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 大晦日になると
 思い出す光景があります。
 紅白歌合戦が始まってもまだ家じゅうの掃除などしていた
 母親の姿です。
 着物好きだった母親に
 着物をきた女性歌手、昔はそんな歌手が何人もいました、が出てくると
 お母ちゃん、島倉千代子さん出たよ、早く見ないと、と
 声をかけたものです。
 もう60年も前のことです。

    除夜の妻白鳥のごと湯浴みをり        森 澄雄

 先日発表された
 2022年のベストセラーの1位
 和田秀樹さんの『80歳の壁』。
 ちなみに和田さんは『70歳が老化の分かれ道』という本も書いていて
 こちらも第8位。
 こういう本の読者というのはおいくつぐらいなのかな。
 やはり10歳ぐらい、書名より若い人が読んでいるような気がします。
 『80歳の壁』なら70歳前後の人とか。
 やはり、自分の未来に不安がありますもの。
 文芸書ではいっているのは、
 本屋大賞受賞作逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』(第5位)だけというのも
 さびしいもの。

 私の今年のベスト1は、
 小池真理子さんの『月夜の森の梟』。
 今年の2月3日に紹介した1冊。

  

 愛する人を亡くしたあと、人はどう生きていくのか
 小池真理子さんの静かな文章が印象的な一冊でした。
 
 今年読んだ本は213冊
 どうしても記憶に残るというと
 直近のものとなりがちなので
 月ごとに印象に残った本を書き留めるようにしています。
 平野レミさんの『おいしい子育て』や朝井まかてさんの『ボタニカ』、
 『橙が実るまで』という一冊に誘われて
 田尻久子さんの本を何冊も読んだ年でもありました。

 今年も1年間
 ブログを訪ねてくださり
 ありがとうございました。

 皆さん、よい新年をお迎えください。

 来年も本のある豊かな生活であることを願って。

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 先ごろ発表された今年(2022年)の漢字は
 「」でした。
 やはりロシアのウクライナへの軍事侵攻やアジアでの中台緊張など
 一気に戦争を意識する年になりました。
 結果、日本も防衛費を大幅に増やすことにもなりましたが、
 どうも拙速のような気がします。
 戦争の不安が増すことで、軍備が整えられていく。
 世界の潮流といってしまえばそうなるのでしょうが、
 とても気になります。

 そんな時に読んだのが、
 水木しげるさんの『漫画で知る 戦争と日本』です。

  

 水木しげるさんといえば、
 「ゲゲゲの鬼太郎」など妖怪漫画で有名ですが、
 戦争漫画もたくさん描いています。
 自身、太平洋戦争中激戦地ラバウルに出征、爆撃で左腕をうしなったことは
 よく知られています。
 そんな水木さんの戦争漫画からこの本では
 貸本時代の1961年に発表した「壮絶!特攻」から
 後期の1995年に青年誌に描いた「鬼軍曹~それは何だったのか~」まで
 全部で7篇の漫画が収録されています。

 後期の作品では反戦の思想はかなり整理されていますが、
 初期の頃は絵のタッチもそうですが、
 勢いそのもので描かれているように感じました。
 昭和39年作と記された「白い旗」という作品は
 硫黄島での悲惨な戦いを描いたものですが、
 その最後に水木さんはこんな文章を書いています。
 「戦争という大きな運命の中にまき込まれた者のみが知る、
 戦争を悲しむ涙であった。

 誰もが戦争など望んでいないはず。
 それでも、人類は戦争をやめることはない。
 ならば、どうするか。
 未来の子どもたちに残すのは、軍備であっていいはずはない。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今月のはじめに
  『団地のふたり』という作品を読んで
  藤野千夜さんという作家に興味をもちました。
  それで立て続けて何冊か読みましたが
  藤野千夜さんは第122回の芥川賞作家でもあるので
  今回は原点ともいえる受賞作
  『夏の約束』を読んでみました。
  芥川賞作品は必ず読んできていますが、
  ほとんどその内容は覚えていませんでした。
  少しはめげましたが、
  それは仕方ないので
  新しい作品を読んだつもりで
  再読しました。
  もう少し藤野千夜さんの作品を追いかけてみようかな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  普通に生きている人間の体温                   

 第122回芥川賞受賞作。(2000年)
 芥川賞の受賞作は欠かさず読んできたはずだが、さすがに20年以上前の作品ともなれば、ほとんど内容は覚えていない。
 記憶にあるのは、藤野千絵という、なんだか少し異質の作家が登場したという程度。
 今回改めて作品及び芥川賞選考委員の選評を読むと、「ゲイ」と書かれていたり「ホモ」と書かれていたり、さすが時代を感じる。
 まだLGBTQといった言葉すら認知されていなかった。
 受賞してから20年以上経って、今読み返すと、もしかしてこの作品は時代を先取りしていたのではないかと思える。

 物語はゲイのカップルとその周辺の、どうということない、ある夏の日常を描いたもの。
 どうということない、はずがない。
 主人公のマルオとその相手ヒカルは昼日中から堂々と手を組んで歩く恋人同士で、小学生にからかわれるのは当たり前。
 マルオの友達たま代は性転換した女性(元男性)だし、だからといって、大きな問題が彼ら側から起こることはない。
 あるとすれば、彼らの周りの側だろう。
 異質になりそうな世界でありながら、そうならない。それこそがこの作品の面白さだといえるし、藤野千夜さんの魅力といえる。

 この作品を受賞へと強く推したという三浦哲郎選考委員は選評で「この作品にごく普通に生きている人間の体温を感じて心が安らぐ」と書いているし、池澤夏樹委員も「気持ちのよい作品」と評している。
 この作品から20年以上経て、この2人の選考委員が評価したことを、藤野千夜さんがずっと持ち続けていることもまた、素晴らしい。
  
(2022/12/29 投稿)

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 今日は昨日につづいて
 東海林さだおさんの本の紹介。

  

 食のエッセイスト、食の伝道師と声を大にしていいたい、東海林さだおさんの
 何がすごいかというと、
 かっぱえびせんを口の中に28本詰めたこと(本書「えびせん大実験」)ではなく、
 ちゃんと自分で料理するという点です。
 つまりは、男の鏡、女性がほれ込むこと間違いなし。
 そういう下心があるのかわかりませんが、東海林さんは今日も自炊。
 しかも、東海林さんの自炊は今に始まったわけではない。
 それは代表作である「丸かじり」シリーズとか読めば、わかること。

 この本、『自炊(ソロメシ)大好き』は、
 東海林さだおさんの過去の作品から「自炊」というテーマのものを
 再編集したアンソロジー。
 つまりは、おいしいところばかりの本。
 では、東海林さんはどんな料理を作ってきたか。
 「豆腐丸ごと一丁丼」「バター醤油かけごはん」「ウズラの親子丼」
 「簡単チャーシュー」「チャーハン」「タコ焼き」「カツ丼」、
 ほか多数。
 私のお気に入りは、ウズラの卵の目玉焼き。(これは絵もかわいい)

 こういう本を読むと、料理ができる人がうらやましい。
 「男子厨房に入るべからず」、なんて誰が言ったのか。
 これからの男子は厨房に大いに入るべし。
 東海林さだおさんを見習うべし。

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 食のエッセイスト東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズでは、
 これまでにもさまざまなものを「丸かじり」してきました。
 バナナとかどら焼きとか「丸かじり」に適した? ものもありますが、
 ワニとかタヌキとなればどう「丸かじり」するのか、
 さらにはパンダの「丸かじり」ともなれば、黒柳徹子さんが黙っていない。
 それでも、これらはなんとか「丸かじり」できそう(できません!)だが、
 今回ばかりはいくら東海林さんでも無理でしょう、と言いたい。
 『町中華の丸かじり』。
 何しろ、町中華、ですよ。
 これって、食べ物ではないですよね。
 建物ものでもない。
 しいていうなら、職業?!
 それを、どう「丸かじり」するっていうんだ!

  

 そもそも「町中華」って何か。
 東海林さん曰く、「昔のラーメン屋」。「昭和の終わりあたりまでのラーメン屋」。
 ラーメン屋といっても、チャーハン、ヤキソバ。レバニラ炒め、天津丼、と
 まあ中華全般を扱っていたお店。
 昔、出前でよく利用していました。
 今、「出前」と書きましたが、この言葉あまり使われていない。
 「デリバリー」と、今ではいうのかな。
 でも、町中華では「出前」。

 「丸かじり」シリーズも45冊めとなると、
 昭和の匂いがプンプン。
 東海林さんもそれが悪いか、もっと匂え! くさやのように臭え! とばかりに
 そこかしこに「昭和」という言葉が登場します。
 そして、この巻こそ
 後世にはこう伝わるにはちがいない、コロナ禍時代の「丸かじり」。
 初出の「週刊朝日」の連載が、2019年9月から2020年11月で
 世の中コロナ一色だった頃。
 せっかくだから「コロナの丸かじり」とすればよかったかというと、
 感染しそうで、やはりボツ。

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プレゼント 書評こぼれ話

  畑で野菜を育てはじめて
  もう8年になります。
  たくさんの野菜を育ててきましたが、
  今年もズッキーニインゲンネギなど
  初めて育てる野菜があって
  愉しい時間を過ごせました。
  今はプチヴェールという野菜を育てていて
  これがクリスマスイブに収穫したもの。

   20221224_145847_convert_20221224153322.jpg

  初めて育てる野菜は
  どんなふうに成長していくのか
  それを見ていくのも楽しい。
  今年最後の菜園の記事は
  素敵な絵本を見つけたので
  その紹介で締めくくりましょう。
  いわむらかずおさんの、ずばり
  『はたけの絵本』。
  さて、来年はどんな新しい野菜を育てようかな。  

  

sai.wingpen  はたけと共に生きる                   

 絵本作家いわむらかずおさんの代表作は、野ネズミの家族を描いた『14ひき』のシリーズ。
 その絵本でもねずみ家族が自然と共存して生きる姿が描かれています。
 そんないわむらさんが1998年に栃木県の山村に開いたのが、「いわむらかずお絵本の丘美術館」で、この『はたけの絵本』の表紙見返しに、その全貌が載っています。
 見て驚くのは、その広大な土地にたくさんの畑があること。
 おそらく、この『はたけの絵本』はそんな畑の四季折々の風景を描きとめたものなのでしょう。
 畑から野菜だけでなく、絵本まで育ち、できました。

 絵本は1月から12月までの毎月の様子が描かれています。
 1月は雪に埋もれただいこんとのうさぎ。2月は農場の納屋の中のあずきとてんとう虫。3月は土の中のじゃがいもともぐら、といったふうに、畑の野菜だけではなく、共に暮らす生き物たちの姿も描かれています。
 私が一番好きなのは、7月の「きゅうりとかまきり」。
 まだこどものきゅうりがふたつ、そこにのったかまきりが二匹描かれたページと、採り頃になったきゅうりとそれにつかまっているようなかまきりを隣のページで描いたもの。
 そうです、きゅうりの成長は早いですもの。

 この絵本は各月の文のおしまいにQRコードがついていて、それを読み取って開くと、朗読を視聴できるようになっています。
 まさに大収穫の絵本です。
  
(2022/12/26 投稿)

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プレゼント 書評こぼれ話

  今日はクリスマス

     子へ贈る本が箪笥に聖夜待つ      大島 民郎

  クリスマスといえば
  この大島民郎さんの俳句が好きです。
  タンスにはいっているのはどんな本なのか
  想像してみるだけでも楽しい。
  昨日、映画「ポーラー・エクスプレス」の話を書きましたが、
  だったらやっぱりその原作、
  クリス・ヴァン・オールズバーグさんの絵本『急行「北極号」』のことを書かないと。
  訳は村上春樹さん。
  2010年に書いたものの再録書評です。
  でも、昨日映画の話を書くにあたって
  ちゃんと読み返したんですよ。
  なんだかとっても懐かしかったな。
  こんな絵本がタンスにはいっていたらいいですね。

   よいクリスマスを。

  

sai.wingpen  小さな銀の鈴                   

 村上春樹さんにはたくさんの翻訳本もあります。そのなかにはクリスマス関連の本も数多くあって、この絵本もそのひとつです。
 原作はアメリカで1986年に出版されたもので、原作者であるオールズバークの絵本はこの本のほかにも村上春樹さんの訳で読むことができます。

 物語はクリスマス・イブの真夜中。一人の少年がサンタのやってくるのを待っています。友達はサンタなんていないって言いますが、彼はそんなことはないと思っています。
 そんな少年の前に現れたのが、急行「北極号」です。なんと堂々とした車両でしょう。彼は急行「北極号」に乗って、遠くサンタに逢いにでかけます。もちろん、少年はサンタと出逢うことができます。だって、彼はサンタがいることを信じていたのですから。
 それどころか、サンタから特別に贈り物を、それはトナカイのソリについている小さな銀の鈴でしたが、もらいます。でも、この鈴の音はお父さんにもお母さんにも聞こえません。サンタクロースを信じている人にしか聞こえない鈴なのです。

 教訓めいているかもしれません。子供じみているかもしれません。それでも、オールズバークの絵はそのことを詩的に描くことで、温かなクリスマス絵本に仕立てあげました。こんな絵本を贈り物にもらえたらどんなにうれしいでしょう。
 信じるということ。それはクリスマスだけにかぎらず、日常のさまざまな場面で大切なことです。ところが、その大切さを私たちは忘れがちです。子供だった頃にサンタクロースの存在を信じたように、おとなになってもそれを思い出すこと。
 絵本は子供だけのものではありません。村上春樹さんという人気作家の手を借りて、たくさんのおとなたちに読まれることも悪いことではないでしょう。

 あなたには、まだ少年の銀の鈴の音が聞こえますか。
  
(2010/12/26 投稿)

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 今日はクリスマスイブ

    おほかたは星の子の役聖夜劇        伊藤 トキノ

 おとなの人にはクリスマスの思い出はたくさんあって、
 子どもたちはクリスマスの思い出をたくさんつくっている最中。
 いい思い出、たくさんつくれたらいいよね。
 3週続けてのクリスマス映画も
 今週でおしまい。
 今週お話するのは、
 2004年に公開されたアメリカ映画「ポーラー・エクスプレス」。
 原題は「The Polar Express」。
 観た人はともかく、
 私はこの映画のことを全然知りませんでした。
 たまたまアマゾンプライムで観たのですが、
 この映画の原作なら知っていました。
 クリス・ヴァン・オールズバーグさんの『急行「北極号」』。
 村上春樹さんが訳したことで日本では知られた
 絵本です。
 でも、今日は映画「ポーラー・エクスプレス」の話です。

  

 映画「ポーラー・エクスプレス」はフルCGアニメーションです。
 監督はロバート・ゼメキスさん。
 そう、あの名作「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や
 「フォレスト・ガンプ/一期一会」を撮った名監督。
 そして、サンタクロースの声などいくつかの声を演じているのは
 あのトム・ハンクスさん。
 主人公の少年を乗せて北極点をめざす急行「北極号」の車掌の声も彼で
 顔までトム・ハンクスさんそっくりに出来ています。

物語はクリスマスイブの夜、
 サンタクロースが信じられなかった少年のところに
 急行「北極号」がやってくるところから始まります。
 原作の絵本には登場しない仲間たちとのやりとりや
 北極点までのジェットコースターのような旅の様子が描かれます。
 このあたりの面白さは
 さすがロバート・ゼメキス監督。
 北極点についた少年たちは
 そこでたくさんの妖精とサンタクロースに会います。
 サンタクロースを信じられなかった少年に
 サンタクロースはこういいます。
 「クリスマスの心は君の心にあるんだよ
 最後に少年がもらった銀の鈴。
 少年にははっきりと聞こえる鈴の音も
 おとなのパパやママには聞こえません。
 原作の絵本の最後にはこうあります。
 村上春樹さんの訳で、どうぞ。

  ぼくはすっかりおとなになってしまったけれど、
  鈴の音はまだ耳に届く。
  心から信じていれば、その音はちゃんと聞こえるんだよ。

 今夜、あなたにも聞こえたらいいですね、
 トナカイさんにつけられた鈴の音が。

 素敵なクリスマスを。

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プレゼント 書評こぼれ話

  今回の書評タイトルではないが、
  明日のクリスマスイブを前にして
  気分は「クリスマスにはクリスティー」ということで
  選んだ『ベツレヘムの星』でしたが、
  正直とても難しかった。
  え? 犯人探しのことではなく、
  本に書かれていた内容そのものが理解できなく、
  どんな風に書評を書いていいのやら、
  それも難しかった。
  いつもの霜月蒼さんの
  『アガサ・クリスティー完全攻略』では
  「クリスマスの夜に読みましょう」とあって
  ★★★の評価。
  しかも、霜月さんは
  「シャンパンなりワインなりの酔いのなかでお読みになること」を
  薦めていますが、
  そんなことしたら、
  私は寝てしまいます。
  私の評価は、????

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  クリスマスにはクリスティー                   

 「クリスマスにはクリスティー」というのが、アガサ・クリスティーの存命中のキャッチフレーズだったという。
 その時期の新刊を上梓していたところから、そういう風にいわれたのでしょう。
 そして、まさにこの本は著者自身がクリスマスを意識して1965年に出たもので、原題は「Star Over Bethlehem」。
 街のあちらこちらにクリスマスツリーを飾る日本人であっても、実際「ベツレヘムの星」と言われても多くの人はその意味がわからないのでは。
 この星は、イエス・キリストが誕生した直後に輝いて東方の三博士にそのことを知らせたとされ、クリスマスツリーのてっぺんにある星は「ベツレヘムの星」を表しているそうだ。

 そんなクリスマスのぴったりのタイトルがついたこの本には、ポアロもミス・マープルも登場しないし、ミステリーでもない。
 4つの詩と6つの掌編が収められていて、そのどれもがクリスマスのためのもの。
 しかし、ここにあるどれも、けっしてわかりやすいものではない。
 最後は、クリスマスだから、ハッピーエンドというファンタジーでもない。
 正直にいえば、作品を楽しむということはなかった。
 そのことを知ったら、アガサはきっと悲しそうな表情をするだろうか。
 それとも、それも仕方ないわねと、あきらめるだろうか。
  
(2022/12/23 投稿)

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 今日は二十四節気のひとつ、冬至
 一年中で昼がもっとも短い。
 でも、この日を境にこれから陽が長くなるということで
 「一陽来復」とも呼ばれます。

    一陽来復雑木林に射す薄日        棚山 波朗

 日本では冬至の日カボチャを食べたりしますが、
 韓国では「あずきがゆ」を食べる習慣があります。
 この『あずきがゆばあさんととら』という
 韓国の昔話の絵本の巻末に
 訳者のかみやにじさんの「あとがき」があって、
 そこに「あずきがゆ」というのは
 甘くない「ぜんざい」と書かれています。
 甘くないどころか、塩を少し加えるとか。
 国によって風習は違いますが、
 寒いこの季節、体を温めるにはいい料理なのかもしれません。

  

 この絵本の物語は、
 韓国では小学2年生の国語の教科書に載るほど
 有名な昔話だということです。
 あずきがゆをとっても上手くつくるおばあさんが
 大きなトラに出くわして食べられそうになってしまいます。
 おばあさんは冬至の日までなんとかトラに食べられないようにしますが、
 とうとうその日がやってきてしまいます。
 泣いているおばあさんのところへ
 まずやってきたのが栗。
 おいしいあずきがゆと交換に、おばあさんをたすけるといいます。
 その次にやってきたのは、すっぽん。
 そこから次から次へと、おばあさんの援軍が集まります。
 そこにやってきたトラ。
 さあ、どうなるのでしょうか。

 この絵本の絵を担当しているのは、
 自称「人形いたずら作家」として人気のペク・ヒナさん。
 彼女の楽しい絵を見ているだけで、暖まります。
 すっぽんのあとに出てくる、うんちの絵には笑ってしまいました。

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 もしかしたら、
 この世界にいる自分ではなく、
 別の世界にも自分がいて
 まるで違う生活を送っていたりしないだろうか。
 あの時、ああいう選択をしているのではなく、
 違う選択をした別の自分がいる世界があったりしないだろうか。
 藤野千夜さんが2013年に発表した『君のいた日々』を読んで、
 そんなことを考えたりしていた。

  

 不思議な小説だ。
 「春夫」とタイトルにはいっている章では
 春夫の妻久里子は亡くなっている。
 「久里子」とタイトルにはいっている章では
 夫の春夫はこの世にいない。
 そういう章立てが3つずつある。
 つまり、「春夫」と「久里子」の章は別々の世界だ。
 不在なのは「久里子」であったり、「春夫」であって、
 二人の息子はそれぞれの世界で生意気ざかりの高校生で変わらない。
 春夫の姉も久里子の友人もちゃんとふたつの世界にいる。
 そんな世界ながら、
 どうしてこんなにもうまく行ったり来たりできるのだろう。

 読み手である私たちは
 もしかしたらそういう別次元の世界の存在をどこかで
 認めているからかもしれない。
 そして、それは物語の世界がもっている世界観であることに気がつく。
 ページの中の世界はいつだってもうひとつの別のものなのだから。
 だから、この物語は心地いいのは
 それこそが読書の愉しみでもあるからだろう。

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 2022年のNHK大河ドラマが北条義時を主人公にした鎌倉時代を描くと聞いて、
 正直面白いのかなと半信半疑だった。
 何故なら、鎌倉時代といっても有名なのは幕府を起こした源頼朝とか
 平家を破った義経とかの名前ぐらいで、
 義経が何故頼朝から嫌われることになったか、
 その背景すらよく知らなかった。
 三代将軍実朝が雪の鎌倉八幡宮で殺害されたその相手公暁との関係も
 実はほとんど知っていなかった。
 そんな鎌倉がどんなドラマになるのか、
 一年間見終わった今、とっても満足している。
 鎌倉時代の初期はこんなに面白かったのか。
 もっと日本史を勉強しておけばよかった。
 もっとも日本史の教科書だけでは
 この面白さは体験できなかったに違いない。
 となれば、
 やはりその功は脚本家三谷幸喜さんにあるし、
 演じた俳優さんたちの熱演によるものといっていい。

  

 そして、そのドラマの余韻を楽しむのにうってつけの一冊が
 複数の書き手による歴史小説アンソロジー『鎌倉残影』だ。
 刊行が2022年11月だから、
 まさに「鎌倉殿の13人」ロスになった人向けに編まれたといっていい。
 書き手は5人。
 朝井まかてさんの『恋ぞ荒ぶる』、諸田玲子さんの『人も愛し』、
 澤田瞳子さんの『さくり姫』、武川佑さんの『誰が悪』、
 そして葉室麟さんの『女人入眼』。

 面白かったのは、朝井まかてさんの作品で、
 北条政子と義時の姉弟の半生を短い枚数ながらうまくまとめている。
 大河ドラマは一年にわたる作品であるから細部まで書くことができるが
 短編小説はやはり焦点をあてる描き方となる。
 そのあたりの妙が、さすが朝井さんはうまい。
 武川佑さんの作品は、和田義盛が起こした戦いを描いたもので、
 大河ドラマでも印象に残る場面であったから
 これも面白く読んだ。

 私にとって、この本は「鎌倉殿の13人残影」になったといえる。

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 今年もあと2週間になりました。
 その間に冬至があったり
 クリスマスがあったり、
 年賀状を書いたり、
 そうだ、大掃除もしないと。
 そんな師走の二週間です。
 この時期花屋さんの店頭でよく見かけるのが
 ポインセチア

  20221217_093828_(2)_convert_20221218152818.jpg

 「歳時記」によれば
 「茎先の苞葉(ほうよう)が鮮紅色に変わり」とあるので
 赤いのは花ではないみたい。

    ポインセチアその名を思ひ出せずゐる        辻田 克巳

 この句のように、何故か名前がスッと出てこない
 代表のような花です。

 畑では
 ついに九条ネギを収穫しました。

  20221218_142547_convert_20221218145631.jpg
 まわりの畑と比べて
 我が家のネギはあんまり大きくはなりませんでしたが
 やはり茎の白がきれい。
 まずまずの出来かな。
 シュンギク
 こちらもあまり大きくならなかったニンジン
 寒波がきている今夜は
 湯豆腐で食べようかな。
 ちなみに、ネギは冬の季語。

   葱抜くや人をはるかにおもひつつ         山上 樹実雄

 寒さで野菜たちも
 ほとんど大きくなりません。
 これはニンニク

  20221218_140347_convert_20221218145539.jpg

 冬越し野菜ですから
 今はこんなのでいいのでしょう。

 こちらも冬越し野菜の代表格
 スナップエンドウ

  20221218_135207_convert_20221218145457.jpg

 これぐらいで
 冬本番を迎えてくれたら
 上出来かも。

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 絵本を選ぶ際、まずは自分のお気に入りの絵本作家さんのものを手にします。
 例えば、あべ弘士さんとか長谷川義史さんとか。
 絵本のガイド本からも選ぶことがあります。
 そういう時は、柳田邦男さんや落合恵子さんが書かれた本からになります。
 書店でいえば、やはり児童書専門店のクレヨンハウス
 そこでは、手にして、開いて、気になった絵本を読んでみたくなります。
 それでは、この『ふたごパンダのこころコロコロ』の場合はどうだったか。
 文を書いた西島三重子さんの名前が目にとまったのです。

  

 西島三重子さん? えっ、あの西島三重子さん?
 私にとっての西島三重子さんといえば、
 学生時代に耳にし、よく歌ったあの名曲「池上線」を歌っていたシンガーソングライターの、
 西島三重子さんなのです。
 調べると、「池上線」は1976年にリリースされています。
 私が21歳の時です。
 池上線自体に思い出があるわけではありませんでしたが、
 男女の切なく甘いラブソングに、はまってしまったのです。
 若い時に聞いたそんな歌はいつまでも心に残ります。

 西島三重子さんが絵本作家になっていたなんて。
 そこで思わず手にしたこの絵本は、はせがわゆうじさんの絵もかわいく、
 きっと誰かに伝えたい、心温まるメッセージ絵本になっています。
 「話す言葉をさがしながら/すきま風にふるえて」いた女性は、
 「くよくよしながら/きょうを おもうより/わくわくするような/あしたを かんがえよう
  //あした げんきに なあれ」と
 そんな強い人になっていました。
 赤いリボンをかけて、贈りたくなるような素敵な絵本でした。

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 クリスマス映画の第2弾は
 1946年アメリカで公開された
 フランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生!」。
 まさにクリスマス映画の鉄板ともいえる作品。
 こんな映画を第2弾にもってきたら、
 来週のイブの本番はどうなることか。
 それはともかく、
 この映画が日本で公開されたのは1954年。
 そりゃ、1946年といえば
 日本はまだ敗戦間もない頃で
 「素晴らしき哉、人生!」なんていえるはずもない。
 今日は、クリスマス映画の名作
 「素晴らしき哉、人生!」の話です。

  

 この映画、原題が「It's a Wonderful Life」と
 至ってシンプル。
 それが邦題となると、「素晴らしき哉、人生!」となって、
 この中の「哉」と「!」がなんともいえない。
 2016年にウィル・スミスが主演した映画が
 「素晴らしきかな、人生」。
 どうも紛らわしい。
 どうしてこんな題名をつけたのかな。

 「素晴らしき哉、人生!」の話。
 主人公はジェームズ・ステュアート演じる町の好青年。
 妻と子どもたちを愛し、
 貧しい町の人たちにも優しく手をさしのべる。
 ところが、彼と敵対する有力者の罠にはまって
 彼は倒産の危機に陥る。
 自分など生まれなければよかった、と嘆く主人公。
 川に身を投げようとした彼を、
 二級天使が救うことになる。
 そして、ラストはなんとも美しいクリスマスの夜。
 やっぱりクリスマス映画は
 心温まる作品でないと。

 和田誠さんの『お楽しみはこれからだ4』で
 この映画のセリフが取り上げられている。
 それが、これ。
  
   友人を持つ人間に、敗残者はいない

 さて、どこで出てくる言葉か、
 さがしてみるのも面白い。

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 1948年生まれの内館牧子さんは、りっぱに高齢者の分類にはいるのだろうが、
 その内館さんが『老害の人』というタイトルで小説を書くなんて
 ちょっと自虐すぎないか。
 いえいえ、すでに内館さんは『終わった人』『すぐに死ぬんだから』『今度生まれたら』と、
 老後小説を続々と発表し、
 おそらく登場人物と同世代の読者から熱い支持を受けている。
 なので、この『老害の人』というタイトルに
 納得する人はいても、憤慨する人は少ないと思う。
 少なくとも、そういう年寄りいるよなと
 笑っているのではないだろうか。
 自分はさておき。

  

 この小説の中で、内館さんは「老害」についてこう書いている。
 「老害とされる人は、口数が多い。後先を考えず、言いたいことを言う。
 そんな自分に酔い、際限なくいくらでも言う。
 そんな男、85歳の福太郎がこの物語の主人公。
 小さな玩具会社の業績を伸ばしたのが自慢。
 「老害」の典型が自慢話。
 その果てに、会社の新しい取引を破談にさせ、娘からこっぴどく叱られる。
 それで引っ込まないのも「老害」ならでは。
 「病気自慢」「趣味自慢」といった「老害」仲間を集めて、
 老人のためのサロンをこしらえてしまう。
 「何かを始めることは、こんなにも人間を力づける」と、
 福太郎たちに精気がよみがえり始めた。

 この物語を読んで、
 曲がった背中がしゃんとするかもしれないが、
 それが新たな「老害」にならないよう、
 危惧もしたりして。

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 今日も向田邦子さんの本。
 ただし、この『家業とちゃぶ台』は
 2022年7月に刊行されたもので、
 向田さんが生前発表したテレビドラマの脚本3本と
 その幕間にエッセイがはめこまれた
 向田ファンにとっては
 とってもうれしい一冊だ。

   

 書名にある「家業」は「広辞苑」によれば
 「① 一家の生計のための職業。②家代々の職業」とある。
 収録されているドラマは、
 「はーい・ただいま」(1972年)は旅館だし、
 「時間ですよ2」(1971年)は銭湯だし、
 「寺内貫太郎一家2」(1975年)は石材店と、
 こう並べるとしっかりとした「家業」を舞台にしたものだといえる。
 面白い
 向田さんの父親は保険会社の社員で
 典型的なサラリーマン一家だったはずだが、
 どうして向田さんは「家業」にこだわったのだろう。

 もうひとつの「ちゃぶ台」は昭和の生活の中で欠かせない家具だが、
 向田さんにとって「家業」も「ちゃぶ台」も
 懐かしい風物としてのものではなく、
 私たちが失ってはいけないものの代名詞のようなものだったのではないだろうか。
 それはテレビドラマの脚本の中にも
 幾重にも染みこませている。

 エッセイには、捨てられる台本を嘆く「胃袋」や
 少し長めの「せりふ」という作品が印象に残った。
 特に「せりふ」は脚本家をめざす人にはぜひ読んでもらいたい、
 向田邦子流脚本の心得になっている。

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 向田邦子さんにはたくさんの小説が残っているわけではありません。
 本としても数冊で、
 中でも直木賞を受賞した「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収めた
 短編集『思い出トランプ』は秀逸です。
 そして、その続きとして「小説新潮」の1981年に書き始めたのが
 この本の収録されている短編4篇で、
 「男どき女どき」として総タイトルがつけられていました。

  

 4つの短編は、
 何者かによって自宅の台所に運びこまれた一匹の鮒から
 昔付き合った女との交流を浮かびあげる「」、
 毎朝目があう果物屋の店主との不思議な縁を綴った「ビリケン」、
 夫とその部下の男との奇妙な関係の間におかれた妻を描いた「三角波」、
 なかなか子どものできない夫婦の微妙なバランスは「嘘つき卵」として描かれます。

 こういう作品を読むと、
 生涯独身であった向田さんにとっての「夫婦」とは
 自身の両親であったり友人の夫婦であったり
 客観的な視点で、時には冷たく、突き放せる対象だったのかもしれない。
 一体向田さんの頭の中に
 そのあとどのような男女の姿、夫婦の姿があったのだろう。
 それはけっして私たちが読むことのできない世界だが、
 それを思うだけで少し楽しめるのが
 向田さんの魅力だといえないでしょうか。

 この文庫にはそのほかにも
 珠玉とされるエッセイが数多く収められています。
 文庫解説の向田さんの挿絵を描いた風間完さんの文章も
 一読に値いする名文です。

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 コロナ禍になって
 生活のさまざまな場面で変化が起こりました。
 それでも、次第に元の生活を取り戻しつつあるこの頃ですが、
 今回で16回めとなる
 「図書館と県民のつどい埼玉」は
 今年もオンライン配信での開催となりました。
 12月10日(土)と11日(日)の開催で、
 今回も埼玉県内の図書館が大集合ということで
 さまざまな企画がオンライン配信で視聴できました。

  20221211_074538_convert_20221211085109.jpg

 記念講演もオンライン配信で、
 今回は作家の門井慶喜さん。
 日曜朝10時40分からの配信で、
 門井さん自身は大阪にある素敵な仕事場からの
 講演となります。
 オンラインならではの良さでしょうか、
 それと視聴されている人のなかには
 埼玉在住の人ではない参加者もいたようで
 そのあたりもオンラインの良さでしょう。

 講演のタイトルは「家康に学び、江戸の学ぶ」。
 お父さんが生まれた息子に「慶喜」とつけるほどの歴史好きで
 埼玉の出身だとか。
 なので、まったく関係がないわけでもないようです。
 家康といえば、
 来年のNHK大河ドラマが「どうする家康」ということで
 これから関連本がどんどん出るでしょうし、
 門井さんにも『家康、江戸を建てる』という面白い作品があります。
 その本はもともと「家康、」がついていなかったそうですが
 単行本化するに際してつけられたというエピソードも
 講演で聞くことができました。

 その作品に関連して
 江戸がどのようにして発展していったか、
 門井さんは明暦の大火のあと、
 江戸はまさに大江戸になったと話されていました。
 東京の街にある広小路という道は
 消防という観点から道幅を広げたものだとか
 そういう話も面白く、
 そういう歴史小説を書く上で
 門井さんは本のほとんどを今は購入しているそうで
 大阪にある仕事場の書庫には2万冊近い蔵書があるそうです。
 その書庫の写真もスライドで見れたりして
 そのあたりもオンライン配信の良さだと感じました。

 直木賞を受賞した『銀河鉄道の父』を書くきっかけは
 自身のお子さんに買ってあげた漫画の「宮沢賢治」だったとか、
 自身の名前の「慶喜」は小さい頃は嫌いだったが今は好きだとか
 なかなか聞けない話はあったりして
 時間を忘れる80分でした。

 門井さんオススメの東京スポットは
 東京駅近くの新しくなった三菱一号館だとか。
 今度行ってみたいものです。

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 この時期、街を歩くと
 サザンカの花が目につくようになりました。

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 サザンカ、漢字で書くと山茶花

    山茶花を掃くや朝日の芳しき        山西 雅子

 昔、山茶花究という俳優さんがいました。
 掛け算のさざんかきゅう(3×3=9)にかけた面白い芸名なので
 よく覚えています。
 個性的な俳優さんでした。
 そういえば、へたな役者さんのことを
 「大根役者」といいますが、
 あれには色々と由来があって
 そのうちのひとつが
 ダイコンの白と素人(しろうと)とをかけたもので
 やっぱり昔からダイコンといえば白と決まっていたのでしょう。
 山茶花究さんは「大根役者」ではなく、うまい人でした。

 これが先日とれた
 聖護院ダイコン

  20221210_123451_convert_20221211085035.jpg

 やっぱり白ですね。
 根本にあるのが茎ブロッコリー
 一度にたくさん採れることはありませんが
 小まめに収穫できます。

 これはホウレンソウ

  20221210_104334_convert_20221211084927.jpg

 やはりこの季節、なかなか成長してくれません。
 この日(12月10日)、
 このホンレンソウの横のダイコンのあとに
 さらにホウレンソウを蒔きました。
 ひと畝、ホウレンソウにして
 あとはビニールをかけてトンネル栽培にします。
 寒さ対策です。

  20221210_121325_convert_20221211084957.jpg

 手前にあるのは
 ソラマメスナップエンドウ

 こちらはタマネギ

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 手前に密集させているのが
 畝に収まりきらなかった苗で
 密集させてペコロスにするつもりの栽培。
 それでも、まだまだ先の収穫です。

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 朝、街中に立って、走る車を見ていると
 必ず見かける特別な形をした車があります。
 うしろの荷台のところが表から見えないようになっていて
 最後尾に口がついています。
 それが、ごみ収集車。
 後ろの口からゴミをいれて集めるようになっています。
 のりもの好きの子どもたち向けに編まれた絵本に
 このごみ収集車が登場しました。
 題して『ごみしゅうしゅうしゃ』。

  

 よく見かける車ですが、
 それがどのような使われ方をしているのか、
 子どもたちにわかりやすいようにしています。
 絵本にも書いてありましたが、
 この車には45リットル入りのごみ袋が1回約90個
 積み込むことができるそうです。
 いっぱいになった車は、
 清掃工場に運ばれます。
 集めたごみを下ろして、また次の回収場所へ。
 ごみ収集車とそこで働く人たちの活躍で
 私たちの生活は清潔さが維持できているのです。

 もう少し車の内部の仕組みを知りたかったと思いますが、
 絵本でごみ収集車の活動を知ることで
 社会的な視点が生まれていくはずです。
 持続可能な新しい世界に生きる子どもたちにとって
 とても重要なことだと思います。

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 12月に入ると
 街のあちらこちらでクリスマスの飾りつけを目にします。
 これは、浦安にあるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル
 クリスマスツリー。

  20221207_141025_convert_20221209151519.jpg

 今年は土曜日がイブですから
 楽しみにしている人も多いでしょうね。
 映画にもクリスマスが題材になった作品もたくさんあって
 今日からイブの土曜日までの三回、
 クリスマス映画の話をしましょう。
 今日は懐かしい、1947年のアメリカ映画
 「三十四丁目の奇蹟」の話です。

  

 1947年ですから映画はまだ白黒。
 日本の公開は1948年で、
 ということは終戦後まだ3年めでの公開ですから
 この映画を観た日本人は白黒映画でも
 アメリカの贅沢な街の姿に
 あらためてびっくりしたでしょうね。
 今観ても、クリスマス前のパレードに集まる人とか
 こんな撮影よくできたものだと感心します。

 そんなパレードに姿を現したのが
 自分はサンタだと言い張る一人の老人。
 確かにその容姿はサンタそのもの。
 この人を演じているのはエドマンド・グウェンさんで、
 彼はこのサンタ役で
 その年のアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。
 このサンタが話題を呼んで、
 ついに本物か偽物か法廷に持ち込まれてます。
 サンタなんか信じなかった現実派のヒロイン(モーリン・オハラ)も
 いつしかサンタを信じるようになっていますが、
 裁判官から証拠を求められて
 サンタ側は追い込まれていきます。
 しかし、彼が本物のサンタであることが証明される証拠が見つかります。
 それは、・・・
 あとは映画をご覧下さい。

 この映画、出来がよかったのでしょう、
 たびたびリメイクされているようです。
 それと、タイトルですが、
 「34丁目」と数字書きしたり、「奇跡」と表記したりするようですが、
 ここでは公開当時にならって
 「三十四丁目の奇蹟」としました。

 ところで、
 あなたはサンタクロースって信じますか?

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 三谷幸喜さん作のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も、
 残すところあとわずかとなった。
 早くも主人公である北条義時がどのような最期を迎えるか
 SNS上では議論百出しているようだが、
 もしかしたらそのヒントが
 永井路子さんの『寂光院残照』という短編集に収められた
 「ばくちとしてこそ歩くなれ」という作品に書かれている。
 この短編は承久の乱に関わった尊長という僧が主人公になっていて
 乱のあと捕らわれた尊長が義時殺害の内実を語るところで終わる。
 調べると、この逸話は『明月記』にあるという。

  

 同じように表題作の「寂光院残照」は
 平家滅亡の折り命を救われ、京都の寂光院で日々を送る建礼門院のもとを
 後白河法皇が訪ねるという『平家物語』にある逸話から
 短編に仕上げたもの。
 このように鎌倉時代を描くには、その他にも『吾妻鏡』など
 欠かせない古典があるが、
 それらをどう料理し、現代の読者へ感銘をもたらすかは
 作家次第といえる。

 その点、永井路子さんはさすがに手さばきよく、
 短編ながら実に巧みに仕上げている。
 先の2篇以外にも
 実朝暗殺の場面を描いた「右京局小夜がたり」、
 義経追討に名をあげた男の「土佐房昌俊」、
 頼朝の死の謎にせまる「頼朝の死」、
 ほか「后ふたたび」の、
 全6つの名短編が収められていて、
 どれも読みごたえ十分だ。

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 先日読んだ藤野千夜さんさんの『団地のふたり』の載っていた
 著者の簡単なプロフィールで
 2020年に出た『じい散歩』が話題になったとあったので
 読んでみた。
 というのも、『団地のふたり』の読後感が気に入ったというのもあって、
 藤野千夜さんの作品をまた読んでみたいと
 思ったせいでもある。
 『団地のふたり』の心地よさは
 50歳になって独身の二人の同級生が
 そういう生き方をとても楽しんでいることのそれといっていい。
 しかも、彼女たちだけでなく、親たちも自然に受け止めているのも素敵で
 こんなところに人間の本来のありかたが現れるのだろうと思った。

  

 『じい散歩』は、『団地のふたり』よりも
 もっと驚く家族小説だ。
 主人公は89歳になる新平。健康維持につとめ、散歩が日課で、
 ふらりと建物を見たり、喫茶店でお茶したりしている。
 若い頃の浮気癖はなくなったが、まだエロには興味がある。
 妻の英子は88歳。やや認知症が出てきたようで、
 新平の浮気を今でもしきりに疑っている。
 彼らには三人の息子がいて、みんな50歳をすぎたあたり。
 ところが、長男は引きこもり、次男は自称「長女」、三男は借金まみれ。
 と、かなりおかしい家族だ。

 そんな家族のどうということのない、あるいは結構波乱にとんだ、日常が
 新平の散歩の姿とともに描かれている。
 おかしい家族であるはずなのに、
 この家族のなんというおおらかなことか。
 世間を気にすることなく、世間を見て歩く、その姿に
 やっぱりこの作品にも、人間の本来のありかたが
 見えるようであった。

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 未見ながら、ずっと気にかかっていた日本映画があった。
 1982年に公開された高橋伴明監督の「TATTOO<刺青>あり」がそれで、
 ようやくアマゾンプライムで観ることができた。
 何故気になっていたか、
 当時まだ関根恵子だった女優が監督と結婚するきっかけとなったのがこの作品で、
 彼女はこのあと高橋恵子として活躍することになる。
 そんな作品だからだろうか、
 この作品の関根恵子さんはとても奇麗だ。
 そして、この映画が
 昭和54年(1979年)に起こった三菱銀行人質事件の犯人
 梅川昭美を主人公にしていることだ。
 あまりに凶悪な事件で覚えている人も多いだろう。
 映画は、銀行に籠城し、ライフルを乱射、複数人を殺害し、
 人質を盾にした犯人の、
 生い立ちから事件を起こすまでの歳月を描いて、
 実に見ごたえのある作品に仕上がっている。
 梅川は映画では竹田と名前を変えられ、
 宇崎竜童さんが熱演している。
 関根恵子さんはその愛人役である。
 宇崎の母親役を渡辺美佐子さんが演じている。

  

 前書きが長くなったが、
 この映画を観て、もう一度
 昭和54年に起こった事件と犯人像はどんなものであったか
 それが知りたくなって見つけたのが
 毎日新聞社会部編の『破滅 梅川昭美の三十年』という
 ドキュメントだった。

  

 これは事件のあった昭和54年1月26日から
 犯人が射殺される28日までの間もない
 2月7日から一か月以上にわたって毎日新聞に連載された記事が
 もとになっている。
 短時間にこれだけの内容を取材したのであるから
 当時の新聞記者の熱気はすごかったに違いない。
 本としての刊行が同じ年の8月だから、
 この事件がいかに世間を騒がしたものかわかる。

 その点、高橋伴明監督の映画作品は
 もっと冷静に、より取材を深めたなかで
 関根恵子さんの演じる愛人をうまく表現することで
 より犯人の狂気が鮮明になっているように感じた。
 ちなみに、この「TATTOO<刺青>あり」は
 この年のキネマ旬報ベストテン6位だった。

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 松本清張が亡くなったのが1992年8月だから
 今年(2022年)で没後30年になる。
 今でも多くの愛読者を持つ国民的作家に、
 まさか「全集」や短編集にこれまで収録されてこなかった作品が
 まだあるとは驚きだし、
 しかもそれらの作品が決して駄作でないことに
 あらためて松本清張という作家の偉大さに気づかされる。
 それが2022年11月に刊行された、『松本清張未刊行短編集 任務』だ。

  

 この短編集には表題作である「任務」のほか、
 「危険な広告」「筆記原稿」「鮎返り」「女に憑かれた男」
 「悲運な落手」「秘壺」「電筆」「特派員」「雑草の実」の
 全10篇が収められている。
 これまでに刊行されなかったということなので
 初期の頃の作品が多いが、
 半生を綴った自伝作品「雑草の実」は1976年のもので
 しかも清張の若い頃の生活を知る上で貴重な作品といえる。

 しかも、これらの作品群はバラエティーに富んでいて
 「危険な広告」は社会派作品だし、「鮎返り」は恋愛もの、
 「悲運な落手」は将棋の対戦を描いた作品(私のオススメはこれ)、
 「秘壺」は清張ならではの美術界を題材にしたもの、
 「電筆」は速記を生み出した伝記小説と
 読みごたえのある短編ばかりといえる。

 これから松本清張を読もうと考えている人だけでなく、
 すでに清張作品を読破してきた愛読者でも堪能させる
 短編集であることは間違いない。

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 12月にはいって
 埼玉でも朝の最低温度が5℃を下回る日があったりして
 すっかり冬。
 何しろ明後日7日は二十四節気のひとつ、大雪
 菜園の周辺の桜も葉をすっかり落として、
 「冬ざれ」という言葉そのもの。

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    冬ざれの厨に赤き蕪かな        正岡 子規

 そんな季節に街を歩くと目をひくのが
 柑橘類の木々の、黄色い実。

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 見ているだけで
 心に灯りがともるかのようです。

 この時期、
 畑での作業はほとんどありません。
 早い人は寒起こしを始めていたりします。

 これは今年初めて栽培している
 プチヴェール

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 もう少しわき芽が大きくなると
 いいのでしょうが、
 がまんできずに少し大きくなっているものを
 収穫しました。

 それがこちら。

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 収穫したワケギのそばにあるのが
 プチヴェール
 おふくろダイコンはこれが最後の一本。
 まずまずの出来だったです。

 畑の野菜も
 そろそろ寒さ対策が必要なそんな時期かな。

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 今日12月4日は
 このブログの14回めの誕生日です。
 いつも読んでくれている皆さん、ありがとうございます。

 先日今年(2022年)の新語・流行語大賞が発表されました。
 今年は「村神様」。
 ヤクルトスワローズの主砲、村上宗隆選手の活躍を
 ファンの皆さんがこう呼んで称賛した言葉。
 ちなみに、今日本中が歓喜にわいている
 サッカーW杯での長友佑都選手の「ブラボー!!!」は
 残念ながら今回の選考には間に合いませんでした。

 では、このブログを始めた2008年の新語・流行語大賞に何が選ばれたか、
 憶えていますか。
 私は全然覚えていませんでした。
 調べると、「アラフォー」と「グ~!」。
 言葉として「アラフォー」は今でも使われていて、
 私たちの生活に定着しました。
 一方の「グ~!」はまさに流行語の運命をたどっていますが、
 この言葉を聞くと、そういえばと時代を思い出させる力があります。

 私も読んできた本や観た映画、訪れた場所など
 すべて覚えていませんし、
 どんどん忘れていますが、
 ブログのおかげで、読み返すと、
 この時にはこんなことを思っていたんだと
 振り返ることができます。
 もし、それが私だけでなく、
 そういえばこの本の話はあのブログに書いてあったなと
 誰かが一人でも思い出せてもらえたら
 こんなに幸せなことはありません。

 いい本と出会えることを願って。
 
 これからも応援よろしくお願いします。

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 土曜日は、いつもなら
 映画の話をしているのですが
 今日は会期末が近づいている展覧会に行ってきたので
 そのお話です。
 もっとも今から行きたいと思っても
 チケットの予約はとれないでしょうね。
 それほど人気の展覧会ですから。
 それが、東京・上野にある
 東京国立博物館で開催されている
 「国宝 東京国立博物館のすべて」。
 何しろ、この展覧会、
 東京国立博物館創立150年記念の特別展
 チケットもなかなかとれない人気ぶりです。

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 写真は正面から見た
 東京国立博物館です。

  20221129_151424_convert_20221202155401.jpg

 ちょっと天気が悪い、
 11月29日火曜日の3時過ぎ。
 平日のこの時間でもたくさんの人でいっぱいですが
 予約制をとっているので
 入場者数も限られているのでしょうか、
 展示物が見られないということはありませんでした。

 念のために書いておくと
 東京国立博物館はいくつかの建物があって
 写真に見えているのは本館にあたります。
 その左側奥に「平成館」という建物があって
 大規模な特別展の時はよくそこを使うようです。
 今回もそこで開催されています。

 「国宝」といっても
 その種類はさまざまで
 絵画・書跡・東洋絵画・東洋書跡・法隆寺献納宝物
 考古・漆工・刀剣と
 各ジャンルに分かれて展示されています。
 今回の展覧会の場合、会期によって一部展示も変えていて
 私が行った時は
 絵画の最初の展示が「洛中洛外図屏風」でした。

 今回の展覧会で思ったのは
 「国宝」を鑑賞するには歴史なり美術なりの
 ある程度の知識がもっとあればということです。
 「書跡」の展示を見て
 確かに美しい字だということぐらいで
 その価値とかがあまりわかりません。
 さらに「刀剣」ともなれば
 若い人に今ブームになっているとは耳にしますが
 正直その良さすごさがよくわかりませんでした。
 それでも、これだけ多くの人が鑑賞に訪れるのですから
 日本人の知識に対する貪欲さに感心します。

 展覧会最後は
 切手のデザインとしても有名な
 菱川師宣の「見返り美人」。

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 今回の展覧会では「国宝」展示以外に
 東京国立博物館150年の歩みに関しての展示もあって
 次の150年に向けての「見返り」の意味も
 あったのだと思います。

 最初に書いたように
 この「国宝 東京国立博物館のすべて」(入場料2000円)は
 12月11日までとなっています。

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 脚本家でエッセイストで、直木賞受賞作家でもある向田邦子さんが亡くなって
 40年以上経ちます。
 (亡くなったのは、1981年8月22日、台湾への海外旅行中での飛行機事故という不慮の死でした。)
 それでも、向田さんの本が書店の棚から消えることはありませんし、
 いろんな編集の仕方で新しい本が出版されたりしています。
 その点ではなかなか稀有な作家で、
 松本清張とか司馬遼太郎といった国民作家と呼ばれた人たちに
 匹敵するといっても過言ではありません。

   

 2022年8月に出た『親愛なる向田邦子さま』は、
 没後出版された向田さんの本の中でも
 少しばかり色合いが違います。
 向田さんのことを綴った24篇の短文が集められたエッセイ集です。
 執筆者は、森繫久彌さんや加藤治子さんといった俳優陣や
 倉本聰さんや山田太一さんといった脚本家仲間、
 あるいは久世光彦さんや黒柳徹子さんといった仲間たち、
 そして向田和子さんや向田保雄さんといったきょうだい、など。
 24人がそれぞれ見、話し、接した向田邦子という人間を綴っています。

 「向田邦子は突然あらわれてほとんど名人である。」という有名な一文のある
 山本夏彦さんの文章も収められているし、
 没後時をおかず書かれた山口瞳さんの「木槿の花」も
 この本で読むことができます。

 向田さんが1975年に乳がんの手術を受けたことは、
 今では有名ですが、
 脚本家の早坂暁さんが「“残る”ものへの執着が、病気後強くあった」と
 短文に綴っています。
 そのおかげで向田作品が今でも残っているとしたら、
 向田さんの執着はなんと見事なものでしょう。

 向田邦子という一人の人間は。
 実はけっしてひとつきりの人間ではなかったということを知る
 貴重な証言集ともいえる一冊です。

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