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プレゼント 書評こぼれ話

  ジャーナリストで評論家の立花隆さんが
  4月30日、80歳で亡くなられていたことが報道されたのは
  つい先日のことでした。
  「知の巨人」と呼ばれた立花隆さんは
  どういう人であったか、
  多くの著作の中からそんな本が見つかるか、
  図書館の所蔵本を調べてみました。
  すると、運よく
  2020年に出た『知の旅は終わらない』を
  借りることができました。
  私の立花隆さん体験は『宇宙からの帰還』でした。
  この本の刊行は昭和58年とあります。
  私の記憶ではもっと若い頃に読んだように思っていたのですが。
  立花隆というビッグネームの前で
  私の読書体験はほとんど歯がたちませんでしたが、
  いつも気になる名前であったのは事実です。
  NHKでも数多くの番組をつくっていた関係で
  今夜10時からの「クローズアップ現代+」で
  「立花隆 この国へ 若者たちへ~未公開の映像・音声資料~」という
  追悼番組が放送されます。

  立花隆さん、ありがとうございました

  ご冥福をお祈りいたします

  

sai.wingpen  追悼・立花隆さん - 立花隆とは何者であったか                   

 ジャーナリストで評論家の立花隆さんが4月30日、80歳で亡くなっていたことが報道されたのは、関東で梅雨入り宣言があってしばらくしてからのことでした。
 訃報を伝える多くのニュースで立花さんのことを「知の巨人」と伝えていましたが、その巨人自らその生涯を書き残したのが、2020年1月に刊行されたこの本です。
 副題にあるように「3万冊を読み100冊を書いて」きた立花隆とは何者であったのか、その実像を知るには、この本は欠かせません。

 立花隆さんといえば、どうしても時の総理大臣を退陣に追い込んだ『田中角栄研究』が頭に浮かびますが、その著作群を見ると、決して政治評論家として活動したのではなく、宇宙、脳死、ガン、とその活動は実に多岐にわたっています。
 では、その原点はどこにあるのか、それはこの本の中にも書かれていますが、東京大学の学生であった20歳の時の渡欧だったのではないでしょうか。
 立花さんはその時の体験をこう綴っています。
 「どうやら自分が想像していたよりも、この世界というのはあらゆる意味で広くて大きくて深いようだ。そういう認識をあの時期に得たことの意味がとても大きかった」
 立花さんの渡欧は昭和35年(1960年)でしたが、その瑞々しい感性はまるで幕末期に渡欧を果たした若い志士たちと共鳴するものを感じます。

 その時を起点にして、立花さんは「いまでいう現代哲学的な意味での、“ノマド(遊牧民)”である」と、つねにその活動は停滞をしなかったといえます。
 もし、立花隆は何者かと問われたら、まずこの本を読むことを薦めます。
  
(2021/06/30 投稿)

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 本屋さんに行くと
 新刊本や文庫本のコーナーだけでなく
 雑誌のコーナーも
 見て歩きます。
 なので、
 やっぱりいつも行く本屋さんの方が
 あの雑誌はここ、この雑誌はあそこと覚えているので
 チェックに楽ですね。

 買ったことがないのですが
 いつも気になる雑誌があって
 そのひとつが
 「絵本のある暮らし 月刊モエ MOE」です。
 表紙だけ見て
 時々手が出そうになったりしていた気になる雑誌です。
 今回の表紙は
 中川李枝子さんの『ぐりとぐら』。
 しかも。創刊500号とあるではないですか。
 うーん、どうしよう、
 買おうか買うまいか。
 買うなら近所の本屋さんにするか、と
 その時はいったん引き上げたのですが
 なんと近所の本屋さんでは
 売り切れ。
 系列の本屋さんの在庫を調べてもらったら、
 そこも売り切れ。

 浦和の大きな本屋さんに行っても売り切れ。
 そこの本店も売り切れ。
 「月刊MOE」は毎月3日発売ですから
 私が見つけたのはもう20日過ぎでしたから仕方がないかも。
 結局最初に見つけた本屋さんで
 買うことができました。

  

 「絵本のある暮らし 月刊モエ MOE」7月号(白泉社・930円)は
 「ぐりとぐら」のクリアファイルもついていたり、
 創刊500号記念号ということもあって
 よく売れています。
 そして、
 なんといっても巻頭大特集の
 中川李枝子さんの最新ロングインタビューがいい。
 リード文から引用します。

   長年、絵本と童話を創作してきた中川さんに、
   『ぐりとぐら』誕生のエピソードをはじめ、(中略)
   石井桃子さん、スタジオジブリとの交流やその中から生まれた作品も紹介。
   永遠に愛される中川李枝子さんの名作絵本・童話の秘密を解き明かします・

 そして、創刊500号の特集記事では
 絵本作家さんがMOEで語った金言集も載っています。
 その中から、せなけいこさんの名言を
 紹介しましょう。

   お母さんが喜ぶ本ではなくて、
   子どもが喜ぶ絵本をつくりたいと思っていました。
   だって、子どもを描いているんだから。

 永久保存の雑誌がまた増えちゃいました。

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 今日は珍しい花の写真から。

  20210625_111240_convert_20210626084319.jpg

 エキナセア、別名ムラサキバレンギク。
 私が借りている菜園で「ハーブクラブ」という
 部活動みたいな活動があって
 その人たちが栽培しているエリアに咲いていた花です。

 私の畑で見つけたこちらの花は
 トウガラシの鷹の爪の花。

  20210625_104250_convert_20210626083944.jpg

 ピーマンの親戚みたいなものですから
 花もそっくりです。
 そういえば先日クイズ番組で
 トウガラシが緑黄色野菜かどうかという問題をしていました。
 答えは〇。
 トウガラシはああみえて緑黄色野菜なんです。

 トウガラシピーマンもナス科の野菜ですが
 6月26日(土曜日)、ついに
 白ナスを収穫しました。

  20210626_105446_convert_20210627091250.jpg

 ナスは英語名でEgg plantといいますが
 白ナスはまさに卵Eggに見えます。
 味は普通のナスとほとんど変わりませんが
 食感はより柔らかい。
 生まれて初めての白ナス体験でした。

 こちらは大玉トマト

  20210625_104552_convert_20210626084203.jpg

 こぶし大以上に育っていますが
 まだ赤くなってきません。

 トマトも夏野菜の代表格ですが
 夏といえば
 こちらもそう。
 エダマメです。
 防虫ネットを外してのぞいてみると
 あります、あります。

  20210625_104751_convert_20210626084245.jpg

 こちらも膨らむまで
 もう少し時間がかかりそう。

 こちらは
 モロヘイヤ(左側)とクウシンサイ(右側)。

  20210625_104445_convert_20210626084022.jpg

 まだもう少し時間がかかるかな。

 夏野菜は成長が早い。
 特にキュウリは1週間であっという間に
 おばけキュウリになりますから
 こまめに収穫していきます。
 採れた夏野菜で顔をこしらえてみました。

  20210626_105956_convert_20210627091558.jpg

 髪はパセリです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  ここしばらく
  長谷川義史さんが絵を描いた絵本が
  つづいています。
  好きなので、つい手にとってしまいます。
  今日も
  長谷川義史さんが絵を描いた絵本
  『こたつうし』の紹介です。
  文はかわまたねねさん。
  新しい作家さんです。
  新人であっても
  長谷川義史さんが絵を担当してもらえたら
  どんなにうれしいことか。
  夏を迎えて
  こたつの絵本もそぐわないですが
  うし年もちょうど半分なので
  その節目? として
  大目にみてください。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  うしにもこたつにもなれなかったけど                   

 子どもの頃に、ご飯を食べたあとに寝転がっていると「うしになるよ」とよく叱られました。おかげさまで、うしにはなりませんでしたが、ご飯を食べたあとこたつにもぐりこむ冬の季節ならついウトウトとしてしまいます。
 最近は暖房器具も多種になって、こたつもあまり見かけなくなりました。
 実際我が家ではもう何年もこたつは使っていません。
 うしに生まれ変わる楽しみ? もなくなりました。

 うしがこたつになるというおかしな発想でこの絵本を書いたかわまたねねさんは1996年生まれといいますからとてもお若い。
 まさか食べたあとに寝転がるとうしになるという言い伝え? は知らないでしょうが、「映画を観ながら寝落ちするのが「一番の幸せ」というのですから、うしになる資格が多いにあります。
 この絵本はかわまたさんが受講している「ゆうゆう絵本講座」の受講生内のコンペで選ばれた作品だということで、絵本作家を志している人の感性の豊かさにモー感服です。

 その作品に絵を描いたのは、こちらはベテラン絵本作家の長谷川義史さん。
 長谷川さんの絵が、こたつになったうしがこの世に存在していてもつい納得させてしまいます。
 かわまたさんのおかしな世界を長谷川さんがよりいっそう楽しい世界に仕上げています。
 モウ満足な、楽しい絵本です。
  
(2021/06/27 投稿)

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 映画は何を基準に観ますか。

 作品で観るというのは
 もちろんあります。
 話題になっているとかアカデミー賞受賞作だとか。
 俳優さんで観るのもあります。
 トム・クルーズさんが好きだとか
 マリリン・モンローに夢中だとか(ちょっと古いかな)。
 監督で観るというのはどうですか。
 今でいえば、
 タランティーノ監督とかティム・バートン監督とか。
 そこで
 今回は監督の話。
 サスペンス映画の巨匠ヒッチコックです。

 ヒッチコックを知らない映画ファンは
 いないと思いますが、
 亡くなったのが1980年ですから
 やはり若い人にはなかなか観る機会が少ないかもしれません。
 今ヒッチコックを観るなら
 NHKのBSプレミアムシネマがいいです。
 結構定期的にヒッチコックの作品を放映しています。
 今週水曜に放映されていたのが
 ヘンリー・フォンダ主演の「間違えられた男」(1956年)。

  

 これは実際に起こった事件を題材としているようで
 ある日突然強盗犯人と間違えられた男とその家族の悲劇を
 描いた作品です。
 もしかしたら誰にも起こりそうな間違い。
 じわじわと犯人に仕上げられていくのが
 とても怖い。
 ヒッチコックの有名な「サイコ」よりも
 私はこちらの作品の方が怖かった。

 6月には
 その他にも「見知らぬ乗客」(1951年)や「断崖」(1941年)、
 「北北西に進路を取れ」(1959年)と観ています。
 ヒッチコック作品の中で
 何が一番好きかと聞かれたら、
 やはり「裏窓」(1954年)でしょうか。

  

 足を骨折したカメラマン(ジェームズ・スチュアート)が偶然
 窓から見える向いのアパートでの殺人事件を目撃する話。
 主人公が動けない分
 サスペンスが盛り上がります。
 それになんといっても
 恋人役のグレース・ケリーがきれい。
 和田誠さんもヒッチコックが大好きで
 『お楽しみはこれからだ PART4』で
 「裏窓」からこんなセリフを紹介しています。

    「まだ結婚の時機じゃない」
    「妻にふさわしい女に会ったら、それが結婚の時機よ」

 そうそう
 作品にちょこっと登場するヒッチコック自身を
 見つけるのも
 ヒッチコック映画の楽しみのひとつです。

 ちなみに
 来週30日の水曜は
 ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ!」(1954年)が
 放映されますよ。

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  あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
   恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、
   そういうひとびとを助けるために使ってください。
   そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。 

 これは、平成31年の東京大学の入学式の際に、
 社会学者の上野千鶴子さんの話された祝辞の一節です。
 この時の祝辞は大変大きな評判を呼びました。
 私もそれに感銘を受けました。
 上野千鶴子さんの話がどうしてこんなにも心に響くのか、
 やはりそれは目線の低さにあると思います。
 その低さは難しい言葉を嫌います。
 平易な言葉だから、思いが伝わりやすい。
 だから、話す側と聞く側が同じ地平に立つことができます。

 そんな上野千鶴子さんが
 NHKEテレの人気番組「100分de 名著」に登場します。
 テキストとなるのが
 ボーヴォワールの『老い』。
 ボーヴォワールといえば
 『第二の性』という著作で有名なフランスの作家。
 そう、

   人は女に生まれるのではない、女になるのだ。

 と言った人。
 哲学者サルトルとの自由恋愛でも有名です、
 そんなボーヴォワールが62歳の時に発表したのが
 今回のテキストとなった『老い』。

 6月28日月曜の夜10時25分から
 4回にわたって放送が始まります。
 上野千鶴子さんが「老い」について
 どんな話をしてくれるのか興味津々で
 今回久しぶりに放送用のテキストも買いました。

  

 その「はじめに」で
 上野千鶴子さんはこんなことを書いています。

    違っていても差別されない社会を考えていくなかで、
    これは女性のみならず、
    広く「社会的弱者」と言われる人びとに共通する問題だと気づきました。

    老いとは個人が努力で克服するものではなく、
    まさに社会の問題であり、文明の問題なのです。

 さあ、ボーヴォワールは「老い」について何を書き、
 上野千鶴子さんはそれをどうわかりやすく
 話してくれるのか、
 7月の「100分 de 名著」が楽しみです。

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  今日は
  第74回直木賞受賞作
  佐木隆三さんの『復讐するは我にあり』を
  紹介します。
  もちろんこの作品のことは知っていましたが
  先日読んだ佐高信さんの
  『時代を撃つ ノンフィクション100』でも
  紹介されていて
  それでまず今村昌平監督の
  映画を観ました。
  これがとても面白くて
  今回原作に初めて挑戦しました。
  映画と描き方がまったく違うので
  かなりとまどうと思いますが
  原作の方がノンフィクション度が
  高いような気がします。
  面白さは甲乙つけがたいですが
  私がやや映画に軍配かな。

  じゃあ、読もう。 

  

sai.wingpen  面白いのだから仕方ない                   

 第74回直木賞受賞作。(1975年)
 但し、文春文庫で刊行されたものは「改訂新版」となっていて、最初に書き下ろした時より実に30年以上経った2007年に作者自身の手によって全面的に書き直されたものだ。
 受賞作とこの「改訂新版」がどのような違いがあるのか、研究者でもない単なる読者からすればそれを明らかにすることもない。
 ただ読んだ作品が面白いかどうかだ。
 受賞時の選考委員の中でも「一番面白かった」(村上元三)「一番読みごたえがあった」(川口松太郎)といった意見があったように、受賞時の作品もやはり読書の醍醐味が評価されたといえる。

 佐木はこの「改訂新版」の「あとがき」にも、この作品のことを「ノンフィクション・ノベル」と書いているように、この作品は昭和38年秋から翌年1月に起こった連続殺人事件「西口彰事件」をモデルにしたものである。
 この「ノンフィクション・ノベル」について、直木賞の選考委員のひとり柴田錬三郎は「そんなジャンルを認めることのばかばかしさが先立つ」と全否定している。
 確かにこの作品は登場人物の名前等は変えられていて、ノベルといえるが、一方でノンフィクションを否定するものではない。
 この作品を原作として今村昌平監督が1979年に映画化しているが、今回原作を読んでその違いに驚いたが、ノベルというのであれば映画となったものの方がフィクションの要素が高い。

 ノベルにしろフィクションにしろ、この作品の一番の力はやはり面白さだろう。
 「読んでいて面白いのだから文句のつけようがなかった」とある源氏鶏太の選評がすべてを語っている。
  
(2021/06/24 投稿)

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  吉村昭さんが亡くなったのは
  2006年7月31日ですから
  もうすぐ15年めの命日がやってきます。
  今日は
  吉村昭さんの
  『冬の道 吉村昭自選中期短編集』を
  紹介します。
  中公文庫から今年の3月に出た短編集です。
  こうして歿後も本が出版されるのですから
  吉村昭さんの作品は
  新しい読者を生み続けているといえます。
  こういう短編集を読むと
  しばらく吉村昭さんの世界に
  浸っていたくなります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  吉村昭充実の中期短編集                   

 中公文庫による「吉村昭自選短編集」シリーズの、「初期」2冊に続く「中期」集である。
 もちろん吉村昭自身は2006年に亡くなっているが、生前「自選作品集」を自身の手で編んでいて、この文庫ではそれを底本としているので「自選」となっている。
 ここでが1974年から1985年までに発表された短篇10篇が収められている。
 もちろんこの期間で吉村が発表した短篇はもっとあるが、文芸評論家の池上冬樹氏が編集にあたっている。

 収められた10篇のうち、表題作である「冬の道」と「黄水仙」、それと「欠けた月」は「父親三部作」ともいえる作品。
 吉村自身は決して私小説作家ではないが、自身の周辺を描いた作品に読み応えのあるものが多いのも確かである。
 この3作も、外に女をこしらえた父を激しく憎悪するも、空襲により行方不明になった父を探し歩く主人公が避難した女の家でくつろぐ父を見てどこか癒される「黄水仙」、それに続く「欠けた月」は病気で倒れた父のために医者を求めて奮闘する主人公の心の綾が描かれる。
 表題作の「冬の道」はついに命が尽きた父の死の姿を描いている。
 私小説だが、対象と作者自身の距離感が絶妙だ。ぬめっとした感じではなく、乾いた視線が吉村らしい。

 その他にも刑務所ものといわれる作品が多く収められている。
 冒頭の「鳳仙花」もそうで、刑務所職員が立ち会う死刑執行の日が描かれている。
 作品の書き出しは主人公の妻が嬰児に母乳を与える場面で、生と死のコントラストが実に見事というしかない。

 読み応えのある短編集だ。
  
(2021/06/30 投稿)

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  昨日は夏至だったので
  今日は一日遅れで
  夏至の本を再録書評で紹介します。
  正木ゆう子さんの
  『夏至 - 正木ゆう子句集』です。
  2009年9月に書いた書評ですから
  もう10年以上前のものです。
 
    地下鉄にかすかな峠ありて夏至      正木 ゆう子

  これも正木ゆう子さんの句ですが
  この句にある「峠」のイメージがよく効いています。
  昨日が一年で一番長い昼だとすれば
  今日はもう昼の時間は少し短くなっているということになります。
  車輪がコトリと
  峠を下り始めた。
  今日はそんなイメージの日です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  めぐりくるもの                   

 本書は、俳人正木ゆう子の、平成十四年なかばから平成二十年までに発表された作品のなかから約二百五十句を収めた、第四句集である。
 一年でもっとも長く陽がふりそそぐ「夏至」が、そしてそれは彼女の生まれし日でもあるのだが、書名になっているのは、著者の「太陽を中心に捉えたい」という思いである。
 正木は「あとがき」に「この繊細な季節の変化が、太陽に対する地軸の傾きというただ一つの理由によって生じていることに気づいてから、私は以前にも増して太陽に畏れと親しみを抱くようになった」と書いているが、それだけではなく俳壇における彼女の位置や彼女の心意気が「太陽」というエネルギーを近しいものにしているのではないかと思う。
 それほどに、近年の正木ゆう子の活躍はめざましい。

 この句集はいくつかの章立てでまとめられているが、冒頭の「噴煙に日面のある大暑かな」と最後の「公転に遅れじと春の大気かな」という二つの熊本阿蘇を詠んだ句は、大いなる太陽の循環でつながっている。
 そう考えれば、どういう章立てであれ、それらは所詮、太陽という光の中心で廻りつづける瑣末な日常でしかない。
 逆をいえば、四季という変化に多くをゆだねながら、そういう瑣末な日常を詠む俳句は、まことに大いなる自然と人事を表現しうる、文芸だともいえる。

 人事と書いた。それは、義父の死を詠んだ「昴」の連句によく表れている。
 「骨拾ふ冬三日月の弧を思ひ」
 「老いも死も父先んじて母に夏」
 それらは単に身内の死を越えて、生と死をひとつの円環のようにして詠みきっている。そして、そういう円環の中心に、誰も侵せない、幾重にもなる四季の重なりがある。

 佐世保の鷹の渡りを詠んだ「鷹渡る」、オーロラの秀句を収める「極光」、「皿持つて河童のきもち半夏生」といった愉快な句の冴える「湖畔」(「」内はいずれも章のタイトル)など、これは正木ゆう子のひとつの成果だろう。
 なお、本句集の装丁は、彼女の夫笠原正孝氏の手によるものである。
  
(2009/09/23 投稿)

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 関東も先週梅雨入りをしました。
 そのせいで
 鬱陶しい天気が続いて
 昨日の日曜日(6月20日)久しぶりの梅雨の晴れ間となりました。

  20210620_123917_convert_20210620143933.jpg

 手前は
 先週も紹介したラベンダーです。

    ひづめまで仔豚ももいろ梅雨晴間      満田 春日

 畑では
 ナスコンパニオンプランツとして種を蒔いた
 マリーゴールドがかわいい花を
 つけました。

  20210620_115918_convert_20210620143836.jpg

 そして、
 今日は二十四節気のひとつ、夏至ですから
 いよいよ夏本番が近づいてきました。
 夏野菜の収穫はこれからが本番ですが
 まずは顔見世で並べてみましょう。

  20210617_163506_convert_20210620142822.jpg

 ナスキュウリピーマンミニトマト
 これらがどっさりと
 とれればいいのですが。

 こちらは第二区画のナスを植えている畝。

  20210620_113143_convert_20210620143617.jpg

 左がミニトマトで、中央がナス
 右側のトウガラシもだいぶ大きくなってきました。

 梅雨の晴れ間に
 やっておきたい作業がありました。
 それが大玉トマトへの
 雨除けシートがけ。
 昨年それでうまくいったので
 今年もこしらえてみました。

  20210620_115857_convert_20210620143711.jpg

 今週の天気予報では傘マークが並んでいたので
 この日が作業日和。
 これで今年も
 おいしい大玉トマトができるかしら。

 これはベランダで栽培しているズッキーニの花。

  20210620_073919_convert_20210620143228.jpg

 畑での路地栽培をしたかったのですが
 作付けの時期には畝に空きがなく
 ベランダでのチャレンジとなりました。
 咲いた花は雄花ですから
 これでは実になりません。
 うまくできるか
 お楽しみはこれからだ!

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は父の日

    父の日や常の朝餉を常のごと     山崎 ひさを

  この句のように
  父の日はなんだか気がつかずにそのまま
  過ぎてしまうことも多い、
  ちょっぴりさびしい記念日です。
  そこで、
  今日は長谷川義史さんの『てんごくのおとうちゃん』を
  再読書評で紹介します。
  2010年10月1日の記事で
  この絵本を取り上げています。
  その記事にはこの絵本を知ったきっかけも書いていて
  それはちひろ美術館での展覧会のことでした。
  絵本の中身よりも
  この絵本が展示されていた光景の方が
  記憶に残っています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ちょっとグスンとする父と子のお話                   

 亡くなった父親に「はいけい、てんごくの おとうちゃん、げんきに してますか。」と手紙をつづるように描かれていく、絵本作家長谷川義史さんが2008年11月に発表した絵本の名作です。
 作品のよさもありますが、なんといっても長谷川ワールドが全開です。
 大阪弁で綴られている「てんごくのおとうちゃん」への手紙、昭和の雰囲気あふれた絵。
 長谷川さんは昭和36年、大阪に生まれていますから、ここには長谷川さんが見た昭和の思い出が詰まっています。

 胸にぐっと迫るのは、少年とおとうちゃんの微笑ましい思い出を描いたところではありません。
 おとうちゃんが亡くなった日、みんなが泣いている時、少年は「なんか わかれへんけど」庭に吐いてしまいます。
 少年にとって、大好きだったおとうちゃんの死であっても、何かとてつもなく恐ろしいものだったのです。
 人はそういう経験をしつつ、大人になっていく。
 ここはとても大切な場面です。

 さらに、みんなに「かわいそうに」と言われるたびに少年は自分よりおとうちゃんがかわいそうとちがうやろかと思います。
 少し視点を変えてみると、本当の世界が見えてきます。

 「はいけい、てんごくの おとうちゃん、ぼくは もうすぐ よねんせいに なります」、
 だから、心配しなくても大丈夫とおわる最後のページの絵は、おかあちゃんの肩を叩く少年でした。
  
(2021/06/20 投稿)

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 今日は桜桃忌
 言わずと知れた、作家太宰治の忌日。
 『俳句歳時記 第五版 夏』ではその日を6月13日、
 すなわち太宰治山崎富さんが入水した日としています。
 二人が発見されたのが6月19日で
 三鷹の禅林寺で桜桃忌が修されるとあります。

     黒々とひとは雨具を桜桃忌      石川 桂郎

 そこで
 今日の映画の話も太宰治で。

 まずは
 2009年に公開された根岸吉太郎監督の「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」。

  

 この作品のことは知っていましたが
 所詮太宰治の名前を当て込んだ作品だろうと見過ごしていたのですが
 先日機会があって観たのですが
 これがとてもいい。
 実にうまくできている作品でした。
 調べると
 この作品で根岸吉太郎監督は第33回モントリオール映画祭
 最優秀監督賞を受賞、
 その年のキネマ旬報ベストテンでも
 日本映画の第2位。
 さらにこの作品で主演をつとめた松たか子さんは
 この年の主演女優賞を総なめしています。

 脚本を書いたのは
 田中陽造さん。
 日活ロマンポルノの全盛期を支えて名脚本家です。
 脚本がいいですよね。
 タイトルにもなっている『ヴィヨンの妻』は短篇ですから
 一本の映画としては短すぎます。
 それに太宰治のいくつかの短篇、
 副題にあるように「桜桃」とか
 「タンポポ」は初期の短篇『二十世紀旗手』にある
 「タンポポの花一輪の信頼が欲しくて(以下、略)」からと
 かなり太宰治の作品を読みこんでいないと
 この脚本は書けません。

 主演の松たか子さんもいいし、
 その夫大谷を演じた浅野忠信さんのうまい。
 こういう役をさせたら一番巧い役者かも。
 大谷と心中未遂を起こすちょっと汚れた役どころの
 広末涼子さんのいい。
 おそらく太宰治の作品の映画化ではベストの作品だろう。

 もう1本を紹介します。
 2019年に公開されて「人間失格 太宰治と3人の女たち」。

  

 蜷川実花監督作品です。
 太宰治の『人間失格』を原作にした作品ではなく
 太宰治の晩年の姿を描いた作品です。
 3人の女とは
 奥さんだった津島美知子(宮沢りえ)
 『斜陽』のモデル太田静子(沢尻エリカ)
 そして山崎富栄(二階堂ふみ)ですが、
 どうもしっくりこない配役でした。
 太宰治を演じた小栗旬さんもちょっとイメージが違うかな。
 太宰治
 ファンの数が多いし、それぞれの中に自身の太宰治像があるから
 演じる人も難しいのではないでしょうか。

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  太宰治の作品は青空文庫でほとんど読めます。
  インターネット上の電子書籍である青空文庫のいいところは
  読了するのにどれぐらいかかるか
  その目安が載っている点です。
  例えば
  今日紹介する太宰治の『ヴィヨンの妻』の場合
  約52分となっているから
  ゆっくり読んでも1時間ほどで読めることがわかります。
  自分の空き時間をうまく使えば
  そこにちょうどはまる名作を見つけることができます。
  私はスマホにも青空文庫を登録しています。
  そんな電子書籍を駆使して
  太宰治を読破するのもいいかもしれません。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  何度読んでもこの短編は素晴らしい                   

 昭和22年3月に発表された太宰治屈指の短篇小説。
 文庫本にしてわずか30頁ほどの作品だが、その完成度は高い。
 戦争時に空襲に罹災し、生家である青森に疎開していた太宰が東京に戻るのが、戦争が終わった翌年の昭和21年の秋のこと。
 そこから死の年昭和23年までほんの短い時間である。
 そのわずか2年ばかりに太宰は人々の記憶に残る「晩年」を送ることになる。

 この短編は、その「晩年」をまさになぞったような作品である。
 なんといっても、書き出しがいい。
 深夜に帰宅してなにやら探している夫。妻である私は気づいたが黙って寝たふりをしている。そこに怒鳴り込んでくる中年の夫婦。
 まるで疾走するかのような物語の展開に、読者はたちまち太宰の世界に連れ込まれていくはずだ。
 夫はナイフで脅してそのまま逃走。残された妻が夫婦から話を聞けば、彼らは飲み屋の夫婦で夫は彼らの店に入り浸ってお金をほとんど払っていない。しかも、今夜は店のお金まで盗んだという。
 妻は翌日から彼らの店で働くことで、夫の借金を帰そうとする。
 けなげな妻は、夫にどんなにひどい仕打ちを受けても、夫を待ち続けている。
 これは夫婦の愛情物語ではない。
 男と女の、切ない道行のような物語なのだ。しかも、妻は生きることにも貪欲なのだ。

 太宰はこの妻に女性の理想を求めたのだろうか。
 いや、この妻こそ太宰自身が目指した人間像だったような気がする。
  
(2021/06/18 投稿)

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  今日は
  元「週刊文春」「文藝春秋」の編集長だった
  木俣正剛さんが書いた
  『文春の流儀』という本を紹介します。
  この本は書評にも書きましたが
  木俣正剛さんの仕事史のようなものですが
  あちらこちらに
  やはり若い人たちへのメッセージがはいっています。
  そのうちのひとつ。

    日本人全体が物分かりのいい国民になってしまったあげく、
    どんよりした閉塞感に満ちた国になってしまったような気がします。

  木俣正剛さんは昭和30年生まれで
  私と同い年。
  だからなのか
  この言葉よくわかります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  仕事を辞めたら自身の仕事史を書いてみよう                   

 人生100年時代といわれ、さらには少子化による労働人口の低下もあり、この4月から「高年齢者雇用安定法」が施行されました。
 これによって、企業は定年を70歳まで引き上げたり、70歳までの継続雇用制度の導入が求められます。
 働く側からすれば、多くの人はこれによって半世紀近い歳月を企業内で過ごすことになります。
 つまりは、人生のほとんどということになります。
 かつて定年退職した人たちが、それまでの自身の半生を省みて「自分史」を綴ることが流行りましたが、これからは自身の職務経歴を文章で残す人が増えてくるかもしれません。

 出版社の文藝春秋一筋、「週刊文春」や「文藝春秋」の編集長を務め、常務取締役を最後に退社した木俣正剛さんが書いたこの本も、そういう点では自身の仕事史を綴った著作です。
 読み手の興味を引くのは、文春砲と呼ばれる週刊誌であったり芥川賞直木賞の選考会の司会といった、あまり普通の人が体験しない仕事のことが綴られているからです。
 出版業界の人の仕事史は、裏話がふんだんにあって面白いのも事実で、この本にも松本清張さんの話とかオウム事件のような世間を驚かせた大きな事件の裏事情が書かれていて、それは週刊誌の面白さに似ています。

 最後には後輩社員たちへのエールや文藝春秋への応援が記されているのも、長年そこで仕事をされてきた人だからこそ書ける思いではないでしょうか。
  
(2021/06/17 投稿)

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  和田誠さんが亡くなってからも
  和田誠さんの本はできるだけ
  読むようにしています。
  そんなふうに思いながら
  和田誠さんの代表作のひとつでもある
  『お楽しみはこれからだ』のシリーズを
  まだ全部紹介していないので
  これから
  ちゃんと再読紹介していきたいと思います。
  すでにPART2までは紹介しているので
  今日はPART3の紹介です。
  せっかくなので、
  PART3から名セリフをひとつ。

    「ここはエレベーターですか」
    「ぼくの家だ」

  映画は「ローマの休日」。
  この映画何度も観ましたが
  やっぱり私は覚えていなかった。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  和田誠さんにはいつだって会える                   

 イラストレーターの和田誠さんが亡くなったのは2019年10月だから、随分経ったものだ。
 でも、今でも週刊文春の表紙は和田さんのイラストだし、この本のように1980年刊行のものだって本棚から引っ張り出してくれば、いつだって和田さんのイラストを楽しめる。
 だから、和田さんがこの世界からいないなんて、あまり感じない。

 「キネマ旬報」に連載されていたこのシリーズは、実は本編とそのPART2でおしまいになるはずで、和田さん自身PART2の「あとがき」でこの次はありませんと書いていたが、やはり面白い企画は読者も編集者もほおっておくはずがなく、こうしてちゃんとPART3が刊行されました。
 ちなみにこの人気シリーズはPART7まで続いていきます。

 前2作と同じように、見開き半分にはその映画の名セリフとその映画にまつわる和田さんの話、ことわっておくと映画評ではないけれど和田さんの映画愛がいっぱい詰まった文章になっています。
 そして、もう半分がその映画に出てくるスターたちの、和田さん得意の似顔絵イラスト。

 いつものことだが、和田さんの記憶力には本当に脱帽する。
 この本が出たのは1980年なので、今のようにオンラインやDVDがあるわけではない。
 昔の映画が観られるとしたら、名画座でしかなかった。
 そんな時代の映画の名セリフ、名シーンのことを書くのだから、それがどんなにすごいことか。
 そして、その文章が面白いから、本編を観たくなって仕方がない。
  
(2021/06/16 投稿)

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  先日のNHK大河ドラマ「青天を衝く」
  天狗党の最後が描かれていましたが、
  今日紹介する
  吉村昭さんの『天狗争乱』を読むきっかけは
  もちろん大河ドラマの影響です。
  ドラマでは
  武田耕雲斎の最後まで慶喜を信じようとする姿が
  痛ましかったです。
  天狗党の最後のさまは
  司馬遼太郎さんの『街道をゆく』の
  「北国街道とその脇街道」にも記されています。
  興味ある方は
  そちらも読んでみると面白いですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ドキュメンタリー映画を観ているような作品                   

 桜田門外の変から4年後の元治元年(1984年)、筑波山で挙兵した千余名の水戸尊攘派が引き起こした一連の騒動を「天狗党の乱」と呼んでいる。
 この千余名の中には水戸藩の尊王攘夷の思想の中心であった藤田東湖の息子小四郎や武田耕雲斎といった名の知れた藩士もいればまったく無名の農民や町民も多くいたという。
 彼らは水戸藩内での行き場を失くし、京にいる一橋慶喜を頼って苦難の旅程をたどることになる。
 雪の峠越えなどを経てついには頼る慶喜にも見放され、ついには幕府に屈することになる。
 そして、「天狗党の乱」が今でも幕末の日本史に黒い染みとなって名を残すことになったのは、囚われた敦賀の地で狭い鰊蔵に押し込まれ、多くの者たちが斬首された非道の処置による。
 「この非道な行為は。幕府が近々のうちに滅亡することを自らしめした」と薩摩の大久保利通が日記に記したと、この作品にも触れられている。

 1990年の『桜田門外ノ変』の刊行からまるで歴史の時間をたどるように、4年後の1994年に刊行された吉村昭のこの作品は大佛次郎賞を受賞するなど、その評価は高い。
 小説ではあるが、吉村の筆は古文書など記録を実に丁寧に拾いつつ、天狗勢(この作品では党ではなく勢となっている)の行程をたどっていて、それがまるでドキュメンタリーの映像を見ているような緊迫感を与えている。
 吉村はその終り近く、「慶喜は(中略)自分にとりすがってきた天狗勢を冷たく突きはなしたのだ」と、筆致は冷静だが、怒りを感じる一文を記している。
  
(2021/06/15 投稿)

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 私が利用している菜園の片隅では
 今ラベンダーが満開です。

  20210612_105016_convert_20210612182336.jpg

 文庫版の『俳句歳時記 第五版 夏』には
 まだラベンダーは載っていませんが
 夏の季語に入ります。

    ラベンダーにむせび迷える虫となる      北見 静香

 ラベンダーはまだ新しい季語ですが
 茄子の花ともなれば
 ちゃんと『歳時記』にも載っています。

    草木より目覚の早き茄子の花       福田 甲子雄

 そして、こちらが
 白ナスの花です。

  20210612_100925_convert_20210612180430.jpg

 普通のナスの花より色がやはりぬけています。
 きりりとした花の美しさでは
 やはり普通のナスの方がきれいかな。

 その白ナスの一番果を採りました。
 まだ小さいですが、
 これから育つ実を大きくするためです。

  20210612_110308_convert_20210612182421.jpg

 この日収穫したナスと並べてみました。

 先週蒔いたオクラ
 早くも芽を出していました。

  20210612_101201_convert_20210612181404.jpg

 作物によって
 芽が出るのが早いものと遅いものがあって
 オクラなどは早い野菜です。

 今の畑の様子ですが
 こちらがオクラを植えている第二区画。

  20210612_101231_convert_20210612181453.jpg

 一番奥にタマネギの畝がありましたが、
 この日すべて収穫し終えました。
 これは第二区画で育てている
 ミニトマト

  20210612_101316_convert_20210612182648.jpg

 かわいい行列ができつつあります。

 こちらは
 第一区画の四番畝側から撮った今の様子。

  20210612_101101_convert_20210612181314.jpg

 手前の畝がサトイモショウガ
 背の高いネットは二番畝のキュウリ大玉トマトです。
 キュウリは先週一週間で5本ほど収穫しています。
 結構マメに行かないと
 キュウリはすぐに大きくなってしまいます。

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  先週に続いて
  今週も
  室井滋さん文、
  長谷川義史さん絵の絵本を紹介します。
  タイトルは「ウリオ」。
  このコンビの絵本はかなりアンテナを張っているつもりですが
  2013年刊行のこの絵本も
  気がつきませんでした。
  イノシシの子どものことをうり坊と呼びますが
  小学生の頃に習った国語の教科書に
  うり坊の話があったように思います。
  とっても昔のことですが。
  瓜のような縞模様をしているからうり坊。
  写真で見ると
  とてもかわいいものです。
  でも、大きくなると…猪突猛進のイノシシになります。
  うり坊のまま変わらなかったらいいのですが。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  表紙の絵は怖いけれど                   

 体長3メートル近い巨大アミメニシキヘビが逃げ出して大騒ぎになったが、飼っていた動物が逃げ出して事件になることがままある。
 逃げ出したのではなく、飼い主が飼えなくなって野に放つという無責任なこともあったりする。
 女優の室井滋さんと絵本作家の長谷川義史さんという黄金コンビによるこの絵本の「あとがき」で、文を書いた室井さんは「動物の気持ちと人の気持ち…。大切な命がどうすれば守られるか」を考えて欲しいと書いている。

 この絵本のタイトルの「ウリオ」は、大きくなったイノシシの名前。
 ウリオは小さいウリ坊と呼ばれていた頃山の中で母イノシシとはぐれていたのを、木こりのおじいさんに助けられる。
 そして、おじいさんの知り合いの街に住む一家に預けられることになる。
 お父さん、お母さん、お兄ちゃんのマー君、妹のももちゃんたちに可愛がられて、ウリ坊はどんどん大きくなって、今ではキバもりっぱな大人のイノシシウリオになった。
 ところが、マー君たちはそんなウリオを怖がったり、嫌いだす。
 ウリオにはその理由がわからない。
 とうとつウリオはマー君の家を飛び出してしまって、街は大騒ぎ。
 おしまいには猟友会の隊長が鉄砲持ってかけつけます。
 ウリオはどうなるのでしょう!?

 最後はマー君たち一家の懸命の説得で、ウリオは家に帰ります。
 この絵本の創作のきっかけは、室井さんの友人の家で暮らすイノシシがヒントになったようです。
 この絵本や最近のニュースから動物と私たちの気持ちをわかりあえればいいと思います。
  
(2021/06/13 投稿)

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 今週の火曜日に
 かつて「空飛ぶマダム」と呼ばれ、
 京都と東京で「おそめ」というバーのマダムだった
 上羽秀という女性を描いた
 石井妙子さんの『おそめ-伝説の銀座マダム』という本を紹介しましたが
 新潮文庫版にも上羽秀さんの写真が数点収録されています。
 京都美人とはこういう人のことをいうのかと
 写真からもしなやかな品のある感じがつかめます。
 でも、せっかくなので
 動いている上羽秀さんの姿を見ることができないか。
 実は、それが見られるのです。
 今日の映画の話は
 上羽秀さんが出た映画「風船」のはなしです。

  

 まずは
 石井妙子さんの本からの引用です。
 「昭和31年に公開された映画では(中略)実際に木屋町の「おそめ」が使われ、
 秀も「おそめ」のマダムという役で登場している。
 秀は画面いっぱいのアップで映され、森雅之と台詞のやりとりをする。
 なかなか堂に入った演技ぶりである。
 その映画は
 川島雄三監督の「風船」。
 1956年の日活作品。
 こんな昔を映画がどうして観られたかというと
 TSUTAYA TVというオンラインのラインナップにあったのです。
 川島雄三監督といえば
 「幕末太陽傳」や「雁の寺」など今でも人気の高い監督です。
 2018年に生誕100年ということで
 多くの作品がもう一度視聴できるようになりました。

 「風船」という映画、
 原作は大佛次郎で、
 石井妙子さんの本にも大佛次郎が「おそめ」に足繁く通っていたことが
 書かれています。
 上羽秀さんが台詞のやりとりをした森雅之さんが主演で、
 三橋達也さんが出来の悪い息子を演じています。
 その三橋さんの愛人役で切ない女性を演じているのが
 新珠三千代さん。
 私の世代では
 新珠三千代さんといえば「細うで繁盛記」を思い出しますが
 元が宝塚の娘役だったというだけあって
 とても美しい。
 この映画はほかにも芦川いずみさんとか左幸子さんとかが出ていて
 なかなか見応えありました。
 脚本が川島雄三今村昌平ですから
 さすがうまい。
 音楽が黛敏郎、衣装デザインに森英恵という
 今では豪華すぎる名前がそろっています。
 なので、作品もいい味のある出来栄えです。
 もちろん、上羽秀さんもしっかり出演者名にクレジットされていました。

 ということで、
 「土曜日は、映画の話を。」では
 これからはこんな風に映画を絞って書いていこうと思います。

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  イラストレーターの安西水丸さんが亡くなったのは
  2014年の3月。
  そんなに以前だったと
  意外な感じさえしました。
  それにしても71歳という若さで逝ってしまうのは
  早すぎましたよ。
  今日は
  長女の安西カオリさんが書いた本
  『ブルーインク・ストーリー 父・安西水丸のこと』を
  紹介します。
  娘が書いた父の思い出ということになりますが
  間あいだに
  安西水丸さんの挿画が入っているのも
  うれしい一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  父親泣かせの追悼文集                   

 娘に限らず、子供というのはどこまで親のことを見ているのだろう。
 そして、そのことを親と話すことはあるのだろうか。
 「お父さん(あるいはお母さん)って、こんな人だよね」なんて、子供から話されたら途端に親の方が照れてしまいそうだ。
 安西水丸さんの長女であるカオリさんの場合はどうだったのだろう。
 「いつまでも親はいてくれるものだと漠然と思ってうたので、父に対してもっと親孝行らしいことをしたかったという思いが残る。」と、記された文章がこの本の中にあるが、カオリさんのそんな思いに反して仲のいい、少なくとも水丸さんに愛された娘の姿が浮かび上がってくる。

 イラストレーターの安西水丸さんが亡くなったのは2014年の3月。
 それからもう随分と時間が過ぎたものだ。
 本書は水丸さんの長女のカオリさんが、亡き父を語った文集である。
 父親のことがこう記された文章がある。
 「父はエンターティナーでもあった。無意識のうちにまわりを楽しくさせてくれる。そして笑顔にしてくれる人だった。」
 水丸さんなら、天国で照れていることだろうが、面とむかってはさすがにカオリさんもいえなかったにちがいない。
 でも、こんな父と娘っていいなぁ。

 そして、キメの文章がこちら。
 「父がいなくなって世界はがらりと変わってしまったけれど、父のくれた大切な時間を経て今の自分がありこれからも続いていく。」
 父親なら泣くしかない。
  
(2021/06/11 投稿)

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  昨日野原一夫さんの
  『回想 太宰治』という本を紹介しましたが
  随分昔に読んだきりだと思っていたのですが
  2018年の太宰治歿後70年の時に
  再読していました。
  やれやれ。
  ということで
  今日は太宰治の『東京八景』という短篇を
  紹介するのですが
  これは久しぶりの再読だと思います。
  本箱に並んでいる
  ちくま文庫の「太宰治全集」は
  1988年に刊行されたとあります。
  結局太宰治のこの文庫全集は
  手離せなかったです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  太宰治中期の名作短篇                   

 太宰治の文学は大きくいえば、三つの時期に分かれる。
 初期の懸命に何かになろうともがいていた頃、井伏鱒二の世話で平和な結婚生活を送っていた頃、そして敗戦を経て死への傾斜をたどる晩年期。
 昭和16年(1941年)、「文學界」に発表したこの短編は、結婚して2年めにあたる太宰32歳の頃のもの。
 作中、太宰は「はじめて私は一息ついた。」と綴ることになる時期である。

 故郷から呼び寄せた最初の妻小山初代(作中ではHとなっているが、太宰の読者ならそれが初代のことだと必ずわかる)との哀しい時間、度重なる心中事件、生家への不義理が綴られるこの作品は、短篇ながら太宰の人生を透かし見るようで太宰の文学では欠かせない作品になっている。
 東京でのそんな悲しい日々を追慕しながらも、この作品がけっして暗いだけのものではないのは、出征する義理の弟になる青年を見送る最後の場面の明るさがあるからだ。
 明るさというよりも軽みといった方がいいかもしれない。
 見送る太宰の滑稽な姿があればこそ、この作品には救いが生まれている。
 おそらく太宰ファンにとっては、だから太宰はいいのだといいたくなる作品だと思う。
  
(2021/06/10 投稿)

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  今日紹介する
  野原一夫さんの
  『回想 太宰治』は
  おそらく最初に出版された1980年に読んだと
  思います。
  当時二十代半ばの私は
  まだ太宰治にしびれていたように思います。
  そんな作品を
  読み返してみようと思ったのは
  先に紹介した
  森功さんの『鬼才 伝説の編集人斎藤十一』という作品に
  太宰治野原一夫さんの名前が
  出てきたからです。
  そういえば、
  野原一夫さんに太宰治を書いた作品があったなと
  思い出したのが
  この本でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  そばにいたものしか書けなかった太宰治                   

 「太宰治が死んだとき、私は二十五歳の若者だったのだが、その死の前のおよそ一年八ヵ月、それこそ三日にあげず、私は太宰に逢っていた。」と、平成10年の「太宰治歿後五十年に際し」という文章に、この本の著者野原一夫さんは綴っている。
 そんな野原さんだからこそ書けた晩年期の太宰治の姿を綴ったこの作品は1980年に初版刊行されている。

 野原さんと太宰との邂逅は、まだ日本が太平洋戦争に入る前で、野原さんは旧制高校の学生だったそうだ。
 その後、大学生になった野原さんは自身の小説を太宰に読んでもらったこともあるという。
 しかし、戦火の拡大で二人の交流は途切れる。
 戦後野原さんは新潮社に入社。時の「新潮」編集長であった斎藤十一との会話で太宰のことが持ち上がって、斎藤の「すぐ連絡を」の強い勧めで再会を果たすことになる。

 それからの二年近い日々の太宰の姿は興味深いが、やはり胸をうつのは太宰と心中相手となった山崎富栄の死の場面だ。
 二人の行方がわからなくなったのが、昭和23年(1948年)6月13日。野原さんや何人かの親しい編集者が雨の中を当時「人喰川」と呼ばれた玉川上水沿いを懸命に探しまわる。
 そして、19日の早朝二人の遺体が発見される。
 この時二人は紐でつながれていたといい。それを野原さんたちは切ったとも書いている。
 誰もが太宰の遺体を優先するなか、富江の遺体に傘を差しだす彼女の父親の姿など、その場にいた野原さんだから書けたのだと思う。

 野原さんは平成11年(1999年)に亡くなっているが、よくぞ太宰の最後の日々を残してくれたものだ。
  
(2021/06/09 投稿)

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  ブックガイドのような本を読むと
  必ず何冊かは読んでみたいと思う
  本がでてきます。
  以前読んだ
  佐高信さんの『時代を撃つ ノンフィクション100』からも
  読んでみたいと思う本があって、
  今日紹介する
  石井妙子さんの
  『おそめ-伝説の銀座マダム』も
  そんな一冊でした。
  佐高信さんは
  この本の紹介で
  書評に書いた
  東映の名プロデューサー俊藤浩滋の逸話を書いていて
  その記載がなければ
  この本を読まなかったかもしれません。
  映画史の裏事情としても
  面白い一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  かつて「空飛ぶマダム」といわれた女性がいた                   

 『女帝小池百合子』で第52回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した気鋭のノンフィクション作家石井妙子さんが2006年に発表した、デビュー作。
 副題に「伝説の銀座マダム」とあるように、この作品は京都と銀座に「おそめ」という名前のバーをつくり、昭和30年代前半この2つの店を飛行機で行き来し「空飛ぶマダム」と呼ばれることもあった上羽秀(うえばひで)という女性の生涯を描いた力作である。
 石井さんはこの作品に執筆に5年もの歳月を費やしたといい、取材の時点ではまだ秀さんは存命中でしばしば京都での住まいを訪ねたという。
 秀さんは大正12年生まれで、亡くなるのはこの作品が上梓されたあと2012年で89歳の生涯であった。

 もしこの作品が秀さんだけの評伝であれば、食指は動かなかったかもしれない。
 もう一人の人物の存在が、読んでみたいと思わせた。
 それが秀さんが生涯愛し続けた男、俊藤浩滋である。
 俊藤浩滋といえば、かつての東映ヤクザ映画を支えたプロデューサーとして有名で、当時の東映映画のほとんどにクレジットされている。
 そして、あの藤(現富司)純子の父親としても知られている人物だ。
 では、秀さんが藤純子の母親というと、そうではない。
 俊藤さんが秀さんに接近した時にはすでに妻子がいたが、それを隠して秀さんと結ばれることになる。
 さらには、ほとんどヒモのような生活を送りながらも、秀さんは俊藤さんと別れることはなかった。

 一人の女と一人の男。
 戦後まもない頃に出会った二人がどのように時代を切り開き、そして幕をおろしていったか、石井さんの労作の賜物のような評伝だ。
  
(2021/06/08 投稿)

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 俳句の世界では
 燕は春の季語になっています。
 でも、燕の子は夏の季語で
 この時期になると巣の中で親が運ぶ餌を待つ
 ヒナの姿をみかけます。
 近所の軒下で見つけた燕の巣でも
 ちらりと子燕の姿がのぞいています。

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    子燕の口を数へて朝はじまる      津川 絵理子

 この時期は
 夏野菜の一番果が採れ始める頃でもあります。
 土曜日(6月5日)畑に行くと
 なっていました、
 キュウリの実。

  20210605_100327_convert_20210606085209.jpg

 それにナスも。
 今年の初収穫です。

  20210605_115958_convert_20210606090646.jpg

 キュウリの2本のうち
 下の方のトゲトゲがたくさんある方がシャキットという品種。
 もうひとつが夏ばやし
 味はシャキットの方がキュウリらしく
 夏ばやしは少し甘い。
 子どもでも喜びそうな味です。

 この日はニンニクも全部収穫しました。

  20210605_120155_convert_20210606090731.jpg

 タマネギも大きくなっているものから
 順番に収穫。

  20210605_120309_convert_20210606090820.jpg

 そして、
 第二区画のジャガイモのあとの畝に
 オクラモロヘイヤの種を蒔きました。

  20210605_102851_convert_20210606090505.jpg

 穴がたくさんあいている方がオクラです。
 どちらもネバネバ系の野菜です。

 白ナスも今のところは順調に育っています。

  20210605_100550_convert_20210606091141.jpg

 どんな花なのか見たいのですが
 どうもタイミングがあいません。
 大玉トマト
 大きくなってきました。 

  20210605_100605_convert_20210606093538.jpg

 もちろん
 赤くなるまではまだまだ時間がかかります。

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プレゼント 書評こぼれ話

  6月4日から10日までの期間は
  歯と口の健康週間ですが
  皆さん、知ってましたか。
  そこで今日紹介するのは
  室井滋さん文、
  長谷川義史さん絵の
  『きらきら は・は・歯』の絵本です。
  ちなみに
  この週間の今年度のテーマが
  一生を共に歩む自分の歯
  先日も歯医者さんに定期健診で行ってきましたが
  最近の歯医者さんは
  とてもやさしい。
  歯茎のマッサージなんかもしてくれたり
  おしまいには必ずフッソを塗ってくれます。
  だから、
  今の子どもたちがうらやましい。
  昔は本当に怖かったですから。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  歯医者さんはこわくない                   

 人生、年を重ねると悔やむこと多くなるものですが、中でも歯もそのうちのひとつだ。
 なんといっても、昔の歯医者はこわかった。
 女優室井滋さんが文を書き、絵本作家の長谷川義史さんが絵を描く、絵本界のいわば黄金コンビが2014年に発表した歯の予防を推進するこの絵本の主人公であるヨシオ君も、歯医者が大の苦手。
 「あの歯をギ~ッとけずる音、空気をプシューと送り込む音」は、きっと誰もが嫌いなはず。
 でも、ヨシオ君は知らないのです。
 最近の歯医者さん、というかデンタルクリニックと名前すら軽やかで、音に関してはあまり変わっていないけれど、昔と違って先生の優しいことといったらない。
 昔は鬼のような歯医者が多かったが、今は天使。
 あ~あ、昔から天使の歯医者さんがいたら、こんなにも悔やまないのに。

 この絵本では歯が全員悪いヨシオ君一家(飼い犬のポチまで歯石がたまっていると嫌われている)が、隣の歯キラリ~ン一家が何故きれいなのかを偵察しています。
 と、どうでしょう。
 食事のあとにデザート食べて、さらにはおしゃべりも楽しく、おしまいには「アゴアゴワルツ」で歌い踊りまくっているではないですか。
 ここから、この隣の一家の歯がきれいの秘密を解き明かしていきます。
 と、すっかり歯の予防推進にはいっていきます。

 よい子の皆さん、ヨシオ君のように虫歯になる前に歯医者、いいえデンタルクリニックで一度見てもらいましょうね。
  
(2021/06/06 投稿)

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 今日は二十四節気のひとつ、芒種
 この頃から梅雨めいてくるといいます。

    小包の軽きが届く芒種かな      森宮 保子

 雨の日には
 家で映画を楽しむというのもいいですね。

 6月3日の朝日新聞朝刊に
 「生理用ナプキン 無料で提供」という記事が載っていました。
 読むと、
 生理用品を経済的理由で買えない「生理の貧困」が
 社会問題になっているとあります。
 私たちの国はいつからそんな国になってしまったのでしょう。
 先週観た映画のひとつに
 2018年に公開された「パッドマン 5億人の女性を救った男」という
 実話に基づくインド映画があります。

  

 主人公は低価格で衛生的な生理用ナプキンの発明・普及に尽力し、
 インドにおいて「穢れ」とされていた生理の問題を改革した実在の人物がモデル。
 しかもこの話は
 2000年以降のものでけっして古い話ではない。
 インドって遅れていたんだなと思っていたら、
 いつの間にか日本だって同じような状況じゃないか。
 買えないことのないようにする、つまりは価格を下げる等の知恵が
 必要だと思います。
 この映画は
 胸キュンの恋愛事情も描かれていて
 かなりハートフルな心に残る一篇でした。

 貧困といえば
 たった1本のパンを盗んだだけで
 19年もの服役にあった男ジャン・ヴァルジャンの生涯を描いたミュージカル映画が
 2012年の「レ・ミゼラブル」。

  

 今回は再視聴でしたが
 冒頭の大型船を引く囚人たちのシーンは
 よく覚えていました。
 ここでジャン・ヴァルジャンと彼を生涯追い続ける男ジャベールが
 出会います。
 ジャベールを演じたラッセル・クロウがいいですね。
 そして、ヒロイン役のアン・ハサウェイがやっぱり魅力的。
 彼女は好きな女優さんの一人で
 先々週観た「ザ・ハッスル」も彼女が主演でした。

 ということで
 先週観た映画を列記しておきます。

  ・ 炎の肖像
  ・ スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼
  ・ 賞金稼ぎ
  ・ 海辺の映画館-キネマの玉手箱
  ・ レ・ミゼラブル
  ・ ラストレター
  ・ パッドマン 5億人の女性を救った男


 と書くと
 かなり充実した一週間でした。

 「海辺の映画館-キネマの玉手箱」は
 2020年に公開された
 大林宣彦監督の遺作です。

  

 懐かしいのは
 「炎の肖像」。
 1974年の藤田敏八加藤彰のダブル監督による演出。
 ジュリーこと沢田研二さんの主演作ですが
 今観ると
 何を描きたかったのかよくわからない。
 もっともそれが70年代の映画にはたくさんありました。
 ただ秋吉久美子さんと原田美枝子さんの
 初々しい演技が観れるのが
 うれしい作品です。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  アガサ・クリスティーの『白昼の悪魔』という
  ポアロものの長編小説を紹介します。
  この作品は
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』でも
  ★★★★★の高評価。
  これって
  「未読は許さん。走って買ってこい。」レベル。
  また、
  今回読んだ文庫の解説を書いている
  推理作家の若竹七海さんは
  「一食抜いても、お買いなさいませ」と
  これまた絶賛。
  お二人のいうのもごもっともで
  終盤読むのをやめられずに
  一気に読んでしまいました。
  謎があれば
  答えが知りたくなりますもの。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「白昼」というより「太陽の下」の方が合っている                   

 ポアロものの中でも評価の高いこの作品は、1941年に発表されたもの。
 原題が「Evil under the Sun」で、確かに「白昼の悪魔」なんだけどどちらかといえば「太陽の下の悪魔」といいたい。
 これは地中海の避暑地スマグラーズ島の静かなホテルで起こった殺人事件で、いつものように登場人物は多いがいずれも避暑独特の服装が似合いそうだ。
 だから、波打ち際に浮かぶ死体も太陽のギラリとした光の下で漂っている。(これって、謎解きの大きなヒントですが、きっとこれだけではさっぱりわからないでしょうね)
 この作品では、あ、この男怪しいと思えたのですが、そのトリックまでにはたどり着けなかった。
 男と書きましたが、今回の殺人は絞殺で大きな手による犯行ということになっています。

 その避暑地のホテルにわがポアロも宿泊しているのですが、不思議なのは探偵としてのポアロの名前はここでもすでに有名で、 宿泊者の中にはポアロが何かの事件の解決のために来たのではと疑うほど。
 そんな名探偵がいるとわかっていながら、犯行に及ぶというのはいかがなものか。
 私ならポアロが去っていくまで、計画を延期しますがね。
 なので、犯人の大きな失敗はポアロの推理力を甘く見たことでしょうか。

 そして、この作品でも事件解決とともに新たな恋愛も成就するのですから、相変わらずポアロのキューピットぶりは推理以上かも。
  
(2021/06/04 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  佐藤優さんの
  『本は3冊同時に読みなさい』という本を
  紹介しますが
  実は私は平行に複数の本を読むのが
  とても苦手なんです。
  だから、この本を読んで
  その極意をマスターできればと思ったのですが
  さすがにそこまで書かれていませんでした。
  机やベッドのそばに
  エッセイ集など短い読み物の本を置いているのですが
  なかなかできない。
  小さい頃からの癖のようなものなんでしょうが、
  そういうことも変えていきたいですが。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  佐藤優さんの読書論                   

 作家佐藤優さんが新聞や雑誌に発表した書評を集めた書評集だが、本のタイトルを充足するのは「はじめに」で書かれた内容が重要です。
 ここで佐藤さんの「読書論」が簡潔にまとめられています。
 この「はじめに」は必読です。

 読書は人生を豊かにするとよくいわれる。
 それは読書によって「代理経験」ができるということです。
 その際に読む本は小説だけとは限りません。ノンフィクションもあるでしょうし、マンガもあります。あるいは、この書評集で取り上げられている人文系の本にでも当てはまります。
 多くの本を読むことで「代理経験」が増していく。
 そのための方法として、佐藤さんは「平行して複数「読書中」の本を持っておく方が、読書の質とスピードが格段に上が」といいます。
 その理由は「頭の使う場所を切り替える」ことで、効率がよくなるということです。
 本読みのプロは家の中の何カ所かに別々の本を置いているという話をよく聞きます。
 頭の使う場所を読む場所を変えることで切り替えている典型です。
 これがタイトルになっています。

 もうひとつ、「本を買う場合は、同じテーマで3冊5冊という単位で選ぶ」という意味も、この本のタイトルはもっています。
 特に自分の未知の分野の読書をする場合、こういう本の選択をしないと、ある方向に誘導されてしまう恐れがあるからです。

 まず「はじめに」を読んで、そこから本文を読む。
 それがこの本の読み方だと思います。
  
(2021/06/03 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  近年映画などで
  「ディレクターズ・カット」という言葉を
  よく目にします。
  これは公開時に諸般の事情でカットを余儀なくされた作品を
  監督などが改めて編集し直すことをいいます。
  今日紹介する
  原田マハさんの本も
  『キネマの神様 ディレクターズ・カット』となっていますが
  これは元も作品と
  かなり違います、異本ですよ、という意味です。
  何故そういう形になったのかは
  書評にも書きましたが
  原田マハさん原作の『キネマの神様』を映画化するにあたって
  山田洋次監督が大幅にその内容を
  変更したためです。
  私はこの対応について
  原田マハさんのやりかたを良しとします。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  まったく新しい『キネマの神様』                   

 原作のある物語などを、映画やドラマ化できるように脚本にすることを「脚色」というが、原作者によっては改変されることをひどく嫌がる人もいる。
 場合によっては制作された映画の公開を嫌がる原作者もいる一方で、原作と映画は全く別物と関わらない人もいる。
 原田マハさんが2008年に発表した『キネマの神様』が山田洋次監督で映画化されるという話を聞いたのは2019年のこと。
 その後主演予定だった志村けんさんがコロナ感染で亡くなってしまうという悲しい話があったものの志村さんの一回忌に制作終了の会見があったが、今回の映画化では沢田研二さんと菅田将暉さんのW主演となっている。
 あれ? 原作ではギャンブル依存症の父親が映画評論によって覚醒する家族の話であったはずで、W主演の要素はなかったはずだが。

 映画化の話が進むうち、原田さんの元に出版社の担当編集者からこんなメールが届いたという。
 「脚本は原作とまったく違う内容になっています。この内容にどうお応えするかは、マハさんにお委ねします」
 この本、すなわち「ディレクターズ・カット」版は、原田マハさんの答えなのだ。

 原作とまったく違う内容の脚本を、原田さんは見事に自身の小説にしてしまったのだ。
 最初の原作を執筆している時、原田さんに主人公であるギャンブル依存症の父親とそれを許してきた妻の、若い頃の姿がどこまで想像できていたのだろうか。
 おそらく、今回の作品を執筆している間に、原田さんはまったく新しい原田マハの『キネマの神様』と向き合っていたにちがいない。
  
(2021/06/02 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  NHKの「連続テレビ小説」、通称「朝ドラ」の
  第104作となる「おかえりモネ」が始まって
  2週間が過ぎました。
  早くもかなりはまっています。
  今回は脚本家安達奈緒子さんのオリジナルということで
  モデルはいないようです。
  清原果耶さん演じる主人公が気象予報士を目指す話だということで
  今日は
  かつて人気の気象キャスターだった倉嶋厚さんの
  『日本の空をみつめて 気象予報と人生』という本を
  紹介します。
  「おかえりモネ」の最初に出てきた
  「彩雲」のことも書かれています。

    高積雲などの縁で日光の回折によってできる彩雲

  さて、これから半年、
  どんな天気が待っているでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  お天気キャスターの先達者                   

 テレビの天気予報を見ていると、実に多くの気象予報士がいる。
 しかもそれぞれに個性があり、最近は女性の予報士も多い。
 この本の著者倉嶋厚さんはおそらく気象キャスターとしての先達者だと思う。
 大正13年(1924年)に長野県に生まれた倉嶋さんは戦時中に気象の学校で学んで気象庁に入庁。鹿児島気象台長を最後に1984年に気象庁を定年退職し、その後NHKの気象キャスターとなり、その穏やかな風貌と優しい語り口で人気を得る。
 また気象エッセイストとしても、多くの本を出版している。
 この本はそんな倉嶋さんが85歳の時に刊行されたもので、「まえがき」に「「日本の空」に「一生の恋」をしてしまった一介の気象予報技術者の、たぶん「最後の著書」」と自身書かれている。
 倉嶋さんは2017年、93歳で亡くなられている。

 日本の空に恋をした倉嶋さんだが、若い頃は特に「お天気」が好きだったわけではないと、この本の中の青春期を綴った「青春の道標」という文章の中に書いている。
 学校案内の本をめくっていて、ここがよさそうと選んだのが気象技術官養成所だったというから、人の人生とは不思議なものだ。
 この本には倉嶋さんの青春回顧録だけでなく、72歳から84歳までに書いた気象エッセイも収められている。
 それらを読むと、文章のあちこちに俳句が忍ばされている。自身も俳句を詠むことがあった倉嶋さんは俳句の引用についてこう書いている。
 「字数制限が厳しい短文のコラムで、季節や人生について読者の共感を得るには、それが一番」だと。
 倉嶋さんが文章の達人でもあった。
  
(2021/06/01 投稿)

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