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 青山文平さんが『つまをめとらば』という短編時代小説集で
 第154回直木賞を受賞したのが2016年の年のはじめであったから
 気がつけば随分以前のことになる。
 その青山さんの作品をまた読んでみようと思ったのは、
 この『底惚れ』という長編時代小説が
 第17回中央公論文芸賞と第35回柴田錬三郎賞の文学賞W受賞という
 快挙を達成したと聞いたからで、
 一体どんな作品かまったく予備知識のないまま読み始めた。
 それがどうだろうか。
 おとなの恋愛小説というのはこういう作品をいうのではないか、
 心の奥底に灯りがともるように感動した。

  

 「底惚れ」を辞書で調べたが、載っていない。
 ただ字の持つ雰囲気でわかることもある。
 心底相手を好きになること、そんな意味ではないかしら。
 物語の主人公は、40歳を過ぎても、仕事もままならない男。
 働いていた小藩のお役目で、隠居した藩主のお手付きとなった下女を
 女の里へ送りとどけることになる。
 ところが道中、女によって殺されかかるはめになる。
 一命をとりとめた男は、女が人を殺めたと悔いてはいないかと
 女の居場所を探し始める。
 思いついたのが、岡場所。
 女を探すために、男はひたすら働く。男が開いた店が評判となり、
 いつか女が見つかるかもしれないかと。

 そんな男をたすける女もいる。
 この女は男が働いていた小藩の下女で、よく気がきく。
 そして、ラスト。
 一体この男にどんな運命が待ち受けているか。
 タイトルの『底惚れ』の意味が、そこで明らかになる。

 こんなふうに「底惚れ」されたいものだと、
 誰もが思うのではないか。
 おいしい物語をいただいて、満足満足。

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