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 今日8月31日は、野菜の日
 8(や)31(さい)の語呂合わせです。
 なので、
 今日は野菜が大好きなうさぎの話をしましょう。
 しかも、このうさぎ、とっても有名なんです。
 このうさぎの絵のついた食器とかマグカップを持っている
 子どもたちもたくさんいるのではないかしら。

 このうさぎの名前は、ピーターラビット
 イギリスの女性、ビアトリクス・ポターが生み出した
 世界的なスーパースターです。
 イギリスで最初の絵本が出版されたのが1902年、
 日本でも間もなく翻訳されたそうですが、
 なんといっても有名なのは
 石井桃子さんが1971年に翻訳したシリーズです。

 その絵本が2002年に
 最新のデジタル技術で生まれ変わりました。
 新しい版では初版当時収録されなかったものや
 今まで一度も使用されなかった6枚の絵も
 収められています。
 その日本語訳が2022年に刊行された
 川上未映子さん訳の『ピーターラビットのおはなし』。
 早川書房から出ていて、
 てのひらにのるほどの、かわいい絵本に仕上がっています。

    

 ピーターラビットって
 キャラクターはよく知られていますが、
 どんなお話なのか知らない人も多いと思います。
 野菜大好きでいたずらっこのピーターが
 マグレガーおじさんの畑で繰り広げる大冒険なのです。
 「レタスをなんまいか、それから、さやいんげんを食べ、
 はつかだいこんもなんぼんか。
 人の畑でそんなに食べては、
 マグレガーおじさんも怒るはず。

 野菜が苦手な子どもたちも
 ピーターラビットみたいにたくさん野菜を
 食べてくださいね。

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プレゼント 書評こぼれ話

  「京セラ」の創業者で、名誉会長だった稲盛和夫氏が
  24日亡くなりました。
  90歳だったそうです。
  稲盛和夫氏といえば、
  「京セラ」だけでなく、「第二電電」(現在のKDDIに至る)を立ち上げ、
  民主党政権下では日本航空の再建に寄与された
  昭和から平成に至る名経営者でした。
  また、著作も多く、
  その中で新しい世代のビジネスマンを𠮟咤激励し続けました。
  私も稲盛和夫氏の著作はかなり読んでいて
  追悼の意で
  どの本を紹介しようかとても迷いました。
  何度も読んだ『生き方』にしようか、
  稲盛和夫氏が母を語った『ごてやん』にしようか、
  それとも仕事のやり方を説いた『「成功」と「失敗」の法則』がいいか、
  でも、今はこの本がいいかな、と選んだのが
  2019年8月に読んだ『心。
  再録書評で紹介します。

  稲盛和夫さん、
  たくさんの教えありがとうございました。
  これからも、弱気になった時
  きっとまた手にすると思います。

  稲盛和夫氏のご冥福をお祈りします

  

sai.wingpen  何度でも読んで、何度でも心揺さぶられる                   

 最近理不尽な事件が多い。
 何の罪もない人や子供たちが犠牲になる。そのことにやりきれない思いを感じる。
 一方、事件を起こした人の心の闇の深さに呆然となる。一体どのようにしてその心の闇は生まれたのだろうか。
 そんな時、京セラの創業者で現在名誉会長である稲盛和夫氏のこの本を読んだ。
 その冒頭にこうある。
 「人生で起こってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。」
 だから、「心に何を描くのか。どんな思いをもち、どんな姿勢で生きるのか。それこそが、人生を決めるもっとも大切なファクターとなる。」
 生きていくことは一筋縄ではいかない。
 稲盛和夫氏も今でこそ多くの賛辞を得ているが、そこに至るまでには多くの波乱があったことは、稲盛氏は多くの著作の中で書いている。
 そうして、たどりついた思いは、心が持っている強い力。
 誰もが稲盛氏になれるわけではないということはわかっているが、少なくとも稲盛氏が教えることを素直に聞くことが、人生を意味あるものにするのではないだろうか。

 稲盛氏はこの本で「人生の目的」をこう語っている。
 一つは「心を高めること」、これは魂を磨くことだという、そしてもう一つが「利他の心」で生きることだという。
 稲盛氏の著作は一度読んでそれで終わりではない。
 人は時に傲慢になり、怒り、欺こうとする。だから、何度も稲盛氏の著作を読んで、心をきれいに保つしかない。

 稲盛氏は最後に「いまどんなにつらい境遇にあるとしても、それにめげることなく、気負うこともなく、ただ前向きに歩んでいってほしい」と書いている。
 きっと多くの人の心に届く言葉であるだろう。
  
(2019/08/02 投稿)

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 高瀬隼子さんの『おいしいごはんが食べられますように』が受賞した
 第167回芥川賞
 候補作5作が全員女性という初めてのことで
 話題になっていましたが、
 発表のあった際にも
 選考委員の川上弘美さんに「女性」と「時代の変化」といった答えを
 ひきだそうとしたテレビ局があったと
 問題にもなりました。
 その際の川上弘美さんの答えは
 「女性です、男性ですって一言で言っちゃうところがもう小説的でないような気がするんで…。」と
 戸惑っているふうでした。

    

 そんな事件(!)があったので
 今月出た「文藝春秋」9月特別号
 受賞作の全文掲載と選評の発表で
 なにかそのことに対し、
 選考委員からコメントがあるかと期待(?)していたら、
 ありました、ありました、
 山田詠美選考委員がのっけからズバッと
 某報道番組をバッサリ。
 題して「世相と時代の怪」。
 選評から抜粋すると、
 「今回の女性候補者たちは「男女機会均等法枠」で選ばれたのではなく、
 小説作品の質が高いから最終的に残ったのである。
 小説の出来に「均等」なんてないよ! そこ、ヨロシク。」と、
 小気味いい。

 一方、川上弘美選考委員は、
 今回の事件をスルーして、
 選評には一言も書いていない。
 そのうえで、今回の受賞作について
 「この小説の中の人たちは、生きているのです。
 生きているから、矛盾するし、ゆらぐし、へんな時もすっきりした時もある。」と
 高評価です。
 あの時、川上弘美さんに質問したTV局の人は
 もしかしたら小説に登場する人たちよりも生きていないかも。
 『おいしいごはんが食べられますように』をしっかり読むといい。

 おもしろかったのは
 松浦寿輝選考委員の評で
 受賞作を「これはほとんど恐怖小説」と讃えている。
 なるほど、あの作品をそう読んだか。
 だから、小説は面白いんだ。

 「文藝春秋」9月特別号には
 ほかにも高瀬隼子さんの「受賞者インタビュー」や
 「受賞のことば」も載っています。
 子どもの頃に通っていた地元の小さな本屋さんとの思い出をからませた
 「受賞のことば」は心がホッとする、
 いい文章でした。

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 夏から秋への変化を
 どんな時に感じますか。
 私の場合、日の短さでしょうか。
 この間まで夜の7時前まで明るかったのに
 今は6時頃には夕暮れが迫ってきています。

  20220823_181530_convert_20220828081724.jpg

 「秋は夕暮れ。」と清少納言が『枕草子』で書いていますが、
 これからもっと美しい夕暮れを
 楽しむことができます。

     日のくれと子供が言ひて秋の暮         高浜 虚子

 畑でも秋冬野菜の準備を急いでいます。
 種や苗を植え付けるまでに
 2週間ほど前に元肥をいれておきたいところです。
 天気予報を気にしながら、畝をつくりました。
 畝づくりのために欠かせない道具を
 紹介しておきましょう。

  20220826_113620_convert_20220828081859.jpg

 写真の右側の畝にのっているのが、それです。
 まずは、設計図
 どれぐらいの大きさの畝を作るか、大事です。
 そして、ものさし
 1メートルの木でできたものを畑で用意してくれています。
 そして、目安をこしらえるための紐
 写真で緑の棒状がそれです。
 各隅に棒を差し込んで、紐を張れば畝の周囲ができます。
 これを目安に畝をつくります。
 そして、もちろん

 いよいよ今週末から
 まずは2番畝でダイコンの種まきが始まります。
 写真でいうと右側の畝。
 ここでは、カブとかも育てます。
 左側の3番畝では
 ミニキャベツミニハクサイ茎ブロッコリー
 育てます。
 こちらは苗で、9月の2週目から植え付けです。

 夏野菜はすっかりおしまいかといえば
 そうでもなくて
 ナスのように
 しっかり頑張ってくれているものもあります。

  20220826_105446_convert_20220828081828.jpg

 まあ、それでも
 収穫の量ではやはり少なくなりました。

  20220825_174615_convert_20220828081756.jpg

 こんなところでも
 夏の終わりを感じます。

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 絵本作家と呼ばれる人は、
 もしかしたら物語などを書く作家よりもたくさんいるかもしれない。
 物語作家にもお気に入りの人がいるように、
 絵本作家にもこの人の作品なら読んでみたくなる、
 そんな人がいる。
 石川えりこさんも、私にとっては、そんな絵本作家の一人だ。

 石川えりこさんは私と同世代ということもあって、
 絵から醸し出る世界観に共鳴するところがある。
 いってみれば、昭和30年代の匂いというと、失礼だろうか。
 2022年6月に出たばかりの、この『庭にくるとり』にしても、
 物語の背景は決して昭和ではないが、
 描かれる少年はじめ君の、どこか孤独感のする感情などは
 やはり自分たちが育ってきた世界に近い。

   

 この作品の書き出しには驚く。
 何の前触れもなく、
 「ぼくは母さんが生まれた家でくらすことになった。」で
 始まる。
 え?!
 お父さんはどうしたの?
 離婚? 死別?
 何もわからないが、はじめ君がどうやら転校して
 おじいさんの家に住みだしたことがわかる。
 はじめ君の孤独をおじいさんが癒してくれる。
 庭にやってくる鳥のことや樹木のことを
 おじいさんはたくさん教えてくれる。

 父親の不在を祖父が埋めていく。
 そして、少年は次第に大人に成長していく。
 この『庭にくるとり』は、
 少年の成長物語なのだ。

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 8月、日本を代表するファッションデザイナーが
 相次いで逝去されました。
 8月5日に、三宅一生さん。1938年生まれの84歳でした。
 8月11日に、森英恵さん。1926年生まれの96歳でした。
 ファッションオンチのおじさんであっても
 さすがにこのお二人の名前はよーく知っています。
 お二人のような人が
 日本の文化水準を高めてくれていたのだと
 あらためて思います。
 もちろん、世界、特にファッション界の尖端であるパリには
 世界的に名を馳せたファッションリーダーがいます。
 その中の一人、
 イブ・サン=ローランの半生を描いた映画
 「イブ・サンローラン」が今日のお話です。

   

 映画「イブ・サンローラン」は
 2014年のフランス映画。
 タイトルの通り、
 「モードの帝王」と呼ばれたイブ・サン=ローランの伝記映画です。
 イブ・サンローランを知らない人はいないのではないかと思うくらい、
 あのYとSとLを組み合わせたロゴは有名。
 そのブランドの創設者が
 イブ・サン=ローラン
 彼は1936年生まれで、亡くなったのは2008年。
 71歳の時。
 映画では彼の才能が認められていくなかで
 同性を愛し、創作に苦しみながらも
 やがては世界に認められていく姿を描いています。

 驚くのは、彼が亡くなって
 わずか6年あまりで映画になってしまうこと。
 しかも、同性愛や薬物にはまっていく姿など
 日本の映画ではなかなかできない表現を描いているのだから
 すごい。
 三宅一生さんや森英恵さんも映画化されると面白いはずだが
 日本映画界ではなかなか望めないのが
 残念です。

 映画「イブ・サンローラン」でイブの役を演じているのは
 ピエール・ニネという俳優だが、
 本物とよく似た人を探したのだろうか。
 きっと実際のイブもあんな感じだったのだろうな。

 この映画ではファッションショーの裏話のような
 場面もあったりして
 ファッション好き、
 イブ・サンローラン好きにはたまらない映画なのだろう。

 最後に
 三宅一生さん、森英恵さんの
 ご冥福をお祈りします

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  今回のアガサ・クリスティー
  ミス・マープルもの
  『魔術の殺人』。
  マープルものでいつも思うのですが、
  登場人物たちの多くが知っていようがいまいが関係なく
  マープルに寄っていくということ。
  余程人に安心感を与えるオーラのようなものが
  ミス・マープルにはあるんでしょうね。
  なので、読者も彼女が大好きという人が多いはず。
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』では
  ★★の評価ですが、
  私ならプラス☆をあげたいところ。
  ミス・マープルもので
  つい点が甘くなってるかもしれませんが。

  じゃあ、読もう。

   

sai.wingpen  親戚も複雑になると、誰が誰やら                   

 『魔術の殺人』とは、ややバランスのよくないタイトルに思える。
 原題は「They Do It with Mirrors」で、1952年に発表された「ミス・マープル」ものの長編小説である。
 原題をそのまま訳すと、「鏡を使ってそれをした」というぐらいだが、本作の最終場面、いよいよミス・マープルが殺人事件の謎を解くところで、彼女はこんなことをいう。
 「魔術のトリックのことなんです。魔術師は、鏡をトリックに使いますわね」
 つまり、ここから、日本訳では『魔術の殺人』となったのだろうが、ミス・マープルのこの説明に聞いている刑事たちは戸惑ったことだろう。

 今回、ミス・マープルが向かったのは寄宿学校時代の友人の依頼によるもの。
 友人の妹の周辺に、何やら不穏な雰囲気があるようで、友人はそのことの解明をミス・マープルに頼んだことから、物語は動き出す。
 彼女が行ってみると、果たして友人の妹の周辺には、夫や娘、孫娘とその夫、孫娘に迫る青年2人、さらには精神を病んでいるような若者までいる。
 そこに友人の妹の最初の夫の息子が現れる。(関係が複雑なのが難点。息子といっても年をとっています)
 その彼が殺されるのです。
 しかも、どうやら友人の妹の命も狙われているらしい。

 関係を解きほぐして、犯人をあてるのは相当難しい。
 何故なら、犯人の動機に至る伏線がほとんどないから。
 なんで、犯人さがしということはあきらめた方がいい。
 殺人がどのように行われたか、そのトリック解明がこの作品の読みどころ。
 そう、「魔術」がヒント。
  
(2022/08/26 投稿)

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 中島みゆきが「アザミ嬢のララバイ」でデビューしたのが1975年。
 私が二十歳の頃だ。
 同じ年に「時代」が第6回世界歌謡祭でグランプリを受賞。
 「時代」は今に歌い継がれる「日本のうた」になる。
 当時大学生だった私は、中島みゆきの歌がFMで流れるたびにカセットで録音したものだ。
 その頃だった、友人から「暗い歌だな」と言われたのは。
 中島みゆきよりもっと暗い、山崎ハコにもハマっていた私は、
 決して中島みゆきを暗いとは思っていなかったが。

    

 それから半世紀近い歳月が経とうとしている。
 私が過ごしてきた時間とともに歩んでくれたように、中島みゆきの歌はあった。
 その時々で、同じ涙を流し、そっと目をふせ、時に励まされ、時に怒りにふるえた。
 その力は、中島みゆきが書いた詩の力といっていい。
 決して研ぎ澄まされた言葉ではなく、だから心を寄せあえる。
 中島みゆきの詩の力だ。
 
  「こんな言葉を 今どきわかる人がいるかしら
   言葉は変わる 暮らしは変わる」  (「終り初物」)

 それでいて、これは中島みゆきの歌でもある。
 メロディが詩からわきあがる瞬間を、この『中島みゆき詩集』を読みながら、
 何度感じただろう。

  「まわるまわる時代はまわる
   別れと出逢いをくり返し」  (「時代」)

 この詩からメロディを消すことは、
 私にはできなかった。
 もしかしたら、中島みゆきの詩を純粋に詩として読む世代が生まれるかもしれないが、
 私はメロディがわきあがる詩があっていいと思う。

 この詩集の「巻末エッセイ」は、
 同じ北海道出身の直木賞作家桜木紫乃が書いている。

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 副題にある「竹内浩三」をウィキペディアで調べると、「日本の詩人」とある。
 けれど、萩原朔太郎中原中也といった詩人とは違うし、
 戦後の谷川俊太茨木のり子といった詩人とも違う。
 竹内浩三は昭和20年4月、23歳の時ルソン島で戦死していた青年だった。
 その彼が「日本の詩人」として名を後の世に残すことになったのは、
 「戦死やあわれ」とうたわれた『骨のうたう』という一篇の詩が、
 戦後多くの人に知られていったことがきっかけとなった。
 1979年生まれの稲泉連竹内浩三を知るのも、
 2001年11月に出版された『竹内浩三全集』全一巻との出会いであった。

 稲泉連はこの『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』により、
 2005年に第36回大宅壮一ノンフィクション賞を史上最年少で受賞している。

   

 竹内浩三という詩人が生まれたのは、竹内の遺稿を大切に保管されていた姉の存在が大きい。
 そして、その姉から遺稿を託された浩三の友人たち、
 偶然浩三の詩を知ることになった若くして亡くなってしまうNHKのディレクター、そして彼の友人。
 そういった人のつながりが竹内浩三という無名の兵士を「日本の詩人」に生まれ変わらせたといえる。
 そして、そこにつながっていくのが、20代前半だった稲泉だ。
 稲泉がこの作品を書き、大宅壮一賞を受賞したことで、
 竹内浩三はこれからも「日本の詩人」であり続けるだろう。

 竹内浩三は『骨のうたう』で反戦詩人のようにいわれることが多いが、
 『五月のように』は「青空のように/五月のように/みんなが/みんなで/愉快に生きよう」といった、
 高い空をあおぐような詩も書いた「日本の詩人」なのだ。

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 昨日8月22日は
 作家向田邦子さんの忌日「木槿(むくげ)忌」でした。
 向田邦子さんが台湾での飛行機事故で亡くなったのは
 1981年(昭和56年)8月22日でしたから
 もう40年以上前になります。
 向田さんの忌日を「木槿忌」と呼ぶのは、
 向田さんと親交のあった山口瞳さんが
 急逝した向田さんを偲んで綴られたエッセイにちなんだもの。

 向田邦子さんは
 脚本家として名を成し、
 その後エッセイスト、そして作家となった。
 直木賞を受賞したのは亡くなる前年、1980年だから
 もし、亡くならなければどんな作品を残しただろうと
 多くの人が悔しがった。
 その向田さんの最初のエッセイ集がこの『父の詫び状』。

    

 初出は「銀座百点」という雑誌で
 1976年から1978年にかけて掲載されたもの。
 単行本になったのが1978年秋。
 掲載終了後まもなくだった。

 そして、文春文庫に入ったのが、
 亡くなった1981年12月で、
 文庫化に際し、向田さんはその解説を
 まだ若い書き手だった沢木耕太郎さんを指名する。
 沢木さんは向田さんの期待に応えるべき、
 文庫解説としては長い文章を綴っていく。
 そして、ようやくその仕事にめどがついた8月22日、
 沢木さんは向田さんの突然の訃報に接することになる。

 文春文庫版の『父の詫び状』は
 向田邦子さんの第一エッセイ集という誉れと
 エッセイとしての読み応えのある愉しみと
 それを最後に見送ることになった
 沢木耕太郎さんの慟哭がつまった、
 本としても貴重すぎる一冊といえる。

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 明日、8月23日は
 二十四節気のひとつ、処暑
 そろそろ暑さが収まってくる頃。
 そういえば、
 どことなく夏の終わりを感じるようになったのは
 日が暮れるのが少し早くなったせいかも。

 私が借りている畑の一角に
 誰もが休める場所があって
 今そこにヘチマの花が咲き出しました。

  20220819_084110_convert_20220820160203.jpg

 猛暑時のグリーンカーテンにはなりませんでしたが、
 ヘチマは秋の季語ですから
 今が旬。

    糸瓜棚この世のことのよく見ゆる       田中 裕明

 畑では順番に野菜の仕舞時。
 20日にはクウシンサイも伐採しました。
 野菜の根は
 その種類によってさまざま。
 土の上に出ている姿はよく見えますが
 土の中まではなかなかわからないものです。
 なので、伐採の時に
 ははん、この野菜はこんな根の姿なんだって
 観察するようにしています。
 クウシンサイの根は実にりっぱ。

  20220820_093336_convert_20220820160429.jpg

 毛細血管のよう。

 この夏は
 オクラがよく採れます。

  20220820_083730_convert_20220820160312.jpg

 いつもなら種から栽培ですが
 今年は苗を買ってきて育てているからかもしれません。
 毎日のように数本収穫しています。

 これはミニパプリカ

  20220820_083839_convert_20220820160358.jpg

 色鮮やかですが
 やっぱり大きなパプリカの迫力にはかないません。
 次育てるとしたら
 やっぱりでっかいパプリカかな。

 この夏の収穫も
 そろそろ最終コース。

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 長ナス
 モロヘイヤとかクウシンサイを従えて
 ちょっと誇らしげ。

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 かえるを苦手という子供も多いだろうが、その一方でキャラクターとしてのかえるは人気者だ。
 おじいちゃんおばあちゃん世代にも人気のあったコルゲンのケロちゃんなんかは、
 今でも子供たちに人気があったりする。
 大きな目、大きな口、あたりがかわいいのかもしれない。

  

 そんなかえるの世界に本屋があったらどうだろう。
 やぎたみこさんの『かえるのほんや』は、子供たちが大好きなかえるたちを主人公にして、
 その活躍の舞台を本屋さんに設定した、子供のお話し会にぴったりの絵本に仕上がっています。
 何しろ、かえるの子供のおたまじゃくし向けにお話し会なんかしたりしているのですから。
 お話し会ではどんな本を読んでいるかというと、
 小さい子向けと足がはえてきた少し大きな子向けの本を変えていたりして、
 人間の世界顔負けの、気配りをしている。
 かえるたちの本はどうして作っているのだろう。
 ほんやの奥が出版社みたいになっていて、かえるの本ができるまでのいろんな工程を知ることができる。
 そこでは作家のかえるとか絵描きのかえるとか集まって、新しい本づくりの会議をしたりしている。
 アイデアが浮かばないかえるたちの前に、白い犬が迷い込んできて、さて、どうなる?

 やぎさんのやさしい色づかいと、楽しいアイデア満載のこの絵本の巻末には
 「かえる文字」の一覧まで付いています。
 あなたなら何文字読めるだろうか。

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 1993年にスティーブン・スピルバーグ監督の
 「ジュラシック・パーク」が公開された時、
 恐竜のあまりのリアルさに度肝を抜かれました。

  

 何しろこちらはゴジラ世代、
 スピルバーグ監督の恐竜たちは一体どうやって撮影したのか
 不思議でなりませんでした。
 しかも、あの映画のすごいところは
 恐竜映画というパニックものの面白さだけでなく
 映画のエンターテインメント性が随所にあるところ。
 恐竜の姿はまだ見えないのに
 コップの水が次第に揺れてくる場面は
 今観ても怖い。
 あれから間もなく30年が経とうとする2022年夏、
 シリーズ6作めで完結編ともいわれる
 「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」が公開。
 さっそく映画館で観てきたので
 今日は「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」の話です。

 最初に書いておくと、
 やはりこういうアクション映画は
 映画館の大画面と大音響で観た方が
 絶対面白いということ。
 特にこの作品の場合、
 007ばりの街なかでのカーチョイス(といっても、相手は恐竜)があったり
 恐竜どうしの死闘があったり、
 音の魅力は欠かせません。

 シリーズ最後の作品といわれるだけあって
 1作目の「ジュラシック・パーク」に登場した
 サム・ニールローラ・ダーン
 同じ役柄で活躍します。
 彼らたちにも映画と同じだけの時間が流れていますが
 結構かっこいい。
 そして、今回の作品では「ジュラシック・パーク」シリーズで活躍した
 クリス・プラットたちも登場して
 ダブル主役のような形になっています。
 ただ、できれば
 この作品の前に前作までの5作を復習していた方が
 楽しめると思います。
 なかでも、5作めの「ジュラシック・ワールド 炎の王国」は
 観ていた方がいいかも。

 恐竜たちの品種も数も
 第1作めからすると数倍も違いますから
 その迫力には圧倒されっぱなし。
 一体どれぐらいの制作費がかかったのか、
 つい算盤をはじきたくなりました。 

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 「夏葉社」は、今注目の出版社だ。
 その代表で、営業担当でもあり、総務担当でもあるのが、島田潤一郎さんだ。
 つまり、夏葉社は一人出版社なのだ。
 島田さんのこと、夏葉社のことを知ったのは、
 8月6日の朝日新聞の土曜別刷りの「フロントランナー」という記事だった。
 その中で、2014年に晶文社から刊行された
 島田さんの出版社を起こす「甘酸っぱい日々」を綴った『あしたから出版社』という本を知って、
 読んでみた。
 こんな面白い本が、自分の出版社でなく、他の出版社から出ているのが、もったいないくらい。
 でも、そういうあたりが、島田さんの出版に対するまっすぐな思いなのかもしれない。

  

 夏葉社は2009年、島田さんが33歳の時に設立された。
 それまでの島田さんは決して出版業界に詳しかったわけではない。
 むしろ、なかなか就職もできない「負け組」の青年だった。
 その島田さんが何故出版社をやってみようと決意したか。
 仲がよかった従兄の突然の死、それを悲しむ叔父と叔母。
 島田さんは二人のために、本をつくってみようと決める。
 この『あしたから出版社』には、
 島田さんが出版社を始めた経緯や、まだ何者でもなかった20代に出会った人たちのこと、
 出版社を立つあげて向き合った本の話など、
 もしかしたら、今絶望している人にも勇気を与えてくれるような話がいっぱいだ。

 「本は情報を伝える媒体というよりも、
  こころを伝える「もの」であるように思える

 島田さんの、そんな言葉にじんときた。

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 よく売れているそうだ。
 2022年上半期の文庫部門のベストセラー第1位だとか。
 単行本が出たのが、2018年4月。
 文庫になったのが、2021年8月で、やはり廉価の文庫本になって、
 コスパがあがって、より購買者が増えたといえる。
 タイトルがいい。
 『三千円の使いかた』。
 それで、700円余(この余は税金)の投資(?)だとしても、「元」とれるんだとしたらいうことない。
 世の中あまりうまい話はないが、この物語は「元」はとれるかも。

 原田ひ香さんの『三千円の使いかた』は、6つの話からなる連作短編集。

  

 全体は時間の経過とともに描かれているから、長編のようにも読めるが、
 6つの話は主人公がそれぞれ違うから、どの話から読んでも不都合はない。
 登場するのは、73歳の祖母琴子を筆頭に、嫁の智子、そして二人の孫娘。
 一人はしっかりものの真帆で、結婚して子供もいて、貯金にもがんばっている。
 下の孫娘美穂は、半年前に一人暮らしを始めたばかりの新米社会人。
 年代も取り巻く環境も違う彼女たちが、どんなふうにしてお金とかかわっていくか、
 時にコミカルに、時にホットに、描かれていく。

 個人的に好みの話があるだろうが、私は第5話の「熟年離婚の経済学」が面白かった。
 主役は55歳の嫁智子さん。病気から快復して家に戻ってきて、初めて気づく夫の無関心さ。
 彼女の頭をよぎる「離婚」の二文字。でも、そのあとの生活はどうなる?
 あなたが奥さんなら、夫に読ませるべき。
 もし、あなたが夫なら、そっと奥さんの目が届かないところに置くか。
 この1篇で、「元」はとれた気分になりました。

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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日今江祥智さんの『ぼんぼん』という
  児童文学を紹介しました。
  その際に
  手塚治虫さんの「戦争漫画」と
  よく似た匂いがすると書きました。
  せっかくなので
  今日は2019年8月に書いた
  手塚治虫さんの『手塚治虫「戦争漫画」傑作選』を
  再録書評で紹介します。
  手塚治虫さんが宝塚歌劇のファンだったことは
  よく知られていますが、
  今江祥智さんの『ぼんぼん』にも
  戦時中の宝塚歌劇の最後の公演の様子が
  描かれています。

  じゃあ、読もう。 

  

sai.wingpen  「昭和」とともに生きた手塚治虫だから描けた「戦争漫画」                   

 手塚治虫は昭和3年(1928年)に生まれ、昭和が終わって間もない平成元年(1989年)2月、60年の短い、けれど激動の生涯を閉じた。
 ほとんど昭和とともに生きた人だったといえる。
 幼年期、少年期は戦中、そして昭和20年8月の終戦時には多感な青年前期で、すでに漫画に夢中になっていた。
 戦後手塚は売れっ子漫画家として数多くの名作を世に生み出すことになるが、少年期青年期に体験した戦争のことは、生涯忘れることはなかった。

 手塚の作品の膨大なことは、彼の漫画全集が全400巻に及んでいることからもわかる。
 そして、手塚は「戦争漫画」と呼べる作品も数多く描いている。
 この本はそんな手塚の「戦争漫画」から7つの短編を収録している。
 これらの作品が発表されたのは1968年から1979年にかけてで、発表誌も「少年ジャンプ」や「少年サンデー」など、手塚の主戦場ともいえる少年漫画誌であった。

 「戦争漫画」といっても、手塚の場合戦争を肯定するものではない。
 名作の誉れが高い「紙の砦」では戦争が終わったもののその直前の空襲で自分の夢をくじかれた少女の姿を切なく描いている。
 あるいは、「すきっ腹のブルース」では戦争が終わったものの食べるものがなくいつもすきっ腹を抱えている漫画家の卵を描いて、飢餓のために恋さえ実らせることのできない悲哀を描いている。
 また、戦争による環境破壊を描いた「ゼフィルス」など、手塚のこだわりを感じる。

 これらの作品は、昭和を生きた手塚だからこそ描けた「戦争漫画」だったような気がする。
  
(2019/08/09 投稿)

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 戦後77年も経ち、子供たちに太平洋戦争のことを伝えるのは、どんどん難しくなっている。
 何しろ、おじいちゃんおばあちゃん世代も若い頃は「戦争を知らない子供たち」と歌っていた人たちになっているのだから。
 もちろん、子供向けの絵本にも戦争の悲惨さや悲しみを描いたものもあるし、
 「漫画の神様」と呼ばれた手塚治虫さんには当時の戦争の頃を描いた作品も多いから、
 そういう作品で伝えることはできる。
 そして、子供たちが小学生の高学年になったら、読ませてあげたいのが、
 児童文学者今江祥智(よしとも)さんの『ぼんぼん』だ。

  

 今江さんは1932年に大阪に生まれた。(2015年逝去)
 なので、1928年生まれの手塚治虫さんと近い世代ということもあって、
 『ぼんぼん』と手塚さんの戦争漫画は似た匂いを持っている。
 読み比べてみるのも面白い。
 『ぼんぼん』は、小学3年生から小学6年生までの洋という、大阪市内で暮らす少年の物語である。
 昭和16年の春から昭和20年8月の終戦までを描いている。(エピローグではその2年後の姿も書かれている)
 物語の初めの頃は戦時中といっても、すごく平和な感じすらしているが、それがどんどんなくなっていく。
 主人公の洋には洋二郎という4つ違いの兄がいるが、洋楽の好きな兄もどんどん軍国少年に変わっていく。
 そして、昭和20年3月13日、大阪は大空襲にあう。洋たちの街も火の海に巻き込まれていく。
 空襲の中逃げ惑う人々、炎に焼け死んでいく人々、焼き跡の中で洋が見た米軍墜落機への過酷な仕打ち。
 普通であったことが、いつの間にか狂気になっていく怖さが、この作品にはある。

 物語を読むことで、自身が経験しなかったものを味わう。
 子供たちに読み継がせていきたいし、
 「戦争を知らない子供たち」と歌ったおじいちゃんおばあちゃんにも
 読んでもらいたい一冊だ。

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 関東地方でも
 毎年一度や二度は台風がやってきます。

    台風のなか夫も子もよく眠る        西宮 舞

 先週の土曜日は台風8号が
 関東地方に接近上陸する予報がでていたので
 その前の金曜日には畑での台風備えの準備をしました。
 この時期はそろそろ夏野菜もおしまいなので
 思い切りよく伐採ができます。
 背が高く育って野菜を片付けていきました。

  20220812_083738_convert_20220813163406.jpg

 まずはキュウリ

  20220812_084104_convert_20220813163608.jpg

 この夏は2本の苗で育てて100本以上の収穫がありましたが
 実は2つの苗の収穫には大きな違いがあって
 8対2ぐらいの差がありました。
 伐採の際に根の状態を調べると、
 その差は一目瞭然。

  20220812_093035_convert_20220813163642.jpg

 左の根はたくさん採れた苗のものでしっかり伸びています。
 少ししか採れなかった苗は
 根も貧弱。
 植物にとって根がいかに大切で重要かわかります。

 トマトも伐採。
 今年は中玉トマトが120個余り、
 ミニトマトが230個余りと
 なかなかの収穫量でした。

 おわりの野菜もあれば
 まだこれからの野菜もあります。
 オクラが今年は順調で
 花もいくつも咲きそろっています。

  20220812_083932_convert_20220813163539.jpg

 そして、こちらはニンジン
 とても苦労しましたが、
 ようやく芽が出そろいました。

  20220812_083815_convert_20220813163441.jpg
 
 おかげさまで
 こちらでは
 台風もたいしたことなく通過して
 畑の野菜も無事でした。
 来週には秋冬野菜のための畝づくりが始まります。

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プレゼント 書評こぼれ話

  明日、8月15日は
  77回めの終戦記念日

    終戦日妻子入れむと風呂洗ふ        秋元 不死男

  それに先立って
  12日の金曜日の夕方放送されていた
  関東地方向けのNHK「首都圏ニュース」
  取り上げられていたのが、
  今日再録書評で紹介する
  かこさとしさんの『』という絵本。
  かこさとしさんが反戦の思いで
  若い頃描いた作品で、
  出版されたのが昨年2021年。
  そして、今年もこうして報道番組で取り上げられる意義は
  大きい。
  世界で戦争が絶えない時代に生きる私たちが
  もう一度かこさとしさんの思いと
  共有しないといけないことを教えてくれます。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  ずっと戦争のない、美しい秋を願って                   

  「敗戦のとき、僕は十九歳でした。」
 こんな書き出しで始まるのは、絵本作家かこさとしが子供たちに残したメッセージ『未来のだるまちゃんへ』の「はじめに」の文章です。
 その文章の中で、かこはかつて軍人を希望しながらも近視が進んでなれず、一方で軍人を志した同級生の多くが戦死し、絶望の淵にあったことを告白しています。
 そんなかこを救ったのが、子供のためにできることをしようと決意したことだったのです。
 かこは、昭和二十年から自身の人生が始まったのだといいます。

 この絵本は、「ちいさいときから、秋が大好き」だったかこが昭和28年に描いた作品です。
 タイトルの「秋」には、かこには珍しくピンクのクレヨンが使われていました。
 そんな色やタイトル、あるいは書き出しの秋の魅力を描いた数ページとうってかわって、この作品は戦争への嫌悪を描いた、かこの思いが強く出た反戦絵本といえます。
 敗戦間近の19歳の秋、かこは盲腸炎で入院をしていました。
 そこで、お世話になった医師が軍隊に召集され戦死することやアメリカの戦闘機と戦った負けた日本兵が落下傘が開かず墜落する様などを体験します。
 かこは思います。
 「青い空や澄んだ秋晴れは、戦争のためにあるんじゃないんだ。」と。
 最後のページには、戦争のない秋に咲く美しい秋桜が描かれています。
 それこそが、かこが願った世界でした。

 絵本の最後に、かこの長女である鈴木万里さんがこの作品の出版にいたる経緯を記しています。
  
(2021/11/21 投稿)

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 全世界のテニス女子のあこがれだった
 セリーナ・ウィリアムズさんが引退の意向を表明と
 8月9日に報道されて、驚いた人も多いだろう。
 セリーナといえば、四大大会通算23勝の元世界ランキング1位の選手。
 彼女のお姉さんがさらにすごい。
 あのビーナス・ウィリアムズ
 四大大会決勝で姉妹対決が続いたくらい。
 そんな姉妹の誕生秘話を映画化したのが
 ウィル・スミス主演の「ドリームプラン」。
 この映画でウィル・スミス
 第94回米国アカデミー賞で主演男優賞を受賞したが
 授賞式の中で
 ウィル・スミスが司会者を平手うちで殴るという
 前代未聞も事件が起こったことは記憶に新しい。
 今日は
 そんなトラブルではなく
 純粋に映画「ドリームプラン」の話です。

  

 映画「ドリームプラン」は2021年(日本では2022年)に公開されたアメリカ映画。
 原題が「King Richard」で、
 ビーナスとセリーナの父親で
 彼女たちの素質を信じ、世界のトップ選手に育てあげた
 リチャード・ウィリアムズの生涯を描いた
 伝記映画。
 ウィル・スミスが演じたのは
 このちょっと風変わりの父親。
 何しろ彼は自身テニスの経験がなかったそうだ。
 そんな彼が世界のトップ選手を生み出したのだから
 まさにアメリカンドリームそのもの。

 ただこの父親と付き合うのは
 結構難しいと思う。
 プロのコーチからしたら、
 何も知らないド素人のくせに、と気分いいはずがない。
 それでもこの父親のいうことを聞くのは
 ビーナスの力がそれだけすごかったということだろう。

 私が驚くのは
 この映画が描いた世界は決して遠い過去ではないということ。
 妹のセリーナだって
 つい最近引退を表明したばかりで
 つまりはこの家族の物語は
 現在進行形であるということ。
 そんな人物を映画化するって
 それだけで興味がわきます。

 私はこの映画をTSUTAYA
 DVDレンタルして観ました。
 でも、ウィル・スミス
 もったいないことをしたもの、と
 やはりあの事件に戻ってしまいます。

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 今日8月12日は
 37年前に520人の犠牲者を出した
 日本航空のジャンボ機が墜落した
 追悼の日。
 1985年のこの日の夕刻、
 ジャンボ機が消息を絶ったというニュースは
 よく記憶しています。
 当時大阪の実家に住んでいて、
 実家のテレビでニュースを知ったことまで覚えています。
 水曜日に発売されたばかりの
 「文藝春秋」9月特別号(1200円)に
 ノンフィクション作家の柳田邦男さんの
 「悲しみでつながりあう人たちの物語 御巣鷹「和解の山」」という
 記事が載っています。
 日航機事故の遺族と2011年の東日本大震災の遺族との交流を
 柳田邦男さんは綴っています。
 その中で、日航機事故の遺族美谷島邦子さんのこんな言葉が
 紹介されています。

   悲しみでつながる縁というのもあるのよ。
   そういうつながりのほうが、
   ほんとうに深いつながりかもしれないと思うの。

  

 もちろん、
 「文藝春秋」9月特別号
 第167回芥川賞発表号で
 受賞した高瀬隼子さんの
 『おいしいごはんが食べられますように』が
 全文掲載されています。
 さらには、
 緊急特集と銘打って
 7月8日に起こった
 安倍晋三元総理の暗殺事件関連の記事が
 大きくページを割いています。
 今さらながらに
 この元総理の毀誉褒貶が激しいですが
 そんな中、
 作家で数学者の藤原正彦氏の巻頭随筆が
 ずばり言い切っています。
 タイトルが「内と外では大違い」。
 その文末の一節を抜粋。

   彼(安倍晋三)の国内での成果は高く評価できないが、
   (中略)
   安倍晋三は世界の宰相として尊敬されたばかりか、
   その温かで思いやりのある人柄が愛された。
   日本の政治家として恐らく不出世だろう。

 いつものことながら
 「文藝春秋」9月特別号は特に
 読みごたえ十分である。

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 今日は山の日
 2016年に新設された祝日なので
 私が持っている角川文庫『俳句歳時記 第五版』には
 まだ季語として載っていない。
 これから俳句が詠まれて
 季語としての力を持つようになるのでしょう。

 昨日大谷翔平選手が
 “野球の神様”ベーブ・ルースが成し遂げて以来、
 104年ぶりとなる“2ケタ勝利&2ケタ本塁打”の偉業を達成しました。
 どんなにすごいかというと、
 あの漫画家水木しげるさんが今年生誕100年で、
 今回の大谷選手の偉業は
 それ以上の歳月ですから
 水木しげる先生が生きておられたら
 思わず「フハッ」とため息をついたかも。

 今月の「絵本のある暮らし 月刊MOE」は

    生誕百周年記念
    水木しげる 妖怪めぐり

 の大特集です。

  

 水木しげるさんといえば、
 1922年生まれ、2015年に亡くなった妖怪漫画の巨匠。
 特集記事のリード文から抜粋します。

   『ゲゲゲの鬼太郎』など数多くの名作を遺した、漫画家水木しげる。
   水木しげるが愛した「妖怪」とは、一体どんな存在なのでしょうか。
   その秘密を探りに、不思議な妖怪ワールドをめぐってみましょう。

 そのラインナップがすごい。
 「南伸坊が選ぶ 水木しげるの妖怪画」
 「水木しげるの妖怪人生」
 「ご家族インタビュー 妖怪たちが生まれたところ」
 「水木しげる名作劇場」
 「聖地巡礼 東京・鳥取」
 といった具合。
 中でも、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」「河童の三平」など
 水木漫画の代表作を紹介している
 「水木しげる名作劇場」はよかった。

 水木しげるファンなら
 永久保存間違いなしの「月刊MOE」9月号
 妖怪クリアファイルのふろくもついて
 930円。
 さあ、本屋さんへ急ごう。
 カラン、コロン。

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 どんな本を読むかというのは、やはり自身のお気に入りワードがあって、
 私の場合、そのひとつは「読書」ということになる。
 そこから派生する「読書会」もそうで、ましてやこの新書のように
 『読書会という幸福』と直球でズバッとこられると
 つい手が出てしまう。

    

 翻訳家で学校の司書でもある著者向井和美さんは、自身もまた30年近くある読書会に参加されている。
 そういう経験から読書会がうまく運営されるための作法やさまざまな形式の読書会を紹介している。
 向井さんが参加されている読書会は、全員が同じ本を読んできて意見を語り合う形式で、
 課題本の多くはなかなか一人の読書では手が出ない古典が中心になっている。
 新書巻末には、向井さんが参加されている読書会が30年以上の期間に取り上げてきた課題本一覧が載っていて、
 圧倒される。

 読書会の形式には、ほかにも「おすすめの本を紹介し合う」ものもある。
 ちなみに私が参加している読書会はこの形式で、
 自分だったら絶対手にしない本がメンバーから紹介されて読書欲が沸くということがよくある。
 どの形式の読書会がよいかというのは、自分に合っていればそれでいいので、
 無理をしないことが継続につながっていく。
 気をつけないといけないのは、あまりに楽し過ぎて、つい喋りすぎてしまうことだ。
 これは向井さんの読書会の作法でも、厳に注意されている。

 この新書は「読書会」だけでなく、
 向井さんがこれまで「読書会」を通じて読んできた作品の紹介もあって、
 ブックガイド的にも読めるのがいい。
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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は長崎原爆の日
  今回も「歳時記」から。

    8月9日には長崎にも(原子爆弾が)投下され、
    7万人余りの人命が失われたと推定される。

    首上げて水光天に長崎忌          五島 高資

  長崎といえば
  作家の吉村昭さんが100回以上訪れたという街。
  私も仕事で何度か行ったことがあります。
  できれば、もう一度行きたい街のひとつ。
  今日は沢木耕太郎さんの旅エッセイ集
  『飛び立つ季節 旅のつばくろ』を
  紹介します。
  2020年に出た『旅のつばくろ』の第2弾なので
  表紙の燕に2羽になっています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  沢木耕太郎さんが見ている、来た道、行く道                   

 人生は旅である、あるいは旅は人生に似ていると、よく耳にする。
 沢木耕太郎さんの旅のエッセイには、その言葉がよく似合う。
 沢木さんが『敗れざる者たち』というノンフィクション短編集で颯爽と登場したのは、1976年で、沢木さんはまだ二十代の青年であった。
 それから現在(いま)にいたるまで、沢木さんの作品とともに読者である私もともに歩んできたような気がする。
 いくつか年上の兄のような存在として。

 JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」に連載されていた国内の旅エッセイ35編を収録した本作は、2020年に出た『旅のつばくろ』の第2弾になる。
 なので、新型コロナウイルスの影響で国内といえども旅がままならない時期でのエッセイということもあって、いくつかの文章にその影響がみられる。
 そのひとつが女優の吉永小百合さんに修善寺でインタビューした時のもので。沢木さんは「細心の注意を払いつつ、全力で普通でありつづける」と吉永さんを評している。
 そして、そのあとに「ウイルスの流行というこの特別な状況においては、やはり「細心」と「全力」が「普通」であるための必須のものであるに違いないのだ」と続ける。
 沢木さんの文章の構成のうまさは、若い頃から変わらない。

 今回のエッセイには16歳で初めて東北一周の旅した時間の記憶がしばしば訪ねられている。
 そのことをもって、沢木さんも年をとったということもできるが、何故か私には16歳の少年の後ろ姿をじっと見つめる沢木さんのまなざしの柔らかさを感じる。
  
(2022/08/09 投稿)

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 今街でよく見かけるのが
 さるすべりの、桃色の花。

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 花の時期が長いところから漢字で書くと、百日紅

    道化師に晩年長し百日紅         仁平 勝

 さるすべりは夏の季語。
 今が盛りのさるすべりですが
 昨日が立秋
 暦の上では秋。

    草花を画く日課や秋に入る        正岡 子規

 近くの田んぼの稲も実をつけ始めて
 秋を感じさせます。

  20220805_154413_convert_20220807080947.jpg

 畑でもそろそろ夏野菜の片付けが始まって
 秋冬野菜の準備に入ってきます。
 ミニトマトもそろそろおしまいで、
 割れがはいらないうちに
 どっさり収穫しました。

  20220805_110008_convert_20220807080916.jpg

 赤くはないですが
 これはこれで素敵な色合いです。

 最近の畑での話題は
 もっぱらニンジンの芽がでないこと。
 ニンジンは発芽率が低くくて
 いつも苦労しますが
 今年は特に芽がでなくて
 今は三度めの追い蒔きの発芽を待っています。
 多分今年は暑いので
 発芽適温が25℃までといわれるニンジンには
 厳しい環境だったのでしょうね。
 今は写真のように遮光ネットで蔭をつくるようにしています。

  20220807_093044_convert_20220807112919.jpg

 この夏難しかったのは
 オカノリもそうで、
 大きくなりません。

  20220807_093118_convert_20220807113152.jpg

 オカノリクウシンサイを育てているこの畝は
 9月の上旬には秋冬野菜の苗を植えます。
 なので、
 オカノリは収穫というところまでには
 いかないかな。

 すべての野菜がうまくいく、
 そんなことはなかなかできません。

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 ノンフィクション作家の柳田邦男さんは「絵本は人生で三度楽しめる」と言います。
 それは「幼少期」「子どもへの読み聞かせ期」そして「人生の後半期」です。
 それでも絵本の読者層は圧倒的に「幼少期」の子どもたちですから、
 出版する側もそれに合わせた絵本づくりをするのは当然でしょう。

  

 では、塚本やすしさんの『きょうは選挙の日。』は、どうでしょうか。
 出版されたのが、2022年6月。
 ということは、7月10日に実施された第26回参議院選挙を意識したものだったのでしょう。
 公示は6月でしたし。 
 投票率をあげるために様々な取り組みが行われていますから、
 国民の選挙に対する意識を高めるために、「幼少期」から興味を持たせるということなのでしょう。
 でも、さすがに「幼少期」では早すぎるように思いますが。

 できれば、小学生以上の子どもたちに読んでもらいたい。
 絵本に登場する家族の、お父さんとお母さんに連れられていく子どもも、小学生ぐらいの男の子だし。
 ただ、この家族のようにおしゃれして投票所に行くかな。
 もっと普段着だと思います。
 表紙の見返しにも「選挙は特別なものではなく、日常の延長のものであること」と、
 書いているくらいなのに、惜しい。

 今度の選挙がある時まで、ちゃんとしまっておきましょう。

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 今日は広島原爆の日
 以下、『歳時記』から。

   昭和20年8月6日、広島市に世界最初の原子爆弾が落とされ、
   最初の4か月で13万人以上の人命が失われた。

   立葵朱に咲き上る広島忌        金箱 戈止夫(かしお)

 昨日井上ひさしさんの『父と暮せば』の再読記事を書きましたが
 その中にも触れたように
 この作品は2004年に黒木和雄監督によって
 映画化されています。
 今日は、映画「父と暮せば」の話です。

  

 映画「父と暮せば」はほぼ井上ひさしさんの原作のとおり。
 美津江と父・竹造による二人芝居。
 美津江を演じるのは、宮沢りえさんで
 彼女はこの作品で第78回キネマ旬報ベスト・テン 主演女優賞を受賞。
 原爆で父や多くの友人たちを亡くした美津江は
 自分は幸せになってはいけないという心の葛藤を持った女性。
 その女性を宮沢りえさんは見事に演じ切っています。
 この映画が感動を生むのは
 宮沢りえさんの演技力が大きい。

 父・竹造を演じるのは
 原田芳雄さん。
 私たちの世代にとって
 原田芳雄さんといえばアニキのような存在ですが
 この作品では時にコミカルに、時にシニカルに
 娘を想う父親を演じています。

 井上ひさしさんの原作は純粋に二人芝居ですが
 映画では美津江が好意を寄せる木下青年を
 浅野忠信さんが演じています。

 原作では文字だけで表現される
 「原爆瓦」や「熱で曲がった水薬の瓶」などが
 映画では当たり前のことですが
 映像でどんなものなのか見ることができます。
 その点では、映画の持つ力がうまく表現された作品です。

 今回久しぶりにずっと以前にテレビから録画した
 DVDで観ました。
 画像は傷んでいましたが
 録画してくれた昔の自分に感謝です。

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 明日、8月6日は77回めの広島原爆の日
 
    子を抱いて川を泳ぐや原爆忌       林 徹

 世界は核戦争の恐怖を孕みながら、この日を迎える。
 一体、人間は何を歴史から学ぶのだろう。
 やりきれない気持ちで、またこの日を迎える。

  

 井上ひさしさんの『父と暮せば』は1994年に発表された戯曲だ。
 井上さんのこまつ座で公演され、その後もたびたび演じられてきた。
 2004年には黒木和雄監督で映画化もされている。
 舞台は昭和23年(1948年)初夏の広島。原爆が投下されて3年になろうとしている。
 主人公は図書館で働く23歳の美津江。
 雷が怖くて家に飛び込んだ彼女を、父の竹造が迎える。
 物語が進むにつれ、竹造がすでに亡くなった存在であることがわかってくる。
 竹造は、美津江の恋のときめきから生まれた存在なのだ。

 美津江は原爆で父だけでなく多くの友人たちを失って、そこに負い目を感じている。
 自分が幸せになるわけにはいかない。
 そんな美津江を父竹造はきつく叱る。
 「あよなむごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもろうために
 生かされとるんじゃ」
 おそらく、これは井上ひさしの生の声だろう。
 竹造はそのあとに「図書館もそよなことを伝えるところ」と言う。
 図書館に収められた本こそ、それを伝えるものだと、井上の声が聞こえてきそうだ。

 戯曲を読みなれない人もいるかもしれない。
 けれど、文庫本でわずか100ページ余りの作品だ。一気に読める。
 こういう作品を先人が残してくれたのだ。
 それを伝えるのも、残された者たちの役目だと思う。

 今日紹介した井上ひさしさんの『父と暮せば』は
 このブログで何度となく取り上げてきました。
 井上ひさしさんが伝えたかったことを
 これからも読み、
 そして語り続けていきたいと思います。

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 『中学生から知りたい ウクライナのこと』という本に、
 藤原辰史氏が「歴史がくりかえしてきた重要な問題のひとつ」として、
 当事者意識の減退と関心の低下をあげています。
 東日本大震災のような大きな災害でもそうですが、
 記憶が薄れていくことがよく問題になります。
 ましてや、77年前の戦争ともなれば、当時生きていた人もどんどん少なくなっています。
 吉村昭さんの初期の作品には太平洋戦争時の記録文学が多くありますが、
 それらを証言してくれていた人たちが少なくなって、その当時を舞台にした作品を書くことをやめたくらいです。
 大事なことは、記憶をつないでいくことです。
 その有効な手段として、文学作品があります。

 この『殉国 陸軍二等兵比嘉真一』は、吉村昭さんの作品の中でもかなり初期のものです。
 1967年に当初『殉国』というタイトルで刊行されています。
 その後改訂され、現在のタイトルになっています。
 舞台は太平洋戦争末期の沖縄。
 主人公の比嘉真一はたった14歳で急遽「陸軍二等兵」になった沖縄の少年兵です。
 立派な皇国の兵士として戦い、死んでいくことを願う少年ですが、
 アメリカ軍によりどんどん追い詰められていく姿を描いた長編小説です。

  

 戦争末期の沖縄戦の悲惨な戦いはよく語られますが、
 この作品も少年の眼を通して悲惨な様子が描かれています。
 その悲惨さは、執筆時にはまだ多くの語り部たちがいたことで作品になったのでしょう。
 しかし、今はこの作品を読むことでしか、当時のことを知るすべがありません。
 少なくとも、この作品を通して、いかに戦争が多くの無垢な命を犠牲にしたかを知ることが大事です。
 いつまでも、そして、もっと読まれるべき戦争文学のひとつです。

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 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって
 5か月が過ぎました。
 早期に停戦になる期待もありましたが、
 今は停戦の気配すら感じなくなりました。
 今でも毎日報道される戦闘の様子に心を痛めるとともに
 私たちがいかにウクライナのことを
 知らなかったということを思い知りました。
 そんな時、6月10日に急遽発刊されたのが
 この『中学生から知りたい ウクライナのこと』でした。

  

 正直にいうと
 「中学生から知りたい」を
 中学生にもわかるように書かれた内容と勝手に思い込んでいました。
 そのことについて、こう説明されています。
 「「中学生から知りたい」というのは、私たちの学んだ知識を
 カジュアルダウンしてわかりやすく伝える、とは少し異なった方向にあります。
 むしろ、私たち大人の認識を鍛え直す、という意味も込められている
 ウクライナの問題を知ることで
 もっと俯瞰的なことも考える、
 そんな一冊になっています。

 著者の小山哲氏は1961年生まれの京都大学教授。専門はポーランド史。
 もう一人の藤原辰史氏は1976年生まれの京都大学准教授。専門は現代史。
 本書では、まずこの二人が中心となって侵攻2日後に出した
 「ロシアによるウクライナ侵略を非難し、ウクライナの人びとに連帯する声明」が載っています。
 そのあとに、ウクライナの歴史が講義風にまとめられていますが、
 それを読むと、「今」が「過去」から続いているのがよくわかります。
 つまり、「今」だけ見ても理解できないし、
 「過去」から続くことはウクライナの人たちが連綿と繋いできたものかもしれません。

 この本の中で藤原辰史氏が書かれた一文が心にとまりました。
 「心が乱れた今こそ、わかりやすい図式に飛びつくのではなく、
 複雑な現象の複雑さに目を凝らし、心を落ちつかせて、「学ぶ」ことが重要ではないでしょうか
 ウクライナの問題だけでなく、コロナウイルスの再拡大のことも、
 あるいは元首相の襲撃事件についても
 藤原氏のこの一文は有効だと思います。

 この本は、ウクライナだけでなく
 いろんなことを反対に私たちに問いかけてくる一冊です。

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