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プレゼント 書評こぼれ話

  先日藤沢周平さんの
  『一茶』という小説を読みましたが
  これは読み応え十分の長編小説でした。
  小林一茶の人生は
  なかなか複雑ですから
  藤沢周平さんが長編にしたのも
  わかります。
  その一方で
  大岡信さんは「折々のうた」の
  解説文わずか180文字で
  小林一茶の略歴をしるされています。
  長谷川櫂さんの選による
  『大岡信「折々のうた」選 俳句(二)』の

    瘠蛙まけるな一茶是に有     小林 一茶

  につけられた解説文が
  絶品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  近代大衆俳句は一茶から                   

 詩人の大岡信さんが「朝日新聞」朝刊一面に詩歌のコラム「折々のうた」を掲載したのは1979年から2007年、途中に休載した時期もあったが、その連載は6762回に及ぶ。
 新聞連載に際しての大岡さんの思いなどは岩波新書版の『折々のうた』第1巻の「あとがき」に詳しく書かれている。その中で「採りあげる作品を短歌、俳句に限らない」ということを条件にしたとある。
 大岡さんは「和歌も漢詩も、歌謡も俳諧も、今日の詩歌も、ひっくるめてわれわれの詩」と考えておられたようだ。
 なので、連載時は昨日は和歌の紹介であっても次の日は俳句、その次は狂歌みたいなつながりとなっていた。

 今回の「選」集では、俳句で2巻、短歌で2巻、そして詩と歌謡で1巻の、全5巻となっている。
 俳句「選」集は俳人の長谷川櫂氏の編集で、この巻が2巻めである。
 長谷川氏は2巻に編むに際して、第1巻めを芭蕉・蕪村までの「古典主義俳句」とし、第2巻めは小林一茶から始まる「近代大衆俳句」としている。
 あえて明治期の正岡子規から近代としなかった理由については巻末の長谷川氏のエッセイに詳しい。
 つまり、俳句の大衆化(=近代化)はすでに江戸時代後半に始まっていて、古典など知らない庶民も俳句をつくるようになっていたという。
 明治期になって子規や虚子の活躍により、それは一層明確になっていく。
 俳句の隆盛は現在まで続いているが、もちろんこの「選」集のもとは大岡さんの「折々のうた」であるから、最近の若い俳人の句は、残念ながら載っていない。
  
(2020/02/27 投稿)

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  今日は
  睦月影郎さんの『ぼくのマンガ道』という本を
  紹介します。
  副題に「マンガに夢中だった」とあります。
  そんな少年時代、
  昭和30年代後半から
  昭和40年代前半でしょうか、
  その頃のマンガの話がずらり。
  睦月影郎さんもこの本に書いていますが
  「思い出せばきりがない」。
  それにしても
  この本に出て来るマンガのことは
  ほとんど覚えているというのは
  私もまた
  「マンガに夢中だった」ということ
  なんでしょうね、
  やっぱり。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  流星号、流星号、応答せよ!                   

 この本の著者睦月影郎という名前で、あああの作家とわかる人はかなりの官能小説好きかもしれない。
 睦月さんはその名前で官能小説を500冊以上刊行しているというから、官能小説家としては大御所なのだろう。
 官能小説家だからそういう類の本ばかり書いているかというと、そんなことはない。
 実際睦月さんは「ならやたかし」という名前で漫画も描いているという。
 睦月さんは官能小説家である前に、マンガ大好きな少年だったのだ。

 この本はそんな睦月さんが子供の頃に出会い夢中になったマンガの話満載なのだ。
 しかもうれしいことに睦月さんは昭和31年(1956年)生まれだから、昭和30年生まれの私とほぼ同い年。なので、ここに並んだマンガのほとんどに私もまた夢中になったものだ。
 手塚治虫やちばてつやの名作の数々は覚えている人も多いだろうが、「遊星少年パピイ」や「宇宙エース」、「スーパージェッター」なんかになるともうあの時代に子供だった世代にしか通用しないマンガのような気がする。
 何しろ睦月さんにとって、理想の乗り物は「スーパージェッター」の流星号というのだから、思わずわかるぅって叫びたくなる。
 「流星号、流星号、応答せよ!」なんて、やっていたものだ。

 世代が同じだとマンガを読む歩みもよく似てくる。
 「マガジン」「サンデー」から「COM」とか「ガロ」を読みだし、自分も漫画家になりたいと思いだす。
 そのうち上村一夫が描く妖艶な女性に悶えだしたりする。
 この本はまるでタイムマシンのように私は少年時代に連れていってくれた。
  
(2020/02/26 投稿)

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  NHK大河ドラマ「麒麟がくる」
  楽しく見ています。
  関連本がたくさん出ていますが、
  関連本というには
  随分前に刊行された本を
  今日は紹介します。
  吉川弘文館「人物叢書」の最初の巻でもある
  高柳光寿さんの『明智光秀』。
  ドラマの中で
  明智光秀が鉄砲について詳しそうな姿が
  描かれていますが
  実際にもそうだったようで
  この本にも
  そのようなことが
  書かれています。
  かなり以前の本ですが
  読み応え十分の
  好著です。

  じゃあ、読もう。  

  

sai.wingpen  信長の夢、光秀の夢                   

 昭和33年(1958年)に刊行されたこの本は今2つの点で注目を集めている。
 一つめはなんといってもこの本が今年のNHK大河ドラマの主人公明智光秀の伝記であるということ。 
 そして、もう一つが伝記シリーズである吉川弘文館「人物叢書」が2020年1月に通巻300巻という偉業を達成したということである。
 実に60年以上にわたって、日本史に影響を与えてきた人物を読み物ではなく至って真面目な歴史書かつ伝記物として刊行してきたのだから敬服する。
 その第一巻がこの『明智光秀』で、記念の300巻めに取り上げられているのが『徳川家康』というのも何か不思議な感じがする。
 普通考えれば、『徳川家康』の方が偉人としては一般的であろうに、裏切り者の象徴でもある明智光秀を一番に持ってきたところなど、なかなかセンスがいい。

 この本の冒頭にまず「光秀の出自はどうもはっきりしない」と書かれている。
 それは現在でもそうらしい。いくつかの説があるとか聞く。
 はっきりしてくるのが、織田信長に仕えたあたり。永禄11年(1568年)頃からだという。
 信長に仕え、高い地位も得る。でありながら、光秀が本能寺の変で信長を討つのは天正10年(1582年)だから、異能の主人に仕えてわずか14年ばかりだ。
 何故光秀は信長を討ったか、この本でもさまざまな説が記述されているが、案外あまりに近くにいたことで信長の魅力もその逆も見え過ぎたのかもしれない。

 著者は最後に光秀が「信長の部下として行った為事(しごと)は信長の為事の一部分」と記している。
 光秀は夢見たものは、信長もまた見た夢だったのだろうか。
  
(2020/02/25 投稿)

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 先日の22日(土曜日)
 関東で春一番が吹きました。

    春一番競馬新聞空を行く      水原 春郎

 例年より15日も早かったそうです。
 昨日の日曜も
 まだ風が強く、
 菜園に立てられているノボリも
 ごらんのように
 はためいていました。

  20200223_113653_convert_20200223144629.jpg

 春一番が吹くぐらいですから
 探せば
 あちこちに春を感じるものを
 見つけられます。
 菜園で見つけたタンポポです。

  20200223_114325_convert_20200223145355.jpg

    たんぽぽや日はいつまでも大空に      中村 汀女

 そして
 これはトウ立ちして
 黄色い菜の花が咲いてしまった小カブ

  20200223_102943_convert_20200223143857.jpg

 先週も書いたように
 菜の花はアブラナ科の野菜に咲く花の総称で
 小カブもアブラナ科。
 あわてて収穫した小カブがこちら。
 見事な赤いカブにできました。

  20200223_132202_convert_20200223145316.jpg

 アブラナ科といえば
 ハクサイもそうです。
 これは珍しいハクサイのトウ立ち。

  20200223_104323_convert_20200223143946.jpg

 マーケットなんかでは見ることが
 ほとんどありません。

 かわいい花でいえば
 イチゴにも白い花がつきました。

  20200223_102725_convert_20200223143743.jpg

 まだひとつきりですが
 これからたくさんつけてくれるでしょう。

 この日は
 ジャガイモを植え付けました。
 種イモを選んで
 畑に植えます。

  20200223_111920_convert_20200223144530.jpg

 ジャガイモの植え付けで
 他の野菜と違うところは
 置き肥をするところ。
 植え付けた種イモの横に
 元肥を置きます。
 これが
 この春最初の植え付けになりました。

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  今日は
  令和初めての天皇誕生日
  お祝いの一般参賀は
  残念ながら新型コロナウイルスの影響で
  中止となってしまいました。
  楽しみにしていた人も多いでしょうが
  仕方ありません。
  そこで今日は
  元気の出る野菜の絵本を紹介します。
  いわさゆうこさんの
  『どっかん だいこん』。
  私の畑には
  今も何本かダイコンが残っています。
  遅まきのダイコンですが
  そろそろおしまいです。
  いわさゆうこさんも書いているように
  だいこんがあるだけで
  安心します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  だいこんはまるでお母さんみたい                   

 だいこんほど日本人に愛されている野菜はないかもしれません。
 その証拠に「歳時記」にもたくさんのだいこんの季語が載っています。
 大根焚、大根畑、大根引き、大根洗ふ、大根干す、もちろん大根そのものも。
 これらはいずれも冬の季語。
 秋の季語の中には「大根蒔く」があって、大根の種まきの時期も示しています。
 そして、春の季語には「大根の花」があります。
 家庭菜園で大根を育てていると、この大根の花を見ることはありません。どうしてかというと、それまでには大根引きしてしまうからです。
 なので、大根の花を見つけた時はうれしくなりました。

 だいこんの話がいっぱい書かれている、いわさのりこさんのこの絵本にも大根の花のことが書かれています。
 「はるかぜ そよそよ みどりのにおい」と、ちゃんと春の季語らしい文と絵になっています。
 この花のあとどうなるか、そう種がつきます。
 いわささんはその種まできちんと描いています。
 普通だいこんの絵本といえば、真っ白でまっすぐ育っただいこんの話と思いがちですが、いわささんのこの絵本では花から種、そ れとたくさんの品種が写実的な絵で紹介されています。
 日本にはその土地でしか育たない地だいこんが100近くもあって、見たこともないだいこんをこの絵本で見ることができます。
 岐阜のもりぐちだいこんはスラッと細く、まるで杖のようなだいこんです。

 いわささんはだいこんを切らしたことがないそうです。
 何故なら、「だいこんがあるだけで、あしたも元気に過ごせそう」だとか。
 だいこんのどっしり感がそうさせるのかも。
  
(2020/02/23 投稿)

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  昨年2019年の9月のはじめ
  私は何をしていたのだろう。
  毎日、テレビも新聞も見ていたはずなのに
  京都で開催されていた
  ICOM(アイコム/国際博物館会議)京都大会のことは
  まるで知りませんでした。
  今日紹介する
  原田マハさんの短編集
  『20 CONTACTS 消えない星々との短い接触』は
  書評にも書きましたが
  その大会の中での企画イベントのひとつとして開催された
  展覧会をもとに
  書かれたものです。
  原田マハさんの大ファンなら
  2019年9月に
  京都まで行かれたのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  原田マハさんの想いを詰めて                   

 ICOM(International Council of Museums:国際博物館会議)という組織のことは知りませんでした。調べると、ミュージアムの進歩発展を目的とした世界で唯一かつ最大の国際的な組織だそうです。
 3年に一度世界的な大会を開催していて、2019年には京都で第25回の会議が開催されました。
 この時のテーマは「文化をつなぐミュージアム ―伝統を未来へ―」で、たくさんのイベントが組まれたそうです。
 その中の一つが、数多くのアート小説を発表してきた原田マハさんによる初の展覧会「CONTACT つなぐ・むすぶ 日本と世界のアート展」でした。
 その展覧会のために編まれた短編集がこの作品です。

 20の「消えない星々」とは、全員の名前は表紙に記されていますから一部だけ抜粋すると、猪熊弦一郎、ポール・セザンヌ、黒澤明、川端康成、棟方志功、手塚治虫、東山魁夷、宮沢賢治、そして、ゴッホと、おそらく原田さんが大好きな「星々」が名を連ねています。
 それは画家にとどまらず、映画監督、作家、漫画家にいたる幅広いジャンルの「星々」です。

 この短編集の趣向は、これらの「星々」に原田マハさん自身がたずねていくということです。
 もちろん、すでに亡くなった人々とどんな「CONTACT」をとるのか、それは原田さんの内面を覗くことでもあったはずです。
 そんな「星々」に手土産を持参するというのも面白い。
 例えば、川端康成には水道橋のとんかつの名店「かつ吉」のとんかつの折詰とかバーナード・リーチには小鹿田焼の箸置きとかいった風に。
 この手土産にも原田さんの「星々」に対する想いを感じさせられました。
  
(2020/02/22 投稿)

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  昨日
  高橋一清さんの『芥川賞直木賞秘話』という本を
  紹介しました。
  高橋一清さんは
  もともと文藝春秋社の編集者で、
  その関係から多くの作家とのつながりがありましたが
  今日紹介する
  櫻井秀勲さんもまた
  カッパブックスで有名な光文社の編集者で
  松本清張さんの担当でした。
  そんな櫻井秀勲さんが見た松本清張さんを描いたのが
  『誰も見ていない書斎の松本清張』です。
  編集者は自身で作品を書くわけではありませんが
  こうして作家のそばにいることで
  作品の何パーセントかは
  生み出しているのかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  清張ファンなら見逃せない一冊                   

 作家にとって編集者はよく伴走者に喩えられることがある。
 傍にいて、時に褒め、時に叱咤し、時にはともに涙することもあるだろう。
 だから、伴走者である編集者しか知らない貌がある。この本のタイトルでいえば「誰も見ていない書斎」の貌だ。
 もちろん、担当の編集者はあまたいる。作家が超一流であればあるほど編集者は多いだろう。
 この本の著者櫻井秀勲(ひでのり)氏の場合、光文社という出版社の編集者で、1953年に第28回芥川賞を受賞したばかりの松本清張の担当編集者であるが、その接点をこう記している。
 「どんなに親しい編集者でも、その作家の一生をすぐ側で見ているわけにはいかない。何人もの編集者がいるからだ」と。

 編集者側にも事情がある。出版社という組織の枠組みの中で人事異動もある。櫻井氏は31歳で女性週刊誌「女性自身」の編集長に抜擢されていて、そこには松本清張の作品も掲載されたが、もはや書斎の作家を傍で見る立場ではない。
 ただ、櫻井氏が「誰も見ていない」松本清張を語れるのは、死後もなお絶大な人気を誇る大作家の新人時代の貌を見てきたからだともいえる。

 松本清張ほどの巨匠が年下の若い編集者に「面白いかね?」と訊ねる姿など誰が想像できるだろう。
 あるいは芥川賞作家に娯楽誌の編集者だった櫻井氏が接触しなければ、清張文学もまた大きく違ったかもしれない。
 どんなに偉大な作家であっても、そんな伴走者たる編集者がいるものなのだ。
  
(2020/02/21 投稿)

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  最近の本の売れ行きランキングなどを見ると
  川越宗一さんの『熱源』は
  結構売れているようです。
  一番新しい直木賞受賞作です。
  一方の芥川賞ですが
  古川真人さんの『背高泡立草』。
  『熱源』ほどではないようですが
  それでも割と売れていて
  さすが芥川賞直木賞効果。
  そもそも
  この二つの賞ですが
  新人賞なのに
  盛り上がるのは
  ひとつは歴史が長いということもあるでしょう。
  なので
  さまざまな話題が残っていて
  そんないくつかが
  この本でも紹介されています。
  今日は
  高橋一清さんの
  『芥川賞直木賞秘話』を紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「秘話」だから読みたくなる、これって心理                   

 毎年8月と2月に発売される総合誌「文藝春秋」は芥川賞発表号で作品が全文掲載されるということもあって、通常の月より10万部ほどは増刷されるようです。
 又吉直樹さんが芥川賞を受賞した『火花』が掲載された時の「文藝春秋」は100万部を超えていたそうで、実はそれよりも売れたのは綿矢りささんと金原ひとみさんがダブル受賞した時はそれ以上に売れたそうです。
 芥川賞は文芸誌や同人誌に発表された作品が選考対象となり、受賞が決まればまず「文藝春秋」に掲載、その後「芥川賞受賞作!」とうたった帯などがついた単行本が書店に並ぶことが多いのですが、最近は「文藝春秋」ばかりに旨味をとられてはということなのか、単行本の出版が早まっています。

 芥川賞だけでなく直木賞もそうですが、文学の新人賞ですが、ニュースになることも多く、何かと話題の賞であることは間違いありません。
 この本はかつて文藝春秋の編集部で働き、二つの賞の選考準備にも関わった経験をもつ著者が、まさにその渦の中で見聞きした作家や選考委員の姿を描いたものです。
 これを読むと作品が出来上がるまで、編集者がいかに作家を助けているかもわかります。
 もちろん書くのは作家本人ですから、編集者の意見や助言がすべて生かされることではありません。
 作家をその気にさせるのも編集者の腕なのでしょう。
 そんな著者だからこそ、「いい小説には、その時代の人々の生き方を文章にして見せてくれるようなところがある」という言葉が生まれるのだと思います。
  
(2020/02/20 投稿)

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  今日は
  二十四節気のひとつ、雨水。
  「歳時記」によれば
  「降る雪が雨に変わり、積もった雪や氷が解けて水になるとの意」と
  書かれています。

    金色に竹の枯れたる雨水かな      津川 絵里子

  今日は
  ちょっと変わった俳句の本を
  紹介します。
  堀本裕樹さんとねこまきさんのコラボ
  『ほんのり俳句コミック ねこもかぞく』。
  俳句コミックとありますが
  漫画本ではありません。
  漫画も半分ありますが。
  こんな風に
  俳句を楽しむことができるのですね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  俳句もここではおもちゃみたい                   

 この本の著者堀本祐樹さんは1974年生まれの気鋭の俳人だ。
 「NHK俳句」の選者でもあるし、芥川賞作家又吉直樹さんと『芸人と俳人』という共著を出したり、若い読者に向けた『俳句の図書室』という本も書いている。
 この本では「ほんのり俳句コミック」とあるように、見開きのページの半分、この本でいえば右のページが堀本さんが選んだ俳句とその俳句から浮かんだエッセイやショートストーリー、左のページに夫婦ユニットであるイラストレーター「ねこまき」さんが描く漫画が載っている。
 俳句と漫画、ましてや猫の漫画という組み合わせのユニークなこと。
 でも、こういう組み合わせが俳句の面白さを若い読者にまで広げる活動になるのだと思う。

 しかも、この本の中で堀本さんが選んだ俳句のテーマが「家族」。
 「朝ざくら家族の数の卵割り」(片山由美子)といったようにはっきりと家族を詠み込んだ句もあれば、「海を向くベンチの上の雪だるま」(松尾隆信)といった句のように一見家族と関係なさそうな句もある。
 ただこの句の場合もそうだが、堀本さんは「よくよく読んでみると、家族の姿が浮かんでくる句」を採り上げたそうだ。
 そして、これらの句に付けられた堀本さんの文章が面白い。
 真面目な解説なような文もあるが、採用句に関係したショートコントが傑作だ。
 さすが和歌山県の出身というだけあって、関西系の笑いがお好きなようだ。

 もちろん「ねこまき」さんの漫画も面白いから、この本はいろんな要素が詰まり過ぎて、まるでおもちゃ箱みたいな一冊だ。
  
(2020/02/19 投稿)

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  日本経済新聞の「私の履歴書」
  その人の半生をたどるに
  とても役に立つ一級の読み物です。
  2月11日に届いた
  野村克也さんの訃報のあと
  すぐに「私の履歴書」がないかと知らべると
  さすが野村克也さんだけあって
  ちゃんとありました。
  それが今日紹介する
  『無形の力 私の履歴書』です。
  ここでいう「無形の力」とは
  「情報収集力」「分析力」「観察力」「判断力」といった
  目には見えない力で
  野村克也さんはそれらが大切だと
  書かれています。
  この本にはその他にもいい話がたくさんあるのですが
  一つ書き留めておきます。

    どんな道を進むにしても、
    人間は物事に必死に取り組む時期がないと、
    大成することなどありえないのだ。

  ご冥福をお祈りします。

  さようなら、野村克也さん

  

sai.wingpen  追悼・野村克也さん - 生涯現役の人生だった                   

 日本経済新聞の朝刊の人気コラム「私の履歴書」は功成り名を遂げた著名人、それは政治家や経済人に限らず作家や俳優、スポーツ選手と幅広い、が自身の手でその半生を描くものだ。多くの人はその時点でほとんどの評価が決まっていたりして、このコラムに掲載されることを目ざしている人もいるとか聞く。
 2020年2月11日に84歳で亡くなったプロ野球選手野村克也さんも2005年5月に新聞連載をしている。
 この本はその新聞連載を初出とする単行本である。

 もちろん野村克也さんは連載時の次点ですでに功成り名を遂げたプロ野球選手だった。
 現役を引退したのは1980年、三冠王をはじめてとして本塁打、安打数ともに球史に残る記録を持ち、引退後は弱小球団であったヤクルトを日本一のチームに育てるなど、連載の時点でもう十分すぎるぐらいの経歴をもっていた、
 連載が始まったのはその当時パリーグのお荷物球団だった楽天。
 野村さんの凄さは、この楽天での監督以降、つまり書かれなかった「私の履歴書」第2章があるということだ。

 楽天の監督時代、あのマー君田中将大投手を神の子にまで高めた手腕、後年の代名詞となる「ぼやき」も楽天監督時にマスコミの話題を集めた。
 さらには沙知代夫人が亡くなったあとの切なる想い(この履歴書には沙知代夫人との出会いのことも書かれている)など、この連載以降の「履歴書」も読みたくなる。
 野村克也さんの「生涯一補手」は有名な言葉だが、まさに生涯現役の人生だったといえる。
  
(2020/02/18 投稿)

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 春の代表的な花のひとつに
 菜の花があります。
 なので、「歳時記」にも
 季語「菜の花」を詠んだいい句がたくさんありあす。

    菜の花や月は東に日は西に     与謝 蕪村

 これは教科書にも載っているほど有名な句。

    菜の花の昼はたのしき事多し      長谷川 かな女

 菜の花の黄色い色を見てると
 この句のように心も弾みます。
 これは畑で見つけた菜の花。

  20200215_132835_convert_20200215175529.jpg

 菜の花というのは
 アブラナ科の花の総称で
 ちなみに畑に咲いていたこの菜の花は
 コマツナから育った菜の花です。

 今私の畑では
 3種類のマメ科の野菜を育てています。
 今日はその違いを。
 まずは今年初めて栽培しているソラマメ

  20200215_125952_convert_20200215175419.jpg

 葉も茎も肉太な感じがします。
 次は春野菜の定番
 スナップエンドウ

  20200215_125910_convert_20200215175258.jpg

 これはサヤエンドウの一種で
 さやと中のマメの両方を食べます。
 さやが柔らかいので
 人気があります。
 これはキヌサヤ

  20200215_125919_convert_20200215175339.jpg

 でも調べるとキヌサヤというのは
 サヤエンドウのわかどりのことで
 スナップエンドウと同じ仲間です。
 でも、
 写真で見るとわかるように
 葉の形が少し違います。
 これから花が咲いてきますから
 どんな違いがあるのか
 楽しみです。

 こちらは
 タマネギ

  20200215_130748_convert_20200215175458.jpg

 この日は枯れた葉を取り除きました。
 収穫はまだ少し先。
 
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  今日は
  たにかわしゅんたろう(谷川俊太郎)さん文、
  Noritakeさん絵の
  『へいわとせんそう』という絵本を
  紹介します。
  書評のタイトルにもしましたが
  絵本であって
  これだけ強いメッセージが描けるのかと
  感心しました。
  文は簡単
  絵はほのぼの、
  だけど
  やはり子供たちに読む時は
  大人が一緒になって読むのがいいと思いました。
  何度か一緒に読んで
  子供たちがじっくり考えるようになれば
  読ませてみる。
  そんな読み方がいいのではないでしょうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  絵本でもこれだけのメッセージが描けます                   

 Noritake、のりたけといえば、つい食器メーカーを思い出しますが、この絵本で絵を描いているのはもちろん食器メーカーでなく、イラストレーターのNoritakeさん。
 どこかで見かけた絵柄だなと思って調べると、集英社文庫の40周年のキャラクターになった猫の「よまにゃ」がNoritakeさんの作品だとわかりました。
 ほのぼの系の絵柄ですが、それがかえって戦争と平和を描いたこの絵本ではうまく生きているように思いました。
 文を書いたのはたにかわしゅんたろうさん。もちろん詩人の谷川俊太郎さんです。
 谷川さんの文もとてもシンプル。
 シンプルな文にほのぼのな絵。
 それでいて毒がきいていて、考えさせられる。

 左右のページに、平和と戦争が対になって描かれています。
 例えば、最初のページに「へいわのボク」、その横のページに「せんそうのボク」。
 一人は胸を張っている男の子、一人はひざをかかえてしょげ返っている男の子。
 そんな組み合わせが続きます。
 思わず怖いと感じたのは「ぎょうれつ」の対、
 「へいわのぎょうれつ」は保母さんと歩く小さな子どもたちの行列、「せんそうのぎょうれつ」は鉄砲を担いで行進する兵士たちの行列。
 この絵本のすごいのは、こういうように平和と戦争を対比させてみせていくだけで終わるのではなく、味方といったり敵といったりしているけれど、実は同じ人間だということを教えてくれていること。
 「みかたのあかちゃん」「てきのあかちゃん」と文はあるけれど、Noritakeさんの描く赤ちゃんはおなじなのです。
  
(2020/02/16 投稿)

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  今週第93回となる
  キネマ旬報のベストテンの表彰式がありました。
  今回特別賞に輝いたのは
  昨年10月に亡くなった
  和田誠さん。
  受賞式には奥さんの平野レミさんが出席。
  平野レミさんの受賞の挨拶から。

    優しいんですよ、すごく優しいの、すべてに優しいの。
    あんまり優しい人と結婚しちゃったからね、あとがつらいですよね。
    今、わたし悲しくて悲しくて悲しくてね、本当につらいんですよ。

  和田誠さんのファンとして
  これからも和田誠さんの本を
  読んでいきたいと思います。
  今日は
  『ほんの数行』という本を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これは書籍版「お楽しみはこれからだ」です                   

 イラストレーターの和田誠さんは映画が大好きで、これが高じて映画監督までやりましたが、なんといっても映画の中の名セリフを集めた『お楽しみはこれからだ』は和田さんのイラストとエッセイがすこぶる素敵な名著で、この本から映画が好きになった人も多いのではないかしら。

 実は和田さんは映画だけでなくかなりの読書家でもあって、この本の「はじめに」では「ぼくはたいした読書家ではない」と謙遜しつつ「子どもの頃から数えれば、かなりの本を読んでいるはず」と綴っている。
 何しろ和田さんには数多くの自身が装丁した本があって、装丁する時には当然ゲラ段階の原稿も読むことになるわけで、そうなればやっぱり相当数の本を読んでいることは間違いない。
 そこで『お楽しみはこれからだ』の、本編みたいに、本の中から気に入った数行を抜き出して紹介しているのが、この本だ。

 しかも、和田さんが装丁した本だけからの厳選で、しかも書影付だから、和田さんファンにとってはたまらない。
 元々が「週刊金曜日」という雑誌に2008年3月から2012年12月まで連載されていたもので、100回という区切りのいいところで単行本化(2014年)されている。
 しかも本になった時点で、そのうちの著者40人が物故されていて、この本自体がまるで追悼集のようにして読める。
 そして、2019年10月に和田さんもいなくなって、この本全体で和田さんを悼んでいるようでもある。

 あ、この本はそんな悲しみよりもご機嫌に楽しい本だと書き添えておきます。
  
(2020/02/15 投稿)

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  今日は
  高田郁さんの「みをつくし料理帖」の2巻め
  『花散らしの雨』を
  紹介します。
  表題作となった作品は
  幼馴染の野江が怪我をしたと聞いて
  吉原に駆けつけるも
  会うことが出来ない
  澪と野江の悲しい逢瀬を描いて
  涙なしでは読めない作品です。
  このシリーズでは料理についての
  名言なんかもあります。

    食べる、というのは本来快いものなんですよ。
    快いから楽しい、だからこそ、
    食べて美味しいと思うし、身にも付くんです。

  これは澪が老女から教えられる言葉。
  こうして
  彼女は成長していきます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この巻も泣けます                   

 高田郁さんの人気シリーズ「みをつくし料理帖」の2作め。
 この巻でも四つの料理とともに四つの短編が収められている。
 巻末付録「澪の料理帖」に掲載されている料理名は「ほろにが蕗ご飯」「金柑の蜜煮」「なめらか葛饅頭」「忍ぶ瓜」で、最後の「忍ぶ瓜」は胡瓜の料理である。

 このシリーズはこのように「つる屋」という店の料理人澪の作る料理だけでなく、彼女の周りで起こるさまざまなことが笑いや涙、怒り、切なさといった感動をくれる。
 もちろんそれは主人公である澪の魅力でもあるのだが、彼女だけでなく彼女を取り巻く登場人物の魅力も大いに力をもっている。
 澪の心にひっかかる不思議な武士小松原、澪を助ける青年医師源斉、澪と暮す元は大坂の大きな料理店の元女将の芳、「つる屋」の主人種市といったように。
 そしてこの2巻めには、ふきという澪と境遇のよく似た少女が登場する。
 しかも、ふきが澪のもとで働き出してから何故か澪の考案した料理がことごとく敵対する登龍楼という料理店で出されてしまう。
 ふきを助けるための澪がとった行動。
 そのあたりがこのシリーズが読者をひきつけるのだろう。

 あるいは流行り病に倒れた長屋の女房おりゅう一家を献身的に支える姿、吉原の花魁となった幼馴染の野江が怪我をしたと聞けばこっそりとその部屋の窓に向かう姿。
 そして、そこに絡んでくる澪の小松原への想い。

 今回も泣かせるツボ満載で、読者もいつの間にか澪と一緒に涙を流している。
  
(2020/02/14 投稿)

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  今の若い人からすれば
  パソコンもスマホも
  生まれた時からあったというかもしれません。
  ましてや
  テレビがなかった時代なんて
  考えもできないのではないでしょうか。
  私が生まれたのは昭和30年。
  もちろんテレビはありません。
  だからといって
  テレビが我が家に来たのも
  いつだったか覚えていません。
  昭和30年代であったことは
  間違いないのですが。
  今日は、
  「見たこともない昭和30年代」という副題のついた
  高野光平さんの
  『発掘! 歴史に埋もれたテレビCM』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  テレビがやってきた日を覚えていない                   

 「もはや戦後ではない」と綴ったのは、昭和31年(1956年)の「経済白書」でした。
 戦後ではなかったかもしれませんが、昭和30年代はまだまだ貧しかった。
 テレビの民間放送が始まったのは昭和28年(1953年)8月。当然そこからテレビCMが始まるのですが、本書ではほとんど誰も覚えていないようなテレビCMを掘り出していく。
 そこには決して華やかではないが、確実に変貌していく日本の社会が映し出されている。

 我が家にテレビが来たのはいつだったか、とんと覚えていない。
 大相撲でいえば胸毛の朝潮が横綱だった頃は叔父さんの家までテレビを見せてもらっていたことはよく覚えている。なのに、自分の家にテレビが来たのは覚えていない。
 だから、この本に出て来るテレビCMはほとんど知らない。
 けれど、子供向けのCM,それはおもちゃであったりお菓子であったりするのだが、を紹介する章の最後にこんな文章がある。
 「モノに囲まれて育った世代」と小タイトルが付き、「そんな彼らも還暦をすぎ、勤め人は定年を迎えているが、オタク第一世代でもある彼らは、年をとっても少年少女の心を持ち続けているように感じる」と。

 世代論という大枠ではこれは当たっているように思う。
 テレビという機械が家の中に入ってきて、貧しいがゆえに、そこに映し出されるCMの世界は憧れでもあり、希望でもあった。
 「経済白書」ではなく、消えていったテレビCMがそれを明らかにしてくれている。
  
(2020/02/13 投稿)

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  今日2月12日は
  作家司馬遼太郎さんの忌日。
  菜の花忌という。

    ゆるやかな海の明るさ菜の花忌     山田 みづえ

  なので
  司馬遼太郎さんの奥さん福田みどりさんの
  『司馬さんは夢の中』を
  再録書評で紹介します。
  この書評を書いたのは
  2005年ですが
  この頃には「菜の花忌」は
  歳時記に採られていませんでした。
  それから歳月を経て
  今私が持っている『俳句歳時記 第五版』にはちゃんと
  載っています。
  忌日の季語ですが
  きれいな季語だと思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  交々(こもごも)と                   

 司馬遼太郎さんが亡くなって24年が経つ。
 その死後も作品やエッセイ、講演録といった著作が数多く出版され、そういう点でも司馬さんがいかに稀有な作家であるかがわかる。
 また友人知人による作品論や挿話の類の発表も陸続と後を絶たず、司馬さんの世界の広さを実感する。その中でも本書は司馬さんに最も近いところにいた夫人が描いた回想録であり、多分これまで出版されてきた多くの司馬遼太郎読本とは一線を画した内容に仕上がっている。
 言い換えれば、司馬さんの本名である福田定一氏の素顔が垣間見れる回想録である。

 司馬さんとみどり夫人は新聞社で席を並べていた同僚だった。
 やがて、二人はトモダチからコイビトの関係になり(この本の中の「遠出しようか」という章ではコイビトとなった二人が夜の奈良の街をデートする初々しい挿話が語られている)、昭和三十四年一月、小さなホテルで写真もない「小さい小さい宴」だけの結婚式をあげる。
 いわゆる社内結婚だった。
 その後の新婚時代の司馬さんや「風邪恐怖症」だった司馬さんなど、国民的作家と呼ばれた司馬遼太郎にも当然そういった私たちと同じ生活があったことを知る。当たり前すぎることではあるが。

 司馬遼太郎さんにはいくつかの顔がある。
 歴史小説家としての顔、思索家としての顔、旅行家としての顔、そして詩人としての顔。特に司馬サンには詩人としての香りが色濃い。『街道をゆく』シリーズや『草原の記』に限らず、時に司馬さんの作品には過剰ともいえる詩的な表現がのぞく時がある。
 本書の中で夫人が描く生活の中の司馬さんも時に夢の中で生きているかのような横顔をみせる。
 そういうことでいえば、司馬さんはずっと夢を見続けた、少年みたいな人だったのかもしれない。

 夫人はそんな司馬さんをこう表現して本書を締めくくっている。
 「少年のような表情だった。意思とかかわりなく感情が、ごく自然に吹きこぼれてしまったような邪気のない表情だった。なんともいえない甘い雰囲気が漂っていた」
 その表情が司馬さんがいなくなってから後も夫人の胸にしばしば去来するのだという。
 切なくて、深い、夫婦の姿である。

 交々(こもごも)と思ひ出尽きぬ菜の花忌   (夏の雨)
  
(2005/02/27 投稿)

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  今日は建国記念の日
  昔の紀元節。
 
    いと長き神の御名や紀元節       池上 浩山人

  今日紹介するのは
  藤沢周平さんの『一茶』。
  一茶、そう俳人の小林一茶のこと。
  つまりは伝記小説ということになります。
  藤沢周平さんの作品に
  これがあるのは知っていて
  ずっと気にかかっていたのですが
  ようやっと読むことができました。
  一茶の俳句といえば
  ほのぼのしたものが有名ですが
  その生き様は
  結構ドロドロしています。
  もしかしたら
  一茶のイメージが変わるかも。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  一茶の物語に老いを考える                   

 生涯に2万句の俳句を詠んだといわれる江戸後期の俳人小林一茶の生涯を描いた藤沢周平氏が長編小説を読みながら、老いということを考えた。
 一茶は1763年信濃の国の柏原の農家に生まれたが、幼くして母を亡くし、父がその後迎えた継母とうまくいかず、15歳で江戸に奉公に出る。
 この物語はその出立の日の、父と子の別れの場面から始める。
 江戸での奉公もうまくいかず、一茶は俳人になるべき貧しい生活をおくることになるが、父の遺言により残された財産を義理の弟と折半する諍いのあと、故郷の地で65歳で終焉を迎える。
 当時65歳といえばりっぱな老人であったろうし、藤沢氏は一茶が最後に向かえた妻やをに「じいちゃん」と呼ばせている。
 一茶が最初の妻菊を娶ったのは52歳の頃。菊はまだ28歳であった。
 二人の間には何人か子供もいたが、いずれも幼くして亡くし、菊もまた失うことになる。
 この時一茶は61歳。
 この場面で藤沢氏は一茶をこう描く。「一茶は心の中にひろがる暗黒を、凝然とのぞきこんでいたのである」と。

 老いとは、この時の一茶のように喪うことで生まれる暗黒をのぞきこむことかもしれない。
 目が見えなくなり、肌の張りはなくなり、耳が聞こえなくなる。身体の機能の喪失だけでなく、生きていく中で関係をもった人たちもいなくなっていく。
 藤沢氏はこの作品で一茶という俳人を通して、そういう老いの残酷さを描いている。
 「ぽつくりと死が上手な仏哉」、一茶の晩年の句はそれでも老いを笑いとばすほど軽快ともいえる。
  
(2020/02/11 投稿)

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 立春が過ぎてまだ間もないのに
 やはり暖冬の影響でしょうか
 もう梅がほころびはじめています。

    青天へ梅のつぼみがかけのぼる     新田 祐久

 まさにこの句のような風景を
 街なかで見つけました。

  20200205_144118_convert_20200207174946.jpg

 そんな季節に
 まだ喜ぶのは早いといわんばかりに
 週末は寒波がやってきて
 朝は各地で氷点下。
 2月7日の金曜日に
 菜園でいよいよ講習会が始まりましたが
 ごらんのように
 畑でもぶ厚い氷が張っていました。

  20200207_105210_convert_20200207175051.jpg

 今回の講習会は
 今年最初のもので
 いよいよ菜園生活6年めのスタートです。
 この日は
 ジャガイモの植え付けとかを教わって
 あらためて畝づくりの実演もありました。
 この日講習で習った
 追肥もイチゴソラマメにしました。

 収穫もあります。
 まずは三太郎という品種のダイコン
 しかも、紅白で採れました。

  20200207_134337_convert_20200207175131.jpg

 赤い方ですが
 中は真っ白。

  20200207_164352_convert_20200207175355.jpg

 小カブも紅白で収穫です。

  20200207_134512_convert_20200207175209.jpg

 目出度い収穫はじめになりました。

 そして、
 ホウレンソウ
 まずはニホンホウレンソウ

  20200207_135210_convert_20200207175321.jpg

 たくさん採れました。
 昔ながらのホウレンソウが食べたくて
 種を買ってきて植えたものですから
 たくさん採れてうれしい。
 こちらは
 チヂミホウレンソウ

  20200207_135118_convert_20200207175245.jpg

 味が微妙に違うように感じましたが
 うまく表現できません。
 好みもあるでしょうが
 私はニホンホウレンソウかな。
 寒さが戻ったせいか
 どちらも
 甘い出来栄えに
 大満足の一日になりました。

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プレゼント 書評こぼれ話

  タイトルに魅かれて
  本を読むと
  時々失敗する。
  あれ? こんな本だったのかって。
  今日紹介する
  シルヴァ・ネーマン文、
  オリヴィエ・タレック絵の
  『水曜日の本屋さん』も
  ちょっと印象が違ったけれど
  それはうれしい失敗でした。
  少し読む時期を間違えたけれど
  いい作品は
  それには関係ありません。
  この絵本に出てくるような
  素敵な本屋さんに
  出会いたいものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  本屋さんはいつもほっこり温かい                   

 本にもやはり読む時期というのはあるだろう。
 例えば、ディケンズの『クリスマス・キャロル』はクリスマスの頃に読むのがベストのように。
 絵本の場合は特に季節感が出やすいので、読む時期は強く出る。
 本屋さんや図書館に行くと、その季節に合った絵本が前面に飾られている。
 この一見季節感のないタイトルのこの絵本も実はその内容はとても季節感を持っている。
 それはクリスマス。
 この絵本はとっても素敵なクリスマスの贈り物のお話なのだ。
 (それを知らずにタイトルに惹かれて読んだのですが)

 学校が休みの水曜日、女の子はいつも本屋さんに行く。
 そして、そこで必ずおじいさんに会う。
 おじいさんはいつも分厚い本をじっくり読んでいる。それは昔の戦争の本だけど、いつもそれを読んで、時には涙をこぼしたりして いる。
 けれど、おじいさんはそんな本を買うことはない。いつも少しずつ読むだけ。
 ところが、クリスマスまであと三日、おじいさんのあの本が本屋さんの棚から消えてしまう。
 本屋のおねえさんが、クリスマスのプレゼントに売れたと教えてくれた時の。おじいさんの寂しそうな背中。
 でも、そんなおじいさんにおねえさんが差しだしたのは、クリスマスのプレゼント。
 その中身について、この絵本では何も書いていないが、きっと誰もがわかるはず。
 これは、そんな素敵なクリスマスの絵本だ。

 それを知らずに読んだ私だが、本屋さんは水曜日やクリスマスに限らず、いつもほっこりしていると思っている。
  
(2020/02/09 投稿)

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 どんなにスピーディでも
 どんなにアンテナを張っていても
 雑誌には出稿期限があって
 ニュースが間に合わないことがある。
 今これだけ世界中を震撼させている
 新型肺炎問題だが
 残念ながら昨日出た総合誌「文藝春秋」3月号には
 その関連記事はない。
 雑誌の、しかも月刊誌の
 このあたりが限界だろう。

 そもそも「文藝春秋」3月号(文藝春秋・1000円)は
 芥川賞発表号
 それを目当てに購入する人も多い。
 私もそうだが。

  

 第162回芥川賞古川真人さんの「背高泡立草」に決まって
 この号では
 受賞作全文掲載とともに
 受賞者の古川真人さんのインタビューが載っている。
 そして、
 今回の選考をもって選考委員を退く
 宮本輝さんが「退任の辞」を書いている。
 これが結構読ませる。

 まあこれが今号のメインとなれば
 あとは政治記事だろうが
 石破茂氏の「覚悟の直言」とか言われても
 なんとなく力が弱い。
 東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏が吠えたって
 やっぱり新型肺炎問題がないと
 大丈夫か心配になる。

 特集となっている
 「「ニセ科学」医療に騙されるな」も
 新型肺炎が間に合っていれば
 インパクトが違っただろう。

 実はこの号で一番心を揺さぶられたのは
 「文藝春秋」に17年、200回にわたって
 「人声天語」という欄を担当していた
 坪内祐三さんを追悼した
 中野翠さんの「ツボちゃん、ほんとうに逝っちゃったんだね」だったかも。
 坪内祐三さんが亡くなったのが
 1月13日。
 そこまで記事に出来たのに
 新型肺炎は間に合わなかった。
 惜しかったね、「文藝春秋」。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は昨日のつづき。
  映画「男はつらいよ」の
  映画パンフレットの復刻版である
  『男はつらいよ大全』の
  今日は下巻
  昨日書いたように
  以前は映画を観るたびに
  映画パンフレットを買っていたものです。
  今は残念ながら
  一冊も手元に残っていません。
  神田神保町の古書店に行けば
  今でも販売されていたりします。
  きっと映画の好きな人は
  今でも大事に持っているのだろうと思います。
  どこにいってしまったのかな、
  私の映画パンフレットは。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  いい映画だから、関連本も多い                   

 映画「男はつらいよ」第1作が封切られたのは1969年(昭和44年)で、原作者で監督でもある山田洋次さんもまさかそれが主人公の車寅次郎役を演じた渥美清さんが亡くなる96年まで、シリーズ49作が作られるとは思わなかったに違いない。
 だからでしょうか、シリーズ最初の第5作めまでは映画パンフレットも作られなかったようです。
 この上下2冊に分かれた豪華本は公開当時映画館で販売されていた映画パンフレットを復刻したもので、上巻では第1作から第31作まで、この下巻では第32作から第49作までのものが収録されています。

 映画パンフレットにはどんな内容が載っているか、後藤久美子さんが初登場した第42作「男はつらいよ ぼくの伯父さん」(1989年)を見てみましょう。
 まず、「演出のことば」として山田洋次監督のメッセージ、それから「解説」、このあとに後藤久美子さんと檀ふみさん(この回は2人のマドンナでした)のプロフィール、そして「物語」が載っています。
 この時は他に東京新聞の映画記者の文章、ロケ地での話題、さらに「とらや」セット紹介まで載っています。
 もちろんスチール写真もふんだんに使われています。
 この時のパンフレット価格は税込み400円となっています。

 「男はつらいよ」関連本はDVD付きのものから寅さん名言集までさまざまなものが出ていますが、映画パンフレットをしかも復刻版でというのは面白い企画です。
 いい映画だからこそ、いろんな角度から本にもなりやすいのでしょう。
  
(2020/02/07 投稿)

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  先日「男はつらいよ お帰り寅さん」を観て
  図書館で「男はつらいよ」の関連本を
  検索していた時に見つけた本を
  今日と明日で紹介しようと思います。
  何故二日間かといえば
  この『男はつらいよ大全』は上下二冊になっているからです。
  しかも、この本の価格は
  なんと2冊で58,000円と税とあります。
  しかも、分売不可となっています。
  しかもこの本は2002年に出たものですから
  こういう本を読もうとすると
  やはり図書館の存在がありがたいです。
  さすがにこの価格であれば
  なかなか買えないですものね。
  ただファンには
  垂涎の豪華本であることは間違いありません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんな豪華な本があったんだ                   

 私が映画に熱中していた頃、1970年代です、映画館で観るたびに映画パンフレットを買っていました。
 まだビデオもない時代でしたから、映画を思い出すためには映画パンフレットは欠かせないツールでした。
 映画を観終わったあとで、映画パンフレットを開くとさっきまで観ていた映画が蘇ってきて、また感動を味わえる、それがうれしかったものです。
 この本は国民的映画「男はつらいよ」シリーズの各作品の公開時に松竹映画が製作した映画パンフレットを復刻した豪華本です。
 刊行は2002年7月です。
 49作めとなる「特別編」が公開されたのが1997年ですからそれから5年経ったあとの刊行ですから、まだまだ寅さんを観たいと思っていた人はたくさんいたのでしょう。
 まさかそれから20年近く経って、50作めの「男はつらいよ」が製作されるなんて、誰も思っていなかったに違いありません。

 この上巻では第1作から第31作まで、続く下巻では第32作から第49作までのパンフレットが収められています。
 但し、パンフレットが作られなかった作品もあって、それは当時のプレスリリースやスチール写真とかで再構成されています。

 ちなみに当時映画パンフレットはどれぐらいの料金だったかというと、1976年(昭和51年)に封切られた第18作「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」のパンフレットには250円という表示があります。
 現在でいえば1000円くらいの感覚でしょうか。

 この上巻には特別付録として「寅さん発言集」CDまで付いています。
  
(2020/02/06 投稿)

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  昨年のNHK大河ドラマいだてん」は
  物語としては面白く見たが
  視聴率が振るわず
  大河ドラマ始まって以来のワーストを
  更新したようです。
  今年の「麒麟がくる」は見始めたばかりだが
  きっと「いだてん」は大河ドラマらしくなかったのだろう。
  では、大河ドラマとは何かといわれたら
  困ってしまいますが。
  今回の「麒麟がくる」の主人公は
  明智光秀
  今出版界ではちょっとした明智光秀ブームに
  なっている感があります。
  今日紹介する
  山名美和子さんの『本能寺前夜』も
  出たのが2019年11月ですから
  そんな中の一冊なんでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  大河ドラマを10倍楽しむために                   

 明智光秀といえば、「本能寺の変」がすぐさま浮かぶ。
 それに「三日天下」という言葉も思いつく。あるいは、「敵は本能寺にあり」といった言葉も光秀が言ったといわれるが、真実はどうだろう。
 どうしても映画やドラマの印象が深いのだが、特に強いのは昭和40年(1965年)に放映されたNHKの大河ドラマ「太閤記」のその場面だ。
 織田信長を演じたのは高橋幸治さん。この時の明智光秀役は佐藤慶さん。
 それから半世紀以上経って、今明智光秀が脚光を浴びているのは、やはりNHKの大河ドラマの影響だろう。
 しかも、今回光秀は主役であるから、どのような新しい光秀像ができあがるだろうか。

 この本の著者山名美和子さんは歴史小説作家。だからといって、この本は創作ではない。
 資料を駆使しながら、光秀の謎に迫っていく。
 といっても、光秀の場合その出自からあまりよくわかっていないそうだ。
 ただ信長にかわれて外様ながら相当の地位にまで出世したわけだから、秀吉の出世話ほどではないにしろそれに近いものがある。
 最近世間を賑わせた自動車会社ではないが、自身の地位を守るため、あるいは現状のままでは組織が破綻する危機感などでクーデターが起きないわけではない。
 さらに著者が記しているように当時は下克上は当たり前のようにしてあったわけだから、光秀だけが歴史上の悪人ではない。

 果たして光秀は何故信長を討ったのか、大河ドラマがどう描くか楽しみだ。
  
(2020/02/05 投稿)

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  今日は二十四節気のひとつ、
  立春

    川下へ光る川面や春立ちぬ     高浜 年尾

  暦の上では今日から春。
  なので、「歳時記」も「春の部」に
  置き換えましょう。
  せっかくなので
  今日は長谷川櫂さん監修の
  『大人も読みたいこども歳時記』を
  再読書評で。
  といっても、
  今回の書評は2014年6月21日に書いた書評の
  春バージョンで
  先の書評を少し書き直しただけのものにしました。
  興味のある方は
  2014年の記事と比べてみて下さい。

  じゃあ、読もう。 

  

sai.wingpen  子供たちに何をのこしてあげられるだろう                   

 今年の冬はまれにみる暖冬で、例年であれば立春の頃はまだ寒くて、「暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が」なんてよく言っていたものだが、今年はどうも暦どおりに春が来そうだ。
 元来この国の四季は、もっと優しかったはずなのに。
 優しい季節に育まれて、山の緑が映え、川のせせらぎが癒し、波の音が胸にしみた。動物たちは命をつなぎ、植物は四季折々に色をそえてきた。
 そこで生きる私たちもそんな優しい四季に寄り添うような営みを続けてきたのだ。
 多分、「歳時記」は俳句の世界だけでなく、そんな私たちが生み出した叡智だと思う。
 私たちの先人がこしらえてきた豊かな四季を終わらせてはならない。
 子どもたちへ、それに続くものたちに、この優しい四季をつなげていかなければいけないのだ。

 この本は「歳時記」を小学生や中学生にも使いやすいように編集したもの。
 見出し季語あるいは傍題季語が並んでいるのは普通の「歳時記」と同じで、「歳時記」と同じように例句もついている。
 「こども歳時記」であるから、例句にも小学生や中学生が詠んだ句も収められているが、有名な俳人たちの句もあって、鑑賞にも十分耐えられるようになっている。
 例えば、「春来る」という春の季語の例句は中学3年生の佐々木さんの「靴紐を結びなおして春来たる」もあったり、松尾芭蕉の「春たちてまだ九日の野山かな」であったりする。

 俳聖松尾芭蕉と無名の少女の句を並べてみたが、読者にはどう響いただろうか。
 さすがは芭蕉、と感じた読者もいるだろうが、佐々木さんの俳句だって負けてはいないと私は思った。
 この本の監修をした俳人の長谷川櫂氏は子どもの俳句には二つの資質が必要だと書いている。
 ひとつが子どもにしか作れない俳句であること、もうひとつが大人の鑑賞にも堪えるものであることだという。
 佐々木さんの俳句にはその二つもがあるし、芭蕉の俳句も新鮮な気分が込められているのが少年のように初々しい。
 
 「歳時記」を開くことで自然の豊かさを味わう、そのことでこの地球の未来を考えてもらえたらうれしい。

 表紙絵は安西水丸氏の作品。
 安西氏の絵もまた生き生きとした子どもの目を感じる。 
  
(2020/02/04 投稿)

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 暖冬は何かとありがたいが
 やはり冬は冬らしい気候がいい。
 この時期空が澄んで遠くの富士山も
 きれいに見えます。

  20200201_092203_(2)_convert_20200201172940.jpg

 もうすぐこの景色も霞んで見えなくなります。
 そんな冬晴れの土曜日(2月1日)、
 私が借りている菜園に行ってみると
 霜柱が立っていました。

  20200201_094822_convert_20200201173032.jpg

    霜柱俳句は切字響きけり       石田 波郷

 霜柱が残っている時間に
 菜園に行ったのは
 この日菜園で芋煮会のイベントがあるからで
 そのお手伝いに出かけました。
 お手伝いの人が何人かいて
 芋煮やお汁粉を作ったり
 場所を設営したりをします。
 この日男性軍で白玉づくりをしました。
 最初は要領もわからなかったのですが
 最後の方はみなさんお上手お上手。

 昼過ぎに始まったイベントには
 50人ほどが参加してくれました。

  20200201_124840_convert_20200201173158.jpg

 左が牛肉たくさんの芋煮、
 右が男性軍が作った白玉入りのお汁粉。
 日差しはあるのですが
 風が吹いてきて
 寒い中での温かい汁物は
 実にほっこりします。

 イベントでは
 サトイモの重さ当てクイズもありました。

  20200201_095713_convert_20200201173116.jpg

 写真のサトイモの重さを当てます。
 親イモ、小イモ、さらには孫イモまでついた
 このサトイモの重さは?
 答えは2.4㎏
 一位の人の答えが2.38㎏。
 その答えを出したのが
 なんと私でした。

 ということで、
 このサトイモの半分を頂きました。
 お手伝いして
 賞品までもらって申し訳ない気分です。

 冬のイベントが終わって
 いよいよ今週末から
 春夏野菜の講習会が始まります。
 野菜づくり6年めのスタートです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する絵本、
  C.V.オールズバーグさんの『ジュマンジ』を見つけた時は
  びっくりしました。
  あの有名な映画が
  絵本になったのだと思いましたから。
  でも、順序が逆でした。
  まず絵本があって、
  それをもとに映画が作られた。
  これが正解。
  しかも日本で絵本化されるのは
  今回が初めてではないというのも
  知りませんでした。
  今回はしかもあの村上春樹さんの訳ですから
  読みたいと思う人は
  たくさんいると思います。
  絵本を読み終わったら「ジュマンジ!」と叫ぶ、
  そんなルールはないようです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まず「解説書」をよく読んで                   

 1996年に今は亡きロビン・ウィリアムズ主演で封切られた映画「ジュマンジ」はてっきり映画オリジナルの作品だとばかり思い込んでいました。この絵本を読むまでは。
 映画にも原作と表示されていたそうですが、これは『急行「北極号」』などの作品で知られるクリス・ヴァン・オールズバーグの絵本が原作です。
 原作は1982年に刊行され、日本では1984年に辺見まさなおさん訳で一度出版されています。
 それから30年以上経って、2019年12月に出たのが村上春樹さん訳のこの絵本。
 村上さんの訳ということで、この作品も多くの読者に読まれることでしょう。
 もしかしたら、その多くは映画「ジュマンジ」を観ているかもしれません。何しろ続編まで作られて、人気シリーズになっていますから。
 でも、これはあくまでも原作ですが、映画とはかなり違います。

 「ジャマンジ」というのは謎のボードゲームのこと。
 ある日、ジュディーとピーターの姉弟が公園の片隅でこのゲーム盤を見つけます。
 一見何の変哲もないボードゲームですが、そこに付いていた「解説書」には「ゲームが始まったらゴールするまで終われない」と書かれています。
 このあとこの二人がどんな恐ろしいめに会うかは絵本を読んでもらうとして、この絵本の本当の怖さは最後に出てきます。
 二人が怖くて捨てたこのゲーム盤を「解説書」なんか読むことのない別の兄弟が拾ってしまうのです。
 その先は読者の想像次第。

 きっとこの絵本は様々な新製品が出たら、まず「解説書」をよく読むようにという教訓が書かれているのだと思います。
  
(2020/02/02 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日が「図書館」で
  今日は「図書室」。
  この違い、わかりますか。
  調べると、「図書館」というのは、独立した専用の建物で
  「図書室」は大きな建物の一室、
  というのがわかりやすかった。
  今日紹介する岸政彦さんの
  『図書室』は
  このタイトルだけで読んでみたくなっていました。
  我ながら「図書館」とか「図書室」に
  滅法弱いと思います。
  この作品で三島由紀夫賞の候補になったとか。
  受賞にはならなかったようですが
  いい作品だと思いました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  映画化されてもいいのに                   

 小説というのは当然文字だけで書かれているのだが、いい作品は読む者が文字から映像化しやすいものをいうのかもしれない。
 社会学者でもある岸政彦氏のこの中編小説を読んでそう思った。

 主人公は一人暮らしの中年の女。幼い頃は母親と猫と暮す、決して裕福とはいえない生活ながら、彼女は「幸福な子ども時代」であったと振り返る。
 そして今もまた「平和で平穏」だと思っている。
 そんな彼女が最近思い出すのは、十一歳の頃よく通っていた古い公民館にあった図書室のこと。そこで出会った同い年の男の子のこと。
 そこでの二人はまるで本で出来た繭の中で温められているかのように、二人だけの世界を生きている。
 ついに二人は地球最後の日まで迎えることになる。
 生き残るのは二人だけ。
 いつか来る地球最後の日の練習のために大晦日の日、缶詰を大量に買い込んで二人だけで淀川の河川敷をめざす。
 その堤防に立った時、二人はこう呟くのである。「地球やな」「うん、地球や」
 二人はもはや地球に残った人類最後の男女であるに違いない。
 二人だけで成長し、やがて子供、しかも女の子まで産み育てる。
 まるで手塚治虫の漫画の世界のようでもある。
 これが子供二人のたわいない遊びであることは十分承知しているが、まるでこうして人類はまた新しい一歩を始めるに違いないとも思えてくる。

 岸氏の筆は過不足なく子供の時間を描いている。
 そういうことを経験した子供が大人になれば、どんな生活であろうと「平和で平穏」と思えるのかもしれない。
  
(2020/02/01 投稿)

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