11/18/2022 招かれざる客(アガサ・クリスティー):書評「予期せぬラストをお見逃しなく」

今回のアガサ・クリスティーも
前回に続いて戯曲作品です。
タイトルは『招かれざる客』。
アガサ・クリスティーの戯曲はあまりハズレがなく
この作品も面白かった。
いつもの霜月蒼さんの
『アガサ・クリスティー完全攻略』でも
★★★★の高評価。
今回は私も同意見です。
アガサ・クリスティーの作品では
事件をきっかけにして
男女の恋が実ることが多いのですが
この作品では逆で
事件をきっかけにして男の本性がわかって
…おっと、ここまでにしないと
読む楽しみがなくなりますね。
じゃあ、読もう。

早川書房の「クリスティー文庫」には、アガサ・クリスティーの戯曲が9冊ラインナップされている。
この本もそのうちの1冊で、1958年に発表されたもの、原題は「The Unexpected Guest」。
「Unexpected」は、直訳すれば「予期せぬ」となって、作品自体はこの感じの方があっているように思える。
だって、ある男の殺人現場に、しかも男の妻が拳銃を持ってそばにいるというまさにその時に、深い霧で車を溝にはめた一人の男がそこにやってくるのですから、これはどう考えても、「予期せぬ」客であることは間違いない。
しかも、この「予期せぬ客」は妻をたすけるべく、殺人現場に細工までしていくのですから、この客は何を考えているのだと誰もが思うんじゃないかな。
いくら女性が美しかったとしても、そこまでしないでしょ、普通。
と、ツッコミをいれたくなりますが、この「予期せぬ客」がそうしてくれたおかげで、この殺人事件の背景と殺された男の人物像とその人間関係がはっきり見えてくる。
つまり、この戯曲はこの「予期せぬ客」のおかげで、うんと面白くなる。
しかも、この館に住む住人、妻や母親、少し障害のある異母弟、看護師や従僕、そして妻の愛人と、どれもみな怪しい。
そして、事件はあたかも解決したかのように見えるが、最後にもう一度仕掛けられるアガサからの謎。
これこそまさに「Unexpected」だ。
小説で読みたくなるほど、面白い戯曲だ。
(2022/11/18 投稿)

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