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プレゼント 書評こぼれ話

  東海林さだおさんの数々のエッセイから
  おいしいところだけ抜きだして
  辞典風に仕上げた
  『ことばのごちそう』という
  文庫本を紹介します。
  その中から
  私が厳選したこんな文章を
  めしあがってください。

   寿司屋は回転すると安っぽくなり、
   中華料理店は回転すると高級になる。

   酢は時の結実
   自然がくれる時の方程式

   丸かじりは痛快である。

  この文庫、
  こんな文章ばかりでできていて
  もうおなかいっぱいです。
  でも、つい、おかわりしたくなります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  おいしい、おいしすぎる                   

 東海林さだおさんは漫画家でもありますが、食べ物エッセイの大御所でもあります。
 有名な「丸かじり」シリーズだけでなく、数多くのエッセイで食べ物についての蘊蓄、笑い噺、偏愛話など書いてこられました。
 そんな文章から、「一番面白いとこだけを、いいとこどりして並べて本にして売り出したらどうか」そんなウマいことを考えた編集者が筑摩書房にいたそうな。
 その名はM田。(と、東海林さんも書いていますが、はっきり書いておきましょう。松田哲夫さん)
 そうして2003年筑摩書房から出て、今回改題され再編集して文庫本に装いを変えたもの。

 ところが、松田さんの陰謀(?)はこの文庫本の巻頭に小文を載せた南伸坊さんによれば、東海林さんの文章は「素晴らしい日本語遺産、日本文学遺産だと思います。こうした表現を網羅して、その豊かな表現力を楽しむアフォリズム集・辞典のようなものをつくりたい」という高尚な編集者の意向に変容しているではないですか。
 松田編集者の考えが悪なのか正義なのかは措くとして、結果としてこんな意義のある本ができたのだから偉業というしかない。

 何故か。
 その答えはページを繰ればわかります。
 東海林さんの食べ物についての文章は、哲学的吐息か、詩人のつぶやきか、愛の賛歌か、笑いの渦か。
 必ず読者をうならせる、至極の一滴が見つかること間違いありません。
  
(2021/11/30 投稿)

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 11月も終わりともなれば
 さすがに北の各地から初雪の便りが
 届き始めました。
 俳句の冬の季語に「冬紅葉」というのがあって
 先週土曜日に
 今年最後の紅葉を楽しんできました。

  20211127_140417_convert_20211128155237.jpg

    冬紅葉冬のひかりをあつめけり      久保田 万太郎

 こちらは
 落ちた銀杏の葉。

  20211127_112442_convert_20211128155214.jpg

 「歳時記」には「銀杏落葉」という季語もあります。

    一色に大樹の銀杏落葉かな       小沢 碧童

 朝晩寒くなってきたので
 畑の畝を防寒用のビニールで覆いました。
 トンネル栽培という方法です。

  20211128_143845_convert_20211128155332.jpg

 この畝には
 まだ芽を出したばかりの
 遅い収穫のダイコンが植わっています。

 こちらは芽キャベツ

  20211128_142428_convert_20211128155307.jpg

 採り頃はひとつの玉が2~3センチだそうで
 少し大きめのものを
 収穫しました。

  20211128_151135_convert_20211128155422.jpg

 そして、ハクサイです。
 しっかりと巻いてきたので
 1個収穫しました。

  20211128_150909_convert_20211128155359.jpg

 重さは1.6㎏。
 真ん中で切ると、
 ごらんのようにきれいに巻いています。

  20211128_151903_convert_20211128155443.jpg

 そして、ハクサイの瑞々しい匂いが立ち上がってきました。
 さすがに収穫したばかりの
 野菜は違います。
 ハクサイも冬の季語にあります。

    真二つに白菜を割る夕日の中      福田 甲子雄

 久しぶりに
 きれいなハクサイが収穫できました。
 家の中にハクサイ一個あるだけで
 冬が来たような
 感じすらします。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  11月最後の日曜日。
  街はすっかりクリスマスムード。
  日本ではコロナ禍も落ち着いていますが
  新たな変異株が見つかったとか
  あるいは世界で感染拡大が広がっているとか
  まだまだ落ち着きません。
  そういえば、今年はオリンピックもあったんだ、
  と、なんだか懐かしさすら感じます。
  今日は
  ますだみりさん作、
  ひらさわいっぺいさん絵の
  『ネコリンピック』という絵本を
  紹介します。
  書評にも書きましたが
  ますだみりさんは
  漫画家でイラストレーターの益田ミリさんのこと。
  益田ミリさんは
  この絵本以外にも何冊か
  絵本の文を書いています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  こんなオリンピックがあったらな                   

 絵本『えんとつ町のプペル』を書いたにしのあきひろさんは、漫才コンビ・キングコングとして活躍する際は西野亮廣だが、絵本を書く時にはひらがな表記の名前にしている。
 そういう絵本作家は多い。
 この絵本の作者ますだみりさんも、そんな一人。
 通常は益田ミリの名前で活躍しているイラストレーターでありエッセイスト。
 『すーちゃん』シリーズなど、女性ファンがたくさんいる。

 益田ミリさんの作品では、のほほんとした日常が描かれることが多いが、ネコたちがオリンピックまがいのスポーツ競技を楽しむこの絵本でも「のほほん」感が楽しい。
 だって、好きなときに(競技を)はじめてもよかったり、何回休んでもよかったり、助けてもらったり助けたりするのもいいのだから、もう競争ではない。
 何しろ、何番でもいいというのだから、これほどうれしいことはない。
 ますださんはどんな風であったから知らないが、運動が苦手な子供にはなんともうれしいオリンピックといえる。
 そんな世界を人間で描いたら、批評性が高まるが、これはネコたちの世界だから、楽しく読める。

 それに、ひらさわいっぺい(漢字で書くと、平澤一平)さんの、へたうまな絵がなんともいえないくらいに、ますださんの文に合っている。
 ネコの世界もひらさわさんのようなネコばかりだったら、みんな楽しいにきまっているにゃ~。
  
(2021/11/28 投稿)

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 衣装デザイナーのワダエミさんが
 11月13日、84歳で亡くなりました。
 ワダエミさんといえば、
 1986年に黒澤明監督の「」での業績が認められ
 アメリカのアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したのは
 有名です。
 ワダエミさんはそのほかにも
 勅使河原宏監督「利休」や大島渚監督「御法度」などの
 衣装も担当しています。
 訃報のあと
 ワダエミさんの略歴を追っていくと
 NHKの名物デイレクターだった和田勉さんの奥さんでも
 あったのですね。
 今日は
 ワダエミさんを追悼して
 1985年に公開された映画「」のお話をしましょう。

  

 映画「」は
 黒澤明監督の27作めの作品です。
 黒澤明監督は生涯30本の劇映画を撮っていますから
 後半期の作品になります。
 シェイクスピアの『リア王』が原案になっているといわれます。
 時代背景は戦国時代。
 かつて多くの敵を破って栄華を誇った一文字秀虎も齢70歳。
 彼は家督を三人の息子に譲ることにします。
 ただ三男は秀虎を案じ、そのことに反対し、秀虎の怒りを買います。
 主人公秀虎を演じるのは仲代達矢さん。
 長男太郎を寺尾聡さん、次男次郎を根津甚八さん、
 そして三男三郎を隆大介さんが演じています。
 長男の奥方に原田美枝子さん。
 彼女の役どころはかつて秀虎に親兄弟を殺された姫で
 一文字家に対し恨みが大きい。
 原田美枝子さんの熱演が光ります。
 そんな彼女に操られ、長男も次男も親を裏切っていく
 そんな悲劇の物語。

 三人の衣装は
 長男が黄、次男が赤、そして三男が青と色分けされいます。
 このあたりがワダエミさんの衣装の映えでしょうか、
 あるいは気が触れていく秀虎の衣装か
 それとも原田美枝子さんの城の奥方様の豪華な衣装でしょうか。
 この映画で驚くのは
 合戦シーンで動員された人と馬の数。
 この当時の映画として
 なんとも贅沢なつくりです。
 今観ても
 お金がかかっているなと感じます。

 この映画は評価も高く、
 受賞にはなりませんでしたが
 米アカデミー賞の監督賞にもノミネートされました。
 キネマ旬報のこの年の日本映画ベストテンでも2位
 選ばれています。

 ぜひワダエミさんの華麗な衣装に
 今一度堪能下さい。

 ワダエミさん
 ご冥福をお祈りします。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  平松洋子さんの
  『父のビスコ』というエッセイを
  紹介します。
  この本の中で
  ショーケン(萩原健一さん)が初主演した
  映画「約束」について
  「いまも私にとって永遠の恋愛映画ナンバーワン」と
  書かれていて、
  同世代の共感を得た気分になりました。
  私は1955年生まれ、
  平松洋子さんは1958年生まれ。
  小学生の頃のコッペパンの話など
  同世代ゆえの共感が
  このエッセイにはいくつもあります。
  懐かしい時間を過ごせた一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  父とともに紡いだ最後の時間                   

 思い出は食べ物と相性がいい。
 懐かしい日々は、あの時食べた料理から立ち上るまるで湯気のように、自身にまといついてくる。
 エッセイストの平松洋子さんの作品は、これまでにも食べ物について多くを語ってきたが、小学館のPR誌「本の窓」に2018年の夏から4年にわたって連載してきたものをまとめたこの本は、少し肌合いが濃い。
 というのも、平松さんが生まれ育った岡山・倉敷の日々が、平松さんの言葉を借りれば「遅まきながらようやく私なりに遠い時間のなかに分け入」る心持ちになったということ。
 それは、すなわち自身の子供時代や両親とのことといった思い出に向き合うことである。
 そして、平松さんの場合には、それは多くの食べ物とつながっている。

 平松洋子さんは、1958年に倉敷市に生まれた。
 倉敷というと大原美術館のある美観地区を思い出すが、平松さんの実家もかつてそこから歩いていけるところにあった。
 だから、エッセイの中には岡山の郷土料理といわれる「祭りずし」の話や牡蠣めし、倉敷の銘菓むらすゞめ、などが自然と出てくる。
 それだけではない。
 給食に出たコッペパン、町の片隅で味わうコロッケ。そして亡くなる前に父が求めたビスコ、といった、誰もが生活の中に持っている食べ物との思い出が綴られている。

 この連載が始まった時、平松さんの父親は晩年の日々の中にいた。そして、表題の「父のビスコ」にあるように、長い連載がおわった時間とともに逝去なされた。
 この作品は、長女だった平松さんが父とともに生きた最後の時間から生まれたものだ。
  
(2021/11/26 投稿)

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  今日は
  半藤末利子さんの
  『硝子戸のうちそと』というエッセイ集を
  紹介します。
  この本は今話題となっていて、
  それはこの本が今年の初めに亡くなった
  半藤一利さんの追悼になっているからです。
  そう、半藤末利子さんは
  半藤一利さんの奥さんなのです。
  新聞の広告などでは
  ご主人と二人で並んだ写真などが使われています。
  また、半藤末利子さんは
  夏目漱石の孫にもあたるので
  その関連でも楽しめる一冊に
  なっています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  見送った夫は半藤一利さん                   

 今年(2021年)1月亡くなった半藤一利さんは、自ら「歴史探偵」を名乗り、昭和史の研究について多くの著作を残された作家ですが、最初に半藤さんの名前を知ったのは1992年に出版された『漱石先生ぞな、もし』というエッセイでした。(この作品はのちに新田次郎文学賞を受賞しています)
 なぜ昭和史の半藤さんが夏目漱石のエピソードを書いたのか。
 実は、半藤さんの伴侶である末利子さん、すなわち本書の作者、が夏目漱石の孫にあたる人なのです。
 末利子さんのお母さんが夏目漱石の長女筆子さん、お父さんが松岡譲さん。
 なので、この本のタイトルも漱石の随筆『硝子戸の中』にあやかったものになったにちがいありません。

 この本には祖母であり、悪妻といわれることの多い漱石の妻夏目鏡子のことも書かれているエッセイも数篇あり、その中で末利子さんは鏡子のことを「女傑であった」と書いています。
 そういうズバッという小気味いい文章が末利子さんのエッセイの特長ともいえます。
 そして、その小気味よさが夫である一利さんの死に至る日々の姿を描いた文章にもうかがえます。

 一利さんが亡くなる数年前に骨折し、その後完治せず入退院を繰り返すことになります。
 そのことで末利子さんにはいいたいことがたくさんあるのだと思います。
 このエッセイ集の「夫を送る」という章に書かれた数篇で、その思いが吐露されています。
 そして、最後にこう綴るのです。
 「もし来世があるなら、私はまた夫のようにぴったりと気の合う、優しい人と結ばれたいと切望している。」
  
(2021/11/25 投稿)

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  今日は
  アガサ・クリスティーのポアロもの、
  『ゴルフ場殺人事件』を
  紹介します。
  書評にも書いていますが
  この作品が書かれたのは
  1923年.
  ほとんど100年前に書かれたもの。
  日本でいえば
  大正12年で
  関東大震災のあった年。
  そう思えば、
  この作品の寿命の長さに圧倒されます。
  いつものように
  霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』では
  ★★★☆
  傑作の一歩手前という評価です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ヘイスティングズ、あなたは大丈夫?                   

 ポアロものと呼ばれる長編小説の、この作品は2作めにあたる。
 発表されたのは1923年だから、100年前の作品になるのには驚く。決して古びた感じがしない。
 原題は「The Murder on the Links」。Linksにゴルフ場という意味があるから、邦題としては正しいのだが、殺人事件が起きるのはオープン間近のゴルフ場で、ゴルフというスポーツとは関係ない。

 今回の事件は、一通の手紙がポアロの元に届くところから始まる。
 それは大富豪の男から自身の身の危険を知らせるもので、ポアロとその友人でこの物語の書き手でもあるヘイスティングズが男のもとに行くことになる。
 しかし、ポアロたちが着いた時には、男はすでにゴルフ場で殺されていた。
 この作品で面白いのは、パリ警視庁のジローという刑事が登場するところ。
 ジロー刑事はポアロとは相反する捜査方法で事件を解決しようとする。
 この両者の火花の散らしあいが、面白い。
 ジロー刑事も癖があるが、それ以上にポアロも癖があり過ぎる。

 事件の解決以上に、読者を驚かせるのが、ヘイスティングズの行動だろう。
 彼の立場といえば、シャーロックホームズにおけるワトソンのはずだが、列車の中で偶然出会った女性に夢中になって、事件現場 に現れた彼女に乞われるままに死体置き場も見せてしまうという、さすがにそれはダメでしょうという行為の連発。
 最後にはポアロの推理も壊してしまう偽証までやらかしてしまう始末。(これにはポアロもだまされないが)
 こんな男を連れにしながらも、ポアロの推理は解決に向かうのが不思議なくらいだ。
  
(2021/11/24 投稿)

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  今日は
  勤労感謝の日

    旅に出て忘れ勤労感謝の日      鷹羽 狩行

  祝日ですから
  家でゆっくりテレビでもという人も
  いるかと思います。
  そこで、
  昔懐かしいテレビの草創期の番組を作った
  宣弘社の全仕事を網羅したMOOK本を
  今日は紹介します。
  石橋春海さんの
  『蘇る!伝説の昭和特撮ヒーロー』。
  私は昭和30年生まれですが
  子供の頃
  どんなに宣弘社の番組に
  お世話になったことか。
  ページを開きながら
  ドキドキしっぱなしでした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  このヒーローたちに夢中でした                   

 昭和は、あるいは戦後といってもいいかもしれないが、家庭に新しい電化製品が次々と入ってきた時代といえる。
 洗濯機、冷蔵庫、扇風機、そしてテレビ。
 新しい電化製品が家に増えるたびに家の中が妙に明るくなったように思える。
 中でも、子どもたちにとっては何よりテレビの存在が大きい。
 小さい頃にテレビを見させてもらうために近所の親戚の家まで出掛けていたことを覚えているが、自分の家にテレビが届いたのがいつなのかはっきりしない。
 しかし、やってきたテレビの前で夢中になっていたことだけははっきり覚えている。

 このMOOK本は、そんなテレビの草創期に次々とテレビ映画を製作した「宣弘社」の全仕事をまとめたものだ。
 「月光仮面」「遊星王子」「豹(ジャガー)の眼」「怪傑ハリマオ」「隠密剣士」「高速エスパー」と、綺羅星のごとき作品が続く。
 「月光仮面」が放映されたのは、1958年というから残念ながら、リアルで観ていない。
 今でも記憶に残っているのが、「豹(ジャガー)の眼」なのだが、この作品にしても1959年だから、もしかしたら夏休みなんかで放送されていた再放送だったかもしれない。
 当時は新しい番組を制作するより、何度も再放送されていたように思う。

 この本が出た2021年は、宣弘社創立80年だという。また、多くの作品を世に生み出した宣弘社プロを立ち上げた小林利雄の生誕100年にもあたる。
 彼らのおかげで、子ども時代が楽しかったと、この本を開いてつくづく思える。
  
(2021/11/23 投稿)

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 今日は二十四節気のひとつ、小雪
 とはいえ、まだ寒さもそれほどではなく、
 街の紅葉も今が見頃。

    蛍光灯唄ふごと点き冬浅し        藤田 湘子

 下の写真は埼玉近代美術館前の銀杏。

  20211117_071453_convert_20211120172202.jpg

 きれいに色づいています。
 木々だけでなく
 草の紅葉も風情があります。
 秋の季語に「草紅葉」という美しい日本語もあったりします。

    帰る家あるが淋しき草紅葉        永井 龍男

  20211120_102944_convert_20211120172111.jpg

 草紅葉の向こうに見えるのは
 私が借りている菜園です。

 ハクサイはまだもう少し。

  20211120_093540_convert_20211120171922.jpg

 写真のように
 結球の状態を調べます。
 しっかり巻いていたらいいのですが、
 まだちょっと緩い。

 キャベツレタスを収穫したあとに
 コマツナカラシナの種を蒔きました。

  20211120_095508_convert_20211120171952.jpg

 穴空きマルチで覆った畝のところです。
 横にあるのは茎ブロッコリー

 ダイコンの収穫のあとに
 遅まきのダイコンの品種の三太郎の種を蒔きました。

  20211120_101143_convert_20211120172019.jpg

 芽が出ているのが先週蒔いた三太郎で、
 出ていない穴はダイコンの収穫あと。
 少しずらして種を蒔いたのは
 少しでも連作にならないようにするためですが、
 効果のほどはどうかな。

 こちらはイチゴ

  20211120_102344_convert_20211120172047.jpg

 間に芽を出しているのが
 ニンニクです。

 この日の収穫は
 この秋最後のダイコン

  20211120_103915_convert_20211120172134.jpg

 今年はまずまずの出来でした。

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プレゼント 書評こぼれ話

  立冬が過ぎても
  暖かな小春日和が続く11月。
  そもそも小春日和というのは
  立冬を過ぎても暖かい晴れた日のことなので、
  冬の季語です。
  今日紹介する絵本は
  『』というタイトルなので
  冬めく前に紹介しなければと焦っていましたが、
  いつの季節に読んでも構わない
  そんな作品でした。
  作者は2018年5月に亡くなった
  かこさとしさん。
  反戦のテーマがまっすぐに伝わる
  そんな絵本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ずっと戦争のない、美しい秋を願って                   

 「敗戦のとき、僕は十九歳でした。」
 こんな書き出しで始まるのは、絵本作家かこさとしが子供たちに残したメッセージ『未来のだるまちゃんへ』の「はじめに」の文章です。
 その文章の中で、かこはかつて軍人を希望しながらも近視が進んでなれず、一方で軍人を志した同級生の多くが戦死し、絶望の淵にあったことを告白しています。
 そんなかこを救ったのが、子供のためにできることをしようと決意したことだったのです。
 かこは、昭和二十年から自身の人生が始まったのだといいます。

 この絵本は、「ちいさいときから、秋が大好き」だったかこが昭和28年に描いた作品です。
 タイトルの「秋」には、かこには珍しくピンクのクレヨンが使われていました。
 そんな色やタイトル、あるいは書き出しの秋の魅力を描いた数ページとうってかわって、この作品は戦争への嫌悪を描いた、かこの思いが強く出た反戦絵本といえます。
 敗戦間近の19歳の秋、かこは盲腸炎で入院をしていました。
 そこで、お世話になった医師が軍隊に召集され戦死することやアメリカの戦闘機と戦った負けた日本兵が落下傘が開かず墜落する様などを体験します。
 かこは思います。
 「青い空や澄んだ秋晴れは、戦争のためにあるんじゃないんだ。」と。
 最後のページには、戦争のない秋に咲く美しい秋桜が描かれています。
 それこそが、かこが願った世界でした。

 絵本の最後に、かこの長女である鈴木万里さんがこの作品の出版にいたる経緯を記しています。
  
(2021/11/21 投稿)

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 先日亡くなった瀬戸内寂聴さんが
 作家デビューしたのは34歳の時だから
 新人としては遅い。
 当時曽野綾子さんや有吉佐和子さんといった
 20代の女性作家が活躍していて、
 「私は出発の遅い、めざましくないスタートだった」と
 『私の履歴書』にも書いています。
 しかも、そのあとに発表した『花芯』(1957年)で
 「子宮作家」のレッテルを貼られ、
 5年間文壇から干されたといいます。
 その事件がなければ、自分は小説家になれていなかったかもしれないと
 後に書くようになっています。
 その問題作が2016年に映画化されています。
 小説が発表されてから60年近く経っての映画化です。
 今日は映画「花芯」の話をしましょう。

  

 映画「花芯」は2016年に公開されました。
 監督は安藤尋さん。
 ヒロインの園子を村川絵梨さんが体当たり演技で熱演しています。
 村川絵梨さんは現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で
 主人公渋沢栄一のお姉さん役をしています。
 もともとは朝ドラ「風のハルカ」でヒロインを演じた女優さんですが
 私はこの「花芯」で初めて知りました。
 園子の夫を演じるのは林遣都さん、
 その夫と幼い子どもをおいて園子が恋に走る相手は
 安藤政信さんが演じています。
 瀬戸内寂聴さん自身、
 若い時に夫と幼い子供をおいて若い男性に奔った経験がありますから
 そのことがこの作品の根っこにあります。

 愛に奔るヒロインの
 自身の感情さえ抑制できない姿を
 村川絵梨さんは実に見事に演じています。
 彼女の裸身も美しく、
 それは官能的でもありますが
 女性が観てもきれいに感じるのではないでしょうか。
 原作者の瀬戸内寂聴さんも
 「主人公の全裸体の美しさ! 身体を張った捨て身の演技の迫力に感動!」と
 語っています。

 ちなみに
 「花芯」というのは中国語で「子宮」のこと、
 ここから「子宮作家」なんて
 いわれたのでしょう。

 瀬戸内寂聴さん原作の映画というと
 2013年に公開された
 満島ひかりさん主演の「夏の終り」(熊切和嘉監督)も
 評判になりました。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  久しぶりの花房観音さんの小説です。
  『果ての海』。
  殺人事件を発端に
  東尋坊近くの温泉宿の仲居として
  逃亡する女を描いた作品です。
  書評のタイトルを
  「火曜サスペンス劇場みたいな」としましたが
  火曜サスペンス劇場というのは
  長い間毎週火曜の夜放送されていた
  2時間ドラマの枠の総称です。
  この番組から
  岩崎宏美さんの名曲「聖母たちのララバイ」が
  誕生しています。
  最近では
  2時間ドラマもほとんど放映されていませんが。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  火曜サスペンス劇場みたいな                   

 初めに、男の死体ありき。
 それを見つめる女が一人。
 この男が何故死んだのか、物語の最後まで明かされない。
 これはその謎を解くミステリーではない。
 見ていた女が立ち上がり、逃げる話だ。
 顔を変えて、たった一人の娘をおいて。
 女の名は鶴野圭子、間違っても美人とは言い難い、46歳の中年女。

 彼女は整形して美人になった。名前も倉田沙世に変えた。43歳に若返った。
 自分を変えてくれる、そんな闇があった。
 そして、彼女は福井の芦原温泉のホテルで仲居となって住み込み始める。
 誰も彼女のことは知らない。
 けれど、人間は一人では生きていけない。やがて、彼女は新しい人間関係を作っていく。
 倉田沙世としての人間関係だ。
 ホテルの雇われ支配人に言い寄られ関係をもつ。コンパニオン派遣として雇ってくれた女性経営者にその関係を疑われ、時には同僚の若い女性をかばったりする。
 地元のストリッパーから親友と呼ばれ、自分の顔でもない整形の顔を美人と妬まれて。

 どんなに顔や名前を変えても、もちろん、逃げおおせるわけはない。
 花房観音はそんな中年女の姿を描きながら、母として、愛し愛される性として、惑う女の姿を描いていく。
 主人公が口にする「ひとりで生きていける人間になりなさい」は、女という自分に言い聞かせた言葉だったのだろう。

 この女、死体をおいて逃げた時から、ひとりで生き始めたのだ。
 強く、つよく。
  
(2021/11/19 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  河合敦さんの
  『絵画と写真で掘り起こす「オトナの日本史講座」』という本を
  紹介します。
  この本で紹介されている絵画や写真を
  書評にも一部書きましたが、
  ほかにこんなものも載っています。
   ・江戸開城談判
   ・板垣君遭難之図
   ・裏に印刷のない二百円紙幣
   ・狙撃された浜口首相
   ・東京名所之内銀座通煉瓦造鉄道馬車往復図
   ・飢えて大根をかじる子どもたち
  などなど。
  NHKの大河ドラマ「青天を衝け」が
  明治時代に入って
  明治に興味が出たところだったので
  そのあたりの記事が
  やはり興味深かったです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  学びなおしのススメ                   

 昔子供の頃に習った日本史では、鎌倉幕府が出来た年を「イイクニ作ろう鎌倉幕府」の1192年と覚えたものだが、今の子供たちは鎌倉幕府の成立を1185年と習うそうだ。
 歴史というのはゆるぎないものだと思いがちだが、実際にはこの本の著者でかつて高校で教鞭をとり、今は歴史研究家で歴史作家でもある河合敦さんはこの本の「おわりに」で、「歴史研究の進展によって常識が覆り、それに伴って教科書の記述も大きく変化しつつある」と書いている。
 そして、こう断言する。
 「みなさんが習った時代の歴史は、もう古いのである。」
 そんな古い歴史を習った人、つまりそんな「オトナ」向けの日本史講座だから、このタイトルがついている。

 そのタイトルの前に「絵画と写真で掘り起こす」とあるが、ではそんな絵画や写真が掲載されているかというと、有名なものでいえば終戦後間もない「昭和天皇のマッカーサー訪問」の写真であったり、安保闘争時の「国会に押し寄せたデモ隊」だったり、長崎被ばく後の「焼き場に立つ少年」だったりする。
 コロナ禍で有名となった「アマビエの図」などは、もともとは1846年の肥後の海中から現れた妖怪で当時の瓦版に掲載された挿絵だという。
 これに関連して、河合さんは「幕末における天変地異や感染症の流行が、幕府の崩壊を早めた」とみている。

 習ったものだから、いつまでもそれが正しいとは限らない。
 新しい知見もあるだろう、そういったことの見極めも歴史を知る一助になるに違いない。
  
(2021/11/30 投稿)

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  今日も追悼記事です。
  漫画家の白土三平さんが
  10月8日に亡くなりました。
  享年89歳。
  さきのさいとう・たかをさんといい、
  漫画界のビッグネームの訃報が続きます。
  今日は
  毛利甚八さんが書いた
  『白土三平伝 カムイ伝の真実』という本を
  紹介しますが、
  白土三平さんといえばやはり「カムイ伝」が有名ですが
  私がテレビアニメの
  「サスケ」に夢中になった方です。
  1968年の放送ということですから
  13歳の頃見てたアニメです。
  冒頭「光あるところに影がある」という
  渋いナレーションが入ります。
  結構夢中になりました。

  白土三平さん
  いい漫画、ありがとうございました。

  ご冥福をお祈りします

  

sai.wingpen  追悼・白土三平さん - 白土三平を知るには欠かせない一冊                   

 『忍者武芸帳』や『カムイ伝』などの作品で多くのファンを持つ漫画家白土三平さんが、10月8日89歳で亡くなった。
 「マンガの神様」手塚治虫さんが白土さんが自身の『カムイ伝』連載のために創刊した「ガロ」という雑誌に対抗するように漫画雑誌「COM」を立ち上げたといわれるように、手塚漫画とは一線を画し、白土漫画を確立させていく。
 そんな白土三平さんの半生を白土さんとの交流を深めていく中でまとめあげたのが、本作である。
 著者の毛利甚八さんは2011年にこの作品をまとめたあと、2015年に57歳という若さで亡くなっている。
 だが、毛利さんがこの作品を残してくれたおかげで、白土三平というビッグネームの人生をたどることができるし、白土さんもそのことを喜んでいたのではないだろうか。

 白土さんはプロレタリア画家の父の姿を見ながら育った。
 戦時期での拷問で身体を壊した父の姿や、世間の冷たい視線を肌身に感じながら、貧しくけれどあきらめない少年期を過ごす。
医学部まで出た手塚治虫さんと違って、白土さんは中学も中退している。
 「社会の仕組みを子どもの目でながめ、「どうして、こんなことになるんだろう?」と首をかしげた少年が、その「なぜ?」を物語の中で展開していく」、それが白土さんの勉強だったと毛利さんは書いている。

 実際に白土漫画の作画を担っていたという弟鉄二さんが、白土さんが亡くなったあとの10月12日にあとを追いかけるように亡くなったのも、記憶に残されていい。
  
(2021/11/17 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  瀬戸内寂聴さん死去のニュースが報じられたのは
  11月11日。
  ニュースによれば
  11月9日に亡くなられたとありました。
  99歳。
  最近まで新聞にエッセイを連載していましたが
  最近の記事では死を願うようなものも多かったように
  感じていました。
  ニュースのあと
  図書館の所蔵本を調べると
  瀬戸内寂聴さんが1992年5月に
  日本経済新聞の「私の履歴書」を書いていて
  それが本になっているのがわかりました。
  それが今日紹介する
  『人が好き 私の履歴書』です。
  瀬戸内寂聴さんは
  墓石に「愛した、書いた、祈った」と刻むことを決めていたそうです。
  なんとも見事な人生だったことでしょう。

  瀬戸内寂聴さん
  ありがとうございました。

  ご冥福をお祈りします

  

sai.wingpen  追悼・瀬戸内寂聴さん - あなたの人生、見事でした                   

 人生100年時代とすれば、さしずめ長編小説の如くでもあり、ならば、序章から第1章、第2章と続いて終章まで描けそうだ。
 けれど、平凡な人生であれば、その幕間もぼんやりしているが、11月9日99歳で亡くなった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんのそれはさすがに見事な大長編のような一生だったように思う。

 この本は、日本経済新聞の人気コラムである「私の履歴書」に1992年5月に連載した自身の半生をメインにしているが、1922年生まれの瀬戸内さんにとっては、まだ第3章あたりまでの半生といえる。
 瀬戸内さんの人生の第1章は、おそらく夫と幼い子供と置いて若い男のもとに走ったところあたりだろうか。
 続く第2章では作家としてデビューし、売れない時代を経てやがて人気作家となったあたりが、それだろう。
 そして第3章の始まりは1973年、51歳での得度。そこから、新聞連載までの20年があるが、大きなページは割かれていない。
 得度してからも寂聴さんは小説を書き、政治運動にも参加し、大きな災害で被災した人々に寄り添い、おそらくいくつもの章が書かれていただろう。

 この本には章なかばの「履歴書」と、寂聴さんが見送った人たちの、例えば井上光晴さんや平林たい子さん、荒畑寒村さん、船橋聖一さんといった先輩たちを追悼したエッセイも収められている。
 なかにこんな述懐が挟まれていた。
 「惜しまれているうちに、死ぬことが一番美しい死に様のように思えてならない」。
 これを書いたのは、1969年、寂聴さんがまだ得度しない50前の時である。
 それから半世紀。
 寂聴さんは、やはり惜しまれていなくなった。
  
(2021/11/16 投稿)

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 私の住んでいる埼玉でも
 朝晩はだいぶ冷えてきましたが
 それでも晴れれば
 日中は日差しがまだ暖かです。

  20211112_110953_convert_20211113200819.jpg

 今年の冬は寒くなるとかいわれていますが
 どうでしょうか。

 ダイコンは今が旬の野菜です。
 俳句の世界でも
 大根は優秀な季語で、
 たくさんの季語を持っています。
 大根洗ふ大根抜く大根畑大根引く大根干す、などなど。
 まさに冬の季語の代表ともいえます。

    流れ行く大根の葉の早さかな        高浜 虚子

 この句など高浜虚子の代表句のひとつにもなっています。

    土が力ゆるめ大根抜けにけり        黛 執

 この句の実感は
 実際にダイコンを抜かないと味わえないかもしれません。
 葉っぱの根元と持って
 ぐっと力をこめる、と、ある瞬間に
 ポンと抜ける、
 まさにそれが土の力がゆるんだ感じなのです。
 そんなことを味わいながら
 今せっせとダイコンの収穫をしています。

  20211113_114520_convert_20211113200709.jpg

 こちらは赤いミニダイコン
 この日収穫したミズナシュンギク

  20211113_114324_convert_20211113200645.jpg

 葉物野菜は生のままサラダで頂きました。

 ここからは
 栽培途中の野菜の様子。
 まずは、ハクサイ

  20211113_105411_convert_20211113200606.jpg

 だいぶ結球してきていますが、
 まだ握っても締まった感じがしません。
 収穫は今月下旬頃かな。

 これは茎ブロッコリー

  20211113_095935_convert_20211113200501.jpg

 これからこういうわき芽がどんどん増えてくるかな。

 先日蒔いたソラマメ
 今はこんな状態。

  20211113_100043_convert_20211113200531.jpg

 春までまだまだ。
 じっくり育てます。

 せっかくなので、
 ダイコンの句で今日は終わりましょう。

    大根を洗ひ終わればもとの川        太田 正三郎

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日、
  「映画 えんとつ町のプペル」を紹介しましたが、
  今日はその映画の原作となった
  絵本『えんとつ町のプペル』を紹介します。
  作者はにしのあきひろさん。
  漫才コンビキングコング西野亮廣さんの
  絵本を書く時のひらがな表記の
  ペンネームです。
  書評にも書きましたが、
  映画の核がこの絵本で描かれています。
  絵の美しさは
  映画と同じで、
  おそらく映画の方が原作となった
  この絵本の美しさを
  踏襲したのだと思います。
  映画を観た方がこの絵本を、
  絵本を読んだ方は映画を観ると
  ダブルで楽しめます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これは「異能」の絵本といっていい                   

 「異能」というのは、人より際立った能力とか、一風変わった能力をいうが、漫才界ではやはり小説『火花』で第153回芥川賞を受賞した漫才コンビピースの又吉直樹さんがその筆頭と思っていたが、この絵本の作者西野亮廣さんも又吉さんに負けない「異能」の人だ。
 西野亮廣さんはキングコングという漫才コンビで活躍、その一方で絵本作家として活躍している。(絵本作家の時は、にしのあきひろとひらがな表記になっています)
 この人たちの活躍を見ていると、才能が政治や経済、あるいは文化といった世界だけでなく、色々な世界で開花していることを実感できる。
 まさに多様性の時代なのだろう。

 この絵本は2016年に刊行され、2020年の12月にアニメーションン映画となって公開されている。
 映画の方を先に観た人は、この絵本に物足りなさを感じるかもしれない。しかし、2時間近い映画だから、新しいエピソードが追加される(中でもえんとつ町がどうして出来上がったかは映画の方が詳しい)のも仕方がない。
 絵本の方は、物語の核が描かれていると思えばいい。
 そして、この絵本でも主人公の少年ルビッチと死んだ父との交流が短いページ数でもしっかり描かれている。

 西野亮廣さんが「異能」であるように、この絵本自体も一風変わっているといっていい。
 巻末に映画のエンドロールのように「スタッフ」を紹介するページがあって、西野さんの名前には「絵・文・監督」とあり、以下たくさんのスタッフの名前が書かれている。
 つまり、この絵本は従来の絵本とはまったく違う制作過程でできあがっているということだろう。
 これも、また新しい試みといえる。
  
(2021/11/14 投稿)

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 バラエティ番組はあまり見ないので
 漫才やコントのコンビ名をいわれても
 よくわかりません。
 今日紹介する映画の原作者であり脚本も書いている
 西野亮廣さんは
 漫才コンビのキングコングのつっこみ担当ということらしいが
 よく知らないのです。
 ただ西野亮廣さんが描いた絵本が話題となり、
 それを原作とした映画も大ヒットしたことを
 耳にはしていました。
 その映画、
 「映画 えんとつ町のプペル」が
 TSUTAYA TVの新作にラインアップされたので
 観ることができました。
 今日は、その話を。

  

 この映画は
 2020年12月に公開されたアニメーション映画です。
 原作者の西野亮廣さんが
 制作総指揮と脚本を担当しています。
 物語は
 時の権力者によって煙におおわれたえんとつ町で
 煙の向こうにある星を信じる少年ルビッチと
 彼を助けるゴミ人間プペルの活躍を描いています。
 この映画の魅力は
 なんといっても絵の美しさでしょう。
 一体どれくらいの色で描かれているのか、
 光の届かない煙の町ですが
 とっても色が豊かなんです。

 そして、声優もこの映画の魅力です。
 主人公の少年を芦田愛菜ちゃん。
 彼女もすっかり大きくなったので
 いつまでも「ちゃん」ではないでしょうが、
 イメージ的にはまだ「マナちゃん」。
 プペルは窪田正孝さん。
 なんだか頼りないんだけど
 とっても優しい感じのキャラクターを
 見事に演じて(声で)います。
 圧倒的な存在感でいえば
 えんとつ掃除夫たちの元締めダンの声を演じた
 國村隼さん。
 この人の声はすぐわかりました。
 そのほか、
 へえーあのキャクターの声を
 こんな人が声優してたんだと
 エンドロールを観ながら
 観ていました。

 クリスマスの夜に
 観るのも
 いい映画だと思いますよ。

 明日は
 この映画の原作の絵本を
 紹介します。
 お楽しみに。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  門井慶喜さんの歴史小説
  『地中の星』を
  紹介します。
  先日紹介した
  朝井まかてさんの『白光』も
  明治期の人物を描いた歴史小説でしたが
  これも明治期から大正、昭和という時代を駆け抜けた
  地下鉄の父と呼ばれた人物を
  描いた作品です。
  今回の書評のタイトルは
  中島みゆきさんの名曲「地上の星」の一節を
  お借りしました。
  この本を銀座線に乗りながら読んだら
  きっと面白いでしょうね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  つばめよ高い空から教えてよ                   

 あれっ、この本のタイトル、「地上の星」の間違いじゃないの、って心配される読者もあるだろうが、もちろん中島みゆきさんが歌った大ヒット曲「地上の星」を意識して付けられたにしろ、これは「地中」で間違いない。
 何しろこの作品は、日本で初めて地下鉄を走らせた男たちの、つまりは「地中」に生きた男たちの物語なのだから。
 もちろん、NHKの「プロジェクトX」のように、自分の頭の中で田口トモロヲさんのあの独特のナレーションで文字を追いかけるの、いいかもしれない。

 「東京メトロ」のホームページを開くと、「東京地下鉄株式会社」というのが正式な会社名だといった会社概要とともに会社の沿革も掲載されている。
 それによると、大正9年(1920年)会社が設立されている。
 それに関わったのが、この物語の主人公早川徳次である。(物語の最後に銀座駅に彼の胸像があり、そこに「地下鉄の父」とついているとあるが、そのことは知らなかった)
 日本最初の地下鉄は現在の銀座線で、浅草、上野間で大正14年にまずは着工される。
 完成するそれから2年後の昭和2年。
 その後、徳次の地下鉄は新橋まで延伸する。

 門井慶喜さんは徳次だけを描いたのではない。
 地下鉄工事にかかわった現場監督、技術者たちもまたあまたの葛藤を抱え、日本で最初の地中の工事に携わる姿を描いている。
 さらに、銀座線が何故渋谷での発着となったかも含めて描かれていて、興味が尽きない。

 読み終えた時、中島みゆきさんの「ヘッドライト・テールライト」が頭の中で流れるやもしれないが。
  
(2021/11/12 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  和田誠さんは谷川俊太郎さんとのコンビで
  多くの作品を残しています。
  和田誠さんは
  「谷川さんのテキストが絵描きにとって有難いのは
  過剰な説明がないこと」という文章を残しています。
  そういう点では
  今日紹介する
  谷川俊太郎さんの最新の詩集
  『虚空へ』は
  短い詩ですので
  過剰さはほとんどありません。
  もし、
  和田誠さんが生きていたら
  これらの詩にどんな絵を
  描いたのでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  蛍火のように点滅する詩                   

 詩は、できれば声に出して読む「音読」がいい。
 自分の声が耳に入って、リズムという循環を生む。
 そうは思っているが、谷川俊太郎の新しいこの詩集を、さて声に出して読んだとしても、その理解はある一面でしか生まないような気がした。

 詩集の「あとがき」で、谷川は「言葉数を多くすることで、暗がりから徐々に現れてくる詩がある。言葉数を少なくすることで、暗がりのなかで蛍火のように点滅する詩もあるかもしれない。」と書いている。
 だから、この詩集には短い行脚の十四行詩ばかりが収められている。
 まずその前に、谷川がいう詩から現れる光とは何だろう。
 蛍火のように点滅するものとは何だろう。

 それは生きるという時間の中で照らされるものかもしれない。
 詩そのものに利益はないかもしれないが、詩がないとぎくしゃくしてしまう。
 そういう空白こそが、詩の持つ力ではないだろうか。

 そして、谷川が今回提示した詩の数々は「音」だけでなく、視覚をも求めてくる。
 短い言葉の羅列、行数の組み合わせ、なにより詩のタイトルにつけられた( )は、音ではなく見ることでしか理解されない。
 (詩につけられたタイトルは、例えば「椅子を引き」が印刷された時に「(椅子を引き)」となっている)

 谷川のこの詩集を読んでいると、詩を読む怖さのようなものを感じる。
 そんな怖さも含めて、詩の世界なんだろうが。
  
(2021/11/11 投稿)

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 和田誠さんが亡くなったのが
 2019年10月7日。
 もう2年経つのだな、としみじみしている場合じゃないですよ。
 今東京・初台にある東京オペラシティのアートギャラリー
 和田誠さんの展覧会が開催されています。
 題して、
 「和田誠展」

  20211105_141830_convert_20211107113506.jpg

 タイトルはいたってシンプルですが
 この展覧会は和田誠さんの膨大で多岐にわたる仕事の全貌に迫る
 初めての展覧会なんです。
 これまでにも
 何度か和田誠さんの展覧会に行きましたが、
 これほどの規模のものは初めて。
 最初に書いておきますが、
 きっとこれほどのものはなかなか見れませんよ。

 会場入り口の案内に

    知っているようで 知らなかった
    ―あれもこれもそれも

 とありましたが、
 まさにそう。
 知らなかった和田誠さんに出会えるんです、ここで。

 会場に入ると
 まず壁一面に和田誠さんが描いた似顔絵の数々。

  20211105_142557_convert_20211107113535.jpg

 もうこれだけでテンションあがりました。
 今回の展覧会では
 4歳から83歳までの活動が俯瞰できるようになっていて
 会場内に
 年代毎に立った柱に
 主だった活動がピックアップされています。

  20211105_143245_convert_20211107113605.jpg

 私が和田誠さんのイラストを
 和田誠さんの名前として意識したのは
 やはり映画雑誌「キネマ旬報」に
 「お楽しみはこれからだ」の連載があった頃。
 1973年、
 和田誠さん、37歳。
 私、18歳。
 それから、どれだけたくさんの和田誠作品と
 接してきたことか。
 映画本、スターたちの似顔絵、
 絵本、本の装丁、映画作品、雑誌の表紙…。
 私のまわりにはいつも
 和田誠さんの作品がありました。

 会場は写真撮影もできるということで。
 これは
 和田誠さんが若い頃に描いていた新宿日活名画座のポスター。

  20211105_144131_convert_20211107113639.jpg

 そして、これはおなじみ「週刊文春」の表紙。

  20211105_144213_convert_20211107113706.jpg

 会場最後には
 和田誠さんの素敵な写真も。

  20211105_145238_convert_20211107113731.jpg

 また会おうな、といってくれているよなうな。

 そして、「和田誠展」の公式図録を購入。

  20211107_080255_convert_20211107113758.jpg

 この本、なんと4400円という豪華版。
 でも、これがあれば
 いつだって和田誠さんに会える気がします。

 展覧会は12月19日まで。
 会場には若い女性の姿も多く、
 和田誠さんのファン層の厚さにも
 納得の一日でした。

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 日曜日に紹介した
 絵本『オレゴンの旅』に
 黄金に輝く麦畑の中を歩く
 主人公のピエロとクマを描いたページがありました。
 そこに綴られた文章。

    ぼくが突っ切って行く、ヴァン・ゴッホの風景のなかを…

 書いたラスカルという人は
 ベルギー生まれとありますが、
 やはり麦畑といえばゴッホの名前が浮かぶ、
 それほどやっぱりゴッホは有名な画家。

 そのゴッホの展覧会が
 秋の上野の東京都美術館
 今開催されています。
 秋晴れとなった11月5日(金曜日)、

  20211105_132108_convert_20211107105421.jpg

 その「ゴッホ展 響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」に
 行ってきました。

  20211105_115608_convert_20211107105354.jpg

 タイトルに出てくる「ヘレーネ」は
 ゴッホの世界最大の個人収集家と有名な
 ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869~1939)のことです。
 彼女はゴッホの評価がまだ世間であまり認められていない1908年から
 およそ20年間にわたって
 ゴッホの作品を収集続けます。
 今回の展覧会は
 彼女が収集した作品の中から
 油彩画28点、素描・版画が20点展示されています。
 ゴッホが初期の頃描いた素描など
 あまりお目にかからない作品も見ることができ、
 ゴッホ展の規模としては
 見ごたえのある内容でした。

 展覧会のポスター等に

    《糸杉》の傑作、来日。

 とある作品は、
 正しくは「夜のプロヴァンスの田舎道」で、
 日本には16年ぶりのお目見えだそうです。
 同じく、
 「黄色い家(通り)」も16年ぶり。
 このあたりはゴッホの作品でいえば
 後期になるでしょうか、
 私たちがよく知っている
 ゴッホらしさを感じる作品です。

 でも、今回の展覧会では
 きっとあまり知られていない作品も見ることができるので
 ゴッホを知るには
 絶好の機会です。

 コロナ禍で
 混雑防止ということもあるのでしょう、
 入場は日時指定予約制
 12月12日までなので
 早めの予約を。
  
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 秋の深まりとともに
 紅葉(黄葉)が街にもおりてきました。

   黄葉してポプラはやはり愉しき木      辻田 克巳

 近くの公園も木々も色づいてきました。

  20211103_095105_convert_20211107091642.jpg

 この頃になれば
 秋冬野菜の収穫が続いてきます。
 先週書いてように
 たけのこキャベツ小カブを収穫しました。

  1636169555502_convert_20211107091546.jpg
  
 たけのこキャベツ
 先細りの円錐形ですが中は写真のように
 普通のキャベツのように
 しっかりまいています。

  20211102_183715_convert_20211107091341.jpg

 味もあんまり変わりません。

 11月6日(土曜日)には
 ダイコンの収穫もできました。

  20211106_120246_convert_20211107091457.jpg

 長くて細い方が宮重ダイコンという品種。
 青首ダイコンのもとになったダイコンだとかいわれています。
 短い方が総太りという青首ダイコン
 さっそくおろしソバでいただきましたが、
 辛みがすごい。
 おろしたては宮重ダイコンの方が辛みがきついかと感じましたが
 総太りの方も負けてはいませんでした。

 短くて赤いミニダイコンも収穫しました。
 白いダイコンの横で
 赤さがひきたっています。
 このダイコン、中まで真っ赤。

  20211106_120535_convert_20211107091526.jpg

 彩りとしては映えます。

 この日は
 タマネギの苗の植え付けもしました。

  20211106_102210_convert_20211107091408.jpg

 今回は畑の栽培計画の中に
 タマネギがあるので
 それにそって16本の植え付けをしました。
 そして、スナップエンドウの種まき。

  20211106_103743_convert_20211107091431.jpg

 この畝は
 横にソラマメもあって
 マメ科一色の畝になります。

 今回で
 冬越野菜の植え付けもおしまい。
 これから
 収穫だけで楽しみに待つことになります。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、
  立冬
  暦の上では今日から冬。

    立冬のことに草木のかがやける     沢木 欣一

  今日紹介する絵本は
  ラスカルさん文、ルイ・ジョスさん絵の
  『オレゴンの旅』。
  書評にも書きましたが、
  この絵本のことは
  先日紹介した落合恵子さんの『明るい覚悟』という本で
  知りました。
  落合恵子さんが書いていましたが
  この絵本の最初の版は絶版となって
  今新しい出版社で再版されています。
  いい絵本がこうしてまた出るのは
  ありがたいですね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  新しい自分を求めて                   

 表紙の、黄金のように輝く麦畑の中を行く一頭のクマとその肩にのるピエロの姿を見て、一瞬でぎゅっと心をつかまされる。まだ本も開いていないのに、彼らが明日に向っているのを感じさせる絵だ。
 この絵本のことを作家で子どもの本の専門店「クレヨンハウス」を主宰する落合恵子さんは、「誰かの心の奥深くにひっそりと生き続ける一冊」と、『明るい覚悟』という本に書いています。

 主人公はサーカス団にいるピエロのデュークと、クマのオレゴン。
 ある時、オレゴンがデュークにこう話しかけます。
 「ぼくを大きな森まで連れてっておくれ」
 彼らはピッツバーグという大きな街を出て、アメリカ横断の旅に出ます。
 クマとの旅も変わっていますが、デュークの姿も変わっています。
 何故なら、白い顔に赤い鼻というピエロの姿のままなんですから。
 麦畑の中を行く二人、雨の中を行く二人、トラックに乗せてもらう二人、貨車に乗り込む二人、そしてついに彼らはオレゴンのいっていた「大きな森」に着きます。
 その時、この絵本にこんな文がついています。
 「あの長いとらわれの日々を、すべてわすれられるのです」。

 サーカス団にいた日々はクマのオレゴンにとって、自由のないとらわれの時間だったのです。
 オレゴンは自分をとりもどすために森をめざす旅に出たのです。
 そして、ピエロのデュークもやっと気づくのです。
 ピエロの衣装を脱ぎ捨てることに。
 ラスト。雪の中を今度は自分のために一人旅立つデュークの後ろ姿。その後に、彼が捨てたピエロの赤い鼻がポツンと転がっています。
  
(2021/11/07 投稿)

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 毎月第一土曜日は
 JPICの読書アドバイザーの人が中心となった
 読書会があります。
 その読書会に参加して5年ぐらいになりますが
 ここ1年ばかりはコロナ禍ということもあって
 オンラインでの読書会が続きました。
 ようやくコロナ禍も落ち着いてきて
 今日は久しぶりに
 午後からリアル(対面での)読書会です。
 楽しみだな。
 そこで、今日の映画の話も読書会を描いた
 「ガーンジー島の読書会の秘密」の話をしましょう。

  

 映画「ガーンジー島の読書会の秘密」は
 日本での公開が2019年のイギリス・フランス共同映画です。
 監督はマイク・ニューウェルさん、
 主演の若い女性作家を演じるのはリリー・ジェームズさん。
 舞台は第二次世界大戦が終わって間もないイギリス。
 物語は女性作家ジュリエットに届く一通の手紙から始まります。
 彼女はその手紙から
 戦争中にドイツ軍によって進駐されていたガーンジー島で
 密かに読書会が開かれていたことを知ります。
 興味をもった彼女は島に渡りますが、
 読書会のメンバーから記事にすることを拒否されます。
 読書会の創立メンバーで、
 今は行方の知れない女性に秘密があるようです。
 映画は彼女の秘密がミステリー仕立てで徐々に解かれていきます。
 ジュリエットは彼女の秘密を知るとともに
 人にとって大事なものを見つけていきます。

 この映画の予告編で
 歌人の俵万智さんがこんな文章を寄せています。

    本の力、手紙の力、言葉の力。
    それが人の力となり、人と人とをつなぐ。
    シンプルで最高なことだ。

 この映画では
 ガーンジー島での読書会の様子も描かれています。
 参加者は男性2名、女性2名、男の子が1名。
 かつては行方不明の女性も参加していました。
 発表者が紹介する本の一部を朗読するようです。
 そのあとで
 参加者が意見を交換していきます。
 一人の女性が時計を持っていて
 時間を決めて発表しているようです。
 そんな読書会の様子も
 興味深く観ました。

 エンドロールにかぶせて
 いくつかの作品の朗読が流れますが、
 さすがにどの作品なのか
 わかりませんでした。
 きっと本好きな人なら
 あの作品だとわかるのでしょうね。

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  昨日
  『石垣りん詩集 表札』という本を
  紹介しましたが、
  偶然にも
  今日は「りん」つながりになりました。
  朝井まかてさんが
  日本で初めてのイコン画家となった
  山下りんの生涯を描いた
  『白光』を
  今日は紹介します。
  「りん」という名は珍しいのに
  本当に「りん」つながりになりました。
  この小説の舞台のひとつに
  神田にあるニコライ聖堂があります。
  ずっと以前に訪れたことがあります。
  そんなことを思い出しながら、
  読んでいました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  読み応え十分の歴史小説                   

 日本で初めてのイコン(聖像画)画家である山下りんの名は、日本史の授業であったかそれとも美術での授業であったかそれすらおぼつかないが、ただうっすらと記憶に残っていた。
 幕末から明治期にかけて生きたそんな彼女の生涯を描いた歴史小説を読んでみたいと思ったのは、かつて葛飾北斎の娘を描いた『眩(くらら)』や森鴎外の息子を描いた『類』など、重厚な作品ながら丹念に描いた作品を発表し続ける朝井まかてさんの作品だということが大きい。
 そして、その期待ははずれなかった。

 明治の代になって間もなく、絵の勉強がしたいと家出同様に笠間(茨城県)から東京を単身目指した女の子がいた。それが、山下りん。
 一旦は故郷に連れ戻されるが、彼女の意思が固いことで母も兄も東京での絵の勉強を認めることになる。
 やがて、彼女は神田駿河台のロシア正教会で洗礼を受け、ロシアに留学するという幸運をつかむ。しかし、彼女が思い描いていた西洋画の勉強ではなく、古いギリシャ様式のイコンの模写を強いられていく。
 言葉もうまく通じない中での葛藤。ついに、彼女は追い返されるようにして日本に戻される。
 日本に戻った彼女は、やがて日本で初めてのイコン画家となっていく。

 女性の生き方を描いた作品ともいえるし、明治期の日本人の生き方を描いたともいえる。
 山下りんのような女性が明治期にいたことに驚きすら感じる。
 この作品では彼女の生涯だけでなく、明治期のロシア正教会を信仰のもととなったニコライ主教の姿など、幅広い歴史小説となっているのも、本作の読みどころといっていい。
  
(2021/11/05 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  久しぶりに詩集の紹介です。
  『石垣りん詩集 表札』です。
  石垣りんさんの詩集は
  2015年に岩波文庫の一冊として刊行されていますし、
  その時も紹介しました。
  2004年に亡くなった詩人ですから
  新しい詩が生まれることもないのですが、
  この詩集を出版した田中和雄さんとの交流があって
  こうしてまた
  新しい詩集が編まれました。
  「表札」を冠した詩集を出すか20年迷い、
  自身の年齢を考え決心がついたと
  86歳の田中和雄さん。
  なんともうれしい
  詩人と編集者の関係ではなりませんか。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  自分の手で表札をかけるに限る                   

 詩を読むと、その詩人の生涯をたずねたくなる。
 小説家の場合もないことはないが、詩人の方が圧倒的にそういう気分になる。
 それは、この詩を書いた人はどんな暮らしをしていたのか、まるで詩がその扉を開くようでもあるのだ。
 石垣りんという詩人の場合は、もっとも顕著だ。

 14歳という若さ(若さというにはあどけなさ過ぎる年齢だ)で、日本興業銀行に就職。その時の初任給が18円だったという。
 21歳の時、太平洋戦争が始まり、空襲で家を焼かれて敗戦。
 25歳の彼女の給与で病身の父や義理の母や祖父、弟たちの生計を支えることになる。
 その当時に書いた詩がこの詩集にも収められているが、壮絶な貧困に言葉が血を吐くようでもある。
 組合の委員にもなり、「職場新聞に掲載された一〇五名の戦没者名簿に寄せて」という前書きのついた「弔詞」という詩に、戦争に対する悲痛な声を寄せている。
 48歳の時、代表作となる『表札など』を発表し、第19回H賞を受賞し、詩人としての地位を固める。
 彼女がりっぱなのは、55歳で定年退職するまで、銀行での仕事を全うしたことだろう。
 その余生を詩を書くことで過ごしただろうと誰もが思うはずだが、彼女はそうはしなかった。
 そのことの意味を誰か教えてくれないか。
 そして、2004年12月26日、永眠。享年84歳。

 この詩集には死の翌年に営まれた「さよならの会」で読まれた谷川俊太郎さんの「石垣さん」と茨木のり子さんの「弔辞」、そしてこの詩集を編まれた田中和雄さんの「石垣りん小伝」が収められている。
  
(2021/11/04 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  落合恵子さんのエッセイ集
  『明るい覚悟 こんな時代に』を
  紹介します。
  この本は
  読書推進運動協議会
  敬老の日に合わせて作成した
  「読書のすすめ」という小冊子で
  取り上げられていた作品です。
  この小冊子の表にこんな文章が載っています。

    すぐれた本といっしょに呼吸し、
    心を豊かに働かせている人は、
    自然に目の輝きがまして、
    自信のある顔立ちになるのでしょう。

  今日は文化の日でもあります、
  好きな本を手にしてみるのも
  いいではないですか。
  明るい覚悟をもって。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  年を重ねて、美しくなる                   

 名前に、時に、すごく意味を感じることがある。
 「落合恵子」という名前もそうだ。
 生まれが1945年で、もう70代の半ばを越した。
 就職したラジオ局で人気DJとなったが、実際その当時の彼女はなんとも苦い思いをしていたようだ。
 その後、作家となり、さらに子供の本の専門店「クレヨンハウス」を立ち上げ、多くの絵本の翻訳もおこなっていく。
 女性の本の専門店やオーガニックレストランも開設する一方で、平和活動にも参加。
 「レモンちゃん」と呼ばれた時代を知っているものとして、怒髪天で活動する現在の彼女を見ていると、自分という人生をしっかり生きているという感じがする。
 「落合恵子」に勇気づけられた女性たちは多いにちがいない。

 そんな「落合恵子」の今を綴ったのが、この本。
 2018年から2020年3月まで雑誌「一冊の本」に連載されたエッセイをまとめたもの。
 タイトルの「明るい覚悟」について、「あとがき」にこう綴られている。
 「老いや衰えのさなかにありながら、さほど多くは残されていない明日に向けての、自分との約束という意味」でもあると。
 人生を重ねるということは、生きることにより丁寧であらねばならないと教えてくれている。
 そして、この本には多くの友人たちとの別れも綴られていて、年をとるということはそういう悲しみとも向き合うことだと知らされる。

 このエッセイには「落合恵子」が感銘を受けた絵本の数々も紹介されている。
 老いてまた、絵本の世界に戻るのも、いい。
  
(2021/11/03 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  文庫オリジナルという出版方法があります。
  読者としては
  新しい作品を廉価で読めてありがたいのですが
  時に
  こんないい作品なら単行本でも売れたのにと
  思わないこともない作品に
  出会うこともあります。
  今日紹介する
  谷口桂子さんの
  『食と酒 吉村昭の流儀』も
  そんな一冊です。
  別の機会に
  写真付きの単行本で読みたいとも思う
  いい作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  吉村昭さんと一緒に吞みたかった                   

 亡くなって15年経つが、今でもその簡潔にして硬質、緻密な作風に人気がある作家吉村昭さん(亡くなったのは2006年7月31日)の生きざま(それは本作のタイトルにもある流儀ということだろうが)をエッセイなどから遠くから拝見すると、いかにも昭和の男という印象を受ける。
 頑固であり、人情にあつく、習慣といった行事にこだわる。
 そんな吉村さんは、書くこと以外に趣味らしいものはあまりなかったようで、唯一愉しみにしていたのが、お酒と食べることであったという。
 多くの著作にもそのことを書かれた箇所があって、俳人で作家でもある著者谷口桂子さんはそれらを丹念に読み解き、「食と酒」というところから吉村昭という人物を描き出していく。
 さらに、そもそもの執筆のきっかけともいえる吉村昭の奥さんで作家の津村節子さんの姿も浮き上がらせていて、津村節子ファンにもうれしい一冊だろう。

 吉村さんは「酒は大好きだが、酔っぱらいはきらい」だったという。
 それでも、たまには酔って、都都逸、さらにはソーラン節を熱唱することもあったという。
 吉村さんは歴史小説を執筆するに際して、現地を何度も訪ねた逸話は有名だが、そこでも吉村さんは食べ物にこだわり、気に入った料理屋を手帖につけていたという。

 この作品は「当初は単行本で、地方のゆかりの店」を訪ねて写真入りで紹介する予定だったそうだが、コロナ禍で文庫オリジナルのこの形に変更された。
 写真は入っていないが、吉村昭さんが愛した味は十分楽しめる一冊になっている。
  
(2021/11/02 投稿)

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 今日から11月。
 天高く馬肥える秋、なんていいますが
 最近は秋らしい時期が短い、そんな気がします。
 これは先日の土曜日(10月30日)の空。

  20211030_113106_convert_20211030200624.jpg

 まさに秋の空でした。

    田畑の五穀いよいよ秋の空        猪俣 千代子

 そして、草花も秋の気配をまとい始めました。

  20211030_102830_convert_20211030200326.jpg

 昨日のブログに書いたように
 今回畑で栽培しているのは
 たけのこキャベツです。
 これが今の状態。

  20211030_110753_convert_20211030200539.jpg

 もうしっかり巻いているので
 来週には採り頃です。

 今年は少し温度が温かいのか
 野菜のとうだちが目立っているようです。
 驚いたのはレタスのとうだち。
 レタスはキク科なのであまりとうだちというイメージがなかったのですが
 畑のあちこちで
 とうだちしたレタスを見つけました。

  20211030_105524_convert_20211030200453.jpg

 調べると
 レタスはタンポポのような小さな花が咲くそうです。
 見たい気持ちはありますが
 やはり新鮮なうちに食べるのがいいですね。

 もうひとつ育てているキャベツ
 芽キャベツ

  20211030_105828_convert_20211030200517.jpg

 こちらは少しキャベツの形になってきたかな。
 こちらの収穫はまだ時間がかかりそう。

 あまり紹介してこなかったですが
 小カブも育てていて
 こちらもそろそろ収穫時期。

  20211030_104142_convert_20211030200420.jpg

 そして、その横で栽培している
 ミニダイコン

  20211030_103751_convert_20211030200355.jpg

 今回のこれはむらさきダイコンで、
 確かに土から顔を出しているのは
 赤いです。
 芯がどうなのか楽しみ。

 11月になって
 秋野菜がこれから順番に収穫されていきます。

    すぐそこといはれて一里豊の秋       八染 藍子

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