FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  今日は建国記念の日
  昔の紀元節。
 
    いと長き神の御名や紀元節       池上 浩山人

  今日紹介するのは
  藤沢周平さんの『一茶』。
  一茶、そう俳人の小林一茶のこと。
  つまりは伝記小説ということになります。
  藤沢周平さんの作品に
  これがあるのは知っていて
  ずっと気にかかっていたのですが
  ようやっと読むことができました。
  一茶の俳句といえば
  ほのぼのしたものが有名ですが
  その生き様は
  結構ドロドロしています。
  もしかしたら
  一茶のイメージが変わるかも。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  一茶の物語に老いを考える                   

 生涯に2万句の俳句を詠んだといわれる江戸後期の俳人小林一茶の生涯を描いた藤沢周平氏が長編小説を読みながら、老いということを考えた。
 一茶は1763年信濃の国の柏原の農家に生まれたが、幼くして母を亡くし、父がその後迎えた継母とうまくいかず、15歳で江戸に奉公に出る。
 この物語はその出立の日の、父と子の別れの場面から始める。
 江戸での奉公もうまくいかず、一茶は俳人になるべき貧しい生活をおくることになるが、父の遺言により残された財産を義理の弟と折半する諍いのあと、故郷の地で65歳で終焉を迎える。
 当時65歳といえばりっぱな老人であったろうし、藤沢氏は一茶が最後に向かえた妻やをに「じいちゃん」と呼ばせている。
 一茶が最初の妻菊を娶ったのは52歳の頃。菊はまだ28歳であった。
 二人の間には何人か子供もいたが、いずれも幼くして亡くし、菊もまた失うことになる。
 この時一茶は61歳。
 この場面で藤沢氏は一茶をこう描く。「一茶は心の中にひろがる暗黒を、凝然とのぞきこんでいたのである」と。

 老いとは、この時の一茶のように喪うことで生まれる暗黒をのぞきこむことかもしれない。
 目が見えなくなり、肌の張りはなくなり、耳が聞こえなくなる。身体の機能の喪失だけでなく、生きていく中で関係をもった人たちもいなくなっていく。
 藤沢氏はこの作品で一茶という俳人を通して、そういう老いの残酷さを描いている。
 「ぽつくりと死が上手な仏哉」、一茶の晩年の句はそれでも老いを笑いとばすほど軽快ともいえる。
  
(2020/02/11 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス