01/18/2023 底惚れ(青山 文平) - この時代小説に底惚れした

第154回直木賞を受賞したのが2016年の年のはじめであったから
気がつけば随分以前のことになる。
その青山さんの作品をまた読んでみようと思ったのは、
この『底惚れ』という長編時代小説が
第17回中央公論文芸賞と第35回柴田錬三郎賞の文学賞W受賞という
快挙を達成したと聞いたからで、
一体どんな作品かまったく予備知識のないまま読み始めた。
それがどうだろうか。
おとなの恋愛小説というのはこういう作品をいうのではないか、
心の奥底に灯りがともるように感動した。

ただ字の持つ雰囲気でわかることもある。
心底相手を好きになること、そんな意味ではないかしら。
物語の主人公は、40歳を過ぎても、仕事もままならない男。
働いていた小藩のお役目で、隠居した藩主のお手付きとなった下女を
女の里へ送りとどけることになる。
ところが道中、女によって殺されかかるはめになる。
一命をとりとめた男は、女が人を殺めたと悔いてはいないかと
女の居場所を探し始める。
思いついたのが、岡場所。
女を探すために、男はひたすら働く。男が開いた店が評判となり、
いつか女が見つかるかもしれないかと。

この女は男が働いていた小藩の下女で、よく気がきく。
そして、ラスト。
一体この男にどんな運命が待ち受けているか。
タイトルの『底惚れ』の意味が、そこで明らかになる。

誰もが思うのではないか。
おいしい物語をいただいて、満足満足。

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