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プレゼント 書評こぼれ話

  今週は
  たまたま歴史本が続きます。
  今日は
  今や人気の歴史学者といえる
  磯田道史さんの
  『感染症の日本史』。
  2020年9月に出た新書ですが
  もちろん新型コロナウイルスを感染拡大によって
  書かれたものです。
  ただ、決して即席に書かれたものではなくて
  とても参考になる記述があって
  2020年にこの本が出版された意味を
  将来きちんと評価すべきだと
  思います。
  とってもいい本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この本はもっと読まれるといいのに                   

 歴史学者に感染症のこと、ましてや新型コロナウイルスのことがわかるものかと思う人もいるだろうが、侮ってはいけない。
 この本は2020年9月に出版されている(実際には「文藝春秋」で連載されていたから執筆はもっと前だろうが)が、その中に「今回の新型コロナウイルスも、「また十月から十二月あたりに新たな波が始まって、来年(2021年)春先まで続くかもしれない」と警戒する必要があります」と書かれていて、年明けに東京をはじめとした大都市各地に緊急事態宣言が出たのことをまるで預言したかのようです。
 では、磯田氏は何故それが予見できたのでしょう。
 それは、1918年に全世界で起こったスペイン風邪の流行の波がそうだったからです。
 もちろん、今回の新型コロナウイルスとスペイン風邪は同じものではないので、同じような感染の波が起こるとは限りませんが、少なくとも参考になることを、この本は証明しています。
 だからこそ、「歴史は単なる過去の記録ではありません。日常生活でも生かすことのできる教訓の宝庫」という磯田氏の言葉が重い意味を持っています。

 また磯田氏は「ミクロ・ヒストリーとマクロ・ヒストリーの相互の連環において捉えていく必要」を説いています。
ミクロ・ヒストリーというのは個人の日記などです。
 この本でもその手法はとられていて、先程のスペイン風邪に罹患した京都女学生の日記や永井荷風や原敬などの日記なども分析されています。

 今回の新型コロナウイルスが収まっても、またいつか新しい感染症が起こらないとは限りません。
 そのためにも、今回のことはきちんと残しておかないといけないことを、この本は示しています。
  
(2021/02/26 投稿)

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