
「京セラ」の創業者で、名誉会長だった稲盛和夫氏が
24日亡くなりました。
90歳だったそうです。
稲盛和夫氏といえば、
「京セラ」だけでなく、「第二電電」(現在のKDDIに至る)を立ち上げ、
民主党政権下では日本航空の再建に寄与された
昭和から平成に至る名経営者でした。
また、著作も多く、
その中で新しい世代のビジネスマンを𠮟咤激励し続けました。
私も稲盛和夫氏の著作はかなり読んでいて
追悼の意で
どの本を紹介しようかとても迷いました。
何度も読んだ『生き方』にしようか、
稲盛和夫氏が母を語った『ごてやん』にしようか、
それとも仕事のやり方を説いた『「成功」と「失敗」の法則』がいいか、
でも、今はこの本がいいかな、と選んだのが
2019年8月に読んだ『心。』
再録書評で紹介します。
稲盛和夫さん、
たくさんの教えありがとうございました。
これからも、弱気になった時
きっとまた手にすると思います。
稲盛和夫氏のご冥福をお祈りします

最近理不尽な事件が多い。
何の罪もない人や子供たちが犠牲になる。そのことにやりきれない思いを感じる。
一方、事件を起こした人の心の闇の深さに呆然となる。一体どのようにしてその心の闇は生まれたのだろうか。
そんな時、京セラの創業者で現在名誉会長である稲盛和夫氏のこの本を読んだ。
その冒頭にこうある。
「人生で起こってくるあらゆる出来事は、自らの心が引き寄せたものです。」
だから、「心に何を描くのか。どんな思いをもち、どんな姿勢で生きるのか。それこそが、人生を決めるもっとも大切なファクターとなる。」
生きていくことは一筋縄ではいかない。
稲盛和夫氏も今でこそ多くの賛辞を得ているが、そこに至るまでには多くの波乱があったことは、稲盛氏は多くの著作の中で書いている。
そうして、たどりついた思いは、心が持っている強い力。
誰もが稲盛氏になれるわけではないということはわかっているが、少なくとも稲盛氏が教えることを素直に聞くことが、人生を意味あるものにするのではないだろうか。
稲盛氏はこの本で「人生の目的」をこう語っている。
一つは「心を高めること」、これは魂を磨くことだという、そしてもう一つが「利他の心」で生きることだという。
稲盛氏の著作は一度読んでそれで終わりではない。
人は時に傲慢になり、怒り、欺こうとする。だから、何度も稲盛氏の著作を読んで、心をきれいに保つしかない。
稲盛氏は最後に「いまどんなにつらい境遇にあるとしても、それにめげることなく、気負うこともなく、ただ前向きに歩んでいってほしい」と書いている。
きっと多くの人の心に届く言葉であるだろう。
(2019/08/02 投稿)

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レビュープラス
08/30/2022 芥川賞選評を読む - 雑誌を歩く 「文藝春秋」9月特別号

第167回芥川賞は
候補作5作が全員女性という初めてのことで
話題になっていましたが、
発表のあった際にも
選考委員の川上弘美さんに「女性」と「時代の変化」といった答えを
ひきだそうとしたテレビ局があったと
問題にもなりました。
その際の川上弘美さんの答えは
「女性です、男性ですって一言で言っちゃうところがもう小説的でないような気がするんで…。」と
戸惑っているふうでした。

今月出た「文藝春秋」9月特別号の
受賞作の全文掲載と選評の発表で
なにかそのことに対し、
選考委員からコメントがあるかと期待(?)していたら、
ありました、ありました、
山田詠美選考委員がのっけからズバッと
某報道番組をバッサリ。
題して「世相と時代の怪」。
選評から抜粋すると、
「今回の女性候補者たちは「男女機会均等法枠」で選ばれたのではなく、
小説作品の質が高いから最終的に残ったのである。
小説の出来に「均等」なんてないよ! そこ、ヨロシク。」と、
小気味いい。

今回の事件をスルーして、
選評には一言も書いていない。
そのうえで、今回の受賞作について
「この小説の中の人たちは、生きているのです。
生きているから、矛盾するし、ゆらぐし、へんな時もすっきりした時もある。」と
高評価です。
あの時、川上弘美さんに質問したTV局の人は
もしかしたら小説に登場する人たちよりも生きていないかも。
『おいしいごはんが食べられますように』をしっかり読むといい。

松浦寿輝選考委員の評で
受賞作を「これはほとんど恐怖小説」と讃えている。
なるほど、あの作品をそう読んだか。
だから、小説は面白いんだ。

ほかにも高瀬隼子さんの「受賞者インタビュー」や
「受賞のことば」も載っています。
子どもの頃に通っていた地元の小さな本屋さんとの思い出をからませた
「受賞のことば」は心がホッとする、
いい文章でした。

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