FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  日本の世帯のありようが
  だいぶ変わってきているといいます。
  少し前であれば
  夫婦二人に子供が二人というのが
  平均的な世帯構成でしたが
  最近は高齢化の影響でしょうか
  一人世帯が増えているそうです。
  今日紹介する
  桜木紫乃さんの『ふたりぐらし』は
  もう少し肩を寄せ合っている
  暖かみを感じる数です。
  もちろん、数が複数になれば
  ぶつかることもまたあるのですが、
  それも含めての
  二人ぐらしなのでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  踏むのも踏まれるのも嫌                   

 この本の帯に「夫婦はいつから、夫婦になるのだろう」とある。
 その答えといえるだろうか、桜木紫乃さんはこの本が出来たあとのインタビューで、「夫婦は、ゆっくりと時間をかけて夫婦になって行けばいいんだな」と思ったという。
 それは多分この短編連作を執筆するなかで得た答えかもしれない。
 実際この作品は2015年から書き始めて2017年まで時々の時間を置きながら小説誌に発表されてきた。ちょうどこの物語の主人公二人の時間を紡ぐようにして。

 この作品は10篇の短編から出来ている。
 桜木さんは一つひとつ独立した短編として読んでもらえたらと、先のインタビューで話していて、確かにそれは短編としての魅力を持った作品もあるが、やはり10篇を読み通すことで、主人公たちの心の変遷が切なく、感動を誘うように感じる。

 なんといってもはずせないのが冒頭の「こおろぎ」という作品。
 ここで主人公の元映写技師の信好と看護師の紗弓の二人が出会い、生活をともにするきっかけとなる挿話が描かれる。
 ある日スーパーの入り口でこおろぎを逃がしている娘、それが紗弓ですが、に会った信好が何をしているかと問うと、娘は「踏まれるほうも踏むほうも嫌だろうから逃がしている」と答えた。その答えに「あなたいいひとだな」と信好は声を出す。
 それがふたりぐらしを始めるきっかけだ。

 この作品にはこの二人以外にも、かつて二人ぐらしをした人や新しく二人ぐらしを始める人などが遠景のように描かれる。
 「水色を塗り重ねるような小説」を書きたかったという桜木さんだが、とてもいい色の作品に仕上がっている。
  
(2018/09/28 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス