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プレゼント 書評こぼれ話

  今回のアガサ・クリスティー
  ミス・マープルもの
  『魔術の殺人』。
  マープルものでいつも思うのですが、
  登場人物たちの多くが知っていようがいまいが関係なく
  マープルに寄っていくということ。
  余程人に安心感を与えるオーラのようなものが
  ミス・マープルにはあるんでしょうね。
  なので、読者も彼女が大好きという人が多いはず。
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』では
  ★★の評価ですが、
  私ならプラス☆をあげたいところ。
  ミス・マープルもので
  つい点が甘くなってるかもしれませんが。

  じゃあ、読もう。

   

sai.wingpen  親戚も複雑になると、誰が誰やら                   

 『魔術の殺人』とは、ややバランスのよくないタイトルに思える。
 原題は「They Do It with Mirrors」で、1952年に発表された「ミス・マープル」ものの長編小説である。
 原題をそのまま訳すと、「鏡を使ってそれをした」というぐらいだが、本作の最終場面、いよいよミス・マープルが殺人事件の謎を解くところで、彼女はこんなことをいう。
 「魔術のトリックのことなんです。魔術師は、鏡をトリックに使いますわね」
 つまり、ここから、日本訳では『魔術の殺人』となったのだろうが、ミス・マープルのこの説明に聞いている刑事たちは戸惑ったことだろう。

 今回、ミス・マープルが向かったのは寄宿学校時代の友人の依頼によるもの。
 友人の妹の周辺に、何やら不穏な雰囲気があるようで、友人はそのことの解明をミス・マープルに頼んだことから、物語は動き出す。
 彼女が行ってみると、果たして友人の妹の周辺には、夫や娘、孫娘とその夫、孫娘に迫る青年2人、さらには精神を病んでいるような若者までいる。
 そこに友人の妹の最初の夫の息子が現れる。(関係が複雑なのが難点。息子といっても年をとっています)
 その彼が殺されるのです。
 しかも、どうやら友人の妹の命も狙われているらしい。

 関係を解きほぐして、犯人をあてるのは相当難しい。
 何故なら、犯人の動機に至る伏線がほとんどないから。
 なんで、犯人さがしということはあきらめた方がいい。
 殺人がどのように行われたか、そのトリック解明がこの作品の読みどころ。
 そう、「魔術」がヒント。
  
(2022/08/26 投稿)

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