08/26/2022 魔術の殺人(アガサ・クリスティー):書評「親戚も複雑になると、誰が誰やら」

今回のアガサ・クリスティーは
ミス・マープルもの。
『魔術の殺人』。
マープルものでいつも思うのですが、
登場人物たちの多くが知っていようがいまいが関係なく
マープルに寄っていくということ。
余程人に安心感を与えるオーラのようなものが
ミス・マープルにはあるんでしょうね。
なので、読者も彼女が大好きという人が多いはず。
いつもの霜月蒼さんの
『アガサ・クリスティー完全攻略』では
★★★の評価ですが、
私ならプラス☆をあげたいところ。
ミス・マープルもので
つい点が甘くなってるかもしれませんが。
じゃあ、読もう。

『魔術の殺人』とは、ややバランスのよくないタイトルに思える。
原題は「They Do It with Mirrors」で、1952年に発表された「ミス・マープル」ものの長編小説である。
原題をそのまま訳すと、「鏡を使ってそれをした」というぐらいだが、本作の最終場面、いよいよミス・マープルが殺人事件の謎を解くところで、彼女はこんなことをいう。
「魔術のトリックのことなんです。魔術師は、鏡をトリックに使いますわね」
つまり、ここから、日本訳では『魔術の殺人』となったのだろうが、ミス・マープルのこの説明に聞いている刑事たちは戸惑ったことだろう。
今回、ミス・マープルが向かったのは寄宿学校時代の友人の依頼によるもの。
友人の妹の周辺に、何やら不穏な雰囲気があるようで、友人はそのことの解明をミス・マープルに頼んだことから、物語は動き出す。
彼女が行ってみると、果たして友人の妹の周辺には、夫や娘、孫娘とその夫、孫娘に迫る青年2人、さらには精神を病んでいるような若者までいる。
そこに友人の妹の最初の夫の息子が現れる。(関係が複雑なのが難点。息子といっても年をとっています)
その彼が殺されるのです。
しかも、どうやら友人の妹の命も狙われているらしい。
関係を解きほぐして、犯人をあてるのは相当難しい。
何故なら、犯人の動機に至る伏線がほとんどないから。
なんで、犯人さがしということはあきらめた方がいい。
殺人がどのように行われたか、そのトリック解明がこの作品の読みどころ。
そう、「魔術」がヒント。
(2022/08/26 投稿)

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