあって、絵本の世界でも注目されたのが絵の分野でした。
 初めての作品となった『はじめてのおつかい』は筒井頼子さんの文章に林さんが絵を描きました。
 その後たくさんの児童文学者の人たちと絵本を作っているのは、林さんの絵がそれだけ魅力的だという証だと思います。
 瀬田貞二さんとは『きょうはなんのひ?』、神沢利子さんとは『ぼくのぱん わたしのぱん』、そして東京子ども図書館の生みの親でもある松岡享子さんとは、この絵本、といったようにそうそうたる児童文学者とともに良質の絵本の創作に、林さんはたずさわってきました。
 そういうことで、絵本の魅力を体得したのではないでしょうか。

 松岡享子さんとの共作になるこの絵本は、1982年にサンケイ児童出版文化賞美術賞を受賞しました。
 「おふろだいすき」な男の子がおふろでいろんな生き物に出合う、とっても壮大なファンタジー絵本です。
 なにしろ最後におふろにやってくるのが、くじらなのですから。一体どうやって男の子のおふろにやってきたのかわからないのですが、そこにくじらがいてもちっとも不思議な感じがしないのですから、不思議なものです。
 ペンギンやカメ、それにカバやオットセイがいるおふろなんて、絶対に素敵だと思いませんか。そんなおふろなら何時間でもいたくなるのではないかな。
 そう思わせるのも、林さんの絵の力の大きさが半分、かな。
 いいえ、いい絵本は文と絵が一体になって初めて生まれるものではないでしょうか。
  
(2018/08/05 投稿)

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 終わってしまった展覧会の話をするのは
 少しばかり気がひけますが
 とっても素敵な展覧会だったので
 書いておきます。
 それに、
 もしかしたらまた別のところで
 見る機会があるかも(ないかな、やっぱり)しれないし。
 その展覧会は
 「絵本のひきだし 林明子原画展」です。

  20180727_122903_convert_20180728180607.jpg

 東京・銀座の松屋銀座
 7月29日まで開催されていました。

 この展覧会、
 絵本作家の林明子さんが初めて手がけた絵本『はじめてのおつかい』の刊行が
 1976年で、
 それから40年が経ったのを記念して組まれた企画です。
 ちょっと、待って。
 今年は2018年で40周年から2年も経ってるじゃないと
 思った人もいるでしょうが、
 この展覧会は2017年4月の香川県高松での開催を皮切りに
 全国の街を順々に回ってきて、
 今回の東京での開催が最後になったというわけです。

 林明子さんの話をしましょう。
 一番人気のある絵本といえば
 やはり『こんとあき』じゃないでしょうか。
 会場の入り口にも
 かわいいこんのイラストがたくさん描かれていて
 小さい子どもたちがその前で記念撮影していました。

  20180727_115749_convert_20180728180442.jpg

 それに
 こんのぬいぐるみもオリジナルグッズとして
 販売されていて
 その人気の高さの程が知れます。
 林明子さんは
 最初は科学絵本のイラストレーターの仕事をしていて
 最初の絵柄を見ると
 ちょっと違和感があるかもしれません。
 そういえば、
 林明子さんは角野栄子さんの『魔女の宅急便』の絵も描いていて
 どちらかといえば
 その絵が最初の絵柄に近いかもしれません。

 でも、
 なんといっても
 林明子さんの絵の魅力は
 そこに登場する人たちがとても生き生きしていることではないでしょうか。
 創作の秘密ではないですが
 林明子さんの小さなな姪や甥の写真から
 生き生きとした姿を
 写し取ったといいます。

 会場には
 若いお母さんと子どもの親子づれだけでなく
 女性の観客が多くいて
 林明子さんのファンの多さに
 あらためて驚きました。

  20180727_115723_convert_20180728180412.jpg

 おみやげに
 『こんとあき』の缶バッジをゲットして
 喜んでいる
 今日この頃です。

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プレゼント 書評こぼれ話

  あれは何年前の
  元旦の新聞であっただろう、
  葉室麟さんが山本周五郎さんの作品を読むなら
  特にこれをと薦めていたのが
  『日本婦道記』でした。
  その記事をきっかけに
  それまで触れることのなかった
  山本周五郎文学を読むことになったのですから
  葉室麟さん、さまさまです。
  葉室麟さんが亡くなって
  もう半年以上経ちますが
  こうしてまた新しい本が出ました。
  『洛中洛外をゆく。
  葉室麟さんの思いが
  伝わってくる一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  死もまた、良しと葉室麟さんは語ったけれど                   

 この本の帯に「死もまた、良し」とあります。
 これは昨年12月に急逝した作家葉室麟さんがインタビューの中で口にした言葉です。
 その時、葉室さんがどこまで自身の死を自覚していたのかはわかりませんが、この本に収められたインタビューにこうあります。
 人は、それなりに働いて、最期に成仏していくその過程の果てに「死」があると、葉室さんは言います。つまり、死ぬということは生きてきた証で、自分自身が「ちゃんと生きてきた」と言えるのであれば、「死もまた、良し」だと。
 それでも葉室さんの66歳という年齢でのお別れはまだ若すぎたと、今でも思います。

 この本はタイトルでもわかるように、葉室さんが愛し、一時は住処ともした京都を舞台とした3つの作品を、その舞台と背景と、その作品に込めた葉室さんの思いを、インタビューや京都の名所案内も交えながら、紹介したものです。
 3つの作品は『乾山晩愁』『墨龍賦』『孤篷のひと』で、芸術家の生涯を描いたものになっています。順に尾形光琳・乾山、海北友松、小堀遠州です。
 葉室さんがこのような芸術家を描く時、自身の創作への思いが投影されていると感じることが多くあります。
 また、本作の中のインタビューでも、そのようなことを話されています。

 葉室さんは海北友松の思いに寄せて、こう語っています。
 「見えているものがあるならば、書いて書いて、書き通したい。でないと自分は決して納得がいかないだろう」
 そこまでの思いで書き続けてきたからこそ、葉室麟さんの作品の熱にうたれるのだろう。
  
(2018/08/03 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  沢木耕太郎さん編による
  文春文庫オリジナル
  『山本周五郎名品館1 おたふく』を
  紹介します。
  この中に
  「雨あがる」という作品がありますが
  この短編は
  あの黒澤明監督が映画化しようと構想していたもので
  結局は
  黒澤明監督の弟子であった小泉堯史監督によって
  映画化されました。
  その短編から一節。

     他人を押除けず他人の席を奪わず、
     貧しいけれど真実な方たちに混って、
     機会さえあればみんなに喜こびや望みをお与えになさる、
     このままの貴方もお立派ですわ。


  こんな主人公の作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  短編なのに、この奥深さ                   

 昨年(2017年)没後50年を迎えた山本周五郎だが、その人気は衰えない。
 人気が衰えないということは、新しい読者が没後も次々を生まれているということだ。川端康成のようにノーベル文学賞を受賞した作家もいるが、山本周五郎の場合、たとえ無冠であっても(直木賞を受賞したが辞退)いつまでも愛される作家というのも稀有であろう。
 その生涯、300篇近い短編小説を書いたという山本周五郎であるが、その中から一人の編者で文庫本にして全4冊の短編集がこの春から刊行されている。
 編者が沢木耕太郎さんというのがなんといっても、いい。
 沢木さんが山本周五郎さんのどんな短編を選び、どんな評価をするのか。
 読者にとってこんな楽しみはない。

 その1巻めとなるこの作品集では、掲載順に「あだこ」「晩秋」「おたふく」「菊千代抄」「その木戸を通って」「ちゃん」「松の花」「おさん」「雨あがる」といった9篇が収録されている。
 しかも巻末には、文庫本解説としては少し長めの沢木耕太郎さんの「解説エッセイ」が載っていて、沢木さんの愛読者にとってもうれしい編集になっている。
 沢木さんの解説は一つひとつの作品で書かれているから、解説としても丁寧だ。

 この9篇の短編でいえば、『日本婦道記』の1篇である「松の花」がやはりいいが、藩の改革のために自らを殺して冷酷に生きた側用人と、彼に恨みを持つ娘の交流を描いた「晩秋」がよかった。
 昨年亡くなった葉室麟さんが好きそうなそんな世界観であるが、ぐっと胸深くきた、短編であった。
  
(2018/08/02 投稿)

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