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 昨日、上妻祥浩さんの
 『旅と女と殺人と 清張映画への招待』という
 映画ガイド本を紹介しました。
 松本清張原作の映画36本のうち、
 今ではほとんど観ることもできない作品もありますが
 今日はTSUTAYAでDVDレンタルができる
 映画「鬼畜」の話をしましょう。

   

 映画「鬼畜」は1978年公開の松竹映画。
 監督は野村芳太郎で、
 松竹、野村芳太郎監督というと
 大ヒットした「砂の器」(1974年)に続く清張映画となります。
 ちなみに、
 松本清張の原作は1957年に発表された短編小説で、
 文庫本にしてわずか50ページほどの作品。
 それが映画では110分の作品に仕上がっています。
 脚本は井手雅人さんで、
 原作では自分の子どもを捨てた犯人逮捕のきっかけとなる
 石版がみつかるところで終わっていますが
 映画ではそのあと
 逮捕された父親とその父親と会いながらも
 「知らないおじさん」と言い張る男の子の姿が描かれて
 余韻が残る場面が続きます。

 「鬼畜」というのは「広辞苑」によれば
 「残酷な行いをする者」となっています。
 映画では愛人が生んだ三人の子どもを押しつけられた
 気弱な印刷工の男(緒形拳さんはこの役で多くの男優賞を受賞)が
 冷酷な妻(岩下志麻さんがコワい)に迫られて
 子どもを次々と殺したり、捨てたりしていきます。
 公開当時、原作なり映画では
 こういう親はまさに「鬼畜」と怖れられたものですが、
 映画公開から40年以上経つと、
 いつしかこの国に「鬼畜」ばりの残酷な親が
 溢れかえっています。
 もしかしたら、松本清張はそういう親子関係の危機を
 予感していたのかもしれないと
 思ってしまいたくなります。

 この年のキネマ旬報ベストテン
 日本映画部門の6位となったこの作品、
 今観てもちっとも古さを感じません。

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