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プレゼント 書評こぼれ話

  松本清張は生まれたのが1909年で
  今年生誕110年になります。
  もう一人、
  生誕110年になった文豪といえば
  太宰治
  松本清張がデビューした時には
  もう太宰治は亡くなっていたので
  二人には直接的な関係はありません。
  しかも
  作品の傾向はまったく違いますが
  二人とも短編小説の巧い書き手でした。
  今日は
  松本清張の短編の中から
  「鬼畜」を紹介します。
  そういえば、この短編、
  太宰治の「桜桃」の中の一節、

    子供より親が大事、と思いたい。

  みたいな短編です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  今でも「鬼畜」はあとをたたない                   

 昭和32年(1957年)に「別冊文藝春秋」に発表された、文庫本のページで50ページほどの短編である。
 発表から20年ばかり経った1978年に野村芳太郎監督(脚本は井出雅人)で映画化され、主人公の小心な男を緒形拳が演じてその年の男優賞を総なめした。
 この映画で作品を知っている人は多いだろうが、原作もいい。
 短篇だが、濃厚。
 読み物としての深みが凝縮されている。
 短くても物語の面白さや怖さは十分に伝わるのだということがよくわかる。

 主人公の宗吉は30過ぎまで各地の印刷屋を転々とする渡りの印刷工だったが、腕がいいことや真面目な性分でこつこつと金を貯め、自分の印刷所を持つようになる。
 27歳の時に結婚したが、その妻お梅は気性の勝った女だった。
 二人には子供がいなかった。その分、お梅も共に働いて、自営の印刷所は繁盛していく。
 そうなればなったで、本来小心な宗吉もついはめが外れて、料理屋の女中と関係を持ってしまう。
 その女菊代との間に子供まで出来たが、商売がうまくいっていることで、妻にばれないまま八年の年月が過ぎる。
 最初に出来た子が男の子で、次に女の子、さらには生まれたばかりの男の子と、三人の子供が出来たところで、宗吉の商売がうまくいかなくなる。
 生活に困った菊代は三人の子供を宗吉に押し付け、失踪。
 もちろんお梅はそんな子供をやっかいばらいしようとする。
 末っ子が栄養失調で亡くなったのを皮切りに、幼い女の子を捨て、さらには上の男の子までも殺そうとする宗吉。

 「鬼畜」というのは子供を殺そうとしたり捨てたりする親のことだが、この物語が発表されて半世紀以上経っても「鬼畜」はあとをたたない。
 そういう点では松本清張が描いたのは未来小説であったのかもしれない。
  
(2019/09/04 投稿)

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