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 ちばてつやさんといえば、漫画「あしたのジョー」を代表作にあげる人は多いし、
 それは間違いではない。
 あるいは、「ハリスの旋風」にみられるワンパクな少年を主人公にした系譜をたどることもできるだろう。
 しかし、忘れてはならないのは、そんなちばさんが少女漫画でメジャーデビューしていることだ。
 1958年の「ママのバイオリン」で雑誌連載を始め、
 その後「ユキの太陽」「みそっかす」などの少女漫画の発表がつづく。
 2002年に刊行され、2022年9月にちくま文庫に収められた
 ちばてつやさんの『わたしの金子みすゞ』の文庫解説を書いた里中満智子さんは、そんなちばさんのことを
 「控えめで口数の少なそうな少女の佇まい、少女漫画でメジャーデビューし、
 昭和三〇年代の少女の読者に「男子に媚びないヒロイン」を示してくれた」と
 深く敬愛している。

   

 そんなちばてつやさんが「私と小鳥と鈴と」などで人気のある詩人金子みすゞの詩21篇に、
 イラストと短い文章をつけて書かれたのが、本書である。
 金子みすゞの詩の解説というより、
 その詩をちばさん自身がどう感じ、それがイラストにどのように反映していったかを
 読者は楽しめばいい。
 そして、そのイラストにたぶんちばさんが根っこで持ち続けている詩情を味わえるはずだ。
 ちばさんは金子みすゞの詩の世界を
 「すこし昔の、日本人が本当に日本人だった頃の、懐かしいみすゞさんの世界」と
 表現しているが、
 同時にそれはちばてつやさんの世界でもある。

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