01/10/2023 冬の本(安西 水丸/岡崎 武志/角田 光代 他) - 「懐炉」のようにあたたかな本

今年(2023年)は1月6日でした。
この日かあら節分までの約30日間が「寒の内」で
冬も本格的になります。
から鮭も空也の痩も寒の内 松尾 芭蕉

自身が立ち上げた夏葉社という出版社のことを描いた島田潤一郎さんは、
その本の中で創業間もなく頃
この『冬の本』を出版したエピソードも綴っています。
装丁が和田誠さんで、島田さんからすれば
思い切ったチャレンジだったと思います。
さらに、84人という人が「冬の本」にまつわる執筆を快諾してくれたというから
なんとも心温まる一冊になりました。

ページにしてわずか2ページ。
それだけの字数で、本の紹介となれば
短いと感じる人もあれば、それで十分と思う人もあるだろう。
そういう文章術を読むのも楽しい。

私はこの本を読んでいる間じゅう、
巻末の著者の略歴と紹介されている書誌情報が載っているページに
指をはさんでいました。
この人は古書店の店主なんだ、この人は音楽家か、
この本は絶版なんだ、今はあの文庫で読めるのか、みたいな感じで
本文との間を行ったり来たりしていたのです。

執筆者の一人、吉田篤弘さんの文のタイトル。
その中に、本が「懐炉」の役割という一節があり、
なるほどと感心ました。
確かに本の持つ暖かさは「懐炉」に似ています。
あるいは、人のぬくみといっていいかもしれない。
『冬の本』だが、この本はあたたかい。

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