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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  漫画原作者梶原一騎さんの評伝
  小島一志さんの『純情 梶原一騎正伝』を
  紹介します。
  この本を読んでいる間に
  かつて「キックの鬼」と呼ばれた
  沢村忠さんが3月26日に亡くなったという
  訃報がありました。
  享年78
  沢村忠さんといえば、
  真空飛び膝蹴りで少年たちの心を
  鷲掴みにしたキックボクサー。
  「キックの鬼」は漫画のタイトルで
  その原作を書いたのが
  梶原一騎さんでした。
  なんか因縁めいたものを感じました。

  沢村忠さんのご冥福をお祈りします

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「パンドラの箱」を開けてみれば                   

 漫画原作者梶原一騎が亡くなったのが1987年だからすでに30年以上経つ。
 梶原の名前を知らなくても彼が残した作品は今でもよく知られている。
 「巨人の星」「あしたのジョー」「愛と誠」「夕焼け番長」「タイガーマスク」「空手バカ一代」とその数は膨大である。
 1960年終わりから70年代にかけて梶原が原作を書いた漫画を目にしない時はなかったのではないだろうか。
 しかし、そんな華々しい活躍のあと晩年にはさまざまなスキャンダルや事件が起こる。
 そして、50年という短い生涯を病で終えるわけだが、彼がどのような人物であれ、彼が残した作品のきらめきは消えることがない。

 梶原の後半生に起こったさまざまな事件だけでなく、実は彼の生年月日もあまり詳しくわかっていないなど、梶原の人生には謎が多い。
 「正伝」とは「正しく伝えること」の意味だが、作家ですでに『大山倍達正伝』などの作品がある小島一志氏は「事実」を丹念に拾い集めることで、梶原の謎に迫っていく。
 その過程で明らかになっていく妻篤子の薬物依存、篤子と実母との確執(それは梶原の死後も続く)、兄弟との絆、そして金、酒、女、名誉。
 信頼と裏切り、懐柔と暴力、光と影、真実と虚偽。
 もしかしたら、本書を読んだ後も、梶原の実態はまだ遠いかもしれない。

 梶原一騎の生涯はまるで「パンドラの箱」に似ている。
 最後に残ったものは「希望」ではなく、「純情」だったということなのか。
  
(2021/04/14 投稿)

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