06/04/2020 古関裕而の昭和史(辻田 真佐憲):書評「あの歌もこの歌も、古関裕而の歌ばかり」

朝ドラ「エール」を
毎回楽しんで見ています。
今回の朝ドラは
歌あり笑いあり涙ありと
ちょっと従来の朝ドラとは雰囲気が違いますが
こういう朝ドラもありかなと
満足しています。
ところが
残念なことに
今回のコロナ禍で
6月27日の放送をもって一旦休止だとか。
ドラマ制作の現場も
大変です。
今日紹介する
辻田真佐憲さんの
『古関裕而の昭和史』は
その朝ドラのモデルとなった作曲家古関裕而さんの
評伝です。
じゃあ、読もう。

2020年上半期のNHKの朝の連続テレビ小説(通称朝ドラ)「エール」のモデルということで話題となったている作曲家古関裕而の生涯を昭和史に添って描いたこの作品の「あとがき」の書き出しはいささか刺激的だ。
「古関裕而は、今日かならずしも有名な作曲家ではない。」
しかし、この印象は少なからずある。
国民栄誉賞を授賞した古賀政男や服部良一はその名前が先に来るが、古関の場合、彼の名前よりも彼が作曲した歌の方が先に来る。
早稲田大学の応援歌「紺碧の空」、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」、怪獣映画「モスラ」で歌われた「モスラの歌」など。
古関が作った楽曲は5000曲を超えるそうだ。そのうち、どれだけ古関が作った歌だとわかって私たちは歌っているだろうか。
古関は1909年8月福島県福島市に生まれた。
東北人の特長でもあるが、福島の人もあまり自分を表立って表現しない。
古関と彼が作った歌との関係を見ていると、福島の人の気質を見ているようで面白い。
それでいて、彼には「なりたい、なりたいと希望し続けること」、そんな強い意志も持っていたと著者は書く。
そんな強さも福島の人の良さのような気がする。
そして、この評伝が「昭和史」と付けられているように、古関の作曲家人生が実に昭和とリンクする。
軍歌で国民と寄り添い、社歌や校歌で国民を鼓舞し、それらをたどると見事に昭和の年表と重なるような思える。
まさに著者が最後に綴った、「昭和は古関裕而の時代であった」のは間違いない。
(2020/06/04 投稿)

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