04/22/2021 佐野洋子 とっておき作品集(佐野 洋子):書評「佐野洋子さんの「埋蔵金」」

佐野洋子さんといえば
『100万回生きたねこ』で知られる
絵本作家として有名ですが、
私はエッセイストとしての
佐野洋子さんが好きです。
2010年に亡くなったのに
こうしてまた新しい本が出たので
うれしくなります。
題して
『佐野洋子 とっておき作品集』。
まさに佐野洋子さん自身が
「100万回生きた」人になるかもしれません。
いやいや
読者そのものが
「100万回生きた」読者なのです。
じゃあ、読もう。

佐野洋子さんは幸せな作家だ。
亡くなったのが2010年秋だからもう10年以上前のことになるのだが、こうして新しい本が編集されて出版されるのだから。
それは書き手である佐野洋子さん以上に、佐野さんのファンである読者が幸せなのだろう。
この本を担当した編集者が書いているように、まさに「埋蔵金」を見つけた気分だ。
この本には新たに「発見された」佐野さんの単行本未収録の作品が収められている。
童話、ショート・ストーリー、エッセイ、お芝居の脚本、元のご主人谷川俊太郎さんのことなど、それは幅広い。
しかも、初出がわからないものも多い。
編集者の弁によれば、「雑誌の切り抜きや生原稿から選んだ」とあるが、「埋蔵金」を探す探検隊の気分だったかもしれない。
佐野さんの文章は、なんといってもエッセイがいい。
この本に収録されている「ぞーっとする」というエッセイで、エッセイを書き始めた頃のことが綴られている
そこには「初めてエッセイをたのまれた時は、大人になったような気がした」とある。
絵本作家として「ひらがな」を書いていた佐野さんが感じた思いだ。
佐野さんのエッセイのいいところは、ちらっと顔を出すそんな大人の部分の良さかもしれない。
もしかしたらまだまだ佐野さんの「埋蔵金」は出てくるかもしれない。
佐野さんなら「もういいじゃない」というのか、それとも「ふふふ」と笑うだけなのか。
(2021/04/22 投稿)

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