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プレゼント 書評こぼれ話

  グルメというのは
  食通とか美食家という意味です。
  今日紹介する
  『かきバターは神田で』の著者
  平松洋子さんは
  この本を読めばわかるように
  まちがいなくグルメですが
  そういう気どった言葉ではなく
  おいしんぼという方が
  ふさわしい気がします。
  それに
  美食家でもありますが
  美文家でもあって
  その文章のおいしいことといったら
  たまりません。
  おいしい料理をどのように
  おいしく表現するか
  かなりの腕がないとできません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  平松洋子さんのおいしさの秘密                   

 本作は「週刊文春」に2016年8月から2018年4月まで連載されていて、つまりは好評連載で、それでいていきなり文春文庫オリジナルという、なんとも贅沢な食べ物エッセイである。
 平松洋子さんといえば、今や女東海林さだおともいえる存在であるが、東海林さんのように毎回「丸かじり」ではなく、上品さに時々ガブリと戴く豪快さを合わせもった筆力に、ファンは多い。
 平松さんの味にはずれは少ない。

 食べ物エッセイというだけあって、人を描く際にも食べ物の話題は欠かせられない。
 しかもそれが不自然でないのだから、平松さんの筆の巧さという以外にない。
 例えば、石牟礼道子さんのことを綴った文章。
 おそらく石牟礼さんが亡くなったあとの追悼の意味を込めてのコラムだろうが(この文庫で唯一残念なのが、連載時の日付がないこと)、そこでも生前石牟礼さんからご馳走になった炊きこみごはんのことが綴られている。
 石牟礼さんの食べ物の随筆を読みながら、最後には「あきれたことに、読みながら猛烈におなかが空いてくるのだ」となる。
 平松さんの食い意地がはっているのではない。
 石牟礼さんの文章のおいしさを表現するのに、こんなすばらしい褒め言葉はないだろう。
 平松さんにとって、食べ物はこの世界を語るのに欠かせない思いなのだ。

 「ぬるい味噌汁」というエッセイがいい。
 町のちいさな定食屋で体験した話。注文した定食についていた味噌汁のぬるいこと。文句のひとつもいえばいいのだが、忙しく働く店の人の姿に何もいえない平松さん。
 平松さんの文章がおいしいのは、こんな優しさが隠し味になっているからだ。
  
(2019/12/20 投稿)

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