01/30/2021 開高健は何をどう読み血肉としたか(菊池 治男):書評「やっぱり開高健はいいな」

開高健さんの『オーパ!』復刻を記念して
昨年暮れに開催された
オンライン講演で
当時編集者として同行した
菊池治男さんが開高健さんの懐かしい話を
聞かせてくれました。
喉頭ガンで声を失いかけたという菊池治男さんですが
かすれながらも
なんとか声はなくならなかったようです。
その菊池治男さんが
開高健さんの蔵書から読み解くという本が
今日紹介する
『開高健は何をどう読み血肉としたか』。
このような本を読むと
開高健さんがどんなに人を夢中にさせたかが
わかります。
じゃあ、読もう。

開高健の不朽の名作となった釣り紀行『オーパ!』で、「ガッデム」と呼ばれたこの本の著者菊池治男氏が開高に同行してアマゾンには入ったのは、1977年菊池氏がまだ26歳の時だ。
当時菊池氏は『オーパ!』連載誌となった「PLAYBOY日本版」の若き編集者で、この後開高の長く広大となる釣り紀行のほとんどに同行している。
つまり菊池氏にとって、開高健は師のような人だったといえるし、本作の記述の端々に開高への尊敬と愛情を感じる。
開高が1989年に58歳という若さで亡くなったあと、「開高健記念文庫」を開設するにあたって、菊池氏は残された開高の蔵書を整理することになった。
開高健は蔵書家でも愛書家でもなかった、と菊池氏はいう。というのも、本にあるカバーや帯の類は読む前にはぎ取り(そのことで開高が読んだ足跡が判明する)、傍線や書き込むはせずページを大胆に織り込む癖があったそうだ。
この本では、開高の足跡を順繰りにたどるようにして、開高の残した蔵書から、この本のタイトルの通り「何をどう読み血肉にしたか」を見ていく。
もちろん、開高の蔵書すべてについて読み込まれているわけではないが、長い期間開高と旅をしてきた編集者だけが知りうる話などを交えながら、開高健の姿を再現している。
巻末には付録として、「開高健作品の基礎知識」(これは開高作品を知る上でとても役に立つ)と開高が作品の中で散りばめた自伝的な文章で構成された「ある「開高健」年譜」は、新しい開高ファンのための労作といっていい。
(2021/01/30 投稿)

応援よろしくお願いします。
(↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)


レビュープラス
| Home |