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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  昨日につづいて
  詩人茨木のり子さんの本を
  紹介します。
  『茨木のり子集 言の葉1』です。
  私が持っているのは
  2010年発行のちくま文庫版ですが
  元々は
  2002年に単行本として
  刊行されています。
  自選作品集ですから
  茨木のり子さんが元気な頃に
  刊行されたものになります。
  全3巻なので
  残り2巻も
  おいおい紹介していきます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  詩人茨木のり子をもっと知るために                   

 「現代詩の長女」と呼ばれる詩人茨木のり子さんが詩集『倚りかからず』で一躍注目を集めたのは1999年(平成11年)のことです。
 この時、茨木さんは73歳。
 遅咲きというよりも、詩集が多くの読者を得ること自体、稀有なことでした。
 その詩が朝日新聞の「天声人語」で紹介されたことが多くの読者を獲得する要因にもなったでしょうが、そうして出会った詩人が読者を裏切らない本物であったということが大きかったのではないでしょうか。

 その勢いもあったのでしょう、茨木さんに全集を編まないかという話があったと聞いたことがあります。
 残念ながらその話は実現しませんでしたが、茨木さん自身選による「自選集」3冊が生まれました。
 それが、この本。そして、これがその一冊めにあたります。
 茨木さんが1950年から60年に発表した詩集『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』から詩が、「はたちの敗戦」「「櫂」小史」などのエッセイ、さらにはラジオドラマや童話『貝の子プチキュー』など、茨木さんの初期の活動を堪能できるようになっています。

 最も興味があったのはエッセイ「「櫂」小史」です。
 茨木さんが詩を書き始めたのは結婚後のことでした。ほとんど無名の彼女に川崎洋さんが一緒に同人誌をやりませんかと声をかけて始めたのが「櫂」でした。
 その後この同人誌には谷川俊太郎さんや吉野弘さん大岡信さんなど今では考えられないような人たちが集まってきます。
 そんな渦の中にいた茨木さんだから描けた、現代詩のこぼれた花弁のような文章です。
  
(2020/04/30 投稿)

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  今日は
  祝日、昭和の日
  元々は昭和天皇の誕生日でしたので
  この日を「天皇誕生日」と覚えている
  昭和生まれの人も多いのではないでしょうか。

     名画座の三本立てや昭和の日     原田 紫野

  今日紹介する
  詩人茨木のり子さんは
  まさに昭和と生きた人でした。
  戦争が終わった昭和20年、
  茨木のり子さんは二十歳の頃でした。
  『茨木のり子 自分の感受性くらい』は
  「別冊太陽」の一冊ですが
  とても豪華な一冊です。
  昨年12月に本屋さんの店頭で見かけた時は
  ドキッとするくらい魅せられたものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  わたしが一番きれいだったとき                   

 「別冊太陽」は1972年に平凡社が創刊したもので、ムック本の先駆けとも言われています。
 「ムック(mook)」というのは、雑誌(magazine)と書籍(book)から作られた造語だそうですが、雑誌と違う大きな点は「ムック」にはISBNコードが付いていることです。
 ISBNコードというのは、出版社などが本を管理するために書籍1冊1冊につける番号のことですが、これがあると本を検索したりしやすくなります。
 なので、「ムック」はどちらかといえば、書籍に近いかもしれません。

 「別冊太陽」は平凡社が発行する雑誌「太陽」を「より、デラックスな雑誌」として編集されたもので「美しいビジュアルと豊富な資料」というのが惹句になっています。
 実際手にとると、その美しさにうっとりします。
 詩人茨木のり子(1926年~2006年)の79年の生涯をたどったこの本でも、その豊富な図版に圧倒される。
 茨木さんには凛とした美しさがあるが、代表詩「わたしが一番きれいだったとき」に添えられた21歳のお見合い写真の美しさはどうだろう。
 あるいは、最愛の夫であった三浦安信さんと笑いながらカメラを向いている何気ない姿、茨木さんが書き残した日記の文字、安信さんが描いた茨木さんのスケッチなど、詩人の何気ない、けれど確かに生きた時間が、ページに凝縮されている。

 表紙の茨木さんの写真は、かって同人誌「櫂」で仲間であった谷川俊太郎さんが撮ったもので、その表紙を繰ると、最初に「茨木さん」という谷川さんの詩が載っている。
 茨木さんのファンには欠かせない「ムック」である。
  
(2020/04/29 投稿)

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  今日紹介する
  葉室麟さんの
  『影踏み鬼 新撰組篠原泰之進日録』は
  単行本で出た2015年2月に読んでいます。
  その時にも
  このブログで書評を書いていますので
  今回は再読書評ということになります。
  先日司馬遼太郎さんの
  『新選組血風録』を読んで
  その後本屋さんで目にしたのが
  この葉室麟さんの作品の
  文春文庫版でした。
  正直葉室麟さんのこの作品のことは
  忘れていましたが
  本の方から
  読んでよと誘われたかっこうになりました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  葉室麟さんが敬愛する司馬遼太郎さんの作品に寄り添って                   

 この作品の文春文庫版には朝井まかてさんの解説がついている。
 その中で、朝井さんは著者である葉室麟さんに電話でインタビューをしている。
 そのひとつが、数多くいる新撰組(この作品では「新選組」の表記ではなく「新撰組」となっている)の隊士の中で何故篠原泰之進を主人公に選んだということだ。
 葉室さんの答えは「新撰組の中で泰之進がいちばん好きだから」で、そのあとに葉室さんが尊敬する司馬遼太郎さんの名前をあげ、司馬さんの『新選組血風録』という短編集の冒頭の作品「油小路の決闘」もまた篠原泰之進を描いたものであることに言及している。

 しかし、司馬さんの篠原泰之進と葉室さんのそれはまるで違うような感じがする。
 司馬さんの泰之進はどこかニヒルぽいが、葉室さんの彼は葉室作品によく登場する心優しい感じが強くでている。
 また泰之進が心を寄せる女性像もまた違う。
 歴史上のこととしてどちらの作が史実に近いのか知らないが、どちらにしてもこの二つの作品は作者の創作がかなり色濃く入っている。

 特に葉室作品の場合、篠原泰之進と坂本龍馬の交流が描かれているが実際にはなかったのではないか。
 まして、龍馬が暗殺され夜、泰之進が龍馬のいた近江屋まで訪ねたというのはないだろう。
 それでも、葉室さんは龍馬を描きたかったのではないだろうか。
 尊敬する司馬さんに寄り添うようにして。

 いずれにしても篠原泰之進は新撰組にあって維新後も生き延びた一人だ。
 新撰組の面白さは彼のように時代の波に翻弄されながらも、生き抜いた人間がいたからともいえる。
  
(2020/04/28 投稿)

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 最近は
 畑に行くときは散歩気分で
 歩いていきます。
 歩くといっても
 たかだか15分あまりですが。
 今は街路樹の花水木が見頃。

  20200425_122807_convert_20200426071448.jpg

 花水木は春の季語。

    花水木咲き新しき街生まる       小宮 和子

 それにツツジも咲き始めました。

  20200425_123612_convert_20200426071534.jpg

 もうすぐ5月。

 菜園でも
 夏野菜の植え付けが本格化します。
 それに先立って
 4月25日(土曜日)
 ミニトマトの植えつけをしました。
 今年の菜園での作付け計画にはミニトマトははいっていないので
 ホームセンターで苗を買ってきました。
 まずは、おなじみ溝施肥

  20200425_103921_convert_20200426070947.jpg

 そして、黒マルチをかけて
 苗の植え付けをします。

  20200425_110854_convert_20200426071257.jpg

 この畝には来週菜園から提供される
 大玉トマトも植え付けます。
 その横には
 エダマメの種も蒔きました。

  20200425_110448_convert_20200426071155.jpg

 次は
 ジャガイモの芽かき。
 結構わき芽がでますから
 2、3本まで芽かきをすることで
 ジャガイモが大きくなります。
 そして、追肥して土寄せ

  20200425_114721_convert_20200426071359.jpg

 ソラマメですが
 かわいい莢がついてきました。

  20200425_095309_convert_20200426070843.jpg

 写真ではなかなかわかりにくいですが。

 そして、収穫です。
 この日新タマネギを収穫しました。
 ごらんください。
 この真っ白な肌を。

  20200425_124745_convert_20200426071625.jpg

 さっそくいただきましたが
 臭みもなく
 甘さを感じます。
 タマネギは夏の季語でもあります。

    新玉葱研ぎしばかりに刃に応ふ       岡本 まち子

 こちらは
 スナップエンドウ

  20200425_133453_convert_20200426071732.jpg

 まさに今が収穫の時期。
 まだまだ採れそうです。

 来週には
 夏野菜の苗が入ってきます。
 コロナ感染を防ぐため
 植え付けの講習会は中止です。
 もう今年で6年生ですから
 なんとかできる・・・はず。

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  今日紹介する
  村上しいこさんの童話
  『ランドセルのはるやすみ』は
  なんと電子書籍で読みました。
  絵本とか子どもの本は
  やっぱり紙の本がいいのではと思っていましたが
  大人の読む
  普通の作品の電子書籍よりも
  うんと違和感なく読めました。
  さし絵は長谷川義史さんで
  絵もちっとも変な感じはしなかった。
  案外、子ども向けの本は
  電子書籍で楽しめるような感じがしています。
  今度は絵本を読んでみようかな、
  電子書籍で。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この童話、オモロイでっせ                   

 関西弁のセリフが絶妙な創作童話。
 書いた村上しいこさんは三重県出身の童話作家。
 この人の経歴がいい。
 三重の松阪でご主人と小料理屋さんを始めたのですが、これがさっぱり。仕方なく店はたたんで、ご自身はパートに出ることに。
子どもに読んで聞かせる童話を書きためて、あるコンクールに応募して、それが入賞。
 なので、もし小料理屋さんがうまくいってたら、童話作家誕生にはならなかったはず。

 なんといっても、子どもに読み聞かせるつまりで書き始めたのがいい。
 子どもが喜ぶツボがわかっている。
 この作品にしても、ランドセルが突然話し出して、ぼくと一緒に学校の遠足に行きたいというとんでもない話だが、子どもならスッと話に入っていけるのではないだろうか。
 何より、その前のおとうちゃんの駄々が効いている。
 大のおとなが子どもと一緒に遠足に行きたいと泣いているのだから。
 こういうおとながいるとしたら、話せるランドセルがあっても、不思議ではない。

 こういうたまげた話に関西弁がよく合う。
 ランドセルに負けまいと抗うおとうちゃんにおかあちゃんがいうセリフ、「なにを いつまで、ごちゃごちゃ いうてんの。」、迫力がある。
 ランドセルが意外に知恵があるのも面白い設定で、その知恵が子どもたちのピンチを救うことになる。

 そんなオモロイ話に合うとしたら、やっぱり大阪出身の長谷川義史さんしかいない。
 長谷川さんのさし絵で、この童話が余計にパワーアップしたのは間違いない。
  
(2020/04/26 投稿)

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  女優の岡江久美子さんが
  新型コロナウイルスで亡くなりました。
  たまたま先日の木曜の昼下がり、
  テレビで情報番組を見ていて
  飛び込んできたニュースに
  声がでませんでした。
  さよならも言えずに
  逝ってしまうなんて悲し過ぎます。
  こんな悲しいことが
  今たくさん起こっています。
  今こそ一人ひとりの心がけが大切です。
  愛する人を守るのは
  自分自身だと思います。
  今日は
  河合雅司さんの『未来の年表』という本を
  紹介します。
  これはさいたま市の図書館から
  電子書籍で借りました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まるで今を予言したかのよう                   

 この本が刊行された2017年度の新書ノンフィクションの部で堂々の3位というベストセラーになった作品。
 副題にあるように「人口減少日本でこれから起きること」と、少子高齢化の日本が向かえる危機を、単に煽るだけでなく、その対策もまとめた提言の書である。
 そうはいっても「2020年 女性の半数が50歳超え」とか「2027年 輸血用血液が不足」と書かれると、一体日本はどうなるのだろうと気になることは間違いない。
 それから3年。
 本来であればオリンピック熱で高まっている頃であったが、新型コロナウイルスという感染症の拡大で、想像もしていない未来を向かえている。

 しかし、この本をよく読むと、まるで現代の緊急事態を予言したような記述を見ることができる。
 「少々具合が悪いくらいでは医療機関で受診できないという時代が到来」「それ以前の問題として、病床が足りなくなる」。
 これは2026年の「未来」の記述だ。
 しかし、新型コロナウイルスの影響で、すでに事案が発生している。

 最近よく言われている「医療崩壊」はいずれ「少子化が進めば」「十分な医療サービスを提供」できなくなるという「未来」は、まさに今2020年に起こってしまっている。
 農業も問題も同じだ。外国人受け入れでなんとかしのいできたが、「彼らがいなくなった途端、どうなるのか。これは極めて危うい」。
 その危うさも今や「未来」の話ではない。

 この作品は「少子高齢化」で浮き彫りになる様々な問題を提起しているが、今回の感染症の拡大がその事実を私たちの目の前に叩きつけているといえる。
  
(2020/04/25 投稿)

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  今日は
  昨日出たばかりの新刊
  村上春樹さんの
  『猫を棄てる 父親について語るとき』を
  紹介します。
  これは昨年発表されて
  話題をよんだ長めのエッセイですが
  長めといっても
  1時間ぐらいで読めてしまいます。
  「文藝春秋」に掲載されたものですが
  今回単行本化にあたって
  加筆されたとはないので
  そのままなのでしょうが
  単行本には「あとがき」がありますので
  この文章だけでも
  読み応えがあります。

  じゃあ、読もう。

  

  sai.wingpen  父親の歴史を継いだものとして                   

 川上未映子さんの問いかけに村上春樹さんが答える、そんな長時間インタビュー集『みみずくは黄昏に飛びたつ』の新潮文庫版には、この本、つまりは村上さんが自身の父親について綴った長いエッセイについて、「書くのは一種の義務」だと語っている。
 そして、父親の戦争体験を「語り継がなくちゃいけないと思っていた」と述べている。

 このエッセイが総合誌「文藝春秋」の2019年6月号に掲載された時は随分と話題になった。何しろ村上さんはたくさんのインタビューやエッセイを残しているが、個人的な事柄についてはあまり語ってこなかった。
 特に父親についてはなかなか難しい関係であったようで、このエッセイにも「僕と父親とのあいだの心理的な軋轢は次第に強く、明確」になっていたと書いている。
 しかも、村上さんが職業作家になって以降、「絶縁に近い状態」だったともある。
 そんな父親との関係がありながらも、このエッセイで「父親について語る」のは、やはり「戦争」という事柄があったからだろう。

 この本の「あとがき」に「戦争というものが一人の人間の生き方や精神をどれだけ大きく深く変えてしまえるか」ということを描くとすれば、村上さんの前に父親がいたということだろう。
 それは極めて個人的な係累かもしれないが、村上さんにとってやはりそれは書いておかなかればならないことであったのだと思う。

 だから、村上春樹という作家の、これは独立した、そして屹立しているエッセイなのだろう。
  
(2020/04/24 投稿)

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  買った本は
  必ず読んでいるかといえば
  やっぱりそんなことはなくて
  結局「積読」している本も
  たくさんあります。
  今日紹介する
  司馬遼太郎さんの『新選組血風録』も
  そんな一冊で、
  え、あの司馬遼太郎さんの本を積読してたの、と
  叱られても仕方がありません。
  読みたくて買ったのに
  600ページ以上あるボリュームに恐れをなしていたのです。
  そして、
  新型コロナウイルスの影響で
  図書館が休みになって
  しからばと読んだのですが
  面白いのなんのって。
  「積読」している本に
  宝ものありますよ、きっと。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  『燃えよ剣』を読む前に読んでおきたい短編集                   

 幕末の京都にあって、新選組は殺人集団として市中では評判は悪かった。
 それでいて不思議なことに、新選組は現代でも人気が高く、今でも特集記事を組み雑誌があったりする。
 殺人集団と恐れながら、何故今でもこの集団は人気が高いのか。
 友情、崇拝、尊敬、侮り、裏切り、憎悪、妬み、無関心、まるで人間のありとあらゆる感情がこの集団に彷彿していて、人間の、特に青春期のいきようのない感情が、ここにあるからではないだろうか。

 この作品は司馬遼太郎が昭和37年(1962年)5月から12月まで「小説中央公論」に連載した短編集である。
 特定の個人を主人公にしたものではなく、15篇の短編の主人公はそれぞれ違う。
 近藤勇や土方歳三、沖田総司、斎藤一、篠原泰之進、芹沢鴨といった有名な隊士だけでなく(それにしても新選組にはスターが多い)無名な隊士まで描かれている。
 司馬遼太郎は後年「司馬史観」など歴史家のような顔を持つことになるが、初期の司馬の作品の面白さは抜きん出ている。
 土方歳三を主人公にして描かれた『燃えよ剣』は見事な青春文学だし、その作品がこの短編集を書き終えた昭和37年11月連載が始まっていることを考えれば、この短編集は名作『燃えよ剣』を生み出す、最初の原動力だったに違いない。

 土方歳三といえば、この短編集の中にもたびたび登場し、隊士からの評判はよくない姿を司馬は描いている。
 それでいて、司馬はそんな土方がかわいくて仕方がないようだ。
 土方歳三への想いが『燃えよ剣』に結実するのは、この短編集のあと、まもなくだ。
  
(2020/04/23 投稿)

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  今日は
  アガサ・クリスティー
  『パーカー・パイン登場』という
  パーカー・パインという主人公が活躍する
  短編集を紹介します。
  私が読んだのは
  1985年版の創元推理文庫
  この時のタイトルが
  『パーカー・パインの事件簿』でしたが、
  現在は多くの巻で
  『パーカー・パイン登場』となっているので
  そのタイトルで紹介します。
  この短編集はとても面白くて
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』でも
  ★★★★
  高評価になっています。
  アガサ・クリスティーを読むなら
  この作品は外せないです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんなスゴイ奴がいた                   

 「ミステリの女王」アガサ・クリスティーが生み出した名探偵といえば、誰もがエルキュール・ポアロとミス・マープルの名前を挙げるだろう。
 この2人に関していえば、原作を知らなくても映画やドラマで名前だけは耳に入ってきたし、原作を読めばさらにその名前への崇拝は増してくる。
 しかし、アガサにはまだ隠し球があった。
 もしかしたら、ポアロやミス・マープル以上に素敵な逸材が。
 それが、この短編集の主役、パーカー・パインだ。

 「太っているとはいえないまでも、大柄な男だ。上品な禿げ方をした頭と、度の強いめがね、小さいきらきら光る目。そして、ある種の雰囲気―頼り甲斐があるという雰囲気の持ち主」、それがパーカー・パインだ。
 パイン氏は探偵ではない。「あなたは幸福ですか?」という奇妙な新聞広告を出す身の上相談所のような仕事をしている男だ。
 彼の自慢といえば、役所で調査統計の仕事を長年やってきて、その統計の知識で「幸せでない人」を救い出すというもの。
 やってくるのが、「中年夫人」であったり「退屈している軍人」であったり「困りはてた婦人」であったり「不満な夫」であったり「サラリーマン」であったり「大金持ちの婦人」するのだが、彼らの悩みをパイン氏は自分のお抱えの部下を使って、相談者が知らないうちにその不満を消してしまうという、なんとも見事な手腕を発揮するのだ。
 それが実にテレビ的で、この作品が発表された1934年にはもちろんテレビなどないが、アガサは映像的な展開をよく心得ている。

 後半の六編は少し趣向が違うが、ここでもパイン氏の謎ときは見事だ。
  
(2020/04/22 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  新型コロナウイルスの影響で
  全国に緊急事態宣言が出され
  困っているのが
  街の飲食店さん。
  いろんな工夫で頑張っていて
  最近目につくのが
  テイクアウト始めましたのポスター。
  そういえば
  国民に一人10万円支給という政策で
  もらった10万円で
  困っている飲食店さんのために
  その分テイクアウトしますという人もいました。
  集まって食べるのは
  なかなか難しい時局ですが
  せめて食べ物エッセイで
  おいしさを味わいたい。
  今日は
  東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズから
  文春文庫版の最新刊
  『焼き鳥の丸かじり』を紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  文庫解説文の書評-今解き明かされる東海林エッセイの魅力                   

 おなじみ東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズの文春文庫版。
 文庫版も、めでたく本作で40作め。
 今回この巻にはとっても気になることがありました。
 というのも、文春文庫版の「丸かじり」シリーズの装幀はずっと和田誠さんがなさっておられた。
 その和田誠さんが2019年10月に亡くなって、没後初めて出る巻がこの巻で、さてどなたが装幀なさるのか、ちょっと想定できなかった。
 で、文庫カバーの表紙。
 今までも違うかといえば、違わない。
 これは和田誠さんの怨霊か。
 カバー裏を見ると「東海林さだお/和田誠事務所」となっている。
 わかったような、わからないような。
 つまりは和田誠さんの雰囲気を残しつつ、はじまりはじまり。

 今回の文庫本の解説は荻原浩さん。
 なんといっても、埼玉が生んだ直木賞作家ですぞ。
 さすが記念すべき第40作めの解説だけある。
 しかも、荻原浩さんは直木賞作家だけあって、東海林さだおさんの文章の魅力が鋭く解明。
 それが「文章の改行」。
 みんなわかっていたけど、なかなか言えなかった東海林エッセイの魅力の全貌が明らかになりました。
 よくぞ言ってくれました、荻原浩さん。

 世の中にブログとかSNSが普及する以前から東海林さだおさんの文章はそれを予測していたかのように、
 改行によってわかりやすく、読みやすくできた文体だったのです。
 ぜひ、この文春文庫でも東海林エッセイの魅力にはまってみて下さい。
  
(2020/04/21 投稿)

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 昨日(4月19日)は
 二十四節気のひとつ穀雨でしたが
 次はもう5月5日の立夏です。
 今年の春は
 新型コロナウイルスで
 楽しめなかったという人も多かったと思います。
 桜も今では
 すっかり葉桜となっています。

  20200419_112513_convert_20200419125451.jpg

 この「葉桜」も実は夏の季語にはいります。

    葉桜や天守さびしき高さにて     上田 五千石

 これも夏の季語ですが、
 今が満開の「さつき」。

  20200419_113356_convert_20200419125634.jpg

    満開のさつき水面に照るごとし      杉田 久女

 夏には感染も
 収まってくれたらいいのですが。

 外出自粛が出ているので
 畑に行くときも
 マスク着用です。
 畑に行っても
 できるだけ話はしないように
 人との距離を保っています。
 昨日は摘芯の作業をしました。
 まずはソラマメ

  20200419_105418_convert_20200419125348.jpg

 写真のように
 背丈が伸びてきたので
 摘芯をして
 栄養が出来てきた莢の方にいくように
 します。

 これはオカワカメ

  20200419_104236_convert_20200419125157.jpg

 これも放っておくと背丈だけが伸びるそうで
 摘芯をして
 わき芽がでるようにします。
 オカワカメは初めて栽培する野菜なので
 ネットとか本を見ながらの
 栽培なので
 うまくいくか
 ちょっと心配しながらやっています。

 こちらはタマネギ

  20200419_104440_convert_20200419124826.jpg

 今が成長真っ盛りという感じです。

 これはスナップエンドウ

  20200419_104601_convert_20200419125300.jpg

 これからどんどん収穫できるように
 なってくるのかな。

 今年の夏野菜の植え付けは
 講習会もありません。
 畑のアドバイザーさんの皆さんも
 色々気をつかいながら
 やってくれています。
 ありがたいものです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  二十四節気のひとつ、穀雨
  穀物を育てる雨という意。

    まつすぐに草立ち上がる穀雨かな     岬 雪夫
  
  早くコロナ感染が収まって
  季節を愛でる余裕ができたらいいと
  思います。
  昨日電子書籍のことを書きました。
  その中で
  本の定義を記しましたが
  その一つが
  「紙葉がとじられている」でしたね。
  漢字で書けば
  「綴じられている」でしょうか。
  だから、ほどけてくるということもあります。
  そこで登場するのが
   「ルリユール」というお仕事。
  いせひでこさんの『ルリユールおじさん』という絵本は
  本の手触りのようなものが滲んでいます。
  今までにこの絵本について
  二度書評を書いています。
  今日は2010年に書いたものを
  再録書評で紹介します。
  本の魅力を存分に味わってください。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  もう一度つなげる                   

 絵本作家いせひでこさんの代表作といってもいいこの絵本は、一冊の図鑑を大切にする少女と年老いた製本職人の物語です。
 何度も何度も読んでボロボロになった図鑑を持って少女はパリの街を駆け回ります。こわれた本をなおすために、ルリユールを求めて。
 いせさんの美しい水彩画と流れるようなページ構成が、絵本でありながら、まるで動画を観ているような気分にさせてくれます。音楽さえ聞こえてきそうです。それほどまでに美しい絵本です。

 「ルリユール」というのは製本という意味の言葉ですが、物語のなかで老職人は少女に「ルリユール」という言葉には「もう一度つなげる」という意味があることを教えます。
 「もう一度つなげる」。
 こわれたもの、ばらばらになったもの、それらが大切なものであればあるほど、「もう一度つなげる」ことは重い意味をもちます。家族との結びつき、恋人との関係、友人とのつながり、といったような人が人とつながるそんなものがこわれてしまった時、本当はもう一度元に戻りたいと願っても、互いの意地がなかなかそれを許さない。
 「もう一度つなげる」ことはとても難しい。

 「ぼうず、あの木のようにおおきくなれ」と、かつて「ルリユールおじさん」は父親にいわれたことがあります。そして、名をのこさなくてもいいから、「いい手をもて」とも教えられます。それは、本を再生する職業のことだけでなく、「もう一度つなげる」ための教えだったように思えます。
 「もう一度つなげる」ためには、おおきな木のような、すべてをつつみこむ深さやひろがりが必要なのでしょう。それは、ゆるすということかもしれません。
 いせひでこさんは、そのことをこの美しい絵本を描きました。いせさんは、この絵本で「ルリユールおじさん」の「魔法の手」をもてたのではないでしょうか。

 「ありがとう」といって、本を閉じました。
  
(2010/10/10 投稿)

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 ここしばらく
 電子書籍版の本の紹介が続いたので
 電子書籍を読んだ感想を
 書いてみたいと思います。

   *   *   *   *   *   

 「漫画の神様」手塚治虫の代表作のひとつ
 「鉄腕アトム」では
 どんなに人間に似ていても決して人間になれない
 アトムの苦悩がたびたび描かれています。
 電子書籍もそんなアトムによく似ています。
 同じ内容でありながら
 決して本にはなれない。

 そもそも本とは何でしょう。

  

 日本エディタースクールが編集した『本の知識』には
 こうあります。

  ① 内容のあること
  ② 持ち運びが容易にできる
  ③ 紙葉がとじられている
  ④ 中身とそれを保護するもの(表紙)がある
  ⑤ ある程度の分量がある


 これでいえば①と②は電子書籍にも当てはまりますが
 ③以降は電子書籍には該当しません。
 読んでみて特に感じるのは⑤かもしれません。
 私はスマホで電子書籍を読みました。
 ちなみに私のスマホはiPhoneではありません。
 スマホで読んだ場合
 どんなに分厚い長編であろうが
 わずか数十ページの短編であろうが
 手にした重さは変わりません。
 だから、電子書籍は便利だという意見もあるでしょうが
 この「質感」の違いが
 とても大きいと思います。
 しかも、
 本の場合、ページを繰っていくと
 左手から右手へ重さが移動していきます。
 もちろん本を読んでいる時に
 そのような重さを実感することはありませんから
 まさに「質感」の差だといえます。
 私の場合、
 この差が一番大きかった。

 長い間本として読んできた世代には
 この「質感」の差はなかなかなじめないかもしれません。
 でも、これはペンで手書きをしていた時と
 パソコンに向かって文章を「打つ」のと
 よく似ているような気がします。
 同じ文章を「書く」ということでは変わりませんが
 微妙な違いは
 きっと生まれているのではないでしょうか。
 しかし、
 いつの間にか「打つ」が「書く」ことに変わったことに
 違和感なくなった。
 それと同じことが
 本と電子書籍の間にも起こるように思います。

 電子書籍には文字を拡大したり
 音声で読みあげたり
 さまざまな機能があります。
 今まで本を読んできた世代こそ
 年を重ねることで
 目に対して負担が大きくなってきます。
 だからこそ
 今のうちに電子書籍になれることも
 必要ではないかと思っています。

 現在のように
 図書館が休館し
 大手の本屋さんも休業しているような時こそ
 電子書籍に馴染む
 絶好の機会のように思います。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  『美は乱調にあり』は
  瀬戸内寂聴さんの小説ではなく
  それを原作にした
  柴門ふみさんの漫画です。
  しかも、電子書籍で読みました。
  電車の中などで
  若い人が漫画をスマホで読んでいる光景を
  よく見かけましたが
  いざ自分がスマホで読んでみると
  結構目が疲れる感じがしました。
  漫画は小説とかいった文章以上に
  大きな版で読んだ方がいいかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  漫画から文学へ、さらには歴史へ                   

 この漫画の作者柴門ふみさんといえば、「東京ラブストーリー」とか「あすなろ白書」とか1990年代のトレンディドラマの原作者として有名である。
 柴門さんの漫画のタッチは少女漫画の華麗さとは一線を画しているが、描く女性たちが等身大ということもあるのだろうか、女性のファンが多いと聞く。
 そんな柴門さんの作品群からいっても、この作品はかなり異質だろう。
 なんといっても、瀬戸内寂聴さんがまだ出家する前の晴美という名前であった1966年に発表されたもので、この作品をもって思想家大杉栄と共に関東大震災の際に虐殺される伊藤野枝という女性を広く知らしめたといわれている。
 その有名な原作の漫画化を実現したのは、瀬戸内さん柴門さんともに徳島出身ということもあったのかもしれない。
 雑誌「オール讀物」で平成25年4月号から翌年1月号まで連載された。

 大杉栄にしろ平塚らいてうにしろいずれも明治から大正時代にかけての歴史上の人物で、大杉が妻のある身でありながら「フリーラブ」などと称して伊藤野枝や神近市子といった複数の女性と関係を持っていくのは、あの時代にあって狂気としてしか思えない。
 写真で見る大杉栄は確かに今でいうイケメンだし、柴門さんもそんな風に描いている。だからといって、大杉の生き方が全面的に肯定されるものでもないように思う。

 名作と呼ばれる作品を漫画化することの難しさをあったと思う。
 しかも、歴史上の事実とはいえ題材は過激である。
 柴門さんの漫画だから、そこを入り口にして歴史の森に入ってみるものいいかもしれない。
  
(2020/04/17 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  織田作之助の有名な短編小説
  『夫婦善哉』を紹介します。
  この作品は
  インターネットの電子図書館の
  「青空文庫」で読みました。
  ちょっと前に
  1955年に封切られた
  豊田四郎監督の映画をDVDで観たところでした。

  

  主人公のダメな男を森繫久彌さんが演じ、
  この作品で一躍演技派と称賛されます。
  ヒロイン蝶子は淡路千景さん。
  こちらも熱演です。
  この映画、その年のキネマ旬報のベストテン2位ですから
  映画の完成度も高い。
  でも、織田作之助の原作もいい。
  たくさん本を読んできたつもりですが
  実はこの作品を読むのは
  初めて。
  お恥ずかしい。
  でも、出会えてよかった。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  オダサクの名短篇                   

 今でも「オダサク」と愛称で呼ばれることの多い作家織田作之助。
 オダサクは昭和22年(1947年)33歳の若さで亡くなっているが、文学史において太宰治や坂口安吾らとともに「無頼派」「新戯作派」などに属されることが多い。
 そして、彼の代表作といえば、何といってもこの『夫婦善哉』だろう。
 昭和15年(1940年)に発表された短編小説で、映画化やドラマ化など今でもたくさんの新しい読者を獲得している。

 主人公は化粧品問屋の跡取り息子ながら優柔不断で妻子がありながらついに女をつくって家を出てしまう男柳吉。そして、その相手であるしっかり者の元芸者が蝶子。
 この二人が初めて東京に駆け落ちしたのが柳吉31歳で蝶子が20歳。
 熱海で遊ぶ二人に襲ってきたのが大正12年の関東大震災。
 その時「えらい駈落ちをしてしまったという悔が一瞬あった」と、オダサクは書いているが、しっかりと揺れるはずのない自分たちの足元が、大きく波うつのだということ、そしてこれ以降の二人の生活をこの大きな地震が予告しているようで、この作品の良さが出た一文だろう。

 このあとも蝶子は何度も柳吉に騙され、それでも彼を捨てることはない。
 面白いのは小さな天婦羅屋を営む蝶子の父母で、柳吉に苦労する蝶子を見ながらも謗ることなくわずかではあるが助けの手を差し伸べる姿だ。
 一方の柳吉の実家の冷酷さと比べれば、大阪の人情はこういう貧しい場所から生まれたのだと思いたくなる。

 短篇小説ながら、オダサクの巧さ才気が迸る名品である。
  
(2020/04/16 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  大林宣彦監督が
  2017年に発表した『花筐/HANAGATAMI』は
  作家檀一雄の処女作でした。
  檀一雄といえば
  早すぎる晩年
  『火宅の人』で一躍ベストセラー作家になります。
  その死後から20年、
  沢木耕太郎さんは妻ヨソ子さんに
  檀一雄の姿を語らせています。
  今日紹介する
  『』は1995年に刊行されています。
  この頃は
  沢木耕太郎さんの新刊が出るたびに
  本屋さんに駆け込んだものです。
  それから四半世紀、
  今回久しぶりに読み返しました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  男と女の間には                   

 ノンフィクション作家沢木耕太郎さんが1995年文芸誌「新潮」7月号に発表した異色のノンフィクション評伝。
 描かれているのは最初の妻を描いた『リツ子 その愛』や妻子がありながら愛人との生活を赤裸々に描いた『火宅の人』などで有名な作家檀一雄。
 最近の若い読者にはこれらの代表作よりも男メシの先駆けともいえる『檀流クッキング』の著者という方がわかりやすいかもしれない。
 女優檀ふみの父親でもある。

 異色のノンフィクション評伝と書いたが、何故異色かというと、この作品が「私」という一人称で語られている点だ。
 もちろん書いたのは沢木だから、実際には「私」=沢木になるはずだが、ここで書かれる「私」は檀一雄の二番めの妻ヨソ子である。
 おそらく沢木はヨソ子へのインタビューを通して檀一雄の姿を手中に収めたはずだ。
 それを「三人称」で描くのではなく、あたかもヨソ子さんが語っているかのように描くことで、文学的な深みを手にいれたのではないだろうか。

 檀一雄が亡くなったのはこの作品が描かれる20年ほど前の1976年。
 檀はまだ63歳の若さであった。
 「最後の無頼派」と呼ばれることもあったし、『火宅の人』の影響もあって、そこに純粋な生き様や恋愛観が培養されていた感がある。
 では、その一方の当事者であった妻は檀をどう見ていたのか。
 愛人に走る夫とそれでも夫の最後まで看取る妻。
 妻である「私」に語らせる沢木の筆はある意味残酷であるやもしれない。
  
(2020/04/15 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  「映像の魔術師」と呼ばれた
  映画監督の大林宣彦さんが82歳で亡くなったという
  ニュースがあった4月11日、
  偶然にも日本映画専門チャンネル
  2017年に制作された「花筐/HANAGATAMI」が放映されました。

  

  この作品で大林宣彦さんは
  その年のキネマ旬報監督賞を受賞しました。
  檀一雄の原作で
  随所に大林宣彦さんらしい映像のきらめきを感じる作品で
  戦争反対のメッセージを強く込めた
  作品でした。
  ただちょっとメッセージ性が強く出過ぎた作品のようにも
  感じました。

    戦争で亡くなった人を忘れないことが、
    平和とつくる方法。
    そういう映画をつくってきた。

  これは大林宣彦さんの言葉です。
  1970年代からずっと
  大林宣彦さんは若い映画青年たちの目標でもあったし
  トップランナーでもありました。
  今日は
  大林宣彦さんが最後に残した本、
  『戦争などいらない―未来を紡ぐ映画を(のこす言葉)』を
  再録書評で紹介します。

  大林宣彦監督
  たくさんのいい映画をありがとうございました

  ハイ! カット!

  

sai.wingpen  つないでいくことの大切さ                   

 平凡社「のこす言葉」シリーズは「人生の先輩が切実な言葉で伝える語り下ろし自伝」だが、その先輩たちが活躍している世界は、俳人あり歴史探偵あり冒険家あり児童文学者ありと、さまざまだ。
 大林宣彦さんは1938年(昭和13年)広島・尾道で生まれた映画監督だ。
 1977年39歳の時に「HOUSE/ハウス」で商業映画デビュー。その時にはすでに伝説の映画監督で、それまでにあの有名となった男性化粧品「マンダム」のCFを制作したのも大林さんだった。
 その後尾道を舞台にした「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」の「尾道三部作」や同じ尾道を舞台にした「ふたり」などで人気監督となっていく。
 ただその作品数は多くない。それでも大林ファンは多い。
 2016年、肺がんで余命半年の宣告を受けながらも映画「花筐」を監督。この作品で2017年には多くの映画賞を受賞している。

 そんな大林さんの「のこす言葉」の副題に「戦争などいらない」とあるのは、大林さんには自分たちの世代が「敗戦後の国づくりを任された世代」という自覚があるからで、しかし、それも決してうまくはいかなかった。
 だからこそ、自分は「映画をつくる」のだと語っている。
 映画を通じて、次の世代に「戦争なだいらない」ということを伝えていく。
 大林さんは「記録は風化するけど、記憶は人の心に刻まれる」という。
 なぜ記憶は風化しないのか、それは「リアリズムではないけど、嘘であるけど、リアリズム以上の「心のまこと」を持っている」からだと。

 大林さんたちの世代から渡されたたいまつを私たちは消さずに次の世代に渡せるか。
 そのことの大切さを思う。
  
(2019/08/21 投稿)

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 新型コロナウイルス感染拡大で
 緊急事態宣言が出た街に住んでいると
 外出もしづらいのですが
 できるだけ
 歩くようには心がけています。
 近所の散歩ですが
 それでも季節ならでは樹々や草花の様子を
 知ることができます。
 ちょうど今樹々の若い葉が芽吹いてきた時期。

  20200411_123640_convert_20200412085147.jpg

 「若葉」というのは夏の季語で
 少し早いのですが
 やはり輝くような若い葉を見ると
 うれしくなります。

    若葉して手のひらほどの山の寺      夏目 漱石

 こちらは
 家の垣根に咲いていたツツジでしょうか。

  20200407_084327_convert_20200412084753.jpg

 ピンクの鮮やかさに
 心ときめきました。

 畑作業も
 変わらずにしています。
 こういう時に外の作業というのは
 安心できていい。
 しかも、人との距離も近すぎない。
 4月11日(土曜日)には
 夏野菜の準備のための
 畝づくりをしました。

  20200411_120742_convert_20200412085110.jpg

 こちらは
 出そろったジャガイモの芽。

  20200411_104555_convert_20200412085015.jpg

 もう少し大きくなったら
 土寄せをします。

 この日は収穫もありました。
 スナップエンドウキヌサヤ

  20200409_170055_convert_20200412084835.jpg

 どちらがどちらかわかりますか。
 左の平べったいのがキヌサヤ
 右のふっくらしているのがスナップエンドウ

 これはペコロス

  20200409_171126_convert_20200412084925.jpg

 というか、
 ペコロスには専用の品種もあるそうですから
 どちらかといえばタマネギの早採り。
 苗を購入した際に
 50本あったので
 畝植えできなかった分を
 早採りするつもりで
 別のところで栽培していたもの。

 こんな時こそ
 3密(密集・密閉・密接)をさけながら
 体を動かせるところが
 あるといいですね。

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  ウエブスターの『あしながおじさん』は
  100年以上前の作品ですが
  絵本だって
  負けてはいません。
  今日再録書評で紹介する
  バージニア・リー・バートン
  『ちいさいおうち』は
  1942年の作品ですから
  80年近くも前の絵本です。
  『あしながおじさん』でもそうですが
  いい作品というのは
  決して古びないものです。
  今日の書評は2011年の5月に
  書いたものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちが求めたもの                   

 この絵本は1942年にアメリカの最優秀絵本として賞を受けていたことに驚いてしまいます。
 昔の人なら、だから戦争に負けるのだというかもしれません。私は「戦争を知らない子供たち」の世代ですから、そんな無粋なことはいわないですが、それでも大きな文化の違いを感じます。
 当時のアメリカにはこの絵本が描こうとしていたように、拡大一途の文明の発展を良しとはしない、そんな主張もまちがいなくあったのでしょう。
 しかし、残念ながら、それがすべてではなかった。ちいさなおうちの住む場所がいつの間にか田舎から町、そして大都会へと変わっていくことを人間の進化のように考える多くの人がいたということが、この絵本の出版から70年近くなって、歴史が証明しています。

 日本でもそうです。戦争が終わって、多くの人たちがめざしたのは、ちいさなおうちが大きなビルのはざまで息もできなくなって苦しむそんな生活でした。それが当時の人たちの希望だったのです。それはちょうど、ちいさなおうちがずっと昔に町の遠いあかりをみながら「まちって、どんなところだろう」と思ったこととよく似ています。
 春のにおいを胸いっぱい吸い込み、夏のひかりに目を細め、秋の風に髪をなびかせ、冬の寒さに身をかがめる。そんな自然と折り合っていく生活を、「便利」という誘惑と「不便」という理由で捨てていった、私たち。
 ちいさなおうちの頭の上に広がる雲がいつの間にか真っ黒に変わっていくのを見過ごしてしまいます。ちいさなおうちのまわりに「ひなぎくのはなも さかない」ことに不思議を感じなくなっていきます。

 私たちは残念ながら、この絵本の最後の部分を読み損なってきたのかもしれません。あるいは、読んでいながらそれでも都会の誘惑に負けてしまったのかもしれません。
 だったら、何度でも読むしかありません。子供へ孫へ、新しい世代へと読む継いでいくしかありません。
 きっといつか、この絵本が、ちいさなおうちが求めたものを、誰もがわかる日がきます。
 それがいつなのか、いえないことが悔しいとしても。
  
(2011/05/15 投稿)

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  今日紹介する
  ウェブスターの『あしながおじさん』は
  今年初めに
  もう一度読みたいなあと思って
  買っておいたものです。
  初めて読んだのは
  たぶん中学生の頃。
  当時箱入りの文庫で珍しかった
  旺文社文庫で読んだことは覚えています。
  今回は岩波少年文庫版で読みましたが
  なんともかわいい
  作者自身の手による挿絵は
  私が最初に読んだ文庫本にも
  ありました。
  あれから半世紀たって
  今回再読しても
  やっぱりこの作品はいいな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  永遠の青春文学                   

 2020年に創刊70周年を迎える「岩波少年文庫」のこの本の表紙袖の短い紹介文に「ユーモアとあたたかい愛が全篇にあふれる青春文学の名作」とあった。
 確かにこの物語の主人公であるみなし子のジューディは名前も教えてもらえなかった孤児院の評議員から援助をもらい、大学に入学する年齢であるから二十歳前の少女であるから、「児童文学」というより「青春文学」という方がふさわしいのだろう。
 だからといって、小学生や中学生が読んで早すぎるということは決してない。
 彼らならきっとこう思うにちがいない。
 もう少ししたら、私にも「あしながおじさん」がきっと現れるのだわ。

 この有名な作品はアメリカの作家アリス・ジーン・ウェブスターによって1912年に出版されたもの。
 つまり、今でも多くの読者を生み出しているこの作品は100年以上前に誕生したことになる。
 100年以上前の作品を読んで、ちっとも古びた感じがしないのは、やはり主人公であるジューディの魅力といっていい。
 いつも明るく前を向く。やる気に溢れ、かわいそうな過去にもめげることはない。
 そんな彼女が大学に入る条件のひとつが、援助をしてくれた人に手紙を書くこと。彼女が名付けて送り先の人の名前が「あしながおじさん」。

 ウエブスターはわずか37歳で早逝したので、残した作品は多くない。
 けれど、こんなに素敵な「青春文学」を残してくれたのだ、かわいいさし絵とともに。
  
(2020/04/11 投稿)

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  今日は
  向田邦子さんの『女の人差し指』という
  エッセイ集を紹介します。
  この本も
  さいたま市の図書館から
  電子書籍として借り出したものです。
  図書館でどんな電子書籍があるのかなと
  図書館のホームページで
  探していて見つけました。
  おや、こんな本もあるんだと
  うれしくなって借りました。
  コロナウイルス感染拡大の影響で
  テレビドラマの制作現場も
  厳しい状態になっているようですが
  こんな時代だからこそ
  元気で明るいドラマが見たいものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  長女の魅力                   

 台湾での飛行機事故に巻き込まれ、脚本家で直木賞作家でもあった向田邦子さんが亡くなったのは1981年(昭和56年)8月だった。
 この時向田さんはまだ51歳という若さであった。
 それから40年近くなるのに、今でも向田さんは人気の高い作家である。
 昭和の時代にも文豪と呼ばれた作家やベストセラー作家は数多くいるが、向田さんはそんな中にあっても今でもたくさんの読者に愛されている稀有ともいえる一人であろう。

 向田さんの肩書の第一はもちろん脚本家であろう。
 昭和のテレビドラマを牽引した一人であることは間違いない。
 その次には直木賞まで受賞した作家としての向田さんであるが、直木賞の受賞が1980年であるから小説作品としては極めて少ない。
 そして、もう一つの肩書がエッセイストである。
 向田さんの魅力は案外このエッセイにおける文章の巧さのような気がする。

 この『女の人差し指』というエッセイ集は1982年、つまりは亡くなったあと刊行されたものだ。
 表題作でもある「女の人差し指」は亡くなる直前まで「週刊文春」に連載されていたエッセイで、随所に向田さんの父親や家族たちの姿が活写されている。
 向田さんの魅力は長女のそれのように思っている。
 自身には色々な想いがあるのだろうがそれをしまい込んで、家族のために立ち回ろうとする気性、そんな長女の魅力が亡くなって40年経っても衰えない人気の源泉ではないだろうか。

 このエッセイ集にはほかに、「テレビドラマ」や「食べもの」「旅」といった単元で括られたエッセイが収められている。
  
(2020/04/10 投稿)

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 「緊急事態宣言」が埼玉県にも出され、
 そのためさいたま市では図書館の休館をさらに延長し、
 5月6日までとなりました。
 それで収まればいいのですが。
 図書館は開いて欲しいですが
 こればかりは仕方がありません。

 昨日紹介した
 江戸川乱歩の『少年探偵団』は
 さいたま市の図書館から借りた電子書籍
 読みましたと書いたので
 そこで今日は
 電子書籍のことを少し書いてみたいと思います。

 実は全国の公共図書館で
 電子書籍の貸出サービスをしているところは
 まだ少なく
 全国で100もありません。
 なので
 さいたま市の場合はすごく恵まれた環境にあると思います。

 情報社会が大きく変動して
 いずれ電子書籍しか知らない人たちも増えてくることが
 考えられます。
 そうなれば、本は紙でないといけないみたいな人も
 少なくなってくるのだと思います。
 今、私たちが当たり前のように使っている
 スマホだって
 わずかここ10年ばかりに急激に普及したものです。
 なので、
 電子書籍にも早く慣れておきたいと
 思っていたのですが
 なかなか前にいけずにいたところ
 今回の新型コロナウイルスの影響で
 図書館が長期休館となって
 紙の本の貸出ができなくなったので
 今がいい機会だと
 思い切って借り出しました。

 さいたま市の場合
 電子書籍の借り出し点数は3点です。
 紙の本の場合30点までできるのですが
 ここが大きく違います。
 借り出せる期間は14日間。
 紙の本の場合は
 返すのが遅くなっても
 督促とかはあるようですが
 手元から消えることはありませんが
 電子書籍の場合
 データが消えてしまいます。

 電子書籍だからといって
 たくさんの人が一度に借り出せるかというと
 そんなことはなくて
 誰かが借り出していれば
 予約をして順番待ちということになります。
 さいたま市電子書籍
 予約も3点までとなっています。

 電子書籍は扱っていますが
 紙の本とちがって
 新刊などはほとんど扱いがありません。
 図書館で扱う電子書籍にも
 色々な縛りがあるのだと思います。
 なので
 読みたい本を図書館で簡単に読めるとしたら
 やはり紙の本ということになります。
 ただ
 図書館によって電子書籍の読み方とかも
 違いがあるようですから
 それぞれの図書館に聞いてみるのが
 いいと思います。

 電子書籍が読みやすいかどうかは
 また別の機会に。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズから
  『少年探偵団』という作品を
  紹介します。
  表紙を見ているだけで懐かしさがこみあげてきそうですが
  子供の頃に読んだかどうか
  まったく覚えていません。
  今回この本は
  さいたま市の図書館から電子書籍版で借りて
  読みました。
  インターネット電子図書館でもある「青空文庫」でも
  読むことはできますが
  私が借りた電子書籍は
  柳瀬茂の挿絵も見ることが出来ます。
  もちろん、この作品は紙の本としても
  読むことができます。
  学校の図書館などにも
  あるのではないでしょうか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「瑠璃の色」ってどんな色?                   

 「ぼ、ぼ、僕らは少年探偵団/勇気凛々(りんりん)瑠璃(るり)の色/望みに燃える呼び声は朝焼け空に谺する」、この歌は今でも唄える。(作詞は壇上文雄)
 そんな馴染みのある歌だが、いつの頃なのか。
 ウィキペディアで調べると、1960年から63年にかけて放送されたテレビドラマの主題歌だそうだ。
 子どもの頃だから「瑠璃の色」がどんな色だかわからなかったはずだが、妙に印象に残っている。
 そのドラマの原作が江戸川乱歩という作家だったことは、きっとその当時は知らなかったに違いない。

 この作品はもともと1938年に発表されたもので、「少年探偵団」としては『怪人二十面相』に続く2作めの登場となる。
 子供向けにポプラ社から刊行されたのが昭和39年で、この本はそれが底本になっている。
 「少年探偵団」のことはこの作品の冒頭に「十人の勇敢な小学生によって組織させられた」もので、団長は名探偵明智小五郎の 名助手でもある小林芳雄君。(小林君は芳雄という名前だったんだと読むながらうれしくなった)
 今回「少年探偵団」が闘う相手はもちろん「怪人二十面相」で、この作品では二つの事件が描かれている。
 一つはのろいの宝石にまつわる幼い女の子誘拐事件で、ここでは小林少年の機転で「少年探偵団」のバッジが女の子のピンチをたすける。
 もう一つは黄金でできた塔を盗みだすという二十面相の挑戦に立ち向かう明智探偵と小林少年の活躍を描いている。

 発表されたのは随分前の作品だが、細部を少し変えるだけで現代の物語として十分通用する。
 もちろん、あの歌だって。「ぼ、ぼ、僕らは少年探偵団」。
  
(2020/04/08 投稿)

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  今日は
  アガサ・クリスティー
  『三幕の殺人』という
  ポアロが登場する
  長編小説を紹介します。
  いつもの
  霜月蒼さんの『アガサ・クリスティー完全攻略』によれば
  評価は★★★★ですから
  高評価作といえます。
  でも、
  霜月蒼さんは「ものすごい退屈」と
  書いているんです。
  「ものすごい退屈」だけど
  この高評価ということは
  いかに結末がうまくできているかということ。
  ね、読んでみたくなったでしょ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ポアロが殺されていたかもしれない事件                   

 刑事ドラマなどを見ていると、犯人らしい人物がいるのだが犯罪を起こした動機がわからなくてなかなか逮捕できないという設定がよくある。
 アガサ・クリスティーが1935年に発表したポアロ物と呼ばれる作品のひとつでもあるこの物語でも、誰も恨みをかうはずもない牧師が12人の客が集まるホームパーティで亡くなる。
 残されたカクテルグラスには毒の付着もない。
 ましてや牧師が殺しの対象にされるはずもない。
 それからしばらくして、同じような事件が起きる。
 しかも、今度もホームパーティでのことで、参加している中に先のパーティにもいた人物が何人もいる。

 実は最初のパーティには我らがポアロもいた。ただし、2回めのパーティには参加していない。
 ポアロと同じように2回めのパーティに参加していない男女3人が事件の真相を暴こうと動き出す。
 この作品ではポアロは表立った動きはしていない。
 3人の素人探偵が集めてくる情報を聞くことに徹している。
 3人のうちの1人にどうしてこの事件に関わるのかと聞かれたポアロの答えがかっこいい。
 「真実をつきとめる情熱がそうさせるのだとも申しましょうか? 真実以上にふしぎな、興味深い、また美しいものはありません」
 その気持ちは読者もまた同じであろう。

 そして、最後はポアロによる謎とき。
 誰の恨みをかうはずもない牧師が殺された理由はなんだったのか。
 真実が明らかになった時、結構驚く展開になっている。
 そして、その時、実はポアロもまた危うかったことがわかるという、二重構造も巧い。
  
(2020/04/07 投稿)

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 外出自粛が続いている週末、
 人混みのある街なかにはいけないので
 ご近所を散歩。
 雪が降ったり風が強かった割に
 桜はまだ持ちこたえていました。

  20200403_101930_convert_20200405082440.jpg

 これは
 チーリップと桜の春の二重奏。

  20200404_112056_convert_20200405082957.jpg

 ちっとも有名な場所ではないですが
 春を感じることができます。
 こちらは紫木蓮

  20200404_133157_convert_20200405083043.jpg

    紫木蓮くらき生家に靴脱ぐも       角川 源義

 「歳時記」片手に
 ご近所を歩くだけで
 春を満喫できるかも。

 金曜土曜は天気もよかったので
 菜園にも
 利用者がたくさん来ていました。
 たくさんといっても
 密閉でも密集でもないので
 まずは安心かな。

 金曜日(4月3日)に
 初めて栽培する野菜の苗を植えつけました。
 オカワカメという野菜。

  20200403_144426_convert_20200405082647.jpg

 名前のとおり
 ワカメの風味がするのだとか。
 どんな風に大きくなるのかわかりませんが
 わからない分楽しみでもあります。

 こちらは
 芽を出したジャガイモ

  20200403_145134_convert_20200405082914.jpg

 少し芽が出たあとで雪が降ったので心配していましたが
 なんとか大丈夫みたい。

 これは
 桜の花びらを散りばめた
 タマネギ

  20200403_144313_convert_20200405082605.jpg

 春らしいなと思って
 写真を撮りました。

 スナップエンドウ
 かわいい莢。

  20200403_143558_convert_20200405082523.jpg

 まだ収穫というには
 数が少ないです。

 休校が続く子どもたちにも
 土をさわらせてあげたい
 野菜たちの成長を見せてあげたい。
 畑を見ながら
 そんなことを思ったりします。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  角野栄子さん文
  大島妙子さん絵の
  『一年生になるんだもん』は
  これまで2回このブログで紹介しています。
  今日はそのうち
  2011年4月10日に書いたものを
  再録書評として紹介します。
  書評を読んでもらうとわかるように
  これは東日本大震災のあった4月に
  書いたものです。
  そして、今
  あの時以上につらくてきびしい春が
  めぐってきました。
  多くの小学校で
  新入生だけ、あるいは保護者は1名といった
  今までにはなかった入学式になりそうです。
  そのあとには
  また休校というところもあるでしょう。
  子どもたち。
  病気に負けるな。
  明るい夢をえがけ。
  そんな気持ちで
  ふたたびこの絵本を紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  明るい夢                   

 この春、新しく小学一年生になった皆さん、おめでとうございます。
 これからたくさんの楽しいことが皆さんを待っていることでしょう。
 ずっと前に小学一年生だった私からひとつだけお願いがあります。
 この春、大きな地震がこの国を襲いました。そして、たくさんの人たちの命が失われました。君たちのように一年生になるのを楽しみにしていた子どももいます。
 命のことは、あるいは生きていくということは、まだまだ君たちにはよくわからないことかもしれません。でも、これからのこの国をつくっていくのは君たちです。
 命を大切にし、この国で生きることの素晴らしさをつくっていってください。

 この絵本は、『魔女の宅急便』を書いた角野栄子さんの、小学一年生になる女の子のどきどきを描いたかわいい絵本です(絵は大島妙子さん)。
 学校にいく準備をするさっちゃん(彼女がこの物語の主人公です)と家族の様子に、そうだよなそうだよなと、もう何年も前になる娘の入学前のことを思い出しました。
 筆箱、鉛筆、ランドセル、運動靴。そのひとつひとつに娘の名前をいれました。もしかしたら、あの時が一番娘の名前を書いたかもしれません。
 子供の未来を純粋に願った、親として一番幸福な時間といえるでしょう。
 そんな幸福な時間をこの絵本が思い出させてくれます。女の子のどきどきをかわいいと読むこともできますが、親としての幸福感を味わえる絵本でもあります。

 入学式をおえて眠るさっちゃんはどんな夢をみるのでしょう。たのしいことがいっぱいつまった夢でありますように。
  
(2011/04/10 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、
  清明
  万物がこの頃より溌剌としてくるといいます。

    清明や鳥はくちばし閉ぢて飛ぶ    鶴岡 加苗

  そんな季節なのに
  新型コロナウイルスの影響で
  なかなか溌剌とまではいかない。
  せめていい本でも読みたいものです。
  今日は文庫本の紹介。
  川上未映子さんが聞き手で
  村上春樹さんがこれに答える。
  『みみずくは黄昏に飛びたつ』。
  その新潮文庫版
  単行本の方は2017年の6月14日に
  紹介しています。
  では、何故文庫本なのか。
  その答えを書評に書いています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  読むんだったら文庫本で                   

 文庫本というのは、文庫オリジナルというのは別にして、基本的には単行本が出てから大体2年か3年経ってから刊行されると聞いたことがある。
 作家の(というより純粋に村上春樹さんのファンという側面の方が大きいが)川上未映子さんが聞き手で村上春樹さんがそれに答えるというインタビュー集であるこの文庫本の場合、単行本が出たのは2017年4月。
 その当時出たばかりの村上春樹さんの『職業としての小説家』と『騎士団長殺し』をテキストにして4つのロング・インタビューが収められている。
 単行本の場合は出たばかりのエッセイと長編小説がテキストであったから、それは刺激的だったし、それから2年経って文庫本で読んだ時は正直色褪せたところもあったが、中には全然変わらなく、村上春樹っぽい(当たり前だけど)箇所もたくさんあった。

 それは春樹さんがいうところの「信用取引」で、私という読み手が村上春樹という書き手を全面的に信用しているということだと思う。
 そして、「文章自体はどこまでも読みやすく、素直なものを使いたい」という春樹さんの小説スタイルに共鳴しているのでもあるのだろう。

 そんな単行本から2年が経って文庫本になったわけだが、この文庫本にはなんといっても「文庫版のためのちょっと長い対談」がオマケでついている。
 そこでは春樹さんが「文藝春秋」の2019年6月号に書いた父親の話「猫を棄てるー父親について語るときに僕の語ること」のことが結構話されている。
 さらにいえば、前期のベステセラー『ノルウェイの森』についても。

 だから、こんなことを書くとおかしいかもしれないけれど、この作品を読むなら絶対文庫本の方がお得だ。
  
(2020/04/04 投稿)

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  新型コロナウイルスのニュースの中に
  小さな訃報記事を見つけました。
  歴史学者山本博文さん死去。
  3月29日のことです。
  まだ63歳という若さでした。
  特に山本博文さんの著作を読んできたわけではないが
  その名前が覚えやすいので
  気になる歴史学者の一人だったのは間違いない。
  そこで今日は山本博文さんの著作から
  『江戸人のこころ』を
  紹介します。
  この本はさいたま市の図書館から
  電子書籍として貸出をうけました。
  電子書籍を読んだ感想はまた別の機会にして。
  今日の書評のタイトルに使った「ただ惜しむべきは」は
  滝沢馬琴が息子を亡くした際に
  知人への手紙に綴った文言です。
  きっと多くの人が
  山本博文さんの死にそう思われているのではないでしょうか。

  ご冥福をお祈りします。

  

sai.wingpen  追悼・山本博文さん -ただ惜しむべきは                   

 手紙を書いたのはどれくらい前だろうか。その逆もそうで、手紙をもらったのも随分前になる。
 ITが進んでメールでのやりとりが増えて、手紙を書くという習慣がうんと減っている。
 もしかしたら「恋文」などという言葉も死語に近いかもしれない。
 昔の文豪なら「夏目漱石書簡集」のように残された手紙でその人の心情などを追体験することもあったが、現代ではどうだろう。「村上春樹書簡集」といったものが出版されるとも思えない。
 この本の著者山本博文氏は東京大学史料編纂所で戦国時代以降の書状について研究し、そこで得た知見をわかりやすい語り口で多くの著作をものにしてきた。
 1992年には日本エッセイスト・クラブ賞も受賞している。

 山本氏はこの本の冒頭に「個人的には手紙を読むのがいちばん楽しい」と書いている。
 何故なら「過去の人物の心に迫ることができる」からだという。
 そんな山本氏が「歴史上の人物の感情がよく示されているものを選んで紹介」しているのが本書であるが、赤穂浪士で有名な大高源五や「南総里見八犬伝」の滝沢馬琴といった有名人だけでなく、その頃来日していた英国人にあてた遊女の「恋文」や大奥の女中にはいった名主の娘が親に小遣いをせがる手紙や天璋院篤姫の好物を国元に所望する手紙など多岐に及んでいる。
 討ち入りを前に母に宛てた大高源五の手紙など切ないが、山本氏のいうようにある面「楽しい」のは、歴史という流れに洗われたせいかもしれない。
 こういう本をきっかけに歴史に興味をもつようになれば、著者もどんなにかうれしいことだろう。
  
(2020/04/03 投稿)

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 私はスポーツが嫌いだ。
 スポーツというより運動という方が合っているかもしれない。
 私は運動が嫌いだ。
 運動が苦手だから嫌いといってもいい。
 先日、
 『1964年の東京オリンピック』という
 あの頃の多くの作家たちが書いたオリンピック観戦記を読んだが
 中でも松本清張の文章には驚いた。

   いったい私はスポーツにはそれほどの興味はない。
   私たちの青春時代に若い人でスポーツが好きなのは、
   たいてい大学生活を経験した者だった。
   学校を出ていない私は、スポーツをやる余裕も機会もなかったし、
   理解することもできなかった。
                         -松本清張「憂鬱な二週間」

 何だかスポーツをしている人に対する恨みが
 あふれているような文章だ。
 私は松本清張のような生活の違いからスポーツを嫌っているのではなく
 うまくできないからだ。

 そんな私がこの雑誌を紹介するのは
 1000号という偉業を達成したお祝いのようなものだ。
 その雑誌、
 それが文藝春秋の発行するスポーツ総合誌
 「スポーツ・グラフィック・ナンバー」である。

 
 
 これが正式雑誌名らしいが
 私はずっと「Number(ナンバー)」だとばかり思っていた。
 創刊したのが1980年というから
 かなり前のこと。
 やはり当時の人気スポーツといえば
 野球。
 この雑誌が扱ってきた記事の変遷をたどると
 93年のJリーグ開幕あたりから
 サッカー人気が高まって
 逆転しているが
 最近は拮抗している。
 おそらく大谷翔平などの大リーグ選手の活躍が大きい。

 この雑誌の表紙に登場したアスリートの1位は
 記念の1000号の表紙にも出ているイチロー
 2位は本田圭佑、3位が中田英寿、4位は三浦知良
 サッカー選手が続く。
 そして、5位が競馬の騎手武豊
 この雑誌の守備範囲の広さが判る。

 記念となる「スポーツ・グラフィック・ナンバー1000」(文藝春秋・750円)には
 創刊1000号記念特集として
 「ナンバー1の条件。」と題して
 イチローだけでなく宮里藍王貞治
 内村航平羽生結弦といった各界のスターが登場している。

 スポーツは嫌いだけど
 こういう記念号は永久保存として
 大事にしたい。
 最後に
 「アスリート40の名言フォトブック」という
 別冊付録から
 タイガー・ウッズの言葉を紹介しておく。

   毎日、目覚めて、
   いつも挑戦が目の前にある。
   戦い続ければ、乗り越えられる。

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 今日から4月
 いつもの年であれば
 入学式や入社式と新しい門出に
 胸膨らむ月なのでしょうが
 今年はまるで様相が違います。
 まして
 あの人気お笑いタレント志村けんさんが
 新型コロナウイルスで罹患し
 亡くなってしまうなんて
 多くの人が驚愕し悲しんだことでしょう。

 さいたま市では
 図書館の休館が4月19日まで延長されました。
 すでに一ヶ月以上図書館の扉は閉まったままです。
 感染予防のために
 閉めざるをえないということは理解できますが
 全面休館ではなく
 利用者に本が届く工夫があってもいいのではないかと
 思わないでもありません。
 あの東日本大震災という大きな困難の際には
 本が被災された人たちをどれだけ癒されたことでしょう。

 幸いなことに
 さいたま市の図書館では電子書籍の貸出は
 今まで通り行っています。
 こういう環境下だからこそ
 従来の読書とは違った方法も試してみるのもいいかもしれません。
 それに
 新しい本ではなく
 家にある本を再読するのもありでしょう。

 今まで
 図書館にお世話になっていたのですから
 本や図書館とともに
 この難局を乗り越えられたと思います。
 今日は
 東日本大震災の復興支援として行った移動図書館の活動記録をまとめた
 鎌倉幸子さんの
 『走れ!移動図書館: 本でよりそう復興支援』を
 再録書評で紹介します。

 図書館が再開されるのを
 心待ちにしています。

   

sai.wingpen  たかが本かもしれないが                   

 本書は、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が、2011年3月11日に起こった東日本大震災の復興支援として行った移動図書館の活動の誕生経緯とどのような活動であるかをまとめた活動記録である。
 シャンティ国際ボランティア会は1995年の阪神淡路大震災でも積極的な支援活動を行ってきた団体で、内戦後のカンボジアでも図書室設置の活動などの実績がある。
 だからといって、日本国内での図書館プロジェクトの経験はなく、移動図書館そのものはまったく初めての取り組みであった。
 いってみれば、素人集団がどのようにしてその活動を成功させていったかを知ることは、今後起こりうるかもしれない災害での対処の方法として学ぶべきことが多い。

 彼らが復興支援の方法として「本」を取り上げた意味は大きい。
 震災後、現地入りしたスタッフは当初食べ物や衣服といったものが多くの被災者を救済している姿を見ている。しかし、ほどなくそれらだけでは被災者の心を満たさないことを知るようになる。
 「本を読みたい」という被災者の声を耳にし、改めて「心の栄養」が必要であることを痛感するスタッフ。
 「人々が困難な生活を余儀なくされた時にこそ持つ、本や図書館の存在価値」は、支援者側には見えにくいものかもしれない。そのことは、稲泉連氏の『復興の書店』にも書かれている。

 自分の手で本を選び、買う、あるいは図書館で借りるという行為は、「非日常から日常に戻るきっかけ」となる。
 彼らが図書館を始めるきっかけはそういうことであった。
 復興支援の難しさは、被災された側を特別扱いすることからどう普段の生活に戻していくかかもしれない。
 そのあたりも、被災した側と支援者側の視点のズレが起こりやすい点だ。
 また、彼らが常に意識した点はその土地土地にあった支援活動をどう行うかということでもある。
 彼らは移動図書館に並べる本そのものを支援で手にいれることはなかった。募金活動で得た資金をもって、被災地の書店から購入する。
 活動全体が被災地支援になることを意識することがいかに重要かだ。

 たかが本かもしれない。
 しかし、本の世界がどれだけ広いか、彼らの活動はそのことを教えてくれる。
  
(2014/03/01 投稿)

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