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 夏井いつきさんといえば、おそらく今もっとも有名な俳人のひとりだろう。
 その彼女がコロナ禍真っ最中の、2021年3月から2022年3月にかけて「女性セブン」に連載した、
 人生の徒然を記したエッセイ集が、この『瓢箪から人生』だ。
 愛媛松山出身の正岡子規の糸瓜に対抗したわけでなく、いつきさん、産まれ出た時瓢箪頭だったとか。
 妹のローゼン千津さんが詠んだこんな句が最後に紹介されている。
 「瓢箪に生まれて人をよろこばせ
 この句そのままの、いつきさんの俳句活動といっていい。

  

 いつきさんといえば、人気テレビ番組「プレバト!!」の俳句コーナーの先生となるだろうが、
 それ以前からいつきさんは「俳句の種を蒔く活動」をしてきている。
 もちろん、このエッセイの中には「プレバト!!」に触れた箇所もあるが、
 そこだけを強調するのではなく、
 今までしてきた地道な活動の様子の方がたくさん描かれていることこそ、
 夏井いつきという俳人をよく知ることになる。
 きっと将来、いつきさんの志がたくさんの芽をふき、花を咲かせることになるに違いない。

 そんな活動の話だけでなく、
 やはり読者の琴線に触れるのは、
 いつきさんと交わった人たちとの話だろう。
 特に父親を癌で亡くした時の話には胸をうたれる。
 亡くなった時もそのあともなかなか泣けなかったいつきさんだが、
 父親が最後にわずかに汁だけを口にした鰊蕎麦をたまたま口にした時、
 嗚咽したという。
 そんな思いのひとつひとつが、
 夏井いつきという俳人を前へと進めているような気がする。

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