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プレゼント 書評こぼれ話

  新型コロナウイルスの影響で
  人間のさまざまな面が露呈しているように
  感じます。
  デマや噂、マナー不足、独断と偏見、
  一体そういったことに
  先人はどう向き合ってきたのか。
  そういえば、カミュに『ペスト』という
  感染病と戦う人たちの物語があったことを思い出して
  読み始めました。
  ちょうどそんな3月3日の
  朝日新聞朝刊にこんな記事が出ました。

    小説「ペスト」注文殺到
    感染拡大で? 1.4万部増刷

  私のようにカミュの名作を
  思い出して読んでみようと思う人も多いようです。
  作品の中に
  ペストと戦う医師リウーのこんな言葉があります。

    ペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです。
  
    つまり自分の職務を果たすことだと心得ています。

  こんな時期に
  何よりも優先させないといけない会議を欠席した大臣など
  誠実さに欠けるというしかありません。
  これぞ長編小説という作品、
  中高生だって読めるはず。
  学校行けなくても学べることは
  たくさんあると思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  新型コロナウイルスが拡大している今こそ読むべき名作                   

 この長編小説は、44歳という若さで1957年にノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュが1947年に発表し、不条理小説として世界中の読書を惹きつけた作品である。
 カミュは1913年に生まれたフランス文学者だが1960年不慮の自動車事故で47歳で亡くなっている。
 個人的な思い出として、私は1955年生まれだが、この長編小説が新潮文庫のラインナップにはいったのが1969年、つまり私が14歳の頃で、当時新潮文庫版のカミュ作品は銀色の素敵な装幀(麹谷宏)でそれでカミュの作品を揃えるのがたまらなくうれしかったものだ。
 その頃読んだ作品の何ほども記憶していないのだが、ずっと残っていたのはいい作品だったという獏とした、けれど作品の評価としては侮れない、印象である。

 そんな作品をほぼ半世紀近く経って読み返すことになったきっかけは、2020年になって日本だけでなく世界中に広がった新型コロナウイルスだ。
 カミュが書いた「ペスト」という感染病は「黒死病」とも呼ばれ、世界史の中でも数度最近よく耳にするパンデミック(全地球規模の流行)を引きおこしている。
 そのペストに襲われ、外部と遮断された街にあって奮闘する人々を描いた作品ともいえるし、ペストを描くことで死んでゆく恐怖と対抗するも敗れていく人間の哀れを描いたともいえる。

 主人公として果敢にペストと戦う医師がいるが、長編小説であるからさまざまな人間が、彼らは一様な人生を歩んできたわけでも、また死の感染病に向かう姿勢もまちまちであるから、読者によっては医師以外で気になる人物も出て来る。
 この長編小説は決して読みやすい訳ではない。しかし、最後の最後に医師が直面する友人の死妻の死など劇的な構成の巧みさは読ませる。

 ペストはある日突然広がり、ある日収束を迎える。その期間はほとんど半年。医師たちの努力はあったが、その収束の理由はよくわからない。
 人間が勝ったのではない。
 長い物語の最後にこう記されている。
 「人間に不幸と教訓をもたらすために、(中略)どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差向ける日が来るであろうということを。」
  
(2020/03/06 投稿)

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