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 昨日「トキワ荘マンガミュージアム」に出かけた話を書きましたが、
 今日は藤子不二雄Aさんの
 『トキワ荘青春日記プラスまんが道』という本の紹介です。

  

 漫画「まんが道」(その続編は「愛…しりそめし頃に…」)は、
 手塚治虫にあこがれ、漫画家になることを夢見た2人の少年の姿を描いた、
 藤子不二雄A(正式には〇の中にA)の代表作だ。
 この漫画自体も1970年から2013年にわたって連載誌など変えながらも、
 43年という長い歳月をかけて描き続けられたもの。
 主人公の2人の名前こそ変えられているが、多くの登場人物は実名のままで、
 漫画が「コミック」と呼ばれる以前の昭和30年から40年にかけての
 青春漫画となっている。

 おそらくその「まんが道」のもとになったと思われるのが、
 作者の藤子不二雄Aが残していた当時の日記。
 この『トキワ荘青春日記プラスまんが道』は、
 藤子不二雄Aこと安孫子素雄さんが富山から上京し、
 東京豊島区椎名町にあったトキワ荘というアパートで過ごした
 昭和29年から35年までの7年間の日記作品で、
 その折々の場面を描いた「まんが道」の絵が収められている。
 すでに2度書籍化されているが、「プラスまんが道」という形で
 2022年6月あらたに刊行された。

 この日記に綴られて時間こそ、
 日本の漫画の黎明期といえるもので、
 だからこそ今でも「トキワ荘」は多くの漫画ファンにとって
 聖地となっている。
 そして、そこに登場する仲間たちとの友情だけでなく、
 貧しくても何故か明るく生きていく姿に
 昭和30年代の日本人の力強さの典型を見ることもできる。
 その点でも
 貴重な日記文学の一冊といえるだろう。

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 もしドラえもんのタイムマシーンに乗せてもらえるなら、
 ぜひ行ってみたいところがあります。
 昭和29年の10月30日の、
 東京・豊島区椎名町(現在の南長崎)にあった
 木造二階建てのアパート、トキワ荘
 この日、富山から漫画家になる夢をもった2人の若者が
 トキワ荘に引っ越してきます。
 安孫子素雄(のちの藤子不二雄A)と
 藤本弘(のちの藤子・F・不二雄)の20歳の若者です。
 のちに、何人もの有名な漫画家を生み出すことになるトキワ荘は
 残念ながら、1982年に解体されました。
 それから、40年近い時間を経て、
 漫画の聖地として復元されました。
 11月25日、念願の「トキワ荘マンガミュージアム」に行ってきました。

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 玄関をはいって、
 まずは入場料を払います。
 現在は特別企画展「藤子不二雄Aのまんが道展」が開催中(~3/26)で
 大人500円です。
 でも、入館特典の缶バッジがついてます。

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 靴を脱いで、当時のままの階段をトントンと2階へ。
 最初に目につくのが台所。
 いわゆる共同炊事場です。

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 そして、その向いの14号室にいました、いました。
 藤子不二雄先生がただいま執筆中です。

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 四畳半の部屋は今の感覚でいえば
 けっして広くありません。
 そこで最初二人で暮らすことになります。
 のちに隣の部屋が空いて、別々に住みますが。
 このトキワ荘でともに暮らした仲間たち、
 寺田ヒロオ赤塚不二夫石ノ森章太郎鈴木伸一、など
 おそらく彼らがいなければ
 漫画の世界も随分ちがったことでしょう。

 1階に降りて、特別企画展を見ましょう。

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 藤子不二雄Aさんは今年(2022年)の4月6日に
 亡くなられたばかり。
 「怪物くん」や「忍者ハットリくん」の人気作がありますが、
 なんといっても「まんが道」は忘れられません。

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 この漫画のおかげで
 昭和30年代のトキワ荘の様子がよくわかります。
 帰りに完全保存版の「まんが道大解剖」を購入。

 先をいそぎます。
 というのも、このトキワ荘マンガミュージアムから
 歩いて5分ばかりのところに
 11月に「昭和レトロ館」ができたばかりで、
 ここも必見の場所。

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 「これも学習マンガだ」展を開催されています。

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 そこで展示されている漫画は
 読むこともできるとか。
 いいな、こういう施設。
 マンガの力を実感できます。

 そこから数分。
 有名な「松葉」というラーメン屋さんの前の路地をはいると
 トキワ荘跡地のモニュメントがあります。

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 まさにここからまんが道が始まるのです。
 念願かなったトキワ荘見学。
 満足の小さな旅でした。

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 立冬は過ぎましたが
 今年は例年より気温が高い日が多いように感じます。
 それでも、景色は冬めいてきました。

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    冬めくや透きて遠のく峠の木        鷹羽 狩行

 そんな中、私が利用している菜園で
 2つのイベントがありました。
 まずは、11月22日に
 菜園で育てていたヘチマの解体ショーならぬ
 ヘチマのタワシ作りです。
 大きく育ったヘチマの皮をむくために
 お鍋の中でぐらぐら煮ます。

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 そして、皮と中の種をとれば出来上がり。

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 と、文章で書けば簡単そうですが
 種をとるのが結構難しい。
 できあがったヘチマタワシは乾かして
 食器洗いとかに使うそうです。

 もう一つのイベントが
 昨日(11月27日)はじめてあった
 野菜の絵本のおはなし会

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 いま畑は作業も少なく、利用者の来園も少ないので
 来てくれたお子さんはひとりだけでしたが
 アドバイザーのお姉さんが読んでくれる絵本に
 きゃっきゃつ喜んでいました。

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 ちなみにその子が持っているダイコンの人形は
 私の奥さんに作ってもらった手作り人形です。

 畑では冬越し野菜のソラマメスナップエンドウ
 まずまずの出来で育っています。

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 あとは、うまく冬を越せるかどうか。

 そして、この日収穫した野菜。

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 右から2つめにある丸いダイコン
 聖護院ダイコン
 なかなかうまく育ちました。
 ミニハクサイの近くにあるのは
 シュンギク
 これもよく育ってくれました。

 もちろん野菜の収穫もうれしいですが、
 イベントでたくさんの人と楽しい時間を過ごせるのも
 菜園生活ならではといえます。

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 オーストラリア出身の絵本作家ショーン・タンのことは、
 2006年に発表された『アライバル』(日本では2011年に出版)で
 その名前を記憶している人も多いだろう。
 この本は、文字がなく、絵だけで物語を紡いでいく、
 とても斬新なものだった。
 この作品でショーン・タンは一躍有名になり、
 その後も多くの作品が出版されている。
 今は絵だけの作品ではなく、
 ちゃんと文もはいっているが、
 それでも多くを語るのはやはり絵といっていい。

   

 2022年7月に刊行された『いぬ』には
 多くの言葉が綴られている。
 それはタイトルに示す通り、
 人間の歴史とともに常に歩んできた犬という動物への
 愛情にあふれたものだ。
 「あとがき」の冒頭に、
 「犬と人間の関係は、ほかのどんなものとも似ていない。」と書いた
 それがショーン・タンの、
 犬への素直な思いなのだろう。

 けれど、人間と犬の間には
 大きな道があることもあったし、
 河が流れていることもあった。
 戦場で燃える鉄路が横たわっていることもあったし、
 雪で閉ざされることもあったし。
 ショーン・タンは、
 その時々の人間の姿を変えるように、
 犬の種もまた変えている。
 そして、最後、
 人間は犬とふたたび抱き合える時を持つ。

 この本に描かれているのは犬だが、
 それはもしかしたら、
 愛する人かもしれないし、家族に見えないこともない。
 あるいは、見知らぬ世界の人たちともいえる。
 そういう多様さを感じられることこそが、
 ショーン・タンの魅力といっていい。

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 昨日、上妻祥浩さんの
 『旅と女と殺人と 清張映画への招待』という
 映画ガイド本を紹介しました。
 松本清張原作の映画36本のうち、
 今ではほとんど観ることもできない作品もありますが
 今日はTSUTAYAでDVDレンタルができる
 映画「鬼畜」の話をしましょう。

   

 映画「鬼畜」は1978年公開の松竹映画。
 監督は野村芳太郎で、
 松竹、野村芳太郎監督というと
 大ヒットした「砂の器」(1974年)に続く清張映画となります。
 ちなみに、
 松本清張の原作は1957年に発表された短編小説で、
 文庫本にしてわずか50ページほどの作品。
 それが映画では110分の作品に仕上がっています。
 脚本は井手雅人さんで、
 原作では自分の子どもを捨てた犯人逮捕のきっかけとなる
 石版がみつかるところで終わっていますが
 映画ではそのあと
 逮捕された父親とその父親と会いながらも
 「知らないおじさん」と言い張る男の子の姿が描かれて
 余韻が残る場面が続きます。

 「鬼畜」というのは「広辞苑」によれば
 「残酷な行いをする者」となっています。
 映画では愛人が生んだ三人の子どもを押しつけられた
 気弱な印刷工の男(緒形拳さんはこの役で多くの男優賞を受賞)が
 冷酷な妻(岩下志麻さんがコワい)に迫られて
 子どもを次々と殺したり、捨てたりしていきます。
 公開当時、原作なり映画では
 こういう親はまさに「鬼畜」と怖れられたものですが、
 映画公開から40年以上経つと、
 いつしかこの国に「鬼畜」ばりの残酷な親が
 溢れかえっています。
 もしかしたら、松本清張はそういう親子関係の危機を
 予感していたのかもしれないと
 思ってしまいたくなります。

 この年のキネマ旬報ベストテン
 日本映画部門の6位となったこの作品、
 今観てもちっとも古さを感じません。

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 近年、映画を鑑賞できる媒体が増えて、
 映画ファンにとってはうれしい。
 映画館はいうまでもなく、
 レンタルビデオ店、CSの専門チャンネル、
 そしてインターネット配信。
 おかげで思いもかけない昔の映画を観る機会も増えた。

  

 熊本を中心に活動している映画解説者上野祥浩氏による
 『旅と女と殺人と 清張映画への招待』は、
 松本清張原作の映画36本を実に巧みに紹介した映画ガイドだ。
 松本清張の原作の映画化の最初は
 1957年の「」になる。
 その次の作品は今でも評価の高い「張込み」(1958年)で、
 さすがのこういう作品になるとレンタル店でも常備されている。
 ところが、1950年代の作品は白黒映画や地味なものも多いせいか、
 なかなか観る機会がなかったが、
 最近ネット配信で思いがけなく観る機会に恵まれた。
 そうなれば、「影の車」「砂の器」など名作ぞろいの
 1970年代の松竹映画を観たくもなって、作品をおいかけるようにもなる。

 そういう追いかけが、
 この本にまでたどり着かせることになる。
 そして、この本がとてもよく出来ていて、面白いのだ。
 よく出来ている側面は、
 映画側の視点で書かれている点だ。
 監督だけでなく出演した俳優さんたちの
 ちょっとしたプロフィールもまとめられていて
 映画ファンとしていうことない。
 もちろん、松本清張の側からも
 原作との違いなど興味をひく記述があって
 楽しめる一冊になっている。

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 「名言」を「広辞苑」でひくと、
 「名高いことば。すぐれたことば」と出ています。
 一部の人には、ここは「名言」を残してやろうという
 奢った気分を持つこともあるでしょうが、
 大抵の人はそんなことは考えないのではないかしら。
 ただ、その言葉を目にしたり、耳にした時、
 ああ、いい言葉だなと思ったら、
 それがその人にとっての「名言」になるのだと思います。

   

 「安西水丸の絵と言葉」とサブタイトルのついた
 この『一本の水平線』には、
 2014年に亡くなったイラストレーターの安西水丸さんの
 素敵なイラストと短い文が収められています。
 安西さんはそれらの言葉を
 「うまいこと話してやろう」とか「感動させてやろう」とは
 思っていなかったはずです。
 しかし、その何気ないつぶやきのような言葉に
 心がときめきます。
 まずは本のタイトルになっている「水平線」について。

   「わたしはイラストレーションを描く時にホリゾン(水平線)をよく使います。
   紙の上にホリゾンを一本引くと、絵に安定感が生まれるからです。

 以下、いくつか。

   「人間は、どのように生きるかよりも、これだけはしたくない
   というものを持って生きる方が恰好いいですね

   「こんな風に生きたいと思ったことがある。
   絶景ではなく、車窓の風景のような人間でいたいということだ。

 安西水丸さんの絵はどうしてクールに見えるのだろう。
 何度見ても、飽きるということがない。
 そして、その言葉もまた、人をひきつけるのは何故だろう。
 安西さんの言葉にも、
 まっすぐな「一本の水平線」があるからだろうか。

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 今日は勤労感謝の日
 昔の新嘗祭が起源といいますから、
 祝日としては年期がはいっています。
 もちろん、冬の季語にもなっていますが、
 言葉としては長いので
 作句をする時は、「句またがり」となる季語です。
 「旅に出て忘れ勤労感謝の日」(鷹羽狩行)のように。
 これなどは、
 坪内稔典さんの『俳句いまむかし』でいえば、
 「むかし」に分類されるかも。
 では、「いま」ならどんな句になるのか。
 『俳句いまむかし みたび』の中に見つけました。
 「バーモンドカレー勤労感謝の日」(塩見恵介
 随分、ちがうものです。

   

 この本はタイトルに「みたび」とあるように、
 『俳句いまむかし』シリーズの3冊目になります。
 初出は毎日新聞に連載されている「季語刻々」で、
 2010年5月からのものから400回分を選んだもの。
 同じ季語で「いま」の句と「むかし」の句を並べ、
 それぞれに稔典さんの短いコラムがつきます。
 選句も味わいがありますが、
 稔典さんのコラムがよくて、これが楽しい。
 ちょうどこの時期、世の中コロナ禍で、そんな中、
 稔典さんはこんなことを書いています・
 「コロナが落ち着いたらしたい、ということがどんどんたまっている。(略)
 行きたい、会いたい、見たい、食べたい、飲みたい、
 そして、存分にしゃべりたい、議論をしたい。

 1944年生まれの坪内稔典さん、まだまだお元気。

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 2022年9月に発売された池井戸潤さんの『ハヤブサ消防団』が、
 本屋さんの平台にドーンと積まれ、たちまちベストセラー入りしたのは、
 池井戸潤さんの人気の高さといえるだろう。
 しかもこの作品が池井戸さんの名前を一躍有名にした「半沢直樹」シリーズ
 直木賞を受賞した『下町ロケット』といった、
 ビジネス小説とは趣きが違うミステリー小説だから、
 池井戸さんの作品ということで手にした読者は驚いたかもしれない。
 だが、そもそも池井戸ファンであれば
 新作がどのようなものであるかしっかりわかった上での
 読書体験だったにちがいない。

   

 ミステリ作家の三馬太郎が父の死後、父の住んでいた中部地方の山々に囲まれた「ハヤブサ」という、
 のどかな山村に越してくるところから、物語は始まる。
 村のことだから、近所付き合いも何かとあって、太郎はさっそく地区の消防団に入団させられる。
 はいってみて初めて太郎はこの「ハヤブサ」地区で、
 連続して不審火による火災が発生していることを知る。
 しかも、入団してすぐに新たな火災、それに続く殺人事件と、
 「ハヤブサ」はのどかな山村どころか、危険極まる怪しい土地だった。
 真相をさぐる太郎は、ある新興宗教団体の存在に気がつく。
 太郎と同じように「ハヤブサ」に移住してきた美貌の映像クリエーター彩とともに
 事件の核心へと迫っていくが、実はその彩もまた…。

 2022年といえば元総理の射殺事件を発端に、
 宗教団体の存在が政権を揺るがすほどの事態となったが、
 池井戸さんの作品は2021年から2022年の春にかけて小説誌に発表されたものだから、
 現実の宗教団体による諸々の疑惑を意識したものではない。
 それでも、今読めば、現実とシンクロしてくるのは、
 作家の感度の良さに感心する他ない。
 そのあたりもまた、池井戸潤さんの作家としての魅力だろう。

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 絵本『おおきなかぶ』は今でも子どもたちにとっても人気の作品です。

   

 ロシアの昔話を再録した作品で
 なんといってもこの絵本の絵を描いた佐藤忠良さんがいい。
 物語は、おじいさんが植えたかぶが大きくなって
 引き抜こうとするのですが、びくともしない。
 おばあさんを呼んできてもダメ。
 次は孫、それでダメなら犬、とどんどん応援を頼みます。
 かぶを引き抜く時の掛け声がいい。
 「うんとこしょどっこいしょ
 この掛け声では、読み聞かせでは、みんな声を合わせることになります。
 実は、この『おおきなかぶ』のような体験を
 私もしました。

 土曜日(11月19日)に、ダイコンの収穫をしようと
 育ちがよさそうなものを引き抜こうとしましたが
 これが抜けない。
 そのうち、葉っぱが全部とれてしまい、
 写真のように。

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 その場にいたアドバイザーの人に助けを求めましたが、
 それでもダメ。
 他の人に交代してもらってもダメ。
 こうなれば、まわりの土をスコップで取り除き、
 ダイコンと格闘、10分ぐらいしてたかな、
 採れたダイコンはごらんのとおり、りっぱ、りっぱ。

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 重さにして1.7㎏ありました。

 今回のダイコン三浦ダイコンの仲間で
 中太り型。
 これは引き抜くのが大変で、
 そのせいで簡単に抜ける青首系のダイコンが主流になったと
 聞いたことがありますが、
 今回の収穫で、さもありなん、とよくわかりました。

    大根抜くとき大根に力あり        青柳 志解樹

 こちらは九条ネギの様子。

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 収穫は12月になってから。
 これは簡単に抜けそう。
 そして、これはワケギ

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 そろそろ収穫をはじめてもよさそうです。

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 今日はいちごの絵本の紹介です。
 タイトルは、ずばり『いちご』。
 荒井真紀さんの作で、絵も荒井さんが描いています。
 でも、何故この時期いちごの絵本なの?
 いちごは春ですよね、どうみても。
 そうなんですが、この絵本では、いちごを育てていく過程が描かれています。

   

 いちごは苗で植えます。
 家庭菜園でも人気で、私が利用している菜園でも
 いちごを栽培するお家が結構あります。
 ちなみに、私は今年いちごではなくそら豆を栽培していますが。
 この絵本にも書いていますが、
 いちごの苗は秋に植えます。
 つまり、いちごは冬越し野菜の代表です。

 ところで、いちごは甘くておいしくて
 果物みたいですが
 野菜の仲間です。
 しかも、いちごはバラ科です。
 あの赤い色がきれいなのもの、うなづけます。

 荒井さんは苗の植え付けから、
 いちごの苗が冬どのようにして越すのか、
 そして花が咲いて、
 その花はどんなふうにできているのかを
 細かい絵でわかりやすく描いています。
 この花の様子が、
 実はいちごのあのぶつぶつの正体のヒントになるので、
 しっかりと読むといいでしょう。

 もちろん、絵本のおしまいは
 赤くかわいいいちごと
 いちごでできたおいしいお菓子のご紹介。

 いちごを描いたこの絵本、
 読むなら春でなく、秋から冬ですよ、絶対。

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 すでに高齢者と呼ばれる年齢になって
 生涯この作品がベストと訊かれても
 なかなか答えられるものではありません。
 本の場合もそうで
 それが1本であろうと3本であろうと
 答えてから
 そういえばあの作品を忘れたと後悔するのが目に見えています。
 それは映画でもそうです。
 でも、今日お話しする作品は
 ベスト1でなかったとしても
 生涯の忘れられないひとつであることは
 間違いありません。
 今日はそんな映画、「おもいでの夏」の話です。

   

 映画「おもいでの夏」は1971年公開のアメリカ映画です。
 1971年といえば、
 私が16歳の時でちょうど映画にはまっていた頃です。
 なので、ロードショー公開の時に観たのかもしれません。
 あるいは名画座で観たのかは覚えていないのに
 今でも思い出すと
 切なくなる映画です。
 ところが、この映画を今観ようとしても
 家の近くのTSUTAYAでもレンタルしてなく、
 アマゾンプライムでも会員配信してなくて
 なかなか観る機会がなかったのですが、
 先日CS放送のムービープラスで放送するのを見つけ、
 小躍りしながら録画しました。
 久しぶりの再会でしたが、やっぱりよかった。

 「おもいでの夏」は「アラバマ物語」を撮った
 ロバート・マリガン監督の作品ですが、
 なんといっても、ミシェル・ルグランの音楽が忘れられない作品です。
 ミシェル・ルグランはこの作品で
 第44回アカデミー作曲賞を受賞しています。
 そして、なんといっても
 主人公の少年(ゲイリー・グライムズ)があこがれる女性を演じた
 ジェニファー・オニールの魅力といっていいでしょう。
 原題が「The Summer of '42」とあるように
 1942年のひと夏の淡い恋を描いた作品で、
 性に目覚めた少年が想いを寄せた女性の
 夫の戦死の通知が届いた夜、
 女性は悲しみを中、少年と関係を持ちます。
 そのクライマックスの場面、
 ほとんど音がなく、
 ただ波の音だけが流れていきます。
 もう切なすぎます。

 そんな悲しい夜のあと、
 女性は少年のもとを離れていきます。
 こうして、少年の夏が終わり、
 彼は幼い自分を失ったことを知るのです。

 こうして、この映画のことを話していても
 耳の奥でミシェル・ルグランの切ない音楽が
 そう、潮騒のように流れてくるのです。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今回のアガサ・クリスティー
  前回に続いて戯曲作品です。
  タイトルは『招かれざる客』。
  アガサ・クリスティーの戯曲はあまりハズレがなく
  この作品も面白かった。
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』でも
  ★★★★の高評価。
  今回は私も同意見です。
  アガサ・クリスティーの作品では
  事件をきっかけにして
  男女の恋が実ることが多いのですが
  この作品では逆で
  事件をきっかけにして男の本性がわかって
  …おっと、ここまでにしないと
  読む楽しみがなくなりますね。

  じゃあ、読もう。


  

sai.wingpen  予期せぬラストをお見逃しなく                   

 早川書房の「クリスティー文庫」には、アガサ・クリスティーの戯曲が9冊ラインナップされている。
 この本もそのうちの1冊で、1958年に発表されたもの、原題は「The Unexpected Guest」。
 「Unexpected」は、直訳すれば「予期せぬ」となって、作品自体はこの感じの方があっているように思える。
 だって、ある男の殺人現場に、しかも男の妻が拳銃を持ってそばにいるというまさにその時に、深い霧で車を溝にはめた一人の男がそこにやってくるのですから、これはどう考えても、「予期せぬ」客であることは間違いない。

 しかも、この「予期せぬ客」は妻をたすけるべく、殺人現場に細工までしていくのですから、この客は何を考えているのだと誰もが思うんじゃないかな。
 いくら女性が美しかったとしても、そこまでしないでしょ、普通。
 と、ツッコミをいれたくなりますが、この「予期せぬ客」がそうしてくれたおかげで、この殺人事件の背景と殺された男の人物像とその人間関係がはっきり見えてくる。
 つまり、この戯曲はこの「予期せぬ客」のおかげで、うんと面白くなる。

 しかも、この館に住む住人、妻や母親、少し障害のある異母弟、看護師や従僕、そして妻の愛人と、どれもみな怪しい。
 そして、事件はあたかも解決したかのように見えるが、最後にもう一度仕掛けられるアガサからの謎。
 これこそまさに「Unexpected」だ。

 小説で読みたくなるほど、面白い戯曲だ。
  
(2022/11/18 投稿)

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レビュープラス
 短編集『夜に星を放つ』で第167回直木賞を受賞した窪美澄さんの
 受賞後第一作となった『夏日狂想』は長編小説で
 受賞後とはいえ実際雑誌「小説新潮」に連載されていたのは、
 2020年秋から翌年にかけてのもので、
 これをもって受賞後第一作とは言い難い。
 それに、中原中也小林秀雄と関係のあった長谷川泰子をモデルにしたような
 そんな創作意思が、果たして窪美澄さんらしいかというと
 それも違うような気がする。

    

 もちろんこの作品をモデル小説と呼ぶのは正しくないかもしれない。
 あくまでも、大正から昭和にかけて男性たちとの恋愛と自らの夢をめざして
 生きた一人の女性が、最後には「書く」ということで己を見つけるという構成は
 窪さんのある意味、書くことへの決意のようなものであったかもしれない。
 しかし、窪さんなら、昭和の文壇史を利用することなく
 その決意は描けたのではないだろうか。

 なまじっかモデル小説の様相になっているから、この登場人物は誰がモデルかと
 つまらない憶測までしてしまう。
 その一方で、太宰治川端康成が実名で作品に登場するのだから、
 全体のバランスが崩れてしないだろうか。

 窪美澄さんらしい、直木賞受賞第一作が読みたい。

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 ちばてつやさんといえば、漫画「あしたのジョー」を代表作にあげる人は多いし、
 それは間違いではない。
 あるいは、「ハリスの旋風」にみられるワンパクな少年を主人公にした系譜をたどることもできるだろう。
 しかし、忘れてはならないのは、そんなちばさんが少女漫画でメジャーデビューしていることだ。
 1958年の「ママのバイオリン」で雑誌連載を始め、
 その後「ユキの太陽」「みそっかす」などの少女漫画の発表がつづく。
 2002年に刊行され、2022年9月にちくま文庫に収められた
 ちばてつやさんの『わたしの金子みすゞ』の文庫解説を書いた里中満智子さんは、そんなちばさんのことを
 「控えめで口数の少なそうな少女の佇まい、少女漫画でメジャーデビューし、
 昭和三〇年代の少女の読者に「男子に媚びないヒロイン」を示してくれた」と
 深く敬愛している。

   

 そんなちばてつやさんが「私と小鳥と鈴と」などで人気のある詩人金子みすゞの詩21篇に、
 イラストと短い文章をつけて書かれたのが、本書である。
 金子みすゞの詩の解説というより、
 その詩をちばさん自身がどう感じ、それがイラストにどのように反映していったかを
 読者は楽しめばいい。
 そして、そのイラストにたぶんちばさんが根っこで持ち続けている詩情を味わえるはずだ。
 ちばさんは金子みすゞの詩の世界を
 「すこし昔の、日本人が本当に日本人だった頃の、懐かしいみすゞさんの世界」と
 表現しているが、
 同時にそれはちばてつやさんの世界でもある。

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 今年(2022年)は明治の文豪森鷗外の
 生誕160年没後100年にあたり、
 東京・千駄木にある森鷗外記念館に行ってきたのは
 まだ残暑厳しい9月の終わりでした。
 その記念館から学芸員の方が
 わざわざさいたま市の大宮図書館まで来てくれて
 森鷗外の生涯を解説してくれるというのですから
 俄然興味がわきます。
 コロナ禍で講演会などもなかなか行く機会がなかったのですが、
 11月13日の日曜、
 大宮図書館での講演「没後100年記念 森鷗外の生涯」に
 行ってきました。
 講師は森鷗外記念館の学芸員の東聡子さん。

   20221113_134639_convert_20221113181129.jpg

 森鷗外記念館所蔵の資料のスライドを使って
 森鷗外の生涯が実にわかりやすく解説されていきます。
 しかも、配布された資料にはかなり詳しい年表までついていて
 これがとてもわかりやすい。
 そのあとは、「さいたまと鷗外」の解説が入ります。
 鷗外の日記によれば、
 埼玉には4、5回訪れているようで、
 例えば明治40年(1907年)の5月には
 「午前六時五十分上野を発し、熊谷に往く」なんていう記述もあったりするそうです。
 さらには代表作『青年』には
 さいたまの氷川神社が描かれる場面があったりするそうです。
 もっと面白かったのは、
 鷗外の長男森於菟(おと)が千駄木の観潮楼だった実家を出たあと住んだのが
 現在のさいたま市の盆栽町だというのです。
 しかも、観潮楼のあった団子坂付近には植木職人が多くいて、
 彼らがのちにさいたまの盆栽町あたりに多く移住したのではというふうに
 面白いつながりを感じました。

 講演の最後は
 森鷗外記念館で上映している映像が紹介され、
 あっという間の二時間でした。

 今回の講演の参加者は定員30名で
 募集したその日に満席になるほどの人気だったそうです。
 男女比は7対3ぐらいでしょうか、
 やはりシニア層しかもかなり高めの人というのが
 森鷗外の現在の読者層かもしれません。

 最後に、
 今年は森鷗外記念館も開館して10年ということで
 それを記念して作成された「クロニクル」には
 今まで記念館で開催された「展覧会アーカイブス」も載っていて
 結構お宝ものの資料ももらえました。

   20221113_180624_convert_20221113181153.jpg

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 昨日いわさゆうこさんの『おちばのほん』という絵本を紹介しましたが、
 近所の公園も落葉でいっぱい。

  20221112_102558_convert_20221112141747.jpg

 それを掃く人を見かけると大変だなと思います。

    地の色となるまで枯葉掃いてゐる        野木 桃花

 これはさいたま市の北浦和にある
 埼玉県立近代美術館の入り口近くにある大イチョウ。

  20221107_071405_convert_20221112141616.jpg

 こちらもだいぶ色づいてきました。

 畑では秋野菜の収穫が今がピーク。
 土曜日(11月12日)に収穫した
 野菜たちを並べてみました。

  20221112_094410_convert_20221112141650.jpg

 右の2本が「おふくろ」という品種のダイコン
 今年のダイコンはなかなか首を出さないなと思っていたら、
 この品種は「中ぶくら型」で
 首より中心部が太くなるもの。
 以前栽培したことのある三浦ダイコンがルーツとか。
 その横、少し小ぶりなのが聖護院ダイコン
 その横の黄色いのがカラーニンジン
 ほとんどうまく育たなかったニンジン
 貴重な収穫野菜です。
 一番左がミニの赤ダイコン

 これらを水洗いして
 採れたミニハクサイとともに
 再度記念写真です。

  20221112_101554_convert_20221112141717.jpg

 今年は暖かい日が続いているので
 畝によってはキャベツ玉レタスが早くも
 トウダチを始めているのが目につきます。
 せっかく大事に育てた野菜でも
 収穫時期をのがすと残念なことになります。

 この日は午後から浦和駅の東口広場で開催されていた
 「さいたまOrganic City Fes」をのぞいてきました。

  20221112_135028_convert_20221112141824.jpg

 この催しは、
 「さいたま市を有機農業の街へ 地元の有機農家によるマルシェ」で
 参加された農家さんが
 採れたばかりの野菜の販売を行ったりするもの。
 ここに私の菜園でいつも指導してもらっている
 アドバイザーの人が出店していると聞いて、
 応援に行ってきました。
 天気もよかったので
 たくさんの人が珍しい野菜を購入したりしていました。
 野菜で笑顔、なんていいですね。

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 街に落葉が舞うようになると、
 ふと口ずさんでしまう歌があります。
 五輪真弓さんの「恋人よ」。
 その最初の歌詞はこうです。
 「枯葉散る夕暮れは/来る日の寒さをものがたり/
 雨に壊れたベンチには/愛をささやく歌もない
 落葉が舞う風景がさそう詩情です。

   

 「落葉」は冬の季語です。
 『歳時記』にも、「天気のよい日の芳ばしいような匂い、
 散り重なったものを踏む音など、俳句にとどまらず詩情を誘う」とあります。

    待人の足音遠き落葉かな      与謝 蕪村

 そして、それはおとなだけでなく
 子どももまた同じではないでしょうか。
 いわさゆうこの『おちばのほん』は、
 子どもたちの落葉の興味を満たす格好の一冊です。
 この季節、街のいたるところにさまざまな落葉があふれています。
 かえで、もみじ、いちょう、さるすべり、けやき、さくら…
 子どもたちが拾ってきた落葉を見て、
 それが何の落葉かこの絵本で観察ができます。
 図鑑のような絵本なんです。
 なにしろこの絵本に載っている落葉は120種類以上なのですから。
 そして、気がつくかもしれません、
 あそこにあるのはけやきの木なんだって、
 あるいはさるすべりの葉は赤くなるんだって。

 いわささんの細密画のような絵は
 写真ではないやさしさを感じます。
 そして、ほら、聞こえてきますよ、
 かさこそ、かさこそ、おちばの音が。

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 今回も先週に引き続き、
 馬場康夫さんの『この1本! 超人気映画シリーズ、ひとつだけ見るならコレ』から。
 あの本の中に、
 「オードリー・ヘップバーン作品」ならこの1本という章があって、
 19本の主演作品の中から「この1本!」が紹介されています。
 オードリー・ヘップバーンなら当然
 「ローマの休日」(1953年)と思うでしょう。
 もちろん、「必見」のコメントがつく作品で
 私のような昭和30年や40年世代にとって
 この作品を観ていない人なんかいないのじゃないかな。
 私なんかDVDまで持っている。
 ところが、この作品を「この1本!」にしないところが
 馬場康夫さんのセンスで、
 選ばれたのは1967年公開の「いつも2人で」。
 さっそくTSUTAYAでレンタルして観ました。
 今日は「いつも2人で」の話です。

   

 映画「いつも2人で」は1967年に公開された
 スタンリー・ドーネン監督作品。
 スタンリー・ドーネン監督はオードリーとの相性がよく、
 「パリの恋人」「シャレード」もこの監督作品。
 「いつも2人で」は
 オードリーとアルバート・フィニー演じる一組の夫婦の
 出会いから次第に心が離れ、やがて互いの浮気の発覚、
 そしてなんとかその危機を乗り込えるまでを
 6つの時間軸をたくみに映像化した作品。
 観ていて、え? これいつの頃の2人? とあたふたすることもあるが
 全体的にはそれすらおしゃれにできている。

 映画の撮影時オードリーは37歳で、
 なんと水着姿まで見せてくれる、貴重な作品。
 なにしろデビュー間もない頃、
 ビリー・ワイルダー監督に
 「オードリー・ヘップバーンは、たったひとりで、
 豊かなバストを過去のものにするだろう」といわれた女優だから
 そのスレンダーな水着姿は必見。
 馬場さんの本に
 村上春樹さんもオードリーの作品の最高傑作と評価していたと
 書かれていました。
 でも、私がオードリー・ヘップバーン作品の「この1本!」を選ぶなら
 やっぱり「ローマの休日」だな。

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 高木亮さんの『きりえや 偽本シネマ大全』は、二重に楽しめる一冊だ。
 まず、書名に「きりえや」とある通り、高木さんはきりえ画家で、
 表紙の書影でわかるように「切り絵」を楽しむ本なのだ。
 切り絵とは、紙を切り抜いて台紙に張り付けて見せる作画のことで、
 かなり昔から作られている。
 高木さんの場合、思わず笑いをさそうデザインになっていて、
 それだけでも十分楽しめるはずだ。

   

 もちろん、「切り絵」の楽しみを倍増させるのが「偽本」、
 つまりはパロディの方だ。
 この本では映画作品のパロディで、
 単に作品名だけをもじっただけでなく、
 あらすじまで嘘でこしらえてしまう念のいれようなのだ。
 紹介されているタイトルだけでもいくつか抜き出してみよう。
 (本物の映画は何だか考えてみよう!)
 「椿さん十浪」「王様と和田氏」「代打ニック」「猿の学生」
 「2001年普通の旅」「土器をなげる少女」・・・などなど
 全部で82作品という圧巻。
 私のイチ押しは「シャトー市」。(大笑いしました)

 作った高木さんは「波乱含みの制作」だったようだが、
 読者はひたすら笑い転げ、時にはうまいもんだと感心し、
 さらには「切り絵」の巧さにたまげる。
 そんな楽しい読書だって、アリだと思う、よ。

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 先週、大河ドラマと朝ドラについて書きましたが、
 NHKのドラマはそれ以外にも面白い作品が多く、
 特に単発ドラマには目をひく作品が多い。
 8月に放送された古川琴音さん主演の「アイドル」もそのひとつで、
 戦時中に明日待子というアイドルがいたことを
 そのドラマで初めて知りました。

   

 明日待子というアイドルを書いた本があるかと
 いつものように図書館の所蔵本を調べてみつかったのが
 押田信子さんが書いた『元祖アイドル「明日待子」がいた時代』です。
 この本も2022年8月に出たばかりで、
 表紙には可憐な(まさにアイドル!)本物の明日待子さんの写真が使われ、
 中には資料として彼女の写真が多数収められています。
 そこには初めてのカルピスガールともいえるCMキャンペーンの写真も
 あったりします。

 押田さんは明日待子という名前について、
 「どんな苦難もはねのける、無敵な名前」と形容しています。
 もちろんこれは芸名で、
 本名は小野寺とし子、大正9年に生まれ、2019年に99歳で亡くなっています。
 彼女が明日待子として活躍したのは、「ムーラン・ルージュ新宿座」という軽演劇の舞台で、
 この本では明日待子の生涯とともに
 戦争に翻弄されていく演劇界の様も描かれていきます。
 なかでも、胸に迫るのは、戦地に赴く若い兵士たちが
 「ムーラン・ルージュ」に訪れて、明日待子の姿を最後に見て出征していく姿です。
 どんな時代であっても、
 アイドルは若い人たちの心のよりどころだったのです。

 巻末には詳細な年表と主要な参考資料が載っていて、
 この時代や背景に興味のある人には充実の一冊です。

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 向田邦子さんは昭和4年(1929年)生まれながら、実に多くの写真が残されている。
 戦争が終わって、世の中が高度成長期にはいろうとする
 昭和30年代には私の家にはまだカメラはなかったほどだから、
 そういう感覚で見た時、
 向田さんがいた場所はかなり進んでいたのではないだろうか。
 9歳年下の妹、向田和子さんが編著となった『向田邦子の青春』の巻末についた
 年表を読むと、
 昭和27年向田さん23歳の時に雄鶏社と出版社に入社し、
 「映画ストーリー」という映画雑誌の編集部に配属になっている。
 そのあたりがやはり陽のあたる場所だったのだと思われる。

   

 それと、妹の和子さんもこの本のエッセイに書いているが、
 向田さんの洋裁の技術の高さが
 見られることの意識の高さにつながっているような気がする。
 すらりと立ってカメラに向かう向田さんに少しばかり自慢気な表情を認めるのは
 私だけだろうか。

 その一方で、長女としての向田さんの責任の強さは
 和子さんのエッセイから読み解くことができる。
 中でも、「親以上にあなたを思うことはできないから」と姉邦子にいわれた言葉を
 和子さんは忘れることはないという。
 その逆もまた真実で、向田さんが亡くなった時、
 和子さんは言葉を失うほどつらかったが、それ以上に
 「母の悲しみを越えるものではない」と気づく。
 そういう大事なことを教えたのも
 姉向田邦子という人だった、と妹和子さんは綴っている。

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プレゼント 書評こぼれ話

  元福音館書店の社長で多くの絵本を出版されてきた
  松居直(まついただし)さんが
  11月2日96歳で亡くなられました。
  その訃報を知ったのは5日の朝刊で
  ちょうどその日
  図書館に予約していた松居直さんの
  『私のことば体験』という新刊が貸し出しできますと
  連絡がはいりました。
  まるで松居直さんから早く読んでみてと
  いわれたみたいで、
  すぐに読みました。
  この本は2022年9月に出たばかりで、
  松居直さんの娘さんである小風さちさんが
  「あとがきにかえて」という文章を載せています。
  この文章がとてもいいのです。
  その最後に小風さちさんはこう締めくくっています。

    「ことば」という宝物を大切に守り、携え、
    多くの良き人々に巡り合うことができた父の旅は、
    どんなにか豊かで、楽しいものであったことでしょう。
    そしてそのことを、父は今、どれほど感謝していることでしょう。

  松居直さん
  たくさんの素敵な絵本をありがとうございました。

  ご冥福をお祈りします

  

sai.wingpen  松居直さんからの最後のメッセージ                   

 もしその人がいなければ、ある世界の様相が随分ちがっただろうと思うことがあります。
 松居直(まついただし)さんは間違いなくそんな一人です。
 もし松井さんがいなければ、戦後の児童文学、特に絵本の世界はまるでちがったのではないでしょうか。
 『ぐりとぐら』や『だるまちゃんとてんぐちゃん』といった、今でも読み継がれる絵本にも出会えなかったかもしれません。

 この本はそんな松井さんが月刊誌「母の友」に2009年から2011年にかけて連載した自伝風エッセイです。
 のちに福音館書店を立ち上げ多くの絵本や児童書の出版に携わることになる松居さんの本との出会いは、寝る前に母が読んでくれた絵本だといいます。
 その時のことを松居さんは「日本語の最高のことばの世界を、幼児期に耳から聞いたということ。これがかけがえのないことだった」と書いています。

 それとよく似たことを松居さん自身が子を持って体験しています。
 まだ1歳になったばかりの子供が先日読んであげたばかりの絵本をまた読んでとねだったというのです。
 字が読めなくとも、絵と声で面白い世界を感じ取ったのでしょう。

 この本では幼少の時から大学、それからふとした出会いで金沢の小さな出版社に就職し、やがて福音館書店として子供の本の出版に携わっていく姿だけでなく、その後石井桃子さんやかこさとし(加古里子)さんなどの絵本作家との出会いと交流も綴られています。

 本の最後に、松居さんはこんな文章を綴っています。
 「子どもの本の出版というのは未来志向だと思うんです。どういう人間に育つように絵本を、あるいは本を、児童文学を、子どもたちに渡していくかということ。」
 この本は、もしかしたら松居直さんから私たちに渡されたバトンなのかもしれません。
  
(2022/11/08 投稿)

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 今日は二十四節気のひとつ、立冬

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    分校の低き鉄棒冬に入る            田邊 富子

 暦の上では今日から冬ですが、
 まだまだ街では秋の深まりが楽しめます。
 もちろん紅葉、黄葉は秋の季語で、
 街にも木々の葉が色づきはじめました。

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    黄葉してポプラはやはり愉しき木      辻田 克巳

 畑ではスナップエンドウの種まきをしました。

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 左の方に見えているのは
 ソラマメです。
 発芽が遅いものもあって
 同じタイミングで同じように蒔いたつもりでも 
 生育がちがってくるのは不思議です。
 今回の種まきで冬越し野菜もそろいました。
 あとはじっくり冬から春にかけて育てていきます。

 ダイコンは少し首を出したところ。

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 地中で育つものは
 収穫の時期は難しいですね。
 今回は赤いミニダイコンを抜いてみましたが、
 まだまだ短かったな。

 順調なのは茎ブロッコリー

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 早くも何本か収穫できました。

 この日の収穫がごらんのように
 大収穫となりました。

  20221106_112749_convert_20221106131110.jpg

 ミニハクサイミニキャベツ玉レタス
 赤く見えているのが赤いミニダイコン
 中まで赤いのが特長。
 左下にちょこっと茎ブロッコリー
 見えています。
 そういえば、ハクサイは冬の季語。
 これからおいしい季節です。

     真二つに白菜を割る夕日の中        福田 甲子雄

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は湯本香樹実(かずみ)さん文、
  酒井駒子さん絵の
  『橋の上で』という、新しい絵本を紹介します。
  書評の中に書いてある「新聞」というのは
  10月3日の掲載された朝日新聞の文化欄の記事のこと。
  その記事を書いた河合真美江さんという記者は
  こう結んでいます。

   明日へ生きていく希望を人はみずからに秘めていて、
   いつか見つけることができる。
   文と絵がささやく。

  その記事ではこの絵本を書いた湯本香樹実さんの
  体験エピソードも知ることができ、
  絵本をより深く読むことができました。
  こういう紹介記事は
  読者にとってはありがたい。

  この1冊に、ありがとう。

  

sai.wingpen  ほら、聞こえてくるよ、いのちの音が                   

 湯本香樹実さんが文を書いて、酒井駒子さんが絵をつける。
 そんな二人がつくった名作絵本といえば、『くまとやまねこ』。
 海外でも高い評価を得た絵本をつくった二人が2022年9月、新しい絵本を出した。
 それが『橋の上で』。
 前作もそうだが、この作品も声高でなく、静かに生きる意味をみつめている。

 イジメや誤解で川に飛び込んでしまいたくなった少年が橋の上にいる。
 そこにやってきた、ひとりのおじさん。
 けっして身ぎれいでないおじさんだが、まるで少年の心の闇を見透かすように、こういう。
 「耳をぎゅうっとふさいでごらん。」
 そうしたら、自分だけの湖の水の音が聞こえてくるよ。

 「人は自分だけの湖を持っている」と、かつて自身もいいいじめにあって、居場所がないとまで思いつめた経験がるという、湯本さんは新聞のインタビューに応えている。
 その湖は生きる泉で、自分を静かにのぞきこむ時間があると、なんとか新しい朝を迎えられた。
 「そうやって、私も今日まで生きてきたんです」、湯本さんの言葉はなんて重いのだろう。
 新聞の記事には、「歩き出す勇気をくれるもの、それは自分の中にあるんだよ。そう伝えたい」と続いている。

 誰にだって、自身の闇が押し寄せてくる時があるものだ。
 若い時にあるし、熟年になってもある。
 そんな「橋の上」に立った時、この絵本が伝えようとしたことを思い出せたらいい。
 耳をぎゅうっとしたら聞こえてくるのは、自分のいのちの音だ。
  
(2022/11/06 投稿)

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 昨日紹介した
 馬場康夫さんの『この1本! 超人気映画シリーズ、ひとつだけ見るならコレ』は
 シリーズものや同じ監督の作品の中から
 オススメの1本を紹介する面白い映画ガイドでした。
 その中に、
 「裕次郎とルリ子のムード・アクション」という章がありました。
 裕次郎というのはもちろん石原裕次郎さん、
 そしてルリ子というのは浅丘ルリ子さん。
 この二人が共演した1963年から67年にかけての日活映画が
 「ムード・アクション」と呼ばれています。
 何しろ私もまだ幼く、
 この作品群はまったく観ていませんでした。
 アマゾンプライムでも観られるとあったので
 さっそく「この1本!」になっていた
 「夜霧よ今夜も有難う」(1967年)を観ました。
 それとプログラム・ピクチャー(当時毎週ごとに上映されていた新作映画のこと)の
 №1と評価されていた「憎いあンちくしょう」も
 立て続けに観ました。
 今日はそのうちの一本、「憎いあンちくしょう」の話です。

    

 日活映画「憎いあンちくしょう」は1962年公開の
 蔵原惟繕監督作品。
 馬場さんの本によれば
 「ムード・アクションの雰囲気を先取りした」作品で、
 浅丘ルリ子さんの自伝では彼女が一番好きな作品だとか。
 石原裕次郎さん演じる主人公は人気DJ、
 浅丘ルリ子さんはそのマネージャー。
 ただ二人は恋愛関係にあるが、
 キスも肉体関係もがまんしているという不思議な関係。
 ある時、裕次郎がスケジュールを放り出して
 東京から九州までジープを運ぶと言い出したから大騒動となる。
 そして、この映画、
 日本で初めてのロードムービーといわれるように、
 行き先々の当時の街の様子が楽しめるようになっています。

 裕次郎や浅丘という人気俳優のロケということもあってか
 画面には大勢の見物人が映っていて
 それもまた楽しい。
 この頃はまだ土の道がそこかしこにあったという
 この当時の日本の道路事情もわかります。
 この映画の魅力は
 シャープな映像と切れのいいシナリオで、
 フランス映画なんか目じゃないといいたくなります。
 そして、なんといっても
 浅丘ルリ子さんがめちゃきれい。
 この映画の時、22歳ぐらいで、
 女優浅丘ルリ子の魅力全開。
 彼女のなんとも珍しい下着シーン(しかも62年当時のものですからね)もあって
 私なら「この1本!」は「憎いあンちくしょう」だな。

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 最近映画や映像を早送りで見る人が多いそうだ。
 そんな話を聞くと、ミヒャエル・エンデの『モモ』に登場した時間どろぼうを思い出す。
 あの本が出版された1970年代よりずっと、現代の方が切羽詰まっている感がある。
 もっとも、そんな人たちのことがわからないでもない。
 例えば、馬場康夫氏の『この1本!』という本はどうだろう。
 副題が「超人気映画シリーズ、ひとつだけ見るならコレ」とあるように、
 私たちのために人気シリーズの映画からわざわざ1本を紹介してくれる、
 なんとも便利な映画ガイドなのだ。
 ただし、ファスト映画を見る人とちがって、
 馬場氏はしっかり人気シリーズ全作を評価したうえでこの1本を選んでいるから
 正統派映画大好き人の、映画ガイドでもあることは間違いない。
  
   

 この本で紹介されている人気シリーズをいくつか書き出すと、
 「男はつらいよ」「007」「スター・ウォーズ」「ゴジラ」「黒澤明」「ロッキー」「高倉健任侠映画」「若大将」などなど、
 全部で23の人気シリーズが並んでいる。
 ただこういう類の本にかならずつきまとうのは、あのシリーズがないという不満。
 「名探偵コナン」があるのに、どうして「ドラえもん」がないの?!
 「黒澤明」があって「小津安二郎」がないのは、納得いかない。
 まあ、そのあたりは、続篇、続続篇を期待するとしよう。

 これだけは声を大にして言っておきたいが、
 この本は映画愛に満ち溢れているのだ。
 けっして映画を早送りで見ない人のための一冊なのだ。

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 NHKのドラマといえば、朝の連続テレビ小説(通称朝ドラ)と大河ドラマが双璧だろう。
 昨日、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に関連して
 永井路子さんの『北条政子』を紹介しましたので、
 今日は現在放送中の
 朝ドラ107作めとなる「舞いあがれ!」に関連した一冊を紹介しましょう。

 その前に「舞いあがれ!」について。
 主人公は空が大好きなヒロイン舞(福原遥)。
 空を飛ぶという夢に向けての彼女の奮闘が描かれるというもの。
 始まったばかりでまだまだどうなるかわかりませんが、
 出足は好調です。
 今は大学の人力飛行機のサークルにはいったばかりの舞の姿が放送中ですが
 サークルの先輩の由良(吉谷彩子)と
 「アメリア・イヤハートって知ってる?」という会話をした回がありました。
 さすがに女性パイロットを夢みる二人ですから
 アメリア・イヤハートのことを知っていましたが、
 あまり知られてはいないのではないでしょうか。
 そこで、図書館でアメリアの本があるかと調べて見つけたのが、
 リチャード・テームズが書いた
 『アメリア・イヤハート それでも空を飛びたかった女性』です。

   

 この本は国土社から1999年2月に
 「愛と勇気をあたえた人びと」という児童向けの伝記シリーズの一冊として
 刊行されました。
 アメリア・イヤハート(1897年~1937年)は
 1928年に女性として初めて大西洋横断飛行をなしとげたアメリカ女性です。
 リンドバーグが単独の大西洋横断飛行を成功させたのは1927年ですから、
 まさに画期的な出来事でした。
 ただ、この時の飛行では彼女は操縦をしたわけではありませんでしたが、一躍時の人となります。
 その後、自身で操縦かんを握ることにもなりますし、女性の社会進出のリーダーにもなっていきます。
 そして、1937年世界一周飛行の途中で、彼女は飛行機ごと消息をたちます。
 アメリアはまだ40歳でした。

 リンドバーグのことはよく知られていますが、
 アメリア・イヤハートのことはそれほど知られていません。
 今回の朝ドラが契機となって
 そんな素晴らしい女性がいたことが
 多くの人に知られたら、どんなにいいでしょう。

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 NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まるまで
 源頼朝やその妻北条政子、三代将軍実朝の名前ぐらいは知っていたが
 ほとんどその時代のことや人物の関係など知らなかった。
 ドラマを見続けるうちに
 この時代がとても面白いことを知ることになる。
 ドラマでは北条政子の弟義時が主人公だが
 その一方北条政子もドラマの最初からずっと登場する重要人物である。
 日本三大悪女(政子、日野富子、淀君)ともいわれる政子とは
 どんな女性であったのか、
 鎌倉時代の人物を描いた連作集『炎環』で第52回直木賞を受賞した
 永井路子の『北条政子』を読んでみた。

   

 『北条政子』は1969年に刊行された長編歴史小説で
 1979年の大河ドラマ「草燃える」の原作にもなった作品。
 (この時の政子を岩下志麻さんが演じている)
 御家人たちの内部抗争が激しい時代であるが
 永井さんの文体にそれほど悲壮な重い印象はない。
 むしろ、どちらかといえば現代風だ。
 政治の世界の政子というよりも、
 頼朝の妻として、大姫や頼家、実朝の母として、
 またのちに実朝と殺害することになる孫の公暁の祖母として
 描かれているといっていい。
 もし、政子が悪女とあったとすれば、子供の育て方の間違いかもしれないが、
 それもこの時代特有の乳母との関係の悩ましさともいえる。

 永井はこの作品を公暁による実朝暗殺とその公暁の死までで終えていることで
 承久の乱は描かれていない。
 永井路子にとっての北条政子の長い物語は
 孫の死で完結していたのだろう。

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 先月東京・千駄木の森鷗外記念館に行きましたが
 ならやっぱりこの人の記念館も行かないとと出かけたのが
 東京・早稲田にある漱石山房記念館

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 夏目漱石(1867~1916)は、
 亡くなるまでの9年間をこの早稲田の地で暮らしていて
 新宿区はそこを整備し、記念館をつくりました。

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 「漱石山房」というのは、
 当時漱石の家をそう呼んでいたそうです。

 入ると、
 漱石の書斎を再現したコーナーがあります。
 文机のまわりをたくさんの本が並んでいて
 さすが文豪といわれた人の書斎はちがいます。
 館内は猫が案内してくれていて

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 2階に漱石関連の資料が展示されています。
 ちょうど行った時は、
 「夏目漱石と芥川龍之介」という特別展も開催(~11/27)していて
 龍之介から漱石、漱石から龍之介に宛てた書簡などが
 展示されていました。
 龍之介の書簡のはじまりに「先生」とあるのが
 印象的でした。

 この記念館はその周辺も素敵で
 漱石が暮らしていた当時にもあった
 芭蕉や柘榴なども植わっています。

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 中でも芭蕉は、英名がジャパニーズ・バナナといわれ
 バナナに似た実もつきます。
 この芭蕉、秋の季語でもあります。

   芭蕉ならん思ひがけなく戸を打つば       夏目 漱石

 そして、隣接して漱石公園があります。

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 ここには漱石の『吾輩は猫である』のモデルとなった
 あの猫の墓があります。

   20221028_141637_convert_20221030093616.jpg

 もっともこの墓のもととなった石塔は
 漱石が亡くなってから作られたようです。
 もちろん、漱石にとって
 作家の道をつくってくれたという猫は
 その名のとおり「福猫」だったことは
 間違いありません。

 漱石山房記念館(入館料300円)、
 一度は行ってみたかった文学館でしたから
 大満足の秋晴れ散歩でした。

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