05/31/2022 小さな習慣(スティーヴン・ガイズ):書評「小さいことはいいことだ!」

朝日新聞の書評欄は毎週土曜日掲載で
今日紹介する
スティーヴン・ガイズさんの
『小さな習慣』は
5月21日の書評欄の「つんどく本を開く」というコラムで
早稲田大学の都甲幸治先生が紹介していました。
私もいろんなことが長続きしません。
特に英語の学習については
毎年始めては挫折の繰り返し。
そして、今年始めたのが
中学生1年レベルの基礎英語。
還暦を過ぎて
いまさら中学1年の基礎英語かと
笑われようとかまいません。
今日で5月もおしまい。
なんとか続いています。
じゃあ、読もう。

昔は「三日坊主」といえば、日記がその代表格でした。
今は「ダイエット」とか「筋トレ」とか「英会話の学習」あたりでしょうか。
何故続かないかと自問すること何十年、多くの人は自分の心の弱さとか飽きっぽいとかを言い訳にします。
では、一層、目標を小さくしたらどうでしょう、というのが、この本。
2017年に出て、ベストセラーになった本ですが、今でも評価は高い。
何しろこの本の著者も、もともとは何をやっても続いたためしがなかった。ところが、目標を「腕立て伏せ1回チャレンジ」にしたら、いつの間にかそれが習慣になったどころか、自然と腕立て伏せの回数も多くなっていたという。
つまり、(以下、本書ではゴチックで書かれている)「小さな習慣とは。毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動」ということだ。
本にはちょっと難しい「人間の脳の働き」などについても書かれているが、先を急ぐ人はそのあたりはどんどん飛ばしても構わない。
特に重要なのは、第7章の「「小さな習慣」を失敗させない8つのルール」あたりだろうか。
そこにある「ステップが小さすぎるとは決して考えない」は、「小さい」に加えて「簡単」すぎることを馬鹿にしないことを説明している。
そして、著者はいう。(以下、ここのゴチックで書かれている)「人生の最強のツールとなるのは継続する力」だと。
継続できない人にとっては、振り出しにもどったようでもあるが。
(2022/05/31 投稿)

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05/30/2022 ズッキーニを収穫しました - わたしの菜園日記

ズッキーニの受粉の方法について書きましたが
今回はいよいよ収穫の話です。
雨が降る予報が出ていたので
その前日の5月26日(木曜日)
ズッキーニを2本収穫しました。

ズッキーニは受粉から1週間程度で収穫できるようで
その目安は20~25㎝といわれています。
実はこれを収穫する前に
少し大きくなったものも採ったのですが
それはどうも受粉できてなかったようで
ここまで大きくなりませんでした。
この2本は人口受粉がうまくいったもの。
受粉さえうまくいけば
大きく育つのでしょうね。
ちなみに
ズッキーニはこの形からキュウリの仲間かと思いがちですが
実はカボチャの仲間です。
まあ、随分遠い親戚のおばさんみたい。

一ヶ月近くなって
それぞれの野菜も大きくなってきました。
これは中玉トマト。

トマトの栽培方法として
主枝を一本伸ばして実を大きく育てる1本仕立てと
主枝と脇芽を伸ばして実の数を多くする2本仕立てとがあります。
今年は中玉トマト、ミニトマトともに
2本仕立てで栽培します。
写真で黄色い線で示したように
Y字のように育てます。


こちらはメロンのコロタンの花。

花といえば、
これは珍しい花です。
除虫菊。

蚊取線香の材料になる植物です。

こちらはタマネギ。

かなり大きくなってきました。
収穫まであとわずかです。

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05/29/2022 あなのなかから・・・(さいとう しのぶ):書評「絵本で「いないいない ばあ!」」

小さな子供が好きです。
知らない子供であっても
道をよちよち歩いていたりすると
思わず手を振ったりすることがあります。
なので今日紹介する
さいとうしのぶさんの
『あなのなかから…』みたいな絵本を読むと
かわいくて仕方がありません。
でも、身近に小さな子供がいないので
いないいない、ばあ!もできないので
つまりません。
まさか、知らない子供に
いないいないばあ!したら
泣けれてしまう前に
お母さんがびっくりして逃げ出してしまいそう。
じゃあ、読もう。

赤ちゃんって、どうして「いないいない ばあ!」が好きなんでしょう。
「ばあ!」のあとの、きゃっきゃっ笑う顔の、なんて素敵なことか。まさに天使。
だから、つい、「いないいない ばあ!」をしてしまいます。
さいとうしのぶさんのこの絵本は、まさに「いないいない ばあ!」を絵にした作品。
この絵本で赤ちゃんや小さな子供が笑い出す瞬間が見えてきます。
「あな」が「いないいない」の状態。
そのあとの「なかから…」が、「いないいない」と「ばあ!」のあとのちょっとした時間。
あとは同じ、「ばあ!」
ほらっ、笑った。
「いないいない ばあ!」で飛び出してくるのは、顔ですが、この絵本で「あな」から飛び出してくるのは、モグラだったりネズミだったりネコやイヌだったり。
笑ってしまったのは、トンネルという「あな」から飛び出してきたもの。
「ばあーーーーーー!」と、超特急なんですもの。
なので、ページをめくる前に、「さあて、何が出てくるのかな」なんて、子供たちの興味を高める読み聞かせもあっていい。
いろんな動物の名前を口にする子供たちの、底抜けに明るい笑顔が見えるよう。
さあ、あなたも一緒にのぞいてみませんか。
「あなのなかから…」、と「ばあ!」
(2022/05/29 投稿)

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05/28/2022 思いがけない感動作でした - 映画「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」の話

思いもなく面白かったという経験は
誰にでもあると思います。
映画にもそういうことがあって
先日たまたまCSで放映されていた映画がそうでした。
タイトルもストーリーも知らずに
たまたま観た映画でしたが
これがとても面白かった。
今日はその映画、
「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」の話です。

2020年7月公開のスウェーデン映画です。
原作はスウェーデンの人気作家フレデリック・バックマンさん。
映画を観終わってからわかったのですが
フレデリック・バックマンさんは
「幸せなひとりぼっち」という、これも必見の感動作ですが
その映画の原作者でもありました。
きっと、私の感情のサイクルと合うのでしょうね。

63歳の専業主婦ブリット=マリーが主人公。
40年にわたって黙々と夫を支えてきた彼女ですが
ある時夫の浮気を知って
家を飛び出します。
年齢もあってなかなか仕事が見つからない彼女が手にしたのが
小さな町での子供のサッカーチームのコーチ。
でも、彼女、サッカーなんてまったく知らない。
そんな彼女に子供たちも馬鹿にするのだが
ひとりの少女との出会いが彼女を発奮させていくというお話。

スウェーデン出身のペルニラ・アウグストさん。
実際の彼女も1958年ということで
ブリット=マリーとほぼ同じですから
存在感抜群で
しかも彼女はかつてカンヌ映画祭で女優賞も受賞している名女優。
きっとこの映画を観た女性たちから
圧倒的な支持を受けたのではないでしょうか。
監督のツヴァ・ノヴォトニーさんも女性で
女性の柔らかな感性がよく出た映画です。

この映画の原作は
「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」ではなく
『ブリット=マリーはここにいた』ですから
間違わないように。

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05/27/2022 ミシンと金魚(永井 みみ):書評「これも玄冬小説です、よね」

今日は
第45回すばる文学賞を受賞した
永井みみさんの
『ミシンと金魚』を紹介します。
すばる文学賞というのは
集英社が発行している文芸誌「すばる」の新人賞で
最近気になる作家のひとり、
高瀬隼子さんもこの賞の受賞者です。
各文芸誌はそれぞれ新人賞を持っていて
そこで将来の芥川賞作家なんかが誕生すると
やっぱり雑誌の評価もあがるのでしょうね。
永井みみさん、
これからどんな作品を発表していくのか
楽しみです。
じゃあ、読もう。

第45回すばる文学賞を受賞した本作の、受賞時の選考委員たちの評価は極めて高い。
「小説の魅力は「かたり」にあると、あらためて感得させられた傑作」(奥泉光)「この物語が世に出る瞬間に立ち会えたことに、心から感謝」(金原ひとみ)など、絶賛の言葉は単行本化された際の宣伝用惹句として帯にまで使われている。
介護サービスを受けつつ、独りで暮らすカケイというお婆さんの「かたり」で物語が進んでいく。
息子が死んだことすら時には忘れるカケイであるが、小さい頃の貧しい生活や失踪した夫のことやその連れ子と自分が生んだ子供らと食べていくためにミシンを踏み続けたかつての時間があふれんばかりに押し寄せてくる。
そして、貧乏と多忙さで構いきれなくなった時、幼い娘は金魚を飼っていた溜め水を飲んであっけなく死んでしまったことも。
若竹千佐子さんが『おらおらでひとりいぐも』で第158回芥川賞を受賞した際、青春小説の対極として「玄冬小説」の誕生ともてはやされたが、そこから続く作品が出たとも思えない。
この作品は、「玄冬小説」ということになるのだろうが、頭の中に去来する妄想のようなものだけが「玄冬」のあかしではないと思うし、カケイが過ごした時間があまりにも作られてすぎて、「昭和」の小説を読んでいるような気になった。
すばる文学賞の受賞者インタビューで、作者の永井みみさんが好きな作家を聞かれ、「寺山修司」の名前をあげていたが、なるほど、カケイには寺山修司的な女性の顔がほのみえる。
(2022/05/27 投稿)

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05/26/2022 ブラック・コーヒー(アガサ・クリスティー):書評「コーヒーにミルクをいれて」

今回のアガサ・クリスティーは
戯曲です。
『ブラック・コーヒー』。
しかも、この戯曲には
あのエルキュール・ポアロも
彼の友人ヘイスティングズ大尉も登場します。
相変わらずヘイスティングズ大尉のとぼっけっぷりが面白い。
書評にも書きましたが
この文庫本に収録されている
もう一つの戯曲『評決』も面白い。
いつもの霜月蒼さんの
『アガサ・クリスティー完全攻略』の評価も
★★★★と高評価。
あなたもポアロに扮して
みませんか。
じゃあ、読もう。

ミステリー作家アガサ・クリスティーには小説以外にも戯曲作品がいくつかある。
小説を基にした戯曲もあるが、舞台のために書き下ろしたオリジナル戯曲が5つあって、この『ブラック・コーヒー』はその第一作ということもあって、アガサ自身力がはいった作品になったのではないだろうか。
1930年の作品で、この時すでにアガサは何作もの「ポアロもの」の小説を刊行していて、おそらくこの作品でポアロが登場した時観客にはどんな人物がこの名探偵を演じるのか楽しみであったに違いない。
活字でしか知らないポアロが実際に動き、話し、そして推理し、犯人を追い詰める。きっと当時の観客もわくわくしたのではないだろうか。
事件は高名な科学者が公にしようとしている重要な書類が盗まれたことが発端で、科学者はその犯人さがしにポアロを呼び寄せる。
科学者は怪しい人物たちを集め、明かりが消えている間に、改悛して書類を出せば罪は問わないといい、明かりが消える。(舞台上も明かりが消えていて、戯曲にはその中でいくつかの音があったことが描かれている。そして、その音が事件解明のヒントになっていくという仕掛けになっている)
明かりがついた時、科学者は死んでいて、ポアロは殺人事件の謎を解くことになる。
この文庫には『ブラック・コーヒー』のほかに1958年に書かれた『評決』という戯曲も収められている。
こちらにはポアロが登場しないし、犯人あてではないが、男と女の感情のすれちがいを描いて、『ブラック・コーヒー』とは違う面白さがあった。
(2022/05/26 投稿)

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05/25/2022 トキワ荘の時代(梶井 純):書評「寺田ヒロオを覚えていますか」

漫画家藤子不二雄Aさんが亡くなって
あらためて
彼らが青春期を過ごした
「トキワ荘」というアパートのことが
気になりました。
それで、たどりついたのが
今日紹介する
梶井純さんの『トキワ荘の時代』でした。
この本では
仲間たちから「テラさん」と慕われた
寺田ヒロオという漫画家を中心にして
当時のことが描かれています。
寺田ヒロオさんが残した作品は
「背番号0」「スポーツマン金太郎」「暗闇五段」などで
とっても記憶に残っている
漫画家の一人でした。
この本は1993年に刊行されていますが
漫画史の貴重な資料といえます。
じゃあ、読もう。

「かつて豊島区椎名町(現南長崎)にあったトキワ荘は、手塚治虫をはじめとする現代マンガの巨匠たちが住み集い、若き青春の日々を過ごした伝説のアパートです。」
これは、東京・豊島区にある「トキワ荘マンガミュージアム」のHPにある「開館にあたっての挨拶」の冒頭の文章です。
「トキワ荘は、昭和57(1982)年12月に解体されました」が、漫画の聖地を残そうと活動され、2020年春に当時の外観や内装が忠実に再現されて、ミュージアムとして復活しました。
行政の「ハコモノ」施策が問題化される中、「トキワ荘」がこうして新しい一歩を歩み始めたのは、いかに漫画という文化が日本に根付いているかのあかしともいえます。
ただ「トキワ荘」は今に始まった伝説ではありません。
むしろ、かつてそこで暮らした藤子不二雄さんや石ノ森章太郎さん、あるいは赤塚不二夫さんたちが現役で活躍していた頃より「トキワ荘」伝説はありました。
そして、そのなかにあって、異彩をはなっていたのが、この本でも中心となって描かれている寺田ヒロオさんです。
寺田さんの活躍時期は決して長くありませんが、昭和30年代に漫画を夢中になった人には忘れられない漫画家です。
そして、もし寺田さんは「トキワ荘」にいなければ、漫画史も随分違った様相になったことでしょう。
「血わき肉おどるようなものはなにもなく、しかしさわやかな温かさによって忘れがたく記憶されている」漫画家寺田ヒロオを知ることは、「トキワ荘」を知ることでもあり、日本の漫画史にも欠かせないことなのです。
(2022/05/25 投稿)

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05/24/2022 炎環(永井 路子):書評「大河ドラマ見るなら欠かせない一冊」

今回の
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見るまで
鎌倉時代成立のことなど
ほとんど知りませんでした。
源頼朝、源義経、北条政子の名前ぐらいは
知っていましたが
政子の妹、いわゆる阿波局が
頼朝の異母弟である全成と結婚したことなど
まったく知りませんでした。
さらにいえば
その頃を舞台とした歴史小説が
直木賞をとっていたことも
知りませんでした。
今日は
直木賞受賞作
永井路子さんの『炎環』を
紹介します。
大河ドラマをご覧の方なら
必読の一冊です。
じゃあ、読もう。

第52回直木賞受賞作。(1955年)
鎌倉時代の初めの頃を描いた「四章から成る長編でもなければ、独立した短編集でもない」と作者自身の言葉が残っている。
では、この4つの物語はどうなのか。
作者の言葉が残っている。
「一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく―そうした歴史というものを描くため」と。
四つの物語の主人公はこうなっている。
最初の「悪禅師」では源頼朝の異母弟の全成、次の「黒雪賦」では頼朝を補佐しながら最後は滅ぼされる梶原景時、「いもうと」は北条政子の妹でのちに全成の妻になる保子(彼女の名前はあまりよくわかっていないようで、現在放映中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では実衣となっている)、そして最後の「覇樹」は北条義時が描かれている。
この作品の直木賞選委員の選評で「鎌倉時代を知る作家には、折角の知識も、それほど高く評価されなかったが、少なくともその知識を気楽に扱えるだけ、消化し、自分のものにしていることは事実である」という今日出海氏の評や「この作者は史料の勉強家で、史料のなかから小説の題材を発見するのにすぐれた資性を持っている」という松本清張氏の評など、新しい歴史小説作家の登場に発表当時多くの期待が集まっていたことは間違いない。
そして、実際今読んでも面白い。
決してメインではない人物を描きながら、作者が言うように、確かに歴史はそういう人たちによって作られたことを忘れてはならない。
(2022/05/24 投稿)

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05/23/2022 朝から人工授粉 - わたしの菜園日記(5月22日)

最近の天気予報の話題ですが
その予兆のような
小動物を畑で見つけました。

雨蛙です。
実は「蛙」だけなら春の季語で
「雨蛙」となると夏の季語になります。
手を出せと言われて受けぬ雨蛙 松浦 加古

こちらが今のズッキーニ。

いくつか花が咲いています。
ズッキーニは初めて栽培する野菜で
よくいわれるのが受粉が難しいということ。
ズッキーニは雌花と雄花が別々に咲きますから
人口受粉させるのがいいといいます。
しかも、
できるだけ朝の9時くらいまでにすること。
少し遅くなると
花が閉じているので
朝できるだけ早く畑に行きます。


雄花の花弁をとっておしべをだして
受粉しやすいようにして
雌花のめしべにこすりつけます。
うまく受粉ができたかどうか
こればかりはわかりませんが
うまくいけば
このように雌花の下が太くなります。


受粉できなかったので大きくなりませんでした。

写真の右側がそれ。
となりのソラマメより小さい。
でも、これもピクルスで頂きました。

インゲンもそうです。
こちらはインゲンの花。

白くてかわいい花です。
まだ花が咲き始めたところですから
豆になるまで
もう少しかかります。

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今日紹介する
内田莉莎子さん文、
ワレンチン・ゴルディチュークさん絵の
『わらのうし』は
ウクライナの昔話を絵本にしたものです。
読書会のメンバーが
以前紹介した『てぶくろ』のほかにも
ウクライナの絵本がありますよと
紹介してくれたものです。
読書会は毎月1回、
最初の土曜日に集まって楽しくやっています。
いつも読んだことや聞いたことがない本を
メンバーから紹介されるので
刺激を受けています。
自分だけだったら
この絵本は
決して見つけられなかったでしょうね。
じゃあ、読もう。

ウクライナは昔話の宝庫だそうです。
それは、人から人へ、口から口へ、伝わったあかしでしょう。
そんな話には、人のぬくもりを感じます。
おそらくこの話もそんなひとつで、日本の内田莉莎子さんが再話の形で文を書いています。
再話というのは、昔話や伝説などを、子供向けにわかりやすく書き直したものをいいます。
内田さんのことを少し書き留めておきます。
1928年生まれのロシア文学者・児童文学者です。祖父は作家の内田魯庵で、莉莎子という名前はモナリザにちなんで祖父がつけたといいます。1997年に亡くなるまで、ロシアやウクライナといった国の昔話の再話や翻訳を残しています。
一方、絵を描いているのがウクライナの画家ワレンチン・ゴルディチュークさん。
日本の絵本画家とはやはりタッチが違いますし、物語の舞台となったウクライナの小さな村の古い家の様子や登場するおじいさんとおばあさんの服装など、私たちの生活とはかなりちがうことがわかります。
そういう時代の違い、国の違いをしっかりととられて、しかし、人々がこういう話に癒された感情は世界どこであっても変わらないということを伝えたいものです。
話はタールを縫ったわらの牛のおかげで、クマやオオカミやキツネを捕まえたおじいさんたちがこれらの動物を逃がしてあげることでハチミツやめんどりなどの豊かなものを手にするというもの。
日本の文学者とウクライナの画家がコラボした、なんとも美しい絵本を私たちは今でも読むことができます。
(2022/05/22 投稿)

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05/21/2022 おいしいものを召し上がれ - 映画「かもめ食堂」の話

映画も食べ物の線で紹介しましょう。
料理や料理人を描いた映画は結構あって、
以前にも
1987年に公開された「バベットの晩餐会」という
とてもいい映画を紹介したことがありました。
あの映画はデンマーク映画でしたが、
今日紹介する
「かもめ映画」も北欧の国フィンランドが舞台。
といっても、
これはれっきとした日本映画です。
今日はそんな「かもめ食堂」の話です。

荻上直子監督の日本映画です。
原作は群ようこさん。
フィンランドのヘルシンキが舞台です。
なので、
主人公で「かもめ食堂」の店主である
小林聡美さん演じるサチエと
ひょっこりフィンランドにやってきて食堂を手伝う
片桐はいりさん演じるミドリ、
もたいまさこさん演じるマサコ以外
登場するのはみんな向こうの俳優さんです。

何故かというと
小林聡美さんがメインキャラクターとなった
食パンのCMが素敵(つまりはおいしそう)で
そのCMのもとになったのが
この「かもめ食堂」だったからです。

小林聡美さんたちが握るおにぎりや
シナモンロールやコーヒー、
焼き鮭やしょうが焼きなど
けっして派手ではないけれど
実においしそうな料理が登場します。
そして、なんといっても
フィンランドの風景がいい。
「森と湖の国」と呼ばれるフィンランドですが
最近NATO加盟でこれからどうなるか
心配です。
決してウクライナのようにならないことを
願っています。

穏やかに
そして、そっと他人を思いやる
そんな「かもめ食堂」のような世界を
壊さないようにして欲しい。
おいしいものを食べれば
みんな幸せになるのに。

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05/20/2022 おいしいごはんが食べられますように(高瀬 隼子):書評「小説だからこそ描ける関係」

今日は
高瀬隼子(じゅんこ)さんの
『おいしいごはんが食べられますように』という
中編小説を紹介します。
高瀬隼子さんの名前は
書評にも書きましたが
芥川賞候補作となった『水たまりで息をする』が
面白かったから覚えていました。
それに、
今回の作品には
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
なんて、興味をひかせるキャッチコピーがついていて
読みたい熱がヒットアップしました。
2022年3月に出たばかりの作品ですが、
これって次の芥川賞候補になるのかな。
じゃあ、読もう。

第165回芥川賞候補作となった『水たまりで息をする』は受賞には至らなかったが、評価的には悪くなかったし、難しい題材ながら文学作品としてすっと心に届いた。
なので、高瀬隼子(じゅんこ)という作家は覚えておこうと思った。
それに続く作品が本作ということになる。
職場の中の微妙な人間関係を描いて、それはきっとどこの職場でもアルアルなのだが、高瀬さんが描くと独特なニュアンスの、人と人との息が届く距離感が巧みに浮かぶ上がってくる。
主人公の二谷という若い男は食べ物に関して、カップ麺で腹が満たされたらいい程度で、ほとんど興味をもっていない。
彼と同じ職場に芦川さんという若い女子社員がいる。体が弱いのか、仕事にさほど意欲を持っていないが、その態度がかわいくて、男の先輩社員らの受けがいい。
そんな芦川さんが苦手という、押尾さんという女子社員がいる。
彼女が二谷にこう声をかける。
「わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
ところが、二谷と芦川さんがいつの間にか関係を持ち、芦川さんは二谷のために手料理をつくる関係になっていく。
そればかりか、職場に手づくりのケーキやクッキーなんかも持ってくるようになり、職場での芦川さん人気はさらに高まる。
こういう関係って、ありそうだ。
押尾さんがそんな職場からはじかれていくのは仕方がないが、面白いのは食べ物に関心のない二谷だ。
芦川さんの好意を見えないところで拒絶している男。
多分日常の世界では覗きえない人との関係を、小説なら描けるんだと、高瀬さんは証明してくれている。
(2022/05/20 投稿)

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イラストレーターの和田誠さんが
2019年10月に亡くなって
さびしいなぁと思っていたら、
奥さんの平野レミさんがそれでも頑張っている姿を
見せてくれているのがうれしい。
しかも、この頃は
次男の奥さんの和田明日香さんも頑張っていて
うれしさは倍だ。
今日は
そんな二人の会話が楽しめる
『平野レミと明日香の嫁姑ごはん物語』を紹介します。
2015年に出た本で、
この頃から二人の会話は楽しかったんだ。
きっと和田誠さんも
この二人を見てて安心して
天国にいけたんだろうな。
じゃあ、読もう。

レバノンの格言に「姑を愛する嫁は千人に一人。嫁を大事にする姑は二千人に一人。」というのがあるらしい。ということは、嫁と姑の仲の悪さは世界共通ということだろう。
そうすれば、平野レミさん(姑)と和田明日香さん(嫁)の関係は、世界でも珍しいケースかもしれない。
平野レミさんといえばイラストレーター和田誠さんの奥さんで、シェフではなくシュフ(主婦)を自認する料理愛好家。一方、和田明日香さんは和田家の次男率さんのお嫁さん。姑のレミさんは「アーちゃん」と愛称で呼んでいるが、結婚した頃はキャベツとレタスの違いがわからかったという武勇伝? の持ち主。
それが姑レミさんの影響もあってか、食育インストラクターの資格もとって、料理研究家として今やレミさん以上に人気が高まっている。
そんな姑と嫁がキッチンで楽しく話している、そのまんまを本にしたもので、2015年10月に刊行されている。
NHKの生放送番組中で立つべきブロッコリーが倒れてしまって話題となった「まるごとブロコッリーのたらこソース」や餃子の皮を包まない「食べれば焼き餃子」など、レミさんのびっくりレシピも満載のこの本だが、やはり姑と嫁の、丁々発止の会話がいい。
こんな姑と嫁の関係はあまりないだろうが、レミさんの「平和はキッチンからつくられる」の言葉通り、家族みんなが笑顔で食卓を囲めば、もめることもないのだろう。
本書のおしまいに明日香さんの夫でレミさんの次男の率さんが、ちょこっと文章を書いているが、その分量の控えめ具合がなんとも微笑ましい。
(2022/05/19 投稿)

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私が初めて
オイルサーディンを食べたのは
東京に出てきた
学生時代の頃でした。
昭和でいえば、48年とかその頃。
その当時の缶詰は
平松洋子さんの
『いわしバターを自分で』の表紙に描かれた
プル式の缶詰ではなかったように
思います。
缶詰ごと電熱器の上で暖めて食べたものです。
なんだか
都会だなと思った味でした。
食べ物には
そんなアルバム的な要素もあります。
じゃあ、読もう。

「週刊文春」の人気連載「この味」は、エッセイストの平松洋子さんの食のエッセイですが、いつも贅沢だなとため息が出てしまうのが、単行本でなくいきなり文庫本オリジナルで出版されることだ。
平松さんといえば人気エッセイストで、今や師匠ともいえる東海林さだおさんの食のエッセイに迫る、ごちそうだから、それが廉価の文庫本で読めるのだから、ありがたい。
しかも文庫本だから、丁寧な解説まであって、この本の場合であればノンフィクションライターの石戸諭氏が書いている。
その石戸氏の文で気づかされたのだが、平松さんのこのシリーズには『あじフライは有楽町で』とか『すき焼きは浅草で』といったように、地名とセットになっていたのだが、今回はそれがない。
何故か。
この文庫本に収められた文章の、週刊誌への連載が2019年12月から2021年9月と、コロナ禍の真っ最中で、平松さんが大好きなお店も営業自粛とかの苦境にあったとき。
ここにもコロナ禍の深刻な影響が出ていたのです。
それでも平松さんは果敢に食を極めていきます。
表題となった「いわしバター」、缶詰のオイルサーディンを使って、バターのようにパンなどに塗るもの。
そのほかにも食の雑誌「ダンチュウ」で人気となった平松さん特製の「パセリカレー」なんかはレシピ付きで紹介されていたりする。
コロナ禍で苦しい日々を過ごした人も多いだろうが、平松さんのこの時期のエッセイを読んでいると、どっこい、負けないもんね、という勇気をもらえる。
(2022/05/18 投稿)

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05/17/2022 「東洋文庫ミュージアム」に行ってきました - 時空を超える本の旅

必ず載っている有名なミュージアムが
東京・駒込にある
東洋文庫ミュージアムではないかしらん。
いつか行きたいと思っていたそのミュージアムに
五月の雨の金曜日(5月13日)
行くことができました。

そんなに華々しくあるわけではありませんが
東洋文庫ミュージアムの
「時空を超える本の旅」はここから始まります。

なんといっても圧巻は
「モリソン書庫」と呼ばれる
膨大な本の数々。

以下、東洋文庫ミュージアムのHPの説明です。
1917年、東洋文庫の創設者、岩崎久彌は
北京駐在のオーストラリア人G. E. モリソン博士から
東アジアに関する欧文の書籍・絵画・冊子等約2万4千点を
まとめて購入しました。
ここには人類の英知が収まっているのですが
なんといっても
その美しさに息をのみます。
本というのは美しい。
だから、ここの本には足元に及ばなくても
本を自分の本棚に並べたくなる気持ちもわかります。

たじたじです。
ちょうど今、「シルクロードの旅」展をしていましたが
そこに展示されている書籍が難解すぎて
頭が砂漠で迷子になったようでした。


ミュージアムから出て
「知恵の小径」と名付けられた
素敵な小径をたどれば
小岩井農場がプロデュースしている
オリエント・カフェで
休むこともできます。


900円。
ただし、65歳以上は800円。
こういう時はシニアでよかったと思います。

六義園もあります。

なんといっても、六義園と東洋文庫は
元々は三菱の三代目社長の岩崎久彌氏から寄付されたもので
同じ敷地だったとか。
なんだかとてつもない話です。

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05/16/2022 まだまだ採れそう - わたしの菜園日記

先週のぐずついた天気を「梅雨走り」と呼んでいました。
調べると、
「梅雨に入る前のぐずついた天気」をいうそうです。
『歳時記』には
「迎え梅雨」とか「走り梅雨」として季語にあります。
味噌蔵のひしほの匂ひ走り梅雨 松本 可南
近くの田んぼでは田植えも始まりました。

忽ちに一枚の田を植ゑにけり 高浜 虚子
梅雨入りももうすぐかも。

夏野菜の植え付けが終わってひと段落したところ。
キュウリに黄色のかわいい花がつきました。

それの数倍大きいのが
ズッキーニの花。

これだけ大きな黄色だったり
虫が寄ってきやすいでしょうね。
ただ雄花がまだ咲きません。
しっかりしろよ、男性諸君! と
いいたくなります。

だいぶ成長したサンチュ(真ん中)。

ミニパプリカ(右側)と長ナス(左側)は
今しっかり根をはっているところでしょうか。

収穫が待たれるタマネギ。

これだとあと半月以上かかるかな。

ソラマメ。

すでに50本近く採れていて
まだあと30本ぐらいはいけそうです。
なかなかの豊作です。

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05/15/2022 たんぽぽのちいさいたねこちゃん(なかや みわ):書評「たんぽぽのちいさなこどもの大冒険」

絵本にも旬があって、
2022年4月に出たばかりの
なかやみわさんの
『たんぽぽのちいさいたねこちゃん』という絵本だったら
やっぱりもう少し早く紹介できれば
よかったですね。
さすがにこの時期ともなれば
たんぽぽの綿毛ももう見かけないですものね。
「蒲公英の絮」は
春の季語にもなっています。
たんぽぽの絮の微塵やしやぼん玉 加藤 楸邨
俳人たちは
たんぽぽの綿毛にも季節を感じていました。
じゃあ、読もう。

「蒲公英」、この漢字はなかなか読み方が難しいですが、「たんぽぽ」と読みます。
もっと難しいのが「絮」。これで「わた」と読みます。
たんぽぽの花が咲き終わったあとの綿毛のこと。「絮」では難しいので、普通は「綿毛」とかいいます。
「そらまめくん」シリーズや「やさいのがっこう」シリーズで人気の絵本作家なかやみわさんが描いたこの絵本の主人公は、このたんぽぽの綿毛です。
付いたかわいい名前が「たねこちゃん」。
たねこちゃんには99本のお兄さんやお姉さんがいます。
お兄さんたちは一番小さなたねこちゃんに、上手な飛び方と注意しないといけないことを教えて、飛んでいってしまいました。
残されたたねこちゃんは、なかなか飛び立つことができません。
ついには、スズメに連れ去られてしまいます。
と、あっという間に強い風に飛ばされて地上に落ちていきます。
そこに、雨が降り出して。
たねこちゃんの旅立ちは、ハラハラドキドキの冒険旅行です。
着いたことをは、あまり陽の差さない、こけたちの世界。
たくさんの野菜を描いてきたなかやさんは、とうとう苔(こけ)までキャラクターにしていまいました。
出てくるのが、ほそうりごけ、ぜにごけ、すぎごけ、ぎんごけといった苔なかま。
絵本を持って、苔のなかまたちを探してみるのも面白いかも。
たねこちゃんは、苔のなかまたちに励まされて、小さな自分の場所を見つけます。
たんぽぽの綿毛がどうなるのか、苔って何? と、新しい発見がある絵本です。
(2022/05/15 投稿)

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05/14/2022 ダバダバダ - 映画「男と女 人生最良の日々」の話

『いわしバターを自分で』という本を読んでいて
その中に「ダバダバダ」というエッセイがありました。
ダバダバダ?
そう「ダバダバダ」、これだけで往年の名作を思い出す人は
よほどの映画通。
これは1966年に公開されたフランス映画「男と女」に流れるスキャット。
「男と女」は監督クロード・ルルーシュと
音楽を担当したフランシス・レイの名前を
一躍有名にした作品です。
平松洋子さんがエッセイに書いていたのは
その続編となる
日本で2020年1月に公開された「男と女 人生最良の日々」のこと。
平松洋子さんが「腰を抜かした」という映画、
さっそくアマゾンプライムで観ました。
今日は、その「男と女 人生最良の日々」の話です。

この映画の監督、主演男優女優とも、そして映画音楽も
1966年公開の「男と女」と同じだということ。
あの映画が公開されて53年という時間が経って
俳優たちもその容姿がすっかり変わっています。
それでも、ヒロイン役を演じたアヌーク・エーメの美しさには
すっかり魅了されました。
彼女、1932年生まれといいますから
この映画の時は80歳を過ぎています。

かつての「男」ジャン=ルイ・トランティニャンの記憶が
どんどんなくなっていくのを心配した息子が
かつての「女」アヌーク・エーメを探して
「男」を訪ねて欲しいと頼むところから始まります。
「男」は訪ねてきた「女」が
かつて愛した「女」と気づかず、
本人を前にしてその「女」をどれだけ愛したか、
今でもどれだけ愛しているかを語ります。
かつて公開された映画の映像が間にはさまり、
ああ老いていくことはこういうことかと
観ていて胸に迫りました。
もしかしたら、
53年前に愛し合った二人よりも
今の二人の方が純粋に愛の時間を過ごしているようにも思えます。

映画の冒頭にも出てきます。
人生最良の日々とは、まだ生きていない日々だ

映画を観終わってから
席を立ちたくなくなるほどの作品でした。
そして、
もちろんこの映画にも「ダバダバダ」は流れます。

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05/13/2022 カクテル・パーティ(大城 立裕):書評「沖縄初の芥川賞受賞作」

5月15日に
沖縄は本土復帰50年を迎えます。
今放映中の
NHK朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」は
今まさに復帰前の沖縄が描かれています。
ドラマの主人公たちが使っているお金は
ドル。
そんな時代から50年経ちました。
今日は
沖縄で初めての芥川賞受賞作となった
大城立裕(おおしろ たつひろ)さんの
『カクテル・パーティ』を紹介します。
この作品が書かれた頃は
まだ沖縄は占領下でした。
芥川賞はある意味
時代の目撃者でもあったといえます。
じゃあ、読もう。

第57回芥川賞受賞作。(1967年)
作者の大城立裕(おおしろ たつひろ)は、芥川賞の「受賞のことば」という短文で、ある大先輩から「ぼくらの明治以来の夢をかなえてくれた」と握手を求められ、会う人ごとに「沖縄のひとみんなの誇りだよ」と言われたと書いている。
この頃まだ占領下にあった沖縄(沖縄返還が実現したのは1972年)で、沖縄初の芥川賞ということで、島全体が沸いたことでしょう。
沖縄が置かれていた政治的社会的な問題下で、当時の選考委員の選評もややとまどいが見える。
「現実の問題と、作品の価値とは全く別のもの」(永井龍男)、「沖縄に同情して選んだのでもない」(川端康成)、そして中でも舟橋聖一の一文がもっともわかりやすい。
「あくまでも作品本位で選んだことは、私も証明しておきたい。が、いかに弁明したところで「芥川賞海を渡る」底の、一般の通俗的印象は、避け難い」
以上、文学史的な覚書として書いておいた。
物語は前章、後章という二部構成になっている。
前章では占領下の沖縄の米軍基地のカクテル・パーティに集まった、沖縄人(主人公)、日本人、中国人、アメリカ人の何気ない、しかしそこに過去と現在の痛みを隠した、大人の会話がはずむ。
後章では一転して主人公の沖縄人の娘がアメリカ兵に強姦された事件で、四人のそれぞれの立場が露呈していく。
中国で日本兵が犯した罪、沖縄でアメリカ兵が犯した罪、それらが二重構造になっている。
ラスト、占領下の司法制度の中で不利な戦いとわかっていながら、告訴を決めた主人公。
そのまなじりの強さは、大城さんは終生持ち続けることになる。(大城さんは2020年10月逝去)
(2022/05/13 投稿)

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熱心なサッカーファンでもないが
5月1日80歳で亡くなった
イビツァ・オシム元日本代表監督のことは
印象深い。
もしかしたら
サッカー選手ではなく大学教授になっていたかもしれないほどの
インテリジェンスと
それをあからさまにしないユーモアのセンス。
その当時あまり日本でいなかったタイプの人でした。
訃報に接して
オシムさんの言葉が確か本になっていたことを思い出し
すぐに図書館の蔵書を調べました。
出てきたのが
今日紹介する
木村元彦さんの『オシムの言葉』。
表紙のオシムさんの笑顔が素敵です。
ご冥福をお祈りします

イビツァ・オシムのことを覚えているだろうか。あるいは、その問いは、知っているだろうかの方が正しいかもしれない。
サッカーの旧ユーゴスラビア代表監督としてサッカーファンの間ではその名前を知らない人のいなかったオシム氏が日本のJリーグのチーム監督として来日したのが2003年、その後その手腕を買われサッカー日本代表監督に就任したのが2006年、そしてわずか1年後には脳梗塞により監督を辞任。
あれから随分月日は流れた。
しかし、その短い期間ながら、オシム氏のことを忘れていない多くの人がいるはずだ。
それほどに、オシム氏の口にした言葉が際立っていた。
彼の言葉はサッカーファンだけでなく、あの当時の若者やビジネスマンを魅了した。
本書は『オシムの言葉』というタイトルではあるが、名言集のようなものではない。
2005年度第16回ミズノスポーツライター賞の最優秀作品となった、ノンフィクション作品だ。
もちろん、主役はオシム氏。
彼の出身地ユーゴスラビアが分裂紛争にあい、戦火のせいで妻と数年にわたって会えない生活を送ったという半生を描きつつ、彼が監督として選手たちに投げかけた言葉の数々が、選手たちの言葉として書き留められている。
つまり、「オシムの言葉」はすでに彼のもとを離れ、選手たちや彼と接した多くの人の血肉となっていることがわかる。
それこそ生きた言葉だといえる。
言葉がもつ力を、オシム氏が教えてくれたといえるだろう。
※イビツァ・オシム氏は、2022年5月1日80歳でその生涯を閉じた。
(2022/05/12 投稿)

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05/11/2022 義経・下(司馬 遼太郎):書評「頼朝が義経を討ったのも仕方がないか」

今日は昨日のつづき。
司馬遼太郎さんの『義経』の下巻です。
源義経といえば静御前との悲恋の物語が有名で
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では
静御前役を石橋静河さんが演じています。
石橋静河さんは
原田美枝子さんの娘さんで
今注目の女優さん。
でも、司馬遼太郎さんのこの物語では
源義経って
多くの愛妾を抱えていた
俗にいう軽い男。
源頼朝が義経を討ったのも
やむなしだったかも。
じゃあ、読もう。

源義経の生涯を描いた、司馬遼太郎の文庫本で上下2巻となる長編小説。
下巻は「旭将軍」と呼ばれた木曽義仲との戦いに始まり、平家との鵯(ひよどり)越えで有名な一ノ谷の決戦、屋島の戦い、そして平家を滅亡させた壇ノ浦の戦いと、義経の華麗なる戦いざまが描かれる。
同時に、その後、兄頼朝から疎まれて、彼が地盤とした京都から追われていく姿も描かれているが、その逃亡の次第はほとんど描かれてはいない。
司馬にとっては、京都を追われた時点で、義経の人生はほぼ終わっていたのかもしれない。
この長い物語を読む限りにおいて、決して義経は悲劇の武将には見えない。
どころか、その性格はあまりにも幼く、これでは兄頼朝も怒るだろうし、討伐しても仕方がないように思える。
頼朝は義経をどう見ていたか。
「合戦にかけては天才であろう。しかし(中略)政治感覚の無さ、物事の軽率さ、自負心のつよさ、とめどのない甘ったれ、それらはまるで幼児か、痴呆にちかい」と、手厳しい。
それは、ある意味、頼朝の眼を通した司馬の、義経評ともいえる。
もちろん、義経側から見た場合、いろんな解釈はできるだろうし、おそらく多くの義経作品は多岐にわたる解釈で描かれているだろうが、少なくとも司馬の義経評は厳しいと見ていい。
平泉で討ち取られた義経の首は最後鎌倉の頼朝のもとに運ばれたという。
その時、頼朝は「悪は、ほろんだ」といったと、司馬は物語の最後に書き、「悪とは、なんだろう」と問いを投げかけている。
もしかしたら、悪とは、無知がもたらすものかもしれないと、この長い物語を読み終え、思った。
(2022/05/11 投稿)

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05/10/2022 義経・上(司馬 遼太郎):書評「この男に贔屓したくなるか」

先日(5月8日)の
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は
源平合戦のクライマックスともいえる
壇ノ浦の戦いを
あっという間に描いていました。
このドラマで菅田将暉さんが演じる源義経の
切れまくっているキャラクターに、
あれ? 義経ってこういう男だったの?って
そういえば
司馬遼太郎さんに『義経』という作品があったことを
思いだして読んでみました。
うーむ、義経って
結構変な奴? だったみたい。
今日は上巻の紹介で、
明日の下巻へと続きます。
じゃあ、読もう。

「判官贔屓(はんがんびいき)」という言葉がある。弱いものや不遇なものに同情し、肩入れすることをいうが、元々は鎌倉幕府をつくった兄源頼朝から冷遇され死にまで追い詰められた判官・源義経を同情する思いが由来となっている。
おそらくその感情の多くは、当時の京都の人々の思いであったはずで、そのあたりは司馬遼太郎が描いた文庫本にして上下となる長編小説の下巻を読むとわかってくる。
司馬が源義経を描いた作品を書いたのは1966年(昭和41年)2月から1968年(昭和43年)4月までで、雑誌「オール讀物」に連載された。
連載当時の原題は「九郎判官義経」であった。
1966年というのは、司馬にとっては作家として不動の地位を確立した頃で、この年の秋には『竜馬がゆく』『国盗り物語』で第14回菊池寛賞を受賞している。また、同じ頃『最後の将軍』や『峠』の連載も始まっている。
そんな年の連載開始で、義経の母常盤についての挿話から長い物語を始めている。
つまり、義経はまだ「牛若」と名乗っていた頃である。
義経は日本史の有名人だから、多くの人はその短い人生(享年は31歳といわれる)耳にしたことがある。
鞍馬で幼年期を過ごし、その後奥州の藤原秀衡を頼ってそこで成長していく。
その間に伊豆では12歳年上の兄頼朝が平家打倒ののろしをあげている。
上巻では義経が兄の戦いをたすけるために鎌倉へはせ参じ、京都で新たな勢力となった木曽義仲を撃たんと出陣していくまでが描かれている。
義経の魅力あるいはその悲劇性は下巻で示されるが、この上巻ですでに義経の幼児性があまた表現されている。
そのあたりを頭にいれながら、下巻に読むといいだろう。
(2022/05/10 投稿)

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05/09/2022 バラとイチゴは同じ仲間? - わたしの菜園日記

そろそろバラの最盛期になってきました。
私の家のあるあたりの近くには
バラ公園があったりして
散策がてらのバラ見物です。


薔薇園の薔薇整然と雑然と 須佐 薫子

イチゴも収穫時期になってきました。
今回「とちおとめ」という有名なブランドイチゴに挑戦しましたが
うまくいきませんでした。
収穫できたのが
わずか5個。
やっぱり有名ブランドだけあって
栽培方法が難しかったのかもしれません。

いよいよソラマメの収穫の合図がでました。
膨らんだ莢がうつむいてきました。

それで5月7日(土曜日)
大きめのソラマメを収穫しました。

左にあるのが
少しばかりのイチゴ。
そのソラマメ、中はどんな風になっているかというと
ごらんのとおり。

仲良くソラマメ兄弟が並んでいます。
さっそく塩ゆでにして頂きました。
そら豆はまことに青き味したり 細見 綾子
まさにこの句のままの味でした。

夏野菜の最後の植え付けをしてきました。
ピーマンです。

これはズッキーニの後ろで栽培します。
そのズッキーニも大きくなってきました。

黄色の花は雌花。
雄花の開花を待っているところです。

今回で一段落。
あとはこまめな手入れです。

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05/08/2022 ママが10人!?(文 天野 慶/絵 はまの ゆか):書評「ママは1人でも大好き」

今日は母の日。
母の日のてのひらの味塩むすび 鷹羽 狩行
母の日といえば
カーネーション。
スーパーの店頭にもたくさん並んでいます。
そんな日は
お母さんにゆっくり休んでもらうのが一番。
たまには
子供たちがお母さんに絵本を読んであげるのもいい。
今日は
天野慶さん文、
はまのゆかさん絵の
『ママが10人!?』という絵本を
紹介します。
もし、あなただったら
どんな10人のママになってもらいますか。
じゃあ、読もう。

『西遊記』に登場する孫悟空に、自分の毛を抜いてふっと息を吹きかけると、たくさんの孫悟空が現れるという術がありましたが、わが日本でも忍者の代表的な忍術として「分身の術」が知られています。
それほどに古来より自分の分身が生まれることが、人間の願いとしてあったということだろう。
この絵本でも、その願望が描かれています。
もっともそれを願ったのは、ママ自身ではなく、ちっともかまってくれなくてふくれっ面のおにいちゃん。
それで、つぶやいたのが、「あーあ、ママが10人いればいいのになあ」。
そうしたら、本当に10人のママが出てきてしまいます。
1人目のママはひざにのせてくれるし、2人目のママは絵本を、3人めのママはうたってくれます。
だから、「今は忙しいの」も言わないし、「あとで」とも言わない。
面白いのは、美容院できれいになるママやかっこよくお仕事しているママも登場してくること。
これって、もしかして、ママの願望だったりして。
作者の天野慶さんが巻末に載せた短文に「子育てをしていると、どうして自分の体がひとつなのだろうと、うらめしく思ってしまうことがある」と、ちらりと本音をこぼされています。
それで、「忍者修行」に出て分身の術を覚えたいと、ユーモラスに語っています。
ママはそんなことをちょっぴり考えているんだ、だったら、パパは?
まさか、逃げ出しの術じゃないよね。
(2022/05/08 投稿)

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05/07/2022 二つの殺人事件 - 映画「ナイル殺人事件」の話

オンライン配信の早さには驚かされます。
特にディズニープラス。
えっ!と、びっくりするくらい早い。
もちろん、映画ファンにとってはありがたいのですが
映画館で観る楽しみも
やはりもう少し残して欲しいものです。
そんなびっくりした作品のひとつが
日本で2022年2月に公開されたばかりの
「ナイル殺人事件」。
観たかった作品ですから、
さっそくディズニープラスで観ました。
この「ナイル殺人事件」は1978年にも映画化されていて
そちらの方はレンタル店でDVDをレンタルして観ました。
なので、今日は
2つの「ナイル殺人事件」のお話です。

もちろんアガサ・クリスティーの長編小説が原作です。
原作名は『ナイルに死す』。
私も1年前の5月に読んで
「数多い「ポアロもの」の長編の中でも、「代表作」のひとつである。実際とても面白い。」
なんて、書評で書いています。
そして、
「この物語の面白さはなんといっても登場人物の多さだろう。」とも。
そうなんです。
登場人物が多いから
映画では豪華俳優陣の出演が楽しみになってきます。

どちらの方が面白かったかというと、
1978年の作品の方が圧倒的に面白い。
それは、出演陣の豪華さのちがいといっていいでしょう。
特に1978年版で
重要なヒロインを演じているミア・ファローをはじめ、
デヴィッド・ニーヴン、マギー・スミス、ジョージ・ケネディと
名優陣がそろっていて
誰がどの役をしているのだろうかという
楽しみを満喫させてくれます。
私が一番うれしかったのが
オリヴィア・ハッセー。
この作品はそうやって俳優陣を楽しむものです。

2022年版は見劣りします。
エルキュール・ポアロの若い日のエピソードとか描かれていたり
映像の美しさは抜群ですが
もし「ナイル殺人事件」を観るなら
私は1978年版を勧めます。
ミステリーの謎解きとしても
わかりやすいですよ。

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今日は
「河野裕子との青春」と副題のついた
永田和宏さんの『あの胸が岬のように遠かった』を
紹介します。
この本を読んでいる間じゅう、
私の脳裏によぎっていたのは
『二十歳の原点』を書いた高野悦子さんのことです。
調べると
高野悦子さんは1949年生まれで、
河野裕子さんや永田和宏さんとほぼ同時代に
京都の町で学生生活を送っていたのではないかと思えました。
今回のこの本には
河野裕子さんの日記からの引用も多くあり、
それが高野悦子さんの日記とも重なるように
感じました。
『二十歳の原点』が今も若い人に読まれているように
この本も青春の書として
読まれるだろうと思います。
書評のタイトルは
河野裕子さんのこの短歌からとりました。
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうにわたしを攫って行つて呉れぬか
じゃあ、読もう。

学者としての研究の道か、文学者としての歌人の道か、それに結婚を誓う恋人がいて、自殺未遂を為すほどに悩んだ青春期、それでもその時代を辿ろうと歌人で細胞生物学者の確固とした地位を築いた永田和宏氏が決断したのは、2010年8月に乳がんで亡くなった妻で歌人の河野裕子さんが残した青春期の日記と手紙があったからだ。
亡くなった人とはいえ、個人的な日記を読み、そしてそのことを文章にする。
そのことに「強い困難と逡巡」があったことを、永田氏は「はじめに」で綴っている。
しかし、二人の長い交際のあと結婚に至るまでの日々を描くことで、永田氏は歌人河野裕子の青春だけでなく、自身のそれをも描き切っている。
互いの高名な歌人として生きた二人にとって、時にぶつかり、時に慰め合ってきた長い時間の果てに、すでに亡くなった妻がまるでこの世界に舞い戻って、ともに自分たちの青春の、美しく、悲しく、切ない時間を、永田氏の執筆を支えてきたような気さえする。
河野さんは1946年生まれ、永田氏は1947年生まれ、そんな二人が出会い、邂逅した青春期はまさに学生運動が盛んな時期であった。
そんな中、河野さんは二人の男性への思いに悩み、歌を詠み続ける。永田氏は自身の将来への方向に悩み、歌を詠んでいく。
おそらくここに記された青春期は決して特異なものではないだろう。
きっと多くの若者の心情にシンクロするだろう。それゆえに、この書はこれからの青春期の一冊として読み継がれていくような気がする。
(2022/05/06 投稿)

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05/05/2022 ぼくがラーメンたべてるとき(長谷川 義史):再録書評「風が吹いています」

今日はこどもの日。
子どもらの水に映りてこどもの日 藤本 美和子
そして、二十四節気のひとつ、立夏。
街角のいま静かなる立夏かな 千葉 皓史
こどもの日なので
いい絵本を紹介したく
そういえば最近新聞で一冊の絵本が紹介されていたのを
思い出しました。
それが長谷川義史さんの
『ぼくがラーメンたべてるとき』。
2007年に出版され、
私が書評を書いたのが2010年。
結構古い。
その絵本がどうして今また注目されているかというと
ウクライナへのロシアの侵攻で
世界が揺れているからです。
この絵本は一見平和に見える生活も
たどっていけば酷い戦争をしている世界があることを
静かに教えています。
再録書評ですが
こどもの日にお子さんたちと一緒に
考える助けになればと思い、
今日紹介します。
じゃあ、読もう。

「人はみかけで判断してはいけません」と小さい頃から教えられたものです。本も同じ。
長谷川義史さんの『ぼくがラーメンたべてるとき』を最初に手にしたときは、なんだこんなふざけた書名をつけて、もっと絵本らしくした方がいいのに、と投げ出していました。
そのあと、友人が「この本すごいわよ」と勧めてくれたので、どちらかといえばしぶしぶ、表紙を開いたのが正直なところです。
読み終わって、悲しみといえばいいのか、怒りといえばいいのか、複雑な石ころのようなものが胸にこみあげてきました。涙の塊といっていい。この絵本はそれほど深い。
本はみかけで判断してはいけません。
最初のページでは男の子が満足げにラーメンを食べています。その隣で猫のミケが大きなあくびをしています。
次のページでは女の子がテレビのチャンネルをかえようとしています。その次のページでは、別の男の子がトイレでウンチを流そうとしています。その次の、その次の、と場面がどんどん変わっていきます。いつしか、この日本という国も離れていきます。
同じ時間。男の子が「ラーメンたべてる」、その同じ時間。まったく違うことが世界中におこっています。平和もあります。戦争もあります。喜びも悲しみもあります。悔しさも怒りもあります。たぶん、今この時点でもたくさんのことがおこっています。
この絵本の最後がどうなるかは書かないことにします。
ただ、風は誰にもおなじだけ吹くということ、絵本だってみかけで評価してはいけないということ。
それだけは書きとめておきます。
(2010/10/03 投稿)

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05/04/2022 日本の最も美しい図書館(立野井 一恵):再録書評「そうだ、図書館行こう」

今日はみどりの日。
今年の大型連休は
新型コロナウイルスによる行動制限がないことから
各地でも「3年ぶり」の催しが多く見られます。
博多どんたくもそのひとつ。
「どんたく」は『歳時記』にも載っています。
どんたくの鼓の音ももどりたる 吉岡 禅寺洞
それに今年は長く休みがとれる人で
10連休という人もいるようで
車の混雑も報道されています。
昨日『東京の美しい図書館』という本を紹介しましたが
そういえば
同じ立野井一恵さんの本で
『日本の最も美しい図書館』があったので
今日はその本を再録書評で紹介します。
遠出をしたついでに
こんな素敵な図書館に足を伸ばしてみるのも
いいですよ。
じゃあ、読もう。

図書館は、図書館法で「図書、記録その他必要な 資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、 レクリエーション等に資することを目的とする施設」と定義されています。
つまり、「施設」なのです。
では、屋根があって壁があって、出入り口がああって書棚があればいいかといえば、そうではない。やはり快適性や機能性が欲しいし、できれば美しくあって欲しい。
この本は日本全国の図書館の中から、これはという美しい図書館を多彩な写真で紹介している、図書館好き、本好きにとっては、垂涎の一冊です。
この本には41館の図書館が紹介されています。
一例を紹介すると、「本のコロセウム」をテーマとした半円のデザインの国際教養大学中嶋記念図書館(秋田市)、小学校を再利用した京都国際マンガミュージアム(京都市)、アートのような多摩美術大学図書館(八王子市)、何かと話題の武蔵野プレイス(武蔵野市)や武雄市図書館(佐賀県武雄市)。どれもが目を見張ります。
上野にある国立国会図書館国際子ども図書館や大阪の大阪府立中之島図書館の時代を感じさせる重厚な建物もいい。
この本を見ていて思ったのが、小学校の跡を利用した図書館が結構多いということです。
京都国際マンガミュージアムもそうですし、京都芸術センター図書室や甲良町立図書館(滋賀県)もそうです。
少子化現象で小学校の廃校が多くあります。それを生かして図書館にする試みはもっと広がってもいいように思います。かつての子どもたちの歓声が聞こえるような、そんな図書館で本を読むのもいいではないですか。
北陸新幹線の開通でにぎわう金沢にある金沢海みらい図書館も素敵です。福井市の福井県立図書館もいい。長野県小布施の小布施町立図書館まちとしょテラソは栗のおいしい季節には最高かもしれません。
観光といえば温泉やグルメですが、それに「最も美しい図書館」を組み合わせると、深みがちがってくるような気がします。
それにしても、こんな美しい図書館を活用している地元の人がうらやましい。
引っ越ししたくなります。
(2015/09/15 投稿)

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05/03/2022 東京の美しい図書館(立野井 一恵):書評「一度は行ってみたい図書館ばかり」

今日は憲法記念日。
巨船まだ白し憲法記念の日 櫂 未知子
大型連休も後半戦。
行動制限がない大型連休は3年ぶりで
久しぶりに遠出をされた人も
多かったようです。
まだ遠出は、とためらった人もいるでしょうが
そんな人におすすめなのが
近くの図書館。
新しい本との出会いがあったりして
いい気分転換になりますよ。
もし、近くに
今日紹介する立野井一恵さんの
『東京の美しい図書館』に紹介されている図書館があれば
さらにいうことなし。
出かけなくても
この本を開くとちょっとした旅気分。
じゃあ、読もう。

新型コロナウイルスの発生・感染拡大は、実にさまざまなところに影響をもたらせました。気がつかないうちに、私たちの生活そのものに変化が生まれているように感じます。
図書館も影響を受けました。
感染前多くの利用者でいっぱいだった図書館も入館制限、貸出制限があったりしました。感染が拡大している際には、閉館という処置も取られたこともありました。
図書館内は感染前から静かな空間でしたが、それでも人が密になることが嫌われたということでしょう。
2021年10月に出版されたこの本で紹介された図書館には利用者の姿は写っていません。もちろん、それは図書館の美しさを伝えるためのものだからですが、それはあたかも感染症で利用制限がかかった図書館のようにも見えてしまいます。
けれど、人が本という媒体を捨てられないように、図書館という空間もなくなることはないと思います。
美しい写真を見ながら、そこを利用するたくさんの人の姿を思い浮かべながら、読んでいました。
この本のタイトルでは「東京の」とありますが、ここで紹介されている9つの公共図書館と9つの学校図書館、それと3つの旧図書館の中に、「東京」ではない神奈川や埼玉、群馬の図書館も入っています。
なので実際には「(ほぼ)東京の」が正しいでしょうが、こんなに美しい図書館を知ることができるのですから、満足な選択といえます。
特に多くの図書館が一般の利用者を制限している大学図書館の景観を見れるのも、この本のガイドとしての愉しみのひとつになっています。
(2022/05/03 投稿)

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レビュープラス
05/02/2022 さあ、夏野菜の栽培スタートです - わたしの菜園日記(4月29日)

今年3年ぶりに
新型コロナウイルスによる行動制限がない大型連休ということで
帰省やレジャーに多くの人が出ているようです。
私はといえば
いよいよ夏野菜の季節の到来で
畑の作業にいそしみました。
特に29日の昭和の日は
苗が届いてことや昼から雨になる予報もあって
菜園は朝から多くの人で
にぎわっていました。


手前の畝が出入口に近い1番畝。
そこにはミニパプリカ(右側)、サンチュ(中央)、長ナス(左側)を
植え付けました。
その次の畝が2番畝。
右に植えたのが、中玉トマト。
その横で防虫ネットがかぶさっているのが
先日種を蒔いたエダマメ。

エダマメがしっかり芽を出しています。

ニンジンとかと違って
マメ科の野菜は発芽率が高いですね。
2番畝の奥にあるのが
収穫目前のソラマメ。


菜園から提供されている苗は一つですが
近くのホームセンターで苗を購入してきて
キュウリの苗を2つ育てます。
利用する人によっては
ここで小玉スイカを育てる人もいます。

夏野菜の植え付けです。

こちらは
今回初めて栽培する「コロタン」という種類のメロン(右側)。
キュウリやスイカと同じウリ科ですが
栽培方法は少し違うようですから
うまくいくか、楽しみです。
左側に植えつけたのはミニトマト。
その奥に見えているのは
ズッキーニ。

ジャガイモとインゲンを育てている畝もあります。


私のように始めて何年も経つ人もいるし
今年から始める人もいたりしてさまざま。
近くの区画の人と
「今年はどうでしょうか」とおしゃべりするのも
楽しみです。


今年も咲きました、ムギコスモスです。

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