04/27/2021 倚りかからず(茨木 のり子):再読書評「今この詩集を読む意味」

日曜日に
『水の絵本』という絵本を
紹介しましたが、
その書評を書く際に
茨木のり子さんの「水の星」という詩を
引用しました。
本棚からその詩が載っている
詩集『倚りかからず』を出してきたので
久しぶりに
その詩集を読みました。
もう何度読んできたでしょう。
このブログでも
何度めかの登場です。
でも、
コロナ禍で読むのは
少し意味が違うかもしれません。
そんなことを思いながら
再読しました。
じゃあ、読もう。

「現代詩の長女」と称されることもある詩人茨木のり子さん(1926年~2006年)の代表作ともいえる詩集。
1999年に茨木さんの8番めの詩集として刊行され、2007年に3篇の詩と高瀬省三さんの装画16点を入れて文庫本として出た。詩集としては15万部を超えるベストセラーになった。
1999年の出た際に、茨木さんは「あとがき」にこんな文章を綴っている。
「<今、詩を書くというのは、どういうことか?>と、みずからに問い続けざるを得ない歳月だった」と。
<今、詩を書くというのは、どういうことか?>は、同時に<今、詩を読むといのは、どういうことか?>につながっていく。
この詩集が出て、20数年の時が経ち、私たちは新型コロナウイルスという感染症と戦っている。
最初の発症から1年経っても、まだこの病気を封じ込めないでいるこの時代になすべきことはなんだろう。
この詩集の表題詩でもある「倚りかからず」で、茨木のり子さんは「もはや/いかなる権威にも倚りかかりたくはない」と書き、「じぶんの耳目/じぶんの二本足のみで立っていて/なに不都合のことやある」としたためた。
コロナの時代に、私たちは自分の二本の足で立てているのだろうか。
そもそも詩を読むことでもたらされるさまざまな感情を忘れていないだろうか。
すぐれた詩は、時代がどんな表情をしていても有効だ。
ふと立ち止まって、詩集を開くのも、いいではないか。
(2021/04/27 投稿)

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