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 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって
 5か月が過ぎました。
 早期に停戦になる期待もありましたが、
 今は停戦の気配すら感じなくなりました。
 今でも毎日報道される戦闘の様子に心を痛めるとともに
 私たちがいかにウクライナのことを
 知らなかったということを思い知りました。
 そんな時、6月10日に急遽発刊されたのが
 この『中学生から知りたい ウクライナのこと』でした。

  

 正直にいうと
 「中学生から知りたい」を
 中学生にもわかるように書かれた内容と勝手に思い込んでいました。
 そのことについて、こう説明されています。
 「「中学生から知りたい」というのは、私たちの学んだ知識を
 カジュアルダウンしてわかりやすく伝える、とは少し異なった方向にあります。
 むしろ、私たち大人の認識を鍛え直す、という意味も込められている
 ウクライナの問題を知ることで
 もっと俯瞰的なことも考える、
 そんな一冊になっています。

 著者の小山哲氏は1961年生まれの京都大学教授。専門はポーランド史。
 もう一人の藤原辰史氏は1976年生まれの京都大学准教授。専門は現代史。
 本書では、まずこの二人が中心となって侵攻2日後に出した
 「ロシアによるウクライナ侵略を非難し、ウクライナの人びとに連帯する声明」が載っています。
 そのあとに、ウクライナの歴史が講義風にまとめられていますが、
 それを読むと、「今」が「過去」から続いているのがよくわかります。
 つまり、「今」だけ見ても理解できないし、
 「過去」から続くことはウクライナの人たちが連綿と繋いできたものかもしれません。

 この本の中で藤原辰史氏が書かれた一文が心にとまりました。
 「心が乱れた今こそ、わかりやすい図式に飛びつくのではなく、
 複雑な現象の複雑さに目を凝らし、心を落ちつかせて、「学ぶ」ことが重要ではないでしょうか
 ウクライナの問題だけでなく、コロナウイルスの再拡大のことも、
 あるいは元首相の襲撃事件についても
 藤原氏のこの一文は有効だと思います。

 この本は、ウクライナだけでなく
 いろんなことを反対に私たちに問いかけてくる一冊です。

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