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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  谷川俊太郎さんが文を書いて
  あべ弘士さんが絵を描いた
  『えほん なぞなぞうた』を
  紹介します。
  2020年5月に出たばかりですが
  和田誠さんが生きておられたら
  もしかしたらこの絵本の絵は
  和田誠さんが描いていたかもと
  つい思ってしまいます。
  谷川俊太郎さんの絵本に
  和田誠さんはたくさん絵を描いていますし
  こういう謎解きのような絵は
  和田誠さん結構好きでしたから。
  もちろん、
  あべ弘士さんの絵も素敵です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  解けないなぞをサラリと解いて                   

 子供の頃に読んでいた雑誌にはよくなぞなぞが載っていました。
 例えば、こんな問題。
 「上は洪水、下は大火事、なーんだ?」。
 答えは「お風呂」ですが、昔は薪でお風呂を沸かしていましたから、当時の子供たちにはイメージしやすかったかもしれません。
 なぞなぞは大昔からあって、有名なのはスフィンクスが旅人に問いかけたものといいますから、まさに人類の歴史と重なります。
 ちなみにスフィンクスのなぞなぞは「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。なーんだ?」。
 答えは「人間」。
 朝は赤ん坊のハイハイの姿で、夕方の三本足は杖をついている姿です。
 こんなふうに、うまいなぞなぞはウィットに富んでいます。

 この絵本は詩人の谷川俊太郎さんがこしらえてなぞなぞ集。
 奇数のページに問題があって、偶数のページには答えが載っています。
 例えば、こんな問題。
 「せかいじゅう どこにいっても よっつある/かせいにいっても あるのかな?」
 なぞなぞとしては、前段だけで成立していますが、後半をつけることで谷川さんの柔らかな文章になっているのがいい。
 なぞなぞ的には「なーんだ?」といれたいところですが。
 答えを書いてしまうのはよくないですが、よくできたなぞなぞなので、これだけは(文末に)書いておきます。

 ひとつひとつのなぞなぞとその答えに、あべ弘士さんの絵がついています。
 もちろん、問いについたあべさんの絵を見ても、残念ながら答えはわかりません。
 (文中のなぞなぞの答え:東西南北)
  
(2020/07/12 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  前川恒雄といっても
  知らない人が多いかもしれません。
  図書館学を勉強した人なら
  知っているでしょうが。
  私は何故かこの人の名前だけは目にしていたことがあって
  なので
  その訃報には少し心が痛みました。
  4月10日のことです。
  前川恒雄さんは89歳でした。
  今日紹介する
  『移動図書館ひまわり号』は
  前川恒雄さんが図書館開設に向けて
  奮闘する話ですが
  それよりも現在の図書館の姿を牽引する姿に
  感動します。

    図書館は、人々が本と出合い本を利用することによって、
    自分の可能性を発見し育てていく所

  この本の一節です。
  図書館で働く人たち、
  図書館を利用する私たちが
  忘れてはならない言葉だと思います。

  ご冥福をお祈りします。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  追悼・前川恒雄さん - あなたに感謝                   

 新型コロナウイルスが急速に広がり始めていた2020年4月10日、一人の図書館学者が亡くなった。
 その後の4月23日の朝日新聞「天声人語」に「戦後日本の図書館のありようを大転換してくれた先人」と記されたその人こそ、前川恒雄、この本の著者であり、この本に描かれているように東京日野市立図書館の初代館長である。

 私たちが現在使っている公共図書館は本の所蔵数にしろ館の広さにしろ館内の明るさにしろ、なんとも快適な施設である。
 しかし、前川さんが日野市の図書館に関わるようになった昭和40年当時は図書館は暗くかび臭い印象がつきまとった施設であった。
 何しろ当時の図書館員は胸を張って自分の仕事が言えないほどであったという。
 前川さんが迎えられた日野市にしても、図書館があったわけではない。
 前川さんはじめスタッフが一から図書館作りを始め、その最初が「ひまわり号」と名付けられた移動図書館だった。

 移動図書館こそ「本当の図書館とは何かを、市民に肌で分かってもらうための唯一の方法」だった、とこの本に記した前川さんにとって、「本当の図書館」とは市民の求めに応じてしっかりと本を貸し出すところということだろう。
 今ではどこの図書館も当たり前のようにやっている「予約(リクエスト)サービス」も日本では前川さんたちの日野の図書館が最初だったそうだ。

 移動図書館から中央図書館の開館まで、この本に描かれているのは単に日野市の図書館の歩みではなく、この国の図書館の歩みでもある。
  
(2020/07/11 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  私が初めて
  東京に出てきたのは1975年頃だったが
  その当時すでに東京は
  十分大きな街で
  もうそれ以上人の住むところなど
  増えそうにないように
  思ったものです。
  ところが、そのあとも
  東京はどんどん大きく
  高くなっていって
  その当時からすれば
  未来都市にでもなったようでもあります。
  門井慶喜さんの
  『東京、はじまる』は
  まさに最初のスタート地点を描いた
  面白い作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  空に向かって                   

 門井慶喜さんには『家康、江戸を建てる』という傑作連作集があるが、徳川家康が開いた江戸から200年超を経て、明治となり、江戸はその名も東京へと名前を改める。
 だから、この長編歴史小説は気分は『家康、江戸を建てる』に近いが、東京駅を設計したことで有名な建築家辰野金吾の生涯を描いて、これもまた読み応え十分だ。

 辰野金吾は明治維新前の1854年肥前唐津藩の下級武士の家に生まれている。
 明治期の著名人の多くがそうであったように、辰野も維新がなければその後の人生はまったく違ったものであっただろう。
 とにかく維新があって、江戸が終わった。
 辰野は東京と変わった街に出、現在の東大工学部の前身である学校に第一期生として入学する。
 そこで英国人の建築家コンドルで出会うことになる。
 辰野はその生涯で200件以上の建造物を造ったが、この作品では彼の名を最初に高めた日本銀行本店と東京駅に関わる事柄がメインに描かれていく。

 東京という巨大な街は一朝一夕で出来上がった訳ではない。
 政治も社会も文化も明治維新をはさんで生まれ変わったといえる。
 そして、それらを容れる建物も街づくりも。
 江戸が東京に生まれ変わるにあたって、辰野のような人物がいた、あるいは生まれたことこそがこの国の素晴らしさだったといえる。
 門井さんはそんな人物を実に颯爽と描いている。
 主人公である辰野は時折建造中の骨組みを昇り、空へと向かう。
 明治から大正にかけて、まさに人々がそんな気分であったのだろう。
 原題の「空を拓く」というのもわるくない。
  
(2020/07/10 投稿)

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 コロナ禍で外出自粛要請が出ていた頃は
 図書館も休館だし
 本屋さんにも行かない日々が
 続いていました。
 自粛解除が出て
 本屋さんにしばらくぶりに出掛けた時には
 砂漠でオアシスを見つけたみたいな
 気分になりました。

 その時に見つけたのが
 この雑誌、
 「ぼくたちのスパイ映画大作戦」(近代映画社・1601円)。

  

 ちょうど
 昨日も書いたように
 映画専門チャンネル「ムービープラス」
 「007」シリーズの一挙放送が始まったところだったので
 (ちなみにこの雑誌の裏表紙がその広告です)
 買おうかどうしようか迷って
 その時はがまんしたのですが、
 そういうがまんの時は
 やっぱり買いたい時で
 数日して買う気まんまんで同じ本屋さんに行ったら
 もう店頭から消えていました。

 実はこの雑誌、
 SCREEN5月号増刊になっていて
 本屋さんで見つけた時には
 すでに発売からだいぶ経っていたのです。
 雑誌は書籍と違って
 ある期間が過ぎると
 返品することになっているようです。
 もちろん売れてしまったということも
 考えられるのですが、
 そうなると
 俄然欲しくなるのが不思議です。
 釣りでいう、
 逃した魚は大きいと同じ。
 それから
 何軒か本屋さんをめぐって
 ようやく手にすることができました。

 さて、ここからが
 007、ジェームズ・ボンドの話です。
 表紙にあるように
 今年の秋に公開予定の
 シリーズ25作目の
 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の速報記事が
 載っています。
 噂では
 この作品でダニエル・クレーグがボンド役を退くという話ですが
 どうなることか。

 この雑誌には
 これまでの全24作のストーリーや裏話も
 満載。
 もちろん、豪華絢爛ボンド・ガールのピンナップもあったりして
 満足満足。
 「ジェームズ・ボンド大百科」という記事もあって
 それが2ページというのも
 面白すぎ。

 秋の新作が公開される頃には
 コロナ禍も
 落ち着いていたらいいのですが。

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プレゼント 書評こぼれ話

  先月から
  映画専門チャンネル「ムービープラス」
  6ヶ月にかけて
  映画「007」シリーズ全24作
  放映する企画が始まりました。
  6月は9作品。
  私の大好きな
  2006年公開のダニエル・クレイグ主演の
  「カジノ・ロワイヤル」も
  またまた観ました。

  

  やっぱり エヴァ・グリーンのボンドガールは
  最高です。
  せっかくなので
  2012年9月に書いた 
  その作品の原作
  イアン・フレミング
  『007/カジノ・ロワイヤル』を
  今日は再録書評で紹介します。
  あと5ヶ月
  「007」で楽しみます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まずは仕事、そのあとに美女                   

 007のボンド映画シリーズではダニエル・クレイグが6代目ジェームズ・ボンド役を演じた『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)が好きだ。
 話の展開のスピーディさ、ド派手なアクション、それになによりもエヴァ・グリーンが演じたボンド・ガールがいい。
 おそらく彼女は歴代のボンド・ガールの中でも屈指の美しさだ。
 しかも、この作品はイアン・フレミングの原作として初めてボンドが登場した原作の映画化であるので(時代背景は大きく変えられているが)、まさに正統007映画といっていい。

 フレミングがこの作品を発表したのは1953年で、そのあとすぐに映像化されているがボンド初登場作としてはあまりめぐまれない経緯をたどっている(そのあたりのことは本書の解説の中で詳しく書かれている)。
 そういう意味ではダニエル・クレイグのボンド映画までこの原作を堪能できる映像が作られなかったということだ。
 ボンド像は、初代ボンド役のショーン・コリーの印象が強い。タフでしかも女性にもてる諜報部員。歴代のボンド俳優たちもそれを踏襲してきたといえる。
 しかし、原作のボンドはそれほどスマートとはいえない。
 仕事のコンビを組むことになったヴェスパーという女性を最初は嫌う。しかも、彼女の上司はボンドのことを「仕事一本槍の男」と評している。男ぶりは「ちょっといい男」だが、「やさしい気持ちなんてあまりないだろう」とみている。
 つまり、原作に初めて登場した時のボンドは日本人も驚く、「仕事の鬼」だったのだ。

 この作品ではソ連(こういう呼び方も今では懐かしいが)の大物工作員がカジノでの大勝負で使いこんだ資金を回収しようとしている。
 それを阻止すべく派遣されたのがイギリスの諜報部員ジェームズ・ボンド。ボンドを支援するために送られたのがヴェスパーという美女。ボンドは最後の土壇場で辛くも勝負に勝つが・・・。
 カジノでの勝負のあとがこの作品の読みどころといっていい。
 果たしてヴェスパーは味方か敵か。「仕事の鬼」のボンドが大仕事を終えたあと、この美女にどう迫っていくのか。
 やはり、ボンドには美女は欠かせない。
  
(2012/09/18 投稿)

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 今日は
 二十四節気のひとつ、小暑
 梅雨が明ける頃で
 暑さがだんだん本格的になってきます。

    塩壺の白きを磨く小暑かな      山西 雅子

 先週の土曜日(7月4日)の
 朝日新聞朝刊にこんな広告を見つけました。

  20200704_074358_convert_20200705132324.jpg

 大きく

    本は、そばにいるよ。

 と、あります。
 そして、

    疫病にも、戦争にも、未曾有の不況にも。
    失恋にも、どんな失敗にも、悲しい別れにも。
    なんだかんだ、人類はへこたれない。
    そんなエールが、知恵が、ヒントが、
    本にはあると思うのです。この夏も、本屋さんへ。

 新潮文庫の100冊の広告でした。

 先日久しぶりに本屋さんに行くと
 恒例の夏の文庫フェアが始まっていました。

  20200703_154735_convert_20200705132238.jpg

 新潮文庫で驚いたのは
 今年の100冊から
 三島由紀夫の名前が消えていること。
 去年は2冊もあったのに
 一体これはどうしたことでしょう。
 まさか現代の高校生は
 三島由紀夫も読まなくなったのかな。
 新潮文庫でいえば
 カミュの作品もちょっと文句を言いたくなります。
 選ばれているのは
 『異邦人』。
 もちろんこれもカミュの代表作だとわかりますが
 やっぱり今年は『ペスト』を
 100冊に選ぶべきでしょう。
 今年の夏新潮文庫の100冊にチャンレンジしようと
 思っている人は
 ぜひ『ペスト』を加えて
 101冊に挑戦してみて下さい。

 集英社文庫
 今年も「ナツイチ」。

     ぼくらを強くする、言葉たち。

 とキャッチがついています。
 角川文庫
 「カドフェス」の小冊子に
 ナゾが仕掛けられているので
 読みたい本を探しながら
 ナゾ解きに挑戦しては
 いかがでしょう。

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 梅雨の終り近くになると
 毎年決まったように
 大きな水害に見舞われます。
 先週末も熊本で大きな災害がありました。
 いつも思うことですが
 水につかった田んぼや畑を見ると
 農家さんの悲しみや悔しさはいかばかりかと
 思います。
 そんな中、梅雨の合間に見つけた
 木下闇(こしたやみ) の風景。 

  20200703_113736_convert_20200705131530.jpg
 
 木下闇は夏の季語で
 木々が鬱蒼と茂るようになって
 樹下が昼でも暗いそんな様をいいます。

     名刹といふもおほかた木下闇        檜 紀代

 関東でも先週の半ばに
 強い風が吹いて
 先週作った雨よけシートをはずさなくては
 いけないぐらいになりました。
 次の日には
 また雨よけシートをつけるといったように
 雨の時期は
 トマトの栽培は大変です。
 でも、
 大玉トマトはなんとか赤くなってきました。

  20200705_095901_convert_20200705131615.jpg

 あと1週間ほどで収穫できるかも。
 それまで頑張って!

 こちらは赤ジソ

  20200705_095923_convert_20200705132012.jpg

 だいぶ茂ってきました。
 その奥にあるのが
 甘長トウガラシ長ナス

 夏野菜は
 成長が早いので
 気をつけないと
 たちまち大きくなってしまいます。
 これは
 先週水曜に収穫した夏野菜ですが
 このあとも何度か収穫しています。

  20200701_153255_convert_20200705131224.jpg

 珍しい野菜も
 紹介しておきます。
 ベランダで育てているミニキュウリ

  20200701_185218_convert_20200705131322.jpg

 これは10cmぐらいが収穫時期だとか。
 小さくてもキュウリです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  動物園にしばらく行っていない。
  子供たちが大人になって
  動物園を行くという機会がなくなったが
  小さい子供と行かなければならないということもない。
  大人の愉しみとして
  動物園があってもいいと思う。
  今日は
  あべ弘士さんの『エゾオオカミ物語』を
  紹介しますが
  よく知られているように
  あべ弘士さんはもともと
  旭川市の旭山動物園に25年間勤務されていた
  絵本作家です。
  動物の絵本なら
  あべ弘士さんといえるのではないでしょうか。
  だから、大人だって
  あべ弘士さんの絵本を
  愉しむのも
  あっていいと思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  生きるものたちを感じる絵本                   

 絵本は、絵と文の配分が絵の方が多いものをいうのだろう。
 文が多くなれば童話もしくは物語となって、絵は挿絵と呼ばれるようになる。
 だから、絵で多くを語ることになる。
 あべ弘士さんの、今は絶滅したエゾオオカミの物語を描いた絵本も、壮大な大河のような物語が文字で多くを語るのではなく、絵がそれを伝えている。

 ある寒い夜、小さなモモンガたちがふくろうから物語を聞く場面から始まる。
 まるで、年老い知恵者から昔話を聞くような始まりは、物語の導入部として期待が高まる。
 ふくろうが語り始めたのは、昔北海道に生息していたエゾオオカミのこと。
 あべさんはここで一匹のエゾオオカミの全身を描いている。
 ここからすでに物語は始まっている。
 かつて、シカと共存していたというエゾオオカミ。シカを殺して食べることでエゾオオカミは生き、シカもまた数のバランスを保っていたという。
 ある年、大雪が降って、シカがいなくなった。
 エゾオオカミは仕方なく村の馬を襲う。
 いのちのバランスが崩れた瞬間だ。
 人はそんなエゾオオカミを殺して、絶滅させてしまう。
 わずか100年ほど前のこと。

 あべさんの絵は写実ではないが、描かれる動物たちの鼓動が聞こえる気がする。
 強い鼓動であったり、深い息づかいであったりを感じることができるのが不思議だ。
 長大な抒情詩ともいえるこの作品で、文字数は限られているが、絵は多くのことを語っている。
 そう、まるで100年の時間のような悠久を。
  
(2020/07/05 投稿)

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 コロナ禍の影響はさまざまなところに出て
 博物館や美術館、図書館まで
 休館が相次ぎました。
 外出自粛が解除されて
 ようやく恐る恐るですが
 これらの文化的施設も再開が始まりました。

 東京・上野の国立西洋美術館
 3月から開催予定だった
 「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
 ようやく6月18日から開催されました。

  20200703_103600_convert_20200703164045.jpg

 ただし、
 3密を避けるために「日時指定制」の入場です。
 何しろこの展覧会は
 展示61点がすべて初来日という
 貴重なものですから
 見に行かなくてはと
 昨日(7月3日)
 観に行ってきました。

 なんといってもこの展覧会のメインは
 ゴッホの「ひまわり」でしょう。
 展覧会の看板やチラシにもどーんと出ていますが
 それもわかります。
 何しろゴッホが描いた「ひまわり」は
 7点しかなく
 今回のこの作品は中でもゴッホ自身が
 気に入っていたというもの。
 いかに印刷技術があがったとはいえ、
 その質感や色使い、あるいは発光する色そのものは
 やっぱり実物に優るものはありません。

 今回の展覧会にある
 「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」
 ロンドン中心部にある世界屈指の美の殿堂で
 まさに「英国が誇る至宝」の数々といえます。
 これはフェルメール
 「ヴァージナルの前に座る若い女性」という作品。

  20200703_111940_convert_20200703164415.jpg

 もちろんこの作品も
 日本初来日。

 今回はコロナ禍での開催で
 入場規制もされていますが
 逆に絵画を鑑賞するには
 快適な入場者数になっていました。
 肩越しに作品をのぞき見ることもなかったです。

 この展覧会
 東京での開催は10月18日まで
 そのあと大阪での開催となりますが
 コロナ感染が再び広がって
 また観られなくなったりしないことを
 祈りたいと思います。

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  今日は
  桜木紫乃さんの『家族じまい』という
  連作短編集を紹介します。
  桜木紫乃さんはこの作品のインタビューで

    小説の大きな仕事は、真正面から励ますことではなく、
    赦すことだと思うんです。

  と語っています。
  赦されることで
  見えてくるものがあるのかもしれません。
  また、家族について、

    どんな時代、どんな状況のときも、家族の問題は残ります。

  と話されています。
  この世界に生まれたということは
  家族という単位を
  誰もが持ったはず。
  家族を考える契機になれば。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  家族って何だろう                   

 太宰治の短い作品で、難破した男が灯台の窓際から助けを求めようとしたところ「今しも燈台守の夫婦とその幼き女児とが、つつましくも仕合せな夕食の最中」で、今助けの声をあげたらこの一家の団欒が壊れてしまう。男はそのため助けの声をあげないまま遭難する。
 太宰はこの燈台守の家族を「仕合せ」と表現しているが、家族はそんなたやすいものではないことを、太宰自身が一番知っていたはず。
 桜木紫乃さんの連作短編集を読みながら、太宰が描いた一家にも実は人にいえない愛憎のようなものがあったかもしれない、いや「家族」とはそんな愛憎を潜めながら「つつましくも仕合せな夕食」を囲んでいるのではないかと、問われているように感じた。

 「ふたりを単位にして始まった家族は、子供を産んで巣立ちを迎え、またふたりに戻る。そして。最後はひとりになって記憶も散り、家族としての役割を終える。人の世は伸びて縮む蛇腹のようだ」と、最初の章に書かれている。
 物語はともに八十歳を越えた老夫婦と二人の娘、そして娘たちの家族の姿を描きながら、家族がどのようになくなっていくかを、過剰ではなく静かに描いていく。
 認知症になって記憶が薄れていく妻をかつて自分の好き放題に生きた夫が面倒をみている。そんな父とうまく折り合いのつかない長女、そんな長女を冷たいと攻める次女。
 どんなにいがみあっても、最後は誰かが面倒を見るしかない。

 「家族って、いったいなんの単位なんだろう、よくわからなくなってきた」。
 長女のそんなつぶやきが心の奥底で震える。
  
(2020/07/03 投稿)

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  今日は
  本橋信宏さんの『ベストセラー伝説』という
  本を紹介します。
  この本に
  青春出版社から出た
  森一郎さんの『試験にでる英単語』のことも
  書かれています 。
  いやあ、懐かしいな。
  私も大学受験の時
  この「でる単」のお世話になりました。
  「でる単」というのは
  『試験にでる英単語』の愛称だとか。
  でも、そんな風に言った記憶はないけど。
  何しろこの「でる単」では
  1800語英単語を覚えたらいいというのですから
  受験生にとって
  大助かりの一冊でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  昭和30年生まれの私にドンピシャ                   

 「ベストセラー」を広辞苑で調べると、「ある期間に最高の売上げをみせた書籍」とあるから、雑誌は100万部売れても「ベストセラー」といわないのではないか。
 そんなことを思いながら、でも、この本でいえば、秋田書店の「冒険王」や「少年チャンピン」の話や少年画報社の「少年画報」と桑田次郎の「まぼろし探偵」といった今や伝説のようになった雑誌のことが読みたいではないか。
 あるいは、学校で販売されていた(ような記憶がある)学研の「科学」や「学習」のことを知りたいではないか。
 つまり、この本は「ベストセラー」という言葉にこだわることなく、著者の本橋信宏さんが「はじめに」の冒頭に記している、「夕陽の向こうに消えていった懐かしい出版物とそれを作った編集者たちの物語」なのだ。

 本橋信宏さんは1956年(昭和31年)生まれで、その同年代の読者(私もその一人であるが)にとっては、先にあげた月刊漫画誌などは懐かしいと思う。
 あるいは、「科学」「学習」といえば、小学館の学年誌とは違った印象を持っている人も多いのではないか。
 本橋さん世代にとってはひたすら懐かしい雑誌たちであるが、少し年が離れると、全く受けとめ方が違うはずだ。
 どんな世代でも自分にとっては懐かしい雑誌やはずせないベストセラーはある。
 だから、あえてこの本で紹介されている雑誌や書籍のことをいうならば、昭和30年前後の本橋さん世代に欠かせない「ベストセラー伝説」だろう。
  
(2020/07/02 投稿)

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  今日から7月

    七月や少年川に育まれ     山根 真矢

  コロナ禍がなければ
  本来はオリンピックが開催されるはずであった
  7月ですが
  残念ながら
  延期となって
  さらにはまだまだどうなるかわかりません。
  一年前に
  まさかこんなことになるなんて
  誰も予想だにしなかったのではないでしょうか。
  気分を変えて
  今日は中公文庫から
  出たばかりの
  和田誠さんの『ことばの波止場』を
  紹介します。
  和田誠さんが亡くなっても
  こうして本が刊行されるのって
  うれしいな。

  じゃあ、読もう。 

  

sai.wingpen  和田誠さんはことばの感度が高かった                   

 この本は珍しい、イラストレーターの和田誠さんの講演録である。
 冒頭の「プロローグ」によれば、1994年の夏箱根で開催されたサマー・カレッジというセミナーでの講義録で、和田さんにとって講演は初体験であったらしい。
 主催者の一人であったクレヨンハウスの落合恵子さんに誘われたという。
 このセミナーの参加者は児童書に興味をもつ人や学校の先生など約600人。
 さすがにこれだけの聴衆となれば、和田さんでなくとも緊張する。
 講演時間は90分だが、和田はしっかりノートまで作って用意したそうだ。
 おかげで、単に講演録ではない、ちゃんと一冊の本として読めるものができたことになる。
 この講演のテーマは「ことば遊び」。
 和田さんの子供の頃から触れてきた、さまざまなことばとのことが語られていく。

 和田さんといえば、名著『お楽しみはこれからだ』シリーズがある。
 あの本は映画の名セリフを和田さんのイラストとともに紹介する映画エッセイだが、その当時はビデオやDVDなどはなく、ほとんど和田さんの記憶にたどって書かれたものだった。
 和田さんは言葉に対する記憶力が数段にすぐれた人だったのだろう。
 この講演でも子供時代に耳にしたり目にした「ことば」がたくさん出てくる。
 きっと「ことば」に対する感度が高い子供だったにちがいない。

 そして、回文や折句(歌の中に別のことばを折り込む)など、自身でも作って楽しんでいる。
 和田誠さんは、そういうことを楽しめる大人であったのだと思う。
  
(2020/07/01 投稿)

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