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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  すがやみつるさんの
  『仮面ライダー青春譜』には
  すがやみつるさんが
  石ノ森章太郎さんからもらった色紙に
  「マンガ それは永遠の青春」という言葉と
  石ノ森章太郎さんの代表作のひとつ
  「ジュン」の主人公である
  青年ジュンが描かれていたそうです。
  あの本には
  その色紙の図版も載っていて
  久しぶりにジュン青年に出会いました。
  そこで
  今日は2011年12月に書いた
  石ノ森章太郎さんの
  『ジュン 0: 石ノ森章太郎とジュン』を
  再録書評で紹介します。
  いつ見ても
  ジュンはいいな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  またふたたびの                   

  「漫画の神様」手塚治虫さんはあれだけの作品を描きながら、新鋭の漫画家たちに嫉妬ともいえる気持ちを持ち続けたといいます。
 この本の主題である石ノ森章太郎さんの『ジュン』が1967年まんが専門誌「COM」に発表された時も手塚さんは「あれはマンガではない」と息苦しいほど嫉妬をします。かつて執筆の応援を頼んだこともある石ノ森さんにさえ、そんなふうでした。この騒動のあと、手塚さんは石ノ森さんのアパートをたずねてあやまったといいます。
 このエピソードは手塚さんの死のあと、石ノ森さん自身が『風のように・・・ 背を通り過ぎた虫』(1989年)という漫画で描いています。(本書に収録されています)
 同時にこの時、石ノ森さんは「漫画」ではなく「萬画」をめざすことを宣言しています。
 手塚さんの漫画にあこがれ、手塚さんをめざした石ノ森さんはこの時はっきりと手塚漫画の先にあるものを意識したのではないでしょうか。

 石ノ森章太郎さんは手塚治虫さんに負けないくらい代表作をたくさんもっています。『サイボーグ009』『仮面ライダー』『佐武と市捕物控』『龍神沼』・・・、そして『ジュン』。
 その絵柄は手塚さんより青年向きであったと思います。手塚さんはたくさんの大人向けの作品も書いていますが、作風はどうしても子供漫画だったのではないでしょうか。石ノ森さんの描く少年なり少女の姿は青春期の鬱々とした心情を反映していました。だから、どの作品もどこか青春の哀愁の影がひそんでいるように感じました。

 そのもっとも顕著な作品が「ファンタジーワールド」と名づけられた『ジュン』だったのです。
 発表当時何作かを「COM」で読んだ記憶があります。ほとんど吹き出しのない漫画で、漫画の重要な表現手段のひとつであるコマわりを縦横無尽に変え、時にはそのコマわりさえ消してしまった大胆な挑戦は、その時すでに従来の手塚漫画からの脱皮をめざそうとしていたのかもしれません。
 手塚さんはそのことに気がついていたのではないでしょうか。だから、この作品を否定しようとしたような気がします。

 私にとって石ノ森章太郎さんの『ジュン』は、漫画という言葉に置き換えられる少年期を脱するためにどうしても必要な作品だったといえます。
 『ジュン』があったから匂うような青春期をむかえることができたように思います。
 その『ジュン』にこうしてまた会えた。そのことがたまらなくうれしいのです。
  
(2011/12/02 投稿)

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