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プレゼント 書評こぼれ話

  この週末は花冷えになりました。
  「歳時記」に
  「花冷という言葉のもつ美しい響きが好まれる」とあります。

     花冷や柱しづかな親の家      正木 ゆう子

  桜という花が持っている魅力でもあるのでしょう。
  今日で三月もおしまい。
  そして、いよいよ明日には
  新元号が発表されます。
  いったいどんな元号になるのか
  楽しみです。
  その一方で、
  満開の桜も平成最後と思えば
  なんだか感傷的にもなります。
  今日は詩の絵本、
  『いち』を紹介します。
  谷川俊太郎さんの詩に
  佐野洋子さんが絵を描いた絵本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「いち」ははじめのかず                   

 詩人の谷川俊太郎さんが絵本作家の佐野洋子さんと結婚していたことがあるなんて、ずっと知りませんでした。
 知ったとて、へええということですが、どちらかというと佐野さんの本とか作品を知るようになってから、そのことを知ったと思います。
 私が知った時には二人はもう離婚したあとでした。

 結婚したのが1990年で、離婚したのは1996年。
 この絵本の初版が1987年ですから、こういう詩と絵の共演を通じて結婚に至ったのかもしれません。
 これは「しのえほん」シリーズの一冊で、もちろん「し」は「詩」のことです。
 この絵本には谷川さんの12篇の詩が収められていて、その詩それぞれに佐野さんの絵が付けられています。
 先に谷川さんの詩があって、それに応えるように佐野さんは絵を描いているのですが、きっと谷川さんはどんな絵が描かれるのかと楽しみにしていたと思います。
 それで出された絵に感心もしたでしょうし、佐野洋子という才能に共振するところもあったのではないでしょうか。
 それがきっかけになったのかは知りませんが、今から思うとなんとも贅沢な夫婦であったことでしょう。
 でも、この二人の日常はなんだか怖い感じもします。

 この絵本の谷川さんの詩はほとんど「ひらがな」で書かれています。
 なので、ゆっくり声を出して読むことをお薦めします。
 声に出さないとこの詩のよさが感じられない気がします。
 初めてひらがなを覚えた頃にもどって、ゆっくりと、ゆっくりと。
  
(2019/03/31 投稿)

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   ショーケンが死んだ!

 普通なら俳優萩原健一さんが3月26日に急逝したと
 書くところだが、
 彼の場合はやはり冒頭の言葉が似合う。
 私の中で彼はずっとショーケンだった。
 68歳とあまりにも若い過ぎる死に
 呆然となるが、
 人気ドラマ「太陽にほえろ!」で
 演じていたマカロニ刑事の殉職シーンが強烈だったので
 なんだかその死のシーンと重なるようである。
 確か立ちションをしていて暴漢に襲われたはず。
 最後のセリフは「かあちゃん…暑いなぁ…」だったとか。

 ショーケンはグループサウンズ全盛の時から
 その存在は抜きん出ていた。
 ザ・テンプターズの楽曲も好きだったが
 やはりなんといっても
 グループ解散後の
 俳優としての活動が抜きん出ていた。
 俳優としての本格デビューは
 斎藤耕一監督の「約束」(1972年)で
 この映画は私の生涯のベストスリーに入るほどの作品で
 共演の岸恵子さんとの
 切なすぎる恋愛映画だが
 チンピラを演じるショーケンの存在感が光った。

  

 ショーケンというのは
 どこかで幼児性を持っていて
 時々幼児言語ともいえる高い音を発するのも
 その表れのよう気がする。
 彼が女性にもてたのもうなずける。

 この映画を皮切りに
 「股旅」(1973年・市川崑)や
 「青春の蹉跌」(1974年・神代辰巳)と
 70年代の映画界を席巻した。
 特に「青春の蹉跌」ではその年のキネマ旬報最優秀主演男優賞を受賞。

  

 「約束」もそうだが、
 「青春の蹉跌」も何度見ただろうか。
 私の青春の映画に
 ショーケンは欠かせない俳優だった。

 そのあと、
 先の「太陽にほえろ!」や「前略おふくろ様」「傷だらけの天使」などの
 テレビドラマでも大活躍をする。
 あの当時を生きた人なら
 「傷だらけの天使」の冒頭シーンの
 トマト丸かじりを試したみた人も多いのではないだろうか。

 そんな全盛期を経て
 ショーケンはそのあと数度の逮捕や離婚等を経験する。
 それでも多くのファンは彼を見放さなかった。
 ノンフィクション作家本田靖春
 いしだあゆみさんとの離婚前に
 ショーケンにインタビューをしていて
 それは『戦後の巨星 二十四の物語』のひとつとして
 収められている。

  

 本田靖春
 ショーケンは「捨てがたい「人生の景色」を見せ続けてくれ」た役者だといい、
 「よけいなお世話だが、
 再起をはかる彼に励ましの言葉をかけてやりたい
」と
 インタビューのゲストに迎えたという。

 誰もがそんな風に感じる、
 彼は稀有な役者だったのだ。

  ショーケン、ありがとう。

  ご冥福をお祈りします。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  『本をどう読むか』の著者岸見一郎さんの
  講演を何度か聴いたことがあります。
  静かに話す話し方は独特で
  この本の文体は
  どちらかというとそれに近い感じがします。
  この本の中で
  岸見一郎さんはこんなことも書いています。

    学んでいるその時々が幸福なのです。

  あるいは

    本を読むことで間違いなく幸せな人生を送ってこられた。

  もちろん本を読むのが苦手な人もいます。
  自分は何をしている時が幸せか
  それを見つけることが大事なんでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これは岸見一郎の「青春記」でもある                   

 なんともそっけない書名だが、よくよく考えると、この新書は「本をどう読むか」をまとめたものだということがすぐにわかるタイトルだと気がつく。
 副題に「幸せになる読書術」とあるが、きっと普通であればこちらが書名になりそうだが、これだと漠然としてどんな読書術かは読んでみるまでわからない。
 そんなことも、十分考えられたゆえの書名のような気がする。
 
 著者はアドラー心理学の研究者で、古賀史健さんとの共著となった『嫌われる勇気』が大ベストセラーに岸見一郎さん。
 あれだけのベストセラー作家を出版社が見逃すはずもなく、岸見さんが語る読書術を聞きたい読者は多いはずで、そんな期待に違わない作品に仕上がっている。

 感銘を受けたのは、この読書術は等身大の岸見さんに沿って書かれているということ。
 読書術ではあるけれど、見方を変えれば岸見さんの「青春記」とも読めてしまう。
 例えば、両親から買ってもらった本の話、学校の先生から勧められた本のこと、若い頃辞書をどんな風にひも解いたか、特に第2章「本との出会い」は読み応え十分だ。

 岸見さんは1956年生まれだが、同時代に育った私にとても懐かしかったのが梅棹忠夫の『知的生産の技術』。当時ベストセラーになったこの新書の話が何回も出て来る。
 本好き、読書好きにとって、こういう身近な本の話が出るのがうれしい。
 そういった話を綴りながら、「本をどう読むか」を丁寧に教えてくれる内容になっている。
  
(2019/03/29 投稿)

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  第160回芥川賞
  町屋良平さんの『1R1分34秒』と
  上田岳弘さんの『ニムロッド』の
  2作受賞となりました。
  私は先に町屋良平さんの作品を読んで
  いい作品だと感心していました。
  読書会のメンバーで
  この2作とも読んだ人がいて
  その人がいうには
  上田岳弘さんの方がよかったかなということでした。
  その時まだ上田岳弘さんの作品を
  読んでいなかったので
  へえ、そうなんだと思っただけでしたが
  今回上田岳弘さんの作品を読んで
  確かに悪くはないと
  思いました。
  というか、
  今回の受賞2作とも
  青春小説なんだと納得したのです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  青春小説の王道                   

 第160回芥川賞受賞作(2019年)。
 仮想通貨の世界を描いていると聞いただけで、もしかしたら私にはこの作品は無理かもしれないと感じていたが、読み終わってみると、確かに仮想通貨の世界はどのように成り立っていて、主人公の青年がそれに関わっている仕事のことも理解できなかったのだが、それらの部分を外してみれば、この作品は青春小説の王道のような仕掛けになっていることに気がつく。
 主人公である中本青年(僕という人称で物語は進む)、「ニムロッド」というネームをもつ同僚の小説家志望の青年、そして離婚経験がある今は中本と交際している女性田久保紀子。
 男二人と女が一人。
 彼らが織りなす世界は、例えばアロン・ドロンが主演したフランス映画の「冒険者たち」(1967年)と同じではないか。
 均衡しながらあやういバランスが壊れていく。
 それは凱旋門にプロペラ機で突っ込むことと仮想通貨を採掘することの違いがあるだけのような気がする。

 山田詠美選考委員は「選評」で、この作品には「小説のおもしろさすべてが詰まっている」と絶賛している。
 また川上弘美委員は「小説としての強度を感じる」と評している。
 二人の委員が使っている「小説」という言葉には造られたものという意味があるのだろうか。だとしたら、「ニムロッド」が作中で描くSF的な小説もまた造られていくバベルの塔のようなものであるのだろう。
 もっといえば、青春そのものがいつか崩れ落ちるバベルの塔ではないか。
  
(2019/03/28 投稿)

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  大リーグ・マリナーズのイチロー選手が
  遂に現役を引退しました。
  深夜、1時間半に及ぶ
  引退会見に感動した人も多いと思います。
  ちょうどその日、
  沢木耕太郎さんの『敗れざる者たち』を
  読んでいて、
  沢木耕太郎さんにイチロー選手を描いた作品が
  あるのだろうかと
  思いました。
  あるのかもしれませんが、
  沢木耕太郎さんならイチロー選手の影で
  消えていっただろう
  多くのプロ野球の選手を描く方を
  とったかもしれないと思ったりしました。
  でも、イチロー選手が抱えていた、
  そしてなんとか克服したことを
  沢木耕太郎さんの文章で
  読んでみたいとも思いました。

    後悔などあろうはずがない。

  イチロー選手にも「もしも」はあっただろうが
  こう言い切って引退したイチロー選手は
  さすがです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本と出会ったのは遠い日                   

 沢木耕太郎がデビューしたのは1970年、「防人のブルース」という作品だった。
 初めての単行本は1973年の『若き実力者たち』。
 そのあと、1976年に刊行されたのが、この『敗れざる者たち』である。
 このノンフィクション作品集ではボクサー、ランナー、バッター、あるいはサラブレッドという競走馬が描かれ、この後沢木はスポーツノンフィクションの書き手として人気を集めていくことになる。

 さらにこの作品集の冒頭に収められた「クレイになれなかった男」で描かれることになるカシアス内藤とはこのあともいくつかの作品で描かれることになる、濃密な関係を結んでいく。
 そういう点からいえば、この作品集はノンフィクション作家沢木耕太郎の進むべき方向を指し示したものとなったといえる。

 「一人の人生には無数の「もしも」がある。もしもあの時ああしなければ、もしもあの人に会わなかったなら…」。
 これは1964年の東京オリンピックのマラソンで銅メダルとなった円谷幸吉の短い生涯を描いた「長距離ランナーの遺書」の中の一文である。
 沢木の作品には、このような少し湿った感情に届くような文章が多く出てくる。
 それは沢木のノンフィクションの特長ともいえる。
 そういう青い描き方ゆえに、この作品集はいつまでも青春の一冊として評価されうるような気がする。

 誰もが思っただろう、「もしも」の世界。
 そんな「もしも」を人はいつまでたどるのだろうか。
 沢木耕太郎と出会ってから半世紀近く、私に「もしも」はまだあるか。
  
(2019/03/27 投稿)

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  さあ、いよいよ
  NHK朝の連続テレビ小説まんぷく」も
  今週でおしまい。
  おなごり惜しい。
  そういえば、「まんぷく」の前は
  何だったっけって
  今考えたりしませんでしたか。
  ほうら、忘れてる。
  思い出しましょうよ、「半分、青い。」でしょ。
  北川悦吏子さんが脚本を担当して
  視聴率もよかったし
  ドラマも出来もよかった。
  中でも印象的だったのが
  主人公が東京に出てきて
  漫画家のアシスタントになるあたり。
  個性的な漫画家秋風羽織役の
  豊川悦司さんが光りました。
  今日は
  なんとその秋風羽織先生の本?
  『秋風羽織の教え 人生は半分、青い。』を
  紹介します。
  ついでに書いちゃうと
  来週からは朝ドラいよいよ100作め
  「なつぞら」が始まります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  スズメ、元気にやってるかい?                   

 秋風羽織という少女漫画家をご存じだろうか。
 1980年代以降の日本の少女漫画を牽引し、その作品が多くのファンの心を鷲掴みにした。
 中でも代表作『いつもポケットにショパン』は累計5000万部を売り上げた。
 最初はその性別さえも明らかでなかったが、1989年に突如その正体を明らかにするとともに、全国から弟子を募り、「秋風塾」を立ち上げる。
 その塾生、わずか3名であったが、彼らに語ってきかした「教え」が一冊にまとまったのが、この本である。

 といっても、秋風羽織はドラマの登場人物。
 2018年上半期に放映されたNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」で、「東京・胸騒ぎ編」に登場する人物。
 つまりは脚本家北川悦吏子による想像上の人物で、それは漫画家を目指す主人公楡野鈴愛(スズメ)にとって師であるとともに、ドラマ上では主人公の心の変遷を左右する重要な役どころである。
 しかも、この秋風先生はドラマの中でいいことを言っていて、それはドラマを視聴している時から心にひっかかっていてのだが、やはりそう感じる人も多かったのであろう、こうして架空の人物の名言集という異例な刊行になったわけである。

 実際北川さんも「モノをつくることへの考え方はすべて秋風羽織に託し」たと語っていて、ドラマ作りを目指す人は秋風先生の「教え」はしっかり聞いておくべきだろう。
 例えば、「うわっつらな言葉を並べても、感動を与える作品はできない」とか「物語には、人を癒やす力があるんだ」とか、やっぱり書き留めておきたい。
 そうだろう? 鈴愛。
  
(2019/03/26 投稿)

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 先日の春分の日、
 東京で桜の開花宣言がありました。
 東京の場合、
 靖国神社にある桜(ソメイヨシノ)の標本木の開花状態をみて
 宣言します。
 こちらは翌日の靖国神社の標本木

  20190322_113719_convert_20190324141619.jpg

 結構咲いていました。
 「歳時記」を開くと
 「初花」という美しい季語が出ています。
 「その年になって初めて咲いた桜のこと」だそうです。

     初花の薄べにさして咲きにけり     村上 鬼城

 畑の横を流れる
 鴻沼川沿いの桜はごらんのように
 咲き出したばかり。

  20190324_114925_convert_20190324142257.jpg

 この週末は
 畑で桜を見ながらの「おしるこ大会」があります。
 その時には五分咲きぐらいにはなっているかな。

 昨日の日曜日(3月24日)
 サトイモの植え付けをしました。

  20190324_103552_convert_20190324141750.jpg

 サトイモの栽培は今回2回め。
 うまくできるか楽しみです。
 その横で
 トウモロコシも育てます。

  20190324_104417_convert_20190324141856.jpg

 今年の目標は4本。
 害虫が出て来るまでに育つように
 種播きも早くなってきました。

 そのほかに
 うずまきビーツカブ、それにミズナの種も
 播きました。
 うずまきビーツ
 横に切ると渦を巻いたような形をしている野菜です。
 うまくできるかどうかわかりませんが
 まあチャレンジということで。

 この日は三太郎ダイコンの最後の収穫も
 しました。

  20190324_130117_convert_20190324142401.jpg

 収穫のあと腐葉土をいれて
 夏野菜の栽培まで
 少し休ませておきます。

 こちらは大きくなってきた
 ナバナ

  20190324_114118_convert_20190324142155.jpg

 こんなに大きくても
 食べるところは
 若くてやわらかい花茎やつぼみのところ。
 収穫量はわずかです。

 そして、ジャガイモ
 かわいい芽が出てきました。

  20190324_110114_convert_20190324142041.jpg

 これからは水をあげても大丈夫。

 桜が満開の頃には
 菜園もエンドウイチゴなどの
 花も咲き始めるでしょう。

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  先日(3月17日)内田裕也さんが亡くなられた。
  妻で女優であった樹木希林さんが亡くなったのが
  2018年9月。
  それからわずか半年ばかり。
  よく世間では「あとを追うように」と言いますが
  この夫婦もそうでありました。
  内田裕也さんが亡くなったあと
  義理の息子にあたる俳優の本木雅弘さんが
  「病と向き合ってる裕也さんと、
  それを見守っているわたしたち家族が長患いしないように、
  (樹木)希林さんが気をきかせてちょっと早めに連れてったんじゃないか」と
  話されているのを聞いて
  それは本当にそうだろうな、
  そういうこともあるだろうなと感じました。
  今日紹介する
  『たいせつなこと』という絵本の訳者は
  うちだややこさん。
  そう、内田裕也さんと樹木希林さんの長女。
  そして、本木雅弘さんの奥さんです。
  内田裕也さんの訃報があって
  この絵本を手にしたのではなく
  本当に偶然
  この絵本を読もうと手元にあったものです。
  こういう不思議も
  本を読んでいると起こります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  親にとっての大切なこと                   

 児童虐待のニュースを目にするたびに暗澹たる思いになります。
 特に自分の子供に対する虐待は、何故という疑問とともに、虐待する側の親たちはどんな幼年期を過ごしてきたのだろうかとも思います。
 本来親は子供に生きる知恵を授けなければいけないのです。
 だって、子供は生まれてすぐにこの世界で生きていくことはできません。
 そういうことを教えることが親の役目だと思います。
 親にとっての大切なこと。
 この絵本を読みながら、読み終わって、考えてみるのもいいでしょう。

 この絵本は最初、1949年に出版されています。
 文を書いたのは、マーガレット・ワイズ・ブラウンで、1910年にアメリカで生まれました。
 1952年には亡くなっていますが、生前100冊以上の作品を発表してきました。
 絵はレナード・ワイスガードでマーガレットとは数多くの作品を残しているそうです。
 そして、この絵本が日本で出版されたのが2001年のことですから、最初に出版されて半世紀も経ってからのことでした。
 翻訳をしたのはうちだややこ(内田也哉子)さん。ミュージシャン内田裕也さんと女優樹木希林さんの長女です。
 也哉子さんは小さい頃から父親と一緒に暮らすことはほとんどなかったといいます。
 それでいて、これほどに愛情豊かな作品を翻訳されるのですから、父親母親の愛情というのは同じ空間を共有していなくても、包み込んでしまうくらい、大きなものなのかと思っていまいます。

 この絵本の最後のメッセージ、「あなたにとってたいせつなのは あなたがあなたであること」、これを訳しながら也哉子さんは誰の声を聴いていたのでしょうか。
 親が子供に託せる、最上のメッセージだと思います。
  
(2019/03/24 投稿)

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  今日は
  絵本作家長谷川義史さんの
  爆笑エッセイ
  『絵本作家のブルース』を紹介します。
  書評には書ききれなかったのですが
  この本には
  長谷川義史さんが絵本作家として誕生するまでの秘話や
  長谷川義史さん自身による
  「作者が語る!この6冊」や
  「著作リスト」も載っています。
  特に「著作リスト」は
  自身が文も絵も書いたものや
  絵の提供のもの、
  あるいは翻訳したもの、
  あるいは紙芝居と
  これから長谷川義史さんを読んでみようと思っている人には
  この本ははずせない一冊になっています。
  さあ、長谷川義史ワールドへ!

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  長谷川義史ワールドへようこそ!                   

 この本は人気絵本作家の長谷川義史さんが季刊誌「この本読んで!」の巻頭に連載していたエッセイをまとめたものです。
 この本の話の前に「この本読んで!」という雑誌について書いておきます。
 この雑誌は出版文化産業振興財団が発行していて、2月5月8月11月の年4回発行の季刊誌です。「絵本の読みきかせ」や「おはなし会」のための絵本えらびのヒントが詰まっていて、そういう関係のお仕事やボランティアをされている人には人気の雑誌のようです。
 そこに長谷川さんは9年間も連載しているのですから、長谷川さんの絵本作家としての人気も今や不動の域にはいっている感じがします。

 このエッセイでも長谷川さんのあの独特な手書きの文字と破天荒な絵で、まるで小学生の絵日記のように綴られています。
 長谷川さんのことをよく知らない人が見たら、本当に小学生が描いたのかと勘違いしそうです。
 そんな長谷川さんの絵と文章を見ながら、どうして長谷川さんは人気があるのだろうと考えてみました。
 そして、思ったことは長谷川さんの絵もしくは文章には「いのち」そのものがあるのではないかということです。
 どんな優秀な人にも欠点があります。あるいは、どんなに幸福な人にも悲しい涙が流れます。そういうことすべてをひっくるめて「いのち」と呼ぶのだと思います。
 長谷川さんの絵もしくは文章にはそんな「いのち」を感じさせるものがあるのだと思います。
 そのことは小さな子どもだってわかるのでしょう。
 だから、長谷川さんの絵本は子どもからおとなまで人気が高いのではないでしょうか。
  
(2019/03/23 投稿)

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  昨日は春分の日でしたが
  『俳句歳時記 第五版 春』で見ると
  「春分」の例句は3句しかありません。
  同じ二十四節気でも
  その一つ前の「啓蟄」は
  10句も載っているのに
  「春分」はどうも人気がありません。
  季語でも
  詠みやすいものと詠みにくいものが
  あるのでしょうね。
  五音におさまりやすいとかも
  関係しているのかもしれません。
  今日は
  夏井いつきさんの
  『夏井いつきのおウチde俳句』という本を
  紹介します。
  「夏井いつき」という冠がつくのですから
  さすが人気俳人です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  かつて「台所俳句」と呼ばれた時代もありました                   

 俳句の世界で「吟行」という言葉をよく耳にする。
 辞書で調べると「和歌や俳句の題材を求めて、名所・旧跡などに出かけること」とある。しかし、「吟行」の本来の意味は「季語の現場に立つこと」で、「出かける」ことだけが俳句の実作につながるわけではない。
 この本は今人気の俳人夏井いつきが「家の中にだって俳句のタネはたくさんある!」ことを実証するために書かれた俳句入門書である。
 リビングや台所、あるいはトイレに至るまで「おウチ」の中のそれぞれの場所で詠まれた投稿句を例句にして俳句を詠むヒントが書かれている。

 俳人高浜虚子は「台所俳句」を奨励したことがある。そこから出てきたのが、杉田久女らで、彼女たちは女性の視点から日常生活を見、詠み、人気を集める。
 久女の人生は松本清張の短編「菊枕」などにも描かれるほどの熱を帯びたものであったが、もともとのところは「台所俳句」にあったということを忘れてはならない。
 そんな久女が投稿し注目を集めることになった作品は「冬の朝道々こぼす手桶の水」である。
 大正六年の作品だから、当時の主婦たちの苦労がにじみ出ている。
 こういう光景を見ることは少なくなったが、久女が詠んだ句のように「おウチ」の中であっても「季語の現場」に事欠かない。
 要は、普段見なれたものであっても、それをどう見、どう感じるかだろう。

 それにしても、この本で例句として掲載されている俳句の上手なことといったらどうだろう。
 そんな名句を読むだけでも参考になる一冊だ。
  
(2019/03/22 投稿)

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  今日は春分の日
  このあたりで昼と夜の時間が同じくらいになって
  これから徐々に昼が長くなってきます。

    永き日や欠伸うつして別れ行く     夏目 漱石

  今日は昨日につづいて
  落語の本。
  『なぜ柳家さん喬は柳家喬太郎の師匠なのか?』。
  柳家さん喬師匠。
  柳家喬太郎師匠。
  二人の師匠への聞き書きです。
  なかで
  柳家さん喬師匠がとても深いことを話しています。
  忘れないように書き留めておきます。

    死は誰にでも必ず訪れる。
    でもその訪れを見すえた生き方をするのはよそう。
    いつ死ぬかわからない、いつまで生きるかわからない。
    だけど、その中で自分が今まで通り生きていくこと、
    それが本当は人間の生き方なんだろうと、
    今は考えています。


  いいことをおっしゃる。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  初めて喬太郎の落語を聴いた時は笑い転げた                   

 落語ブームが続いている。
 テレビやラジオだけでなく、雑誌の特集に組まれたり高座のCDが発売されたりしている。
 売れっ子落語家といえばたちまち両手では足らなくなるのではないか。
 この本で聞き書きの対象となっている二人、柳家さん喬と柳家喬太郎もそんな売れっ子落語家である。売れっ子だから、こうして本にもなるのだが。
 さん喬はかつて人間国宝にもなった五代目柳家小さんの23番目の弟子で、喬太郎はさん喬の弟子。つまりは小さんの孫弟子にあたる。
 そんな二人がこういう本になるというのは、さん喬が古典落語で喬太郎が新作落語で評価されているからかもしれない。
 それと年齢的な近さも、さん喬は1948年生まれで喬太郎は1963年生まれ、関係しているかもしれない。
 親子というより年の離れた兄弟のようにみえる。

 この本ではさん喬の小さん愛、つまりは師匠愛、が随所に光る。
 何かを具体的に教わったというよりも、師匠の一言ひとことが今でもさん喬の懐に残っているように感じた。
 だからといって、さん喬が小さんと同じことを喬太郎にしているかといえば、それもちがう。
 それは弟子としての喬太郎も同じだろう。
 親から子へ、伝え方は違っても、こうして脈々とつながっていくのが、落語界の強みといえる。

 落語界の話がほとんどだが、老齢を迎えたさん喬の心境はそこいら辺の「定年本」よりうんと沁みるものがある。
 いい人情噺といっては失礼かもしれないが。
  
(2019/03/21 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  人生たくさん生きていますが
  まだ行ったことのない
  あるいは見たことのないこととか
  いっぱいあります。
  相撲、見たいな。
  歌舞伎、見たいな。
  ねぶた祭り、見たいな。
  そんなひとつに
  寄席があります。
  CDやテレビで落語を聴いたり見ることがありますが
  寄席で生(なま)の落語を
  体験したことがありません。
  これって人生の片手落ちじゃないかな。
  今日は佐藤友美さんの
  『ふらりと寄席に行ってみよう』を
  紹介します。
  そして、今度は
  本当の寄席体験記を書きたいものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  寄席に行きたい!                   

 恥ずかしながら、寄席に行ったことがありません。
 東京には常設の寄席が5つあって、そのうちの上野にある鈴本演芸場や浅草の演芸ホールは建物の前まで行ったことがありますが、入場には至りませんでした。
 その理由は、入場のシステムがよくわからなかったからです。
 そもそも寄席は途中から入場していいのか、その逆に途中で退場していいのか。
 映画であれば、上映している一つの作品を鑑賞する目的で入場しますが、寄席って何人もの演者が入れ替わり立ち替わり演じるので、よほど好きな噺家さんでもあれば別ですが、そういういくつもの芸を鑑賞することになるので、映画とかコンサートとかの鑑賞とは少し違います。
 独演会というのがありますが、あれは特定の噺家さんの芸を鑑賞するので、わかりやすいように感じます。

 私のような寄席未経験者の人向けに、この本はとても丁寧に説明してくれています。
 都内の常設の寄席の特長なんかも書いてあって、自分に合った寄席を探すこともできます。
 さすが日本で唯一の寄席演芸専門誌である「東京かわら版」の編集長が書かれた本だけのことはあります。
 この本では当代の人気落語家さんの紹介や寄席でよくかかる「古典落語」も簡単な紹介までついています。

 ところで寄席というのは落語だけ演じられたいるかというとそうではありません。
 漫才やコント、あるいは紙切りといった「色物」もはいっています。
 つまり、この空間ではたっぷり時間を楽しめるということではないでしょうか。
 寄席に行きたい!
  
(2019/03/20 投稿)

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  今日は
  アガサ・クリスティーの『ABC殺人事件』を
  紹介します。
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』によれば
  評価は★★★★☆で
  満点には及びませんが
  高い評価になっています。
  今回の事件では
  私も犯人がわかりました。
  それも第4の殺人事件が起こる前ですから
  私なら
  最後の殺人事件は食い止められたかも
  なんて。
  ポアロものの必読の一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私の頭文字までまだまだ                   

 アガサ・クリスティーが1935年に発表した長編推理小説で、エルキュール・ポアロものとひとつだ。
 ポアロものにはアガサの作品でも人気作、代表作が多いが、この作品も人気が高い。
 読んでみて、とても面白かった。これなら、人気が高いはずだ。
 ただ、もしかしたら、殺人犯をあてるという点からすれば、見つけられた読者探偵も多いのではないだろうか。
 まったく難解な事件よりも、もしかしたらこの男(もちろん、女の時もあるが)が犯人ではないかと思える方が、先へ先へとページが繰りやすいということもある。
 最後にはがっかりするか、やっぱりと満足するか、結果次第だろうが。

 この事件はタイトルのとおり、アルファベットの頭文字がついた街で、しかもその頭文字の人が殺されていく。
 例えば、最初の事件は「アンドーヴァ」という街で「アッシャー夫人」が殺害されるという具合である。しかも、犯人からは事前に我が名探偵ポアロのもとに事前予告の手紙まで届くのである。
 A、そしてB、さらにはC…。
 次々と実行されていく殺人。
 しかも、被害者にはなんら共通点もない。
 犯人の動機もわからず、それはまるで狂気の犯罪のように見えてくる。

 この物語はポアロの友人であり、ポアロものではしばしばその語り部にもなっているヘイスティングズ大尉の視点で描かれているが、途中で彼の記述でない文章が差し込まれる。
 もちろんそれは事件に関係しているのだが、こういった構成の巧さもアガサの魅力にもなっている。
  
(2019/03/19 投稿)

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 今日は彼岸の入り
 彼岸の俳句といえば
 やはり、これ。

    毎年よ彼岸の入に寒いのは      正岡 子規

 病床六尺の不自由な生活ながら
 母親のなにげない一言を
 文芸の域にまで高めた技は
 さすが正岡子規
 そして、今週末には東京でも桜の開花宣言があるかも。
 桜より一足早く満開の花を咲かせているのが
 白木蓮

  20190315_084359_convert_20190316163808.jpg

    声あげむばかりに揺れて白木蓮     西嶋 あさ子

 この白木蓮のほかにも
 よく見ると
 春を感じる草花がたくさん咲き始めました。
 これは、土筆(つくし)

  20190315_084549_convert_20190316163903.jpg

    一握りとはこれほどのつくしんぼ      清崎 敏郎

 畑でもナズナの花を見つけました。

  20190315_115630_convert_20190316164258.jpg

 ぺんぺん草とも呼ばれるのは
 果実が三味線のばちに似ているからと
 「歳時記」にも書かれています。

    晩年の夫婦なづなの花白し     篠崎 圭介

 こうしてみると
 草も季節を伝える大切な手紙のように思えます。

 畑は春どりのダイコン
 先週に続いて収穫したり
 ナバナを少しばかり摘んだりしましたが
 本格的な夏野菜の栽培までは
 もう少し先。

 スナップエンドウもよく見れば
 花がつきかけてきましたが
 ごらんの通り。

  20190315_112240_convert_20190316164022.jpg

 まだまだ時間がかかるかな。

 こちらはニラ

  20190315_112642_convert_20190316164129.jpg

 春の草のように大きくなってきました。
 それもそのはず
 ニラ春の季語

    むさし野に住みつく韮の苗育て     沢木 欣一

 こんなところにも
 春をみつけた気分です。

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  今日は
  中山千夏さん文、和田誠さん絵の
  『どんなかんじかなあ』を
  紹介します。
  書評にも書きましたが
  この本は2005年に出版されて
  今年(2019年)にはいって
  テレビ番組で紹介され
  また話題になっています。
  この本は
  2006年の夏休みの課題図書に選ばれていて
  その年の8月
  私も書評を書いています。
  その時の書評は
  ずっと前にこのブログでも
  紹介しました。
    こちらを。
  十年以上も前に書いた
  書評と比べてみて下さい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  いいものはいつまでもいい                   

 最近日本テレビ系の「世界一受けたい授業」という番組で紹介され、再び脚光を浴びている中山千夏さん文、和田誠さん絵の絵本。
 最初に刊行されたのが2005年7月、その年の第11回日本絵本賞を受賞しています。
 障害をテーマにしていて、とても考えさせられる絵本の名著です。

 なにごとにも好奇心旺盛の男の子、ひろくん。
 ともだちに目の不自由なまりちゃんがいる。
 だから、見えないというのはどんな感じなのか、考えてみた。
 そして、目をとじる。
 そうしたら、たくさんの音でいっぱいだった。
 さのくんというともだちは耳が不自由。
 だから、耳せんできこえなくした。
 そうしたら、今まで見えていなかったたくさんのものが見えてきた。

 ひろくんは好奇心旺盛だから、いろんなことに興味があって、それでわかることも出てくる。
 きみちゃんは神戸の震災で(あれは1995年でした)お父さんもお母さんも亡くしてしまった。
 ひろくんはそんなきみちゃんの気持ちを「どんなかんじかな」と考えてみた。
 でも、わからなかったのできみちゃんに聞いてみる。
 「すごくさびしいんだろうね」って。
 でも、きみちゃんはそうでもないという。

 私たちのまわりにはそれぞれ事情を抱えた人たちがたくさんいる。
 その人たちのことを「どんなかんじかな」と考えるだけで、少しだけ世界が違ってみえるのかもしれない。
 もし、いじめられているともだちがいたら、「どんなかんじかな」と考えるだけで、違う行動がとれるかもしれない。

 この絵本のすごいところは、最後。
 きみちゃんがひろくんのところできて、「いちにちじっとうごかない」て、「どんなかんじかな」と思ったという。
 どうしてだと思います?
 最後のページに描かれたひろくんを見て、胸が熱くなります。
  
(2019/03/17 投稿)

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  昨日三浦しをんさんの
  『本屋さんで待ちあわせ』という
  書評本を紹介しましたが
  書評といえば
  丸谷才一さん。
  丸谷才一さんが亡くなったのは
  2012年10月で
  もう7年近くなります。
  それでも
  丸谷才一さんが
  書評文化に残された功績は
  今でも色褪せるものではありません。
  今日は
  丸谷才一さんの書評本
  『快楽としての読書 日本篇』を
  再録書評
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  犬も歩けば書評にあたる                   

 丸谷才一さんは書評の特長として、まず内容の紹介であること、評価がきちんとされていること、文章として読む楽しみがあること、そして批評性、その四つをあげている。
 この本ではそんな丸谷さんの書評が122篇収められている(この巻では日本の作者による本、[海外篇]で外国の作者によるものと分冊になっている)。
 これだけの量ともなると、書評といってもいささか食傷ぎみになるものだが、そこはなんといっても丸谷さんの書評である。読み物として完璧なのだ。
 ここで取り上げられているのはさまざまな本で内容的には一般読者として難しいものもかなりあって、内容の紹介、評価といわれてもついていくのも大変だ。それを一気に読ませるのは、丸谷さんの筆の力といっていいだろう。

 どの書評も書き出しがいい。
 いったいにいい文章というのはまず読者をうまくひきつけるものだが、書評であっても文章の魅力は書き出しといいたいくらいに、丸谷さんはうまい。
 直球勝負の時もあれば、変化球でいなしてそのあとずばんとど真ん中へというのもある。あるいは、最初からつり球というのもあり。書評というよりも読み物として、書き出しは重要という見本。
 終わりもいい。褒めるのも貶すのもいい。貶すにしても優しさがあり、褒めるにしても節度がある。それでいて、終わりはいさぎよく直球のみ。読み手を迷わさない。
 では、真ん中はどうなんだといわれたら、丸谷さんの才が勝ちすぎて四苦八苦。快刀乱麻の配球に唖然と見送ることばかり。

 それとタイトルのつけかたが絶妙だ。
 井上ひさしの『私家版日本語文法』には「黒板のない教室」、高田静の『さつまあげの研究』には「西郷も大久保も食べた」と、こういうタイトルなら読む前から食指をそそられる。
 芥川賞の選評などでよくもう少し題名のつけかたに工夫をしたらと書かれることがあるが、実作者たちも丸谷さんの書評タイトルでもう少し勉強した方がいいかも。

 この[日本編]には書評のほかに「書評のある人生」としてまとめられた文章が三篇収められていて、日本の書評事情がよくわかる。もちろん、丸谷さんが大いに書評文化を喧伝した功績も大きい。
  
(2012/08/25 投稿)

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  今日紹介する
  三浦しをんさんの『本屋さんで待ちあわせ』は
  最近文庫本になって
  本屋さんに並んでいます。
  それを見つけて
  こりゃ読まないとと思って読んだのですが
  最初に刊行された2012年の秋に
  もう読んでいました。
  本の途中でなんとなく既視感があって
  ブログを調べたら
  ちゃんと書評まで書いていました。
  記憶喪失?
  というわけで、
  今回は再読書評になります。
  以前のものと比べてみるのも
  面白いですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  三浦しをんさんの本への愛がいっぱい詰まってます                   

 なんとも素敵な書名だが、この本は小説ではなく、著者の三浦しをんさん曰く、「一応「書評集」ということだ。
 この「一応」が曲者で、三浦さんの弁によれば「ちゃんとした評論」ではなく、その本への愛の咆哮のようなものだという。
 なので、自身が「ピンとこなかった」本は紹介されていなくて、三浦さんの愛が詰まった本ばかりということになる。

 作家の書評集を読むのは、その作家がどんな本を選択し、どんな言葉や表現をもってその本を紹介しているのかを知ろうということだろう。
 なので、三浦さんの愛読者にとっては、三浦さんが愛する本を手にして同じ世界に浸りたいと思うにちがいない。
 では、三浦さんの作品を知らない人はこの本とどう接すればよいか。
 この本は「書評集」だが、本全般への愛、あるいは読書愛にあふれた一冊にもなっている。
 この本の最後に収められた「求めるものに応えてくれる」と題されたエッセイの最後には、「本は、人間の記憶であり、記憶であり、ここではないどこかに通じる道である」とか「本は。求めるものの呼びかけに必ず応えてくれるだろう」とかあって、こんな文章を書けるのは、読書愛が半端ない証拠だろう。

 あるいは。「棚を眺めていて本と「目が合う」瞬間の喜びは格別だ」なんていう文章を読むと、この人の本に対する愛が本物だということがよくわかる。
 なので、本への愛、読書愛を求めている人は、読んで損はない。
 だいたい、「本屋さんで待ちあわせ」すること自体、本への愛に充ちている。
  
(2019/03/15 投稿)

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  今日は
  元「童話屋」の読書相談員だった
  向井惇子さんの講演録
  『「どの絵本読んだらいいですか?」』を紹介します。
  この本には
  子育てのためのいろんなヒントが入っています。
  その中のひとつ。
  笑わない赤ちゃんの話があって、
  それは周りの大人が赤ちゃんに働きかける機会が
  減っているからではないかと
  ありました。
  赤ちゃんは働きかけられることで刺激になって
  いろんな能力を発達させるようになっているそうです。
  だから、皆さん、
  赤ちゃんにはたくさんお話してあげて下さい。
  そのためにも
  素敵な絵本を読んであげられたら
  いいですね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  たくさんのことを教えられました                   

 「童話屋」は現在「詩と絵本の出版社」として良質な本を出版していますが、かつては渋谷などに書店も構えていました。
 開店したのは1977年で、「ほんとの子どもと大きくなった子どものための本屋」として、その店づくりや品ぞろえにこだわっていたそうです。
 この本はその「童話屋」で読書相談員をされていた向井惇子(あつこ)さんが、2003年(平成15年)の秋に東京の目黒区東山社会教育館が企画した「子育てに絵本を」という講座で2回講演されたものを記録として編集したものになっています。
 向井惇子さんは1931年に生まれ、2017年に亡くなっています。生前の活動は多岐にわたっていますが、巻末に掲載された東山絵本勉強会の星望さんの「受け継がれていくもの」という文章の中で詳しく紹介されています。

 「子育てに絵本を」というタイトルの講演でしたが、向井さんは「赤ちゃんに、本は必要ありません」と言っています。
 どういうことかというと、赤ちゃんが言葉の大切さをわかるようになってからで絵本を読み始めてもいいと言っています。
 それがだいたい2歳過ぎ。
 しかし、だからといって、それも個人差があるので、決めつけないことも大事だと言われています。

 また、絵本を選ぶときに大事なこととして、こうまとめています。
 もっとも大事なのが、お話。
 その次に絵ですが、お話を深く理解できるもの、また楽しめるもの、そして美しいこと。
 なによりも、選ぶ人がきっちりと吟味すること、つまり自分で読んでみることを薦めています。

 でも、どんな絵本を選べばわからない人はいるでしょう。
 そんな人のために、向井さんが薦める絵本や読み物のリストも付いているので、安心です。
  
(2019/03/14 投稿)

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  彼岸が近い。
  といっても、お墓まいりする習慣がない。
  故郷である大阪に
  亡くなった両親のお墓があるが
  故郷に帰るとおまいりする程度だ。
  申し訳ありません。
  そんな私ですが
  作家のお墓はちょっと見てみたい。
  できれば、手を合わせてみたいと
  思わないこともない。
  今日紹介する
  山崎ナオコーラさんの
  『文豪お墓まいり記』は
  そんな気分を少しだけ満たしてくれますが
  これは山崎ナオコーラさんの
  作家宣言みたいな面もある
  一冊になっています。
  山崎ナオコーラさんのファンの皆さん、
  必読です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  礼儀をもっておまいりします                   

 墓まいりといっても、自分の親族のそれでも友人のそれでもない。
 会ったこともない、けれどその作品が気になって、書いた作家その人も人生もそうだが、その人は死後おさまっているお墓にまで興味をひかれる。
 そんな趣味はないという人は当然多いだろう。
 しかし、やはりおまいりしてみたい、あの作品を書いた人はどんな墓で眠っているのか見てみたい、と思うファンもまた当然いる。
 作家の墓めぐりのようなガイド本まであるぐらいだから。

 最初この本を見つけた時、山崎ナオコーラさんはそういうガイド本まで書くようになったのかと意外な気持ちになった。
 しかし、これは文芸誌「文學界」に2年に亘って連載されていた、正統「文豪お墓まいり」なのである。
 もちろん、お墓まいりであるから、そのお墓がどこの霊園、例えば多摩霊園とか谷中霊園とか青山霊園といったように、そのお墓のある霊園やお寺の名前ははいっている。
 あるいは、山崎さんがお墓まいりの途中で立ち寄った食事処なんかの記述もある。
 だから、ガイド本の側面もないではない。
 けれど、この本はお墓まいりの名を借りた、山崎さんの作家としての決意のようなそんな仕掛けになっている。

 おまいりしたお墓は、中島敦、永井荷風、谷崎潤一郎、太宰治、幸田文、星新一、夏目漱石、獅子文六、高見順など26名の「文豪」の方々。
 その墓前で「作家にはいろいろな道がある。みんなで同じ道を目指す必要はないのだ」とつぶやく、山崎さんの健気さにちょっとしんみりさせられた。
  
(2019/03/13 投稿)

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 いつも月曜は
 「わたしの菜園日記」を書いていますが
 昨日の月曜は3月11日でしたで
 東日本大震災関連の本を紹介しました。
 なので、
 一日遅れの「菜園日記」となります。

 日ごとに春の訪れを感じるようになって
 畑も夏野菜の準備をしないといけません。
 狭い畑なので
 栽培、収穫をうまいタイミングでしないといけないのですが
 そうはいっても
 次の栽培があるので
 少し早採りの収穫となるのも仕方ありません。
 これはホウレンソウ

  20190309_125408_convert_20190310113930.jpg

 この日、これは全部収穫しました。
 ところで、ホウレンソウ春の季語だって
 知ってましたか。
 ちなみに「歳時記」には
 「菠薐草」という漢字で出ています。

    菠薐草スープよ煮えよ子よ癒えよ      西村 和子

 こちらはサニーレタスカラシナ

  20190309_130919_convert_20190310114122.jpg

 どちらも収穫には少し早いですが
 こちらも全部収穫しました。

 空いた区画は
 元肥をいれて
 畝づくり。

  20190309_142500_convert_20190310114240.jpg

 この畝には
 トウモロコシサトイモを植えるつもり。
 元肥をなじませるために
 2、3週間おきます。

 春どりのダイコン
 収穫してみました。

  20190309_151226_convert_20190310114411.jpg

 これは三太郎という品種で
 短矩ダイコンらしいですが
 少し小太りぎみですよね。
 ダイコンおろしでまずは頂きましたが
 とてもおいしい味でした。
 ダイコンは冬の季語ですが
 春大根として春の季語になっています。

 そして、10日の日曜日には
 ジャガイモを植えました。

  20190310_103400_convert_20190310114520.jpg

 畝半分に6個のタネイモを植えつけます。

  20190310_103403_convert_20190310114730.jpg

 ジャガイモは植え付けのあとは
 水を嫌いますから
 雨予報が出ていたので
 黒マルチもかけました。

 あともう少しで収穫できそうなのが
 ナバナ

  20190309_125526_convert_20190310114029.jpg

 花が咲く前に収穫しないといけないので
 様子を見ながらの収穫になりそうです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  東日本大震災から8年。

  2011年3月11日午後2時46分。
  あれから8年、その歳月を
  長いと感じるか
  短いと思うか
  それは人それぞれ。
  平成がまもなく終わろうとする中、
  決してあの日のことを
  歴史の向こう側においやってはいけない。
  今日紹介する
  『生きる』という本は
  東日本大震災から1年が経って刊行された写真集で、
  この本自体もう7年前のものです。
  けれど、ここに収められた写真に
  涙する人がいるかぎり、
  生きるとつけられた意味は大きいと思います。
  私たちは
  これからも「あの日」とともに
  生き続けるのです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  あの日のことを忘れない                   

 名取市閖上小学校の体育館いっぱいに吊り下げられた写真の数々。
 それらの写真は被災地の瓦礫の下から自衛隊や消防隊の人たち、あるいはボランティアの人たちが見つけたきたもの。波や泥をかぶったそれらの写真を丁寧に洗い、こうして乾かしている風景だ。
 その中を一人の幼い少女が佇んでいる。
 その一瞬をとどめたこの写真は、2011年5月11日に撮影されたものだ。
 東日本大震災が起こってから2ヶ月めの、光景だ。

 この写真集は日本写真家協会が「東日本大震災から一年」になることを契機に編まれたもので、2012年2月に刊行されている。
 この写真集に収められた、震災当日の津波のものも、「ふるさと」というタイトルの章に収められた昭和30年代の東北各地の写真も、あるいは震災のあと懸命に生きる被災者の皆さんのそれも、写真が持っている「記録性」という点では強いインパクトを感じる。
 しかも、それだけではなく、これらの写真には写真家たちが写せなかった悲しみや悔しさまでもが写り込んでいるような気がする。
 それは写真家が写したものだからということではない。
 冒頭に書いた、体育館いっぱいに吊り下げられた写真は、それを撮っただろう人たちの思いが熱気のようにして立ち上がっている。

 巻頭に「解説」として作家の伊集院静さんの文章が収められている。
 そのタイトルもまた「生きる」。
 そこにこう書かれている。
 「やがて遠い日の記憶に、あの日がなろうとしても、あの日を身体で、こころで感じた私たちは語り継いでいかなくてはならない」と。
 あの日を忘れないことも、ささやかだけど大切な、支援のような気がする。
  
(2019/03/11 投稿)

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  明日、3月11日
  東日本大震災から8年になります。
  書評にも書きましたが
  今日紹介する
  谷川俊太郎さんの詩の絵本『だいち』は
  直接的には東日本大震災と関係がありませんが
  とても深く
  心から深く
  あの日のことを思い出す詩であることは
  まちがいありません。
  そして、あの大きな大地の揺れにあって
  この詩のことを思い出し
  子どもたちに読んであげた小学校の先生がいたというのも
  とても感動する挿話です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  だいちのうえの つかのまに                   

 たまたま手にした、一冊の本との出合いに驚かされることがある。
 あるいは、それは一篇の詩の時もあるし、ひとつの短い小説の場合だってあるだろう。
 「詩の絵本 教科書にでてくる詩人たち」のシリーズとして、谷川俊太郎さんの、絵は山口マオさんの、この絵本を読もうと思った  きっかけは、それが谷川俊太郎さんの詩であったからでした。
 だから、私にはこの「だいち」というタイトルの詩のことは知りませんでした。

 読んでみて、そしてそれは2011年3月11日に起こった東日本大震災からもうすぐ8年になる春が間近になったある日でしたが、この詩から8年前のあの日のことを思い出していました。
 あの日、大きな「だいち」の揺れでたくさんの人たちが犠牲になられた。
 この詩にあるように、「だいちのうえに たねをまき/だいちのうえに いえをたて」たたくさんの人たちが、死んでいったのです。

 この詩は元々1987年に刊行された『いち』という詩集に掲載された詩だそうですから、東日本大震災も阪神大震災も想像もされていない時期に書かれたものです。
 それでいて、強くあの日のことが想起されるのは、詩人の嗅覚のようなものだったのでしょうか。

 そして、この詩は東日本大震災のあと2年生の子どもたちに読んであげた小学校の先生がいたことが、この絵本の巻末に紹介されています。
 そして、解説を書いた宮川健郎さんは「詩には、私たちにふだんの見なれた風景を見直させる力がある」と綴っています。
 とても、考えさせられた詩の絵本との出合いでした。
  
(2019/03/10 投稿)

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  今日はいよいよ
  山本周五郎の『樅ノ木は残った』の
  最終巻である下巻
  紹介です。
  毎週1巻ずつの紹介になりましたね。
  この作品は
  1970年にNHK大河ドラマになっています。
  残念ながら
  私は未見です。
  主人公の原田甲斐を平幹二朗さん
  彼を慕う宇乃を吉永小百合さんが演じたそうです。
  この配役だけでも
  観たかったと思いますよね。
  最近の大河ドラマはあまり評判が芳しくないですが
  もう一度この作品をドラマ化しても
  面白いかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  今でも読み継がれるその訳                   

 山本周五郎の代表作のひとつでもある長編小説。
 新潮文庫で改装版として平成30年9月に刊行されたのは上中下の3巻仕立てで、この巻が最後となる下巻。
 その最後で江戸前期に起こった伊達騒動の核心となる原田甲斐による刀傷沙汰が描かれている。
 当然ここまで読み進めてきた読者は原田がどういう思いで死んでいったか理解できるが、この事件だけを聞けば原田は巷間でいわれる狼藉者になるのだろう。

 「いかなる真実も、人の口に伝われば必ず歪められてしまう」。
 これは主人公原田甲斐が常に自身戒めてきた思いだという。
 もちろん、そこには作者である山本周五郎の思いがある。だから、自分はこの作品を書いたと、山本周五郎の声が聞こえてきそうだ。
 しかし、この作品は歴史上の真実を暴こうとした作品だけでなく、物語としても面白さがふんだんに盛り込まれている。

 その一つが登場人物の造形である。
 主人公である原田甲斐はいうまでもなく、彼を慕う宇乃という乙女、そして何よりも騒動の発端となる惨殺事件の被害者の弟である宮本新八という若者の描き方が秀逸だ。
 新八は兄の死後、運命に弄ばれるように多くの苦難に陥るが、武士の生き方を棄て、芸の道に生きようとする。
 原田はそんな新八を見、「自分の好むもののために生き、そのために死ぬことができる」、その方が人間らしいのではないかと考える。
 この長い物語は、もしかしたらこの新八という若者がいるからこそ今でも多くの読者を感動せしめるともいえるのではないだろうか。
  
(2019/03/09 投稿)

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  今日は
  松本清張の『黒い画集』から
  「寒流」という短編小説を紹介しますが
  実は先日
  1961年(昭和36年)に映画化された
  この作品を原作より先に観てしまってのです。
  監督が鈴木英夫
  主人公の沖野を池部良が演じています。
  ヒロインの奈美役は新珠三千代です。

  

  この時の新珠三千代のきれいなことといったら。
  この映画では
  原作で「R」となっていた東京の街は
  池袋となっていました。
  昭和35年あたりの池袋の駅前が
  映像で観られるのですから
  それもまた貴重です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  今も昔も変わらない宮仕えのつらさ                   

 初出は昭和34年(1959年)秋に「週刊朝日」に連載された。
 文庫本にしてほぼ150ページあるから、やや長めの短編小説といえる。
 ただ面白いからぐいぐい読めてしまう。

 舞台は銀行。副頭取と常務の対立がある構造など昭和の時代も平成もあまり変わらない。
 主人公の沖野は常務と学校が同期の43歳。常務派の一人で常務のひきで東京都内でも活気のあるRという支店の支店長になる。
 このままいけば重役の職もありうると思えた栄転だが、沖野の悲劇はここから始まる。
 その支店で料亭の若い女将前川奈美と知り合い、たちまち深い関係になっていく。
 しかし、そこに常務の桑山が現われ、奈美に強引に近づいていく。
 沖野は既婚者だが、奈美との結婚も意識している。そうなれば、銀行にもいれなくなるだろう。沖野は銀行という組織を出たら、「ツブシの利かない無能力者になりはてる」と自覚しているのだ。
 そうこうしている内に、桑山は沖野がじゃまになって、宇都宮への異動を決めてしまう。
 沖野は桑山と奈美が出来ていることに気づき、復讐しようと行動するのであったが。

 桑山の乗る「キャデラック」が、事件の重要なキーワードになっている。
 そういえば、小林旭が大ヒットさせた歌「自動車ショー」があって、キャデラックは出てこないものの外車の名前が次から次へと登場する。
 あの歌は昭和39年(1964年)だったから、外車を描いたのも松本清張の眼力の確かさゆえだろう。
  
(2019/03/30 投稿)

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  今日は
  神戸新聞「次の本へ」取材班編の
  『次の本へ V3 仕事編』を
  紹介しますが
  『次の本へ』シリーズは
  毎回読んでいることになります。
  最初読んだのが2015年、
  次が2016年。
  そして、今回。
  いずれもこのブログで紹介していますから
  興味のある方は
  検索してみて下さい。
  こういう本を読むといつも思うことですが
  自分が読んできたのも
  本当に狭い世界で
  本の世界は
  きっと計り知れないくらい
  広いということです。

  じゃあ、読もう。

  


sai.wingpen  次から次へと本と出合う                   

 この本を出版している苦楽堂は2014年6月に設立された、神戸にある出版社です。
 なので、まだそんなにたくさんの本を出版している訳ではありませんが、今回三冊めとなる『次の本へ』シリーズなど本に関わる良書を造っている出版社です。
 『次の本へ』は今までは著名人だけでなくごく普通の人たちも含め、一冊の本から次の本につながる思いをエッセイとして書かれたものを編集した読書ガイドでした。
 今回の本では神戸新聞(ここでも神戸です)の「次の本へ」取材班の記者の人たちが、多種多様なお仕事をされている人たちに取材をして書かれた記事をまとめたものになっています。
 なので「しごと編」といっても、ビジネス書ばかりが紹介されているのではなく、ごく普通に仕事をされている人がどんな本を読み、そこからどんな本につながっているのか、それが読者へのガイドにもなっているということです。

 紹介されている本では小説がないわけではありませんが、特にそれに偏っていることはありません。
 ごく普通にお仕事をされている人たちですが、本当にその人の心に届く本というのは多種多様で、知らない本がたくさん紹介されています。
 この本を読むと、人が本と出合うきっかけというのも多様で、何か学校で教えられたということばかりではありません。もちろん、尊敬する先生に教えられたという本も出てきますが。

 だから、もしかしてこの本をきっかけにして、私たちも新しい「次の本」と出合うことになるかもしれません。
 そんな出合いがうれしい、一冊です。
  
(2019/03/07 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  二十四節気のひとつ、啓蟄(けいちつ) 。
  さあ、「歳時記」を開きましょう。
  春の部の「時候」に分類されている季語でもあります。
  まず、解説にこうあります。
  「暖かくなってきて、冬眠していた蟻・地虫・蛇・蛙などが
  穴を出るころとされる

  そして、例句が載っています。
  啓蟄は割りと詠まれることの多い季語かも。

     啓蟄や鞄の中の電子音      長嶺 千晶

  この句などは最近詠まれたのでしょうね。
  こんな感じに
  俳句に親しめたらいいですね。
  今日は
  石寒太さんの
  『実践!すぐに詠める俳句入門』を
  紹介します。
  さっそく
  あなたも啓蟄で詠んでみては。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  初心者だからこそ、わかりやすい入門書を                   

 夏井いつきさんが出演されている「プレバト!!」はバラエティー番組である。
 だから、肩肘張って、俳句を勉強するということでなく、芸人たちの詠む俳句に感心したり、夏井さんの辛口批評に笑ったりしながら、つい自分も五七五でものを考えたりしている。
 夏井さんの功績はそればかりではない。
 「俳句甲子園」といった高校生の俳句大会の創設に関わったり、この本の著者である俳人の石寒太さんに言わせると、「俳句は誰にでもできるんだ」ということを初心者にわかりやすく伝え、俳句人口を増やしているすごい人ということになる。
 初心者向けのこの本でも、石さんと夏井さんの「対談」が「特別収録」という形で掲載されているのは、読者をひきつけるための仕掛けといっていい。

 夏井さんや石さんのそういった活動により俳句を始めたいという人は増えている。
 スポーツの世界でもそうだが、卓球、バトミントンといった従来はマイナーなスポーツでも人気が高まることで競技人口のすそ野が広がり、強い選手が出やすい環境になっているように、俳句の世界でも俳句人口が増えれば、また新しい詠み手が誕生するのではないか。
 そういう点は楽しみだ。
 またシニアの人たちが俳句を通じて、新しいコミュニティを築けるとしたら、それもまた歓迎すべきだ。

 そして、そういった新しい詠み手がより俳句を楽しめるように、こういった入門書がきちんと正しい指導で編まれていることが、新しい人たちを裏切らない、近道だといえる。
 この本はそういう点では初めての人であっても入りやすい、つまりは読みやすい入門書になっている。
  
(2019/03/06 投稿)

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 朝日新聞
 毎週木曜の夕刊に
 〔アクテイブ・訪ねる〕という
 「街歩き」の記事があります。
 数週間前
 東京・茗荷谷(文京区)にある
 石川啄木終焉の地
 その記事で紹介されていて
 先日行ってきました。

 この記事では目的地周辺の名所や名店が
 素敵な絵地図で紹介されていて
 この地図を片手に歩いてきました。
 まず向かったのは
 NHK大河ドラマ「いだてん」で脚光を浴びている
 金栗四三が学んだ
 東京高等師範学校
 現在の筑波大学東京キャンパスというのは
 知りませんでした。
 そこで開催中の
 嘉納治五郎とオリンピック特別展をぶらり。

  20190301_120715_convert_20190303115307.jpg

 大学を出て
 湯立坂を下った先に
 絵本・児童書の専門店「てんしん書房」があります。

  20190301_121753_convert_20190303115347.jpg

 大きくはないですが
 ぬくもりを感じる本屋さん。
 とってもホッとします。

 時間も昼食時でしたので
 これも絵地図に載っていた
 「ALL DAY HOME 茗荷谷店」で
 ダシのきいた和食のランチを頂きました。

  20190301_122230_convert_20190303125124.jpg

 なかなかしゃれた造りになっていて
 街の雰囲気にぴったり。

 そのあとはいよいよ
 この日の目的地
 石川啄木終焉の地に建つ
 歌碑と顕彰室です。

  20190301_141640_convert_20190303125339.jpg

 石川啄木といえば
 若い頃には必ずはまってしまう明治の歌人ですが
 明治45年4月13日に
 この小石川の地で亡くなります。
 この時、まだ26歳という若さでした。
 歌碑には
 石川啄木が最後に詠んだという2首の歌が
 載っています。
 そのうちのひとつ。

    呼吸すれば
    胸の中に鳴る音あり。
    凩(こがらし)よりもさびしきその音!


 顕彰室には
 石川啄木の自筆の手紙なども展示されています。

 歌碑の近くにある
 小石川図書館には
 石川啄木のコーナーがあって
 啄木関連の本がずらり。
 今でも人気のある歌人です。
 実は今回の街歩きでは
 この小石川図書館も行ってみたいところのひとつで
 ここではなんとレコードが
 たくさん所蔵されているのです。
 こういう図書館はなかなかないですから
 とても貴重。
 一見の価値ありです。

 そして、この日のもうひとつの楽しみが
 おいしいおしるこを食べること。
 そのお店が「cafe竹早72」。
 ここも新聞で紹介されていたのですが
 店名の意味がわからなくて
 お店の人に訊ねてみました。
 店名にある「72」は
 古代中国で考案された季節を表す方式のひとつで
 二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間をいう
 72候からつけられたそうです。
 このブログでも
 二十四節気のことはよく書きますが
 72候のことは
 詳しく知りませんでした。
 訪れたこの日は
 雨水 草木萌動(そうもくめばえいずる)ということになります。
 店内は
 季節感たっぷりで
 おしるこもおいしく
 なんとも贅沢な時間を満喫できました。

  20190301_135601_convert_20190303125252.jpg

 茗荷谷という街は初めてでしたが
 いい街でした。

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 昨日の雛まつり
 雨の一日になってしまいました。
 家の近くに
 今はお肉会席のお店になっている
 二木屋という
 国登録有形文化財のお屋敷があって
 そこで古の雛人形が展示されています。

  20190303_141349_convert_20190303152037.jpg

 見事なお内裏様に思わず見とれてしまいました。

  20190303_140936_convert_20190303151950.jpg

    通ひ路の袖に雫や雨の雛      夏の雨

 畑は3月にはいって
 今シーズン2回めの講習会がありました。
 さすがに作業が出来ませんが
 まずは座学で学習です。
 今回はこの春植えるジャガイモの植え付けの講習。
 ジャガイモを栽培するのは
 3回めになるかな。
 春に植えるジャガイモは結構たくさん収穫できるので
 楽しみ。
 ただ、芽が出るまでは
 水を嫌いますから
 昨日のような雨の日には植え付けができません。

 この時期
 雨が多くなったり
 気温が高めになりますから
 野菜たちの成長も
 見違えるほど早くなります。
 これはウスイエンドウ

  20190303_104647_convert_20190303113707.jpg

 先週よりうんとしっかりしました。

 こちらはニラ

  20190303_105147_convert_20190303113817.jpg

 新しい芽が顔をのぞかせています。

 ニンニク
 ごらんのように大きくなってきました。

  20190303_104507_convert_20190303113616.jpg

 畑の野菜を見ていると
 春がやってきたのがわかります。
 畑の横の
 桜の芽はまだまだ固いですが。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は雛祭 
  さすがに春の代表的な節句ですから
  「歳時記」の例句も
  たくさん載っています。
  有名なのは

     草の戸も住み替はる代ぞ雛の家     松尾 芭蕉

  私がいいなと思ったのは

     雛飾る四五冊の本方寄せて     山本 洋子

  こういう伝統ある行事は
  いつまでも残ってほしいですね。
  今日紹介するのは
  詩の絵本。
  『わかれのことば』という阪田寛夫さんの詩が
  絵本になっています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  詩をもっと読もう                   

 総合誌「文藝春秋」3月号に「美智子さまは小さな本がお好き」という皇后陛下美智子さまの読書遍歴を檀ふみさん、池内紀さん、それに安野光雅さん三人の鼎談記事が載っていました。
 その中で皇后美智子さまが詩をお好きなことをあげ、池内さんがこんな風に話されていたのが印象に残りました。
 「散文から詩に行く人は、本当に本好き、活字好きで読みの深い人です」。
 それを受けて檀さんが、美智子さまが高校生の頃に詩を暗唱されていた逸話を語っていました。

 この絵本は「詩の絵本 教科書に出てくる詩人たち」というシリーズの一冊です。
 学校の国語の授業などつまらないと思う人もたくさんいるでしょうが、なかなかどうして教科書で必ず載っている詩などは、もしかしたら人生の中でたった一度しかめぐりあわないかもしれない作品です。
 教科書がなかったら、詩と出合うことの喜びや感動を得られないかもしれません。
 だったら、やっぱり国語の授業も大切ではないでしょうか。

 そして、いいなと感じたら、詩集を手にとることをお薦めします。
 でも、まだ少し抵抗があるようなら、この絵本はどうですか。
 この絵本の詩人は阪田寛夫さん。
 有名な詩でいえば「サッちゃん」。童謡になっています。
 そして、この「わかれのことば」は少しばかり日本語で遊んでいます。
 例えば、「サイなら さいなら」なんて。
 でも、声に出して読むと、日本語のリズムの面白さに気がつくのではないでしょうか。
 もちろん絵本ですから、田中六大さんの絵も楽しめます。
  
(2019/03/03 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  先週に続いて
  山本周五郎の『樅ノ木は残った』の中巻
  今私が読んでいるのは
  平成30年9月の出たばかりの
  新潮文庫改版なのですが
  これは文字のポイントも大きく
  とても読みやすい版になっています。
  昔読んだ文庫本などを開くと
  その文字のあまりにも小さいことに
  驚くこともあります。
  改版で
  このように文字を大きくしてくれるのは
  私のような世代には
  とてもありがたいことです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  物語から目が離せられない                   

 山本周五郎の言うまでもない、代表作のひとつで、長編歴史小説である。
 平成30年秋に改版された新潮文庫では上中下の三分冊になっていて、これがその中巻。
 この長編歴史小説が江戸時代前期に実際にあった「伊達騒動」を題材としていることはすでに書いたが、この小説の面白さは騒動の真実が明らかになる面白さというよりも、物語がもっている緊張と緩和の面白さといっていいように思う。

 その顕著な例が、新潮文庫改版の中巻の冒頭にある「第二部 くびじろ」の章ではないだろうか。
 ここでは主人公である原田甲斐が自分の領地である船岡に戻り、その山奥で鹿猟をする姿が描かれている。「くびじろ」というのは原田が長年追い続けた大鹿で、ついに原田はくびじろを射止める奇遇を得る。
 大鹿と対峙しながら原田の心に去来するのは、自分は間違って生まれたという後悔。伊達藩の大家に生まれたが自分が欲したのは、野を駆け、動物たちと共に生きることではなかったかと。

 この章は「伊達騒動」を描くということではあまり必要性を感じないにも関わらず、この章があるから、そして、この章のような枝葉が実に見事であるゆえに、この長編小説はとてつもなく面白いのだといえる。

 「くびじろ」という章はまるで一篇の短編小説を読むが如くで、読書の面白さがここにはふんだんに盛り込まれている。
 同時代的にこの小説を読んでいた人にとっては、たまらなく幸福の時間だったのだと思える。
  
(2019/03/02 投稿)

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