06/10/2020 達人、かく語りき(沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉):書評「「あう」ということ」

今日は時の記念日。
「歳時記」によれば
この日が時の記念日になったのが
大正9年とあるから
結構昔からある記念日である。
時の日や数字をもたぬ砂時計 柏木 まさ
「数字をもたぬ砂時計」って
まるで
沢木耕太郎さんのエッセイ集なんかの
タイトルに使えそうなフレーズです。
なので、今日は
沢木耕太郎さんの「対談集」、
『達人、かく語りき 沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉』を紹介します。
多士済々とは
こういう方たちのことを
いうのでしょうね。
書評タイトルは
巻末に収められた沢木耕太郎さんのエッセイの
タイトルです。
じゃあ、読もう。

沢木耕太郎がデビューしてから50年になる。
その間ノンフィクション作家として有名無名多くの人と会い、インタビューをしてきた。また、「対談」と銘打ったものも多くこなしてきた。
全四冊となるこのシリーズは、沢木がかつて「対談」を行ったものを集めて編纂されている。
「対談は言葉を用いて自由に話のやりとりをする」ものだが、それをあえて「セッション」として名付けたところに、互いに高め合う、そんな意味が込められているのかもしれない。
「センションズ1」は、「達人、かく語りき」とあるように、さまざまな分野の先駆者10人との「対談」が収められている・
吉本隆明、吉行淳之介、淀川長治、磯崎新、高峰秀子、西部邁、田辺聖子、瀬戸内寂聴、井上陽水、羽生善治。
吉本や吉行、あるいは淀川ともなれば、若き沢木にとってはやはり格が違うというか、教えを乞うような感じは否めない。
「対談」というのがいえるとすれば、高峰秀子と井上陽水あたりだろうか。
高峰の場合はさすが受け答えがうまく、おそらく彼女が訊き上手ということもあるし、聴くのもうまい。こういう人との対談が面白くないはずがない。
井上陽水との「対談」は、沢木が1947年生まれで陽水が1948年生まれだから、同世代の仲間うちのおしゃべりのような感じ。
それでいて沢木のことや陽水のことがよくわかる。こういう「対談」はやはりいい。
最後に収められている羽生善治とのものは、どちらかといえば「インタビュー」だろう。
巻末には沢木による書き下ろしエッセイが収録されている。
(2020/06/10 投稿)

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