10/24/2021 冒険がいっぱい(文 和田 誠/絵 長 新太):書評「和田誠さんの、これがたね」

今日は
和田誠さん文、長新太さん絵の
童話『冒険がいっぱい』という本を
紹介します。
和田誠さんにこのような童話があるのは
知りませんでした。
先日読んだ
『ISSUE 和田誠のたね』という本の中に
この童話の話が出てきて
読んでみました。
子どもの頃の和田誠少年の
楽しい話でできていて
ホントなのかウソなのかわかりませんが
少なくとも
和田誠さんのたねであることは
まちがいありません。
じゃあ、読もう。

この本は1995年7月に、絵本作家の長新太さんの挿絵でいろんな書き手が文章を書いた「おはなしメリーゴーランド」というシリーズの一冊として刊行されたものです。
和田誠さんの初の書き下ろし童話です。
和田さんは昭和11年生まれで、戦争中は児童疎開を経験した世代です。
この童話を書いた時は、まだ60歳頃ですから、おじいちゃんというほどの年齢でもありませんが、ヒロシくんという男の子におじいちゃんが話す形でできあがってきます。
疎開先の小学校で陸軍の馬に乗ったり、村にやってきた演芸会を楽しんだり、戦争が終わって町に戻ってきてもう使われていない防空壕の中で幽霊のような人にあったり、そんな楽しい冒険の話がたくさん出てきます。
和田さんは後年あるところのインタビューで、このお話はホントのこととウソのことがないまぜになっていると話されています。
小学校4年の時の担任の先生がユニークで、映画の撮影所に行ったお話がでてきます。
先生の名前は変えられていますが、撮影所に行った話はホントで、撮影所の前で記念撮影した当時の写真は残っています。
でも、和田さんにとってはそういう写真よりも自分の記憶の中の映像のようなずっと残っていたのだと思います。
それは思い出というより、自分というものをつくっている要素のひとつになっています。
だから、この本は「思い出がいっぱい」ではなく、「冒険がいっぱい」なのです。
(2021/10/24 投稿)

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