04/02/2021 いつだって本と一緒(岩橋 淳):書評「一人の書店員から手渡されたバトン」

今日は
岩橋淳さんの『いつだって本と一緒』という
ブックガイドの本を
紹介します。
この本を知ったきっかけは
2月20日に朝日新聞に掲載されて記事からでした。
書評にも書きましたが
かつて岩手の地方紙で連載をしていたブックガイドを書いていたのが
岩橋淳さんでした。
残念ながら
2019年に58歳で亡くなりましたが
かつてその連載を楽しみにしていた女子高生が
出版社の社長となって
本にすることを決断します。
それが皓星社の晴山生菜さんです。
なんだかこの話だけでも
物語になりそうではないですか。
いい本がたくさん読まれるといいな。
じゃあ、読もう。

岩手県盛岡市の本屋さんといえば、さわや書店が有名だ。
かつてさわや書店に児童書専門店MOMOがあった。残念ながら2005年には閉店しているが、この本の著者岩橋淳さんはかつてそこで店長をしていた。
2004年4月から「岩手日報」という地元紙の若者向けのページに「コレ知ってる?」というブックガイドの連載を始めたのも、その頃だろう。
MOMOの閉店とともにさわや書店を退社しているが、2005年3月から「U-18読書の旅」という新連載を開始、その後自身はジュンク堂盛岡店でまた書店員として働きだす。
2007年から装いも新たに始めた連載が「いつだって本と一緒」。
その連載は2018年9月まで続く。
岩橋さんはきっとまだまだ続けたかっただろうが、2017年6月頃筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、キーボードを打つのもままならなくなったという。
そして、2019年1月10日、58歳という若さで亡くなる。
岩橋さんが2004年から2018年まで書き続けてきた273冊の本たち。
かつて新聞の連載を楽しみにしていた一人の出版人が本にしようと決意する。
それがこの本を出版した皓星社の晴山生菜社長。
岩橋さんの本にかける思いが、こうして花を開く。
本の冒頭、2018年9月17日付の「岩手日報」に載った最後の記事が転載されている。
「本を読もう。」で始まるその一文で、岩橋さんは「本との幸福な巡り合いは、いつの日か漕ぎ出す海原で、すぐれた羅針盤となる だろう」と綴った。
そして、最後にこう締めくくる。
「だから、若い人よ。精いっぱいの感受性を磨き、本を読もう。出会うために。」と。
この本は岩橋淳という書店員から渡された、バトンである。
(2021/04/02 投稿)

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