08/23/2022 父の詫び状(向田 邦子) - 手元に置くなら文春文庫で

作家向田邦子さんの忌日「木槿(むくげ)忌」でした。
向田邦子さんが台湾での飛行機事故で亡くなったのは
1981年(昭和56年)8月22日でしたから
もう40年以上前になります。
向田さんの忌日を「木槿忌」と呼ぶのは、
向田さんと親交のあった山口瞳さんが
急逝した向田さんを偲んで綴られたエッセイにちなんだもの。

脚本家として名を成し、
その後エッセイスト、そして作家となった。
直木賞を受賞したのは亡くなる前年、1980年だから
もし、亡くならなければどんな作品を残しただろうと
多くの人が悔しがった。
その向田さんの最初のエッセイ集がこの『父の詫び状』。
初出は「銀座百点」という雑誌で
1976年から1978年にかけて掲載されたもの。
単行本になったのが1978年秋。
掲載終了後まもなくだった。

亡くなった1981年12月で、
文庫化に際し、向田さんはその解説を
まだ若い書き手だった沢木耕太郎さんを指名する。
沢木さんは向田さんの期待に応えるべき、
文庫解説としては長い文章を綴っていく。
そして、ようやくその仕事にめどがついた8月22日、
沢木さんは向田さんの突然の訃報に接することになる。

向田邦子さんの第一エッセイ集という誉れと
エッセイとしての読み応えのある愉しみと
それを最後に見送ることになった
沢木耕太郎さんの慟哭がつまった、
本としても貴重すぎる一冊といえる。

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